ビジネス活用2026年10月更新

業務自動化と受託開発はどちらを選ぶべきか|5つの質問で分かる判断フロー

公開日: 2026/09/20
更新日: 2026/10/11
業務自動化と受託開発はどちらを選ぶべきか|5つの質問で分かる判断フロー

この記事のポイント

業務自動化と受託開発のどちらを選ぶべきかを5つの質問で判断できる形に整理。既製ツールで足りる場合と開発が必要な場合の線引き、受託開発の費用(既存システムの改修100万円〜・PoC300万円〜、税別)、削減時間の試算まで解説します。

すでに人が毎月繰り返している作業をなくしたいなら業務自動化、まだ存在しない仕組みを作りたい・既存システムを直したいなら受託開発です。 業務自動化は、既製のツールやサービスで足りるならそれで済みます。データの取り出しや既存システムとの連携で止まるなら、自動化の仕組みそのものを開発で作ることになり、そこからは受託開発の範囲です(当社の場合、既存システムの改修100万円〜、PoC300万円〜。いずれも税別)。また、月20時間未満の作業は、時給3,000円で換算すると月6万円に満たない作業量です。ツールや開発にお金をかける前に、手順の見直しで済まないかを確かめてください。

この記事では、その切り分けを5つの質問で自分で判断できる形にまとめます。判断を間違えたときにいくら損をするのか、安いほうから試すのは正しいのか、という実務的な話まで含めて扱います。


業務自動化と受託開発は、そもそも並べて比べるものではない

最初にひとつ整理させてください。この2つは同じ土俵にある選択肢ではありません。

  • 業務自動化 = 目的。「人がやっている繰り返し作業を、人がやらなくていい状態にする」こと
  • 受託開発 = 手段のひとつ。「必要な仕組みを外部の会社に作ってもらう」こと

つまり正しくは「業務自動化か受託開発か」ではなく、「業務自動化という目的を、どの手段で達成するか。そして今回の困りごとはそもそも自動化の話なのか、新しい仕組みを作る話なのか」という問いです。

この混乱が起きるのには理由があります。「業務自動化」で検索すると自動化ツールの紹介記事が、「受託開発」で検索すると開発会社のリスト記事が出てきます。どちらも自分の会社のサービスを前提に書かれているため、読み比べても「で、うちはどっちなんだ」の答えは見つかりません。

実務では、両者は次のように使い分けられています。

困りごとの形

実態

進め方

「この作業、毎月同じことをやっている」

業務はすでに存在し、手順も固まっている

自動化(作業を機械に渡す)

「そもそもこの業務を回す仕組みがない」

業務自体をこれから設計する

受託開発(仕組みを作る)

「基幹システムにこの機能がなくて手作業している」

仕組みはあるが穴がある

受託開発(改修)→ その後に自動化

「効果があるか分からないので試したい」

判断材料そのものがない

受託開発(小さく試す)

3つ目と4つ目のように、受託開発と自動化は順番に並ぶこともあります。対立させて片方を選ぶ問題ではありません。


どちらを選ぶか、5つの質問で決める

業務自動化と受託開発の分岐を表した判断フローのイメージ図

上から順にYES/NOで答えてください。5問目まで行くと答えが出ます。

質問1:その困りごとは「すでに人が毎月やっている作業」ですか?

  • YES → 質問2へ
  • NO(作業自体がまだ存在しない/回す仕組みがない) → 受託開発。作るものが新規事業やサービスなら、いきなり本開発せず、PoC(小さく作って効果と実現性を確かめる検証工程)から入る方法があります。当社のPoCは300万円〜(税別)です

質問2:その作業に月20時間以上かかっていますか?

時給3,000円換算で、月20時間=月6万円、年間72万円です。

  • YES → 質問3へ
  • NO → どちらもまだ不要です。投資対効果が合いません。似た作業の統合、入力フォーマットの統一、承認ステップの削減といった手順の見直しを先にやってください。費用をほとんどかけずに解決できることがあります

採算については正直に書いておきます。初期費用100万円の仕組みを入れた場合、月20時間(6万円分)の作業を丸ごとなくせても、回収には運用費を除いて約17ヶ月かかります(100万円÷6万円)。削減が月10時間なら約33ヶ月です。「やらない」も立派な答えです。

質問3:入力も出力も、パソコン上で完結しますか?

紙の書類を人が見て判断する、電話で聞き取る、対面で本人確認する、といった工程が必須の業務は、その部分を機械に渡せません。

  • YES → 質問4へ
  • NO → まず紙や対面をなくす工程が先です。紙の書類を読み取ってデータに変える仕組み(AI-OCR)を一部の書類から入れるか、受け取り方そのものを作り直すかを検討します。後者は受託開発の範囲です。AI-OCRの費用は製品と対象書類で変わるため、見積で確認してください

質問4:毎回人が考えて決める「例外判断」は、全体の何割ですか?

ここが最大の分岐点です。この記事では2割を目安に置きます。統計から出した数字ではなく、「機械が処理した分の検算」と「人が例外を処理する手間」の合計が、もとの作業時間に近づいていないかを確かめるための目安です。自社の業務で、例外の件数と1件あたりの処理時間を数えて判断してください。

  • 2割未満 → 質問5へ
  • 2割以上だが、判断のルール自体は言葉で説明できる → 標準のパターンだけを自動化し、人は例外だけを見る形が成立するかを検討します。全部を自動にしようとせず、切り分けることが前提になります
  • 判断のルールが言葉にできない(ベテランの勘に依存している) → 受託開発。ルールを整理して定義するところからの作業になります。要件の整理や業務の棚卸しは、依頼先によっては有償の工程です。費用と範囲を先に確認してください

質問5:必要なデータは、既存システムから取り出せますか?

他のシステムと自動でデータをやり取りする「口」があるか、という話です。CSVで書き出せるか、他のソフトから読みに行けるか、と言い換えてもかまいません。

  • YES → 業務自動化。まず既製の自動化ツールやサービス(RPA・ノーコード連携・AIエージェント型のサービスなど)で足りるかを確認します。連携先が多い、例外の振り分けが複雑といった理由で既製品では足りない場合は、連携処理を開発で作ります
  • NO(画面を人が見て転記するしかない) → 受託開発 → 業務自動化の順。まずデータを取り出せるようにする改修(当社では既存システムの改修100万円〜、税別)を行い、そのうえで自動化します。順番を逆にすると自動化の作り込みが無駄になります

答えの早見表

あなたの状況

答え

費用の入口(税別)

毎月同じ手順の作業をなくしたい

業務自動化(既製ツールで足りなければ、自動化の仕組みを作る開発)

ツールは各社の公開料金(後述の表)/開発で作る場合は既存システムの改修100万円〜(当社)

既存システムに機能を足したい

受託開発(既存システムの改修)

100万円〜(当社)

効果が出るか分からないので試したい

受託開発(PoC)

300万円〜(当社)

新しい事業・サービスを立ち上げたい

受託開発(本開発)

個別見積(当社)

月20時間未満の作業

どちらも不要

0円(手順見直し)

紙・対面が必須の業務

まず紙をなくす工程から

製品と範囲で変わる(見積で確認)

判断が「受託開発」になった方、「業務自動化」になったものの既製ツールでは足りなそうな方は、受託開発のサービス内容をご覧ください。以降では、この判断の根拠になる数字を順に出していきます。


現場のどこに時間がかかっているか

IPA(情報処理推進機構)が公開したDX動向2026の調査ページ

出典: IPA(情報処理推進機構) 公式サイト

質問2の「月20時間」を判断するために、まず自社の作業時間を把握する必要があります。よくある業務と、時間を測るときに数えるものは次のとおりです。所要時間は会社によって大きく違うため、1〜2週間分を実際に記録してください。

業務

時間を測るときに数えるもの

行き着きやすい答え

月次レポート・定例資料の作成

集計・資料作成・確認・差し戻しの時間

自動化

複数システム間のデータ転記

転記の件数×1件あたりの時間と、照合の時間

自動化(データを取り出せる場合)

商談記録の入力とフォローメール送信

営業1人あたりの入力・メール作成時間×人数

自動化

受発注・在庫の突合

照合の件数と、差異を調べる時間

自動化(例外が少なければ)

Excel台帳の限界(同時に触れない・履歴が残らない)

時間より、入力ミスや「誰が直したか分からない」件数

受託開発

基幹システムに欲しい機能がない

手作業で穴埋めしている時間

受託開発(既存システムの改修)

新しいサービス・業務フローを立ち上げたい

—

受託開発(PoCから)

「自社の情シスでやる」が現実的かどうか

第3の選択肢として「内製」もあります。これには判断の材料になる公的な調査データがあります。

IPA(情報処理推進機構)が2026年7月に公開した「DX動向2026」(日本企業1,799社の有効回答)によると、DXを推進する人材の量が「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた企業は合計85.5%(2025年度調査。DXに取り組んでいる企業が対象)にのぼります。AIの導入は企業規模が大きいほど進んでおり、従業員「100人以下」の企業では、「関心はあるがまだ特に予定はない」が34.6% でした。

中堅・中小規模の会社では、社内の人材だけでAI活用を進めようとしても、人の確保が壁になりやすいということです。ただし今は、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使えば、社員が自分で調べたり、小さな自動化を試作したりできます。どこまで自社で進め、どこから会社に頼むかは後半で整理します。内製と外注のどちらが安く付くかの比較は、生成AIの内製と外注の分岐点が詳しいです。

もうひとつ、判断の参考になる数字があります。同調査でAIを導入・試験利用している企業のうち、期待以上または期待どおりの効果を得たのは31.8%です。効果があったと答えた企業が挙げた中身は、「業務が効率化したり迅速化した」が91.6%だったのに対し、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%でした。

IPAも、効果の中心は業務の効率化・迅速化といった「内向き」の領域にとどまり、売上などの「外向き」の成果に至った企業は少ないと分析しています。社内の作業時間を削る目的なら自動化、売上を作る新しい仕組みを狙うなら小さく試す受託開発から、という使い分けを考える材料になります。


自動化で対応できる業務・できない業務の境界線

自動化は、ツールを使う場合でも、開発で仕組みを作る場合でも万能ではありません。適用できないケースを先に書きます。

自動化できる

自動化できない

毎日・毎週・毎月、繰り返し発生する

年に1〜2回しか起きない

入力も出力もデジタルで完結する

紙の原本確認・対面・電話が必須

判断のルールを言葉で定義できる

ベテランの勘に依存していて説明できない

例外が少なく、例外を見分けるルールがある

毎回状況が違い、都度考えて決めている

決まった場所からデータを取り出せる

画面を目で見て転記するしかない

人が最終確認する前提で回せる

最終決裁そのものを機械に委ねたい

例外率2割を目安にする理由

例外が2割を超えると、「機械が処理した分の検算」と「例外を人が処理する手間」の合計が、もとの作業時間に近づいてきます。自動化したのに楽になっていない、という状態です。

ただしこれは「例外率が高い業務は諦める」という意味ではありません。例外を先に分離して、標準パターンだけを自動化の対象にするという設計ができます。たとえば受発注の突合なら、金額と数量が完全一致する取引だけを自動処理し、差異があるものを人の確認リストに回す。この形なら、例外率が2割を超える業務でも、完全一致する取引の件数が多ければ自動化の対象にできます。どこまでを機械に渡せるかは、AIエージェントに任せられる作業の範囲でより細かく扱っています。

「データを取り出せない」場合に起きること

質問5でNOだった場合、自動化の話はいったん止まります。データを取り出す口がないシステムを相手にすると、画面の位置を覚えさせて操作させる方式になり、相手側の画面が少し変わるたびに止まります。ここが後述する「作り直しコスト」の最大の発生源です。

この場合の正しい順番は、取り出せるようにする改修を先にやる(当社では100万円〜)→ そのうえで自動化するです。既存システムからデータを取り出す方法そのものは、連携用の口がないシステムからデータを取り出す方法にまとめています。


削減できる時間と金額の試算

判断の最後は金額です。以下は仮定に基づく試算で、実際の案件の数字ではありません。

前提は次の3つです。

  • 時給は3,000円とします(社会保険料等を含む会社負担の置き値)
  • 初期費用は100万円とします(当社の既存システムの改修の最低価格。税別)
  • 月の運用費は5万円とします(ツールの利用料・外部APIの利用料・保守の合計としてこの記事で置いた仮の値。実際は見積と各社の公開料金で確かめてください)

計算式は次のとおりです。

月の削減額 = 月の削減時間 × 3,000円

回収期間(月)= 初期費用100万円 ÷(月の削減額 − 月の運用費5万円)

月の削減時間

削減額(月)

運用費5万円との差引

初期100万円の回収期間

20時間

6.0万円

+1.0万円

100ヶ月(8年超)

40時間

12.0万円

+7.0万円

約14.3ヶ月

60時間

18.0万円

+13.0万円

約7.7ヶ月

80時間

24.0万円

+19.0万円

約5.3ヶ月

120時間

36.0万円

+31.0万円

約3.2ヶ月

読み取れることは3つです。

  1. 月5万円の運用費を賄うだけで、月約17時間の削減が必要(5万円 ÷ 3,000円 ≒ 16.7時間)
  2. 初期100万円を1年で回収するには、月約45時間の削減が必要(100万円 ÷ 12ヶ月 + 5万円 = 月約13.3万円、÷ 3,000円 ≒ 44.4時間)
  3. 月20時間の単一業務では合わない。複数業務をまとめて対象にして初めて成立する

3番目が実務上いちばん重要です。仮に、月次レポート20時間+データ転記30時間+商談記録の入力10時間+突合40時間で合計100時間の作業を対象にできれば、月30万円分の作業に対して運用費5万円という計算になります。1業務ずつ検討していると、いつまでも採算が合いません。なお、削減時間は「自動化したあとも残る確認作業」を差し引いて数えてください。

受託開発側の回収計算

既存システムの改修だけで月額のツール費用が発生しない場合も、考え方は同じです。改修100万円で月10時間(3万円分)の手作業がなくなる場合、保守費を除いた単純計算で回収まで約33ヶ月(3年弱) かかります(100万円 ÷ 3万円)。1つの作業だけでは回収が遠いため、改修で減らせる作業をまとめて数えるのが前提です。PoC300万円は効果測定そのものが目的なので、回収ではなく「本開発に進むかどうかの判断材料をいくらで買うか」で考えます。より細かい算出方法はAI導入のROI試算を参照してください。


実現する手段は大きく4つある

RPAツールの代表例であるUiPathの公式ロゴ

出典: UiPath 公式サイト

判断の方向が決まったら、手段の選択です。当社の受託開発以外も含めて並べます。

① 手作業の効率化・手順の見直し(0円〜数万円)

作業そのものをなくす、頻度を落とす、入力フォーマットを統一する、承認ステップを削る。月20時間未満の作業はここで終わらせるべきです。費用はほぼかかりません。

② RPA・ノーコードツール(月額数千円〜数万円+構築費)

人がパソコンでやっている操作の手順を記録して、機械に繰り返させるツール群です。公式に公開されている価格は以下のとおりです(2026年10月12日確認)。

ツール

プラン

公開価格

Microsoft Power Automate

Premium

2,248円/ユーザー/月相当(年払い・税抜)

Microsoft Power Automate

Process

22,488円/ボット/月相当(年払い・税抜)

Microsoft Power Automate

Hosted Process

32,233円/ボット/月相当(年払い・税抜)

Zapier

Free

無料(100タスク/月)

Zapier

Professional

$19.99/月〜(年払い・750タスク/月)

Zapier

Team

$69/月〜(年払い・2,000タスク/月)

UiPath

Automation Cloud ベーシック

月額$25から(上位プランは要問い合わせ)

※ドル表記のものは為替により円換算額が変動します。Zapierは年払いで月払い比33%の割引が適用されます。

出典: Microsoft Power Automate の価格/Zapier Pricing/UiPath Pricing(いずれも2026年10月12日確認)

注意点はライセンス費用が総額ではないことです。手順を組む作業(シナリオ構築)を外部に頼めば別に費用がかかり、連携先の画面や手順が変わるたびに修正も必要になります。構築と修正の費用は委託先と範囲で大きく変わるため、見積では「1業務あたりの構築費」と「修正1回あたりの費用」を分けて出してもらってください。この維持費の実態はRPAの保守費用で詳しく扱っています。

③ AIエージェント型の自動化サービス(料金はサービスごとに異なる)

手順を記録させるのではなく、業務のルールを渡して処理そのものを任せる方式です。画面の変更に強く、例外の振り分けや文面の生成といった「毎回少しずつ違う作業」に対応できるのが②との差です。一方で、判断ルールが定義できない業務には使えません。月額で運用まで引き受ける運用型のサービスもあれば、AIエージェントを組み込んだ仕組みを開発で作る方法もあります。料金の形(初期費用・月額・処理量に応じた課金など)はサービスごとに違うため、公開料金と、月額に含まれる処理量・業務の範囲を確かめてください。②との使い分けはノーコードツールとAIエージェントの違いにまとめています。

④ 受託開発(既存システムの改修100万円〜/PoC300万円〜/本開発は個別見積)

仕組みそのものを作る、または既存システムを直す方式です。業務を自動化する仕組みを作る開発(既存システムとのデータ連携、取込・集計・確認画面など)もここに入ります。見出しの金額は当社の価格で、すべて税別、クラウド・外部API・ライセンスなどの実費は別です。開発費は対象業務・連携先の数・権限の設計・データ量で変わります。相場の数字を集めるより、「何を作り、何を作らないか」を先に決めることが、見積を比べる前提になります。

4つの比較

① 手順見直し

② RPA・ノーコード

③ AIエージェント型

④ 受託開発

初期費用

0円〜

構築を外注すれば別途

サービスごとに異なる

100万円〜(当社の改修)/300万円〜(当社のPoC)

月額

0円

数千円〜3万円台(ユーザー単位またはボット単位。上表の公開価格)

サービスごとに異なる

保守を頼む場合は別途(範囲で変わる)

立ち上がり

即日〜

対象の手順の数による

サービスごとに異なる

要件次第

例外への強さ

—

弱い(想定外で止まる)

中〜強

設計次第で強い

仕様変更への強さ

—

弱い(都度修正が必要)

中

強い(ただし改修費)

向く場面

月20時間未満

手順が完全に固定の単純作業

繰り返し+一部判断がある業務

仕組みがない/既存を直す

①→②→③→④の順に、費用と自由度が上がります。 自社の困りごとがどの段の話なのかを見誤らないことが、この記事全体の趣旨です。


費用の目安と、3年で見たときの総額

ノーコード自動化ツールZapierの公式サイトの紹介画像

出典: Zapier 公式サイト

単年度の初期費用だけで比べると判断を誤ります。手段ごとに、3年で見たときの総額を次の式で出してください。

手段

3年総額の式

見積・公開料金で確かめること

② ツールを自社で契約して運用

ライセンス月額×36ヶ月+構築費+修正1回の費用×回数+社内で保守する時間

ユーザー単位かボット単位か/構築を外注する範囲/修正1回あたりの費用

③ AIエージェント型サービス

初期費用+月額×36ヶ月+処理量の超過分

月額に含まれる処理量と業務の範囲/人手の作業が含まれるか/解約時にルールやデータを受け取れるか

④ 受託開発(業務システムを作る)

開発費+保守費×36ヶ月+改修費

成果物(ソースコード・業務ルールの一覧)の扱い/保守の範囲/クラウド・外部APIの実費

※すべて税別で比べ、外部サービスの利用料などの実費を別に足してください。

たとえば②で、Power Automate Premium(2,248円/ユーザー/月相当、年払い・税抜)を5人で使う場合、ライセンスだけなら3年で約40万円です(2,248円×5人×36ヶ月=404,640円。仮定に基づく試算)。ここに構築の外注費と、画面や手順が変わるたびの修正費が加わります。

この式で伝えたいのは「安い手段が3年で見ても安いとは限らない」という一点です。②は入口が月数千円から始められますが、修正費と保守費が積み上がると、ほかの手段を上回ることがあります。逆に、対象業務が1つだけで手順が完全に固定なら②が最も安く済みます。

当社に頼める範囲と価格は次のとおりです。

  • 受託開発:既存システムの改修100万円〜、PoC300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別。クラウド・外部API・ライセンス等の実費は別)。PoCは効果と実現性を確かめる工程で、本番システムの完成を指す価格ではありません。業務を自動化する仕組みを作る開発、既存システムとの連携・改修、AIで作った試作の本番化まで対応できます。初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。→ 自動化で足りるか、開発が必要かを相談する

費用の内訳をさらに細かく確認したい場合は、AI受託開発の費用相場、業務システム開発の費用相場、保守運用費の相場もあわせてご覧ください。


判断を間違えると何が起きるか

他の記事ではあまり書かれない点ですが、金額に関わるので書いておきます。

誤り1:受託開発が必要な案件を、ツールで無理に自動化した

最も損失が大きいパターンです。データを取り出す口がないシステムに対して、画面操作を記録させる方式で作り込む。動き始めた時点では成功に見えますが、相手側の画面が変わると止まります。修正のたびに費用と停止時間が発生し、年に何度も起きれば維持費が積み上がります。

そして耐えられなくなって作り直すと、それまでの構築費が丸ごと無駄になります。先に改修をしていれば発生しなかった損失です。

誤り2:自動化で済む話に、いきなりシステムを作った

逆方向の誤りです。月次レポートの作成を自動化したいだけなのに、レポート作成システムを新規開発する。開発費をかけて、既製のサービスと同じものを手に入れることになります。作る前に「これは買えないか/任せられないか」を確認するだけで防げます。既製品と自社開発の線引きはSaaSとカスタム開発の判断で扱っています。

誤り3:管理者がいないまま自動処理が増えた

作った人が異動して、誰も中身を把握していない自動処理が社内に残る状態です。台帳がなく、止め方も分からない。障害が起きたときに原因の切り分けができず、対応が長引きます。ツールベンダー各社が「野良ロボット」として繰り返し注意喚起している現象です。手段を選ぶ前に、誰が管理し、誰が止められるのかを決めておく必要があります。失敗の類型はAI開発でよくある失敗にまとめています。

「安いほうから試す」は正しいのか

有効なケース:対象業務が1〜2個、手順が完全に固定、データがCSVで出せる。この条件なら、まず無料〜月数千円のツールで試し、効果が見えてから広げるのが合理的です。失敗しても損失は数万円です。

二重投資になるケース:対象業務が5個以上ある、データを取り出す口がない、例外処理が2割を超える。この場合、安いほうから始めても遠からず限界が来て、作り直しになります。最初から段を上げたほうが、3年総額では安く済む場合があります。


両方を組み合わせる場合の順番

受託開発と自動化は、順番に組み合わせる形が現実的です。

標準的な順番:受託開発(改修)→ 業務自動化

  1. データを取り出せるようにする改修(当社では既存システムの改修100万円〜、税別)
  2. 取り出せるようになったデータを使って自動化(既製のツールやサービスで足りればその利用料、足りなければ連携処理を作る開発)

1の工程を飛ばして2から入ると、前述の「画面操作を記録させる方式」になり、作り直しのリスクを抱え込みます。

逆順が成立する条件:既存システムからCSVで日次出力できる場合です。この場合は改修なしで自動化に入れます。運用してみて「この項目も自動で取れたら」という要望が出てきた段階で、改修を足す。こちらのほうが投資判断としては安全です。

やってはいけない順番:改修側の仕様が固まらないうちに、自動化とシステム改修を同時に発注することです。改修側の仕様が固まらないと自動化側の設計ができず、どちらも止まります。必ず順番に区切ってください。

AIを使って自社で進められる部分と、会社に頼む部分

今はChatGPTやClaudeなどの生成AIを使えば、社員が自分で次のところまで進められます。

  • 作業手順の書き出しと、例外パターンの洗い出し
  • Excelの関数・マクロや、CSVを整える小さなプログラムの作成
  • Power AutomateやZapierのフローの試作と、少量のデータでの動作確認
  • 見積を頼むときに渡す要件メモの下書き

一方で、会社に頼んだほうがよいのは、その会社に固有の事情が絡む部分です。

  • 実際のデータの品質(表記ゆれ・欠け・例外)を確かめたうえでの処理ルールの確定
  • 既存システムの仕様の調査と、データを取り出す口を作る改修
  • 誰がどのデータを見られるかという権限の設計と、その試験
  • 結果が正しいかを確かめる検収の基準と、止まったときの復旧の手順
  • 業務や連携先が変わったときに直し続ける責任を誰が持つか

AIで作った試作が動いているなら、それを捨てる必要はありません。残す部分・直す部分・任せる範囲を分けて考えれば、試作までの作業を活かせます。


当社の公開事例

業務の自動化と仕組みづくりの違いを表したイメージ図

当社が受託開発で取り組んだ案件のうち、公開できる範囲で2件を紹介します。守秘のため、社名・金額・効果の数値は出していません。

通信事業のケース:取込・集計・確認を仕組みにした例

通信事業の会社で、数万件規模の請求情報を取り込み、集計し、結果を確認する画面を作りました。

取り込みと集計は機械が受け持ち、人は確認画面で結果を見る。この記事の分け方でいえば、「作業を機械に渡す」側の構成です。データを取り出せる状態にあり、処理のルールを言葉で決められる業務は、この形にできます。

薬局のケース:記録管理の仕組みを作った例

複数店舗の薬局で、数千人分の記録を管理し、権限と確認工程を持つ仕組みを作りました。

複数の店舗で多くの人の記録を扱う場合、転記を自動化するだけでは、誰がどの記録を見られるか(権限)や、誰が確認したか(確認工程)は決まりません。こうした課題は「作業を機械に渡す」話ではなく、「仕組みを作る」話になります。

この2件の違いが、この記事の判断フローそのものです。 前者は作業を機械に渡す構成、後者は記録と権限の仕組みを作る構成です。困りごとの表面は似ていても、答えは別になります。業務別の自動化の進め方は、たとえば調剤薬局の在庫管理を自動化するで扱っています。


導入までの流れ

業務自動化を選んだ場合

段階

内容

ここで決めること

1

対象業務の洗い出しと作業時間の実測

対象にする業務と、月の作業時間

2

例外率とデータの取り出し可否の確認

既製ツールで足りるか、先に改修が要るか

3

処理ルールの定義・設計

機械に渡すルールと、人が見る例外

4

構築とテスト稼働

結果が正しいかを確かめる基準

5

本稼働・調整

誰が管理し、誰が止められるか

期間は対象業務の数とデータの状態で変わります。最も時間がかかりやすいのは1と3、つまり社内側の整理です。

受託開発を選んだ場合

既存システムの改修は100万円〜、PoCは300万円〜、本開発は個別見積です(当社の価格。すべて税別、クラウド・外部API・ライセンス等の実費は別)。期間は範囲によって変わるので、相談の段階で範囲と一緒に確かめましょう。相談は、要件が固まっていない段階からで大丈夫です。「何を作ればいいか分からない」が出発点でも問題ありません。要件が固まる前の相談の進め方は要件が決まっていない状態での開発相談にまとめています。

どちらに該当するか判断がつかない場合も、初回相談(無料・30分・オンライン)で、今の業務の流れと使っているシステム、困っている操作を伺ったうえで、自社でAIを使って進める部分と任せる部分、既製ツールで足りるのか作る必要があるのかを一緒に切り分けます。相談のあとは、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをメールでお届けします。→ 自動化で足りるか、開発が必要かを相談する

補助金を使う場合のタイミング

「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金。事業名は中小企業デジタル化・AI導入支援事業)を使う場合、発注のタイミングが制度に縛られます。2026年10月12日時点で公式サイトの事業スケジュールに掲載されている内容は以下のとおりです。

枠

公表されている直近の締切

交付決定日(予定)

事業実績報告期限(予定)

通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠

第6次締切:2026年10月30日(金)17:00

2026年12月10日(木)

2027年5月31日(月)17:00

複数者連携デジタル化・AI導入枠

第3次締切:2026年10月30日(金)17:00

2026年12月10日(木)

2027年5月31日(月)17:00

通常枠などは第7次の募集回が設けられていますが、その締切日は2026年10月12日時点で未発表です。複数者連携枠も第3次までしか公表されていません(公式サイトに「確定している募集回のスケジュールのみ公表」と明記されています)。

注意点は2つあります。

  • 交付決定より前に発注・契約すると補助の対象外になります。締切から逆算してスケジュールを組む必要があります
  • 入金は事業完了・実績報告のあとです。上記の第6次なら実績報告期限が2027年5月末なので、それまでの期間は初期費用を全額自社で立て替えることになります

締切と入金時期の詳細は補助金の締切スケジュールと補助金が入金されるまでの資金繰りを参照してください。制度は随時更新されるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。


よくある質問

Q1. 社員10名の会社でも、自動化を検討する意味はありますか?

あります。ただし規模よりも、対象業務の合計時間が判断基準になります。全社で集めても月20時間程度しか削減対象がないなら、ツールの利用料や開発費に見合いません。まず作業時間を実測し、手順の見直しで済まないかを先に確かめてください。

Q2. すでにRPAを導入済みですが、乗り換えるかどうかの判断基準はありますか?

年間の維持費を合算して比べてください。ライセンス費+シナリオ修正費(1回あたりの費用×年間の回数)+保守費の合計です。ここに「止まったときに現場が手作業で埋めている時間」も金額に換算して足します。その合計を、乗り換え先の3年総額(前述の式)と比べてください。逆に修正が年1回以下で安定して動いているなら、そのまま使い続けるのが合理的です。

Q3. 依頼したあと、社内にノウハウは残りますか?

残るかどうかは成果物の定義次第です。稼働する仕組みだけを受け取ると、中身がブラックボックス化します。業務フロー図と判断ルールの一覧を成果物に含めることを、契約前に明示してください。これがあれば、将来別の会社に引き継ぐこともできます。

Q4. 自動化の相談を、開発会社にしてもよいのですか?

かまいません。開発会社に相談する利点は、既製ツールで足りるか、改修が要るか、仕組みを作るかを同じ場で比べられることです。ただし開発会社は開発案を出しやすい立場でもあるので、「既製ツールで足りるならそう言ってほしい」と最初に伝え、この記事の質問1〜5の答えを持って行くと話が早くなります。当社の初回相談でも、自社で進める・頼む・やらない、の切り分けから始めます。

Q5. 相見積もりを取る場合、何社くらいが適切ですか?

3社程度が現実的です。それ以上増やすと、各社への説明コストと比較検討の時間が、価格差のメリットを上回ります。比較の際は総額だけでなく、保守費の月額・仕様変更1回あたりの費用・成果物に何が含まれるかの3点を必ず同じ条件で出してもらってください。この3点が揃っていないと、見積書を並べても比較になりません。

Q6. 効果が出なかった場合はどうなりますか?

受託開発のPoC(当社は300万円〜)は、そもそも「効果が出るかを確かめる」ための工程です。結果が芳しくなければ本開発に進まない、という判断を含めた投資と考えてください。月額型のツールやサービスは、契約条件によっては対象業務を減らす・停止するといった調整ができます。初期に全額を投じる形を避けられるかどうかを、契約形態の確認ポイントにしてください。

Q7. 繁忙期に導入作業の負担がかかるのが不安です。

導入で社内側の負担が集中するのは、作業時間の実測と処理ルールの言語化の工程です。繁忙期の1〜2ヶ月前に着手するのが理想的なスケジュールです。逆に、繁忙期の作業内容を記録しておくと、そのまま設計の材料になります。閑散期に着手して繁忙期に稼働させる、という組み方が最も負担が小さくなります。

Q8. 判断フローの質問3で「紙が必須」になりました。もう打つ手はないですか?

あります。ただし順番が変わります。紙をなくす工程(受け取り方の変更、読み取りの導入)が先で、自動化はそのあとです。読み取りの費用は製品と対象書類で変わるため、見積で確かめてください。また、紙の工程は全体の一部であることが多いので、前後のデジタルで完結している工程だけを切り出して自動化する、という進め方も可能です。業務全体を1つの塊として見ないことがポイントになります。


自動化で足りるか、開発が必要かを相談したい方へ

この記事の5つの質問で、自社がどちらに該当するかを言い切れる状態になっていれば目的は達成です。既製のツールで足りると分かった場合は、まずそれで試してください。

一方で、「データを取り出す口がない」「例外のルールを整理しきれない」「既存システムを直さないと自動化できない」といった、会社ごとの事情で止まっている場合は、受託開発でご相談ください。業務を自動化する仕組みを作る開発、既存システムとの連携・改修、AIで作った試作の本番化まで対応できます。

  • 価格:既存システムの改修100万円〜、PoC300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別。クラウド・外部API・ライセンス等の実費は別)
  • 公開できる事例:通信事業の数万件の請求情報の取込・集計・確認画面/薬局の複数店舗・数千人分の記録管理と、権限・確認工程
  • 初回相談:無料・30分・オンライン(Google Meet)。要件が決まっていなくても大丈夫です。今の業務の流れ、使っているシステム名、困っている操作を伺い、自社でAIを使って進める部分と任せる部分を一緒に切り分けます。月20時間未満で手順の見直しだけで済む場合は、そのようにお伝えします
  • 相談後:依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをメールでお送りします。秘密情報・本番の認証情報・実際の顧客データは送らないでください

→ 自動化で足りるか、開発が必要かを相談する

依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

この記事の著者

AI革命

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編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

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