AI活用事例2026年9月更新

調剤薬局の在庫管理を自動化する費用と実例|発注・データ更新はどこまで任せられるか【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/07
調剤薬局の在庫管理を自動化する費用と実例|発注・データ更新はどこまで任せられるか【2026年9月最新】

この記事のポイント

調剤薬局の在庫管理を自動化する費用と実例を解説。発注はパッケージ在庫管理システムで月1万〜5万円、導入後も残る卸サイト入力・レセコン突合・本部報告の自動化は初期100万円+月額10万円〜。削減時間と投資回収の目安を店舗数別に示します。

調剤薬局の在庫管理のうち、需要予測と発注リストの作成は月額1万〜5万円程度のパッケージ在庫管理システムで自動化できます。一方、そのシステムを入れても残る「卸サイトへの発注入力」「レセコンとの数値突合」「本部への在庫報告資料づくり」の自動化は、AIエージェントを使う場合で初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)が目安で、おおむね10店舗規模から投資回収が見えてきます。

この記事では、在庫管理システムの製品比較ではなく、システムを導入した後にも人の手に残る作業を工程に分解し、そこにどれだけ時間が消えているか、いくらで自動化できるか、何ヶ月で元が取れるかを数字で示します。薬局向けの在庫管理システムは価格を公開していない製品が多く、導入後に何が人の手に残るのかも契約前には見えにくいのが実情です。判断に必要な数字を先に置きます。

調剤薬局の在庫管理はどこに時間がかかっているのか

調剤薬局の医薬品棚と在庫管理用パソコンが並ぶバックヤードの様子

在庫管理というと発注作業を思い浮かべますが、実際に時間を食っているのは発注そのものだけではありません。

発注作業は1店舗あたり1日30分〜1時間

公開されている導入事例には、次のような実測値があります。

薬局・システム

自動化前

自動化後

ことうら薬局(鳥取県/処方箋30〜40枚・日、品目約1,500)Musubi AI在庫管理

昼・夜 各約30分、1日計約60分

昼1回+夜は2〜3日に1回、各約15分

LINCLE(メディカルシステムネットワーク、全国400店舗以上導入)

約1時間/日

約5分/日(在庫管理業務が約1/12との発表)

メドオーダー(ファーマクラウド)

発注所要時間 毎日10分。在庫は平均2割以上削減(最大5割)

Musubi AI在庫管理(カケハシ公式)

発注時間を1/2以下に削減、最短3クリックで発注完了

(各社公式サイト・プレスリリースより)

つまり発注作業は1店舗あたり月10〜20時間が実態です。時給3,000円換算で月3万〜6万円、年間36万〜72万円。10店舗のチェーンなら年360万〜720万円がここに消えている計算になります。

在庫が適正かどうかは2つの指標で判断できる

自局の在庫が多すぎるのかどうかは、次の式で確認できます。

  • 在庫月数 = 在庫金額 ÷ 月間処方薬剤料
  • 在庫回転数 = 月間処方薬剤料 ÷ 在庫金額

処方箋月1,000枚程度・面応需の薬局では、在庫月数1.5/在庫回転数0.67が一つの目安とされます。一般的な幅は在庫月数0.8〜2、在庫回転数0.5〜1.25です。たとえば在庫金額800万円・月間処方薬剤料400万円なら、在庫月数は2ヶ月・在庫回転数は0.5回転となり、やや在庫過多という判断になります(ファーマシスタ)。

なお処方薬剤料は薬価で算出されるため、在庫金額も購入価ではなく薬価ベースで計算する必要があります。この式を社内で統一し、毎月同じ式で比較することが前提です。店舗ごとに計算方法が違うと、比べても意味のある差が見えません。店舗間のばらつきをどう扱うかは大手薬局で店舗ごとのばらつきが生まれる理由でも整理しています。

廃棄と不動在庫

1薬局あたりの年間廃棄金額は平均20万円程度、全国の薬局全体では年間100億円規模の期限切れ廃棄があるとの推計が報じられています(ダイヤモンド・オンライン、2017年)。医療用麻薬に限った調査では1店舗あたり平均廃棄額23,057円、全国で年間14億5,000万円規模との報告もあります(日経メディカル、2026年2月)。いずれも推計・報道ベースの数字ですが、規模感の参考にはなります。

不動在庫が生まれる主因は、医薬品の納品ロットが処方量に対して大きいことです。最小包装単位でしか仕入れられない薬を、月に数錠しか使わない患者のために発注すれば、残りは期限まで棚に残り続けます。

供給不安で「代替品を探す作業」が常態化している

厚生労働省の医療用医薬品供給状況報告集計によると、2026年7月24日時点の通常出荷割合は総数88.9%(内用薬89.8%、外用薬90.2%、注射薬85.6%)でした。2026年5月1日時点では通常出荷以外が合計2,261品目(限定出荷1,074品目、供給停止1,187品目)に上っています。

つまり約1割の品目が通常どおりに入ってこない状態が続いており、発注のたびに「この薬は取れるのか」「取れないなら何で代替するのか」を調べる作業が発生します。この調査時間は在庫管理システムの効果測定にはほとんど含まれていませんが、現場の体感としては大きな比重を占めています。

在庫管理システムを入れても手作業が残る理由

カケハシのMusubi AI在庫管理の画面イメージ

出典: 株式会社カケハシ「Musubi」公式サイト

ここがこの記事の中心です。在庫管理システムの導入を検討している方は、製品が解決する範囲がどこまでかを先に把握しておくべきです。

医薬品の在庫管理を工程に分解すると、次の10工程になります。

工程

実際にやっていること

パッケージ在庫管理システムで解決するか

① 需要予測

処方実績から必要量を算出する

する(AI在庫管理システムの本体機能)

② 発注点算出・発注リスト提示

発注すべき品目と数量を出す

する

③ 卸への発注入力

卸のWeb発注サイトや、EDI・NSIPS(卸と薬局をつなぐ受発注の仕組み)へ転記して確定する

製品により一部。複数卸を使うと分散する

④ レセコンと在庫システムの数値突合

理論在庫と実在庫、システム間の差異をチェックする

しない

⑤ 不動在庫・期限切迫リストの作成

抽出し、整形し、店舗別に配信する

抽出まで。整形と配信は手作業

⑥ 店舗間融通の連絡

該当店舗を特定し、連絡文面を作って送る

しない(融通機能があっても連絡は人)

⑦ 本部への在庫報告資料作成

店舗別の在庫金額・回転日数・廃棄額を月次集計する

エクスポートまで。集計とレポート化はExcel手作業

⑧ 供給不安品の代替品調査

限定出荷・供給停止品を把握し代替候補を洗い出す

しない

⑨ 薬価改定時のマスタ整合チェック

新薬価と自局マスタ・在庫評価額を突き合わせる

ベンダー配信で反映されるが確認は人

⑩ 備蓄要件の充足確認

重要供給確保医薬品の1か月分在庫を照合する

しない(2026年6月施行の新要件)

在庫管理システムが強いのは①②で、ここは実際に大きな効果が出ます。しかし③以降は「システムを入れたのに、なぜかExcelを開いている」領域として残ります。特に複数店舗を本部で管理しているチェーンでは、⑤⑥⑦の店舗横断の作業が丸ごと人の手に残ります。

これは製品が悪いのではなく、パッケージは「多くの薬局に共通する処理」しか標準機能にできないためです。報告書の体裁、店舗間の連絡ルール、本部が見たい指標は薬局ごとに違うので、標準機能に入れようがありません。

自動化すると業務の流れはどう変わるか

③〜⑩を自動化した場合、本部担当者の1ヶ月はこう変わります。

現在の流れ(10店舗チェーンの例)

  1. 各店舗が在庫管理システムの発注リストを見ながら、卸A社・B社・C社のWeb発注サイトにそれぞれ入力する
  2. 月末、各店舗がレセコンと在庫システムから在庫データを出力し、本部にメールで送る
  3. 本部が10店舗分のExcelを1つに統合する(店舗ごとに列の並びが微妙に違う)
  4. 在庫金額・回転日数・廃棄額を計算し、店舗別の月次レポートを作る
  5. 不動在庫リストを抽出して整形し、店舗別に切り分けて配信する
  6. 「この薬、どこかに在庫ありませんか」という店舗からの照会に、本部が該当店舗を探して仲介する
  7. 限定出荷品が出るたびに、代替品を調べて店舗に共有する

自動化した後の流れ

  1. 各店舗の発注は、承認ボタンを押すところまで自動で用意されている
  2. 翌朝、店舗別の在庫レポートと差異一覧が本部の指定フォルダに揃っている
  3. 不動在庫リストは、融通できる店舗の候補と連絡文面の下書きまで付いた状態で各店舗に届く
  4. 担当者は、金額の大きい差異と融通の可否だけを判断する

消えるのは工程そのものではなく、工程の中の「手を動かす部分」です。何を発注するか、代替品に切り替えてよいかという判断は人が持ち続けます。ここは後述する境界線の話に直結します。

現場の運用を変えないことも重要です。店舗にExcelの書式統一を強いる、新しい入力ルールを課すといった施策は、日常業務が詰まっている薬局ではまず定着しません。店舗側の作業は今のままにして、本部側の処理を自動化するのが現実的な順序です。

削減できる時間と投資回収の試算

電卓とグラフ資料を使って在庫管理自動化の投資回収を試算するイメージ

自局の数字を当てはめて計算できるよう、2段階に分けて示します。時給は薬剤師・事務職の平均的な人件費として3,000円で換算しています。

第1段階:在庫管理システムで発注そのものを自動化する

項目

数値

自動化前の発注業務

月15時間/店舗(1日30分〜1時間の中間値)

自動化後

月4時間/店舗(導入事例では1/2〜1/12)

削減時間

月11時間/店舗

人件費換算

月11時間 × 3,000円 = 月3.3万円/店舗

年間

39.6万円/店舗

在庫管理システムの費用が月2万円/店舗程度であれば、1店舗でも十分に回収できます。発注業務だけを見るなら、パッケージ導入が最も費用対効果の高い選択です。ここは正直に申し上げます。

第2段階:残った作業(工程③〜⑩)を自動化する

第1段階の後に残る作業を積み上げると、次のようになります。

対象作業

月あたりの目安

卸サイト・EDIへの発注入力(承認前の準備)

3時間/店舗

レセコンと在庫システムの数値突合

3時間/店舗

期限切迫・不動在庫の抽出と確認

2時間/店舗

本部:店舗別在庫レポートの集計・作成

固定10時間+店舗数×1時間

本部:不動在庫リストの配信と融通の仲介

店舗数×0.5時間

本部:供給不安品の代替品調査・共有

固定5時間

これを店舗数別に集計すると次のとおりです。

店舗数

店舗側合計

本部側合計

月間合計

人件費換算

年間

1店舗

8時間

8時間

2.4万円

28.8万円

5店舗

40時間

22.5時間

62.5時間

18.7万円

224万円

10店舗

80時間

30時間

110時間

33万円

396万円

20店舗

160時間

45時間

205時間

61.5万円

738万円

投資回収は何ヶ月か

シゴハヤエージェントの費用は初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)で、月額は処理量に連動します。上の削減額から月額を差し引き、初期費用100万円を何ヶ月で回収できるかを計算すると次のようになります。

店舗数

月間削減額

想定月額

月あたりの差引

初期100万円の回収

1店舗

2.4万円

10万円

−7.6万円

回収不可

5店舗

18.7万円

10万円

+8.7万円

約12ヶ月

10店舗

33万円

20万円

+13万円

約8ヶ月

20店舗

61.5万円

20万〜30万円

+31.5万〜41.5万円

約3ヶ月

単店舗・2〜3店舗の薬局では、AIエージェントの月額を回収できません。 この規模ではパッケージの在庫管理システムで十分であり、無理に自動化を広げるべきではないと考えています。5店舗前後は回収に1年程度かかるため判断が分かれる領域、10店舗以上で本部機能を持っているチェーンであれば効果が明確に出る、というのが目安です。

判断基準は「在庫管理を自動化すべきか」ではなく、「在庫関連の定型作業を含めて、月40〜50時間以上を束ねられるか」です。棚卸の突合や商品マスタの更新など周辺業務も同じ仕組みに載せられるので、在庫単体で足りない場合は棚卸の突合を自動化する方法と費用も合わせて検討材料にしてください。

なお、不動在庫の削減による廃棄額の圧縮や、在庫月数の適正化によるキャッシュフロー改善も現実には発生します。ただし金額が処方構成に大きく依存するため、この回収計算には含めていません。確実に読める工数削減だけで判断できる形にしています。

自動化できる業務・できない業務の境界線

問い合わせをいただく前に、自局が対象になるかを確認できるよう線引きを示します。右列に3つ以上当てはまる場合、現時点では見送ったほうがよいと考えています。

自動化できる

自動化できない

毎日・毎週・毎月、決まったタイミングで発生する

発生が不定期で、毎回やり方が変わる

レセコン・在庫管理システムからCSVでデータを書き出せる

納品書・返品伝票が紙のみで、デジタル化されていない

判断ルール(発注点、閾値、報告の条件)を言葉にできる

品目ごとに担当者が個別の事情で判断している

レポートや連絡文面のフォーマットが決まっている

宛先ごとに毎回体裁を作り直している

最終承認は人が行う前提でよい

発注確定や代替品への変更までAIに決裁させたい

複数の卸サイト・システムをまたぐ

単一システムの標準機能で完結している

そのうえで、法令上の理由から自動化の範囲に含めない領域があります。

  • 麻薬・向精神薬の記録と在庫確認:向精神薬取扱者は記録を記録の日から2年間、向精神薬営業所において保存する義務があります。薬局は麻薬及び向精神薬取締法上「向精神薬卸売業者」「向精神薬小売業者」とみなされます。第3種向精神薬は記録義務がありませんが、譲受記録と定期的な在庫確認は望ましいとされています。この領域は、集計の補助はできても記録の作成・保存の責任は人が持つ設計にします。
  • 代替品への変更可否と疑義照会の判断:最終的な調剤・鑑査の責任は薬剤師にあります。供給不安品の代替候補を一覧化するところまでは自動化できますが、どれを採用するかの判断はAIに委ねられません。
  • 在庫評価額の確定と決算数値への反映:在庫金額は決算に直結するため、差異を根拠付きで並べるところまでを自動化し、承認は人が行います。

この線を守ることが、監査対応でも日常運用でも結果的に安全です。「全部お任せ」を求められる場合は、お断りしています。

在庫管理を自動化する3つの方法

調剤薬局向け在庫管理システムを提供する株式会社カケハシのロゴ

出典: 株式会社カケハシ 公式サイト

自社サービスの話をする前に、選択肢をフラットに並べます。上から順に検討して、当てはまるものがあればそれで十分です。

① パッケージの在庫管理システム

Musubi AI在庫管理(カケハシ)、メドオーダー(ファーマクラウド)、LINCLE(メディカルシステムネットワーク)、ODSS(ナベリン)、Pharmy(モイネットシステム)など、薬局専用の製品が多数あります。需要予測と発注リスト作成については、これらの製品が最も完成度の高い選択肢です。

まず検討すべきはここです。 単店舗〜数店舗であれば、ここで打ち止めにして問題ありません。ただし前述のとおり、工程③以降は残ります。

導入前に確認すべき実務的な前提が1つあります。2022年12月1日より医療用医薬品へのバーコード表示が義務化され、箱や包装のバーコードには商品コードに加えて有効期限とロット番号が入っています。これを読み取れれば、期限管理は自動化できます。ただし従来型の一次元バーコード専用の読み取り機では商品コードしか読めず、有効期限とロット番号は取得できません(GS1 Japan)。期限管理まで自動化するつもりなら、手元の読み取り機が二次元コードに対応しているかを先に確認してください。対応していなければ読み取り機の買い替えが先に必要になります。

② RPA・Excelマクロの作り込み

卸サイトへの入力やExcel集計を、RPA(人が行う画面操作を記録して、同じ手順を毎回自動で再生させるソフト)やExcelのマクロで自動化する方法です。費用の目安は、クラウド型RPAで10万〜50万円程度(初期設定10万円前後+1ライセンス月額5,000〜20,000円)、デスクトップ型で50万〜100万円程度、シナリオ開発を外部委託すると初期数百万円〜です。Excelマクロの外注であれば数十万円で済みます。

決まった手順を決まったとおりに繰り返す用途では強力です。一方で薬局の在庫業務では、卸サイトの画面変更、限定出荷品の想定外表示、店舗ごとのExcel書式の揺れに当たると止まります。止まったシナリオを直す作業が毎月発生し、その保守が新しい定型業務になってしまうケースが少なくありません。また、作った人が異動すると誰も触れないファイルが残ります。

③ AIエージェント

データの読み取りと判断を含めて、一連の業務を自動実行させる方法です。品名・規格の表記ゆれを文脈から寄せる、店舗ごとに違うExcelの形をそのまま受け取る、差異の大きい品目について入出庫履歴から原因の候補を挙げる、といった「ルールを全部書き切れない部分」を吸収できるのが違いです。複数の卸サイトや複数システムをまたぐ処理にも向いています。

費用は自社サービスの場合、初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)。導入期間は標準1〜2ヶ月です。どの業務までを任せられるかの具体例はシゴハヤエージェントのサービス内容に整理しています。

3つの比較ポイント

手段

初期費用

継続費用

想定外の入力への強さ

保守の負担

適した状況

パッケージ在庫管理システム

0〜数十万円

月1万〜5万円程度/店舗

中(製品の想定内なら安定)

ベンダー側

需要予測・発注。単店舗〜数店舗

RPA・Excelマクロ

10万〜100万円

ライセンス費+保守

弱い

自社に残る

画面と書式が毎回揃う作業

AIエージェント

100万円

月10万〜50万円

強い

委託先が担う

複数システムをまたぐ、本部集計がある

これらは排他ではありません。①で発注を自動化し、③で残作業を自動化するという組み合わせが、多店舗チェーンでは最も現実的です。

費用の目安

すべて税別です。

薬局向け在庫管理システムの公開価格

比較記事に掲載されている範囲で価格が確認できたのは、13製品中2製品のみでした。

製品

提供元

公開価格

MAPs for PHARMACY

EMシステムズ

月額20,000円/接続

9lione

公開情報では確認できず

月9,800円(スタンダード)/29,800円(プレミアム)/49,800円(エンタープライズ)、無料期間あり

Musubi AI在庫管理

カケハシ

非公開(要問い合わせ)

メドオーダー フルプラン

ファーマクラウド

非公開

ODSS

ナベリン

非公開(導入店舗数により変動、見積提示)

LINCLE

メディカルシステムネットワーク

非公開

ASKAN/ミザル/Retriever/PharPlus/PS+マネジメント/Pharmy/P-CUBE n/GENNAI just

各社

すべて要問い合わせ

(MAPs for PHARMACYと9lioneの価格は比較メディアの掲載によるものです。契約条件により変動する可能性があります)

薬局特化ではない汎用の在庫管理システムであれば、初期費用0円〜90万円程度、月額980円〜10万円程度がレンジとして示されています。クラウド型は初期無料が多い一方、導入サポートやデータ移行で数万〜数十万円が別途発生する場合があります。

全体の費用一覧

項目

費用の目安

補足

パッケージ在庫管理システム

月1万〜5万円/店舗程度

需要予測・発注リスト作成まで

2次元コード対応リーダー

数万円/台

期限・ロット管理を自動化する場合に必要

Excelマクロの外注

数十万円

保守は自社に残る

RPA

10万〜100万円(サーバー型は100万円〜)

ライセンス費と保守が別途

シゴハヤエージェント

初期100万円+月額10万〜50万円

工程③〜⑩を担当

自社サービスの価格

シゴハヤエージェントは、御社専用のAI社員が毎月繰り返す定型業務を実行するサービスです。価格は初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)。月額は処理量に連動し、10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安です(月1,000万〜1.2億トークン=AIが読み書きする文字量の枠が含まれます)。導入期間は標準1〜2ヶ月です。

薬局の在庫管理では、工程③卸サイトへの発注入力、④レセコンとの数値突合、⑤不動在庫・期限切迫リストの作成と配信、⑥店舗間融通の候補提示と連絡文面作成、⑦本部への在庫報告資料作成、⑨薬価改定時のマスタ整合チェック、⑩備蓄要件の充足確認を担当します。⑧供給不安品の代替品調査は候補の一覧化までで、採用の判断は薬剤師が行います。

前述のとおり、単店舗・数店舗では月額を回収できません。10店舗以上、あるいは本部で複数店舗の在庫を集計している体制であることが実質的な前提になります。自局が対象になるかどうかの整理は無料でお手伝いしています。価格と適用範囲の詳細はシゴハヤエージェントのサービスページをご覧ください。

補助金について(2026年9月8日時点)

中小企業向けには、システム導入や省力化に使える補助金制度があります。執筆時点の公表内容は次のとおりです。

制度

締切・スケジュール

デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠/インボイス枠/セキュリティ対策推進枠)

締切 2026年9月29日(火)17:00、交付決定 2026年11月9日(月)予定、事業実施期間 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00予定

デジタル化・AI導入補助金2026(複数者連携デジタル化・AI導入枠)

次回締切 2026年10月30日(金)17:00、交付決定 2026年12月10日(木)予定、事業実施期間 〜2027年5月31日(月)17:00予定

中小企業省力化投資補助金(一般型)第8回

公募要領公開 2026年8月18日、申請受付開始 2026年9月中旬、締切 2026年10月中旬予定、採択発表 2027年2月上旬予定

省力化投資補助金 第8回の締切確定日は、本記事執筆時点(2026年9月8日)では中小企業庁から「10月中旬予定」までしか公表されておらず、確定日は未発表です。また申請にはGビズIDプライムが必要で、取得に時間がかかります。さらに、いずれの制度も補助金は事業完了後の後払い(精算払い)であり、導入費用は一度自己資金で支払う必要があります。入金までの期間は公募回ごとに異なるため、各制度の公式サイトで最新の日程を確認してください。制度は公募回ごとに要件が変わるため、補助金ありきで計画を組むことはおすすめしていません。最新の公募状況は中小企業庁および中小機構の公式サイトでご確認ください。補助金の使い方の考え方は大手薬局がDX補助金を活用するために押さえるべき考え方にまとめています。

実際にやった事例(調剤薬局のケース)

社名は守秘のため出せませんが、進め方と結果を共有します。

課題:医薬品は単価が高く期限管理も必要なため、在庫の粒度が細かくなります。月次で店舗ごとの在庫データと発注・納品データを突き合わせていましたが、店舗ごとにExcelの作り方が違い、集約だけで半日以上かかっていました。薬価改定のたびに単価マスタとのずれも生じ、差異が数量由来なのか金額由来なのかを切り分ける作業に時間を取られていました。加えて「この薬、どこかに在庫はありませんか」という店舗からの照会が随時入り、本部が該当店舗を探して仲介するという中断が毎日発生していました。

作ったもの:各店舗が出力するファイルを、形式を統一させずにそのまま受け取り、品名・規格の表記ゆれを吸収したうえで在庫データと突合し、差異一覧を自動生成する仕組みです。差異は「数量差」「単価差」「期限切れ処理の漏れ」に自動で分類し、閾値を超えたものだけを本部宛にレポート配信します。あわせて、期限切迫品と不動在庫について、直近の調剤実績から融通先の候補店舗を提示し、連絡文面の下書きまで作る処理を載せました。

何がどう変わったか:締め日の翌朝には差異一覧ができている状態になり、本部担当者の作業は「金額の大きい差異を確認して原因を判断する」だけになりました。融通の照会も、本部が探すのではなく候補が先に提示されるため、店舗間のやり取りが短くなりました。何より、店舗にExcelの書式統一を強いる必要がなくなったため、現場の反発なく運用に乗った点が大きな違いでした。譲渡の可否判断と、代替品への切り替え判断は、これまでどおり薬剤師と本部が行っています。

同じ考え方は在庫以外の業務にも展開できます。調剤監査や薬歴、接客への活用は薬局のAI活用事例、本部システム全体の設計は薬局チェーンが導入すべきシステムを参照してください。

2026年の制度変更で増えた在庫業務

医薬品の供給状況や制度改正を所管する厚生労働省のロゴ

出典: 厚生労働省 公式サイト

在庫管理システムの比較記事ではほとんど触れられていませんが、2026年の制度変更で在庫まわりの定例業務が増えています。自動化を検討する際は、この分も含めて工数を見積もってください。

項目

内容

施行

薬価改定

改定率は医療費ベース▲0.86%、薬剤費ベース▲4.02%。対象は告示数12,272品目(個別銘柄15,789品目)

2026年4月1日

調剤報酬改定

後発医薬品調剤体制加算を廃止し、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に統合。後発品使用割合85%以上が基礎要件に組み込まれた。点数は加算1=27点、加算2=59点、加算3=67点、加算4=37点、加算5=59点

2026年6月1日

備蓄要件(新設)

重要供給確保医薬品のうち内用薬・外用薬について、直近1年間の調剤実績から算出した1か月分程度の備蓄に努めること

2026年6月1日

実務上、気をつけるべき点が3つあります。

1つ目は、薬価改定は4月1日、調剤報酬改定は6月1日と施行時期がずれていることです。単価マスタの更新と加算要件の確認が別の時期に発生するため、確認作業が年2回に分かれます。

2つ目は、備蓄要件が自局での現物保有を前提としていることです。卸が在庫を確保しているだけでは該当しません。対象品目は厚生労働大臣が指定する告示(産情発1118第2号、令和7年11月18日)で示されており、直近1年間で調剤実績のない品目は対象外です。

3つ目は、この備蓄要件への対応が3つのステップに分解できる定例業務だということです。(1)レセコンから過去1年の該当品目の調剤実績を抽出する、(2)1か月分の具体的数量を算定して実際に在庫を確保する、(3)卸への過度な急配依頼や返品を慎むといった流通改善に努める。このうち(1)と(2)の数量算定までは自動化の対象になります。実際に発注して在庫を持つかどうかの判断は人が行います。

供給不安については、通常出荷割合が約89%という状況が続いています。代替品の候補を一覧化し、在庫がある店舗を突き合わせるところまでは自動化できますが、どの代替品を採用するかは薬剤師の判断です。ここは境界線の項で述べたとおりです。

導入までの流れと期間

標準で1〜2ヶ月です。

ステップ

内容

目安

1. 現状ヒアリング

現在の在庫管理手順、使用しているレセコン・在庫管理システム、担当者と所要時間の確認

1〜2週間

2. 対象業務の切り出し

工程③〜⑩のどこを自動化し、どこを人が持つかの線引き。回収計算もここで確定

1週間

3. データ接続の確認

レセコン・在庫管理システム・卸サイトから必要なデータが出せるかを実データで検証

1〜2週間

4. 試験運用

直近の在庫データで実行し、人が作った結果と突き合わせて精度を確認

2〜3週間

5. 本番運用開始

月次サイクルに組み込み。差異発生時と融通時の運用ルールを確定

用意していただくのは、直近3ヶ月分の在庫データ(Excel・CSVいずれでも可、店舗ごとに形式が不揃いで構いません)、レセコンからの調剤実績出力サンプル、現在使っている在庫報告書のフォーマット、この3点です。品名・規格の対応表は、なければこちらで作成します。

ステップ4で精度が想定に届かない場合は、その理由を明示してお伝えします。データの粒度が足りず自動化に向かないと判断した場合も、率直にお伝えします。レセコンの選定や入れ替えを同時に検討している場合は、レセコン選定の判断基準も参考になります。判断材料が揃っていない段階でも、シゴハヤエージェントの相談窓口から現状の整理だけを依頼していただいて構いません。

よくある質問

Q1. レセコンや在庫管理システムを入れ替える必要はありますか。

ありません。現在お使いのレセコン・在庫管理システムからデータを出力できれば、そこを入力として処理します。基幹側に手を入れないのが原則です。CSV出力しかできない場合も対応可能で、むしろCSV出力のみという薬局のほうが多いのが実情です。手作業でのCSV出力が1工程だけ残る場合がありますが、所要時間は月あたり数十分程度です。

Q2. 卸が3社あり、それぞれ発注サイトが違います。すべてに対応できますか。

対応できます。ただし卸によって画面の作りやログイン方式が異なるため、事前の確認が必要です。EDIやNSIPSでの連携が使える卸はそちらを優先します。Web発注サイトのみの卸については、発注データを整えて入力直前の状態まで用意し、確定操作は人が行う構成にすることが多いです。誤発注は医薬品では影響が大きいため、確定を人に残す設計を推奨しています。

Q3. 麻薬・向精神薬の在庫もまとめて任せられますか。

実務上は二段構えにします。麻薬帳簿の記載、廃棄の立会い、記録の保存といった法令が人に課している行為は自動化の対象から外し、それ以外の品目と同じ集計軸に載せて「帳簿の数と現物の数が合わない可能性がある品目」を毎月洗い出す部分だけを自動化します。使用期限が近い品目の一覧化も同様です。運用としては、麻薬・向精神薬は突合結果の提示までで止め、その先の記録・処理は管理者が手作業で行う切り分けにしているケースが最も多いです。

Q4. 薬価改定のたびに設定をやり直す必要がありますか。

品目マスタの内容が変わるだけで処理の構造は変わらないため、設定のやり直しは基本的に不要です。改定時にやることは、新薬価マスタの取り込みと、自局マスタとの差分チェックリストの確認です。むしろこの差分チェック自体が毎年発生する定例作業なので、自動化の対象に含めることが多い項目です。改定内容の反映漏れは在庫評価額の誤りに直結するため、チェックリストは必ず人が目視で確認する運用にしています。

Q5. 導入までに現場の薬剤師はどれくらい手を取られますか。

ヒアリングで合計3〜5時間程度、試験運用の結果確認で数時間程度です。データの抽出作業はこちらで行うため、店舗の薬剤師に新しい入力作業をお願いすることはありません。負荷がかかるのは主に本部の管理担当者で、ステップ1と2に集中します。店舗の業務フローを変更しない前提で設計するのは、変更を伴う施策が現場で定着しにくいためです。

Q6. 効果が出なかった場合はどうなりますか。

ステップ4の試験運用で、人が作った結果と自動生成した結果を突き合わせ、精度と削減時間を実測します。ここで想定に届かない場合は、本番運用に進む前にその理由をお伝えします。データの粒度が足りない、判断が属人的で言語化できない、といった構造的な理由で自動化に向かないと判断した場合は、その旨を率直にお伝えします。契約期間の縛りで引き止める設計にはしていません。

Q7. 在庫管理だけでなく、他の業務もまとめて頼めますか。

可能です。むしろ在庫管理だけでは月額を回収しにくいため、周辺業務を束ねることを推奨しています。薬局の場合、月次のレセプト関連集計、店舗別の実績レポート作成、備品・消耗品の発注管理、本部への各種報告資料の作成などが同じ仕組みに載ります。どこまで束ねると回収できるかは、現在の所要時間を伺えば概算できます。業務改善全体の考え方は薬局経営を安定化させるための業務改善とデータ活用にまとめています。

まとめ

  • 発注業務は1店舗あたり月10〜20時間。ここはパッケージの在庫管理システムで自動化でき、月1万〜5万円/店舗の投資で1店舗でも回収できる
  • ただし在庫管理システムを入れても、卸サイトへの入力、レセコンとの突合、不動在庫リストの配信、本部への在庫報告、代替品調査、薬価改定時のマスタ確認、備蓄要件の充足確認は人の手に残る
  • この残作業は10店舗規模で月110時間、時給3,000円換算で月33万円・年396万円に相当する
  • 残作業の自動化はAIエージェントで初期100万円+月額10万〜50万円。単店舗・数店舗では回収できず、10店舗以上・本部集計ありが実質的な前提
  • 麻薬・向精神薬の記録責任、代替品採用の判断、在庫評価額の確定は自動化の対象外。判断は人が持ち続ける
  • 2026年6月施行の備蓄要件により、調剤実績の抽出と必要数量の算定という定例業務が新たに増えている

自局の在庫業務が自動化の対象になるか、束ねたときに回収できる規模になるかは、現在の所要時間と使用システムを伺えば1回の打ち合わせでおおよそ判断できます。対象外と判断した場合は、その理由をお伝えします。

シゴハヤエージェントの詳細・ご相談はこちら

関連記事:薬局のAI活用事例棚卸の突合を自動化する方法と費用薬局チェーンが導入すべきシステム薬局チェーンにおける全店最適とは何か大手薬局におけるDX化とは薬局経営を安定化させるための業務改善とデータ活用

同じ業種で、どの業務から手を付けたかをお伝えします

業務を1つ送る

この記事の著者

AI革命

AI革命

編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

経理・事務作業・開発を、AI革命にまとめて任せられます

ご相談は無料です。オンラインで完結します