ビジネス活用2026年9月更新

システムの改修とリプレイスを比較|どちらが安いか、費用・期間と5年総額の判断基準【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/20
システムの改修とリプレイスを比較|どちらが安いか、費用・期間と5年総額の判断基準【2026年9月最新】

この記事のポイント

システムの改修とリプレイスはどちらが安いかを5年総額と損益分岐年数で比較。改修30万〜1,500万円、リプレイス500万円〜1億円超の内訳、2択ではない6つの選択肢、設計書がない場合の進め方を発注側の視点で解説します。

システムの改修とリプレイスは、目先の見積では必ず改修が安く見えますが、5年の総額で比べると、年間の保守費が構築費の20%を超え、そのうえ毎年のように改修費が発生している場合はリプレイスの方が安くなります。逆に、改修がほとんど発生していないシステムは、入れ替えても費用は下がりません。

当社に依頼いただく場合の費用は、小規模改修が30万円〜、判断材料を作るための調査や試作を含むPoC(試験導入)が300万円〜、本開発は個別見積です(すべて税別、初回相談は無料)。一般的な相場は、改修が30万〜1,500万円、リプレイスが500万円〜1億円超とされています(後述、開発会社各社の公開値)。

この記事では、「どちらが安いか」に数字で答えることを目的に、費用と期間の比較表、5年総額のシミュレーションと損益分岐年数の計算式、改修で足りるケースとリプレイスが必要なケースの境目、そして2択ではない6つの選択肢を順に解説します。最後に、いま手元にある改修見積が妥当かどうかを確かめる方法も書きました。

なお、判断の対象が基幹システム(販売管理・会計・生産管理など会社の中心となるシステム)で、保守の終了期限が迫っている場合は、基幹システムの刷新判断の方が近い内容です。この記事は基幹システムに限らず、業務システム全般の「費用でどちらが得か」に絞っています。

システムの改修とリプレイスは何が違うのか|費用構造の違い

既存システムの制御盤と新しいサーバーラックを並べ、改修と入れ替えという2つの選択肢を表したイメージ

言葉の使い分けから整理します。現場では「更改」「刷新」「再構築」「マイグレーション」など複数の呼び方が混ざりますが、発注側が判断するうえで意味があるのは次の違いだけです。

システム改修

システムリプレイス

やること

今のシステムを残したまま、一部を直す・足す

今のシステムをやめて、別のものに入れ替える

初期費用

小さい(数十万円〜)

大きい(数百万円〜)

毎年の費用

今の保守契約が続く。直すたびに積み上がる

入れ替え後は下がることが多いが、ゼロにはならない

設計の自由度

今の設計の範囲内でしかできない

業務のやり方から変えられる

データ移行

原則不要

必要。ここで事故が起きやすい

現場の負担

小さい(操作はほぼ変わらない)

大きい(教育・マニュアル・並行稼働が発生)

期間

数週間〜9か月

3か月〜2年

費用構造で決定的に違うのは「初期費用の大小」ではなく、「毎年いくら出ていくか」が変わるかどうかです。改修は今の保守契約をそのまま引き継ぐので、毎年の固定費は変わりません。変わらないまま、改修費だけが毎年上乗せされていきます。リプレイスは初期に大きく払う代わりに、毎年の固定費を下げられる可能性があります。この「毎年いくら」の差が、後述する損益分岐年数を決めます。

入れ替えにも段階がある

「リプレイス」と一口に言っても、どこまで手を入れるかで費用が数倍変わります。開発の現場では次の4つに分けて考えます(VALTES、SHIFT、FPTジャパンなどの解説で定義の大枠は一致しています)。カタカナの用語を覚える必要はありませんが、見積書に出てきたときに何を指しているかは知っておいてください。

入れ替えの度合い

中身

費用・期間の傾向

置き場所だけ移す(リホスト)

プログラムには手を入れず、動かすサーバーだけを新しい環境やクラウドへ移す

最も安く、最も短い

土台を入れ替える(リプラットフォーム)

OSやデータベースなど、土台の製品を新しいものに入れ替える

中間

書き換える(リライト)

業務のやり方はそのままで、古いプログラム言語を新しい言語に書き換える

中間

作り直す(リビルド)

業務の決め方から見直して、ゼロから作り直す

置き場所を移すだけの数倍の規模になることもある

見積を取るときに「リプレイスでお願いします」とだけ伝えると、会社によってこの4つのどれを想定するかが変わり、金額が桁違いにばらつきます。「動かす場所だけ移したいのか、業務のやり方も変えたいのか」を先に決めてから見積を依頼してください。

システム改修とリプレイスの費用・期間の比較表

電卓と見積用の表、カレンダーを並べ、改修とリプレイスの費用と期間を見積もる場面を表したイメージ

各社が公開している相場をまとめました。同じ「改修」でも対象システムの規模が違えば金額が10倍変わるため、必ず規模とセットで見てください。数字はいずれも開発会社・比較メディアの公開値であり、公的統計ではありません。

改修側の費用と期間

区分

費用の目安

期間

公開元

システム改修の全体相場

30万〜160万円程度

システム幹事

部分改修

数十万〜300万円

1〜3か月

SucSak

中規模システムの部分改修

200万〜1,000万円

1〜3か月

Y's

中規模改修

300万〜1,500万円

3〜9か月

SucSak

「30万〜160万円」と「200万〜1,000万円」は矛盾しているように見えますが、前者は画面追加や帳票追加といった単発の作業、後者は中規模システムの機能単位の改修を指しており、対象が違うだけです。自社がどちらに当たるかは、直したい箇所が1〜2か所なのか、業務の流れごと変えたいのかで判断してください。単発作業の内訳と、30万円に収まる範囲・収まらない範囲はシステムの小規模改修の費用で細かく解説しています。

リプレイス側の費用と期間

区分

費用の目安

期間

公開元

市販製品(パッケージ)の導入

初期 数十万〜200万円+月額5〜30万円

小規模3〜6か月

みんなシステムズ

市販製品+必要な改修

100万〜500万円

中規模6〜12か月

みんなシステムズ

スクラッチ開発(ゼロから)

200万〜1,000万円以上

大規模1年以上

みんなシステムズ

全面リプレイス

数千万円以上

6か月以上(基幹は複数年)

Y's

全面刷新

500万円〜1億円超

1〜2年

SucSak

基幹システムでは数百万円から数億円まで実例の幅があります(パソナ、SucSak)。市販製品に業務を合わせるか、業務に合わせて作るかで総額が2倍以上になることがあるという指摘もあります(SucSak)。この分かれ道の考え方はSaaSとカスタム開発の判断にまとめています。

見積の中身がどう積み上がっているか

金額の妥当性を判断するには、内訳の比率を知っておくと役立ちます。

  • 工程別の比率:要件定義15〜20% / 設計・開発50〜60% / テスト15〜20%(みんなシステムズ)
  • 初期費用の6要素:ソフトウェアのライセンス、サーバーなどの環境、導入支援・要件定義、自社向けの作り込み、データ移行、教育とマニュアル整備(SucSak)
  • 年間の保守費は、構築費またはライセンス費の15〜20%が目安(SucSak ほか複数の解説で一致)

人件費の単価も公開されています(システム幹事)。見積の総額を人月単価で割ると、何人が何か月かかる想定かが逆算できます。

役割

1か月あたりの単価

システムエンジニア(上級)

120万〜160万円

システムエンジニア(中級)

100万〜120万円

システムエンジニア(初級)

80万〜100万円

プログラマー(大手所属)

60万〜100万円

プログラマー(中小・下請け)

40万〜60万円

たとえば600万円の改修見積なら、中級エンジニア1人で約5〜6か月、あるいは2人で3か月程度が想定されている計算になります。提示された期間と人数が、この計算と合っているかを確認してください。 合っていない場合は、どこかに見えていない作業が含まれているか、逆に見積漏れがあります。保守費側の妥当性はシステム保守運用費の相場で、金額の比べ方まで解説しています。

5年でいくらかかるか|総額シミュレーションと損益分岐年数

年々高くなる硬貨の山と上昇する光の線で、5年間の総額と損益分岐点を表したイメージ

ここがこの記事の中心です。改修とリプレイスは、初期見積ではなく5年の総額で比べてください。 計算式は次の1本だけです。

損益分岐年数 = リプレイスの初期費用 ÷(いまのシステムの年間維持費 − 新しいシステムの年間維持費)

「年間維持費」は、年間の保守費 + 1年に発生している改修費の平均です。この年数が5年以内に収まれば、リプレイスは費用面で正当化できます。5年を超えるなら、費用を理由にした入れ替えは成立しません。以下、3つのケースで実際に計算します(前提は仮の数字です。自社の数字を当てはめて使ってください)。

ケース1:毎年の改修が積み上がっている中規模の業務システム

当初の構築費が1,000万円規模、利用者30名程度。法改正や業務変更で毎年1〜2回の改修が発生しているとします。

いまのまま改修を続ける

市販製品+改修でリプレイス

初期費用

0円

500万円

年間の保守費

180万円(構築費の18%)

100万円

年間の改修費

150万円

50万円

年間維持費の合計

330万円

150万円

5年総額

1,650万円

1,250万円

損益分岐年数は 500万円 ÷(330万円 − 150万円)= 約2.8年。3年目の途中で逆転し、5年では400万円リプレイスの方が安くなります。つまりこのケースでは、改修を続ける判断が5年で400万円高くつくということです。

ケース2:改修がほとんど発生していない小規模システム

同じシステムでも、年に1回あるかどうかの軽微な修正しか発生していない場合です。

いまのまま

リプレイス

初期費用

0円

500万円

年間の保守費

60万円

100万円

年間の改修費

30万円

50万円

年間維持費の合計

90万円

150万円

5年総額

450万円

1,250万円

分母が 90万円 − 150万円 = マイナス60万円。つまり入れ替えた後の方が毎年の費用が高く、何年経っても初期費用は回収できません。5年総額では800万円の差で、いまのまま使い続ける方が安くなります。「古いから入れ替える」という理由だけで動くと、このパターンに入ります。

ケース3:基幹システムを全面リプレイスする

いまのまま

全面リプレイス

初期費用

0円

3,000万円

年間の保守費

400万円

300万円

年間の改修費

300万円

150万円

年間維持費の合計

700万円

450万円

5年総額

3,500万円

5,250万円

損益分岐年数は 3,000万円 ÷(700万円 − 450万円)= 12年。5年では1,750万円リプレイスの方が高くなります。

ここから導ける結論は1つです。全面リプレイスは、費用が安くなることを理由には正当化できないことがほとんどです。 全面リプレイスが正当化されるのは、「このままではできないことがある」場合だけです。具体的には、保守が終了して障害時に直せない、法改正に期日内に対応できない、取引先が要求する仕組みに接続できない、事業のやり方そのものを変えたい、といった理由です。社内の稟議では、費用対効果ではなくリスクと事業要件で説明した方が通ります。

この試算に入っていない費用に注意

上の3ケースは、外部に支払う金額だけの比較です。実際にはこれらが上乗せされます。

  • 社内の担当者の時間:要件定義や受け入れテストへの参加。リプレイスでは数か月にわたって発生します
  • 並行稼働の費用:旧システムと新システムを一定期間同時に動かすと、その間は保守費が二重になります
  • 教育とマニュアル整備:操作が変わるため、現場が慣れるまでは一時的に生産性が落ちます
  • データ移行と、移行前のデータ整理:現場では、プログラムよりもこちらに時間がかかることの方が多いです

これらは見積書に載らないまま進行して後から追加請求になりやすい項目です。何が追加費用になりやすいかはシステム開発の追加費用にまとめています。

「来年度まで待つ」の費用も計算に入れる

日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の『企業IT動向調査2026』(2025年9〜10月に調査、957社回答)では、2025年度にIT予算が増加した企業は52.6%でした。増加理由の1位は「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」で66.3%、2位は「円安・人件費高騰・ベンダー提供価格の値上げ等の影響」で46.6%です。

2位の数字が意味するのは、先送りしても単価は下がらないということです。ケース1の条件なら、1年待つあいだに年間維持費330万円がそのまま出ていき、その間に見積額自体も上がる可能性があります。「待つ」は無料の選択肢ではありません。

改修で足りるケース・リプレイスが必要なケース

費用の計算とは別に、そもそも改修では解決できない種類の問題があります。ここを取り違えると、改修を重ねた末に結局入れ替えることになり、二重に払うことになります。

改修で足りる

リプレイスが必要

直したい箇所が1〜2か所に特定できている

困りごとがシステム全体に散らばっている

今の画面・データの構造のままで実現できる

データの持ち方そのものを変えないと実現できない(例:夜間の一括処理をその場で反映する形に変えたい)

今のシステムを作った会社、または引き継げる会社がいる

中身が分かる人が社内にも保守会社にもいなくなった

OS・データベースの保守期限まで3年以上ある

保守期限が切れている、または2〜3年以内に切れる

法改正への対応が、期日内に間に合っている

毎回の法改正対応が期日ぎりぎり、または間に合っていない

年間の改修費が、年間の保守費より小さい

年間の改修費が年間の保守費を超え、毎年増えている

利用者数・データ量が今後も大きくは変わらない

拠点や利用者が増え、今の構成では処理が追いつかない

外部のサービスとつなぐ必要がない

クラウドサービスやAIとデータを連携させたいが、データを外に出す口がない

最後の行はここ数年で急増しています。データを外に出せないことが理由で改修が成立しない場合、システム本体を入れ替える前に試せる方法があります。詳しくはAPI連携できないシステムからデータを取り出す方法をご覧ください。

なお、右側に1つでも当てはまれば即リプレイス、ではありません。 右側に当てはまった項目が「システムのどの部分か」を特定できれば、その部分だけを置き換える選択肢が残ります。それが次に説明する6つの選択肢です。

改修かリプレイスかの前に|選択肢は6つある

改修とリプレイスを比較する解説の多くは2択で書かれていますが、実務では次の6つが選べます。 2択で考えると、30万円で済む話に500万円を払うか、逆に500万円かけるべき問題を30万円の改修で先送りするかのどちらかになりがちです。

#

選択肢

中身

費用の目安

期間

1

そのまま使う

保守だけ継続し、何も作らない

年間の保守費のみ(構築費の15〜20%)

2

外側からAIや自動化で補う

本体には手を入れず、出力されたデータを加工・連携して手作業をなくす

30万円〜(当社の小規模改修)

1か月〜

3

設計書だけ起こす(現状分析)

中身を解析して仕様書を復元し、判断材料を作る

数十万円〜。分析だけで約2か月かかるという業界値もある(ITキャピタル)

1〜2か月

4

一部だけ置き換える(段階移行)

困っている機能だけを切り出して作り直し、残りは今のまま

部分改修 数十万〜300万円/中規模 300万〜1,500万円(SucSak)

1〜9か月

5

市販製品・クラウドサービスに載せ替える

業務を市販製品に寄せ、足りない部分だけ作り込む

初期 数十万〜200万円+月額5〜30万円/改修込みで100万〜500万円(みんなシステムズ)

3〜12か月

6

作り直す(全面リプレイス)

業務の決め方から見直してゼロから

500万円〜1億円超(SucSak)

1〜2年

費用が高い順に並んでいるが、効果の順ではない

6つを上から順に検討するのが合理的です。理由は、下に行くほど費用と期間が増えるのに、現場の困りごとが解決するとは限らないからです。月末の転記作業がつらいという課題に対して6を選んでも、1〜2年後まで何も変わりません。2なら1か月で消えます。

「現行踏襲でお願いします」と書かないこと

どの選択肢を選ぶ場合でも、依頼時に「今と同じように作ってください」とだけ伝えるのは避けてください。 今の仕様を正確に説明できる資料がない状態でこの言葉を使うと、進行中に「この処理は何のためにあるのか」が次々と判明し、そのたびに追加費用と遅延が発生します。稼働後のトラブルの原因としても、複数の開発会社が共通して指摘している点です。発注側で最低限決めておくべき項目は要件定義の進め方に整理しています。

設計書がない・分かる人がいない場合にどうするか

古いバインダーと書類が残る無人のオフィス。設計書や担当者が失われた状態を表したイメージ

実際に相談をいただく案件で最も多い初期条件が、「設計書が残っていない」「作った人がもういない」です。この状態では、改修の見積もリプレイスの見積も精度が出ません。どの会社に聞いても「調査しないと分かりません」と返ってくるのはこのためです。

2026年時点では、ここに新しい選択肢があります。生成AIにプログラムを読ませて、人が読める仕様書に復元するサービスです(いわゆるAIリバースエンジニアリング)。国内でも富士通、東芝デジタルエンジニアリング、システムズ、ROUTE06などが提供しており、COBOL、VB6.0、Java、C#など古い言語にも対応しています。各社の公表値では、富士通が設計書の生成で約50%の効率化、東芝デジタルエンジニアリングがAIと技術者を組み合わせた方式で手作業のみと比べてコスト・期間とも約50%削減と報告しています(TechTargetジャパン 2026年1月27日の記事による)。

ただし、そのまま鵜呑みにはできない

上の数値は各社の自社公表値であり、当社の実績値ではありません。また、この方法には次の限界があります。正直に書きます。

  • AIが条件分岐を読み違えることがあります。復元された仕様書をそのまま信じて設計すると、後の工程で欠陥として表面化します。必ず技術者がレビューする工程を挟んでください
  • プログラムを外部に送ることになるため、情報の取り扱い条件を契約で確認してください。個人情報や取引先情報を扱うシステムでは特に重要です
  • 生成されたプログラムに、利用条件の厳しい無償公開プログラム(オープンソース)が混ざる可能性があります。自社の製品やサービスに組み込めなくなることがあるため、納品物の権利関係を確認してください

つまり、AIで設計書を起こすのは「安く早く済ませる魔法」ではなく、判断材料を作る時間を短縮する道具だと考えてください。当社では、この現状分析だけを切り出したご依頼も受けています。費用と進め方は受託開発のサービスページからご相談ください。要件が固まっていない段階でも構いません。

いまの改修見積が妥当か確かめる方法

「改修の見積が高いので、いっそリプレイスした方が安いのでは」というご相談をよくいただきます。この判断は、相見積もりを取ると覆ることがあります。

改修費が高止まりする原因の1つに、いわゆるベンダーロックインがあります。設計書が整備されていない、独自の作り方をしているといった理由で他社が引き継げず、保守費・改修費が適正かどうかを比べる相手がいない状態です。社内にも中身を理解している人がいなくなると、今の会社に頼み続けるしかなくなります。この状態では、提示された金額が高いのか妥当なのか、そもそも判断できません。

相見積もりで揃えるべき7項目

複数社に声をかけるときは、次を全社に同じ条件で伝えてください。ここが揃っていないと、金額を並べても比較になりません。

  1. 対象業務の範囲(どの業務の、どこからどこまでか)
  2. 拠点数・利用者数・年間のデータ量
  3. 自社向けの作り込みをどこまで許容するか(業務を製品側に合わせる意思があるか)
  4. データ移行の範囲(何年分を、どこまで整理して移すか)
  5. 要件定義を誰が主導するか(発注側か、開発会社か)
  6. 保守の内容と、5年分の総額(月額いくらで、何時間分の作業が含まれるか)
  7. 契約の形態と、追加費用が発生する条件

特に6番を抜くと、初期費用の安い提案が総額では最も高くなります。声をかける文書の書き方はシステム開発の相見積もり・RFPの作り方にひな形を用意しています。

今の会社を切り替えなくてもよい

相見積もりの目的は乗り換えではなく、金額の妥当性を確認することです。結果として今の会社が最も安いなら、それを社内に説明する根拠になります。実際、「他社にも見てもらった」と伝えた時点で見積が見直されるケースもあります。当社への相見積もりも、比較の1社としてお使いいただいて構いません。

費用の目安|当社に依頼する場合

ここまでは一般的な相場です。当社に依頼いただく場合の費用を書きます(すべて税別)。

依頼の種類

費用

期間の目安

内容

小規模改修

30万円〜

1か月〜

機能追加、データの出力・取込、システム間の連携、手作業の自動化。本体を作り直さずに困りごとを解消する範囲

PoC(試験導入・判断材料づくり)

300万円〜

2〜3か月

現状分析、設計書の復元、試作と効果測定。「改修かリプレイスか」を決めるための材料を作る

本開発

個別見積

要件定義2か月〜

一部の置き換え、システムの作り直し、新規開発

初回相談は無料です。要件が固まっていなくても、保守会社から届いた見積書1枚の段階でも構いません。 現状のシステム構成と困りごとを伺い、前述の6つの選択肢のどれに当たるか、概算でいくらかかるかをお伝えします。ご相談は受託開発のサービスページからお願いします。

当社は市販製品を売っている会社ではないため、「入れ替えないという結論」も選択肢として提示できます。 上のケース2のように入れ替えても費用が下がらないと判断できる場合は、その計算をお見せしたうえで、そのまま使い続けることをお勧めすることもあります。

実際にやった事例|費用判断の観点で見る3つのケース

守秘義務のため社名は出せませんが、当社が担当した案件を、「入れ替えるか、直すか」をどう決めたかという観点で3つ紹介します。

調剤薬局のケース(小規模改修・30万円台)

課題:あるシステムに入力した内容を、別の管理表へ毎日手で書き写していました。ご相談をいただいた時点では「システムを入れ替えるべきか」という問いの形でした。

作ったもの:まず、困りごとがシステムの中にあるのか外にあるのかを確認しました。結果、書き写しというシステムとシステムのあいだで起きている作業だと分かったため、本体には手を入れず、一方のシステムから出力したデータを整えて、もう一方の形式に変換して取り込む仕組みだけを作りました。

何がどう変わったか:書き写しの作業と、書き写し間違いを探して直す時間がなくなりました。費用は小規模改修の範囲(30万円〜)に収まり、部門長の決裁で進められる規模になりました。入れ替えを検討していたら、数百万円の予算と数か月の検討期間が必要でした。困りごとの場所を特定するだけで、判断の対象が1桁変わった例です。

インフラ企業のケース(本開発・約7か月)

課題:複数のシステムにまたがるデータを人が突き合わせて確認しており、月末に負荷が集中していました。社内では「複数のシステムを1つにまとめる」案、つまり全面リプレイスが検討されていました。

作ったもの:1つにまとめる案は、前述のケース3と同じ構造で、5年の総額では費用が下がらない見込みでした。そこで、既存のシステムはそのまま残し、システム間のデータを自動で照合して、食い違いがあるものだけを人に回す仕組みを作りました。期間は、要件定義に2か月、実装に3か月、テストに1か月、移行と現場教育に1か月です。

何がどう変わったか:確認作業の総量が減り、月末に集中していた負荷が平準化されました。既存のシステムを1つも止めずに済んだため、データ移行も現場の再教育も発生していません。 要件定義に2か月かかったのは、それぞれのシステムがどんな形でデータを出せるかを確認する必要があったためで、この確認が期間を最も左右します。

医療機関のケース(PoC・約3か月)

課題:文書や記録は蓄積されているのに、必要な情報を探すのに時間がかかっていました。大きな投資の前に、効果があるかどうかを確かめたいという状況でした。

作ったもの:手元の資料をAIに読ませ、質問に対して根拠となる箇所を示しながら答える仕組みを、限定した範囲で試作しました。開始前に「どの業務で、どの水準まで改善できたら本格導入に進むか」という合格ラインを決めています。期間は、対象の絞り込みと合格ラインの設定に2週間、データの受け取りと整形に3週間、試作と調整に5週間、現場での試用と判定に2週間です。

何がどう変わったか:合格ラインを先に決めていたため、広げるかどうかを最後の2週間で判断できました。 改修かリプレイスかで迷っている場合も同じで、「何がどこまで改善したらどちらを選ぶか」を先に決めてから試せば、試作の結果をそのまま社内の判断材料に使えます。300万円で、数千万円の判断を間違えないようにするという位置づけです。

相談から着手までの流れと期間

当社に相談いただく場合の流れです。

  1. 初回相談(無料・30〜60分):今の困りごと、保守契約の内容、すでに取得している見積があればその内容を伺います。オンラインで構いません
  2. 現状の確認(1〜2週間):システムの構成、データの持ち方、直したい箇所を確認します。小規模改修の範囲に収まりそうな案件は、ここまで無償で対応します
  3. 概算と選択肢の提示:前述の6つの選択肢のうちどれに当たるか、それぞれの費用と期間をお伝えします。入れ替えない方がよいと判断した場合は、その計算をお見せします
  4. 見積・契約:小規模改修は30万円〜。判断材料を作る調査やPoCが必要な場合は300万円〜。本開発は個別見積です
  5. 着手:小規模改修は契約から1か月程度で完了します。本開発は要件定義に2か月〜

現状分析から他社に依頼する場合、分析だけで約2か月かかるという業界の目安があります(ITキャピタル)。保守期限や法改正の期日が決まっている場合は、そこから逆算して、遅くとも期日の1年前には判断を始めてください。 期日が近づくほど選べる選択肢は減り、費用は上がります。

よくある質問

Q1. 改修を頼んでいる会社とは別の会社に、リプレイスを依頼してもいいですか。

問題ありません。ただし着手前に3点を確認してください。1つ目は現行システムのプログラムと設計書の権利が自社にあるか(契約書の著作権の条項を確認)、2つ目は移行期間中も今の保守契約を継続できるか、3つ目はデータを取り出す協力が得られるかです。3つ目でつまずくケースが最も多く、旧システムからデータを出すこと自体に別途費用を請求されることがあります。見積を取る前に、今の会社に「データの一括出力は可能か、有償か」を先に聞いておいてください。

Q2. サポートが切れたOSやデータベースのまま使い続けると、何が起きますか。

すぐに止まるわけではありませんが、実務上は3つの不都合が出ます。1つ目は、不具合が見つかっても修正プログラムが提供されないこと。2つ目は、取引先や監査でセキュリティ要件を問われたときに説明できないこと。3つ目が最も現実的で、新しい機器やソフトとつながらなくなることです。プリンタを買い替えたら印刷できない、といった形で表面化します。サポート切れの期日が2〜3年以内なら、この記事の損益分岐の計算より先に、期日から逆算した計画を立ててください。

Q3. 改修とリプレイスを同時に進めることはできますか。

できます。実際、リプレイスの完了まで1〜2年かかる案件では、その間に法改正対応などの改修が必ず発生します。 ただし2点注意してください。1つは、旧システムへの改修は入れ替え時に捨てることになるため、期日が法令で決まっているものだけに絞ること。もう1つは、旧システムに加えた変更を新システムの要件に反映する担当者を明確に決めておくことです。ここが抜けると、新システムが動き出した瞬間に法改正前の仕様に戻っている、という事故が起きます。

Q4. 稼働中のシステムを止めずに入れ替えられますか。

完全に止めずに切り替える方法はありますが、費用は上がります。一般的なのは、一定期間だけ新旧を同時に動かす並行稼働です。この期間を費用削減のために短縮したことが原因で、切替後にデータ形式の違いや、商品・取引先などの基本データの食い違い、帳票の出力エラーが多発し、旧システムに戻して再移行するまで2か月かかった事例が公開されています(キヤノンITソリューションズ)。並行稼働の期間は、削るのではなく最初から予算に入れておくべき項目です。業務の繁忙期を避けて切替日を設定することも重要です。

Q5. 改修とリプレイスで、社内の担当者にかかる負担はどれくらい違いますか。

外部への支払額以上に差が出ます。改修は、直したい箇所の説明と完成後の確認が中心で、担当者1名が断続的に関わる程度です。リプレイスは、要件定義(見積全体の15〜20%を占める工程)に現場の各部門が参加し、受け入れの確認では実際の業務データを使った検証を部門ごとに行います。数か月にわたって、複数部門から実務担当者の時間が取られると見込んでください。この社内の工数を予算に入れていないと、繁忙期と重なって検討が止まります。リプレイスを決める前に、各部門から誰を出せるかを確認してください。

Q6. 見積が予算を超えました。どこを削れば費用を下げられますか。

削る順番は次のとおりです。まず自社向けの作り込みを減らし、業務を製品の標準機能に合わせられないかを検討します。作り込みは初期費用だけでなく、その後の保守費も押し上げ続けるためです(SucSak)。次にデータ移行の範囲を絞ります(過去何年分を移すか。古いデータは参照用に別途保管する方法もあります)。3番目に対象範囲を分割し、年度をまたいで段階的に進めます。逆に、削ってはいけないのはテストの工程と並行稼働の期間です。ここを削ると、稼働後の手戻りで削った額以上の費用が発生します。

Q7. 社内の稟議では、どちらを選んだかをどう説明すればいいですか。

この記事の損益分岐年数の計算結果を1枚にまとめるのが最も伝わります。「現状の年間維持費○○万円」「入れ替え後の年間維持費○○万円」「初期費用○○万円」「回収まで○年」の4つの数字だけで構いません。あわせて、選ばなかった選択肢をなぜ選ばなかったかを1行ずつ添えてください。 6つの選択肢のうち検討したものを並べておくと、「もっと安い方法はないのか」という質問に先回りできます。なお、5年で回収できない全面リプレイスを費用対効果で説明しようとすると必ず行き詰まります。 その場合は、保守終了の期日、法令対応の期日、事業側の要求といったリスク側の言葉で書いてください。

システムの改修とリプレイスで迷っている方へ

改修とリプレイスの判断で本当に難しいのは、どちらが正しいかではなく、判断するための材料が社内にないことです。設計書がない、中身が分かる人がいない、提示された見積が妥当か比べる相手がいない。この状態のまま金額だけを見比べても、決められません。

当社は、医療機関・調剤薬局・インフラ企業のシステムを担当してきた受託開発の会社です。市販製品を売っていないため、「入れ替えない」という結論も含めて提示できます。

  • 小規模改修:30万円〜(1か月〜/本体を作り直さずに困りごとを解消する範囲)
  • PoC・現状分析:300万円〜(2〜3か月/改修かリプレイスかを決める材料を作る)
  • 本開発:個別見積(要件定義2か月〜)
  • すべて税別・初回相談は無料

保守会社から届いた見積書1枚、「来年度で保守を終了します」という通知1通の段階からご相談いただけます。要件が固まっている必要はありません。

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