ビジネス活用2026年10月更新

AI開発の費用相場【2026年10月】AI受託開発の改修・PoC・本開発の価格と見積の内訳

公開日: 2026/09/09
更新日: 2026/10/19
AI開発の費用相場【2026年10月】AI受託開発の改修・PoC・本開発の価格と見積の内訳

この記事のポイント

AI開発の費用相場を、既存システムの改修・PoC・本開発に分けて解説。当社価格(改修100万円〜・PoC 300万円〜・税別)と他社の公開価格の例(出典つき)、見積の内訳、追加費用を防ぐ質問文、保守費とAIの利用料の分け方まで整理します。

AI開発の費用は、既存システムの改修・PoC(試作検証)・本開発のどれを頼むかで桁が変わります。当社の公開価格は既存システムの改修が100万円〜、PoCが300万円〜、本開発は個別見積です(すべて税別・クラウドや外部APIなどの実費は別)。他社の公式サイトでも、PoCを30万〜200万円、試作の想定例を100万〜300万円、本番開発の想定例を300万〜1,000万円と示す会社があります(2026年10月19日確認。出典は本文の表)。

ただし、AI開発の取引額を集計した公的な統計は確認できず、各社の金額は含む作業も税の扱いもそろっていません。ネット上の「◯万〜◯万円」を予算の根拠にするより、自社の依頼範囲を決めて、同じ範囲で見積を取るほうが確実です。この記事では、依頼範囲を3つに分ける考え方、5つの質問で自社の依頼を見分ける方法、見積の内訳と見積書で揃える8項目・質問文、保守費とAIの利用料の分け方を順に整理します。PoCの300万円は試作検証の開始価格で、本番システムの完成価格ではありません。

AI開発の費用相場は、依頼範囲を3つに分けて考える

情報処理推進機構(IPA)が公開したソフトウェア開発データ白書2018-2019の表紙

出典: 情報処理推進機構(IPA) 公式サイト

「AI開発」とひとまとめに呼ばれる依頼には、性質の違う仕事が混ざっています。費用の幅が極端に広く見えるのはそのためです。まず、自社が頼みたいものが次のどれに近いかを見分けます。

依頼範囲

つくるもの・やること

費用を動かす要因

見積で確認すること

既存システムの改修

今ある業務システムへの画面・帳票・CSV取込・API連携の追加、生成AIの呼び出しを1箇所に組み込むなど

改修する箇所の数、既存のプログラムと仕様書の有無、テストの範囲

既存環境の調査が含まれるか、本番への反映と元に戻す手順

PoC(試作検証)

限られたデータで「本当に業務で使えるか」を確かめる

対象業務の数、検証に使うデータの準備、合格ラインの数

合格ライン、検証結果として何を受け取れるか、本開発の概算が出るか

本開発

本番で使う画面・連携・権限・操作記録・運用の仕組み

つなぐシステムの数、利用者と権限の種類、例外の処理、データ移行、運用体制

対象外の作業、受入テストの担当、保守に含まれる範囲

※PoCとは、本格的に作り始める前に小さく試作して「本当に業務で使えるか」を確かめる工程のことです。

もう1つの分かれ目は、AIに自社のデータを学習させるかどうかです。社内資料を読ませて答えさせる、文書を作成・要約させる、システム間の転記や集計を任せる、といった依頼は、既存のAIサービスを呼び出して組むため、AIそのものを一から作る必要はありません。一方、写真から不良品を見つける、需要を予測する、設備の異常を検知するといった依頼では、学習用データの収集・タグ付け・精度の調整・公開後の再学習が加わり、PoCの段階から工数と期間が膨らみやすくなります。見積書がどちらを前提にしているかは、最初に確認してください。

各社が自社サイトで公開している「◯万〜◯万円」は、その会社のサービスの目安であり、実際の取引額を集計した統計ではありません。調査時点・税込か税別か・どこまでの作業を含むかが書かれていないものも多く、そのまま稟議の根拠にはできません。ソフトウェア開発の統計としては情報処理推進機構(IPA)の「ソフトウェア開発分析データ集」がありますが、2022年版が最後で、事業終了により今後の発行予定はないとされています(2026年10月8日確認)。

それを踏まえたうえで、公式サイトで金額を公開している会社の例を並べます。相場の平均ではなく、各社が自社サービスの目安として書いている金額です。並びは五十音順で、順位ではありません。この記事はAI革命株式会社(当社)が書いており、当社も含めています。

会社

公開されている金額

ページ上の注記

株式会社一創

生成AIアプリの試作・効果検証の想定例 100万〜300万円、既存システムへの組込みなど本番開発の想定例 300万〜1,000万円

実在の案件ではない想定例。範囲や要件で変わる。税の表記なし(出典)

株式会社WEEL

コンサルティング 80万円〜/月(3ヶ月〜)、プロトタイプ開発 120万〜160万円/月(2〜4ヶ月)、ソリューション開発は個別見積

月額表示で、契約期間に応じて金額が変わる。税の表記なし(出典)

AI革命株式会社(当社)

既存システムの改修 100万円〜、PoC 300万円〜、本開発は個別見積

税別。クラウド・外部API・ライセンス等の実費は別(既存システムの改修・PoCの価格と進め方)

株式会社ルートチーム

PoCは30〜200万円を目安に個別見積

データ量・外部連携・権限管理・評価方法で見積もる。本開発の金額は記載なし。税の表記なし(出典)

※各社の情報は2026年10月19日時点の公式サイトの記載です。最新は各社にご確認ください。

表から読めるのは、「PoC・試作は数十万〜数百万円、本番開発はその上」という桁の目安までです。月額で示す会社と総額で示す会社があり、税や実費の扱いも違うため、この金額をそのまま比べることはできません。自社の予算を決めるには、次の章の5つの質問で依頼範囲を絞ってから見積を取ってください。

AIエージェント型で検討している場合は費用の体系が少し異なるため、AIエージェント導入の費用相場も併せてご確認ください。

5つの質問で、自社の依頼がどの範囲かを見分ける

相場表を眺めても「で、うちはどれを頼めばいいのか」は分かりません。費用を動かしている要因は限られているので、次の5問に答えると当たりが付きます。

  1. AIに自社のデータを学習させる必要がありますか。 写真・センサーの値・過去の実績から予測させたいなら「はい」。文章を読ませて答えさせたい、転記や集計をさせたいだけなら「いいえ」。
  2. つなぐ既存システムは何本ですか。 販売管理、会計、CRM、電子カルテ、グループウェアなど、データをやり取りする相手の数です。
  3. 1日あたりの処理件数はどれくらいですか。 数十件/数百件/数千件以上のどれか。
  4. 判断ルールは文書になっていますか。 「この条件ならこう処理する」が担当者の頭の中にしかない状態か、マニュアルに書かれている状態か。
  5. 使うのは社内だけですか、社外の顧客も触りますか。

答えを次の表に当てはめます。

当てはまる状況

まず検討する依頼範囲

Q1が「いいえ」+Q2が0〜1本+Q4が文書化済み

既存システムの改修。既製サービスの設定だけで足りないかも先に確認する

Q1が「いいえ」+Q2が2本以上、またはQ4が文書になっていない

要件を整理したうえで本開発。現場で使えるか読めない場合は、先にPoCで確かめる

Q5で社外の顧客が直接触る

本開発。止まらないための構成、操作の記録、個人情報の扱いが要件に加わる

Q1が「はい」(自社データで学習させる)

PoCでデータの量と精度を確かめてから、本開発に進むかを判断する

Q2の「つなぐシステムの本数」が費用に影響するのは、1本つなぐごとに接続方法の調査・認証・エラー処理・テストが発生するからです。Q5で顧客が直接触る場合に費用が増えるのは、AIの精度そのものが理由ではなく、止まらないための構成、誰が何をしたかの記録、個人情報の取り扱いといった周辺の要件が加わるためです。Q4が「文書になっていない」場合は、要件定義の期間が延び、その分だけ費用が上振れします。

この5問の答えと、対象業務・使っているシステム名が分かっていれば、対象業務と連携条件から依頼範囲を相談することができます。初回相談は無料で、要件が固まっていない段階でも構いません。最初の問い合わせには、顧客の実データやシステムのパスワードは書かないでください。

開発費用の目安を出す

5つの質問に答えると、改修・PoC・本開発のどれに当たるかの目安と、次に決めることを表示します。

質問 1 / 5何をしたいですか

AI開発の見積の内訳|何にいくら払っているのか

AI受託開発の費用内訳を表すオレンジ色の棒グラフ状のブロックと電卓

受託開発の見積は、主に「どの工程に、どんな人が、どれだけの時間をかけるか」で作られます。クラウドやAIの利用料は、工数とは別の実費として見積に載ることがあります。当社でもクラウド・外部API・ライセンス等の実費は開発費とは別にしています。

総額しか書かれていない「一式」見積は、次の工程に分けて中身を確認します。

工程

中身

見積で確認すること

要件定義

対象業務、例外、完成の条件を決める

何が成果物として渡されるか(要件定義書など)

データの整備

表記ゆれ・重複・欠損の修正、形式の変換

受注側の作業か発注側の作業か。何件を想定しているか

AIの組み込み・精度の調整

AIへの指示の設計、学習、評価と調整

評価に使うデータと合格ラインを誰が決めるか

既存システムとの連携

接続方法の調査、認証、エラー時の処理

何本のシステムを前提にした金額か

テスト・受入

動作確認、現場での受入テスト

受入テストを誰が行い、何を満たせば完了か

インフラ・実行環境

サーバー・クラウドの構築、監視

初期費用に含むか、月額の別請求か

見積書を受け取ったら「この総額を工程別に分けると、それぞれ何人月で、単価はいくらですか」と聞いてください。たとえばデータの整備が0円で計上されているなら、その作業は発注側の担当になっている可能性が高い、と読めます。複数社の見積を同じ表で比べる方法はAI開発の見積比較で詳しく扱っています。

PoCの費用を無駄にしないための3つの条件

PoC(試作検証)を表す小さく光るキューブと、その先に並ぶ3つの判定ポイント

PoCの費用は、検証する業務の数、用意するデータ、合格ラインの数で変わります(当社のPoCは300万円〜・税別)。金額以上に気をつけたいのは、PoCが本開発につながらず、そこで終わってしまうことです。精度は出たのに業務の流れに乗せられなかった、現場が関与していなかったので誰も使わなかった、という終わり方があります。PoCの費用の比べ方はAIのPoC費用でも整理しています。

これは技術の問題ではなく、発注の設計の問題です。PoCに入る前に、次の3つを文書で決めてから発注してください。

  1. 合格ラインを数字で決める。 「精度が高いこと」ではなく、「対象100件のうち、人が修正なしで使えるものが85件以上」「1件あたり10秒以内で処理」のように、判定できる形にします。
  2. 合格したら本開発に進む、という条件を先に合意する。 誰が判断するのか、判断はいつ行うのか、本開発の概算はいくらか。ここを決めずにPoCを始めると、良い結果が出ても社内で止まります。
  3. 使うデータの範囲と提供期限を決める。 「どの部署の、いつからいつまでの、どの形式のデータを、いつまでに誰が渡すか」まで書きます。AI開発が止まる原因の1つは、着手後に「思ったよりデータがない」「あるが質が悪い」と発覚することです。

段階を分けて進めるこの考え方は、経済産業省が2018年6月に公表した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」でも推奨されています。同ガイドラインはAI開発を、①実現性の見立て(アセスメント)、②限定したデータでの検証(PoC)、③本番向けの開発、④運用後の追加学習、の4段階に分け、段階ごとに契約を結ぶ方式を示しています。一括で発注せず段階に分けることで、成果物の認識違いや開発が失敗するリスクを、その段階の費用の範囲に限定できるという考え方です。なお同省は2025年2月18日に、生成AIなどのAIサービスを利用・開発する際のAIの利用・開発に関する契約チェックリストも公表しています。

作ったものが現場で使われずに終わる問題については、業務自動化が定着しない原因でも整理しています。

保守・運用費は「人の作業」「実行環境」「AIの利用料」に分けて見る

AIの利用料(従量課金)の料金体系を示すOpenAIのAPI料金ページのイメージ

出典: OpenAI 公式サイト

見積で見落とされやすいのが、公開後にかかり続ける費用です。「月額運用費」とひとまとめにせず、次の3つに分けて確認します。

項目

中身

増える条件

確認する質問

人の作業(保守)

監視、問い合わせ対応、不具合の修正、小さな改修

対応時間の範囲が広い、改修の回数が多い

「月額に含まれる作業と、別見積になる作業はどこで分かれますか」

実行環境

サーバー・クラウドの利用料、バックアップ

利用者数・データ量の増加

「サーバー費用は誰の名義で、誰が支払いますか」

AIの利用料

外部のAIサービスへの従量課金

処理件数・1件あたりの文章量の増加

「月額に利用料は含まれますか。含まれる場合、上限はどこまでですか」

自社データで学習させるタイプは、時間の経過とともにデータの傾向が変わって精度が落ちるため、定期的な再学習が必要です。そのため保守の中身に「再学習」が入るかどうかで、年間の保守費は大きく変わります。複数社を比べるときは、同じ範囲を前提に「年間保守費 ÷ 初期開発費」を各社で計算すると、保守の手厚さの違いが見えます。比率が高い見積があれば、その差が何の作業によるものかを説明してもらってください。

生成AIを使う場合は、AIの利用料に注意が必要です。OpenAIなどのAPIの公式料金ページでは、モデルごとに、AIが処理する文章量(トークン)あたりの単価が示されており、処理件数が増えれば利用料も増えます。見積書に「月額運用費」としか書かれていない場合、それが保守する人の人件費なのか、AIの利用料なのかが区別できません。従量課金のままだと、業務が拡大したときに費用が想定を超えます。

見積書では、「月額にAIの利用料は含まれていますか。含まれている場合、月あたり何件・どれくらいの分量までが上限ですか」と必ず確認してください。上限が明示されている見積かどうかで、翌年の予算の読みやすさが変わります。

保守費の考え方はRPAの保守コストが高くなる理由と共通する部分があります。また、補助金を使う場合、保守・運用費が対象外になる制度がある点にも注意が必要です(補助金で保守費が対象外になるケース)。

見積書に書かれていない費用と、安い見積書の構造

追加請求が発生しやすいのは、ほぼ決まった箇所です。発生しやすいタイミングと、事前に防ぐための質問文を並べます。最後の列はそのまま見積依頼のメールに貼って構いません。

項目

いつ発覚するか

発注前に聞く質問

データの整備(表記ゆれ・重複・欠損の修正)

着手後まもなく

「データの整備は御社の作業範囲ですか、当社の作業ですか。当社の場合、想定工数はどれくらいですか」

学習用データへのタグ付け

自社データで学習させる開発の途中

「タグ付けが必要な件数と、その費用は見積に含まれていますか」

既存システムとの連携

要件定義の後半

「連携するシステムは何本を前提にした金額ですか。1本増えるといくらですか」

インフラ・実行環境

本番移行時

「サーバー費用は初期費用に含まれますか、月額で別請求ですか」

AIの利用料(従量課金)

公開後

「月額に利用枠は含まれますか。上限を超えた場合の単価はいくらですか」

再学習・追加学習

公開からしばらく経ってから

「精度が落ちた場合の再学習は保守に含まれますか」

修正・やり直しの回数

テスト工程

「修正は何回まで含まれますか。超えた場合の単価はいくらですか」

本番移行・現場教育

公開直前

「マニュアル作成と現場向けの説明会は見積に入っていますか」

安すぎる見積書には決まった型があり、たいてい次の4つのいずれかで作業の範囲が削られています。

  1. データ整備を「発注側の作業」として金額から外している
  2. 既存システムとの連携を含めていない
  3. 本番稼働と保守を別費用にしている
  4. 修正・評価の回数に上限を設けている

つまり、安い見積は不当なのではなく、同じものを見積もっていないのです。3社から見積を取るなら、金額を比べる前に、上の表の8項目それぞれが「含む/含まない」のどちらなのかを揃えてください。揃えると、金額の差が単価の差なのか、範囲の差なのかが分かります。

契約の形で見積の載せ方が変わる

同じ開発でも、契約形態によって見積の考え方が変わります。ここは発注側が交渉に使える論点なので、押さえておく価値があります。

  • 準委任契約:決められた時間・体制で作業する契約。成果物の完成義務を負わない代わりに、費用は実際にかかった工数に近くなります。
  • 請負契約:成果物の完成を約束する契約。完成しなければ報酬を請求できないため、受注側は不確実性のリスクを価格に載せます。同じ内容でも、準委任より見積が高くなりやすい理由です。

AI開発では、前半のPoCは準委任で組むのが基本です。AIは「どこまでの精度が出るか」を事前に約束しにくく、経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」も、AI開発は準委任契約になじみやすいと整理しています。本開発で請負を使うかどうかは、PoCで仕様と範囲が固まった部分について判断します。データを見る前に「正解率95%を保証します」という提案を受けたら、その保証のリスクが価格にどう載っているか、達成できなかった場合にどう扱うかを確認してください。

前述の経済産業省のガイドラインでも、学習済みのAIの性能を開発前に保証することの難しさが、契約上の論点として整理されています。精度について約束するなら、あらかじめ合意した評価用のデータに対する結果に限定するのが現実的です。また、2020年4月施行の改正民法では、成果物の完成に対して報酬を払う「成果完成型」の準委任も明文化されており、請負と準委任の間の選択肢として検討できます。

権利の扱いにも注意点があります。学習に使う元のデータや、学習によって出来上がったAIの内部の設定値は、そのままでは著作権や特許権が認められにくく、誰のものかが法律で明確に規定されていない領域です。したがって「権利は全部こちらのもの」という主張で争うより、「自社はこの用途で自由に使える」「受注側は他社の案件に転用しない」という利用条件を契約書に書くほうが実利があります。契約書を確認するときは、「権利の帰属」の条項だけでなく「利用条件」の条項を読んでください。

当社の費用|3つの範囲ごとの価格と含まないもの

ここまでが中立的な見積の見方です。当社の価格は次の通りです(すべて税別)。

依頼範囲

当社の価格

注意点

既存システムの改修

100万円〜

改修箇所の数と、既存環境を確認した結果で変わります

PoC(試作検証)

300万円〜

試作検証の開始価格です。本番システムの完成価格ではありません

本開発

個別見積

要件定義やPoCの結果で範囲を決めてから見積もります

いずれも、クラウド・外部API・ライセンス等の実費は含みません。公開後にAIサービスの利用料やサーバー費用が別にかかる前提で、予算を組んでください。

要件が固まっていない状態で相談できます。 「AIで何かできないか」「この業務を何とかしたいが、AIが合うのかも分からない」という段階で構いません。「対象業務を1つに絞る」「データの所在を確認する」といった、要件定義より前の段階の相談でも構いません。初回相談は無料です。

開発しない選択肢も比べてください。 紙とFAXが起点になっている業務や、毎回その場の例外判断が必要な業務は、AI化の前に電子化やルールの整理が必要です。標準的なSaaSや既製の連携機能で足りる業務なら、受託開発より安く早く済みます(SaaSと独自開発の選び方)。どの会社に相談する場合も、300万円のPoCを組む前に、既製サービスや小規模な改修で足りないかを確認してください。

価格、対応範囲、公開している実績は既存システムの改修・PoCの価格と進め方に記載しています。

公開している受託実績と、費用を左右する要素

守秘の関係で、社名・金額・効果の数値は公開していません。公開している範囲は次の2件です。それぞれ、この記事で挙げた「費用を動かす要因」のどれに当たるかを添えます。

通信事業:数万件の請求情報の取込・集計・確認画面

数万件規模の請求情報を取り込み、集計し、担当者が確認する画面を作りました。この種の開発では、取り込むデータの件数と形式、集計のルール、確認画面で誰が何を見るかが、見積の範囲を決める要素になります。

薬局:複数店舗・数千人分の記録管理と権限、確認工程

複数店舗にまたがる数千人分の記録を管理する仕組みを、権限の設定、記録を確認する工程とあわせて作りました。この種の開発では、利用者と権限の種類、確認の手順をどこまで仕組みに入れるかが、本開発の範囲を決める要素になります。

この2件の金額から、自社の費用を推し量ることはできません。範囲を比べるための材料として使い、自社の費用は対象業務と連携条件を前提に見積もってください。

費用対効果の考え方(仮定に基づく試算):たとえば、ある作業に担当者1名が毎月20時間かけているとします。時給3,000円と仮定すると、20時間×3,000円=月6万円、年間72万円です。この作業を100万円の改修で解消できるなら、100万円÷月6万円で、計算上は1年5ヶ月ほど(約17ヶ月)で回収できます。この試算には、公開後の保守費・AIの利用料・社内の確認作業の時間を含めていません。逆に、月2時間の作業のために300万円のPoCを組むのは合いません。発注を検討する前に、その業務に月何時間かかっているかを実測してください。 この数字がないと、いくらの投資が妥当かを誰も判断できません。効果の測り方は自動化の効果測定で解説しています。

発注前にやると費用が下がる6つの準備

同じ会社に頼んでも、発注側の準備の有無で見積は変わります。準備ができていると要件定義の期間が短くなり、手戻りが減るためです。

  1. 対象業務を1つに絞る。 複数の業務を同時に相談すると、要件定義の費用が跳ね上がります。まず一番時間を食っている業務だけを対象にしてください。
  2. データの所在と形式を棚卸しする。 どのシステムに、どの形式(CSV・Excel・PDF・紙)で、いつからのデータがあるか。データの整備は、見積が最も大きく動く要因の1つです。
  3. つなぐ既存システムの本数を数える。 システム名と、それぞれのデータの出し入れ方法(CSVで出力できるか、外部連携の窓口があるか)まで分かると、より正確な見積が出ます。
  4. 判断ルールを文書化する。 「この条件のときはこう処理する」を書き出します。曖昧なままだと求める精度が決まらず、見積は安全を見込んで大きく上振れします。
  5. PoCの合格ラインを先に決める。 精度、処理時間、対象件数の3点です。
  6. 役割分担を要件定義書に書く。 データ提供は誰が、いつまでに行うか。「データ提供完了:◯月◯日まで」と日付まで入れてください。ここが曖昧だと、納期が延びやすくなります。

このうち多くは、ChatGPTやClaudeなどのAIを使って自社で進められます。業務手順の書き出し、判断ルールの整理、見積依頼文の下書き、架空のサンプルデータでの試作は、AIを使えば外注しなくても進められます。会社に頼む価値が残るのは、実際の既存システムの仕様と権限、例外が起きたときの処理、本番データでの正しさの確認と受入、公開後に変更が入ったときの責任といった、自社の環境に固有の部分です。自社で進めた分だけ、見積の対象を絞り込めます。

そもそも受託開発が必要かどうかも、先に検討する価値があります。既製のサービスやノーコードで足りるなら、そのほうが安く早く済みます(ノーコードとAIエージェントの違い)。費用を抑える手段としては補助金の活用もあり、制度ごとに対象経費や公募時期が決まっています(AI導入に使える補助金)。

相談から公開までの流れ

段階

発注側でやること

初回相談(無料)

困っている業務と、月にかかっている時間、使っているシステム名を伝える

見積・進め方のすり合わせ

社内で対象業務を1つに絞る

要件定義

データの棚卸し、現場ヒアリングへの協力、判断ルールの確認

PoC(必要な場合)

合格ラインの判定、現場での試用

本開発

中間確認、テストへの参加

本番移行・現場教育

現場への周知、運用ルールの決定

運用・保守

使われ方の共有、改善要望の集約

各段階の期間は、依頼範囲・つなぐシステムの数・発注側の準備状況で大きく変わります。見積と一緒に工程表を出してもらい、段階ごとの期間を確認してください(AI開発の期間)。

止まりやすい段階の1つが要件定義です。技術的な難しさより、発注側の社内で「対象業務が絞れない」「データがどこにあるか分からない」ために着手できないことがあります。前章の6つの準備を済ませておけば、この期間を短くしやすくなります。準備が済んでいなくても、要件が固まっていない段階から今の作業と使っているシステムから、依頼の範囲を相談できます。

よくある質問

Q1. 予算が300万円しかありません。この金額で何ができますか。

対象業務を1つに絞れば、できることはあります。すでに電子データがあり、つなぐシステムが1〜2本なら、既存システムの改修や、1業務に絞ったPoCが検討の対象になります。ただし、当社の場合300万円はPoCの開始価格であり、本番システムの完成まで含む金額ではありません。この予算で「全社のAI化」「自社データを使った独自AIの開発」に手を出すと、PoCだけで予算を使い切りやすくなります。300万円を1つの業務に集中させて社内に成功事例を作り、次年度に横展開する進め方をおすすめします。詰まっている箇所が1つなら、既存システムの改修(当社は100万円〜・税別)で足りる場合もあります。

Q2. 相見積もりは何社くらい取るべきですか。渡す資料は何を揃えればいいですか。

3社程度が実務的です。それ以上になると、比較そのものに社内の工数がかかります。社数より、全社に同じ資料を渡すことが重要です。最低限、①対象業務の説明(現在の作業手順)、②つなぐシステムの一覧、③扱うデータの種類・形式・件数、④希望する時期と予算感、⑤本記事の「見積書に書かれていない費用」の8項目について含む/含まないを明記してもらう依頼文、の5点を揃えてください。これを渡さずに取った見積は、各社が違う前提で計算しているため、金額を比べても意味がありません。相見積を取る相手の選び方(会社の種類と、各社に確かめる観点)はAI開発会社の比較と選び方で整理しています。

Q3. 途中で要件が変わった場合、追加費用はどうなりますか。

要件が変わること自体は前提です。問題は変更時の決め方が契約に書かれていないことで、ここが揉める原因になります。契約前に「変更が発生したときの手順(誰が申請し、誰が承認し、いくらで、納期はどう動くか)」を1枚の文書にしておいてください。準委任契約であれば工数の増減として吸収しやすく、請負契約では原則として変更のたびに別見積になります。この違いも、契約形態を選ぶときの判断材料になります。

Q4. 社内にエンジニアがいませんが、発注できますか。誰が窓口になるべきですか。

発注できます。窓口は、技術に詳しい人ではなく、対象業務の現場を分かっている人が適任です。開発中には「この場合はどう処理していますか」という業務の確認が繰り返し発生するためです。窓口が業務の質問に答えられず毎回持ち帰る形になると、その分だけ進みが遅くなります。現場の責任者を主担当、情報システム部門を副担当にする体制をおすすめします。

Q5. 作ってもらったシステムを、後から別の会社に引き継げますか。

契約時の取り決め次第です。引き継ぎを可能にしておきたい場合は、契約前に3点を確認してください。①ソースコードの引き渡しがあるか、②設計書・運用手順書が納品物に含まれるか、③使っている外部サービスのアカウントが自社の名義か受注側の名義か。とくに③は見落とされやすく、受注側の名義のままだと、契約終了と同時にシステムが止まります。納品物の一覧に「ソースコード一式」「設計書」「運用手順書」が明記されているかを、見積の段階で確認してください。

Q6. 外注せず、社内で人を採用して内製したほうが安く済みませんか。

継続的に作り続けるものがあるなら内製が有利になり、単発なら外注のほうが安く済む傾向があります。比べるときは、採用する人の年間の人件費に、採用費、その人が運用まで担えるようになるまでの期間、開発案件がない期間の稼働を加えてください。いまはAIを使えば、社内の担当者が試作や小さな改修を進められる範囲も広がっています。社内で続ける部分と、既存システムの接続・本番での確認・変更の責任など外部に頼む部分を分けて考えると、比較しやすくなります。詳しくはAI開発の内製と外注で整理しています。

Q7. 補助金は使えますか。

AI導入やシステム開発を対象にした補助金制度は複数あります。ただし、①制度ごとに対象となる経費の範囲が違う(保守・運用費が対象外になる制度もある)、②公募の締切があり、交付が決定する前に発注すると対象外になる、③入金は事業が完了した後のため、いったんは全額を自社で立て替える必要がある、の3点に注意が必要です。制度の内容と締切は頻繁に変わるため、最新の情報はAI導入に使える補助金でご確認ください。

AI開発の費用・見積でお悩みの方へ

AI開発の費用は、「既存システムの改修」「PoC」「本開発」のどれを頼むかと、つなぐシステム・データの整備・公開後の運用を誰が担うかで決まります。公開されている相場の金額は前提がそろっていないため、見積は同じ依頼範囲と8項目の「含む/含まない」をそろえてから比べてください。公開後は、人の作業・実行環境・AIの利用料を分けて確認します。

  • 見積書に「AI開発一式」としか書かれておらず、内訳が分からない
  • 複数社から見積を取ったが、金額が大きく違う理由が分からない
  • そもそもAIが適した業務なのか、判断がつかない

このいずれかに当てはまるなら、ご相談ください。初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。相談後に、業務の棚卸し表・効果の見立て・簡易モック(画面のイメージで、動くシステムではありません)と、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモを無料でお送りします。当社の価格は既存システムの改修 100万円〜、PoC 300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別、実費別)です。公開している実績は、通信事業での数万件の請求情報の取込・集計・確認画面と、薬局での複数店舗・数千人分の記録管理・権限・確認工程です。要件が固まっていない段階、「AIで何かできないか」という段階からご相談いただけます。

ご相談の際は、①自動化したい業務の内容、②その業務に月何時間かかっているか、③使っているシステムの名前とデータの出し入れ方法、の3点をお聞かせください。最初の問い合わせには、顧客の実データやシステムのパスワードは書かないでください。

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