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AIのPoC費用の相場|300万円は高いか・やること・成果物・期間【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/09
AIのPoC費用の相場|300万円は高いか・やること・成果物・期間【2026年9月最新】

この記事のポイント

AIのPoC費用は生成AI型で100〜400万円・4〜10週間、自社データで学習させる従来型で300〜1,500万円。300万円が妥当かの判定、5工程の費用配分、成果物、自社側48〜72時間の負担、PoCが不要なケースまで数字で解説します。

AIのPoC(試作を作って使えるかどうかを確かめる工程)の費用相場は、生成AIを既存業務に組み込むタイプで100〜400万円・期間4〜10週間、自社のデータでAIに学習させる従来型のタイプで300〜1,500万円・期間2〜4か月と、同じ「PoC」でも桁が違います。提示されることの多い300万円は、外部システムとの連携と本番に進めるかどうかの判断材料の作成まで含んだ場合の標準額であり、高すぎる金額ではありません。

ただし、この記事で一番お伝えしたいのは金額の妥当性ではありません。300万円を払ってPoCをやる前に、そもそもPoCが要らない案件が一定数あるということです。当社の価格はPoC 300万円〜、小規模改修 30万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)ですが、30万円の改修で終わる話に300万円のPoCを組むのは、発注側にとっても受注側にとっても損です。

総務省「令和8年版 情報通信白書」によると、生成AIを「積極的に活用する方針」と「領域を限定して利用する方針」を合わせた企業の割合は日本で68.9%(前年度調査49.7%)、何らかの業務で生成AIを利用している企業は86.4%に達しています。一方で、利用されている業務は文書の作成・編集が7割超で最も多く、使いどころは今も文書まわりに寄っています。つまり多くの企業は、すでに試してはいるが、基幹の業務にはまだ入れられていない段階にあります。PoCの費用を調べているということは、まさにその一歩先へ進もうとしているということです。

出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの活用方針等同「生成AIの業務利用状況」

PoCの費用相場が「100万円」と「1,500万円」に割れている理由

生成AI活用型と従来型でPoCの費用規模が大きく異なることを表したイメージ

「AI PoC 費用」で検索すると、100〜300万円と書いてある記事と、500〜1,500万円と書いてある記事が同時に出てきます。どちらも間違いではありません。同じ「PoC」という言葉で、費用構造がまったく違う2種類の仕事を指しているからです。

生成AIを業務に組み込むPoC

自社データで学習させる従来型のPoC

やること

既存のAIサービスを呼び出し、自社の業務手順に当てはめて試す

自社に溜まったデータでAIに学習させ、精度が出るか試す

典型例

文書を読ませて回答させる、書類の内容を読み取って転記する、問い合わせの一次対応

画像による外観検査、需要予測、設備の異常検知

費用の中心

業務設計、指示文の設計、既存システムとの連携、評価

データの収集・整理と、AIに学習させるための正解付け作業

費用相場

100〜400万円(連携なしの小規模なら100〜200万円)

300〜800万円(大規模は1,500万円まで)

期間

4〜10週間

2〜4か月

学習データの整備

原則不要

必須。費用の6〜7割を占めることがある

分岐点は「AIに新しく覚えさせる必要があるか」の一点です。既存のAIサービスがすでにできることを、自社の業務の形に当てはめるだけなら学習は要らないので、費用は業務設計と連携に集中します。逆に、自社にしかないデータ(自社製品の不良品画像、自社の販売実績)から判断させたいなら、データを集めて1件ずつ正解を付ける作業が発生し、ここが費用の大半を食います。

自社の案件がどちらかを見分ける3つの質問

  1. AIに判断させたい内容は、一般的な言葉や書類の読み書きで表現できますか。 できるなら生成AI型です。「契約書からこの項目を抜き出す」「問い合わせ内容を分類する」はこちらに入ります。
  2. 判断の根拠が、自社にしかないデータの中にありますか。 自社製品の写真、自社設備のセンサー記録、自社の過去の販売実績から判断させたいなら従来型です。
  3. その判断の「正解」を、誰かが1件ずつ付ける必要がありますか。 必要なら従来型で、その作業量がそのまま費用になります。数千件単位の正解付けが必要なら、300万円ではPoCは収まりません。

1つ目だけに当てはまるなら100〜400万円のレンジ、2つ目・3つ目に当てはまるなら300万円以上を前提に予算を組んでください。見積を取る前にこの判定をしておくと、各社の金額を同じ土俵で比べられるようになります。

PoCで実際にやること|5つの工程と、どこにお金がかかるか

PoCの5つの工程とデータ準備の作業を表したイメージ

PoCは「試しに作ってみる」という漠然とした作業ではありません。公開されている複数の開発会社の工程配分を突き合わせると、次の5工程にほぼ収束します。

工程

やること

期間の目安

費用に占める割合

1. 対象業務の絞り込みと合格ラインの決定

検証する業務を1つに絞る。何ができたら合格かを数値で決める

1〜2週間

10〜15%

2. データの準備

対象データを集め、形式を整え、必要なら匿名化する。従来型では正解付けもここ

1〜4週間

30〜45%(従来型は60〜70%)

3. 試作の作成

実際に動くものを作る。完成品ではなく検証用

2〜4週間

25〜35%

4. 評価とレポート作成

合格ラインと照合し、現場に使ってもらって意見を集める

1〜2週間

15〜25%

5. 進行管理

全期間を通じた調整・報告

全期間

10〜15%

費用の3割から4割が、AIを作る前の「データの準備」に消えます。 これがPoCの見積が高く見える最大の理由です。読者の会社にあるデータは、たいてい複数のシステムに分かれ、形式が揃っておらず、そのままではAIに渡せません。ここを整える作業は地味ですが避けられず、しかも発注側の準備状況で費用が最も大きく動く箇所でもあります。

もう1つ、見積を見るときに確認してほしいのが工程1です。ここが見積に入っていないPoCは要注意です。 合格ラインを決めずに始めると、終わってから「精度80%は高いのか低いのか」を議論し始めることになり、その議論に結論が出ないまま追加の検証を重ねて費用が膨らみます。

PoCを独立した契約として切るのは、国が推奨している進め方

「なぜ本開発と分けて、わざわざPoCだけを発注するのか」という疑問を社内で受けることがあります。これは思いつきの商習慣ではありません。

経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(平成30年6月)は、AI開発では契約の時点で性能や内容を確定できないという問題に対して、「探索的段階型開発方式」を提示しています。開発を「①アセスメント → ②PoC → ③開発 → ④追加学習」の4段階に分け、段階ごとに別の契約を結ぶという考え方です。同ガイドラインは各段階に対応するモデル契約(秘密保持契約書/導入検証契約書/ソフトウェア開発契約書/追加学習契約書)まで用意しており、PoC段階に対応するのが「導入検証契約書」です。

さらに2025年2月18日には、生成AIの普及を踏まえて経済産業省から「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(令和7年2月)が公表されています。AI利活用の実務になじみのない事業者を含め、実務上使いやすい形式で契約上の論点を整理したものです。

稟議で「なぜ一括発注ではなくPoCから始めるのか」を説明する必要があるとき、この2つはそのまま資料に引用できる一次情報です。「国のガイドラインが段階を分けることを標準としている」と書けるのは、社内説明で効きます。

出典:経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月18日公表)

PoCの成果物は何が納品されるのか

300万円を払って、手元に何が残るのか。ここが曖昧なまま契約すると、終わったときに「レポート1冊だけだった」ということが起こります。標準的には次の4点です。見積書の納品物の欄に、この4つが明記されているかを確認してください。

成果物

中身

何に使えるか

動く試作

実際にデータを入れて結果が出るもの。デザインや例外処理は未完成

現場に触ってもらい、使えそうかの実感を得る

評価レポート

合格ラインに対する結果。精度、処理時間、対象件数の実測値

稟議書の「効果」欄の根拠

本開発の概算見積と工程表

本番稼働までにかかる費用と期間

稟議書の「費用」欄の根拠

移行判断資料

本番に進む場合のリスク、運用体制、想定される追加コスト

経営会議での質疑への備え

判断の基準は「稟議を通すために使えるか」の一点です。 PoCの目的は動くものを手に入れることではなく、次に数百万円から数千万円を投じるかどうかを決める材料を手に入れることです。そう考えると、動く試作より評価レポートと概算見積のほうが重要になる場面もあります。

逆に、社内で「まず現場に触らせないと話が進まない」という状況なら、動く試作の完成度に予算を寄せるべきです。どちらに寄せるかを発注前に決めて伝えると、同じ300万円でも成果物の中身が変わります。 ここを伝えずに発注すると、開発会社は無難に4点を薄く揃えてくるため、どれも稟議には少し足りない、という結果になりがちです。

見積書に載らない費用|自社側が出す時間は48〜72時間

PoCの費用を調べている方が見落としがちなのが、外注費とは別に自社側が出す時間です。PoC期間中、発注側は次のことをやります。

  • 対象業務の担当者へのヒアリングに立ち会う
  • 現状のデータを探して提供する(これが一番時間を食います)
  • 出てきた結果を見て、正しいか間違っているかを判定する
  • 現場に試用してもらい、意見を集める
  • 定例会に出て、方針の判断をする

生成AI型のPoC(8週間)を想定した場合の目安が次の表です。

役割

週あたり

8週間の合計

時給換算

金額換算

対象業務の現場担当者(主担当)

2〜4時間

16〜32時間

3,000円

4.8〜9.6万円

データ提供・システムの窓口担当

1〜2時間

8〜16時間

3,500円

2.8〜5.6万円

決裁者・責任者(定例と判定会議)

1時間

8時間

5,000円

4.0万円

試用に参加する現場メンバー(3〜5名)

合計2時間

合計16時間

3,000円

4.8万円

合計

48〜72時間

約16〜24万円

300万円のPoCには、自社側でおよそ48〜72時間、金額にして16〜24万円相当の時間が必要という計算になります。外注費に対して5〜8%の上乗せです。

金額そのものより重要なのは、この時間を空けずに発注すると費用が増えることです。開発会社側は工程2(データの準備)に入れず待ちになります。仮にPoCが2週間延びた場合、進行管理費は総額の10〜15%、つまり300万円のPoCなら30〜45万円で8週間分ですから、1週あたり4〜6万円が動く計算です。2週間で8〜11万円。加えて、期間が延びれば現場の担当者の時間も追加で消費されます。

対策は難しくありません。発注前に、社内で「誰が週何時間出せるか」を名前入りで決めておいてください。 「情報システム部で対応します」ではなく「◯◯さんが毎週火曜の午後2時間」まで決まっている案件は、ほぼ予定どおりに終わります。業務にかかっている時間の測り方は自動化の効果測定でも解説しています。

AIのPoC費用の目安|相場のどこに300万円があるか

AIのPoC費用の予算を検討する場面をイメージした机上の写真

ここまでの中立的な相場をまとめると、次のようになります。すべて税別、公開されている開発会社の価格を突き合わせた実際のレンジです。

PoCの種類

費用

期間

何ができるか

社内での簡易確認

50〜100万円

2〜4週間

手元のデータで「それらしい結果が出るか」を確認する。既存システムとの連携なし

生成AI活用型(小規模)

100〜200万円

4〜6週間

業務1つを対象に、試作と評価まで。連携は1本程度

生成AI活用型(連携あり)

200〜400万円

6〜10週間

既存システムとの連携を含み、本番移行の判断材料まで作る

従来型(自社データで学習)

300〜800万円

2〜3か月

データの収集・整理・正解付けを含む

従来型(大規模)

800〜1,500万円

3〜4か月

対象データ量が多く、正解付けの工数が大きい案件

PoCの後に発生する運用費も先に押さえておいてください。生成AI活用型の場合、AIの利用料が月1〜5万円、動かすための基盤が月5〜30万円、保守が月10〜50万円で、合計で月15〜85万円が目安です。PoCの見積だけを見て予算を組むと、本番稼働の初年度でここが抜けます。本開発と保守も含めた費用の全体像はAI受託開発の費用相場にまとめています。

当社の価格と、300万円という金額の位置づけ

当社の価格は次の通りです(すべて税別)。

業界の目安

当社

PoC

100〜1,500万円(種類により大きく変動)

300万円〜

小規模な改修・部分自動化

5〜50万円

30万円〜

本開発

300万〜3,000万円

個別見積

「AIのPoCに300万円」は高すぎる金額ではありません。 300万円は、生成AI活用型のうち既存システムとの連携を含む帯(200〜400万円)のほぼ中央にあり、同時に従来型(300〜1,500万円)の下限にあたる位置です。具体的には、既存システムとの連携を含み、本番に進めるかどうかの判断材料まで揃える場合の標準額と考えてください。

一方で、100万円を切るPoCは「社内での簡易確認」に相当します。 安いこと自体が悪いのではなく、その金額では既存システムとの連携も、現場での試用も、本開発の概算見積も入りません。「試したら動きました」で終わり、稟議には使えません。100万円の見積を受け取ったら、納品物の欄に前章の4点が入っているかを確認してください。入っていなければ、300万円のPoCとは別のものを見ていることになります。

当社が価格以外で重視しているのは2点です。1つは、要件が固まっていない段階から相談を受けること。 「AIで何かできないか」「この業務にAIが合うのかも分からない」という状態で構いません。初回相談は無料です。もう1つは、PoCが不要なら不要と申し上げること。 次章の通り、300万円のPoCを受注するより30万円の改修で終わらせたほうが良い案件は実際にあります。

費用の内訳、対応できる範囲、進め方の詳細は受託開発サービスのページに記載しています。

PoCをやらないほうがいいケース

PoCの費用を解説している記事のほとんどは、PoCを売っている会社が書いています。そのため「PoCはやるべきもの」という前提で書かれています。実際には、PoCを飛ばして直接作ったほうが安く早く終わる案件があります。 当てはまるのは次の3つです。

1. 確かめるべき技術的な不確実性が、実質的にない場合

「できるかどうか」ではなく「やるかどうか」で止まっているだけなら、PoCは検証すべき問いを持っていません。たとえば、決まった形式のCSVを別の形式に変換して取り込む、毎月同じ集計をして同じ宛先に送る、といった処理です。これらは他社での実装例が確立しており、動くことが分かっている作業です。この場合は小規模改修の範囲で直接作るほうが合理的です。当社でもこの規模の案件は受託開発の小規模改修(30万円〜・税別)として承っています。具体例は月次レポートの自動化データ転記の自動化をご覧ください。

2. PoCの費用が、本開発の費用を上回ってしまう場合

対象業務が小さいと、この逆転が起こります。判定はかんたんです。対象業務に月何時間かかっているかを実測してください。 月20時間の作業なら、時給3,000円換算で月6万円、年間72万円です。これを300万円のPoCで検証しても、投資を回収するのに4年以上かかる計算になります。一方、30万円の改修で解消できるなら5か月で回収できます。月10時間を切る業務にPoCは合いません。

3. 既製のサービスやノーコードのツールで足りる場合

作る前に、買って済むかを確認してください。市販のサービスで7割方まかなえるなら、そちらのほうが安く、早く、保守も要りません。判断の材料はノーコードとAIエージェントの違いにまとめています。

逆に、PoCをやるべきなのは次のような場合です。 対象業務の判断ルールが人によって違い、文書化されていない。扱う書類の形式がバラバラで、AIが正しく読めるか読めないかが事前に分からない。本開発に1,000万円以上かかる見込みがあり、いきなり全額を投じるのはリスクが大きい。総務省「令和8年版 情報通信白書」でも、生成AIを活用するうえでの課題として「効果的な活用方法がわからない」が挙げられています。この「わからない」を300万円で解消し、次の1,000万円の判断を確実にするのがPoCの役割です。

実際にやった事例

守秘の関係で社名は出せませんが、当社が担当した案件を、PoCをどう扱ったかという観点で3つ紹介します。

調剤薬局のケース|PoCを飛ばして30万円台の改修で終わらせた

課題は、1つのシステムに入力した内容を、別の管理表へ手で転記する作業が毎日発生していたことでした。繁忙期には転記漏れも起きていました。検討の初期にPoCの話も出ましたが、やることが「決まった形式のデータを変換して取り込む」だけで、技術的に確かめるべき点がありませんでした。 そこでPoCは行わず、片方のシステムから出力したデータを整形して、もう一方の形式に変換して取り込む仕組みを直接作りました。全社的なシステム刷新ではなく、詰まっている1箇所だけを対象にしています。結果として転記作業そのものがなくなり、転記ミスを探して直す時間も消えました。この規模なら部門長の決裁で通ります。

医療機関のケース|1部門・1業務に絞ったPoC(300万円の帯)

課題は、蓄積されている文書や記録は多いのに、必要な情報を探すのに時間がかかっていたことでした。作ったのは、手元の資料をAIに読ませ、質問すると根拠となる箇所を示しながら答える仕組みです。いきなり全部門に展開せず、対象を1部門・1業務に絞りました。 ここで効いたのは、開始前に「どの質問に、どの水準で答えられたら合格とするか」を文書で決めておいたことです。終了時に、その合格ラインに対する実測値と、本開発の概算見積、本番移行時の運用体制案までを成果物として揃えました。判定の基準があったため、拡大するかどうかの意思決定が短期間で済みました。 PoCの価値は動くものではなく、この意思決定の速さに出ます。

インフラ企業のケース|PoCで対象を絞り込んでから本開発へ

課題は、複数のシステムにまたがるデータを人が突き合わせて確認していたことでした。件数が多く、月末に負荷が集中していました。ここで検証したのは「精度が出るか」ではなく、「全件のうち何割を自動で処理でき、残りの何割を人が見ることになるか」でした。この割合が分からないと、本番後の人員配置が決められないためです。検証の結果を踏まえて本開発に進み、システム間のデータを自動で照合して、食い違いがある分だけを人に回す仕組みを作りました。全件を人が見る運用から、例外だけを人が見る運用に切り替わったことで、確認作業の総量が減り、月末に集中していた負荷が平準化されました。

PoCから本開発へ進むかどうかの判断

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のロゴ

出典:IPA「DX動向2025」

PoCが終わったあと、本番に進むかどうかを決める場面で見るべき点は4つです。精度の数字だけで決めないでください。 精度は出たのに運用に乗らず止まる案件が、実際に少なくありません。

判断の観点

具体的に見ること

進めない場合のサイン

業務への効果

削減できる時間を、月何時間という形で数字にできるか

「便利になった気がする」しか出てこない

3年間の総費用

開発費+3年分の運用費(月15〜85万円)の合計と、削減額を比べる

運用費を計算していない

運用の負担

AIが間違えたとき、誰がどう気づき、どう直すかが決まっているか

誤りの対応手順が白紙

運用責任者

本番後にこの仕組みの面倒を見る人が、名前で決まっているか

「情報システム部で」としか決まっていない

とくに4つ目です。運用責任者が名前で決まっていない案件は、本番移行しても使われなくなります。 これはAIの性能とは無関係で、社内の体制の問題です。PoCの評価会議で必ず確認してください。

また、本番移行はPoCで検証した1部署・1工程だけに絞って始めるのが安全です。 PoCがうまくいくと、社内から「うちの部署にも」という声が同時多発的に上がりますが、ここで対象を広げると要件が発散し、費用も期間も一気に膨らみます。1か所で3か月動かして問題が出ないことを確認してから、横に広げてください。

なお、IPA「DX動向2025」(日本1,535社・米国509社・ドイツ537社を比較)によれば、日本企業のDXへの取り組み割合は約8割で米国と同水準に達している一方、成果の認識はコスト削減に偏り、売上高や利益の増加を挙げる割合は低いという結果が出ています(IPA DX動向2025)。PoCの合格ラインを「削減時間」だけで置くと、その先の売上への貢献が測れないまま終わります。 対象業務によっては、対応スピードや品質のばらつきといった指標も合格ラインに入れておくことをおすすめします。

相談から検証完了までの流れと期間

段階

期間の目安

発注側でやること

初回相談(無料)

1回・60分程度

困っている業務と、月にかかっている時間を話す

PoCが必要かどうかの判断・概算提示

1〜2週間

対象業務を1つに絞る

契約・体制の確定

1〜2週間

週何時間出せるかを、担当者の名前入りで決める

工程1:対象の絞り込みと合格ラインの決定

1〜2週間

何ができたら合格かを決裁者と合意する

工程2:データの準備

1〜4週間

対象データの提供(ここが最も遅れやすい)

工程3:試作の作成

2〜4週間

途中の出力を見て、正誤を判定する

工程4:評価とレポート

1〜2週間

現場での試用、意見の集約

本開発へ進むかの判定会議

1回

前章の4つの観点で判断する

相談から検証完了まで、生成AI活用型で概ね2〜4か月(上の表の各段階を足し合わせると7〜16週間)とお考えください。最も遅れやすいのは工程2で、理由は技術的な難しさではなく、発注側の社内でデータの所在が分からない、あるいは提供の承認が下りないことです。

相談の時点で要件が固まっている必要はありません。むしろ、対象業務が絞れていない、データがどこにあるか分からない、という状態から整理を始める案件のほうが多数です。その段階からご相談いただける窓口として、受託開発の無料相談をご用意しています。

よくある質問

Q1. PoCの費用を、その後の本開発の費用に充当してもらうことはできますか。

交渉の余地はあります。同じ会社に本開発を発注する場合、PoCで作った設計や試作コードの一部がそのまま本開発に使えるため、その分を本開発の見積から差し引く形での調整は実務上あり得ます。ただしこれは商習慣であって標準ではないため、こちらから切り出さなければ提案されません。 交渉するなら、PoCの契約前が唯一のタイミングです。「本開発を貴社に発注した場合、PoC費用の一部を充当いただけますか。可能な場合、その条件を契約書に記載できますか」と質問し、口頭の合意で終わらせず契約書に残してください。PoCが終わってから持ち出しても、通常は応じてもらえません。

Q2. PoCで期待した結果が出なかった場合、その300万円は無駄になりますか。

無駄にはなりません。ただしそう言い切れるのは、開始前に合格ラインを決めていた場合に限ります。 「精度70%が合格ラインだったが55%だった」と分かれば、それは「この方法では現時点で無理」という確定情報であり、1,000万円以上を投じる本開発を回避できたという意味で投資は回収されています。加えて、検証の過程でデータの不備や業務ルールの曖昧さが必ず見つかり、これは別の手段を採る場合にもそのまま使えます。一方、合格ラインを決めずに始めていると、結果が良いのか悪いのかを誰も判定できず、報告書だけが残ります。PoCが無駄になる原因は結果ではなく、判定基準の欠如です。

Q3. 社内のデータが整理されていませんが、PoCを始められますか。

始められます。むしろ整理されていない状態が普通です。ただし、それが費用に反映されることは知っておいてください。データの準備は費用の30〜45%を占める工程で、ここが最も見積のブレ幅が大きい部分です。見積を安定させたいなら、相談前に3点だけ確認してください。①対象のデータがどのシステムに入っているか、②どの形式で取り出せるか(CSV/Excel/PDF/紙)、③いつからのデータが何件あるか。この3点が分かるだけで、概算の精度が変わります。 分からない場合は「分からない」とお伝えいただければ、その確認から一緒に行います。なお、紙とFAXが起点になっている業務は、AIの前に電子化の検討が必要になることがあります。その場合はそう申し上げます。

Q4. PoCは複数社に同時に依頼して、結果を比べるべきですか。

同時並行はおすすめしません。発注側の工数が単純に社数倍になり、前述の48〜72時間が2社なら100時間超になります。現場が疲弊してPoC自体の質が落ちます。比べるならPoCそのものではなく、PoCの提案内容を3社程度で比較してください。 比較のポイントは金額ではなく、①合格ラインの決め方を提案に書いているか、②納品物として動く試作・評価レポート・本開発の概算見積・移行判断資料が明記されているか、③発注側に週何時間の協力を求めるかが書かれているか、の3点です。この3点に触れていない提案は、金額が安くても後で追加費用が出ます。

Q5. 補助金は使えますか。

PoCや受託開発そのものは、原則として対象外です。 現行の「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」(通称:デジタル化・AI導入補助金2026、旧・IT導入補助金)は、事務局に登録されたITツールの導入を対象とする制度であり、個別に開発するシステムやPoCは対象になりません。公式サイトで公表されている直近の締切は、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠が2026年9月29日(火)17:00(交付決定 2026年11月9日(月)予定)、複数者連携デジタル化・AI導入枠が2026年10月30日(金)17:00(交付決定 2026年12月10日(木)予定)です(公式スケジュール・2026年9月10日時点)。これより後の回の締切日は本記事執筆時点で未発表で、確定した回から順次公表される運用です。制度は年度ごとに変わるため、最新の締切はAI導入補助金の締切、対象になるツールの範囲はAI導入補助金の対象をご確認ください。

Q6. 補助金が使える場合でも、資金は先に用意する必要がありますか。

必要です。補助金は原則として後払いで、事業を完了して実績報告を出し、確定検査を経てから入金されます。申請から入金までおおむね8〜12か月を見込んでください。その間、費用は全額を自社で立て替えることになります。PoCの300万円を補助金前提で計画すると、資金繰りで詰まります。詳しい時間軸は補助金の入金時期にまとめています。

Q7. PoCの契約は、通常のシステム開発と同じ契約書でよいですか。

分けることをおすすめします。通常のシステム開発の契約書は「発注した仕様どおりのものが完成すること」を前提に作られていますが、PoCはそもそも「できるかどうか分からない」ことを確かめる工程なので、完成義務を負わせる契約形態はなじみません。経済産業省のガイドラインも、PoC段階には「導入検証契約書」という専用のモデル契約を用意しています。契約書で最低限確認すべきは、①検証で得られたデータや試作物の権利が誰に帰属するか、②期待した結果が出なかった場合の扱い、③提供したデータの利用範囲と検証終了後の取り扱い、の3点です。とくに③は、自社の業務データを外部に渡す以上、必ず書面で確認してください。

Q8. 社内にAIに詳しい人がいませんが、PoCの窓口は誰にすべきですか。

技術に詳しい人ではなく、対象業務の現場を分かっている人が適任です。PoC期間中に最も多く発生するのは「この場合はどう処理していますか」という業務の確認だからです。情報システム部門の担当者が単独で窓口になると、業務の質問に答えられずに毎回持ち帰ることになり、それだけで数週間が失われます。おすすめの体制は、現場の責任者を主担当、情報システム部門をデータ提供の副担当とし、そこに決裁権のある責任者が隔週の定例に出る形です。この3者が揃っていれば、社内にAIの専門人材がいなくてもPoCは回ります。

AIのPoC費用でお悩みの方へ

AIのPoC費用は、生成AIを業務に組み込むタイプで100〜400万円・4〜10週間、自社データで学習させる従来型で300〜1,500万円・2〜4か月です。費用の3〜4割はデータの準備に使われ、外注費とは別に自社側で48〜72時間(16〜24万円相当)の時間が必要になります。300万円は、既存システムとの連携と本番移行の判断材料まで含んだPoCの標準額です。

  • PoCの見積が300万円で来たが、この金額が妥当なのか判断がつかない
  • 見積の金額が各社で3倍以上違い、何が違うのか分からない
  • そもそもPoCが必要な案件なのか、いきなり作ってよいのかが分からない

このいずれかに当てはまるなら、初回相談は無料です。当社の価格はPoC 300万円〜、小規模改修 30万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)で、医療機関・調剤薬局・インフラ企業での実績があります。要件が固まっていない段階、「AIで何かできないか」という段階からご相談いただけます。

ご相談の際は、①検証したい業務の内容、②その業務に月何時間かかっているか、③関係するシステムの名前、の3点をお聞かせください。この3点があれば、生成AI活用型と従来型のどちらに当たるか、概算の費用レンジ、そしてそもそもPoCが必要な案件かどうかを、その場でお伝えできます。PoCが不要で30万円の改修で足りると判断した場合は、そう申し上げます。

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