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Power Automateの属人化を解消する方法|退職で止まる前に「直す・作り直す・移す」を費用で決める【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/03
Power Automateの属人化を解消する方法|退職で止まる前に「直す・作り直す・移す」を費用で決める【2026年9月最新】

この記事のポイント

Power Automateの属人化は「所有者・接続・ライセンス・パソコン・知識」の5つを個人から切り離せば解消できます。退職で何がいつ止まるか、整備の時間と費用、直す・作り直す・AIエージェントに移すの判断を具体的な金額で解説します。

Power Automateで作った自動化の属人化は、フローが作成者個人に結びついている「所有者・接続・ライセンス・パソコン・知識」の5つを切り離せば解消できます。ただし、その整備には30本のフローで90〜210時間(人件費換算で27万〜84万円相当と仮定)かかり、外部に頼めば45万〜180万円程度、業務そのものをAIエージェントに移す場合は初期100万円+月額10万円〜(税別)が目安です。

「作った人しか触れない」「作った人が辞めたら止まった」という相談は、Power Automateが誰でも使える道具だからこそ起きます。この記事では、まず退職・異動で何がいつ止まるのかをMicrosoftの公式仕様で示し、今日中にやる応急処置と恒久対策を整理したうえで、「自分たちで直す・外部に頼んで作り直す・業務ごとAIエージェントに移す」の3つを費用で比べます。Power Automateをやめるべきだという話ではありません。正しく運用し直せば済むケースも正直に書きます。

Power Automateの属人化はどこで起きているか|5つの依存点

Power Automateのクラウドフロー設計画面(トリガーとアクションで構成されるフローの例)

出典: Microsoft Power Automate 公式サイト

「属人化」と一言で言っても、Power Automateの場合は技術的な結びつきと、人の頭の中にしかない知識の2種類が混ざっています。Microsoftの公式ドキュメントと現場の事例を整理すると、フローが個人に依存するポイントは次の5つです。

依存点

何が起きるか

① 所有者

フローを作った人が自動的に所有者になる。所有者が1人だけだと、退職でアカウントが無効化された瞬間に、編集・停止・再開ができる人がいなくなる(公式の用語で「孤立したフロー」)

② 接続

SharePoint・Outlook・Excelなどを操作する部品は、作成者個人のIDとパスワードで認証されている。アカウントが無効化されると接続が切れ、次の実行から認証エラーで失敗する

③ ライセンス

決まった時刻に動くフローや、何かをきっかけに自動で動くフローは「所有者のライセンス」で動く。有料コネクタ(外部サービスとつなぐ部品のうち、Premiumライセンスが必要なもの)を使うフローの所有者がPremiumライセンスを失うと、猶予期間の後に止まる

④ パソコン

デスクトップフロー(画面操作を自動化するRPA)は、特定のWindows端末に登録して動く。担当者のパソコンで動いている場合、退職・パソコン交換・OS更新で止まる

⑤ 知識

「何のためのフローか」「エラーが出たら誰が何をするか」「どの業務がこのフローに依存しているか」が作成者の頭の中にしかない。①〜④はツールの設定で解決できるが、これだけは人の作業でしか埋まらない

現場で実際に起きているのは、次のような状態です。

  • 作った本人しか中身が分からず、周りは「触るのが怖い」「壊したら困る」と関わらない。結果として1人に集中する
  • 同じ目的のフローが複数あり、どれが本番か分からない。使われていないフローも消せない
  • 情シスの管理外で個人が作ったフロー(いわゆる野良フロー)が、異動・退職で宙に浮く
  • エラー通知が作成者個人のメールにしか届かないため、止まっていることに数日〜数週間気づかない
  • デスクトップフローは、パソコンのスリープや実行用ソフトの未起動で「オフライン」になり、認証画面やポップアップが出ただけで止まる

Power Automateに限った属人化の統計は公開されていませんが、RPA全般の調査では構造が見えます。ストロボ社の調査(N=200・日立ソリューションズ掲載)では、RPAの運用を担う人の職種はITエンジニアが約3割で、事務・総務・法務が24%、営業が15%でした。つまり運用の半分以上は現場の職種が担っており、その人が異動すれば引き継ぎ先がない、という構造です。キーマンズネットの2024年調査(N=359)でも、自動化の最大の課題は「スキルのある人材不足」でした。

RPA製品全般の「止まる原因」についてはRPAが動かない原因と対処法で扱っているので、この記事はPower Automate固有の仕組み(所有者・接続・ライセンス・ソリューション)に絞ります。

作成者が退職・異動すると何が、いつ止まるか|公式仕様のタイムライン

Microsoft Learn(Power Automate公式ドキュメント)のロゴ

出典: Microsoft Learn 公式(Power Automate ドキュメント)

経営者・部門長の方が最初に知りたいのは「いつ止まるのか」だと思います。Microsoft Learn(公式ドキュメント)の記述を、退職日を起点に並べると次のようになります。

タイミング

起きること

退職者のアカウントを無効化した直後

そのアカウントの接続を使うフローは、次回の実行から失敗する可能性がある。フロー一覧の「所有者」欄が空になり「孤立したフロー」になる。管理者はPower Platform管理センターの[環境]→[リソース]→[フロー]で確認できる

所有者を別の人に変更した後

自動・スケジュール実行のフローは新しい所有者のライセンスで動く。反映まで最大7日。すぐ反映したい場合は、フローを開いて編集→保存する

新しい所有者にPremiumライセンスがない

警告が出るが割り当て自体はできる。30日間は動き続け、その間にライセンスを購入しなければ停止する

所有者がPremiumライセンスを失った

性能が下げられ、所有者全員に通知。対応がなければ14日以内に停止する

猶予期間中の利用制限を14日連続で超えた

フローが一時停止され、所有者に通知される

「アカウントを止めた瞬間に全部止まる」わけではなく、接続が切れたフローは即失敗、ライセンスが絡むフローは14〜30日の猶予の後に止まる、という二段構えです。厄介なのは、接続エラーの通知が退職者のメールに届くため、誰も気づかないまま猶予期間が過ぎてしまうことです。

所有者を変えられるフローと、変えられないフローがある

ここが引き継ぎで最もつまずくポイントです。Power Automateのフローには2種類あります。

  • ソリューション対応フロー:フローをまとめて管理する入れ物(ソリューション)に入っているフロー。フローの詳細画面から所有者を変更できる。変更後は、元の所有者と新しい所有者が共同所有者になる
  • ソリューションに入っていないフロー:公式ドキュメントの説明では「所有者はフローIDの一部」であるため、その場で所有者を変更できない。環境にDataverse(Power Platform用のデータベース)があればソリューションに追加してから変更する。なければ、エクスポート/インポート・名前を付けて保存・コピーの送信のいずれかで、新しいフローとして作り直すことになる

個人が業務の合間に作ったフローの大半は後者です。「引き継ぎが面倒」と言われる正体はここにあります。所有者を変えられないので、フローを複製して新しい所有者のもとで作り直し、接続を付け替え、動作確認をやり直す、という作業が1本ごとに発生します。

なお、管理者は本人の協力がなくても、管理センターや管理者向けのコマンド(PowerShell)で退職者が作成したフローを一覧化し、共同所有者を割り当てられます。ただし「見つけて所有者を付ける」ことはできても、接続の付け替えと動作確認はどのみち必要です。

今すぐやる応急処置と、Microsoft公式が推奨する恒久対策

Power Automateの作業キュー管理画面とデスクトップフロー デザイナー(所有者・共有先の表示例)

出典: Microsoft Power Automate 公式サイト

退職・異動が決まった段階で、在籍中にやっておくべきことと、その後の恒久対策を分けて書きます。

在籍中にやる応急処置(1フローあたり30分〜1時間)

  1. フローの一覧を出す。本人のPower Automate画面の「マイフロー」、または管理者がPower Platform管理センターから、作成者で絞り込む
  2. 共同所有者を最低1名、できれば2名追加する。共同所有者は作成者と同じ権限(編集・削除・接続の管理・他の所有者の追加)を持つため、信頼できる人に限定する。公式ガイドは「共同編集が必要な場合にのみ共同所有者を追加し、ほとんどは実行専用で共有する」ことを推奨している
  3. 接続を引き継ぎ先のアカウントに付け替え、テスト実行する。接続を付け替えないと、共同所有者がいてもアカウント無効化と同時に失敗する
  4. エラー通知の宛先を、個人のメールから共有の宛先(部門の共有メールボックスやTeamsチャネル)に変える
  5. デスクトップフローは、どのパソコンで、誰がサインインした状態で動いているかを確認する。個人のパソコンで動いているなら、退職前に別の端末へ移す計画を立てる

恒久対策(Microsoft公式が推奨する形)

応急処置で当面は動きます。しかし次の退職で同じことが起きるので、フローを「特定の個人に紐づかない形」に作り替えるのが恒久対策です。Microsoft Learnの共有ガイドとライセンスFAQに書かれている推奨構成を、業務の言葉に直すと次のとおりです。

対策

何をするか

効く依存点

ソリューション化と接続参照

フローをソリューションに入れ、接続を「あとから差し替えられる参照」の形にする。所有者変更がその場でできるようになる

①所有者 ②接続

所有者の二重化

重要なフローは「人ではなくシステム用のID(サービスプリンシパル)または専用アカウントが所有者、加えて2名が共同所有者」の構成にする。公式ガイドが重要フローの例として挙げている形

①所有者

適切なライセンス

多くの人が使うフローにはProcessライセンス(22,488円/ボット/月・税別)を割り当てる。1つのライセンスを複数人で使い回すこと(多重化)は契約違反

③ライセンス

台帳の整備

目的・きっかけ(トリガー)・接続先・所有者・利用部門・最終実行日を1フローごとに記録する

⑤知識

定期監査

月次または四半期で「所有者と最後に変更した日時」の一覧を出し、所有者が1人しかいないフロー、使われていないフローを洗い出す。フローを作れる環境をセキュリティグループ(利用者をまとめた権限の単位)で限定する

①所有者 ⑤知識

手作業に戻す手順書

止まったときに人が代替できる手順を残す。日経xTECHが2019年に紹介した例では、毎朝ロボットの開始通知を受け取り、通知が来なければ即座に手作業に切り替える運用にしていた

⑤知識

ここで1つ注意があります。「共有のIDとパスワードを1つ作って、全部のフローをそのIDで動かす」という対処は現場でよく行われますが、Microsoft公式のライセンスFAQは「サービスアカウントはベストプラクティスとして推奨されません」と明記しています。誰が変更したか追えず、パスワード管理が難しく、資格情報の共有そのものがセキュリティリスクになるためです。元の所有者への依存を切る目的なら、人のIDではなくシステム用のIDを使うよう案内されています。

Microsoft自身も、2026年リリースウェーブ1(2026年4〜9月)で、フローの依存関係・接続・環境の関係を可視化するインベントリ、資格情報の一元管理、デスクトップフローの共同編集といった、属人化対策に当たる機能を強化中です。ただし各機能の提供時期は個別には確認できていないため、今すぐの対策としては上の表を前提にしてください。

引き継ぎ整備と放置にかかる費用|月何時間×人件費で試算する

ここからが本題です。属人化したフローを「放置した場合」「整備した場合」「業務ごと移した場合」の3つを数字にします。多くの会社では、Power Automateのライセンス費しか予算に載っておらず、復旧や引き継ぎに使っている人件費が見えていません。

放置した場合の見えないコスト

止まったフローを人が手作業で代替するコストと、復旧のたびに情シスが調査するコストです。

項目

前提

月額

止まったフローの手作業代替

毎朝の集計・レポート配信フローが止まり、担当者が1日1時間手作業で回す=月20時間 × 時給3,000円

60,000円(年間72万円)

復旧のたびの調査

1件あたり2〜4時間 × 月2件=月4〜8時間 × 時給4,000円(情シス)

16,000〜32,000円

合計

月24〜28時間

76,000〜92,000円(年間91万〜110万円)

止まっている間の業務の遅れや、間違った集計が経営会議に上がる損失は含めていません。

整備した場合の一度きりのコスト(30フローの例)

30本のフローを引き継げる形に整備する作業を、1フローあたりの時間に分解します。時間は本記事の仮定で、フローの複雑さによって上下します。

作業

1フローあたり(仮定)

30フロー

棚卸し(目的・トリガー・接続・所有者・利用部門・最終実行日を台帳化)

0.5〜1時間

15〜30時間

応急処置(共同所有者追加・接続付け替え・テスト実行)

0.5〜1時間

15〜30時間

恒久対策(ソリューション化・接続参照化・所有者変更・再テスト)

1〜3時間

30〜90時間

ドキュメント(業務概要図・フロー概要図・障害対応手順)

1〜2時間

30〜60時間

合計

3〜7時間

90〜210時間

情シス担当者の時給を3,000〜4,000円と置くと、30フローの整備だけで27万〜84万円相当の人件費です。しかも情シスが1人で兼務している会社では、この90〜210時間を捻出すること自体が難しく、整備が終わる前に次の退職者が出る、というのが実態です。

業務ごとAIエージェントに移した場合の回収試算

3つ目の選択肢は、フローを引き継ぐのではなく、そのフローがやっていた業務そのものを、人に依存しない形で作り直すことです。当社のシゴハヤエージェント(御社専用のAI社員が定型業務を自動実行するサービス)を例に、費用を初期100万円(税別)+月額10万円(税別・10名規模の処理量)として試算します。

まず、正直に書いておきます。1業務だけでは回収できません。

  • 月次レポート作成に担当者1名が月20時間(時給3,000円=月6万円)、加えて情シスが復旧対応に月5時間(時給4,000円=月2万円)
  • 現状の月コスト:8万円(年間96万円)
  • 月額10万円のほうが高いので、この規模で移すと月2万円の持ち出しになる

回収できるのは、属人化したフローが複数あって、業務を束ねられる場合です。

  • 対象業務3本(集計レポート・データ転記・添付ファイルの仕分け)で合計月60時間 × 3,000円=月18万円(年間216万円)
  • 乗り換え後の月額:10万円(変更への追従・復旧を含む)
  • 月の差額:8万円
  • 投資回収:初期100万円 ÷ 8万円 ≒ 約13ヶ月

自社の数字で計算するときは、次の式を使ってください。

回収月数 = 初期費用100万円 ÷(現状の月コスト − 乗り換え後の月額10万円)

作業の流れは次のように変わります。

  • Before:退職者のアカウントで動くフローが止まる → 情シスが原因を調査 → 担当者が手作業で代替 → 接続を付け替えて復旧 → 次の退職でまた同じことが起きる
  • After:業務をAIエージェントが実行し、判断できないものだけを担当者のチャットに「要確認」で通知 → 画面・帳票の変更への追従と復旧は当社側 → 社内の個人のアカウント・パソコン・ライセンスに紐づく部分が残らない

自動化できる業務・できない業務の境界線

「AIエージェントに移せば属人化は全部解決する」わけではありません。移せる業務と移せない業務、そしてPower Automateのまま運用し直したほうがよい業務を正直に分けます。

AIエージェントに任せられる

任せられない

メール添付のExcel・CSVを集計してレポート配信する(毎日・毎週・毎月)

毎回内容を読んで人が判断する問い合わせ対応(例外だらけの業務)

SharePoint・フォームの入力内容を基幹システムやスプレッドシートに転記する

紙の伝票・FAX・対面での確認が前提の業務

商談記録をCRMに入力し、フォローメールを送る

最終決裁・承認そのものをAIに委ねたい業務

商品マスタ・カタログの定期更新、システム間のデータ照合

月1回・30分で終わる業務(費用対効果が出ない)

デスクトップフローで無理やり画面操作していた業務のうち、ファイルや連携用の窓口(API)で置き換えられるもの

Windowsアプリの画面操作しか手段がなく、判断ルールも文書化できない業務

判断のルールを文章で説明できるかどうかが分かれ目です。「この店舗の『数量』は錠数として扱う」「件名に『請求』が含まれていれば経理フォルダへ」のように書けるなら任せられます。「担当者が見れば分かる」としか言えないなら、それは属人化そのものであって、どの道具に移しても解消しません。まずルールを言葉にする作業が先です。

Power Automateのまま運用し直したほうがよいケース

次に当てはまるなら、前の章の恒久対策だけで十分で、AIエージェントに移す必要はありません。

  • Teamsの承認や通知など、Microsoft 365の中で完結する軽いフローが中心
  • 社内にPower Platformを扱える人が2名以上いて、月次の監査を回せる
  • フローが10本未満で、すべてクラウド上で動くフロー(パソコンに依存するデスクトップフローがない)

逆に、情シスが1人で兼務している、フローが数十本を超えている、担当者のパソコンで動くデスクトップフローが多い、のいずれかに当てはまるなら、整備し続ける人件費(前の章の90〜210時間)が毎年発生することを前提に、移す選択肢も並べて検討してください。

解決策は3つある|直す・作り直す・AIエージェントに移す

属人化したPower Automateへの対処を、当社サービスに限らずフラットに並べます。キーマンズネットの2023年調査(N=606)では、RPAの開発・運用を「全て自社で」行う企業が41.4%、「一部パートナーに依頼」が40.7%、「全面的にパートナー」が7.0%でしたが、理想の形として最も多かったのは「一部外部支援」の54.4%でした。全部を内製する、全部を外に出す、のどちらかではなく、どこまでを社内に残すかを決める話です。

方法1. 手作業に一部戻して、手順書を整える

止まったら人が回す前提で、手順書とチェックリストを整備します。費用は人件費のみで、追加のライセンスも外注費もかかりません。

  • 合う:フローが数本で、止まっても月数時間の手作業で回せる業務
  • 合わない:毎日動いている業務、件数が多くて人手では戻せない業務
  • 注意点:「自動化をやめる」判断なので、担当者の作業時間は元に戻る。フローの数が少ないうちは、これが最も安い

方法2. Power Automateを正しく運用し直す(社内で/外部に頼んで)

前の章の恒久対策を実行する方法です。ソリューション化、接続参照、共同所有者2名、システム用IDの所有者、台帳、月次監査、必要ならProcessライセンス。Microsoft公式が推奨する形なので、Microsoft 365中心の会社ならこれが本筋です。

  • 社内でやる場合:人件費27万〜84万円相当(30フロー・本記事の仮定)+追加ライセンス(Premium 2,248円/ユーザー/月〜、無人のデスクトップフローがあればProcess 22,488円/ボット/月)
  • 外部に頼む場合:設定代行45万円〜/設計・設定代行60万円〜(30時間・1〜3ヶ月、テックバン公開価格)、野良フローの棚卸しからガバナンス整備までのパッケージなら税抜180万円〜・約2.5ヶ月(日本ビジネスシステムズ公開価格)。継続の運用サポートは15万円〜/30時間
  • 合う:社内にPower Platformを扱える人が2名以上いる、フローの大半がクラウド上で完結している
  • 合わない:情シスが1人・兼務、フローが数十本超、デスクトップフローが多い。外部に頼んでも「整備が終わったあとに誰が回すか」は社内に残る

方法3. 業務ごとAIエージェントに移す

フローを引き継ぐのではなく、「メールを受け取る→集計する→レポートを配信する」といった業務の単位で、専用のAI社員に置き換える方法です。当社のシゴハヤエージェントは、初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)で、処理量に応じて10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安です。所有者・接続・ライセンス・パソコンの依存が社内の個人に残らず、画面や帳票の変更への追従と復旧は当社側で行います。

  • 合う:毎日・毎週・毎月繰り返し、入出力がデジタルで完結し、判断ルールを定義できる業務が複数ある
  • 合わない:毎回例外判断が必要、紙・対面が前提、最終決裁をAIに委ねたい、対象業務が1本で月額に見合わない
  • 注意点:導入に1〜2ヶ月かかる。既存のフローが「何をしているか」を言葉にする作業は、方法2と同じく必要

Zapier・Makeなど他のノーコードツールで同じ壁に当たっている場合は、ZapierとMakeの限界で同じ判断の型を扱っています。

費用の目安|ライセンス・外部支援・AIエージェントを同じ表で比べる

3つの方法の費用を、初期費用・月額・「整備後に誰が回すか」で並べます。価格はいずれも2026年9月時点の各社公式サイト掲載値(税別)です。Microsoftの価格は年間契約の表示価格で、改定される可能性があります。

方法

初期費用

月額の目安

整備後に回す人

備考

社内で引き継ぎ整備

0円(人件費27万〜84万円相当・30フロー仮定)

追加ライセンス:Premium 2,248円/ユーザー、無人RPAならProcess 22,488円/ボット

社内(2名以上)

月次監査を続けないと再発する

外部に設定・設計代行

45万〜60万円(30時間・1〜3ヶ月)

運用サポート15万円〜/30時間

外部+社内

時給換算で約5,000円〜2万円

外部に棚卸し・ガバナンス整備

80万円〜(内製化支援)/150万円〜(構築おまかせ)/180万円〜(野良フロー解消パッケージ・約2.5ヶ月)

別途

外部→社内へ移管

成果物は台帳用スクリプト・運用ガイド・移行手順書など

AIエージェント(シゴハヤエージェント)

100万円

10〜50万円。10名規模で10万円、30名規模で20万円

当社

導入1〜2ヶ月。変更追従・復旧は月額に含む

表を見て分かるとおり、方法2は「初期費用を払って整備しても、その後に社内で回す人が必要」で、方法3は「初期費用と月額が固定で、回す人の確保が要らない」という違いです。属人化の本質が「回す人がいない」ことなら、ライセンスの安さより、整備後に誰が責任を持つかが決まっている構成を選ぶべきです。

シゴハヤエージェントの料金の決まり方と、どの業務が対象になるかはサービスページにまとめています。今動いているフローの一覧(本数・止まった回数・復旧にかかった時間)を教えていただければ、上の回収の式に当てはめて、移したほうが安いかどうかを無料で試算します。方法2で済む場合は「Power Automateのまま整備してください」とお伝えします。

実際にやった事例|調剤薬局のケース

当社が支援した調剤薬局のケースです(守秘のため社名は非公開)。出発点はPower Automateのフローではなく手作業でしたが、「判断が特定の担当者の中に閉じている業務を、個人に依存しない形で自動化した」という点で、属人化したフローを作り直す際とまったく同じ設計を使っています。

課題

複数店舗を展開する調剤薬局で、レセプトコンピュータ(保険請求用のシステム)、在庫管理システム、本部の集計用Excelが別々に動いていました。各店舗のスタッフが日次で在庫の受払いを在庫管理システムに入力し、週次で本部提出用のExcelに転記していました。問題は、Excelの書式が店舗ごとに違うことです。項目名が「錠数」「数量」「個数」と店舗によってばらつき、列の並びも揃っていません。どの店舗の何をどう読み替えるかは本部担当者が毎週手で判断しており、この「読み替え」に時間を取られていました。

これをPower Automateで組んでも、読み替えのルールが「作った人のフローの中」に閉じるだけで、属人化の場所が担当者の頭の中からフローの中へ移るにすぎません。店舗が書式を少し変えるたびに、作った人が直す必要があります。

作ったもの

各店舗から上がってくるファイルとシステム上のデータを自動で取得し、本部の集計フォーマットに揃えて統合する仕組みを構築しました。項目名の表記ゆれは、読み替えのルールを文章として定義して吸収します。ルールで判断できないデータだけを「要確認」として本部担当者のチャットに通知し、統合後は差異チェックまで自動で行って、結果を日次レポートとして関係者に配信します。

属人化対策として効いたのは、次の4点です。

  1. 読み替えのルールを文章にして定義した。ルールは薬局側にも共有しているため、「作った人にしか分からない」状態がない
  2. 社内の個人のアカウント・パソコン・ライセンスに紐づく部分がない
  3. 店舗が書式を変えたときの追従と、止まったときの復旧は当社側が行う
  4. 判断は人に残した。AIは解釈できる範囲を処理し、できない部分を人に回す

何がどう変わったか

本部の担当者が週次で行っていた整形・集計作業がなくなり、確認と例外対応だけの運用になりました。店舗側の転記作業も不要になっています。担当者が不在でも集計が止まらない体制になり、加えて、週次でしか把握できなかった在庫の差異が日次で分かるようになったため、発注のタイミングを早められています。作業時間の削減より、判断が早くなったことのほうが評価されました。

医療機関やインフラ企業でも、複数システムをまたぐ照合・転記の自動化を手がけています。Power Automateで属人化しやすい典型業務については、月次レポートの自動化メール添付ファイルの仕分け自動化システム間のデータ転記の自動化でそれぞれ詳しく解説しています。

導入までの流れと期間

属人化したPower Automateからの移行の場合、標準で1〜2ヶ月です。既存のフローは、移行が終わるまで止めません。

段階

内容

期間の目安

① 無料相談・現状の棚卸し

動いているフローの一覧、所有者の所在、止まった回数、復旧にかかった時間を確認。放置コストと回収月数の試算を提示

1〜2週間

② 対象業務と効果の整理・見積

境界線の表で「移す」に当たる業務だけを対象にする。Power Automateのまま整備する業務も明確にする

1週間

③ 専用環境・業務フローの構築

業務の判断ルールを文章に落とし、AIエージェントを構築。既存フローの定義(エクスポートしたもの)があれば、手順書として参照する

3〜5週間

④ テスト・並行運用

既存のフロー(または手作業)とAIエージェントを同時に動かし、結果を突き合わせる

2週間

⑤ 本番稼働・継続運用

差異がなくなってから切り替え。移行したフローの所有者・接続・ライセンスは整理し、不要なライセンスは次回更新で解約

①の段階で、方法1か方法2で済むと判断した場合は、その旨をお伝えして終わります。契約が発生するのは②の見積に合意してからです。相談はシゴハヤエージェントのページから受け付けています。

よくある質問

Q1. 退職者が作ったフローを管理者が引き取るのに、本人の協力は必要ですか?

必須ではありません。管理者はPower Platform管理センターの[環境]→[リソース]→[フロー]で所有者欄が空のフローを確認し、[共有]から新しい共同所有者を割り当てられます。管理者向けのコマンド(PowerShell)で、退職者が作成したフローを一括で列挙して共同所有者を付けることもできます。ただし、フローの中の接続は本人のIDで認証されているため、付け替えと動作確認は別途必要です。「何のためのフローか」は本人にしか分からないことが多いので、在籍中に共同所有者の追加と台帳の記入まで済ませておくのが、結局いちばん手間が少なくなります。

Q2. Windows 11に付属している無料版のPower Automateで作ったフローは、引き継げますか?

そのままでは引き継げません。Windowsに付属する範囲のデスクトップフローは、公式の仕様で「共有不可」「既定の環境以外では作成不可」「クラウド上のフローからの呼び出し不可」です。個人のMicrosoftアカウントや無料範囲の職場アカウントでは、共有・一元管理・無人実行がすべて使えません。組織のプレミアム相当のアカウントに移して作り直すことが前提になるため、無料版で本番業務を回しているフローがあれば、それが最も優先度の高い属人化リスクです。

Q3. ソリューションに入っていないフローを作り直すと、それまでの実行履歴はどうなりますか?

エクスポート/インポートや「名前を付けて保存」で作り直したフローは、公式の説明では新しいフローとして扱われます。実行履歴が引き継がれるかどうかは公式ドキュメントで明文を確認できていないため、この記事では断定しません。監査や証跡の目的で履歴が必要な場合は、作り直す前に元のフローの実行履歴を保存しておいてください。

Q4. Microsoft 365のライセンスだけで属人化対策はできますか?

一部はできます。Microsoft 365に含まれるPower Automateは、標準コネクタ(Microsoft 365の中のサービスをつなぐ基本の部品)のみ・1日6,000アクションまでという範囲で、共同所有者の追加やフローの共有は可能です。ただし、有料コネクタ・社内サーバーとの接続・デスクトップフロー(RPA)を使うフローは、所有者がPremiumライセンス(2,248円/ユーザー/月・税別)を持っている必要があります。つまり「Microsoft 365だけで作れる範囲」を超えた瞬間に、担当者個人のライセンスに依存し始め、退職と同時にライセンスも消える構造になります。この場合、共有IDにライセンス1つを付けて複数人で使い回す対処は多重化に当たり契約違反なので、Processライセンス(22,488円/ボット/月・税別)を割り当てるか、業務ごと別の手段に移すかの二択です。

Q5. デスクトップフロー(画面操作のRPA)は、誰のパソコンで動かすべきですか?

個人のパソコンは避けてください。担当者のパソコンで動くフローは、退職・パソコン交換・OS更新で止まります。人がいなくても動く「無人実行」にするには、Processライセンス(22,488円/ボット/月・税別)と、実行専用の端末を登録することが必要で、その端末は全員がサインアウトした状態でなければ動きません。ロックされたセッションが残っているとWindows 10/11では実行できず、リモート接続で動く仕組みのため画面解像度の違いで操作対象を見失うこともあります。端末の用意が難しければ、Microsoftが端末を用意するHosted Process(32,233円/ボット/月・税別)という選択肢もあります。それでも安定しない場合は、画面操作ではなくファイルや連携用の窓口で処理できる形に業務を作り直すほうが確実です。

Q6. 情シスが1人しかいません。共同所有者2名の体制が組めない場合はどうすればよいですか?

共同所有者は情シスに限る必要はありません。所有者をシステム用のIDにしたうえで、共同所有者を「情シス1名+その業務の部門長」にすれば、退職リスクは分散します。ただし、部門長がフローの中身を直せるわけではないので、直す作業を外部の運用サポート(15万円〜/30時間が公開価格の目安)に出すか、直す作業自体が発生しない形(業務ごとAIエージェントに移す)にするかを決めておく必要があります。「1人で全部見る」を続けるのが最もリスクが高い選択です。

Q7. AIエージェントに移したら、今度はベンダーへの依存になりませんか?

その懸念は正当です。確認すべきなのは、業務の判断ルールが文書として御社側にも残るか、並行運用の期間があるか、契約終了時に成果物がどう扱われるか、の3点です。当社の場合、判断ルールは文章として定義し御社と共有したうえで構築します。ソースコードの引き渡しや完全無人化の可否についてはサービスページのよくある質問に項目を設けていますので、条件は相談時にご確認ください。Power Automateの属人化との違いは、「直す責任が個人にあるか、契約で決まった相手にあるか」です。

Q8. MicrosoftのCopilotやAI機能で、属人化は解消されますか?

一部は解消に向かいます。Power Automateの2026年リリースウェーブ1では、デスクトップ自動化の自己復旧を行うAIエージェント、フローの依存関係を可視化するインベントリ、資格情報の一元管理などが予定されており、方向としては「所有者・接続・パソコン」の依存を減らすものです。ただし各機能の提供時期は個別に確認できておらず、リリースプラン自体も2026年9月以降は公開が終了し、別のロードマップに統合されます。また、「何のためのフローか」「止まったら誰が何をするか」という知識の依存点は、どの機能を使っても人が文書にしなければ埋まりません。

Power Automateの引き継ぎに困っている方へ

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出典: シゴハヤエージェント 公式サイト

Power Automateの属人化は、ソリューション化・共同所有者・接続参照・台帳・月次監査という公式推奨の形に整備すれば解消できます。しかし、次の3つが揃っているなら、それは整備の仕方の問題ではなく、「整備したあとに誰が回すか」の問題です。

  • 情シスが1人・兼務で、90〜210時間の整備を捻出できない
  • フローが数十本あり、作った人が異動・退職していて中身を説明できる人がいない
  • 止まるたびの手作業代替と復旧に、月8万円前後の人件費が消えている

この3つに当てはまるなら、属人化したフローの業務を束ねて、シゴハヤエージェントで初期100万円+月額10万円(税別・10名規模)から移すことができ、試算上はおよそ13ヶ月で投資を回収できます。当てはまらない場合は、正直に「Power Automateのまま整備したほうがよい」とお伝えします。

まずは、今動いているフローの本数と所有者の所在、止まった回数と復旧にかかった時間をお聞かせください。放置コストの試算と、移したほうが安いかどうかの判断を、無料でご提示します。

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