ビジネス活用2026年9月更新

AI開発の見積もり比較|会社によって10倍違う理由と、比較で見る5項目【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/09
AI開発の見積もり比較|会社によって10倍違う理由と、比較で見る5項目【2026年9月最新】

この記事のポイント

AI開発の見積もりが会社によって10倍違う理由を、段階・作り方・範囲・体制・契約の5項目に分解して解説。工程別の費用相場と3社比較用のチェック表、当社の実価格(改修30万円〜/PoC300万円〜)まで公開します。

同じ依頼をしても、AI開発の見積もりは10倍開きます。ただしその差の大半は技術力の差ではなく、5つの前提が各社でバラバラなまま出てきていることが原因で、前提を揃えて並べ直すと最安と最高の差は2割前後に収まることが珍しくありません。

金額の目安を先に出します。構想・要件定義だけなら40万〜200万円、PoC(試しに作って使えるか確かめる工程)で100万〜500万円、本開発まで進むと500万〜5,000万円が2026年時点の公開相場です。当社の場合は、PoC 300万円〜/既存システムの小規模改修 30万円〜/本開発は個別見積(いずれも税別)。この記事は、手元にある複数社の見積書を同じ土俵に載せ直して、社内で説明できる状態にするための手順書です。

3社に同じ話をしたのに、80万円・450万円・2,400万円が返ってくる

「問い合わせ対応をAIで効率化したい」と3社に相談して、80万円、450万円、2,400万円の見積書が返ってくる。これはAI開発の見積もりを取った会社でごく普通に起きることです。

このとき現場で起きているのは、だいたい次のような状況です。

  • 一番安い会社の見積書には「AIチャットボット構築一式 80万円」としか書かれていない
  • 一番高い会社の見積書は項目が30行あるが、専門用語ばかりで何が入っているのか分からない
  • 真ん中の会社は「データの整備状況によって変動します」と注記がある
  • 3社とも「うちなら実現できます」と言う
  • 社内からは「なぜこの金額なのか」「安いところではダメなのか」と聞かれる

ここで一番危ないのは、金額だけを見て一番安い会社に決めることでも、一番高い会社を疑うことでもありません。3社が違うものを見積もっているのに、同じものとして比べてしまうことです。80万円の会社は「既製のチャットボットを設定して繋ぐ」と考え、2,400万円の会社は「社内文書を全部整理して独自のAIを作り、既存システム3本と繋ぎ、1年運用する」と考えている。どちらも嘘をついていません。

見積もり比較の作業とは、値切ることではなく、3社が何を見積もったのかを揃える作業です。

見積もりが10倍違うのは「同じものを見積もっていない」から

アセスメント・PoC・開発・追加学習と段階が進むほど費用規模が大きくなることを表したイメージ

AI開発は、最初から完成形が見えている工事ではありません。経済産業省が2018年に策定した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」では、AIの開発は成果が事前に読めないという性質から、開発を次の4段階に分けて進める方式が示されています。

  1. アセスメント段階(そもそも実現できそうかを検討する)
  2. PoC段階(小さく作って、業務で使えるか確かめる)
  3. 開発段階(本番で使うものを作る)
  4. 追加学習段階(稼働後に精度や業務変化に合わせて手を入れる)

国がわざわざ「段階を分けて契約しなさい」と言っているのは、最初の時点で全体の金額を確定できないからです。ところが実際に届く見積書には、その見積書がどの段階のものなのかが書かれていないことが非常に多い。ここが10倍差の入り口です。

各社が公開している工程別の相場を並べると、段階が違うだけで金額がどれだけ動くかが分かります。

工程

費用の目安

期間の目安

構想・企画・要件定義

40万〜200万円

2週間〜1ヶ月

PoC(試作・検証)

100万〜500万円

1〜3ヶ月

本開発・実装

500万〜5,000万円

2〜12ヶ月

運用・保守

月額数万〜200万円

継続

※OptiMax(2026年4月公開)、GXO(2026年4月公開)、トッパジャパン(2026年5月公開)が公開している工程別相場を並べたもの。会社によって幅の取り方が違うため、レンジで示しています。

構想だけの40万円と本開発の5,000万円を並べれば、それだけで100倍以上の差になります。「10倍違う」は誇張ではなく、段階が揃っていない見積書を並べると必ずそうなるというだけの話です。

費用の内訳そのものをもっと詳しく知りたい場合は、AI受託開発の費用相場と内訳で項目ごとに分解しています。

比較で見る5項目

見積書が手元に3通あるとして、金額の欄を見る前に確認する項目が5つあります。この5つが揃っていない見積もりは、そもそも比較できません。

1. どの段階を見積もっているか

まず「この金額はどこからどこまでですか」と聞きます。構想だけなのか、PoCまでなのか、本番稼働までなのか、稼働後1年の運用が入っているのか。

見分け方は簡単で、見積書に「PoC」「実証」「検証」という言葉があるかどうかです。無い場合、その会社は本開発の金額を出しているか、あるいは段階という考え方を持っていない可能性があります。

安い見積もりが出てきたら、まず疑うのではなく「これは構想フェーズの金額ですね」と確認してください。それが正しければ、その会社は誠実に段階を切っているだけです。PoCの費用の考え方についてはAI PoCの費用と、無駄にしないための条件で詳しく扱っています。

2. どう作るか(既製サービスを使う/既存のAIを組み込む/ゼロから作る)

同じ「AIで問い合わせ対応を自動化する」でも、作り方は3通りあり、桁が変わります。

作り方

費用

期間

どういうものか

既製サービスの導入・設定

月額数万〜数十万円

即日〜1ヶ月

世の中にあるサービスを契約し、自社に合わせて設定する

既存のAIを組み込む開発

200万〜3,000万円

1〜6ヶ月

ChatGPTなどのAIを、自社の業務システムに繋ぎ込む

ゼロから開発

1,000万〜1億円以上

6ヶ月〜2年

自社専用のAIを一から作る

※OptiMax(2026年4月公開)の開発手法別相場より。

2026年現在、中堅企業の業務効率化で「ゼロから開発」が必要なケースはかなり限られます。多くは真ん中の「既存のAIを組み込む開発」で足ります。もし一番高い見積もりがゼロから開発を前提にしていたら、「既存のAIを使う前提だといくらになりますか」と聞き直すだけで金額が変わる可能性があります

3. どこまで含むか(作業範囲)

同じ段階・同じ作り方でも、含む範囲で総額は2倍動きます。特に金額が動くのは次の4つです。

  • データの整備:総額の15〜30%を占めます。「データはあります」と言われて表を開くと、部署ごとに項目名が違い、同じ取引先が3通りの表記で入っている、というのがほぼ毎回起きます。この整理を発注側がやるのか、開発会社がやるのかで、見積もりは丸ごと変わります
  • 既存システムとの連携:総額の15〜25%。繋ぐシステムが1本増えるごとに設計とテストが増えます。何本繋ぐ想定なのかが書かれていない見積書は、後から必ず追加が出ます
  • AIの利用料:AIは使った分だけ料金がかかります。月額に一定量まで含まれているのか、超えたら別請求なのか。ここが後出しになりやすい項目です
  • 本番移行と現場教育:マニュアルを作り、使う人に説明する工程。ここを省くと、稼働したのに誰も使わないという結末になります

見積書の各項目について、「これは含まれていますか」ではなく「含まれていないものを教えてください」と聞くのが効きます。

4. 誰が作るか(単価と体制)

公開されている人月単価(1人が1ヶ月作業する費用)を並べると、これだけ開きます。

職種

単価の目安

データサイエンティスト

120万〜250万円/人月

AIエンジニア

80万〜250万円/人月

プロジェクトマネージャー

80万〜150万円/人月

一般的なシステムエンジニア

60万〜200万円/人月

海外拠点のエンジニア

30万〜60万円/人月

※OptiMax・トッパジャパンの公開値(2026年)より。

同じ「1人月」でも30万円と250万円で8倍以上開きます。海外拠点を使うことは悪いことではありません。標準的な機能なら十分に成立します。問題は、見積書に体制が書かれていないと、この差が読み取れないことです。

もう一つ、見積書からは見えないのに金額に効いているのが、多重下請けの構造です。公正取引委員会が2022年6月に公表した「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(ソフトウェア業2万1,000社を対象)では、自社では作業しないのに間に入って利益を得る事業者、いわゆる「中抜き」の存在を感じたことがあるかという設問に対し、次の結果が出ています。

立場

「中抜き」の存在を感じたことがある割合

全体

25.9%

元請

18.5%

中間下請

29.2%

最終下請(実際に手を動かす会社)

33.5%

実際に手を動かしている会社の3社に1社が、作業していないのに間に入る会社の存在を感じている、ということです。報告書には「4次請けの案件を経験した」「やりとりしていた企業とは別の企業が請求時にだけ出てきた」といった声も寄せられています。同報告書は、この構造が下請法違反行為を誘引・助長するおそれがあるとして、業界全体でのスリム化を求めています。

発注側がこの構造を見抜く方法は一つだけです。「実際に設計と実装をするのは御社の社員ですか。再委託する場合は、何社に、どの工程を出しますか」と聞く。 この質問に即答できない会社は、自分でも体制を把握していない可能性があります。答えてくれた場合、再委託があること自体は問題ではありません。専門領域を外部に出すのは普通のことです。分かればいい。

5. どんな契約か(リスクのバッファ)

契約の形が2つあり、金額が2〜3割変わります。

  • 準委任契約:決められた体制で作業する契約。成果物の完成義務を負わない代わりに、費用は実際にかかった工数に近くなる
  • 請負契約:成果物の完成を約束する契約。完成しなければ報酬を請求できないため、受注側は「うまくいかなかった場合」の分を価格に上乗せする

同じ内容でも、請負のほうが2〜3割高くなるのが一般的です。高い見積もりは、その分のリスクを開発会社が引き受けているという意味でもあります。

AI開発では「PoCまでは準委任、本開発から請負」という組み方が原則的です。経済産業省のガイドラインでも、AIの性能をあらかじめ保証するのは技術的に困難だとされており、保証する場合も「事前に合意した検証用データに対する精度」に限定する考え方が示されています。「精度95%を保証します」と契約書に書く会社がいたら、何のデータに対する95%なのかを必ず確認してください。

3社の見積書を1枚の表に置き換える

3社から届いた見積書を机の上に並べて比較検討するイメージ

ここからが実作業です。各社の見積書はフォーマットがバラバラなので、そのままでは比較できません。次の表に転記し直します。空欄になった箇所が、そのまま各社への質問リストになります。

確認項目

A社

B社

C社

対象段階(構想/PoC/本開発/運用)

作り方(既製サービスを使う/既存のAIを組み込む/ゼロから作る)

データ整備は誰の作業か・想定工数

連携するシステム本数と、1本増えたときの単価

サーバー等の費用(初期に含む/月額で別建て)

AIの利用料(月額に含む枠/超過時の単価)

合格基準(何をもって完成とするか)

修正・やり直しの回数上限と、超過時の単価

本番移行・現場教育の有無

保守の範囲と年額(作り直し・再学習を含むか)

契約の形(準委任/請負)

実装するのは自社社員か・再委託の有無と社数

初期費用

月額

3年総額(初期+月額×36+想定追加)

作業時間は4〜8時間ほど見てください。3社分を1枚にするのは面倒ですが、この表が完成した時点で、社内説明の資料はほぼできあがっています。

一番下の3年総額の行が肝心です。初期費用だけを並べると、初期が安く月額が高い会社が有利に見えます。初期300万円+月額10万円なら3年で660万円、初期150万円+月額25万円なら3年で1,050万円。順位が入れ替わります。稼働後の投資回収の計算方法は業務自動化の効果測定にまとめています。

そして、この表を埋め終わったときに起きることが1つあります。当初10倍開いていた金額が、揃えると2割前後の差に収まることが多い。残った差が、本当の実力差と体制差です。

金額以外で開発会社を比べる3つの見方

見積書の金額は、判断材料の半分でしかありません。残り半分は、見積もりが出てくるまでの過程に出ます。

1つめ、向こうからの質問の数と内容。 良い会社は、見積もりを出す前に質問してきます。「今そのデータはどこに、どんな形で入っていますか」「例外的な処理は月に何件くらいありますか」「稼働後、誰が運用しますか」。質問が多いのは面倒くさい会社ではなく、実際に作るつもりで考えている会社です。逆に、打ち合わせ1回で翌日に見積書が出てくる場合、社内のテンプレート単価を当てはめただけの可能性が高い

2つめ、前提条件がどれだけ書かれているか。 見積書の下部に「以下を前提とします」という記述があり、そこにデータの状態、連携本数、修正回数、発注側の作業分担が書かれていれば、その会社は実際に考えています。前提が1行も無い見積書は、後から「それは想定外でした」が出てきます。

3つめ、「できません」を言うかどうか。 全ての要望に「できます」と答える会社より、「その機能は費用対効果が合わないので、まず別の方法を試したほうがいい」と言う会社のほうが、結果的に総額は安くなります。

費用の目安と、当社の場合の金額

AI革命の受託開発サービスのロゴ

出典: AI革命 公式サイト

相場と、当社が実際に提示している金額を並べます。上位に出てくるAI開発会社のコラムはほとんどが自社の価格を書いていないので、比較の起点として使ってください。

依頼の種類

世の中の相場

当社の場合(税別)

構想・要件整理のみ

40万〜200万円

初回相談は無料。要件が固まっていない状態からの相談可

既存システムの小規模な改修・自動化

30万〜200万円

30万円〜

PoC(小さく作って業務で試す)

100万〜500万円

300万円〜

本開発(本番稼働まで)

500万〜5,000万円

個別見積

運用・保守

年間で開発費の10〜20%+AI利用料

内容に応じて個別

当社がPoCを300万円〜としているのは、100万円台のPoCでは「動くものは作れるが、業務で使えるかの判断材料にならない」ことが多いためです。PoCの目的は動かすことではなく、本開発に進むか撤退するかを判断できる材料を作ることなので、業務データを使い、現場の人が実際に触れるところまで含めています。

見積もりの前提を揃えた上で当社の金額も並べたい、という段階であれば、受託開発サービスの内容と進め方をご覧ください。要件が固まっていない段階でも、他社の見積書を見ながら「これは何を見積もっているのか」を一緒に読み解くところから相談を受けています。

そもそも開発しないほうがいいケース

見積もりを比べる前に、開発が本当に必要かを確認したほうがいい場合があります。ここを飛ばして3社から見積もりを取ると、数百万円かけて既製サービスと同じものを作ることになります。

開発しないほうがいいケース

  • やりたいことが、既存のサービスの標準機能で8割方できる(月額数千円〜数万円で終わります)
  • 対象の業務が月に数件しか発生しない(自動化しても効果が金額にならない)
  • 業務のやり方が半年以内に変わる予定がある(作った直後に作り直しになります)
  • 社内に、稼働後に運用する担当を置けない(誰も見ない仕組みは3ヶ月で止まります)
  • 紙と対面が前提の業務で、そもそもデータが存在しない

開発する価値があるケース

  • 既製サービスでは自社の業務の流れに合わず、毎回手作業の補正が発生している
  • 既存の基幹システムや業務システムとデータをやり取りする必要がある
  • 同じ作業が毎日・毎週・毎月繰り返し発生していて、量がまとまっている
  • 自社の業務手順そのものが競争力になっていて、外に合わせたくない

その中間として、「毎月繰り返す定型業務を、作り込まずに自動で回す」という選択肢もあります。開発せずに運用まで任せる形で、初期100万円+月額10万〜50万円(税別)が目安です。判断がつかない場合は業務自動化サービスの内容と受託開発の両方を見比べてください。作り方ごとの違いはノーコードとAIエージェントの違いでも整理しています。

実際にやった3つのケース

社名は守秘のため出せませんが、金額の帯と、見積もりの段階で何が論点になったかを書きます。

調剤薬局のケース(小規模改修・30万円〜の帯)

課題:既に使っている業務システムから毎日データファイル(CSV)を書き出し、Excelで加工して別のシステムに手入力していた。担当者が休むと業務が止まる状態だった。

作ったもの:既存システムはそのままに、CSVの取り込みと加工、次のシステムへの受け渡しを自動で行う仕組みを追加した。新しいシステムは導入していない。

何が変わったか:手入力の工程が無くなり、担当者が休んでも業務が流れるようになった。見積もりの段階での論点は「新しいシステムを入れる必要があるか」で、他社からは基幹システムの入れ替えを含む提案も出ていた。やりたいことは同じでも、既存システムを残す前提かどうかで見積もりは一桁変わるという典型例です。

医療機関のケース(PoC・300万円〜の帯)

課題:AIで効率化したい業務の候補が複数あり、どれから手を付けるべきか社内で決められなかった。全部やる前提の見積もりを取ると数千万円になり、稟議が通らない。

作ったもの:候補の中から1業務に絞り、実際の業務データを使って現場の担当者が触れるものをPoCとして構築した。

何が変わったか:「使える/使えない」が現場の言葉で判断できるようになり、本開発に進む範囲を数字で説明できるようになった。最初から全体の見積もりを取ろうとすると金額が膨らみ、判断が止まる。段階を切ることは値切りではなく、意思決定を可能にするための手段です。

インフラ企業のケース(本開発・個別見積の帯)

課題:複数の社内システムにデータが分散し、集計と確認に人手がかかっていた。

作ったもの:分散していたデータを集約し、必要な形で取り出せる仕組みを構築。既存システムとの連携本数を最初に確定させた上で開発した。

何が変わったか:見積もりの段階で連携本数と、1本増えた場合の追加費用を事前に決めていたため、途中で業務側の要望が増えても、追加費用がその場で計算できる状態を保てた。「連携1本あたりいくら」を見積もり時点で決めておくと、後の揉め事がほぼ無くなります。

相見積もりの進め方と、発注までにかかる時間

社数は3社が実務上の最適です。 2社では比較の材料が足りず、4〜5社になると各社との打ち合わせと比較作業で発注側の時間が持ちません。開発会社側の提案の熱量も下がります。

進め方は次の順です。

  1. 対象業務の現状を文章にする(8〜16時間):誰が、いつ、何を、どういう手順でやっているか。現場に聞かないと書けません。ここを飛ばすと各社が違う前提で見積もります
  2. 繋ぐシステムとデータを一覧にする(4〜8時間):ここで総額の15〜25%が決まります
  3. 同じ依頼文を作り、3社に同じものを渡す(4〜8時間):1回作れば3社に使えます。口頭で説明を変えてしまうと比較が成立しません
  4. 3社と初回打ち合わせ(各1〜2時間、計6〜10時間)
  5. 各社からの追加質問に答える(各2〜5時間):質問が多い会社を面倒に思わないでください
  6. 見積書を1枚の表に置き換える(4〜8時間)
  7. 稟議資料を作る(4〜8時間)

合計で概ね35〜60時間、期間は1〜2ヶ月を見てください。部門長クラスの時給を3,000〜5,000円で換算すると、比較作業そのものに10万〜30万円の社内コストがかかっている計算になります。この時間は見積書のどこにも載りませんが、確実に発生します。だからこそ、依頼文を1回だけ丁寧に作って全社に同じものを渡すのが、最も効率のいいやり方です。

断るときは、金額を伏せて「今回は別の会社にお願いすることになりました。提案内容は社内で参考になりました」と伝えれば十分です。他社の金額をそのまま伝えて値下げを引き出すやり方は、短期的には効きますが、着手後に品質か体制のどこかで帳尻が合わせられます。

補助金を使うなら、契約の順序を間違えない

デジタル化・AI導入補助金2026の公式ロゴ

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を使う予定がある場合、見積もりを比較している今の段階で知っておかないと手遅れになることがあります。

交付決定の前に発注・契約・支払いをすると、補助の対象外になります。 「先に契約して、後から申請する」は通りません。

2026年9月10日時点で公表されている直近のスケジュールは次のとおりです。

締切

交付決定日(予定)

通常枠/インボイス枠/セキュリティ対策推進枠

2026年9月29日(火)17:00

2026年11月9日(月)

複数者連携デジタル化・AI導入枠

2026年10月30日(金)17:00

2026年12月10日(木)

通常枠の補助額は5万円〜450万円以下、補助率は原則1/2以内(賃金要件を満たす場合と小規模事業者は2/3以内)です。枠によって上限も補助率も違うため、自社が使う枠の公募要領で確認してください。申請から実際に入金されるまでは、事業実施と実績報告、確定審査を経るため概ね半年〜1年かかります。 つまり一度は全額を自社で立て替える前提で資金繰りを組む必要があります。

締切と枠の詳細はデジタル化・AI導入補助金の締切と申請の流れ、対象になるツールの判断は補助金の対象になる生成AIツールを参照してください。制度は年度内でも運用が変わるため、申請前に必ず公式の公募要領を確認してください。

稟議で「なぜこの1社か」をどう説明するか

役員会や稟議で必ず聞かれるのは「一番安いところではダメなのか」です。金額の話で返すと勝てないので、次の3点で組み立てます。

1. 3社が違うものを見積もっていたことを示す。 前述の比較表をそのまま添付します。「A社は構想のみ、B社はPoCまで、C社は本番稼働まで」と1行で書けば、金額の差の理由が説明できます。

2. 3年総額で並べる。 初期費用だけの比較は、稟議では通っても稼働後に問題になります。3年で足した数字を出せば、決裁者は判断しやすくなります。

3. 撤退の条件を先に書く。 「PoCの結果、○○が満たせなければ本開発に進まない」と稟議書に明記します。撤退条件が書かれた稟議は、書かれていない稟議より通りやすい。300万円の支出の承認ではなく、300万円で判断材料を買うという構図になるためです。

よくある質問

Q1. 相見積もりであることを、各社に伝えるべきですか。

伝えてください。隠す利点がほとんどありません。相見積もりだと分かると、各社は「どこで差がつくか」を意識するため、前提条件と作業範囲を明記した見積書が出てきやすくなります。逆に1社だけに相談していると思われると、社内の標準単価を当てはめただけの概算が返ってくることがあります。伝えるのは「3社に同じ内容で相談しています」「選定は11月末を予定しています」程度で十分で、他社名や他社の金額を出す必要はありません。社数と時期が分かるだけで、各社は提案の粒度と優先度を調整できます。

Q2. 一番安い会社を選んで失敗するのは、どんなときですか。

失敗の型はほぼ1つで、見積もりに前提条件が書かれていなかったときです。前提が無い見積書は、着手後に「そのデータの整理は範囲外です」「連携はもう1本必要でした」となり、追加見積もりが積み上がります。安いこと自体は問題ではありません。前提が書かれた上で安いなら、それは範囲を正しく絞れている会社です。

Q3. 要件がまだ固まっていない段階でも、見積もりは取れますか。

取れます。ただしその場合に取るべきは本開発の見積もりではなく、要件を固める工程(40万〜200万円)か、PoCの見積もりです。要件が固まっていない状態で本開発の金額を出してくる会社は、後から大きく変動します。当社も要件未確定の状態からの相談を受けており、初回相談は無料です。

Q4. 「一式」としか書かれていない見積書は、どう扱えばいいですか。

「この金額はどうやって計算しましたか」と1問だけ聞いてください。作業を分解して積み上げたのか、過去の似た案件から出したのか。どちらでも構いませんが、答えられない会社は社内でも計算していないということです。専門的な見積もり手法の名前を知る必要はなく、計算の道筋を説明できるかどうかだけを見ます。

Q5. AIが自動で見積もりを出すサービスの金額は、どこまで使えますか。

社内で予算枠を確保するための概算としては使えます。「数十万円なのか、数千万円なのか」という桁の把握には有効です。ただし発注の判断には使えません。これらのツールは自社のデータの状態も、繋ぐシステムの本数も、現場の例外処理も知らないためです。桁を掴んでから3社に依頼する、という順番であれば有効な使い方です。

Q6. 見積もりの有効期限が切れたら、金額は上がりますか。

多くの見積書は有効期限が1〜3ヶ月です。期限切れ後は再提示になります。上がる主な理由は、エンジニアの単価水準の変動と、その会社の人員の空き状況です。同じ内容でも、着手できる時期が変わると体制が変わり、金額も動きます。比較に1〜2ヶ月かかることを見込んで、期限を最初に確認しておいてください。

Q7. PoCと本開発は、同じ会社に続けて頼むべきですか。

原則は同じ会社が有利です。PoCで得た業務理解をそのまま使えるため、本開発の見積もり精度が上がり、立ち上げの重複も減ります。ただし、PoCの契約段階で「本開発は別途見積もり、別途判断」と明記しておくことが条件です。これを書いておかないと、PoCが実質的に本開発の予約になり、撤退の判断ができなくなります。

Q8. AIの利用料は誰が払うのですか。

多くの場合は発注側の負担で、契約するアカウントも発注側の名義にするのが望ましい形です。開発会社の名義にすると、契約を解消したときにデータや設定ごと使えなくなります。見積書に「AI利用料は別途実費」と書かれている場合は、想定される月額の概算を必ず聞いてください。処理量によっては月数万円で収まることも、数十万円になることもあります。


見積もりを1枚に揃えるところから相談できます

手元にある複数社の見積書を見ながら、「どの段階の金額なのか」「何が含まれていないのか」を整理するところから相談を受けています。当社の金額は、既存システムの小規模改修が30万円〜、PoCが300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)です。要件が固まっていなくても、他社の提案と比べる前提でも構いません。

受託開発の相談をする(初回相談無料)

比較の材料として、AI受託開発の費用相場AI PoCの費用もあわせてご覧ください。社内にエンジニアがいない状態での進め方はエンジニアなしで業務自動化を進める方法にまとめています。

補助金の枠内で導入できる範囲を試算します

補助金前提で相談する

この記事の著者

AI革命

AI革命

編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

経理・事務作業・開発を、AI革命にまとめて任せられます

ご相談は無料です。オンラインで完結します