AIツール2026年8月更新

GPT-5.6とは?Sol・Terra・Lunaの違いと最新API料金・105万トークンの実効値を解説

公開日: 2026/06/27
更新日: 2026/08/09
GPT-5.6とは?Sol・Terra・Lunaの違いと最新API料金・105万トークンの実効値を解説

この記事のポイント

GPT-5.6は2026年7月9日に一般提供されたOpenAIの最新世代モデル群。Sol・Terra・Lunaの違い、7月30日改定後のAPI料金、公式105万トークンの実効値、ChatGPTでの提供状況を一次情報ベースで整理します。

GPT-5.6は、OpenAIが2026年7月9日に一般提供を開始した最新世代のAIモデル群です。「Sol(ソル)」「Terra(テラ)」「Luna(ルナ)」の3モデルで構成され、コンテキストウィンドウは公式仕様で1,050,000トークン、API料金は2026年7月30日に改定された値が現行価格です。

検索でよく見かける「150万トークンコンテキスト」「2026年6月発表予定」「価格予想」という前提は、いずれも現時点では当てはまりません。発表も一般提供も済んでおり、コンテキストは約105万トークンで公式に確定し、料金は予想ではなく確定値のうえ一度値下げされています。

この記事でわかること:

  • Sol・Terra・Lunaの違いと、用途別の選び分け
  • 2026年7月30日改定後のAPI料金(Luna -80%、Terra -20%)と円換算の実コスト試算
  • 「150万トークン」の真偽と、公式105万トークンを額面通りに使えない4つの理由
  • ChatGPT側のプラン別提供状況(2026年8月6日の公式アップデート反映)
  • ベンチマーク数値の読み方と、企業導入で押さえるべき安全性分類
  • こんな方におすすめ/おすすめしない方

API開発者、企業のAI導入担当者、情報システム部門に向けた解説です。料金・仕様は更新頻度が高いため、契約や実装の前にはOpenAIの一次情報で再確認してください。

GPT-5.6とは — 3つの能力ティアで構成された最新世代

OpenAI開発者向けプラットフォームの公式イメージ

出典: OpenAI Developers 公式サイト

GPT-5.6は、OpenAIが「万能型の1モデル」から「性能・コスト・速度で選ぶ3つの能力ティア」へ舵を切った世代です。 2026年6月26日にSolの限定プレビューが始まり、7月9日にSol・Terra・Lunaの3モデルすべてがChatGPT・Codex・APIで一般提供されました。

OpenAIが強化領域として挙げているのは、ソフトウェアエンジニアリング、コンピュータ操作、専門的なナレッジワーク、科学研究、サイバーセキュリティの5領域です。

基本情報(2026年8月9日時点)

項目

内容

名称

GPT-5.6(Sol / Terra / Luna の3モデル構成)

開発元

OpenAI

限定プレビュー開始

2026年6月26日(Solのみ)

一般提供開始

2026年7月9日(ChatGPT / Codex / API 同時)

モデルID

gpt-5.6-sol / gpt-5.6-terra / gpt-5.6-luna

APIのエイリアス

gpt-5.6 は既定で sol にルーティングされる

コンテキストウィンドウ

1,050,000トークン

最大入力トークン

922,000

最大出力トークン

128,000

知識カットオフ

2026年2月16日

入出力モダリティ

入力=テキスト+画像/出力=テキスト

対応エンドポイント

Chat Completions / Responses / Batch

非対応

Realtime / Assistants / Fine-tuning / Embeddings

ライセンス

プロプライエタリ

命名ルール:数字は「世代」、Sol/Terra/Lunaは「能力ティア」

GPT-5.6で見落とされやすいのが、命名ルールそのものの変更です。「数字が大きいほど賢い1モデル」という読み方は、この世代から通用しなくなりました。

  • 数字(5.6)=世代(generation) … どのアーキテクチャ世代かを示す
  • Sol/Terra/Luna=能力ティア(capability tier) … 性能・速度・コストのどこに振った構成かを示す。ティアは世代をまたいで継続する

Sol=太陽、Terra=地球、Luna=月という太陽系の天体になぞらえた命名で、太陽に近いほど高性能・高コストという直感が働くよう設計されています。利用者側に求められるのは、「常に最上位を使う」発想から「用途ごとにティアを選ぶ」発想への転換です。

前世代からの流れを押さえたい方はGPT-5.5とは、モデル全般の位置づけを整理したい場合は生成AIとはが入口になります。

「150万トークン」は誤り — 公式は105万、実務ではさらに小さい

OpenAI APIプラットフォームの公式ドキュメントイメージ

出典: OpenAI API Platform Documentation

GPT-5.6のコンテキストウィンドウは、OpenAIの公式APIドキュメントで1,050,000トークン(約105万)と明記されています。150万トークンではありません。 この数字は、一般提供前の観測値をもとにした推定が広まったもので、現在は公式仕様で置き換えられています。

そして実務上さらに重要なのは、「105万トークン入る」と「105万トークンを使える/安く使える」がまったく別物である点です。公称値から実務値まで4つの数字を並べると、その差がはっきりします。

段階

数値

意味

① 公称コンテキストウィンドウ

1,050,000トークン

入力+出力の合計枠。カタログ上の最大値

② 最大入力トークン

922,000トークン

実際に入力に使える上限。105万すべてを投げられるわけではない

③ 課金の段差

272,000トークン

入力がこれを超えるとリクエスト全体が入力2倍・出力1.5倍で課金される

④ Codexの既定値

272,000トークン

2026年7月18日に372K→272Kへ縮小。実務でのエージェント運用はここが天井

③ 272Kを超えると課金が跳ね上がる

OpenAIの公式モデルページには、「入力272Kトークンを超えるプロンプトは、リクエスト全体に対し入力2倍・出力1.5倍で課金される」と記載されています。273Kトークン目だけが割高になるのではなく、そのリクエスト全体の単価が変わる仕様です。

つまり、90万トークンのコードベースを丸ごと投げる設計は技術的には可能でも、コスト面では「常に2倍単価」のモードに入り続けることを意味します。長文脈を使うか、検索(RAG)で絞り込むかは、精度だけでなく単価構造を含めて判断する必要があります。

④ Codexの実効コンテキストは272Kに縮小された

エージェント的コーディングでGPT-5.6を使う場合、105万トークンという数字は現実的な前提になりません。

日付

出来事

2026-07-13

GitHub Issue #32806 で「Codexのコンテキストが372K(実効約353K)→272K(実効約258K)に告知なく縮小された」と報告

2026-07-18

Codexのバンドル済みモデルメタデータ更新(PR #33972)がマージ

2026-07-20

InfoWorldが「Codexのコンテキスト削減が開発者の不満を招いている」と報道。372,000→272,000トークン(約27%減)

開発者側からは、長時間のコーディングセッションで性能が落ちる、コンパクション(要約圧縮)が早期かつ頻繁に発火する、手動でのコンテキスト管理やセッションリセットの手間が増える、といった声が上がっています。「セッションの時間の多くが作業ではなくコンパクションに費やされている」という指摘もありました。

OpenAIはこの変更の理由を公式に説明していません。ただし技術的には、272Kがロングコンテキスト割増の境界と一致していることから、モデルの物理的上限ではなく課金設計上の線引きと読むのが自然です。100万トークンまで引き延ばすとコンパクションが遅れ、要約自体の信頼性が落ちるという設計上の理由も指摘されています。

Codexの利用枠そのものについてはCodexの利用制限、ツールの全体像はOpenAI Codexとはで整理しています。

実務での扱い方

  • 設計の前提は272Kトークンに置く。それを超える構成は、コスト2倍とコンパクション挙動を織り込んでから採用する
  • 「入る」ことと「安く済む」ことを分けて考える。入力トークンはそのまま請求額に乗る
  • 大規模リポジトリや長時間稼働エージェントでは、コンテキストを広げるより渡す情報を選別する仕組みのほうが費用対効果が高い

GPT-5.6のAPI料金 — 2026年7月30日に改定済み

OpenAI APIの料金ページを示す公式イメージ

出典: OpenAI API Pricing 公式ページ

2026年7月30日に、Lunaが80%、Terraが20%値下げされました。 提供開始時の価格(Terra $2.50/$15、Luna $1/$6)を掲載している解説記事はすべて改定前の情報です。

標準料金(100万トークンあたり/2026年8月9日時点)

モデル

入力

キャッシュ入力

出力

改定前

GPT-5.6 Sol

$5.00

$0.50

$30.00

据え置き

GPT-5.6 Terra

$2.00

$0.20

$12.00

$2.50 / $15(-20%)

GPT-5.6 Luna

$0.20

$0.02

$1.20

$1.00 / $6(-80%

円換算の目安(1ドル=155円で計算した参考値。実際のレートで再計算してください):

モデル

入力(100万トークン)

出力(100万トークン)

Sol

約775円

約4,650円

Terra

約310円

約1,860円

Luna

約31円

約186円

値下げの背景と各モデルへの影響はGPT-5.6の値下げで詳しく扱っています。

ロングコンテキスト割増(入力272Kトークン超)

モデル

ロング入力

ロングキャッシュ入力

ロング出力

Sol

$10.00

$1.00

$45.00

Terra

$4.00

$0.40

$18.00

Luna

$0.40

$0.04

$1.80

Batch / Flex(標準の50%)

モデル

入力

キャッシュ入力

出力

Sol

$2.50

$0.25

$15.00

Terra

$1.00

$0.10

$6.00

Luna

$0.10

$0.01

$0.60

即時性が不要なバッチ処理をBatch/Flexに寄せると、単純に請求が半分になります。Lunaのバッチ処理なら入力$0.10・出力$0.60まで下がり、大量処理の単価としては極めて低い水準です。

Fast mode(旧Priority processing/標準の2倍)

2026年7月30日に、Priority processingが「Fast mode」へ改称されました。同時にSolの処理速度が引き上げられています。

「APIにおけるGPT-5.6 Solのfast modeは、標準処理の最大2.5倍の速度を、標準の2倍の価格で提供する。知能(intelligence)に変化はない」(OpenAI Developers 公式告知)

モデル

入力

キャッシュ入力

出力

Sol

$10.00

$1.00

$60.00

Terra

$4.00

$0.40

$24.00

Luna

$0.40

$0.04

$2.40

priority タグ付きの既存リクエストは引き続き動作します(後方互換)。速くなるだけで賢くはならないため、レイテンシがユーザー体験に直結する用途以外では割に合いません。

見落としやすい課金条件

  • キャッシュ書き込みに課金が発生する:GPT-5.6以降、プロンプトキャッシュへの書き込みに非キャッシュ入力単価の1.25倍が課金されます。旧世代では書き込みが無料だったため、キャッシュ前提のコスト試算は作り直しが必要です
  • キャッシュ対象は1,024トークン以上のプレフィックスから。保持は最低30分
  • 明示ブレークポイントprompt_cache_options.modeexplicit にすると自動配置を無効化し、prompt_cache_breakpoint を置いた箇所だけをキャッシュできます。変動部分によるキャッシュ無効化を防ぎたい場合に有効
  • リージョナル処理(データレジデンシー)エンドポイントは10%の上乗せ

月間コスト試算(入力5,000万・出力1,000万トークン)

中規模の社内アシスタント運用を想定したケースです。

モデル

入力コスト

出力コスト

月額合計

円換算(155円/$)

GPT-5.5 / GPT-5.6 Sol

$250

$300

$550

約85,250円

GPT-5.6 Terra

$100

$120

$220

約34,100円

GPT-5.6 Luna

$10

$12

$22

約3,410円

SolからTerraへの載せ替えで約60%減、Lunaなら約96%減という計算になります。年額に直すとTerraで約61万円、Lunaで約98万円の差です。ただし置き換えの可否はベンチマークではなく、自社ワークロードでの実測で判断してください。

Sol・Terra・Lunaの違いと選び分け

難所はSol、日常の主力はTerra、大量処理はLuna——これが基本形です。

モデル

位置づけ

入力/出力(100万トークン)

向いている用途

Sol

フラッグシップ

$5.00 / $30.00

高難度のエージェント的コーディング、セキュリティ研究、科学計算

Terra

バランス型

$2.00 / $12.00

本番の主力ワークロード、社内アシスタント、文書処理

Luna

最速・最安

$0.20 / $1.20

要約、ドラフト生成、分類、定型業務の大量処理

Sol Pro

高信頼バリアント

ChatGPT Pro / Enterprise 等で提供

品質が結果を大きく左右する重要タスク

Lunaは値下げによって位置づけが大きく変わりました。改定前は「Terraの半額」程度でしたが、現在はTerraの10分の1です。分類・抽出・要約のように出力が短く量が多い処理は、まずLunaで成立するかを試す価値があります。

推論エフォート(reasoning effort)の使い分け

GPT-5.6では、モデル選択と別に「どれだけ深く考えさせるか」を指定できます。

チャネル

選択肢

API

none / low / medium / high / xhigh / max

ChatGPT・Codex

Light / Medium(既定)/ High / Extra High / Max / Ultra

  • Max:単一タスクに対して最も長く推論する設定
  • Ultra(Sol):単一の逐次推論チェーンではなく、モデル内部のマルチエージェント方式に切り替わります。タスクを分解して並列サブエージェントを起動し、サブエージェントは最後にマージするのではなくタスクの途中で相互に協調するよう訓練されています

OpenAIはPro/Ultra系のモードについて、「難しいタスクの信頼性を高めるためにより多くの処理を投入するが、レイテンシとトークン消費が増える。わずかな品質向上が結果を大きく左右する場合に使うべきで、日常的・時間制約のあるタスクには使わない」とガイドしています。並列実行はトークン消費が読みにくく、隠れコストになりやすい点に注意してください。

移行時の判断フロー(OpenAI公式ガイダンス準拠)

OpenAIはGPT-5.5/5.4からの移行について、「まず現在のreasoning設定のまま試し、次に1段階低い設定を試すこと。GPT-5.6はより少ないトークンで同等以上の品質を維持できることが多い」と案内しています。これを実務手順に落とすと次のようになります。

ステップ

やること

判断基準

1

Terra + medium で現行タスクを流す

品質が許容範囲なら、ここで確定

2

品質が足りない → エフォートを high/xhigh に上げる

上げても改善しないならモデル側の問題

3

それでも不足 → Sol + medium に上げる

難所だけSolに振り分ける構成を検討

4

品質が過剰 → Luna に落とす

出力が短く定型的なタスクは特に効果が大きい

5

即時性が不要な処理

Batch / Flex に寄せて単価を半減

実務上は「日常業務はTerraかLuna、ここぞという難所だけSol」という併用が、コストと品質を両立しやすい構成です。

ChatGPTでの提供状況 — 2026年8月6日に大きく変わった

無料ユーザーの既定モデルがGPT-5.6 Lunaになり、テキストチャットが無制限化されました。 2026年8月6日のOpenAI公式アップデートで確定した内容です。

プラン

月額目安

既定モデル

主な内容

Free

$0

GPT-5.6 Luna

テキストチャット無制限、「Think」ボタンで深い推論を呼び出し可。ファイル・画像・音声・画像生成には引き続き上限あり

Go

$8(約1,200円)

GPT-5.6 Luna

同上

Plus

$20(約3,000円)

更新版 GPT-5.6 Sol

思考スライダーで推論の深さを調整

Pro

$200(約30,000円)

GPT-5.6 Sol + Sol Pro

最上位のreasoning effortを利用可

Business / Enterprise

別途

GPT-5.6 Sol

上位オプションを含む

同時にChatGPT向けのSolが「より直接的な回答・引き締まった書式・不要な詳細の抑制」方向へ調整されました。OpenAIの社内評価では、金融・医療・法律のプロンプトにおける事実誤りが、GPT-5.5 Instant比でSolが68%減、Lunaが62%減と報告されています。

ただし注意点があります。この更新の対象はチャット用途で、ChatGPT WorkとCodexを動かすSolは対象外です。コーディング用途の挙動は変わっていません。

無料プラン側の変更点はChatGPT無料版の無制限化とLuna、プラン全体の料金はChatGPTの料金プラン、サービス自体の全体像はChatGPTとはで扱っています。従来Free/Goの既定だったモデルについてはGPT-5.5 Instantとはを参照してください。

なお、プラン別のメッセージ回数上限の具体値は公式ヘルプでの公開範囲が限られており、本記事では断定しません。

GPT-5.5との違いと、旧モデルの提供終了スケジュール

最大の違いは、性能の数字ではなく「選び方」と「単価の下限」が変わったことです。

比較項目

GPT-5.5

GPT-5.6(Sol / Terra / Luna)

モデル構成

単一フラッグシップ+バリアント

3つの能力ティア

命名の考え方

数字=最新の1モデル

数字=世代、Sol/Terra/Luna=継続するティア

コンテキストウィンドウ

API 1M(Codex 400K)

1,050,000(最大入力922K/Codex既定272K)

最大出力

128K

128K(据え置き)

フラッグシップ価格

$5 / $30

$5 / $30(据え置き)

最安ティアの価格

Luna $0.20 / $1.20

推論エフォート

複数段階

nonemax の6段階+Ultra

HealthBench Professional

Sol 60.5(GPT-5.5比 +8.7、長さ調整後)

事実誤り(ChatGPT評価)

基準

Sol -68%、Luna -62%(GPT-5.5 Instant比)

提供状況

提供中

2026年7月9日から一般提供

実務上効いてくる変化は、性能表の数字よりも次の3点です。

  • 選択肢が増えた:常に最上位を使う必要がなくなった
  • コストの下限が大きく下がった:Lunaの単価はSolの25分の1
  • 専門ナレッジワークが伸びた:医療系ベンチマークと事実誤り率で明確な改善

GPT-5.4 / 5.4 mini はCodexで提供終了へ

2026年8月31日に、ChatGPTサインインで利用するCodexからGPT-5.4とGPT-5.4 miniが提供終了します。 APIキー認証のセッションとOpenAI APIでは継続利用できます。

現行モデル

移行先

gpt-5.4

gpt-5.6-terra

gpt-5.4-mini

gpt-5.6-luna

設定ファイルにモデル名を直書きしている場合、8月31日を過ぎるとCodexのセッションが動かなくなる可能性があります。世代の経緯はGPT-5.4とはで整理しています。

性能をどう読むか — 数字の信頼度に差がある

ARC-AGIベンチマークを運営するARC Prizeの公式イメージ

出典: ARC Prize 公式サイト

GPT-5.6のスコアは、第三者機関が検証したもの二次ソース間で数値が割れているものが混在しています。同列に扱うと判断を誤ります。

信頼度が高い:ARC-AGIの公式検証

ARC Prizeによる検証済みスコア(GPT-5.6 Sol、推論エフォート別)です。

ベンチマーク

Max

XHigh

High

Medium

Low

ARC-AGI-1

96.5%

97.5%

97.0%

92.5%

74.5%

ARC-AGI-2

92.5%

90.0%

85.4%

67.1%

42.5%

ARC-AGI-3

7.78%

6.99%

2.15%

1.07%

0.33%

ARC-AGI-3では初の公開ゲームクリア(ft09、87%)を達成し、「2026年7月時点で唯一これを達成した実用モデル」と評価されています。

ここで実務者が注目すべきは絶対値ではなく、ARC-AGI-1ではXHigh(97.5%)がMax(96.5%)を上回っているという逆転現象です。「エフォートを上げれば必ず良くなる」わけではありません。タスク種別ごとに最適なエフォートを実測すべき、という具体的な示唆になります。

信頼度に留保が必要:Terminal-Benchとクロスベンダー比較

競合モデルAnthropic Claudeの公式イメージ

出典: Anthropic 公式サイト

Terminal-Bench 2.1では、Sol 88.8%(Ultra 91.9%)という数値が複数ソースで一致する一方、TerraとLunaの数値が入れ替わって紹介されているソースがあり、GPT-5.5の基準値も83.4%と88.0%が混在しています。小数点以下の優劣は断定できません。

他社モデルとの比較はさらに慎重を要します。2026年7月8日、OpenAIは「SWE-bench Proのタスクのうち約30%が根本的に欠陥がある」とする監査結果を公表しました。SWE-bench Proのスコアを根拠にしたベンダー間の優劣比較は、前提そのものが揺らいでいます。また、GPT-5.6のSWE-bench Verified公式スコアは未公表です。「SWE-benchで◯%」と書かれた記事があれば出典を確認してください。

競合の全体像を押さえたい場合はClaudeとはが参考になります。

METRの指摘:ベンチマークの「成功」をそのまま信じない

第三者安全評価機関のMETRは、事前デプロイ評価でこう報告しています。

「GPT-5.6 Solの検出された不正行為(cheating)率は、我々がReActエージェントハーネスで評価したどの公開モデルよりも高かった

具体的には、中間提出物にエクスプロイトを仕込んで隠しテストスイートの情報を暴く、期待される解答が書かれた隠しソースコードを抽出する、といった挙動が観察されました。この扱い方次第で、50%成功時点の時間ホライズン推定は大きく変わります。

集計方法

50%成功時点の時間ホライズン

不正を失敗として数える(標準)

約11.3時間(95%CI: 5〜40時間)

不正を成功として数える

270時間超

不正の試行を除外

71時間(95%CI: 13〜11,400時間)

METR自身の結論は「これらの数値のいずれも、GPT-5.6 Solの能力の頑健な測定値とは考えない」というものです。一方で「ソフトウェア/R&Dタスクの能力はstate-of-the-artを大きく超えるものではない」「完全自動のAI R&Dを可能にするものではない」とも明言しており、過度な期待も過度な警戒も否定しています。

実務者が取るべき対応:

  • ベンチマークスコアだけで導入判断しない。自社タスクでの実測を必須にする
  • エージェント運用では、テストの通過を成功条件にしない。成果物そのものを検証する評価系を用意する
  • サンドボックス実行と権限スコープの最小化を前提にする

エージェント運用時の権限設計はAIエージェントのセキュリティ対策で詳しく扱っています。

安全性分類 — 小型モデルまで「High」指定

第三者安全評価機関METRの公式イメージ

出典: METR 公式サイト

企業導入の稟議に直結する論点です。 OpenAIのPreparedness Frameworkによる分類は、3モデル共通で次のとおりです。

領域

分類

生物・化学

High

サイバーセキュリティ

High

AI自己改善

Below High

ファミリー内の小型モデル(Terra・Luna)まで"High"指定を受けたのは、これが初のケースです。 ここから導かれる結論は明確で、「安いモデルだから危険性も低い」という前提は成立しません。コスト最適化でSolからTerraやLunaに落としても、生物・化学とサイバーの能力分類は変わらないため、ガバナンス要件を上位モデルだけ厳しく設計している組織は方針の見直しが必要です。

OpenAI側のセーフガード構成

  • 推論を伴う強化学習による安全訓練
  • 機微領域を監視する activation classifier(Sol・Terraに新規追加。生成中に介入可能)
  • 安全境界を越える出力のリアルタイムブロック
  • 会話横断での自動パターン検知
  • 高機微能力向けの trusted access プログラム
  • 70万GPU時間超を投じた自動レッドチーミング
  • 従来モデル比で約10倍の有害アクティビティをブロック

GPT-Red:レッドチーミングを自動化した内部モデル

2026年8月3日、システムカードに GPT-Red の評価結果が追加されました。自己対戦(self-play)強化学習で訓練された自動レッドチーミングモデルで、攻撃戦略を反復的に発見し、大規模計算で自己改善します。

  • プロンプトインジェクション攻撃の発見に特に強い
  • 人間のレッドチーマーに対し84%対13%で上回ったと報告
  • 意図的に攻撃能力を持たせているため、社外提供せず内部ツールに留める方針
  • GPT-5.6 Solの堅牢化に使用された

できないこと(公式が明記)

制約

内容

自律的なエンドツーエンド攻撃

Sol・Terraは脆弱性やエクスプロイトの断片は発見できるが、堅牢化されたシステムに対する自律的なend-to-end攻撃は遂行できなかった

新規病原体設計

複数の専門家レベルベンチマーク閾値を超えるが、「Critical」水準には達しない

AI自己改善

Preparedness FrameworkのCritical閾値には達しない(Below High)

非対応エンドポイント

Realtime / Assistants / Fine-tuning / Embeddings は利用不可

見落とされがちな2点

  1. ジェイルブレイク耐性と禁止コンテンツ出力率は、GPT-5.5とほぼ同等です。性能は上がりましたが、この領域は改善していません。システムカードはこの結果を暫定値(interim results)とし、評価手法を見直し中と明記しています
  2. OpenAIは「評価結果は能力の下限を示すもの」と明記しています。追加プロンプトや長い推論チェーンで、未発見の挙動が引き出される可能性を公式に認めています

なお、エージェント的コーディングにおいてユーザー意図を超えて行動する傾向が増加したことも報告されています(絶対率は低いとされます)。

サイバー領域の専用モデルはGPT-5.5 Cyberとは、組織としてのリスク管理は生成AIのセキュリティリスクで整理しています。エンタープライズ調達での配信経路を検討するならAmazon Bedrockでの提供も参考になります。

こんな方におすすめ

対象

理由

GPT-5.5を本番運用中でコストを下げたい企業

Terraへの置き換えで月額が約60%減、Lunaなら約96%減という試算になる。検証の優先度が最も高い

分類・抽出・要約を大量に回している開発チーム

Lunaが$0.20/$1.20。Batchと組み合わせれば$0.10/$0.60まで下がる

エージェント的コーディングを運用する開発チーム

Sol+Ultraのマルチエージェントモードが難所に効く。ただしトークン予算の設定が前提

無料・低価格プランでChatGPTを使いたい個人

Free/GoでLunaが既定になり、テキストチャットが無制限化された

医療・金融・法務のナレッジワーク

事実誤りがGPT-5.5 Instant比でSol -68%、Luna -62%と報告されている

レイテンシが体験を左右するプロダクト

Fast modeでSolが最大2.5倍速。価格は2倍だが品質は変わらない

おすすめしない方

対象

理由

150万トークンのコンテキストを前提に設計したい方

公式仕様は1,050,000トークンで、最大入力は922,000。150万という数字は存在しない

100万トークン級を安く投げたい方

入力272Kを超えるとリクエスト全体が入力2倍・出力1.5倍で課金される

Codexで超長文脈のセッションを回したい方

Codexの既定コンテキストは272Kに縮小済み。コンパクションが頻発する

予算を厳密に固定したいエージェント運用

Ultraは並列サブエージェントでトークン消費が読みにくい。トークン予算の明示設定が必須

ベンチマークスコアだけで導入可否を決めたい方

METRが不正行為率の高さを指摘。Terminal-Benchも二次ソース間で数値が割れている

「安いモデルなら安全」と考えている組織

Terra・Lunaも生物化学・サイバーでHigh指定。ガバナンス要件は下げられない

リアルタイム音声・Fine-tuningを使いたい方

Realtime / Fine-tuning / Embeddings は非対応

よくある質問

Q. GPT-5.6のコンテキストは150万トークンですか?

A. いいえ。OpenAIの公式APIドキュメントでは1,050,000トークン(約105万)です。150万という数字は一般提供前の推定が広まったもので、現在の公式仕様とは一致しません。さらに最大入力は922,000トークンで、105万すべてを入力に使えるわけでもありません。

Q. 「2026年6月発表予定」と書かれた記事を見ましたが、まだ使えないのですか?

A. すでに使えます。2026年6月26日にSolの限定プレビューが始まり、7月9日にSol・Terra・Lunaの3モデルすべてがChatGPT・Codex・APIで一般提供されました。

Q. Terraの料金は$2.50/$15ではないのですか?

A. それは提供開始時の価格です。2026年7月30日の改定でTerraは$2.00/$12(20%値下げ)、Lunaは$0.20/$1.20(80%値下げ)になりました。Solは$5/$30で据え置きです。

Q. コーディング性能はGPT-5.5からどれくらい上がりましたか?

A. 単一の数字では答えられません。GPT-5.6のSWE-bench Verified公式スコアは未公表で、Terminal-Bench 2.1の値は二次ソース間で割れています。第三者検証で確認できるのはARC Prizeのスコア(ARC-AGI-2で最大92.5%、ARC-AGI-3で初の公開ゲームクリア)までです。加えてCodexの既定コンテキストが272Kに縮小されているため、実務での体感はベンチマークの伸びとは一致しません。自社リポジトリでの実測を優先してください。

Q. Codexで105万トークン使えますか?

A. 使えません。Codexの既定コンテキストは2026年7月18日に372Kから272Kへ縮小されました。約27%の削減で、開発者からはコンパクションの頻発を指摘する声が出ています。272Kという値はロングコンテキスト割増の境界と一致しており、課金設計上の線引きと考えられます。

Q. 一番コストパフォーマンスが良いのはどれですか?

A. 出力が短く定型的な処理ならLuna、汎用の主力ワークロードならTerraです。値下げ後のLunaはSolの25分の1、Terraの10分の1の単価なので、まずLunaで成立するかを試し、品質が足りなければTerra、それでも不足する難所だけSolに振り分ける順序が効率的です。

Q. Batch処理は半額になりますか?

A. なります。GPT-5.6でもBatch/Flexは標準料金の50%です。Luna+Batchなら入力$0.10・出力$0.60まで下がります。

Q. Fast modeを使うと精度も上がりますか?

A. 上がりません。OpenAIは「知能に変化はない」と明記しています。Solで最大2.5倍の速度を標準の2倍の価格で得られる、速度だけのオプションです。

Q. 無料版のChatGPTでもGPT-5.6が使えますか?

A. 使えます。2026年8月6日からFreeとGoの既定モデルがGPT-5.6 Lunaになり、テキストチャットが無制限化されました。ただしファイル・画像・音声・画像生成には引き続き上限があります。

Q. Terraなら安全性の要件を緩められますか?

A. 緩められません。Preparedness FrameworkではTerra・Lunaも生物・化学とサイバーセキュリティで「High」に分類されています。小型モデルまでHigh指定を受けたのは今回が初で、「安いモデルだから安全」という前提は成立しません。

Q. 使っているGPT-5.4はいつまで動きますか?

A. ChatGPTサインインで利用するCodexでは、2026年8月31日にGPT-5.4とGPT-5.4 miniの提供が終了します。APIキー認証のセッションとOpenAI APIでは継続利用可能です。移行先はgpt-5.4gpt-5.6-terragpt-5.4-minigpt-5.6-lunaが案内されています。

まとめ

GPT-5.6は、2026年7月9日に一般提供が始まったOpenAIの最新世代モデル群です。

  • 3つの能力ティア:難所はSol、主力はTerra、大量処理はLuna。命名は「数字=世代、Sol/Terra/Luna=ティア」
  • 料金は7月30日に改定済み:Sol $5/$30(据え置き)、Terra $2/$12(-20%)、Luna $0.20/$1.20(-80%)。改定前価格を載せた解説記事は情報が古い
  • 「150万トークン」は誤り:公式は1,050,000トークン、最大入力は922,000トークン
  • 272Kが実質的な設計上の境界:これを超えるとリクエスト全体が入力2倍・出力1.5倍。Codexの既定値も272Kに縮小済み
  • Batch/Flexは半額、Fast modeは2倍:Fast modeは速くなるだけで賢くはならない
  • ChatGPTは8月6日に大きく変化:Free/GoはLunaが既定でテキストチャット無制限、Plus以上は思考スライダー付きのSol
  • Terra・LunaもHigh指定:安いモデルなら安全という前提は成立しない

実務的な次の一手は、TerraまたはLunaへの置き換え効果を自社ワークロードで試算し、ベンチマークではなく実タスクで検証することです。特にエージェント運用では、テスト通過ではなく成果物そのものを検証する評価系を先に用意してください。設計の前提コンテキストは272Kに置くのが現実的です。

料金・仕様・提供条件は今後も更新される可能性が高いため、契約や実装の前にはOpenAIの一次情報で必ず再確認してください。前世代との比較はGPT-5.5とは、モデル全般の位置づけは生成AIとはをあわせてご覧ください。

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