ビジネス活用2026年9月更新

Excel業務のシステム化の判断基準|移行すべき境界線と費用の目安【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/16
Excel業務のシステム化の判断基準|移行すべき境界線と費用の目安【2026年9月最新】

この記事のポイント

Excel業務のシステム化は、複数の部署が同じデータを更新し、別システムからの書き写しがある業務から検討します。7つの質問による判定、kintone(1ユーザー月1,000円〜)から小規模改修30万円〜までの費用、実例を解説します。

Excel業務のうち、複数の部署が同じデータを更新していて、間違えると請求や顧客対応に影響が出て、しかも別のシステムからの書き写しが毎日あるものはシステム化を検討すべき対象で、1人で完結する分析用の表や形がよく変わる表はExcelに残すのが合理的です。移す場合の費用は、kintoneなどの既製サービスなら1ユーザーあたり月1,000〜1,800円(税別・最小10ユーザー)、自社向けに作るなら、書き写している1か所だけを仕組みにする小規模な改修で30万円〜(税別)、業務システムを1本作るなら小規模で50万〜300万円が目安です。

判断を難しくしているのは、「Excelはもう限界」という話の多くが、古いExcelを前提にしていることです。いまのExcelは、複数人で同時に編集することも、誰がいつ何を変えたかを確かめることもできます。この記事では、まず2026年時点のExcelで「できるようになったこと」と「いまもできないこと」をMicrosoftの公式情報で整理します。そのうえで、Excelに残すか移すかを分ける7つの質問、5つの移し先の費用、Excelのままにしておくコストの試算、当社が担当した調剤薬局とインフラ企業のケースを順に紹介します。

Excel業務のどこで時間と事故が起きているか

「脱Excel」の取り組み状況を調査したITmediaキーマンズネットのロゴ

出典: キーマンズネット 公式サイト

まず、現場で何が起きているかを調査データで確認します。NTTデータビジネスブレインズが2026年7月に、営業事務の経験が3年以上ある221名に行ったインターネット調査の結果です(調査した会社は、プログラムを書かずにデータベースを作れるツールを提供しています)。

質問

当てはまると答えた割合

Excelやスプレッドシートを業務で使う

91.8%(ほぼ毎日48.4%+一部の業務で43.4%)

前任者が作った、中身の分からないマクロや関数に苦労した

64.2%

マニュアルのないファイルを使い続けている

62.1%

ファイルが重く、固まる・強制終了する・やり直しになる(月数回以上)

53.6%

Excel作業が原因の残業や持ち帰りがある(1か月あたり)

56.2%

改善したくてもできないと感じる

72.0%

かかっている時間の数字もあります。コピーと貼り付けによる書き写しや集計、表記ゆれの手直し、壊れた関数の修復、エラーの原因探しに使う時間は、1か月あたり「5〜10時間」が17.9%、「10時間以上」が4.3%でした。約5人に1人が、毎月5時間以上をExcelの手直しに使っていることになります。

一方で、ITmediaのキーマンズネットが2025年6月に行った調査(330件の回答)では、「脱Excel」に取り組んでいない会社が65.8%でした。サポートが終わったExcel 2013以前のバージョンを使っている割合は全体で6.1%、従業員100人以下の会社では14.3%です。2023年の別の調査(KUIX、従業員101名以上でExcelでデータを管理している1,287名)でも、約70%がExcelでのデータ管理に限界やデメリットを感じている一方、ほかのシステムへの移行を試したのは24%にとどまっていました。

この2つの傾向を並べると、実態が見えてきます。多くの会社がExcelで困っているのに、システム化には踏み出していません。これは対応が遅れているからではなく、どの業務をExcelに残し、どこからを移すのか、その線が引けていないからです。現場では、次のような状況がよく起きています。

  • 基幹システムや販売管理システムから出したデータを、Excelの管理表に毎日書き写している
  • 同じ台帳のコピーが部署ごとにあり、どれが最新なのか分からない
  • 月末の集計マクロを作った担当者が異動や退職をして、誰も中身を直せない
  • 明細が増え続けて、ファイルを開くたび、保存するたびに待たされる
  • 入力ミスに気づくのが、請求書を出した後や、顧客に指摘された後になる

2026年のExcelでできるようになったこと・いまもできないこと

Excelの仕様やマクロの制限を公開しているMicrosoft Learnのロゴ

出典: Microsoft Learn 公式

線を引く前に、Excel自体の現状を正しく押さえておきます。「複数人で使えない」「履歴が残らない」をシステム化の理由に挙げる記事は多いのですが、これは古いExcelの話です。

できるようになったこと

機能

できること(Microsoft公式情報)

共同編集

複数の人が同じブックを同時に編集できる。以前の「共有ブック」機能は、制限が多かったため共同編集に置き換えられた

変更の表示

誰が、どのセルを、いつ、どう変えたかを、変更前の値まで確認できる。確認できるのは最大365日分

Copilot in Excel

AIに頼んで、表・グラフ・ピボットテーブル・数式を作れる。ブックを直接編集するモード、編集の前に計画を作るモード、チャットで質問するモードの3つがある

共同編集を使うには、Microsoft 365の契約があり、ファイルをOneDriveかSharePoint Online(Microsoftのクラウド上にある共有の保存場所)に保存する必要があります(出典:Microsoft サポート「Excel ブックの共同編集」)。

つまり2026年時点では、困りごとが「複数人で同時に編集したい」「変更の履歴を残したい」だけなら、システム化しなくても、Excelの保存場所と使い方を変えれば解決することがあります。ここを見落とすと、設定を変えれば済む課題に数百万円をかけることになります。

いまもできないこと(Excelの仕様上の壁)

一方で、Excelの仕様として動かせない制約もあります。この壁に当たっている業務は、使い方を工夫しても解決しません。

制約

内容

業務で起きること

行数の上限

1シートあたり1,048,576行×16,384列まで

明細が増え続ける業務では、いつか1つのシートに収まらなくなる

32ビット版のメモリ上限

Excelが使えるメモリの範囲が2GBまで(64ビット版はパソコンのメモリ次第)

大きなファイルほど動きが不安定になりやすい

ブラウザ版ではマクロが動かない

ブラウザで使うExcel for the webでは、VBAマクロ(Excelの作業を自動で行うプログラム)を作ることも、動かすことも、直すこともできない

Teamsやブラウザでの共有に切り替えると、マクロで回していた作業が止まる

インターネットから来たマクロは止まる

メールの添付ファイルなど、インターネット経由で受け取ったファイルのマクロは、Windows版Officeでは初めから動かない設定になっている(2022年2月に発表)

拠点や取引先から届いたマクロ付きのファイルが動かない

社内サーバーでは共同編集できない

自社で運用しているSharePointなど、Microsoftのクラウド以外に置いたブックは共同編集に対応していない

社内のファイルサーバーに置いたままでは、同時編集は使えない

出典:Microsoft サポート「Excel の仕様と制限」Microsoft サポート「Excel for the web で VBA マクロを使用する」Microsoft Learn「Macros from the internet are blocked by default in Office」

Copilotについても、Microsoftは「AIの提案には誤りや不正確な結果が含まれることがある」と注意しています。作業は速くなりますが、請求や在庫のように正しさが問われるデータを、確認の手順を決めないままAIに直接書き換えさせるのは避けたほうが安全です。

データ量の壁が、実際に大きな事故につながった例もあります。英国の公衆衛生庁では、2020年9月25日から10月2日までの新型コロナの陽性者、約1万6千件が接触追跡に回らない事態が起きました(AP通信配信・PBS NewsHour)。原因はExcelファイルの制限とされ、古いファイル形式(.xls)の行数の上限(65,536行)を超えた分が抜け落ちたと、複数の海外メディアが報じています。上限を超えたデータが、エラーで止まることなく抜け落ちてしまう場合があるという点は、覚えておいてください。

ここまでをまとめると、2026年のExcelでシステム化の理由になるのは「複数人で使う」ことそのものではありません。Excelで越えにくい壁は、次の6つです。

  1. 会社として正しいとするデータを、1か所に決めること
  2. 行や項目ごとに、見せる人を分けること
  3. 誰が承認したかの記録を残すこと
  4. ほかのシステムと自動でデータをやり取りすること
  5. 増え続けるデータ量に耐えること
  6. 作った人がいなくなっても直せること

Excel業務をシステム化すべき境界線|7つの質問で判定する

対象のExcel業務について、次の7つの質問に答えてください。

質問

Excelに残してよい

システム化を検討する

① 誰が更新するか

1人、または同じ部署の少人数

複数の部署・拠点、社外の人が同じデータを更新する

② そのデータは何か

検討や分析のための、使い捨ての表

取引・顧客・在庫・契約など、会社として正しいとする元データ

③ 間違えたときの影響は

社内で直せば済む

請求・顧客対応・監査・安全に響く

④ ほかのシステムとのつながりは

Excelの中で完結している

別のシステムから出したデータの書き写しや二重入力が毎日ある

⑤ データの量は

数千行程度で、動作に問題がない

明細が年々増え、開くたび・保存するたびに待たされる、固まる

⑥ 直せる人はいるか

関数や手順を複数の人が理解している

作った人しか直せないマクロで回っている

⑦ 見せる範囲と承認の記録は

関係者全員が全部を見てよい

行や項目ごとに見せる人を分けたい。誰が承認したかを残す必要がある

「システム化を検討する」の列に当てはまった数で、移し先の目安が決まります。これは当社が相談を受けるときの考え方で、厳密な基準ではありません。

当てはまった数

移し先の目安

0〜1個

Excelに残す、またはExcelを整える(入力のルール設定、保存場所の変更による共同編集など)

2〜3個

既製のクラウドサービスやノーコードツールに移す、または繰り返しの作業だけを自動化する

4個以上

作る(開発・改修)ことも比べる対象に入れる

例外が1つあります。④の「書き写し・二重入力」が強く当てはまる場合は、当てはまった数に関係なく、「書き写している1か所だけを仕組みにする」方法を先に検討してください。 表そのものはExcelに残したまま、システムとシステムの間のデータの受け渡しだけを自動にする方法です。業務全体を作り直す場合と比べて、費用の桁が変わることがあります。

また、上場企業などでは、現場の部署が作ったExcelやマクロについて、計算式の誤り、ファイルの紛失や破損、どれが最新版か分からなくなる問題を、内部統制のリスクとして管理する考え方があります。③や⑦に当てはまる表は、監査の面からも見直しを求められやすい表です。

システム化しないほうがいいExcel業務

システムを売る側の記事ではあまり書かれませんが、システム化するとかえって損をする業務があります。

Excelに残したほうがいい業務

理由

担当者1人で完結し、ほかの人が触らない表

共有や権限の問題が起きないため、システム化してもほとんど効果が出ない

集計の切り口やレイアウトが毎回変わる、分析や検討のための表

システムは決まった形の入力と出力が得意。形が変わるたびに改修費がかかる

年に数回しか使わない、使い捨ての表

作る費用を取り戻せない

毎回例外の判断が必要で、ルールとして書き出せない業務

ルールが決まる前にシステムにすると、例外が出るたびに改修が必要になる

業務の流れ自体がまだ固まっていない、新しい事業の管理

まずExcelで回して型を作るほうが安い。型が固まってから移せばよい

また、システム化は「Excelをやめること」ではありません。システムに移すのは、会社として正しいとする元データの入力と保管です。システムから出力したデータをExcelで分析したり加工したりする使い方は、移行後も残るのが一般的です。

Excel業務の移し先は5つ|得意なことと費用を比較

Excel業務の移し先として検討されるノーコードツールkintoneのロゴ

出典: kintone 公式サイト

Excel業務の移し先は、「そのまま残す」か「開発する」かの二択ではありません。費用の小さい順に5つあります。ここでは特定の会社に寄らず、公式の価格と各社の公開値で並べます(金額はすべて税別)。

移し先

費用の目安

得意なこと

越えられない壁

① Excelに残す

0円

1人や少人数での分析、形が変わる表

元データを1か所にまとめること、権限、承認の記録

② Excelを整える

設定の見直しは0円。AIを加えるならCopilot Businessが1ユーザー月3,148円(年契約)

共同編集、変更の確認、入力ルールによるミスの予防

行数の上限、ほかのシステムとの自動連携、作った人しか直せない問題

③ 既製サービス・ノーコードに移す

kintoneは1ユーザー月1,000〜1,800円(最小10ユーザー)。組み立てを外注するなら初期10万〜80万円

台帳・申請・案件管理など、よくある業務の共有、権限、承認

自社独自の複雑な処理、外部とつなぐ窓口がないシステムとの連携

④ 繰り返しの作業だけ自動化する

マクロ作成の外注は5万〜40万円程度の公開例がある

毎月決まった集計、書き写し、帳票づくり

元データが1か所にまとまるわけではない。作った人しか直せない問題が再発しやすい

⑤ 作る(開発・改修)

業務システム1本で小規模50万〜300万円、中規模300万〜1,000万円。保守費は年に開発費の10〜20%

独自の業務の流れ、複数システムとの連携、細かい権限

初期費用と保守費、発注する側の準備の手間

① Excelに残す(0円)

7つの質問にほとんど当てはまらない表は、そのまま残すのが正解です。無理にシステムにしても、入力の手間が増えるだけで得るものがありません。

② Excelを整える(0円〜)

お金をかけずにできることは、まだ残っているかもしれません。表を「テーブル」に変えて、入力できる値を選択肢に絞るだけで、表記ゆれの多くは入力の時点で防げます。ファイルをOneDriveかSharePoint Onlineに移せば、共同編集と変更の表示も使えます。

AIで作業を速くしたい場合は、Microsoft 365 Copilot Businessを追加します。価格は年契約で1ユーザー月3,148円(税別)で、2026年7月1日〜12月31日に年契約で申し込むと、初年度は月2,698円になります。Copilot Businessだけでは使えず、対象となるMicrosoft 365のビジネス向けプランの契約が別に必要です。セットにした場合、Business Standardとの組み合わせで1ユーザー月3,523円相当(年契約・税別)です(出典:Microsoft 365 Copilot 価格、2026年9月確認)。CopilotでできることはMicrosoft 365 Copilotエージェントとはで解説しています。

注意したいのは、共有のためにブラウザ版のExcelへ寄せる場合です。前述のとおり、ブラウザ版ではマクロが動きません。ブラウザ版向けの自動化の仕組み(Office スクリプト)もありますが、VBAのすべての機能に対応しているわけではありません。

③ 既製のクラウドサービス・ノーコードに移す

月額料金で使う既製のクラウドサービス(SaaS)や、プログラムを書かずに入力画面や項目を組み立てられるノーコードツールに、データを移す方法です。Excelからの移し先としてよく検討されるサービスの価格は、次のとおりです(2026年9月確認)。

サービス

月額(1ユーザーあたり)

主な条件

kintone ライト

1,000円(税別)

最小10ユーザー。外部サービスとの連携や拡張機能は使えない

kintone スタンダード

1,800円(税別)

最小10ユーザー。外部サービスとの連携や拡張機能が使える

Microsoft Power Apps Premium

2,998円(年払い・税別)

開発用の無料プランあり(本番の業務には使えない)

Google AppSheet

Starter 5ドル/Core 10ドル/Enterprise Plus 20ドル

Coreは多くの有料Google Workspaceプランに含まれる

kintoneは初期費用が無料で、1か月単位で契約でき、30日間の無料お試しもあります。スタンダードを20名で使うと、年43.2万円(税別)です。ほかのシステムとデータをつなぐ予定があるなら、ライトではなくスタンダード以上を選ぶ必要がある点に注意してください。

ただし、月額料金だけで考えるのは危険です。入力画面や項目は自社で組み立てる必要があり、社内に担当者がいなければ外注します。その場合の目安は、初期10万〜80万円、月1万〜5万円程度です。ノーコードとAIの使い分けはノーコード自動化とAIエージェントの違いで詳しく比べています。

④ 繰り返しの作業だけ自動化する

データの持ち方は変えずに、毎月の集計や書き写しといった繰り返しの作業だけを自動にする方法です。Excelマクロの作成を請け負う会社の公開例では、作業期間が1か月以内の開発で10万〜40万円程度、個人の開発者では5万円〜という例があります。ほかに、パソコンの操作を記録して自動で繰り返すRPAツールや、AIに毎月の集計を任せる方法もあります。AIに任せる方法はExcel集計の自動化で解説しています。

この方法は、7つの質問の⑥「作った人しか直せない」を、新しい形で繰り返しやすいのが弱点です。マクロは前述のとおり、ブラウザ版で動かない、メールで届くと止まるといった制約も抱えます。注意点はRPAが失敗する原因Power Automateの属人化でまとめています。

⑤ 作る(開発・既存システムの改修)

自社の業務に合わせて、システムを作る方法です。業務システムを1本作る場合の相場は、小規模で50万〜300万円、中規模で300万〜1,000万円、大規模で1,000万円〜です。これに加えて、保守費が毎年、開発費の10〜20%かかります。

「作る」には、業務システムを丸ごと作るだけでなく、すでにあるシステムを少し直して、Excelへの書き写しをなくすという小さな選択肢も含まれます。7つの質問で④が当てはまる場合は、まずこちらから考えてください。

2026年に入って、状況は少し変わりました。AIツールの普及でプログラムを書く工程が速くなり、小規模なシステムを作るときの費用の下限が下がってきています。数年前に「予算が合わない」とあきらめたシステム化も、いま見積を取り直せば通る可能性があります。 規模別の費用の詳細は業務システム開発の費用相場で解説しています。

Excel業務のシステム化にかかる費用の目安

ここまでの内容を、「やりたいこと」別の費用にまとめます(すべて税別)。

やりたいこと

進め方

費用の目安

別のシステムからExcelへの書き写しをなくしたい

書き写している1か所だけを、データの受け渡しの仕組みにする

30万円〜(小規模な改修)

部署で共有している台帳や申請を1か所にまとめたい

kintoneなどの既製サービスに移す

20名・スタンダードで年43.2万円。組み立てを外注するなら別に初期10万〜80万円

効果が読めないので、1つの部署で試してから決めたい

PoC(小さく作って効果を確かめる段階)

300万円〜

複数の部署や複数のシステムにまたがる業務をまとめたい

業務システムを開発する

中規模で300万〜1,000万円

稼働後の保守

不具合への対応、仕様変更への対応

年に開発費の10〜20%

見積書で見落としやすい費用が3つあります。1つ目は過去データの整理です。同じ取引先が「(株)〇〇」「株式会社〇〇」「〇〇」のように何通りもの書き方で登録されていると、そのままでは新しい仕組みに移せません。これを1つにまとめる作業を「名寄せ」と言い、実際にはプログラムを作るより時間がかかることがあります。2つ目は、Excelと新しい仕組みをしばらく両方回す並行稼働の期間に、現場にかかる負担です。3つ目は、クラウドの利用料、外部サービスの利用料、ソフトウェアのライセンス料です。

当社の受託開発の価格は、小規模な既存システムの改修が30万円〜、PoCが300万円〜、本開発は個別見積です(すべて税別。クラウド利用料などは別途)。社内の申請・承認のシステム、既存システムの改修、外部システムとの連携、データ分析や管理画面、AIを組み込んだ業務システムに対応しています。

Excel業務のご相談では、表の中身と、どのシステムから何を書き写しているかを伺ったうえで、上の表のどれに当たるかをお伝えします。7つの質問に2〜3個しか当てはまらず、既製サービスのほうが安く済む場合は、その旨を正直に申し上げます。 対応範囲と進め方は受託開発サービスの費用と対応範囲をご覧ください。書き写しの1か所だけを直す場合の費用の詳細はシステムの小規模改修の費用で解説しています。

Excelのままにしておくコストを試算する

システム化の費用が高いか安いかは、Excelのままにしておくと毎年いくらかかっているかと比べないと判断できません。計算式は次のとおりです。

1人あたりの月の作業時間 × 人数 × 時給 × 12か月 = Excelのままにしておく年間のコスト

仮の条件で計算してみます。書き写しや手直しに、1人あたり月10時間かかっている担当者が5人いるとします。前述の調査で約2割が当てはまった「月5時間以上」の層です。時給を3,000円とすると、次のようになります。

10時間 × 5人 × 3,000円 = 月15万円、年180万円

この作業がなくなった場合、費用を何か月で取り戻せるかは次のとおりです。

選択肢

費用(税別)

月15万円分の作業がなくなった場合

書き写しの1か所だけを仕組みにする

30万円〜

約2か月で取り戻せる

kintoneスタンダードに移す(20名)

月3.6万円(年43.2万円)。組み立てを外注するなら別に初期10万〜80万円

月額を差し引いても毎月約11.4万円が浮き、外注した初期費用は約1〜7か月で取り戻せる

PoCで試す

300万円〜

約20か月で取り戻せる

これは、作業がすべてなくなる前提の単純な計算です。実際には確認の作業などが残るので、減らせる時間は担当者ごとに測って見積もってください。また、時給3,000円は計算のための仮の値なので、自社の人件費に置き換えて計算してください。

反対に、担当者1人が月2時間しか使っていない作業なら、月6,000円、年7.2万円です。30万円の改修費を取り戻すのに50か月(4年以上)かかるので、この場合はシステム化よりも「② Excelを整える」ほうが合理的です。

時間に表しにくいコストもあります。数字にしにくいものの、決裁の場では時間の試算と一緒に示してください。

  • 書き写しのミスによる請求書の訂正や、顧客へのお詫びにかかる手間
  • 作った人の退職や異動で、業務そのものが止まるリスク
  • ファイルの破損や上書きで、データを作り直す手間
  • 監査や取引先の確認のときに、根拠のデータを探し出す手間

投資の回収の考え方はAI導入のROI試算でも詳しく説明しています。

Excel業務のシステム化で失敗しやすい3つのパターン

パターン1:今のExcelの見た目を、そのままシステムにしようとする

セルの結合、色分けでの意味づけ(黄色は確認待ち、など)、1つのシートに意味の違う表を並べる、といったExcel独特の作りを、そのまま画面にしようとすると、システムは複雑で高くなり、しかも使いにくくなります。

移すべきなのは見た目ではなく、その表で回している業務のルールです。見積を頼む前に、「この色は何を意味しているか」「この列は誰が何のために入力しているか」を書き出してください。書き出す作業そのものが、発注する側でできる要件の整理になります。進め方は発注側の要件定義の進め方で解説しています。

パターン2:過去データの整理を後回しにする

費用の章で書いた名寄せを「移行のときにやればいい」と後回しにすると、稼働の直前になって自動で取り込めないデータが大量に見つかります。見積を頼む段階で、実際のデータのサンプル(個人情報や取引先名は伏せたもの)を渡してください。整理にかかる手間を先に見積もってもらえるので、後から追加の費用が出るのを防げます。

パターン3:移行した後も、Excelを並行して使い続ける

新しい仕組みが動き始めた後も、「念のため」とExcelでの管理を続けると、正しいとするデータが2つになります。2つのデータが食い違ったとき、どちらを信じればいいか分からなくなり、Excelだけで管理していた頃より悪い状態になります。

並行稼働そのものは必要ですが、始める前に終わる日を決め、「この日からはシステム側のデータが正しい」と社内に伝えてください。 その後のExcelは、システムから出力したデータを見るためだけに使います。

実際にやった事例|書き写しと突き合わせを仕組みにしたケース

守秘義務があるため社名は出せませんが、当社が担当した案件を2つ、課題・作ったもの・変わったことの順に紹介します。どちらも、業務を丸ごと作り直すのではなく、人が手で書き写す・人が目で突き合わせるという、止まっている作業を仕組みにしたケースです。

調剤薬局のケース(小規模な改修・30万円〜の価格帯)

課題:同じ情報を、複数のシステムに入力し直していました。あるシステムに入力した内容を、別の管理表へ手で書き写す作業が毎日あり、忙しい時期には書き写し漏れも起きていました。7つの質問でいうと、④が強く当てはまる状態です。

作ったもの:一方のシステムから出力したデータを整え、もう一方の形式に変換して取り込む仕組みです。今のシステムを作り直すのではなく、書き写していた1か所だけに絞りました。

時間がかかったところ:プログラムよりも、過去データの名寄せに時間がかかりました。同じ取引先がいくつもの書き方で登録されていて、そのままでは自動で取り込めなかったためです。この整理を先に済ませてから、仕組みを動かしました。

変わったこと:書き写す作業がなくなり、書き写しのミスを探して直していた時間もなくなりました。会社全体のシステムを入れ替えるのではなく1か所に絞ったので、部門長の決裁で進められる規模に収まりました。

インフラ企業のケース(本開発・個別見積の価格帯)

課題:複数のシステムにまたがるデータを、人が突き合わせて確認していました。件数が多く、月末に負荷が集中していました。7つの質問でいうと、④と⑤に当てはまる状態です。

作ったもの:システムとシステムの間のデータを自動で照合し、食い違いがあるものだけを人に回す仕組みです。

進め方で工夫したこと:これまでのやり方と新しい仕組みを一定期間並行して回し、結果が一致することを確かめてから切り替えました。並行稼働の間は現場の負担が一時的に増えるため、いつ終わるかを事前に決めて共有しました。

変わったこと:すべてのデータを人が確認する運用から、食い違いがあるものだけを人が確認する運用に変わりました。確認作業の総量が減っただけでなく、月末に集中していた負荷がならされました。

2つのケースに共通するのは、「Excel業務のシステム化」を、業務全体の置き換えとして始めていないことです。どこで人の手が止まっているかを特定し、そこだけを仕組みにしています。なお当社は、医療情報を扱うシステムの開発経験もあります。

相談から稼働までの流れと期間

Excel業務のシステム化の相談を受け付けているAI革命のロゴ

出典: AI革命 公式サイト

段階

期間の目安

発注する側でやること

1. 相談(初回無料)

1回60分程度

困っているExcel業務と、月に何時間かかっているかを伝える

2. 課題の整理・概算見積

1〜2週間

対象の業務を1つに絞る。既製サービスで足りるか、作るべきかを判断する

3. 要件定義(作るものの中身と範囲を決める)

1〜2か月

Excelの色・列・マクロが何を意味しているかを書き出す。データの置き場所を確認する

4. PoCまたは本開発

小規模で1〜3か月、中規模で3〜6か月

途中の確認、テストへの参加

5. データ移行・並行稼働

2〜8週間

過去データの中身の確認、新旧の結果の突き合わせ、並行稼働を終える日の決定

6. 本番移行・現場への説明

2〜4週間

「この日からシステム側が正しい」と社内に伝える。運用のルールを決める

7. 運用・改善

継続

使われ方の共有、改善要望の取りまとめ

最初のご相談の前に、次の5つが分かっていると話が早く進みます。すべて揃っていなくても構いません。

  • 対象のExcelファイル(個人情報や取引先名を伏せたサンプルで構いません)
  • 誰が、いつ、どのシステムから、何を書き写しているか
  • その作業に、担当者ごとに月何時間かかっているか
  • マクロがある場合、作った人と、いま直せる人がいるか
  • 7つの質問で当てはまった項目

時間がかかりやすいのは、技術的な難しさよりも、社内で「対象の業務を1つに絞れない」「データがどこにあるか分からない」という理由で止まる場面です。その整理から一緒に進める前提でお受けしています。進め方の詳細は受託開発サービスのページでご確認いただけます。要件が固まっていない段階での相談の仕方は要件が固まっていない段階で開発会社に相談する方法で、小さく始めて広げる発注の仕方は段階的な開発の発注で解説しています。

よくある質問

Q1. マクロを作った担当者が退職しました。システム化と作り直しのどちらを先にすべきですか。

どちらよりも先に、「そのマクロが何をしているか」を書き出してください。どのファイルのどの列を読み込み、何を計算・転記し、最後に何を作っているかを、実際に動かした結果から紙1枚にまとめます。その間はマクロに手を加えず、ファイルのコピーを取ってから使い続けます。ファイルの保存場所や受け渡しの方法も変えないでください。ブラウザ版のExcelに移すとマクロは動きませんし、メールで送り直すとマクロが止まることがあるためです。書き出した結果、①(複数の部署が更新する)や②(会社の元データ)、⑦(見せる範囲や承認の記録)に当てはまるならシステム化を検討します。1人で使う集計だけなら、マクロを作り直すか、繰り返しの作業を自動化すれば足ります。どちらを選ぶ場合も、仕様書と、作ったものの引き渡しを発注の条件に入れて、「作った人しか分からない」状態を二度と作らないようにしてください。

Q2. Copilot in Excelを入れれば、システム化は不要になりますか。

作業を速くする道具としては役立ちますが、システム化の代わりにはなりません。Copilotを入れても、ファイルごとにデータを持つExcelの仕組みは変わらないためです。費用の面でも比べておく価値があります。Copilot Businessを20名で使うと、年契約で年約75.6万円(1ユーザー月3,148円・税別。ほかに対象となるMicrosoft 365のプランの契約が必要)です。kintoneスタンダードを20名で使う場合の年43.2万円(税別)より高くなります。「全員の作業を速くしたい」ならCopilot、「データの持ち方を変えたい」ならシステム化、と目的で分けて考えてください。両者は対立するものではなく、システム化した後に、システムから出力したデータをExcelで分析するときにCopilotを使う、という組み合わせも成り立ちます。

Q3. kintoneなどの既製サービスと開発では、5年で比べるとどちらが安いですか。

使う人数によって逆転します。kintoneのスタンダードを20名で使うと、年43.2万円、5年で216万円(税別)です。一方、小規模な業務システムの開発費(50万〜300万円)に、年10〜20%の保守費を5年分加えると、5年の合計は75万〜600万円になります。つまり、両者の金額の範囲は重なっています。使う人が多いほど既製サービスの月額が積み上がるので、作るほうが有利になりやすくなります。反対に、使う人が少なく、業務の流れが一般的なら、既製サービスのほうが安く済みます。計算の詳細は業務システム開発の費用相場をご覧ください。

Q4. Excel業務のシステム化に補助金は使えますか。

移し先によって変わります。代表的な「デジタル化・AI導入補助金2026」の通常枠は、事務局に登録されたITツールを導入する費用(ソフトウェアの購入費や、最大2年分のクラウド利用料など)が対象で、申請はツールを登録している販売会社など(IT導入支援事業者)と一緒に行います。kintoneのような登録済みのサービスに移すなら対象になり得ますが、自社専用のシステムをゼロから作る受託開発は、公式ページに対象と書かれておらず、原則として対象外と考えてください。補助率は1/2以内(条件を満たすと2/3以内)です。補助額は、導入するツールが受け持つ業務の種類(顧客対応・販売、会計・財務、在庫・物流、総務・人事・給与など)の数で決まり、1種類以上なら5万円以上150万円未満、4種類以上なら150万円以上450万円以下です。2026年9月17日に公式スケジュールで確認した時点で、通常枠の締切は2026年9月29日(火)17:00(1〜5次締切分)、交付決定は2026年11月9日(月)の予定、事業の実施と実績報告の期限は2027年4月30日(金)17:00の予定です。6次以降の締切は本記事執筆時点で未発表です。交付決定から入金までの期間は公式スケジュールに書かれていません。 補助金は事業を終えて実績を報告した後に支払われる仕組みなので、いったん全額を立て替える前提で資金繰りを考えてください。制度は変わることがあるので、申請前に必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

Q5. 患者情報や個人情報が入ったExcelも、システム化できますか。

できます。個人情報が入ったExcelは、ファイルのコピーがメールの添付や個人のパソコンに残りやすいため、むしろ早めに見直したい表です。システム化するときは、①誰がどの項目を見られるか、②データをどこに保存するか(自社で契約しているクラウドか、開発会社の環境か)、③誰がいつ何をしたかの記録をどこまで残すか、の3点を必ず要件に入れてください。業界ごとのガイドラインなどで求められる要件は、社内の担当部署と一緒に確認する必要があります。当社は医療情報を扱うシステムの開発経験があり、お客様が契約しているクラウド環境の中でシステムを作ることにも対応しています。

Q6. システム化しても、今度は開発会社に頼りきりになるだけではありませんか。

契約の内容で防げます。Excelの「作った人しか直せない」問題と同じことが起きないように、契約前に次の3点を確認してください。①プログラム本体(ソースコード)と、設計書・運用の手順書が納品物に含まれるか、②サーバーや外部サービスのアカウントを自社の名義にできるか、③保守契約の対応範囲と月額はいくらか(目安は年に開発費の10〜20%)。当社は、契約内容に沿ってソースコードと成果物をお引き渡ししています。既製サービスに移す場合は、解約するときにデータを一括で取り出せるかを確認しておくと安心です。保守費の考え方は保守運用費の相場、依頼先の選び方は開発会社の選び方で解説しています。

Q7. Googleスプレッドシートに乗り換えるのは、システム化になりますか。

表計算ソフトどうしの乗り換えなので、7つの質問で見た壁はほとんど越えられません。ファイル(シート)ごとにデータを持つという仕組みは変わらないためです。乗り換えたい理由が「複数人で同時に編集したい」だけなら、今のExcelでもMicrosoft 365とクラウドの保存場所を使えば解決します。②(会社の元データ)や⑦(見せる範囲と承認の記録)に当てはまるなら、表計算ソフトを替えるのではなく、データの持ち方を変える必要があります。すでにGoogle Workspaceを使っているなら、AppSheet(Coreプランは多くの有料プランに含まれます)で、スプレッドシートのデータに入力画面を付け足す方法もあります。

Excel業務のシステム化でお悩みの方へ

2026年のExcelは、共同編集も変更の確認もできます。そのため「複数人で使う」だけでは、システム化の理由になりません。境界になるのは、会社として正しいデータを1か所に決めること、見せる範囲と承認の記録、ほかのシステムとの自動連携、データ量、そして作った人がいなくても直せることです。

  • 別のシステムからExcelへの書き写しが、毎日発生している
  • 作った人しか直せないマクロで、月末の集計や請求が回っている
  • 既製サービスで足りるのか、作るべきなのか判断がつかない

このいずれかに当てはまるなら、初回のご相談は無料です。当社の価格は、小規模な既存システムの改修が30万円〜、PoCが300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)です。医療機関・調剤薬局・インフラ企業での実績があり、要件が固まっていない段階からご相談いただけます。

ご相談の際に、①対象のExcel業務、②その業務に月何時間かかっているか、③書き写し元と書き写し先のシステム名、④想定している予算、の4点をお聞かせください。残す・整える・移す・作るのどれが合うか、おおよその費用とあわせてお伝えします。Excelの使い方を変えるだけで済む場合や、既製サービスで足りる場合は、その旨を正直に申し上げます。

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