ビジネス活用2026年10月更新

自動化候補の洗い出し方|「毎月同じ作業」を見つける4ステップと費用から逆算する合格ライン【2026年10月】

公開日: 2026/09/20
更新日: 2026/10/10
自動化候補の洗い出し方|「毎月同じ作業」を見つける4ステップと費用から逆算する合格ライン【2026年10月】

この記事のポイント

自動化候補の洗い出し方を4ステップで解説。洗い出しシートの11項目、自動化できる業務の境界線、時給3,000円換算で開発費から逆算する合格ラインの式、候補を自力・ツール・開発に仕分ける判断フローと費用の目安までまとめます。

自動化候補の洗い出しの合格ラインは、頼む手段の費用から逆算して決まります。時給3,000円換算・3年で回収する前提なら、必要な削減時間は「費用÷3,000円÷36か月」で、既存システムの改修(100万円の場合)なら月約9時間、PoC(300万円の場合)から始めるなら月約28時間が下限の目安です。(仮定に基づく試算。費用は当社の公開価格の下限で、クラウドや外部APIの実費・保守費は含みません。いずれも税別)

一方、合計が月20時間に届かず、必要なデータも今のシステムから取り出せるなら、外注より先に手順の見直しやノーコードツールで済ませる方が得です。洗い出しの手順そのものは4ステップで、1つの部署だけなら1週間の記録を含めて2週間ほどで終わります。この記事では、その手順と、集まった候補を「自分たちで直す」「ツールやサービスで自動化する」「仕組みとして開発する」の3つに仕分ける基準までをまとめます。

「毎月同じ作業をしている」のに、何がムダか言えないのはなぜか

経営者や部門長が「うちはムダが多い」と感じていても、いざ「では何を自動化しますか」と聞かれると答えられないのは、記憶力の問題ではなく、業務時間の積み上がり方に理由があるからです。

1回10分の作業は、誰も問題だと思わない

1回10分の作業でも、月に40回発生すれば400分、月約7時間です。年に直せば80時間になります。1日15分の作業なら月5時間・年60時間、同じ作業を3人がやっていれば年180時間です。どれも特別な計算ではなく、掛け算をしただけの数字です。

問題は、この7時間や60時間が誰の目にも一度に見えないことです。現場の担当者にとっては「10分で終わる簡単な作業」であり、わざわざ上司に報告する対象になりません。結果として、最も多くの時間を取られている作業ほど候補リストに上がってこないという逆転が起きます。

現場で実際に起きていること

洗い出しの前段階では、たとえば次のような状態が見つかります。

  • 複数の管理画面からCSVを落として、Excelに手で貼り付けている。しかも部署ごとに別の人が別の画面で同じことをしている
  • 手順が担当者の頭の中にしかなく、聞いても本人が言語化できない
  • 月次の集計が「前任者が作ったExcelを、意味は分からないが同じ手順で動かしている」状態になっている
  • 転記ミスの確認のために、さらに確認作業が追加されている

最も抜け落ちるのは管理職の細切れ時間

洗い出しをすると、視線は自然に「現場の作業」に向かいます。しかし実際には、承認・確認・転送・催促といった管理職側の細切れ作業が相当量あり、これがほぼ確実に候補から漏れます。

1件2分の承認でも、日に15件あれば30分、月にすれば10時間です。しかも判断ルールが「金額◯万円以下は承認」のように明確なことが多く、自動化との相性は現場作業より良い場合すらあります。洗い出しの対象には、必ず管理職自身の業務も含めてください。

自動化候補を洗い出す4つのステップ

付箋とスプレッドシートを使って業務を洗い出す作業机のイメージ

ここからは実際の手順です。特別なツールは不要で、スプレッドシート1枚あれば始められます。

ステップ1:範囲を決める(全社から一度にやらない)

最初に決めるのは「どこまでを対象にするか」です。全社一斉の棚卸しは、ほぼ確実に途中で止まります。 現場からは「通常業務に加えて余計な仕事が増えた」と受け取られ、回収率が下がり、集まったシートの粒度もバラバラになります。

最初は1部署、もしくは1つの業務プロセスに絞ってください。目安は10〜15業務です。経理なら「月次決算まわり」、営業事務なら「受注から請求まで」のように、始まりと終わりが言える単位で切るとうまくいきます。

ステップ2:1週間、「2回以上出てきた作業」を書き出す

記憶で書かせると必ず漏れます。1週間だけ、実際にやった作業をその場で書き出すやり方が最も精度が高くなります。

ルールは1つだけで、「その1週間に2回以上出てきたもの」を対象にします。月次・四半期の業務は週内に出てこないため、週の記録が終わったあとに「月に1回やっていること」「四半期に1回やっていること」を別途追記してください。

この段階では判断を入れさせないことが重要です。「これは自動化できないから書かなくていい」と現場に判断させると、後述する「実は自動化できた業務」が最初から消えます。書けるものは全部書くが原則です。

ステップ3:シートに落とす

集まった作業を1行1業務でシートに整理します。項目は次章で詳しく扱いますが、ここで必ず埋めるのは発生頻度・1回あたりの所要時間・使用しているシステムの3つです。この3つが欠けたシートは、あとで金額に換算できず、使いものになりません。

所要時間は本人の自己申告で構いません。ただし「だいたい10分」と言われた作業は、前後の準備や確認を含めると実際は15〜20分かかっていることもあるため、少なめに出てきている前提で見てください。

ステップ4:年間工数に換算する

最後に、全行を同じ単位に揃えます。

年間工数(時間)= 1回あたりの所要時間 × 月間発生回数 × 12 ÷ 60

そして金額に直します。時給3,000円換算(年収換算でおおよそ500万円台の社員を想定した実務上の目安で、公的統計の数値ではありません)で、年間工数×3,000円が、その業務に毎年払っている金額です。

ここまで来て初めて、「1回10分・月40回の作業」が「年間80時間・24万円の作業」として経営の言葉になります。並べ替えると、想定していなかった業務が上位に来ることがあります。これが洗い出しをやる本当の目的です。

なお、この作業にかかる時間の目安は、1部署・10〜15業務なら半日〜1日、全社3〜5部署なら現場の記入待ちを含めて2〜3週間です。公開された統計があるわけではなく、実務上の目安としてお考えください。

洗い出しシートに入れる11の項目

多くの棚卸しシートは「業務名・担当者・時間」程度で止まりますが、それだと自動化できるかどうかの判定には足りません。判定まで一気に進めるための項目を挙げます。

#

項目

記入例

なぜ必要か

1

部署・担当者

営業事務/2名

同じ作業を何人でやっているかが分かる

2

業務名

受注データの基幹システム入力

—

3

業務内容(手順)

メール添付のExcelを開き、20項目を手入力

手順が書けない=属人化の証拠

4

発生頻度

毎日/週2回/月末

—

5

1回あたりの所要時間

12分

—

6

月間発生回数

40回

—

7

年間工数・金額

96時間/28.8万円

優先順位はここで決まる

8

使用システム

Gmail、販売管理システムA

連携できるかの判定材料

9

例外判断の割合(%)

約1割(単価が違う時だけ確認)

○×ではなく割合で記録する

10

入出力がデジタルで完結するか

入力:メール/出力:システム=完結

紙・対面・電話が挟まると難易度が跳ね上がる

11

データの取り出し可否

CSV出力あり/APIなし

自動化で済むか、開発が必要かの決定打

太字の3つが、一般的な棚卸しシートには入っていない項目です。それぞれ理由があります。

9. 例外判断の割合:「判断が必要か?」を○×で聞くと、ほとんどの業務に○が付きます。人間は何かしら判断しているからです。しかし実務で結果に影響するのは「全体の何割で例外が出るか」であり、例外が2割を超えると自動化は成立しにくくなります(実務上の目安で、統計に基づく数字ではありません)。1割なのか5割なのかを、担当者の感覚で構わないので割合で書かせてください。

10. デジタル完結:紙の書類を見ながら入力する、電話で聞いた内容を打ち込む、といった工程が1つでも挟まると、そこで自動化の流れが途切れます。逆に「紙の部分だけ切り離せば、残りは自動化できる」という発見にもつながります。

11. データの取り出し可否:これが最も重要です。既存システムからCSV(表計算ソフトで開ける形のデータファイル)で書き出せる、またはAPI(システム同士がデータを自動でやり取りするための受け渡し口)が用意されているなら自動化サービスの範囲ですが、画面でしか見られない・出力機能がない場合、話は自動化ではなく開発になります。後述の仕分けで使います。

自動化できる業務・できない業務の境界線

画面操作の自動化に使われるRPAツールUiPathのロゴ

出典: UiPath 公式サイト

洗い出した候補は、次の基準で絞り込みます。できないケースを先に外すほうが、結果的に早く進みます。

自動化できる

自動化できない・別の手段が要る

毎日・毎週・毎月など繰り返し発生する

年に1〜2回しか発生しない

入力も出力もパソコン上で完結する

紙の原本確認・対面・電話が前提

判断ルールを言葉にできる(金額◯万円以下は承認、など)

毎回その場で考えて決めている

例外の発生が全体の2割以下

例外が3割以上、または毎回違う

必要なデータを既存システムから取り出せる

画面でしか見られず、出力手段がない

間違えたときに人が気づける/やり直せる

最終決裁そのものを機械に委ねたい

例外率2割が境界になる理由

自動化の仕組みは、例外に当たるたびに「人に戻す」処理を作ります。例外が1割なら、担当者の作業は「全件処理する」から「例外の1割だけ見る」に変わり、体感で9割近くが軽くなります。

ところが例外が3割を超えると、担当者は自動処理の結果が正しいかを毎回確認するようになります。こうなると作業時間はほとんど減らず、むしろ「確認する」という新しい仕事が増えます。自動化が定着しない原因の1つがここにあり、RPA(人がパソコン画面でやっている操作を記録して、機械に同じ手順を繰り返させるツール)を導入したのに使われなくなる例も、ほぼ同じ理由によるものです。詳しくは業務自動化が定着しない理由とRPAが動かなくなる原因で扱っています。

「できない」と判定された業務も捨てない

境界線の外に出た業務にも、使い道があります。

  • 紙が挟まる業務:紙の工程だけを切り出し、残りが自動化できないか見る。受け取りだけ人がやり、入力以降は自動という形が成立することがあります
  • データが取り出せない業務:これは自動化の失格ではなく、開発案件の候補です。別リストとして残してください
  • 例外が多い業務:手順そのものを見直すと例外が減る場合があります。自動化より先にルールを整理すると効果が出ます

削減できる時間と金額の試算:どこまで集まれば外注する価値があるか

ここが、洗い出しで最も判断を間違えやすいところです。「優先順位をつけましょう」だけでは、いくら分集まれば外注すべきなのかという線が引けません。線は、頼む手段の費用から逆算すると引けます。

時給3,000円換算での損益分岐

計算式は次のとおりです。

回収に必要な削減時間(月)= 費用 ÷ 3,000円 ÷ 回収したい月数

当社の受託開発の公開価格(既存システムの改修100万円〜、PoC 300万円〜、本開発は個別見積。いずれも税別)の下限を当てはめると、次のようになります。仮定に基づく試算で、本開発の500万円は計算のために置いた仮の値です。

依頼の形と費用

2年で回収するのに必要な削減時間

3年で回収するのに必要な削減時間

読み方

既存システムの改修(100万円の場合)

月約14時間

月約9時間

CSVの出力口を足す、転記をなくすなど、直す範囲が絞れている場合

PoC(300万円の場合)

月約42時間

月約28時間

効果を確かめる段階の費用。PoCの費用で本番の仕組みが完成するとは限らず、本開発の費用が別にかかる

本開発(仮に500万円とした場合)

月約69時間

月約46時間

本開発は個別見積。範囲によって上下する

計算の中身は、たとえば改修100万円なら「100万円÷3,000円=約333時間」を、24か月で割って月約14時間、36か月で割って月約9時間です。PoC 300万円は約1,000時間で、月約42時間(2年)・月約28時間(3年)になります。

ここで見落とされやすいのが、作ったあとにかかり続ける費用です。 開発した仕組みにも、クラウドの利用料、外部APIの料金、仕様変更への対応費がかかります。仮に月3万円かかるなら、時給3,000円換算で月10時間分を上の数字に足してください。月額型の自動化サービスやAIエージェントの運用サービスを使う場合も同じで、「初期費用+月額×回収月数」を分子にして計算します。月額が続く形は、削減時間が月額分を超えて初めて初期費用の回収が始まる点に注意が必要です。

もう1つ、ここでいう削減時間は「シートに書いた時間」ではなく「仕組みができたあとに実際に消える時間」です。例外の確認が1割残るなら、その分は差し引いて計算してください。時給3,000円も目安なので、残業代や派遣費が実際に出ている業務は実支払額に置き換えると数字が変わります。

1業務単位で計算すると「回収できない」に見えやすい

月10時間の業務が1本見つかったとします。年36万円、3年で108万円です。PoC(300万円)から始める前提だと大きく届かず、改修(100万円)でも運用費を足すと届かないことがあります。

ただ、ここで「割に合わない」と決めるのは早く、問題は数え方にあります。仕組みづくりは、同じ性質の業務を束ねて頼んだときに成立しやすくなります。

束ね方の考え方はこうです。

  • 同じ作業を複数人がやっている:営業事務3名が同じ入力作業をしているなら、10時間ではなく30時間
  • 同じ仕組みで処理できる:「A社のCSVを取り込む」「B社のCSVを取り込む」は別業務に見えて、作る仕組みはほぼ同じ。まとめて1件として数える
  • 前後の工程がつながっている:データ取り込み→突合→レポート作成が別々に書かれていたら、1本の流れとして数える

洗い出しシートを眺めて、使用システムと成果物が似ている行をグループ化します。これだけで、単体では10時間だった候補が数倍になることがあります。効果の測り方そのものは自動化の効果測定とAI導入のROI試算で詳しく扱っています。

洗い出した候補を3つに仕分ける

ノーコード自動化ツールMakeの公式イメージ

出典: Make 公式サイト

合計時間が見えたら、候補を行き先別に分けます。すべてを外注する必要はありません。

仕分けの判断フロー

上から順に見てください。

1. 合計が月20時間未満で、必要なデータも取り出せるか? → はい:自力で対応する。手順の見直し、Excelの関数化、ノーコードツール、生成AIに手伝わせた簡単なマクロで十分なことが多い規模です。

2. 必要なデータを、既存システムから取り出せないか? → 取り出せない:開発を検討する。画面でしか見られない、出力機能がない、部署ごとに別々のExcel台帳で管理している、といった状態は「作業を機械に渡す」話ではなく「仕組みを作り直す」話です。ここを見誤って画面操作の自動化で無理につなぐと、動くには動くが使えなくなりやすい仕組みができあがります。

3. 例外判断が3割以上か? → はい:まず手順を整理する。自動化はそのあとです。

4. データは取り出せて、例外も少なく、まとまった時間がある → 自動化の対象です。やり方は3つあり、次の点で選びます。

  • ノーコードツールやRPAで自社で組む:社内に組める人がいて、止まったときにその人が直せる場合
  • 月額型の自動化サービスやAIエージェントの運用サービスを使う:つなぐ先が標準的なSaaSで、社内で直す人を置けない場合。月額を回収計算に入れる
  • 仕組みとして開発する:つなぐシステムが多い、自社独自のシステムが絡む、例外の扱いや確認画面まで作り込みたい、権限を分けたい場合

生成AIで自社でできる部分と、会社に頼む部分

洗い出しと仕分けの多くは、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使えば社内で進められます。1週間の記録メモを貼って業務単位に整理させる、年間工数と金額に換算させる、似た行をグループにまとめさせる、ノーコードツールの設定手順や小さなスクリプトの下書きを作らせる、といった作業はAIの得意分野です(実顧客データや認証情報を外部のAIに貼る前に、社内のルールを確認してください)。

会社に頼んだ方がよいのは、その会社固有の事情が絡む部分です。

  • 既存システムにデータの出力口がなく、改修が必要
  • 誰がどのデータを見て直せるかという権限の分け方
  • 例外に当たったときの戻し方と、自動処理の結果が正しいかを確かめる検収の方法
  • 仕様が変わったとき・止まったときに誰が直すかという変更の責任

この仕分けで「開発」に振り分けられた候補は、既存システムの改修、CSVやAPIでのシステム連携、分散した台帳の統合といった案件になります。当社の受託開発は既存システムの改修が100万円〜、PoC(試験的に作って効果を確かめる段階)が300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別、クラウドや外部APIの実費は別)。言語やフレームワーク、使っているSaaSの種類を問わず対応できます。初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。

→ 洗い出した作業から、開発の進め方を相談する

候補が1つに絞れたあとの「自動化か開発か」の判断は、業務自動化と受託開発はどちらを選ぶべきかで5つの質問に整理しています。この記事が「候補を見つけて数える」段階を扱うのに対し、そちらは「見つかった候補をどちらに出すか決める」段階です。

実現する手段と費用の目安

アプリ間連携を自動化するZapierの公式イメージ

出典: Zapier 公式サイト

仕分けの結果を、実際の手段と費用に結びつけます。ツールの金額は2026年10月11日に各社の公式料金ページで確認した公開価格(税別)です。

手段

費用

向く候補

手順の見直し・Excelの関数化

0円〜(社内の作業時間)

合計が月20時間未満。まずここから

ノーコードツール(Zapier)

無料枠100タスク/月/Professional 月$19.99(年払い・750タスク)〜、1,500タスクで月$39.00(年払い)/Team 月$69.00(年払い・2,000タスク)〜

アプリ間のデータ受け渡し。担当者が自分で組める

ノーコードツール(Make)

無料枠1,000クレジット/月(有効なシナリオ2本・実行間隔15分以上)/Core 月$9、Pro 月$16、Teams 月$29

分岐のある処理

Power Automate

Premium ¥2,248/ユーザー/月、Process ¥22,488/ボット/月(いずれも年払いの月額換算)

Microsoft 365中心の環境

RPA(デスクトップ型・サーバー型)

製品と構成で大きく異なる。各社の見積で確認

画面操作の自動化。サーバー型は全社展開・大量処理

月額型の自動化サービス・AIエージェントの運用サービス

初期費用+月額。各社の見積で確認

つなぐ先が標準的なSaaSで、社内に直す人を置けない

受託開発(当社の場合)

既存システムの改修100万円〜/PoC 300万円〜/本開発は個別見積(実費は別)

データが取り出せない・仕組み自体がない・連携先が多い

Zapier と Make はドル建てのため、円換算額は為替で変動します。Make の料金ページは年払いで15%以上安くなると案内しており、表の金額は同ページの表示額です。最新の料金は各社の公式ページでご確認ください。

費用を見るときの注意点

ツール料金の比較だけで決めると、ほぼ確実に見誤ります。実際にかかるのはツール料金+作る人の工数+動かし続ける人の工数+止まったときに直す人の工数です。

月$9のツールでも、シナリオを組める人が社内にいなければ外注費がかかり、組んだ本人が異動すれば誰も直せなくなります。逆に、開発を頼んでも、仕様変更のたびに費用がかかる契約なら運用費は膨らみます。どれが安いかは、候補の本数と、作ったあとに誰が直すかで決まります。

ノーコードツールとAIエージェントの違いはノーコードとAIエージェントの違い、費用の内訳はAIエージェント導入の費用で詳しく扱っています。補助金を使う選択肢もあり、その場合はデジタル化・AI導入補助金の締切で最新の日程をご確認ください。

洗い出しが失敗する4つのパターンと、その対処

洗い出しは「やること自体」は難しくありません。失敗するのは決まったパターンです。

1. Excelにまとめて終わり、更新されずに放置される

典型的な失敗です。立派なシートができあがり、報告資料になり、そのまま誰も開かなくなります。

対処は1つだけで、洗い出しが終わったら1業務だけ先に着手して、成果を出すことです。全体計画を作り込むより、月7時間の業務を1本止めて「これがなくなった」と見せるほうが、社内の空気が変わります。精神論ではなく順番の問題です。

2. 現場が「余計な仕事」と受け取って協力しない

洗い出しの目的が「人を減らすため」と伝わると、現場は必ず所要時間を少なく申告します。これでは数字が使えません。

対処は、目的を先に明示することです。「この作業をなくして、本来やってほしい仕事に時間を回したい」と言い切ります。加えて、記録期間を1週間に限定し、いつ終わるかを最初に伝えると回収率が上がります。

3. 粒度がバラバラで比較できない

「月次決算」と書く人と、「銀行明細のダウンロード」と書く人が混在すると、時間の合計が意味をなさなくなります。

対処は、記入例を2〜3行先に埋めて配ることです。ルールを文章で説明するより、埋まったシートを見せるほうが早く揃います。目安は「1つの作業が終わって、次の人に渡るまで」を1行とすることです。

4. 自動化できる業務を、現場が最初から除外している

「これは無理だと思うので書きませんでした」が後から出てくるケースです。実際には、現場が無理だと思っている業務ほど自動化の余地が大きいことがあります。判断は集めたあとに行い、記録の段階では判断させないでください。

洗い出しシートの1列で行き先が変わる例と、当社の公開事例

以下の2つは、説明用の構成例(架空の会社)です。実案件の結果ではありません。

構成例1:束ねたら仕組みにする価値が出た

状況:「なんとなく事務が忙しい」状態で、1週間の記録を取ると、仕入先ごとの発注データと納品データの突合、在庫の集計など、似た性質の作業が複数の行に分かれて出てきた。単体ではどれも月10時間前後。

シートで分かること:どの行も「データの取り出し可否」がCSV出力あり。使用システムと成果物が同じ行をグループ化すると、1本の「取り込み→突合→差異の確認」の流れにまとまる。

行き先:仕入先ごとに形式の違うデータを取り込み、一致したものは確定、差異が出たものだけを確認リストに出す仕組み。担当者の作業は「全件を照合する」から「差異を確認する」に変わる。つなぐ先が少なければノーコードツールでも組め、取り込み先が多い・確認画面が要るなら開発の候補になる。

構成例2:洗い出しで「開発案件」だと分かった

状況:部門ごとに別々のExcel台帳で記録を管理しており、集計のたびに転記が発生している。当初は「転記作業を自動化したい」という相談。

シートで分かること:「データの取り出し可否」の列を埋める段階で、台帳が部署ごとに分かれていて同時に開けず、更新履歴も残らないことが分かる。転記を自動化しても、台帳が分かれている構造そのものは残ります。

行き先:分散した台帳を1つにまとめ、権限と更新履歴を持つ形に作り替える開発。転記の工程そのものがなくなる。

この2つの差は、洗い出しシートの列の差です。 「業務名と時間」だけを集めていたら、どちらも同じ「転記作業の自動化」に見えます。データが取り出せるかどうかを1列足しておくだけで、行き先が変わります。分散したExcelの扱いはExcel業務のシステム化でも扱っています。

当社の公開事例

当社が受託開発で公開している事例は次の2件です(顧客名・削減効果は非公開)。

  • 通信事業:数万件の請求情報の取り込み・集計と、確認画面の開発。構成例1と同じ「取り込み→集計→確認」の流れを仕組みにしたもの
  • 薬局(複数店舗):数千人分の記録の管理と、権限・確認工程の開発。構成例2で触れた「誰が見て、誰が確認するか」を分ける権限の設計を含むもの

洗い出しから導入までの流れと期間

候補が固まったあとの進み方です。

段階

やること

期間の目安

1. 範囲の決定

対象部署・対象プロセスを決める

1日

2. 記録

1週間分の作業を書き出す+月次業務を追記

1週間

3. シート化・換算

11項目に整理し、年間工数と金額に直す

半日〜1日

4. 仕分け

自力/ツール・サービス/開発の3つに振り分ける

半日

5. 相談・見積

候補リストを持って外部に相談し、範囲と費用の提示を受ける

相談先と、資料がそろう時期による

6. 構築・テスト

環境構築、並行運用での検証

範囲と方式による(見積のときに確認)

7. 本番稼働

運用開始、例外対応の見直し

—

1部署であれば、ステップ1から4まで実質2週間で到達できます。全社を対象にする場合は現場の記入待ちが入るため、2〜3週間を見ておいてください。

段階5で外部に相談する際は、埋めたシートを持っていくのが最も早い進め方です。「何がどれくらい自動化できますか」と白紙で聞くより、「この11項目が埋まった15行があります」と出したほうが、見積の前提がはっきりします(実顧客データや認証情報はシートに入れないでください)。当社の初回相談(無料・30分)では、シートを見ながら自社で進める部分と任せる部分を切り分け、相談後に依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。

→ 洗い出した作業から、開発の進め方を相談する

自動化を任せられる業務の範囲についてはAIエージェントに任せられる業務の範囲も参考になります。

よくある質問

Q1. 洗い出しを外部に手伝ってもらうことはできますか。その場合いくらかかりますか。

洗い出しそのものは、10〜15業務の範囲なら社内で十分に実施できます。記録の整理や年間工数の換算は、生成AIに手伝わせると早く進みます。まずは1部署で自力で試し、詰まった箇所や「開発が要りそうな行」だけを相談するのが費用対効果は高くなります。当社の初回相談(無料・30分・オンライン)では、途中のシートでも一緒に見て、自社で進める部分・頼む部分・やらない部分を切り分け、相談後に相談メモでお返しします。

Q2. 社員10名以下の会社でも、洗い出しをやる意味はありますか。

あります。ただし結論が「外注しない」になる可能性は高くなります。人数が少ないと合計時間も小さくなりやすく、月20時間に届かない場合はノーコードツール(Make なら月$9〜)や手順の見直しで自力対応するのが合理的です。洗い出しの価値は外注判断だけでなく、属人化している業務を特定できることにもあります。担当者が1人しかいない業務が何本あるかを把握しておくだけでも、退職時のリスクが下がります。

Q3. 繁忙期しか発生しない業務は、候補に入れるべきですか。

月あたりの平均に直して入れてください。「3月に集中して40時間」なら年40時間、月換算で3.3時間です。金額では年12万円となり、単体では外注の対象になりません。ただし繁忙期業務は残業代や派遣費用が実際に発生していることがあり、その場合は時給3,000円ではなく実支払額で計算してください。数字が変わります。

Q4. 洗い出した候補を、どの順番で着手すべきですか。

年間工数が多い順ではなく、「年間工数が多い × 例外率が低い」の順です。工数だけで選ぶと、最も重い業務が同時に最も例外の多い業務であることもあり、その場合は初回から難易度の高い案件に当たります。最初の1本は、規模は中くらいでも例外率が1割以下のものを選んでください。成功例が1本できると、2本目以降の社内調整が明らかに楽になります。

Q5. 洗い出しシートは、どのくらいの頻度で更新すべきですか。

半年に1回が目安です。ただし「定期的に全部を見直す」運用はまず続きません。現実的なのは、新しい業務が発生したときにその行だけ足す運用にして、半年に1度まとめて時間を再確認する形です。人事異動の直後は所要時間が大きく変わっているため、異動があった部署だけは都度見直してください。

Q6. すでにRPAを入れていますが、改めて洗い出す意味はありますか。

あります。RPAを導入済みの会社でよく見つかるのが、シナリオが動かなくなって手作業に戻っている業務です。画面の仕様変更やシステム更新で止まったまま放置され、現場が黙って手でやり直しているケースがあります。洗い出しの「使用システム」列を埋める過程でこれが表面化します。稼働中のシナリオ本数と、実際に効果が出ている本数を突き合わせてみてください。

Q7. 候補の合計時間が少なくても、開発の相談をしてよいですか。

かまいません。ただし、合計が月20時間未満で必要なデータも取り出せるなら、まずノーコードツールや手順の見直しをおすすめします。データの出力口がないなど開発が必要な場合は、既存システムの改修(100万円〜)が回収できる規模かを、この記事の式で一緒に確認します。数字に見合わない大きな開発を勧めることはしません。 時間の数字が出ている状態で相談いただければ、その数字に見合う手段から話を始められます。

Q8. 洗い出しの途中で「この業務自体が不要では」と気づいた場合はどうすべきですか。

その場合は自動化せず、やめてください。これは洗い出しの副産物として最も価値のある発見です。前任者の頃から続いているだけで誰も見ていない資料、二重にチェックしている工程などは実際に見つかります。不要な作業を自動化すると、不要な作業が高速で回り続けるだけになります。まず「やめる」、次に「減らす」、最後に「自動化する」の順で検討してください。

候補リストができたら、開発が必要な行から相談する

洗い出しの結果、仕組みそのものに手を入れる必要が出た行(データが取り出せない、台帳が分かれている、つなぐシステムが多い)は受託開発の対象です。当社の受託開発は、既存システムの改修100万円〜、PoC 300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別、クラウドや外部APIの実費は別)。公開事例は通信事業の請求情報の取り込み・集計・確認画面と、薬局の複数店舗での記録管理・権限・確認工程の2件です。

初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。埋めたシート(途中でもかまいません)と、使っているシステム・ツールの名前があれば話が早く進みます。相談後に、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。

→ 洗い出した作業から、開発の進め方を相談する

なお、データが取り出せて、つなぐ先が標準的なSaaSだけで、社内に組んで直せる人がいる場合は、先にノーコードツールで試す方が早く安く済みます。その場合も、試したあとに「ここから先はツールでは無理だった」という行が出てきたら、その行だけ相談してください。

依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

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AI革命

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編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

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既存システムの改修 100万円〜・PoC 300万円〜(税別)。相談内容を送っていただくと、2営業日以内に担当者からご返信します