ビジネス活用2026年9月更新

トランプ大統領がAIを「Super Intelligence(SI)」に改称宣言|国連演説の内容・米国のAI政策・日本企業への影響【2026年9月】

公開日: 2026/09/28
トランプ大統領がAIを「Super Intelligence(SI)」に改称宣言|国連演説の内容・米国のAI政策・日本企業への影響【2026年9月】

この記事のポイント

トランプ大統領は2026年9月22日の国連総会演説で、米国政府文書の「AI」を「Super Intelligence(SI)」に改めると宣言。ただし法令化は未確認です。演説内容、国務省・米中合意の動き、米国AI政策の流れ、日本企業の実務対応を解説します。

トランプ大統領は2026年9月22日(米国時間)、第81回国連総会の一般討論演説で、米国政府の文書では今後「Artificial Intelligence(AI、人工知能)」ではなく「Super Intelligence(SI、スーパーインテリジェンス)」を使うと宣言しました。ただし2026年9月28日時点で、この改称を定めた大統領令や連邦官報への掲載は確認されていません。日本の法令や民間の用語が変わるわけでもないため、日本企業が社内外の「AI」表記を「SI」に書き換える必要は、現時点ではありません。

米国とのビジネスや英文契約に関わる担当者、AI導入を検討している経営層・DX担当者、そしてニュースを見て「AIという言葉はもう使えないの?」と気になった方に向けて、演説の中身から日本企業の実務対応までを整理しました。

今回のニュースの要点

  • 宣言は事実:9月22日の国連演説で「米国の全文書でartificialではなくsuperを使う」と述べた
  • 法令化は未確認:9月28日時点で大統領令・連邦官報での正式な改称は確認できない。実際に表記の切り替えが確認されたのは国務省の一部局と、ホワイトハウスの発表文書など
  • 中国は「人工知能」のまま:9月25日にホワイトハウスは「米中でSIという語を使うことで合意」と発表したが、中国外交部は「中米人工智能対話」と表記している
  • 日本企業への直接の影響は小さい:日本の法令(AI推進法)・人工知能基本計画・EU AI Actの用語は変わらない。優先して見るべきなのは呼び名ではなく、輸出管理やフロンティアモデルの安全評価といった米国の実際の政策

トランプ大統領の国連演説の内容:AIを「SI」と呼ぶと宣言

国連総会が開かれるニューヨークの国連本部と加盟国の国旗

出典: 国際連合(United Nations)公式サイト

トランプ大統領は国連総会演説で、「人工(artificial)」という語は知能を偽物のように聞こえさせるとして、米国政府の文書では今後「super」を使うと述べました。あわせて、国際的なAI管理の枠組みには参加しないという立場も示しています。

UN NewsやPBS NewsHour、Gizmodoなどの報道によると、AIに関する主な発言は次のとおりです。

論点

発言の要旨

改称の宣言

「今後、米国のすべての文書、そしてできれば世界中の文書で、artificialではなく、より正確な『super』という語を使う」

改称の理由

「artificialという言葉は知能をフェイクにしてしまう」。実際には偽物ではなく驚くべきものだ、という趣旨

略称

演説中で「S.I.」という略称も使用

地政学的な主張

「Whoever wins superintelligence wins.(SIを制する者が勝つ)」。米国は中国を大きくリードしていると主張

国際規制への姿勢

AIを管理するグローバルな枠組みづくりは全面的に拒否する

国内規制への姿勢

「AIを奨励し、抑え込むことはしない」。産業革命より大きなものの成長を妨げない

リスク論への反論

AIが人類を滅ぼすという警告を、かつての気候変動の警告になぞらえて否定

実現性への本人の言及

「自分にその力があるか見てみよう。あるかもしれないし、ないかもしれない」

「力があるか見てみよう」という発言のとおり、演説の時点では本人も改称が実際に通るかどうかを断言していません。

ファクトチェックで指摘された点

PBSのファクトチェック記事は、演説中のAI関連の発言について次の2点を指摘しています。

  • 「超知能」に到達したわけではない:現在のAIシステムは研究者が言う「超知能」の水準に達しておらず、能力は分野によってばらつきが大きい(jagged)
  • AIリスクの警告は気候変動の活動家だけのものではない:AnthropicのDario Amodei氏、OpenAIのSam Altman氏、Elon Musk氏など、AI業界の当事者からも警告が出ている

米中の技術差についても、専門家の間には「数カ月程度」とみる見方があると紹介されており、「大きくリードしている」という主張には異論もあります。


改称宣言までの経緯と演説後の動き【時系列】

改称は演説の直前にSNSで名前の候補を募ったところから始まり、演説後は国務省の一部局による表記変更、米中首脳会談での「SI」呼称合意の発表へと進みました。

日付(米国時間)

出来事

主な出典

9月19日ごろ

Truth Social等で「Superior Intelligence」「Extreme Intelligence」「Supreme Intelligence」の候補を示し、投票を募る

ITmedia NEWS、The Hill

9月22日

国連総会演説で「Super Intelligence」への改称を宣言

UN News ほか

9月22〜23日

国務省国際機関局の副次官補が、局内に件名「Change in Nomenclature AI to SI」のメールを送付。文書・ポジションペーパー中の「Artificial Intelligence」を「Super Intelligence」に変えるよう指示

AP(ABC News転載)

9月24日

ホワイトハウスで米中首脳会談(習近平国家主席の国賓訪問)

日本経済新聞

9月25日

ホワイトハウスが「米中はAIではなくSIという語を使うことで合意」と発表。「米中SI対話」とSIインシデント用の連絡チャネルの設置も公表

UPI、Gizmodo

9月26日

中国外交部は成果の一つを「中米人工智能対話」と発表。米国側の呼び方は「尊重する」との立場

日本経済新聞、ASCII(Yahoo!ニュース)

SNS投票については、候補に「Super Intelligence」が入っていたかどうか、得票数や得票率が報道によって食い違っています。確実に言えるのは「SNSで候補を募ったあと、演説では『Super Intelligence』を表明した」という流れまでです。


本当に正式決定?確認できたことと未確認のこと

現時点で確認できる実務上の変化は、国務省国際機関局の文書表記と、ホワイトハウスの発表文書でSIが使われたことにとどまります。米国政府全体への正式な改称を定める大統領令や連邦官報の掲載は、9月28日時点で確認できていません。

Breaking Defenseも、ホワイトハウスによる正式な発表はまだ出ていないと報じています。APも、国務省の他の部局や他の省庁が追随するかどうかは不明としています。

変わるもの・変わらないもの一覧

対象

変わるか

根拠・状況

米国務省 国際機関局の文書・ポジションペーパー

変わる(SI表記への切り替えを指示)

APが入手した局内メール

ホワイトハウスの発表文書

一部で変わった(9月25日の米中合意の発表でSI表記を使用)

UPI・Gizmodo等の報道

その他の米政府機関の文書

未確認

大統領の意向表明のみ。大統領令・官報掲載は未確認

米国の法令上の「artificial intelligence」の定義

変更の報道なし

─

米中の外交文書

米国側はSI、中国側は「人工知能」のまま

日本経済新聞・UPI

OpenAI・Anthropic・Googleなど民間企業の製品名・用語

変わらない(強制力なし、変更の発表もない)

─

日本の法令(AI推進法)・政府文書

変わらない

内閣府

EU AI Act・国際標準

変わらない(変更の報道なし)

─

まとめると、改称は「米国政府が自分の文書でどう呼ぶか」の話です。他国政府、企業、学術界を縛る力はありません。


「SI」とは何か:AI・AGI・ASIとの違い

AIのニューラルネットワークを球体と線で表現したイメージ

今回の「SI(Super Intelligence)」は、今あるAIの呼び方を変えただけで、新しい技術の区分ではありません。AI研究で使われる「superintelligence(ASI、超知能)」とは意味がまったく違うため、混同しないよう注意が必要です。

用語

意味

現時点で実在するか

AI(Artificial Intelligence、人工知能)

人間の知的な作業をコンピューターで行う技術の総称。ChatGPTやClaudeなどの生成AIもここに含まれる

実在する

SI(Super Intelligence)※今回の用法

トランプ政権によるAIの呼び替え。指している対象は従来のAIと同じ

呼び名として使われ始めた段階

AGI(汎用人工知能)

人間と同程度に幅広い知的作業をこなせるAI

定義や到達時期について議論が続いている

ASI(Artificial Superintelligence、超知能)

あらゆる領域で人間の知能を大きく上回る、仮説上のAI

実在しない(研究・議論の対象)

ASCIIの報道でも、今回のSIと研究上の超知能(ASI)は別の概念だと説明されています。APによると、BBCの取材に対して専門家は「テック業界で広く定着する可能性は低い」とコメントしています。

超知能という言葉は、元OpenAIのIlya Sutskever氏が設立したSafe Superintelligence(SSI)やRecursive Superintelligenceのように、「人間を超えるAI」を目指す研究開発の文脈でも使われています。超知能開発のリスクについては、Anthropic研究者の辞任と超知能開発競争への警鐘も参考になります。

日本では「SI=システムインテグレーション」との混同に注意

日本のIT業界では、「SI」は一般にシステムインテグレーション(SIer=システム開発の受託会社)の略です。社内資料や検索で「SI」とだけ書くと、別の意味に読まれるおそれがあります。米国の文書を紹介するときは「Super Intelligence(SI、米国政府によるAIの呼称)」のように、初出で意味を補うのが安全です。


なぜ「artificial」を嫌ったのか:改称に込められた狙い

公式の理由は「人工という語は知能を偽物に聞こえさせる」というものですが、演説の流れを見ると、AI開発を国家間競争として位置づけ、国際的な規制の議論から距離を取るための政治的なメッセージという性格が強いと考えられます。

改称の宣言は、次の3つの主張と同じ演説の中で語られています。

  1. 競争の強調:「SIを制する者が勝つ」「米国は中国を大きくリードしている」
  2. 国内規制の否定:「奨励し、抑え込まない」
  3. 国際的な管理の拒否:グローバルなAI管理の枠組みを全面的に拒否

Yahoo!エキスパートの佐藤仁氏も、改称は国際規制への対抗と米国主導の開発推進に結びついた戦略的なメッセージだと分析しています。一方で、各国や研究者がこの呼び方を採用するとは限らないとも指摘しています(記事)。

「リスクのある人工物を管理する」という見方から、「国家が伸ばすべき優れた知能」という見方へ。呼び名を変えることで、そうした印象の転換を狙っていると読むことができます。


米国のAI政策の流れ:改称は「規制より推進」路線の延長線上

米国ホワイトハウスの公式ロゴ画像

出典: The White House 公式サイト

今回の改称宣言は突然出てきたものではありません。2025年以降のトランプ政権のAI政策は、一貫して「イノベーションの加速」「州ごとの規制の抑制」「国際的な管理枠組みへの不参加」を軸にしています。

時期

政策

要点

2025年7月

America's AI Action Plan

「イノベーション加速」「AIインフラ構築」「国際AI外交・安全保障の主導」の3本柱。半導体からモデルまでの「フルスタックAI」を同盟国へ輸出する方針

2025年12月

州AI法に関する大統領令

連邦の方針と矛盾する州のAI法に対抗し、連邦による一本化(先占)を目指す

2026年3月

国家AI政策フレームワーク(議会への立法提言)

子どもの保護、AIインフラ・中小企業支援、知的財産、言論の自由、イノベーション促進、労働力育成、州法の先占の7本柱

2026年6月

大統領令14409

国家安全保障システムのサイバー防御を優先。フロンティアモデルの機密ベンチマーク評価と、任意の事前共有の枠組みを設ける。AIモデル開発の義務的なライセンス制や事前許可は明示的に禁止

2026年6月

NSPM-11

国家安全保障分野でのAI導入を加速する大統領覚書

2026年9月22日

国連演説

AI→SIへの改称宣言、国際的なAI管理枠組みの拒否

2026年9月25日

米中「SI対話」の設置発表

規制の共同枠組みではなく、対話とインシデント時の連絡チャネル

ホワイトハウスによるフロンティアモデルの審査の動きについては、ホワイトハウスAI大統領令2026と米国のAI規制動向で詳しく解説しています。

なお、包括的な連邦AI法は現時点で成立していません。法律事務所の解説では、州法の先占への超党派の反発などから、早期の成立は難しいとの見方が出ています。

「規制しない」一方で、実際の管理は進んでいる

注意したいのは、「規制しない」という発信とは別に、安全保障に関わる領域では米国政府の関与がむしろ強まっている点です。大統領令14409によるフロンティアモデルのサイバー能力評価はその一例です。ほかにも、次のような動きが出ています。

米国の方針は「規制ゼロ」ではなく、安全性は法律による義務ではなく、国内での任意の取り組みと業界との協力で扱い、安全保障に関わる部分は政府が直接管理するという形に近いといえます。業界側の自主的な安全対策の例としては、Anthropicのジェイルブレイク深刻度評価フレームワークがあります。


米国・EU・日本・国連のAI規制スタンス比較

EU AI Actを所管する欧州委員会の公式ロゴ

出典: 欧州委員会(European Commission)公式サイト

AIに対する姿勢は、米国が「推進と国家管理」、EUが「リスクに応じた法規制」、日本が「推進法とソフトロー」、国連が「国際的な科学評価と対話」と、はっきり分かれています。

項目

米国(トランプ政権)

EU

日本

国連

基本姿勢

推進優先・規制は最小限

リスクベースの包括規制

「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指す推進型

国際協調によるガバナンス

中心となる枠組み

AI Action Plan、大統領令

EU AI Act

AI推進法(2025年成立)、人工知能基本計画

AIに関する独立国際科学パネル、AIガバナンスに関するグローバル対話

法的な義務

包括的な連邦法はなし。モデル開発の義務的ライセンスは禁止

高リスクAIなどに義務と罰則あり

罰則を伴う規制より、指針や協力要請が中心

各国への拘束力はなし

国際枠組みへの態度

グローバルな管理は拒否

国際的なルールづくりに積極的

国際協調を重視

枠組みの構築そのものが役割

呼び方

SI(政府文書で切り替え中)

AI

AI/人工知能

AI

EU AI Actの具体的な義務や施行スケジュールはEU AI規制法 完全施行ガイドで整理しています。日本側の個別ルールについては、政府の生成AI知財保護ルールや法務省の「声の権利」指針もあわせて確認してください。

日本では、人工知能基本計画が2025年12月に初めて閣議決定され、2026年7月14日に最新版が閣議決定されています(内閣府)。今回の米国の改称について、日本政府の公式な反応は現時点で確認できていません。


米中「SI対話」合意の意味:呼び名は食い違ったまま

9月25日にホワイトハウスが発表した米中合意は、「SI」という呼び名で一致したとする米国側と、「人工知能」と表記し続ける中国側で食い違っているのが特徴です。中身は共同規制ではなく、対話と連絡の仕組みづくりにとどまります。

項目

米国側(ホワイトハウス発表)

中国側(外交部発表)

呼び名

「米中はSIという語を使うことで合意」

「中米人工智能対話」。米国の呼び方は「尊重」

設置するもの

米中SI対話、SIインシデント用の二国間連絡チャネル

8項目の成果の一つとして対話の設置を発表

次のステップ

2026年11月までに次回協議

─

AI開発への姿勢

共同開発は否定(トランプ氏「リードしているので統合したくない」)

習氏は「AIの発展を常に人間の管理下に置く」必要性に言及(ロイター報道)

「SIインシデント」が何を指すのか、ホワイトハウスの発表には定義がありません(UPI)。フロンティアAIの安全性について、米中が共同の規制枠組みで合意したわけでもありません。とはいえ、対立が続いてきた米中の間に、AIをめぐる連絡チャネルができたこと自体には一定の意味があります。

米中のAIをめぐる駆け引きについては、Manus買収差し止めと米中AI地政学やApple Intelligenceの中国承認でも取り上げています。


日本企業への影響:対応が必要なこと・不要なこと

日本のAI政策を所管する内閣府の公式ロゴ

出典: 内閣府 公式サイト

日本企業にとって、呼び名の変更そのものが直接影響する場面は限られます。影響があるとすれば、米国政府機関とのやり取りで「SI」という表記に出会う場面です。社内文書の一斉書き換えは不要で、むしろ米国の実際のAI政策(輸出管理・安全保障・調達)の動きを追うほうが重要です。

実務チェックリスト

領域

確認すること

対応の必要性

英文契約・MOU

米国政府・政府系機関との契約や覚書に「Super Intelligence(SI)」が出てくる場合、従来の「Artificial Intelligence」と同じ意味か、定義条項で確認する

米国政府系と取引がある企業は要確認

米政府系の入札・調達文書

公募要領や仕様書でSI表記に切り替わっていないか確認し、提案書側で「SI(AI)」と併記するか検討する

該当企業は要確認

輸出管理・技術移転

用語とは関係なく、AIモデル・半導体・クラウドに関する米国の輸出管理の動向を確認する

米国製AI・半導体を扱う企業は継続して監視

社内規程・AI利用ガイドライン

「AI」の表記はそのままでよい。日本の法令・人工知能基本計画は「AI」「人工知能」を使っている

不要

IR・対外発表・Webサイト

「SI」に言い換える必要はない。使うと、日本ではシステムインテグレーションと誤解されるおそれがある

不要(むしろ避けたほうが無難)

EU向けの対応

EU AI Actへの対応はこれまでどおり続ける

継続

社内への情報共有

「米国政府の一部文書でAIをSIと呼び始めた。意味はAIと同じ」と一文で周知すると混乱を防げる

任意

社内で共有するときの注記例

米国の政府文書やニュースを社内資料に引用するときは、次のような注記を添えると誤解を防げます。

※「Super Intelligence(SI)」は、2026年9月以降に米国政府が一部の文書で使い始めたAI(人工知能)の呼称です。研究上の「超知能(ASI)」や、日本のIT業界でいう「SI(システムインテグレーション)」とは意味が異なります。

名前が変わっても、AI導入時に確認することは同じ

呼び名がAIでもSIでも、企業がAIツールを導入するときに確認すべき点は変わりません。データの取り扱い、学習への利用有無、アクセス権限、出力の正確性、ベンダーの所在国と適用法令などです。セキュリティ面の確認項目は生成AIのセキュリティ対策にまとめています。行政分野でのAI活用については、官公庁のAI活用やガバメントAI「源内」の事例も参考になります。


今回のニュースを注視すべき企業・様子見でよい企業

影響の大きさは、米国政府とどれだけ直接関わっているかで決まります。

動向を注視すべき企業

  • 米国の政府機関・国防関連・国務省系の機関と取引や共同事業がある企業
  • 米国向けにAI製品・サービスを提供している企業(調達要件や用語の変化に対応する必要がある)
  • 米国製のフロンティアAIモデルや先端半導体を組み込んだ製品を開発・輸出している企業
  • 米中双方に拠点や取引先があり、米中のAI関係の変化が事業に影響する企業

様子見でよい企業

  • 国内向けに生成AIツールを業務で使っているだけの企業
  • 米国政府と直接の取引がない中小企業
  • 社内のAI利用ガイドラインを作成・運用中の企業(「AI」表記のままで問題ない)

様子見でよい企業も、ChatGPTやClaudeなど米国製のAIサービスを使っているなら、提供条件や利用規約の変更には引き続き目を配っておくと安心です。AIエージェントの業務導入を検討している場合は、AIエージェントとはで基本を押さえておくと判断しやすくなります。


今後の注目点

改称が一時的な発言で終わるか、米国政府全体の用語として定着するかは、今後数カ月の動きで見えてきます。

注目点

見るべきポイント

大統領令・連邦官報での正式化

改称を定めた正式な文書が出るかどうか

他省庁の追随

商務省・国防総省・OSTPなどの文書でSI表記が使われ始めるか

米中SI対話の初回協議

2026年11月までに開催予定。「SIインシデント」の定義や協議内容

法令上の定義

既存の連邦法にある「artificial intelligence」の定義に手が入るかどうか

民間・学術界の反応

米国のAI企業や研究機関がSIという語を採用するか

日本政府の反応

官房長官会見や日米協議などで言及されるか


よくある質問

Q. 「AI」という言葉は今後使えなくなるのですか?

使えなくなることはありません。改称の対象は米国政府の文書で、それも正式な法令化は確認されていません。日本の法律・政府文書、企業の製品名、学術用語で「AI」を使うことに何の制限もありません。

Q. 「SI」は日本語で何と訳せばよいですか?

定まった訳語はまだありません。報道では「スーパーインテリジェンス」や「超知能」と訳されることもあります。ただ「超知能」は研究上のASI(人間を大きく上回る仮説上のAI)と紛らわしいため、実務では「SI(米国政府によるAIの呼称)」と説明を添えるのが確実です。

Q. ChatGPTやClaudeの名前や機能は変わりますか?

現時点で、OpenAIやAnthropicなどが製品名・用語を変えるという発表はありません。改称は米国政府の用語の話で、民間の製品には強制力がありません。

Q. 中国も「SI」と呼ぶようになったのですか?

ホワイトハウスは「米中でSIという語を使うことで合意した」と発表しましたが、中国外交部の発表は「中米人工智能対話」で、表記は人工知能のままです。中国側は米国の呼び方を「尊重する」と述べるにとどめています。

Q. 「SIを制する者が勝つ」とはどういう意味ですか?

AIの開発競争を国家の覇権争いとして捉え、米国が主導権を握るべきだという主張です。背景には、2025年のAI Action Plan以来、米国のAI技術と規格を同盟国に広めることで影響力を高めようとする政権の方針があります。

Q. 日本の中小企業も何か準備すべきですか?

米国政府と直接の取引がなければ、特別な準備は必要ありません。社内でニュースが話題になったときに「米国政府の呼び方が変わっただけで、意味はAIと同じ」と説明できれば十分です。


まとめ

  • トランプ大統領は2026年9月22日の国連総会演説で、米国政府文書の「AI」を「Super Intelligence(SI)」に改めると宣言した
  • 表記の切り替えが確認されたのは国務省国際機関局の文書やホワイトハウスの発表文書などで、大統領令・連邦官報による正式な改称は9月28日時点で未確認
  • 米中は「SI対話」の設置で合意したと米国は発表したが、中国は「人工知能」の表記を続けている
  • 今回のSIは既存のAIの呼び替えで、研究上の超知能(ASI)とは別物。日本では「SI=システムインテグレーション」との混同にも注意が必要
  • 改称は、推進優先・国際管理の拒否という米国AI政策の延長線上にある。一方で、輸出管理やフロンティアモデルの評価など、安全保障に関わる管理は強まっている
  • 日本企業は「AI」表記を変える必要はない。米国政府系との取引がある企業は、英文契約や調達文書の用語と、輸出管理などの実際の政策動向を確認しておきたい

呼び名の変化は目を引きますが、ビジネスへの影響が大きいのは、その裏で進む米国の規制・調達・輸出管理の動きです。AIの基本から整理したい方は生成AIとはもあわせてご覧ください。

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この記事の著者

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