要件が固まっていない段階で開発会社に相談する方法|費用・期間・持っていくもの【2026年9月最新】

この記事のポイント
要件が固まっていなくても開発会社には相談できます。初回相談は無料が一般的で、費用が発生するのは要件整理から。段階別の費用と期間、状態別に持っていくもの、契約の分け方、丸投げで失敗しないための関わり方を解説します。
要件が固まっていない段階でも、開発会社には相談してかまいません。初回相談は無料の会社が多く、お金がかかり始めるのは「何を作るか」を文書にまとめる要件整理の段階からで、その費用は設計〜テストにかかる費用の1〜2割(設計〜テストに300万円かかる規模なら50万〜60万円程度)が目安です。AIで実現できるかを小さく試す段階から始めるなら、当社ではPoC(試作を作って業務で使えるか確かめる工程)が300万円〜(税別)です。
ただし、相談はできても丸投げはできません。業界団体の調査では、業務部門が「協力的だが受け身」だったプロジェクトの満足度は、「積極的に参加」したプロジェクトより約22ポイント低くなっています。要件が固まっていないこと自体より、相談した後に発注側が関わり続けるかどうかのほうが、結果を大きく左右します。
この記事は、「うちの業務もシステム化を検討してほしい」と言われたものの、何を作るか社内で決まらず、開発会社に連絡してよいのか・何を持っていけばよいのか・いくらかかるのか分からずに止まっている経営者・事業責任者の方に向けて書いています。相談の前に社内で決めておくこと、状態別に持っていくもの、段階ごとの費用と期間、要件整理だけを先に依頼する契約の分け方を順に説明します。
要件が固まらないまま止まっている会社で起きていること

「何を作るか決まっていないのに、開発会社に連絡していいのか」。システム化を任された担当者の多くが、ここで手を止めます。現場では、だいたい次のようなことが起きています。
- 会議を重ねるたびに「ついでにこれも」と候補が増え、どれから手を付けるか決まらない
- 「AIを使えば楽になるはず」という話は出るが、どこまでできるのか社内の誰も説明できない
- 「要件を決めてから連絡しよう」と言ったまま、担当者の通常業務に埋もれて時間だけが過ぎる
- 思い切って1社に聞いたら「要件が決まらないと見積もれません」と言われ、そこで止まった
- 別の会社に聞いたら、いきなり総額が1つの数字で出てきて、それが妥当なのか判断できない
要件が固まらないのは、担当者の能力不足ではありません。多くの場合、原因は次の4つのどれかです。
固まらない理由 | 足りていないもの | 社内だけで解決できるか |
|---|---|---|
業務の現状が文章になっていない | 誰が・いつ・何件・どの手順でやっているか | できる(ただし時間がかかる) |
既存システムとの関係が分からない | 残すのか入れ替えるのか、データをどういう形で取り出せるのか | 一部はできない(システム側の知識が要る) |
AIや技術でどこまでできるか分からない | 実現できる範囲と、どのくらいの精度が出るかの見込み | できない(試さないと分からない) |
決める人が決まっていない | 優先順位と予算を最終判断する人 | 社内でしか解決できない |
右の列が「できない」になっている2つは、社内で議論を続けても固まりません。開発会社に相談する価値があるのは、まさにこの部分です。 逆に、いちばん下の「決める人が決まっていない」は、開発会社に相談しても解決しません。こちらは相談の前に社内で片付けます(後述)。
固まっていないまま相談してよい理由|「丸投げ」との違いは調査データに出ている

要件は「発注側が関わりながら一緒に固めるもの」
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公開している「ユーザのための要件定義ガイド 第2版」(2019年)は、システムを使って事業に役立てる立場にある発注側が、主体的に要件定義に関わることを前提にしています。開発会社が中心になって決める進め方から、業務部門が主導的に関わる進め方への転換を求める内容です。
注意したいのは、このガイドが「要件を固めてから開発会社に来なさい」とは言っていないことです。求めているのは「開発会社任せにせず、発注側も要件を決める作業に加わること」です。つまり、固まっていない状態で相談を始めること自体は問題ではありません。問題になるのは、相談した後に発注側が関わらなくなることです。
満足度の差は「最初の明確さ」と同じくらい「関わり方」で開く
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「ソフトウェアメトリックス調査2020」(2018〜2020年の累積データ)から、開発の結果に「満足」以上と答えた割合を条件別に並べると次のようになります。
条件 | 「満足」以上の割合 |
|---|---|
要求仕様が「非常に明確」だった | 72.7%(44件) |
要求仕様が「かなり明確」だった | 79.0%(86件) |
要求仕様が「ややあいまい」だった | 54.2%(48件) |
業務部門が「積極的に参加」した | 72.9%(70件) |
業務部門が「協力的だが受け身」だった | 51.0%(51件) |
途中で要求の「変更なし」 | 69.7%(33件) |
途中で「軽微な変更」が発生した | 73.3%(120件) |
途中で「大きな変更」が発生した | 56.5%(23件) |
※「大変満足」と「満足」を合算した割合。件数が一桁の区分は除いています。相関を示すデータで、因果関係を示すものではありません。
この表から読み取れることは3つです。
- 要求が明確なほうが満足度は高い。 あいまいなまま作り始めてよい、というデータではありません。ただし「非常に明確」より「かなり明確」のほうが高く、最初から完璧に固めきった案件が最も良い結果になっているわけでもありません。
- 業務部門が受け身だと、明確さの差と同じくらい満足度が下がる。 「かなり明確」と「ややあいまい」の差は約25ポイント、「積極的に参加」と「協力的だが受け身」の差は約22ポイントです。
- 小さな変更は満足度を下げていない。 軽微な変更があったプロジェクトは、変更なしより高いほどです。下がるのは「大きな変更」が出たときです。
ここから導ける結論は、要件は固めてから相談するものではなく、相談しながら発注側が関わって明確にしていくもの。小さな修正は恐れず、大きな変更を後半に持ち込まない、ということです。業務部門が受け身のまま開発会社に任せる「丸投げ」が、いちばん結果を悪くします。
相談してから要件が固まるまでに、全体の約2割の期間がかかる
同じJUASの調査では、開発にかかった期間の配分が「要件定義:設計から開発・テストまで:発注側による最終確認(総合テスト)=22.9:59.3:17.8」で、要件定義に全体の約2割の期間が使われています(98件)。全体で10ヶ月かかる開発なら、要件定義に約2ヶ月です。相談したらすぐ作り始められるわけではないので、固まるまでの期間も社内のスケジュールに入れておきます。
社内だけで固める場合と、相談しながら固める場合の違い
社内だけで固めてから相談する | 固まる前に相談して一緒に固める | |
|---|---|---|
最初の数ヶ月 | 社内会議で候補が増え、決まらない | 開発会社の質問に答えながら、対象業務を絞る |
技術的にできるかの判断 | 推測のまま要件に書く | 「できる/試さないと分からない/できない」に早い段階で分かれる |
見積もり | 各社が要件の読み方を変え、金額がばらつく | 要件整理の費用と、その後の開発の概算を分けて出してもらえる |
大きな変更が出る時期 | 作り始めてから「実はできない」と分かる | 要件整理の段階で出し切る |
発注側の関わり方 | 要件の文書を渡したら待つだけになりやすい | 定例で判断し続ける(手間はかかるが、結果に効くのはここ) |
固まっていない度合い別|持っていくもの・最初に出る数字・次の一手
「固まっていない」と一口に言っても、状態によって相談の仕方が変わります。自社がどれに近いかを選んでください。
いまの状態 | 相談に持っていくもの | 最初に出てくる数字・答え | 次に進む段階 |
|---|---|---|---|
① 困りごとしかない(「この作業が大変」だけ) | 対象業務の担当部署、その作業に月何時間かかっているか、使っているシステムの名前 | 金額より先に「作るべきか/既製のサービスで足りるか/手順の見直しで済むか」の見立て | 対象業務を1つに絞る |
② やりたいことの箇条書きがある | 箇条書きのメモと、各項目の優先順位(仮でよい) | 項目ごとの実現しやすさと、桁単位の概算(数十万円か、数百万円か、それ以上か) | 優先度の高い1〜2項目で要件整理に入る |
③ 予算と時期だけ決まっている | 予算の上限、使い始めたい時期とその理由、決める人 | 「その予算と時期で、どこまでできるか」の範囲 | 範囲を削って予算に合わせるか、段階を分けるかを決める |
④ 他社の見積もりがバラバラで決められない | 受け取った見積書すべてと、各社に伝えた内容のメモ | 各見積もりの前提の違い(何が含まれ、何が抜けているか) | 条件をそろえて見積もりを取り直す |
⑤ AIでできるかどうか分からない | 対象の書類やデータの種類と件数、いまの判断ルール(見本を見せるのは秘密保持契約の範囲を確認してから) | 「既存のAIで足りそうか/試さないと分からないか」の見立てと、試す場合の費用帯 | PoCで確かめてから、作るものを決める |
どの状態でも、持っていくと話が早いのは対象業務の「誰が・いつ・何件・月何時間」の4点です。これが分かると、開発会社はその業務にシステム投資をする価値があるかを判断しやすくなり、最初に出てくる概算の幅も狭くなります。
④の状態で見積もりの条件をそろえる方法はシステム開発の相見積もりとRFP(提案依頼書)テンプレート、届いた見積書の読み比べ方はAI開発の見積もり比較で解説しています。
相談の前に社内で決めておくこと・開発会社に相談しないほうがいいケース
要件は決まっていなくていいが、この3つは社内で決めておく
次の3つは、開発会社には決められません。相談の前に社内で決めておいてください。
- 決める人:優先順位と予算の最終判断をする人です。要件整理の定例に、少なくとも節目ごとに出席できる人を立てます。
- 予算の桁:「30万円台なら今期中に動ける」「300万円なら来期の予算に入れる」といった、動かせる金額の桁です。正確な金額でなくてよく、上限か幅で構いません。
- 使いたい時期と、その理由:「繁忙期の前に」「年度内に」などです。理由が分かると、開発会社は時期に合わせて範囲を削る提案ができます。
あわせて、業務担当者の時間を空けておくことも決めます。後述の試算では、要件整理の期間中に業務担当者1人あたり28時間ほどかかります。
開発会社への相談より先に、別の手を打ったほうがいいケース
次に当てはまる場合は、開発会社に相談しても話が進まないか、そもそも開発が要らない可能性があります。
ケース | 先にやること |
|---|---|
社内で決める人が決まっていない/部署間で目的が食い違っている | 社内で目的と決裁者を決める。開発会社は社内の合意づくりを代わりにはできない |
月額で使える既製のサービスで足りそう | 既製サービスの無料試用や資料請求で、必要な機能をおおむね満たせるかを先に確かめる |
業務の手順を変えれば済みそう(二重入力をやめる、承認の段階を減らすなど) | 手順の見直しを先に試す。システムを作るのはその後でも遅くない |
困っているのが既存システムの小さな不具合や、画面・帳票1つの追加だけ | 大がかりな要件整理は不要。保守をしている会社か、小規模改修を受ける会社に直接相談する(参考:システムの小規模改修の費用) |
とはいえ、自社がどのケースに当たるのか判断がつかないこと自体はよくあります。「作るべきか、既製サービスで足りるか」の見立てを聞くために初回相談を使うのは、正当な使い方です。
要件が固まっていないときの進め方は3つある

出典: 経済産業省 公式サイト
要件が固まっていない状態から開発に進む方法は、大きく分けて3つです。どれが正解ということはなく、社内の状況によって合う方法が変わります。
① 社内で要件をまとめてから相見積もり | ② 要件整理だけを先に依頼する | ③ 小さく試してから作るものを決める(PoC) | |
|---|---|---|---|
やること | 業務部門とシステム担当者で要件を文書にし、複数社に見積もりを依頼する | 開発会社に、業務の聞き取りと要件の文書化を期間・工数で依頼。固まってから開発の見積もりを取る | 対象業務を1つに絞って試作を作り、「使えるか」を確かめてから本番で作るものを決める |
社外に払う費用 | 要件をまとめる段階は0円 | 設計〜テスト費用の1〜2割が目安(試算)。他社の公開例では月20万円〜(最低3ヶ月) | 当社の場合300万円〜(税別)。簡易的な要件定義を含む |
期間の目安 | 社内の人手次第で読みにくい | 開発全体の工期の約2割。当社の事例では2週間〜2ヶ月 | 当社の事例で約3ヶ月 |
社内の手間 | 最も大きい | 定例と確認の時間(業務担当者1人あたり数十時間) | 定例、データの提供、試用と合否の判定 |
合うケース | 社内にシステム企画の経験者がいる/既存システムの入れ替えで、現行の機能が参考になる | 業務は分かっているが文書にできない/既存システムとの関係が複雑 | AIを使うかどうか、どこまでできるかが分からない |
合わないケース | 社内に要件を書ける人がいない/技術的にできるか分からない要素がある | 社内に決める人がいない(整理しても決まらない) | 技術的に確かめることがない単純な自動化(直接作ったほうが安く早い) |
① 社内で要件をまとめてから相見積もり
社外への支払いが発生しない代わりに、社内で要件を書ける人の時間を大量に使います。そういう人が社内にいない場合は、まさにこの記事を読んでいる状態、つまり「まとめようとして止まっている」状態に戻りがちです。また、技術的にできるか分からない部分を推測で書くと、見積もりの段階で各社の読み方がばらつきます。社内に経験者がいて、既存システムの入れ替えのように「今ある機能」が要件の土台になる場合に向く方法です。
② 要件整理だけを先に依頼する(契約を2つに分ける)
要件が固まっていない段階では、開発会社は「完成品をいくらで作る」とは約束できません。そこで、まず要件整理だけを「作業した期間・時間に対して支払う契約(準委任契約)」で依頼し、要件が固まってから開発の見積もりを取るという分け方があります。
これは特別なやり方ではありません。前出のJUASの調査では、要件定義の工程の契約形態は準委任が65.3%、請負(完成を約束して支払う契約)が24.1%、自社開発が10.6%で(170件)、要件定義を請負にしないプロジェクトが75.9%を占めています。IPAの「情報システム・モデル取引・契約書」に関する弁護士の解説(BUSINESS LAWYERS、2023年1月)でも、企画・要件定義は準委任、内部設計以降は請負という工程別の使い分けが整理されており、その理由を「要件定義は具体的な成果物が事前に想定できないため」としています。
発注側にとっての利点は2つです。総額が分からないまま大きな契約を結ばずに済むこと。そして、要件整理の結果を見てから、開発に進むか・どの会社に頼むかを決め直せることです。反対に、要件定義から開発までを最初から請負で一括にすると、開発会社は分からない部分のリスクを価格に上乗せするため、同じ内容でも2〜3割高くなるのが一般的です。
注意点もあります。
- 準委任は、期間が延びればその分の費用がかかる。 社内の判断が止まると、そのまま費用に跳ね返ります
- 成果物の範囲と権利を契約で決めておく。 要件をまとめた文書を他社の見積もりにも使う可能性があるなら、その旨を契約前に確認します
- 開発会社の担当者に、発注側が直接細かい作業指示を出さない。 準委任なのに発注側が相手の社員へ直接指示を出して働かせる形になると、「偽装請負」(契約上は業務の委託なのに、実態が人材派遣と同じになっている状態)として法令違反を問われるおそれがあります。要望は開発会社の窓口を通して伝えます
契約の形の違いはAI開発の契約形態で詳しく解説しています。
③ AIを使うなら、小さく試してから作るものを決める
AIを使うシステムで要件が固まらない最大の理由は、「AIでどこまでできるか分からない」ことです。これは発注側の準備不足ではありません。
経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(2018年6月公表、2019年12月に1.1版)は、AI開発を一括で契約せず、①アセスメント(使えそうかの見込みを確認)→ ②PoC(試作で検証)→ ③開発 → ④追加学習と段階を分けて、段階ごとに続けるか止めるかを判断する進め方を示しています。2025年2月18日に公表された「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」も、開発の契約を準委任か請負かで抽象的に議論するより、発注側が成果の内容や水準をどの程度求めるかのほうが重要な論点になる場合が少なくない、と整理しています。
業務の言葉に直すと、AIでできるかを小さく試し、合格ラインを先に決めてから、本番で作るものを決めるということです。合格ラインは「用意した質問○件のうち、担当者が手直しせずに使える回答が○割以上」のように、件数と割合で書きます。「実用に耐えるレベル」のような表現では、終わった後に誰も合否を判定できません。PoCの費用の内訳と成果物はAIのPoC費用の相場で詳しく扱っています。
相談から開発までの費用と期間の目安

段階別の費用と期間
段階 | この段階で決まること | 発注側が用意するもの | 費用の目安(税別) | 期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
初回相談 | 作るべきか/どの進め方が合うか/費用の桁 | 対象業務の「誰が・いつ・何件・月何時間」、使っているシステムの名前 | 無料が一般的(当社も無料) | 打ち合わせ1回から |
要件整理 | 対象範囲、業務の流れ、データ、誰が何を見られるか、外部システムとのつなぎ方、今回やらないこと | 業務担当者の時間、決める人の出席、データの見本 | 設計〜テスト費用の1〜2割(試算)。他社の公開例では月20万円〜・最低3ヶ月 | 開発全体の工期の約2割 |
PoC(AIを使う場合) | 合格ラインに届くか、本番に進める範囲 | 対象データ、試用する現場担当者 | 当社 300万円〜(簡易的な要件定義を含む。本番の構築は含まない) | 当社の事例で約3ヶ月 |
既存システムの小規模改修 | 直す箇所と方法 | 対象の画面や帳票、データの見本 | 当社 30万円〜 | 当社の事例で相談から稼働まで約5週間 |
本開発 | ― | 納品物が要件どおりかを確かめる担当者、現場への周知 | 当社は要件整理の結果をもとに個別見積 | 当社の事例で約7ヶ月(要件定義2ヶ月を含む) |
別途かかる実費 | ― | ― | クラウドの利用料、外部サービスの利用料、ソフトウェアのライセンス料 | ― |
要件整理の費用を試算する
要件整理の費用は、公開している会社が少ない費用です。そこで、JUASの同調査の工数(作業量)の比率から試算します。同調査では、要件定義の工数は設計〜テストの工数に対して約10%で、開発の規模が小さいほど比率が大きくなっています。規模別(人月=1人が1ヶ月でこなす作業量)では、10人月未満19.9%、50人月未満16.9%、100人月未満13.9%、500人月未満13.6%、500人月以上8.1%です。
設計〜テストにかかる費用 | 要件整理の費用の目安(試算) |
|---|---|
300万円規模 | 50万〜60万円程度 |
1,000万円規模 | 100万〜200万円程度 |
※工数の比率を費用に当てはめた試算です。実際の金額は会社の単価や、つなぐシステムの数によって上下します。
他社が公開している価格と比べても、大きな食い違いはありません。福岡の開発会社RAVIは要件定義支援を月20万円〜(税別)・準委任・最低契約期間3ヶ月・月の稼働目安15〜30時間で案内しており(2026年9月時点の同社サイト掲載内容)、最低でも60万円〜になります。システム開発会社のシンシアのブログでは、簡易なもので50万〜200万円という目安の一例が示されています。
開発会社に払う費用とは別に、社内の時間がかかる
見落とされがちなのが、発注側の社内の時間です。例として、要件整理を8週間、週1回90分の定例に加えて、事前の準備と社内への確認に週2時間かかると置くと、次のようになります。
前提 | 計算 | 金額換算(時給3,000円) |
|---|---|---|
業務担当者1名 | 週3.5時間 × 8週 = 28時間 | 8.4万円 |
業務担当者2名 | 28時間 × 2名 = 56時間 | 16.8万円 |
※調査データではなく、上記の前提を置いた試算です。
この時間を削ると、前述の「協力的だが受け身」の状態に近づきます。開発会社への支払いより先に、誰が週何時間出せるかを名前入りで決めておくほうが、結果に効きます。
当社の価格と、見積もりが出るタイミング
当社の価格は、PoC 300万円〜、既存システムの小規模改修 30万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)で、初回相談は無料です。要件が固まっていない段階でのご相談もお受けしています。
進め方は「ご相談 → 課題・要件整理 → 提案・見積もり → PoCまたは本開発 → 導入・改善」の順で、費用とスケジュールを含む見積もりは、課題と要件の整理を経てから提示します。 PoCの300万円には、課題と検証内容の整理、簡易的な要件定義、試作の設計と開発、検証環境、結果の整理、本開発の提案までが含まれます。一方で、300万円で本番の仕組みまで作ることはできません。
料金に含まれる範囲や進め方の詳細は受託開発サービスのページに載せています。AIを使わない業務システムの費用感は業務システム開発の費用相場、AIを使う場合はAI受託開発の費用相場をあわせてご覧ください。
実際にやった事例|要件が固まっていない状態から始めた3件
守秘の関係で社名は出せません。3件とも、相談の時点では「何を作るか」が決まっていなかった案件です。
医療機関のケース:候補が複数あり、どれから手を付けるか決められなかった
課題:蓄積された文書や記録は多いのに、必要な情報を探すのに時間がかかっていた。AIで効率化したい業務の候補は複数あったが、社内でどれから手を付けるか決められず、全部を対象にすると費用も期間も膨らんで稟議にかけられない状態だった。
どう固めたか:候補の中から1業務に絞り、着手の前に「どの質問に、どの水準で答えられたら合格か」を文書で決めた。そのうえでPoCとして進めた。
作ったもの:手元の資料をAIに読ませ、質問すると根拠となる箇所を示しながら答える仕組み。
期間:約3ヶ月(対象業務の絞り込みと合格ラインの設定2週間、データの受領と整形3週間、試作と調整5週間、現場での試用と判定2週間)
何が変わったか:合格ラインが先に決まっていたため、拡大するかどうかを2週間で判断できた。本開発に進む範囲を、現場の言葉と数字で社内に説明できるようになった。
調剤薬局のケース:他社からはシステムの入れ替えを含む提案が出ていた
課題:使っている業務システムからデータを書き出し、Excelで加工して、別のシステムや管理表へ手で転記する作業が毎日発生していた。担当者が休むと業務が止まり、繁忙期には転記漏れも起きていた。どこまで直すべきかが決まっておらず、他社からは基幹システムの入れ替えを含む提案も出ていた。
どう固めたか:「既存システムは残す」「対象は毎日発生している転記1箇所だけ」と範囲を決めた。
作ったもの:既存システムはそのままに、データの取り込みと加工、次のシステムへの受け渡しを自動で行う仕組み。新しいシステムは導入していない。
期間:相談から稼働まで約5週間(相談と仕様確定2週間、実装2週間、試験運用1週間)
何が変わったか:転記作業そのものと、転記ミスを探して直す時間がなくなり、担当者が休んでも業務が流れるようになった。全社的なシステム刷新にしていれば、同じ困りごとでも半年単位の案件になっていた。
インフラ企業のケース:対象システムが複数あり、要件定義に2ヶ月かかった
課題:複数の社内システムにまたがるデータを人が突き合わせて確認しており、件数が多く、月末に負荷が集中していた。どのシステムから、どういう形でデータを取り出せるかは、一つずつ確認する必要があった。
どう固めたか:要件定義の中で各システムのデータの取り出し方を確認し、つなぐシステムの本数を確定させた。つなぐ先が1本増えた場合の追加費用も、最初の見積もりの段階で決めた。
作ったもの:システム間のデータを自動で照合し、食い違いがある分だけを人に回す仕組み(本開発)。
期間:約7ヶ月(要件定義2ヶ月、実装3ヶ月、テスト1ヶ月、移行と現場教育1ヶ月)
何が変わったか:全件を人が見る運用から、例外だけを人が見る運用に切り替わり、月末に集中していた負荷が平準化された。途中で業務側の要望が増えても、追加費用をその場で計算できる状態を保てた。
3件に共通しているのは、固まっていない状態から始めても、最初に「対象を1つに絞る」「合格ラインを決める」「つなぐ範囲を確定する」のどれかをやったことで、期間と費用が読める形になったことです。期間を延ばしたのは技術の難しさではなく、確認が必要な範囲の広さでした。
相談から開発開始までの流れ

出典: AI革命 公式サイト
開発会社に相談してから開発が始まるまでの流れを、当社の進め方を例に、発注側でやることとあわせて示します。発注側の列は、他社に相談する場合にも目安として使えます。
段階 | 開発会社側でやること | 発注側でやること |
|---|---|---|
① ご相談 | 困っていること、実現したいこと、関係者を確認する | 対象業務の「誰が・いつ・何件・月何時間」と、決める人を伝える |
② 課題・要件整理 | 業務の流れ、データ、誰が何を見られるか、外部システムとのつなぎ方を確認する | 業務担当者が質問に答える。データの見本を出す(秘密保持契約の範囲を確認してから) |
③ 提案・見積もり | 対応範囲、成果物、費用、スケジュールを提示する | 範囲を削るか段階を分けるかを決め、社内の決裁を取る |
④ PoCまたは本開発 | 検証が必要な案件はPoCを先に行う | 合格ラインに合意し、定例で判断を続ける |
⑤ 導入・改善 | 稼働後の改善を行う | 使われ方を共有し、改善の要望をまとめる |
期間は対象範囲の広さと確認工程の数で変わるため、相談の中で目安をお伝えしています。前章の事例では、小規模な改修で相談から稼働まで約5週間、PoCで約3ヶ月、本開発で約7ヶ月でした。稟議や契約など、着手前にかかる期間の考え方はAI開発の期間にまとめています。
当社では、事業担当者・システムエンジニア・セキュリティの専門家(情報処理安全確保支援士)が1つのチームで進め、ソースコードは契約に基づいて引き渡せます。対応できる工程の範囲は受託開発サービスの進め方に記載しています。
相談時の情報の出し方にも注意してください。 初回相談は、業務の概要と件数・時間、システムの名前が分かれば進められます。顧客データや患者の情報といった実物をいつ、どこまで渡すかは、下のよくある質問(Q5)で整理しています。相談先そのものの見極め方はAI開発会社の選び方で解説しています。
よくある質問
Q1. 相談した開発会社に、そのまま発注しないといけませんか。
いいえ。初回相談は発注の約束ではなく、初回相談を無料としている会社であれば、相談だけで終わっても費用はかかりません。確認しておきたいのは「どこから有償になるか」です。打ち合わせが2回、3回と続き、資料づくりや要件の文書化に話が進みそうになったら、その前に「ここから先は費用がかかりますか」と聞いておくと、後から請求をめぐって揉めずに済みます。複数社を比べて決めるつもりなら、最初に「開発は相見積もりで決める方針です」と伝えておくのが、いちばん角が立ちません。
Q2. 複数の開発会社に同時に相談してもいいですか。
構いません。注意したいのは、各社への説明がずれることです。口頭で説明するたびに話が詳しくなり、2社目・3社目ほど違う前提で聞いている、ということが起きます。対象業務の4点(誰が・いつ・何件・月何時間)と、予算の桁・使いたい時期を1枚のメモにして、全社に同じものを渡してください。声をかけるのは2〜3社までにし、ある会社の相談で出てきた資料やアイデアを、そのまま別の会社に見せないことも守ります。
Q3. 社内の決裁者がまだ決まっていません。それでも相談していいですか。
初回相談は構いません。「そもそも作るべきか」「費用はどの桁か」が分かると、誰が決めるべき案件なのかを社内で議論する材料になるからです。ただし、要件整理を依頼するのは決裁者が決まってからにしてください。要件整理の途中で判断する人がいないと話が止まり、準委任契約なら止まっている期間の分も費用がかかります。さらに、最後に出てきた決裁者が内容を覆すと、それは満足度を大きく下げる「大きな変更」になります。
Q4. 予算がまったく決まっていません。どう伝えればいいですか。
対象業務にかかっている時間から、上限を逆算して伝えるのがおすすめです。たとえば月20時間の作業なら、時給3,000円換算で月6万円、年間72万円です。この業務のために300万円のPoCから始めるのは釣り合いにくく、30万円台の改修で済む方法を探すのが自然です。月100時間の作業なら年間360万円なので、数百万円の投資も検討の対象になります。「予算は未定だが、年72万円分の作業をなくしたい」と伝えるだけで、開発会社はその金額に見合う範囲で提案できます。
Q5. 初回相談の前に秘密保持契約(NDA)を結ぶべきですか。
判断の基準は「何を見せるか」です。業務の概要、件数、時間、システムの名前を話すだけなら、実物の情報は出ていません。顧客データ、患者の情報、取引先名が入った帳票、社内の機密資料を見せる段階になったら、その前に秘密保持契約を結び、対象となる情報の範囲と、相談が終わった後の返却・削除の扱いを確認します。医療機関や薬局の場合は、契約を結んだ後でも、最初は個人を特定できる情報を消した見本で相談するのが安全です。
Q6. 要件整理だけを依頼して、開発は別の会社に頼めますか。
頼めます。ただし、契約の前に3点を確認してください。1つ目は、要件をまとめた文書の権利と、引き渡してもらえる範囲です。2つ目は、その文書が別の会社にも読める形になっているか、つまり業務の言葉で書かれ、なぜそう決めたかの経緯が残っているかです。3つ目は、開発の段階で疑問が出たときに、要件整理を担当した会社に質問できるかどうかです。別の会社は文書を読み込み、書かれていない前提を確認し直す必要があるため、同じ会社に続けて頼む場合より開発の立ち上がりに時間がかかる点も見込んでおきます。
Q7. 相談したら、その場で金額を教えてもらえますか。
出てくるのは幅のある概算です。システム開発の見積もりは、構想の段階では実際にかかった費用と比べて最大で数倍ずれうることが知られており、工程が進むにつれて幅が縮みます(「不確実性のコーン」と呼ばれる考え方です)。要件が固まっていない段階で幅を付けて答えるのは、誠実な対応です。反対に、何も決まっていないのに総額を1つの数字で即答された場合は、その数字が「どこまでを含む前提か」を必ず聞いてください。前提を説明できない数字は、着手した後に増えます。
要件が固まっていない段階から相談できます
- AIで効率化したい業務の候補が複数あり、どれから手を付けるか決められない
- AIや既存システムとの関係で、どこまでできるのかが分からない
- 他社の見積もりがバラバラで、どれが妥当か判断できない
このような段階でのご相談をお受けしています。当社の価格は、PoC 300万円〜、既存システムの小規模改修 30万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)で、初回相談は無料です。医療機関・調剤薬局・インフラ企業での開発実績があります。
ご相談の際は、①対象業務の「誰が・いつ・何件・月何時間」、②使っているシステムの名前、③決める人と予算の桁・使いたい時期、をお聞かせください。分からない項目は「分からない」で構いません。そこから、作るべきか、どの進め方が合うかの整理をご一緒します。
関連記事:AIのPoC費用の相場/AI開発の契約形態/システム開発の相見積もりとRFPテンプレート/AI開発が失敗する原因/生成AIの内製と外注
要件が固まっていない段階からご相談いただけます(初回相談無料)
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AI革命
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AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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