システムの小規模改修の費用|30万円でできる範囲と限界、実例【2026年9月最新】

この記事のポイント
システムの小規模改修の費用は、文言や表示の変更で数万〜30万円、項目やCSV出力の追加で10万〜80万円が目安です。30万円でできる範囲と超える6つの条件、保守契約との使い分け、調剤薬局の実例を解説します。
システムの小規模改修にかかる費用は、開発会社が公開している目安で、文言や一覧項目の変更なら数万〜30万円、入力項目・検索条件・CSV出力の追加なら10万〜80万円程度です。一方で、データベースの構造を変える改修は30万〜200万円かかり、他社が作ったシステムを引き継ぐ場合はその費用も30万〜100万円程度上乗せされるので、条件によっては30万円に収まりません。
試算すると、30万円はエンジニア1人が6〜10営業日働く分にあたります。この日数には、プログラムを直す時間だけでなく、影響範囲の調査、テスト、本番環境(実際に業務で使っている環境)への反映も含まれます。この記事では、30万円でどこまでできて、どこから超えるのかを作業別の早見表で示します。そのうえで、小さく見える修正が高くなる理由、30万円を超える6つの条件、保守契約で頼むかスポットで頼むかの判断、当社が担当した調剤薬局のケースを順に説明します。当社の小規模改修は30万円〜(税別)です。
システムの小規模改修の費用|作業別の目安と「30万円に収まるか」早見表
まず、直したい内容がどの金額帯に入るかを確かめてください。下の表は、ripla社が2026年6月に公開している作業別の目安をもとに、30万円に収まるかを3段階で分けたものです。
- 〇:30万円以内に収まりやすい
- △:内容によっては30万円を超える
- ×:30万円を超える前提で考える
作業 | 費用の目安 | 30万円に収まるか |
|---|---|---|
文言修正、表記変更 | 3万〜10万円 | 〇 |
画像差し替え、バナー変更 | 3万〜15万円 | 〇 |
軽微なデザイン調整 | 5万〜30万円 | 〇 |
表示順、一覧項目の変更 | 5万〜30万円 | 〇 |
入力項目の追加 | 10万〜50万円 | △ |
検索条件、絞り込み項目の追加 | 10万〜80万円 | △ |
CSV出力項目の追加、変更 | 10万〜80万円 | △ |
帳票レイアウトの一部修正 | 10万〜100万円 | △ |
管理画面の軽微な改善 | 20万〜100万円 | △ |
軽微な不具合の修正 | 5万〜100万円 | △ |
データベースの変更を伴う改修 | 30万〜200万円 | × |
本番環境への反映、リリース対応 | 5万〜50万円 | 上の作業に加算されることがある |
〇が付いているのは、画面の見た目や表示だけが変わる作業です。△の作業は、同じ「項目を1つ足す」でも10万円で済むこともあれば、80万〜100万円かかることもあります。なぜこれほど差が出るのかは、次の章で分解します。
表の最後の行にも気をつけてください。本番環境への反映は見積とは別料金になっていることがあり、それだけで5万〜50万円かかります。見積を受け取ったら、この項目が入っているかを必ず確かめてください。
「軽微改修」「小規模改修」「部分改修」は何が違うのか
似た言葉がいくつも使われていますが、公的な定義はありません。各社の使い方を並べると、おおよそ次のように分かれます。
呼び方 | 中身(各社の説明) | 費用の目安 |
|---|---|---|
軽微改修 | 画面の表示、文言、帳票レイアウト、簡単な計算ルールを部分的に調整すること。新しい画面の追加、業務の流れを変える機能の追加、外部システムとの新しい連携、データベースの大幅な変更は含まない(ripla社) | 数万〜数十万円 |
小規模改修 | 画面の軽微な修正や、1つの機能だけの不具合修正など(GeNEE社)。同社は、システム改修全体の最小の目安を30万円〜としている | 50万〜200万円 |
部分改修・追加開発 | 画面の追加や、既存機能の拡張。中規模のシステムで1〜3か月程度(Y's社) | 数百万〜1,000万円前後 |
30万円は、ちょうど軽微改修の上限と小規模改修の下限が重なるあたりです。「軽微な修正です」と伝えるか「小規模改修です」と伝えるかで、相手が思い浮かべる作業の範囲がずれることがあります。見積を頼むときは、呼び方ではなくどの画面のどの項目を直したいかで伝えるのが確実です。
「CSVに1列足すだけ」でも小規模改修の費用が高くなる理由

出典: JUAS(日本情報システム・ユーザー協会) 公式サイト
「CSVに1列足してほしいと頼んだら、50万円と言われた」という話はよくあります。発注する側は納得しにくいところですが、見積が不当だとは限りません。
30万円は、エンジニア1人の6〜10営業日分
改修の見積は、基本的に「作業する人の日数 × 単価」で出されます。ここから逆に計算すると、30万円で頼める作業の量が分かります。次の表は当社による試算です。
単価の根拠 | 1人日あたり | 30万円で頼める日数 |
|---|---|---|
ripla社が公開している軽微改修の単価 | 3万〜4万円 | 7.5〜10人日 |
JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の調査の平均単価96万円/人月を、1か月20営業日で割った場合 | 約4.8万円 | 約6人日 |
※「人日」は1人が1日で行う作業量、「人月」は1人が1か月で行う作業量です。
つまり、30万円はエンジニア1人の6〜10日分の作業です。この日数の中で、次の工程をすべて終わらせる必要があります。
- 依頼内容の整理:「ここを直したい」を、どの画面のどの項目をどんな条件で変えるのか、という形に置き換える
- 影響範囲の調査:直す箇所が、ほかのどの機能とつながっているかを確認する
- 修正:プログラムを直す
- テスト:直した箇所が正しく動くか、直していない箇所が壊れていないかを確認する
- 本番環境への反映:実際に使っている環境に変更を入れる
- 反映後の確認
プログラムを書く時間は、このうちの一部にすぎません。調査に数日かかれば、修正とテストに使える日数はほとんど残りません。
見た目の小ささと、裏側の作業量は一致しない
「CSVに1列足す」を例に、影響範囲の調査で何を確認するのかを並べると、次のようになります。
確認すること | 当てはまったときに起きること |
|---|---|
出したい項目が、そもそもデータとして保存されているか | 保存されていなければ、入力画面とデータベースの両方を直すことになる(早見表の×の帯) |
同じ項目を使っている帳票や画面が、ほかにもあるか | そちらも合わせて直すか、そのままにするかを決める必要がある |
そのCSVを誰が出力できるか | 個人情報や金額が入る項目なら、見られる人の範囲(権限)を見直す |
夜間などに自動で動く集計や連携の処理が、そのCSVを使っていないか | 列が1つ増えただけで、CSVを取り込む側のシステムが止まることがある |
直していない機能に影響が出ていないか | 確認する機能が多いほど、テストの日数が増える |
システム改修の費用を解説する記事の多くが、費用が上がる原因として「データベースの変更」と「直していない箇所が壊れていないかの確認(デグレードテスト)」を挙げています。JUASの調査でも、プロジェクト全体の作業量(工数)のうち25%が最終段階のテスト(総合テスト)に使われています。ただし大規模な案件も含めた平均なので、参考程度に見てください。
「1列足すだけ」が50万円になるのは、たいてい上の表の2行目より下のどれかに当てはまったときです。見積の金額に納得できないときは、「どの確認に何日かかると見ていますか」と聞くと、内訳が分かります。
小規模改修の相場が、記事によって30万〜200万円とばらつく理由

「システム改修 費用」で調べると、30万〜160万円と書く記事もあれば、200万円程度、50万〜200万円と書く記事もあり、どれを信じればよいのか迷います。数字がばらつくのには理由があります。
30万円くらいの改修を集めた公的な統計はない
IPA(情報処理推進機構)が公開していた「ソフトウェア開発分析データ集」は2022年版が最後で、事業も終わっています。2026年9月時点で最も新しい業界調査は、JUASが2025年4月に出した「ソフトウェア・メトリクス調査2025」です(隔年調査のため、2026年度は実施されていません)。
ところが、この調査でいちばん小さい区分(10人月未満)でも、外注費の平均は850万円、工数の平均は5人月です。しかも、この区分に入る案件は6件しかありません。30万円や100万円の改修をまとめた統計は、どこにもないということです。
出典 | 公開されている目安 | 更新時期 |
|---|---|---|
GeNEE社(開発会社) | 小規模50万〜200万円/中規模300万〜800万円/大規模1,000万円以上 | 2026年8月 |
システム幹事(比較メディア) | 30万〜160万円 | 本文は2024年10月 |
比較ビズ(比較メディア) | 30万〜160万円 | 2024年2月 |
テックタッチ社(SaaS企業) | 200万円程度 | 2026年1月 |
Y's社(開発会社) | 中規模システムの部分改修で数百万〜1,000万円前後 | 2026年4月 |
こうした「相場」は、どれも各社が自社の受注実績や経験をもとに出した目安です。どれか1つが正しいわけではありません。その会社が「改修」にどこまでの作業を含めているかによって、数字が変わっていると考えるのが正確です。
「改修だから新規開発より安い」とは限らない
JUASの同じ調査では、500人月未満のプロジェクトについて、新しく作る場合と改修する場合とで、工程ごとの比率に大きな差はないと分析しています。改修でも、調査・設計・テストといった、新しく作るときと同じ種類の作業が同じように必要になるということです。
また、50人月未満の小さなプロジェクトは56%が標準的な期間を超えていました(500人月以上では71%が標準より短く終わっています)。小さい案件ほど予定どおりに終わりにくい傾向がある、ということです。30万円くらいの改修そのものを調べた統計ではありませんが、スケジュールに余裕を持たせる理由にはなります。
小規模改修の限界|30万円を超える6つの条件

出典: NTTデータ 公式サイト
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。次の条件のどれかに当てはまるなら、30万円の予算で始めても、その金額では終わらないと考えてください。
条件1:データベースの構造を変える必要がある
データベースは、システムがデータをしまっておく台帳です。この台帳に新しい欄を足したり、欄の意味を変えたりする場合、ripla社の目安では30万〜200万円かかります。台帳を変えると、その台帳を使っているすべての画面・帳票・連携処理を確認し直す必要があるためです。
条件2:直す箇所が、ほかの多くの機能とつながっている
見た目は小さな修正でも、裏でデータベース、外部との連携、権限、帳票、自動処理に影響する場合、各社とも個別見積にしています。前の章の「確認すること」の表で、いくつもの行に当てはまるのがこのケースです。
条件3:設計書がない、または中身が分かる人がいない
費用が最もふくらみやすい条件です。three dots.社の公開情報によると、画面が20〜30ある業務システムで設計書がない場合、改修前の調査(初期診断)だけで1〜2か月、費用は数十万円かかります。見積は「診断に数十万円、改修費は診断のあとに追加で見積」という2段階で出されることがあります。つまり30万円では、改修どころか診断にも足りないことがあります。
現実的な進め方は、システム全体の設計書を作り直すことではありません。よく使う機能から順に仕分けし、画面操作を録画したりテスト用のデータを入れたりして動きを外から記録したうえで、改修する箇所のまわりだけを文書にまとめます。
最近は、生成AIにプログラムを読み込ませて設計書を復元する方法も、実際の案件で使われ始めています。NTTデータは2025年7月、古いプログラムから設計書を自動で復元し、テストの項目やデータの作成にも生成AIを使う方法を紹介しています。ただし同社も、復元した設計書の正確さは詳しい人が確認する前提としており、どれだけ作業が減るかの数値は示していません。調査の日数が縮む可能性はありますが、調査そのものがいらなくなるわけではありません。
条件4:システムを作った会社以外に頼む
作った会社と連絡がつかない、保守契約が終わった、担当者が辞めた、といったケースです。three dots.社の公開情報では、保守を別の会社に引き継ぐときの初期費用は保守費の1〜3か月分、または30万〜100万円程度、期間は中小規模のシステムで2〜4か月です。内訳は、現状調査に2〜4週、契約と体制づくりに2〜4週、新旧の会社が並行して対応する期間が1〜2か月、完全な移管に1〜2週です。
30万円の改修を1件頼むために引き継ぎから始めれば、合計が30万円に収まらないのは当然です。引き継ぐときに確認しておくことは、よくある質問のQ1で説明します。
条件5:新しい外部連携、業務の流れを変える機能、複数画面の追加
別のシステムと新しくデータをやり取りする、承認の手順を変える、新しい画面をいくつも作る、といった作業は、ripla社の定義では軽微改修に入りません。連携先の仕様を調べるところから始まるため、作業日数が読みにくくなります。ここまでの規模になると、改修ではなく追加開発として予算を組んだほうが実態に合います。
条件6:テストの範囲が広い、または古い技術で作られている
直していない箇所が壊れていないかを確認する範囲が広いシステムほど、テストの日数は増えます。また、アレグビット社は、古い技術で作られたシステムほど改修費が高くなりやすいと指摘しています。
この6条件のどれにも当てはまらず、直したい内容が早見表の〇か△に入る。これが、30万円前後で小規模改修が終わりやすい案件の条件です。
保守契約で頼むか、スポットで頼むか、作り直すか

出典: 公正取引委員会 公式サイト
小規模改修の費用は、1回ごとの金額だけで判断すると失敗します。年に何回くらい直すのか、そのシステムをこの先も使い続けるのかによって、合った頼み方が変わるからです。
自社の状況 | 考えられる頼み方 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
直したいのは年に1〜2回で、内容は早見表の〇〜△ | 必要なときにスポットで改修を頼む | 1件ごとに見積(数万〜数十万円) |
毎月のように小さな修正がある | 保守契約に「月◯時間までの改修」を含める | 年間の保守費は初期開発費の5〜20%(秋霜堂社は15〜20%、ripla社は5〜15%を目安としている) |
改修のたびに影響範囲の調査がふくらむ/設計書がなく、古い技術で作られている | 作り直すか、少しずつ新しい仕組みに移す | 新規開発の費用。業務システムなら小規模で50万〜300万円が目安 |
新しい機能の効果がまだ読めない | 小さく試して効果を確かめてから決める(PoC) | 当社の場合は300万円〜(税別) |
保守費の割合に幅があるのは、月額にどこまでを含めるかが契約ごとに違い、業界で決まった基準がないためです。
注意したいのは、小さな改修を何年も重ねるうちに、そのシステムの中身を分かっているのが1社だけになってしまうことです。公正取引委員会は官公庁の情報システム調達についての調査(2022年2月)で、この状態を「特定のシステムベンダーを利用し続けなくてはならない状態」(いわゆるベンダーロックイン)と定義しました。避ける方法の1つとして、発注する側が知識を蓄えることを挙げています。官公庁向けの調査ですが、この考え方は民間企業にも当てはまります。改修を頼むたびに、何をどう直したかの記録を自社で持っておくだけでも、あとで選べる道が増えます。
作り直す場合の費用は業務システム開発の費用相場で、小さな修正を重ねるうちに保守費がふくらむ仕組みはRPAの保守コストが高くなる理由で解説しています。
小規模改修の費用|当社の場合(30万円〜・税別)

出典: AI革命 公式サイト
ここまでは特定の会社に寄らない情報をお伝えしました。当社の価格と対象範囲も、同じ見方で示します。
メニュー | 費用(税別) | 対象になる作業 |
|---|---|---|
小規模な既存システム改修 | 30万円〜 | 画面の追加・修正、簡単な帳票の追加、CSV出力、軽微なシステム連携、既存の処理の修正 |
PoC(小さく試して効果を確かめる) | 300万円〜 | 課題と検証内容の整理、簡易的な要件定義、設計と開発、検証環境、結果のまとめ、本開発の提案 |
本開発 | 個別見積 | 利用者数、機能数、外部連携、データ移行、セキュリティ、運用、止まらない仕組みの要否から見積 |
当社の30万円〜という価格は、この記事の早見表でいうと〇と△の境目にあたります。30万円は最低価格なので、画面の追加や連携など△に入る作業は、内容によってこれを超えます。 30万円で収まるかどうかは、直したい画面と項目を伺ったうえでお答えします。
当社の受託開発では、次のご依頼にも対応しています。
- 既存システムの一部だけの改修
- AIを使わない、通常のシステム開発・改修
- お客様がお使いのクラウド環境での構築
- 契約内容に沿ったソースコード・成果物の引き渡し
- 医療情報を扱うシステム(開発経験あり)
要件が決まっていなくても、初回のご相談は無料です。「どこを直せばいいのか分からない」「他社の見積が妥当か確かめたい」という段階からお話を伺います。対象範囲と進め方は、受託開発サービスの費用と対象範囲に詳しく載せています。
30万円では足りず、効果を確かめてから投資を決めたい場合はAI PoCの費用を、AIの機能を組み込む改修を考えている場合はAI受託開発の費用相場もあわせてご覧ください。
実際にやった事例|調剤薬局のケース
守秘義務があるため社名は出せませんが、当社が担当した小規模改修(30万円〜の価格帯)の案件を、課題、作ったもの、変わったことの順に紹介します。
課題:同じ情報を、複数のシステムに入力し直していました。あるシステムに入力した内容を、別の管理表へ手で書き写す作業が毎日あり、忙しい時期には書き写し漏れも起きていました。
作ったもの:一方のシステムから出力したデータを整え、もう一方のシステムの形式に変換して取り込む仕組みです。今のシステムを作り直すのではなく、手間がかかっている1か所だけに絞りました。
時間がかかったところ:プログラムよりも、過去データの名寄せ(表記の違う同じデータを1つにまとめる作業)に時間がかかりました。同じ取引先がいくつもの書き方で登録されていて、そのままでは自動で取り込めなかったためです。この整理を先に済ませてから、仕組みを動かしました。
変わったこと:書き写す作業がなくなり、書き写しのミスを探して直していた時間もなくなりました。会社全体のシステムを入れ替えるのではなく1か所に絞ったので、部門長の決裁で進められる規模に収まりました。
この事例から分かることは2つあります。1つは、システム本体に大きく手を入れなくても、出力されるデータを加工してつなぐだけで解決する課題があることです。もう1つは、小規模改修で時間がかかるのは、プログラムよりもデータの中身であることが多いことです。見積を頼むときにデータのサンプルを渡すと、この部分の見積が正確になります。
当社には、薬局の業務システムで業務管理の機能と権限設計(誰がどの情報を見て、操作できるかの設計)を担当した実績もあります。画面やCSV出力を追加すると、「誰がそのデータを見られるか」も変わります。患者情報などの個人情報を扱うシステムでは、改修の見積に権限の確認が入っているかを必ず確かめてください。
30万円の改修費は何か月で取り戻せるか
ここからは事例とは別に、仮の条件を置いて計算します。担当者1人が、ある作業に毎月20時間かけているとします。時給3,000円で計算すると月6万円、1年で72万円です。30万円の改修でこの作業がなくなれば、約5か月で改修費を取り戻せます。
反対に、月2時間しかかからない作業なら月6,000円分なので、30万円を取り戻すには50か月(4年以上)かかります。この場合は、改修するよりも作業のやり方を工夫するほうが合理的です。発注する前に、その作業に毎月何時間かかっているかを実際に測ってください。 測り方は自動化の効果測定で解説しています。
小規模改修の見積を早く・安くするために揃えるもの
影響範囲の調査にかかる日数は、発注する側が渡す情報によって大きく変わります。調査の日数が減れば、30万円のうち修正とテストに使える日数が増えます。
揃えるもの | 役に立つ理由 |
|---|---|
直したい画面のキャプチャ(今の画面と、直したあとのイメージ) | 「どこを」「どう直すか」の食い違いがなくなる。依頼がうまく伝わらないと、間違った前提で作業が進み、費用がふくらむ |
ふだんの操作を録画した動画(数分でよい) | 設計書がないシステムでも、動き方を外から把握できる |
出力しているCSVや帳票のサンプル(個人情報は隠す) | データの持ち方が分かり、名寄せなどの手間を先に見積もれる |
直したい理由と、その作業に毎月何時間かかっているか | 費用に見合うか、ほかの直し方がないかを一緒に判断できる |
今の開発・保守の契約書 | プログラムなどの成果物が誰のものか、解約を何か月前に伝える必要があるかが分かる |
ソースコード、設計書、データベースの構成資料があるかどうか | 自社にあるのか、作った会社が持っているのかで、調査の進め方が変わる |
サーバーや外部サービスのアカウントが誰の名義か | 改修した内容を反映するには、サーバーや各種アカウントの権限が必要になる |
利用者からの問い合わせや不具合の記録 | どこから直すべきか、優先順位を付けやすくなる |
テストで確認してほしい機能の一覧 | 直していない箇所の確認漏れを防げる |
見積を受け取ったら、「影響範囲の調査」「テスト」「本番環境への反映」「反映後の確認」「改修前のデータのバックアップ」が入っているかを確かめてください。安い見積では、このうちどれかが「別途」になっていることがあります。
見積を頼むときの資料の作り方はシステム開発の相見積もりとRFPで、複数社の見積の比べ方は開発の見積もり比較で詳しく解説しています。
小規模改修の依頼から完了までの流れと期間
段階 | やること | 期間が延びやすいところ |
|---|---|---|
1. 相談 | 直したい内容と、困っている理由を伝える | ― |
2. 課題・要件の整理 | 直したい内容を、画面・項目・条件の形にまとめる | 社内で「何を直したいか」がまとまっていない |
3. 影響範囲の調査・見積 | 直す箇所がどこにつながっているかを確認し、金額を出す | 設計書がないと、初期診断だけで1〜2か月(画面20〜30の業務システムの例) |
4. 修正・テスト | プログラムを直し、直していない箇所も含めて確認する | テストで確認する機能が多い |
5. 本番環境への反映・確認 | 実際に使っている環境に変更を入れ、正しく動くか確かめる | 社内で確認する人の都合がつかない |
(別途)他社からの引き継ぎ | 保守を別の会社に移す場合 | 中小規模で2〜4か月 |
前の試算のとおり、30万円の改修は6〜10人日分の作業ですが、これはカレンダー上の日数ではありません。発注側の確認を待つ時間や、テストの日程を調整する時間があるので、実際の期間はこれより長くなります。当社の受託開発ページでも、期間は決まった日数ではなく、対象範囲の広さと確認の回数によって変わると説明しています。先に紹介したとおり、小さなプロジェクトほど予定の期間を超えやすいという調査結果もあります。「この日までに必ず必要」という期限があるなら、最初の相談で日付を伝えてください。
進め方の詳細は受託開発サービスのページでご確認いただけます。依頼先を選ぶポイントは開発会社の選び方でも解説しています。
よくある質問
Q1. システムを作った会社以外に、小規模改修だけを頼むことはできますか。
頼めます。ただし依頼先を変える前に、次の3点を確認してください。①今の契約書で、プログラムなどの成果物が自社のものになっているか、保守契約を解約するには何か月前に伝える必要があるか。②作った会社から、ソースコード、設計書、データベースの構成、サーバーの権限や各種アカウント、運用手順書を受け取れるか。③作った会社から、引き継ぎへの協力費を請求されないか。保守ごと別の会社に移す場合は、新旧の会社が並行して対応する期間の保守費の二重払い(1〜2か月分)、解約を伝えてから契約が終わるまでの保守費(3〜6か月分)、足りない資料を作る費用も見落としがちです(three dots.社の公開情報)。改修が1回だけで、作った会社との関係が続いているなら、作った会社に頼むほうが合計は安くなる可能性が高いと考えてください。
Q2. 保守費を毎月払っているのに、改修は別料金だと言われました。妥当ですか。
契約書の内容によっては、妥当なこともあります。月々の保守費に何が含まれるかは契約ごとに違い、決まった基準はありません。たとえば、月2.5万円に「月5時間までの軽微な改修」を含め、超えた分は1時間5,000円とする契約の例があります(秋霜堂社の公開情報)。一方、月額に改修を含めない契約もあります。まずは契約書で「保守」の範囲がどう書かれているかを確かめてください。書かれていなければ、具体的な作業を例に挙げて、含まれるかどうかを書面で確認しましょう。毎月のように修正を頼んでいるなら、改修の時間を月額に含める契約に見直せないか相談してみる価値があります。
Q3. 見積が「調査費」と「改修費」の2つに分かれています。なぜですか。
直す箇所がどこまで影響するかは、調べてみないと分からないからです。とくに設計書がないシステムでは、まず調査費(数十万円が目安)で影響範囲を確かめ、その結果から改修費を出す2段階の見積がよく使われます。発注する側にとっても、調査の結果を見てから改修するかどうかを決められるため、いきなり全額を払うより損をしにくい方法です。依頼する前に、調査が終わったら何を受け取れるか(影響する機能の一覧、直す箇所を説明した資料など)を確認しておきましょう。そうすれば、その会社に改修を頼まなかったときにも、調査費がむだになりません。
Q4. 小さな改修は、1件ずつ頼むのとまとめて頼むのでは、どちらが安いですか。
同じ画面や同じデータに関わる改修なら、まとめて頼むほうが安くなりやすいです。影響範囲の調査やテスト、本番環境への反映は、改修の件数ではなく反映する回数ごとに必要になるからです。本番環境への反映だけで5万〜50万円かかることもあるので、3件を別々に反映すれば、その費用が3回分かかります。反対に、関係のない機能の改修までまとめると、1回あたりの影響範囲が広がってテストが重くなります。問題が起きたときに原因を探す手間も増えます。同じ画面・同じデータに関わるものはまとめ、関係のないものは分けるのが基本です。
Q5. 改修のあと、直していない機能が動かなくなりました。費用は誰が負担しますか。
契約の種類によって変わります。請負契約(できあがった成果物に対してお金を払う契約)なら、約束した内容を満たしていなければ、受注した会社が修正するのが原則です。準委任契約(作業に対してお金を払う契約)では、成果物を完成させる約束をしていないので、修正にも費用がかかることがあります。どちらの契約でも、「改修後いつまでに見つかった不具合なら無料で直すか」「どの機能をテストするか」を、発注する前に書面で決めておくのが確実です。テストの対象に入れていなかった機能の不具合は、どちらの責任かがあいまいになりやすいためです。契約の種類の違いは開発の契約形態で詳しく解説しています。
Q6. ソースコードが手元になく、作った会社とも連絡がつきません。改修はできますか。
システム本体を直すのは難しくなります。まず昔の契約書を探し、成果物の権利が自社にあるか、ソースコードを引き渡す約束が契約に入っていたかを確認してください。入っていれば、ソースコードの引き渡しを求める根拠になります。どうしても手に入らない場合、現実的な方法は2つです。1つ目は、システム本体には手を入れず、システムが出力するCSVなどのデータを外側で加工し、ほかのシステムにつなぐ方法です。この記事で紹介した調剤薬局のケースも、この方法で課題を解決しました。2つ目は、そのシステムを使い続けるかどうかを見直し、作り直しや既製サービスへの乗り換えを検討する方法です。ソースコードがないまま本体の改修を続けても、そのたびに調査費がかさむためです。
Q7. 小規模改修の費用に補助金は使えますか。
自社専用のシステムを改修する費用には、基本的に使いにくいと考えてください。代表的な「デジタル化・AI導入補助金」の通常枠は、事務局に登録されたITツール(業務の手順を1つ以上こなせるソフトウェア)を導入する場合が対象です。補助の対象になる費用も、ソフトウェアの購入費やクラウドの利用料が中心です。既存システムの改修やゼロからの開発が対象になるかどうかは、公式ページ(2026年9月時点)に書かれていません。そのため、今のシステムを直す場合と、補助金を使って既製のサービスに乗り換える場合で、どちらが安くなるかを比べる考え方もあります。締切や入金までの期間はデジタル化・AI導入補助金の締切で、保守費などが対象外になるケースは補助金で保守費が対象外になるケースで解説しています。
システムの小規模改修でお悩みの方へ
システムの小規模改修にかかる費用の目安は、表示や文言の変更で数万〜30万円、項目・検索条件・CSV出力の追加で10万〜80万円程度です。30万円はエンジニア1人の6〜10日分の作業で、その中に調査とテストも含まれます。データベースの構造を変える、設計書がない、作った会社以外に頼む、といった条件が重なると、30万円には収まりません。
- 「1列足すだけ」の見積が高く、妥当かどうか判断できない
- 作った会社と連絡がつかず、どこに頼めばいいか分からない
- 今のシステムを直すべきか、作り直すべきか決められない
1つでも当てはまれば、まずは無料の初回相談をご利用ください。当社の価格は、小規模改修が30万円〜、PoCが300万円〜、本開発が個別見積です(すべて税別)。医療機関・薬局・インフラ企業での開発実績があり、要件が決まっていない段階からご相談いただけます。
ご相談の際に、①直したい画面のキャプチャ、②直したい理由とその作業に毎月かかっている時間、③システムを作った会社と今の契約の状況、の3つをお知らせいただくと、話がスムーズに進みます。
関連記事:業務システム開発の費用相場/AI受託開発の費用相場/開発の見積もり比較/内製と外注の判断/開発会社の選び方/開発が失敗する原因
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