ビジネス活用2026年9月更新

システム開発の相見積もりはRFPで条件をそろえる|そのまま使えるテンプレートと見積回答シート【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/13
システム開発の相見積もりはRFPで条件をそろえる|そのまま使えるテンプレートと見積回答シート【2026年9月最新】

この記事のポイント

システム開発の相見積もりで3社の見積もりがバラバラになるのは、渡した情報がそろっていないからです。そのまま使えるRFPテンプレートと見積回答シート、評価の配点例、AI開発で足す6項目、RFPを書く手間と費用まで解説します。

システム開発の相見積もりで3社の金額がバラバラになるのは、各社の実力差より先に「各社に渡した情報」がそろっていないことが原因で、開発費が100万円を超えるなら、A4 1枚のRFP(提案依頼書)と「この形で見積もりを返してください」という回答シートを同封するだけで、並べて比べられる見積もりが返ってきます。RFPを社内で書く手間は4〜32時間(時給3,000円換算で1.2万〜9.6万円)、作成を外部に頼むと公開価格で80万円〜の例があり、逆に開発費が100万円未満ならRFPも相見積もりも手間が見合いません。

この記事は、これから開発会社に見積もりを頼む、あるいは取った見積もりが比べられずに困っている経営者・事業責任者向けです。そのままコピーして使えるRFPテンプレート(A4 1枚版とフル版)、見積もりの返し方を指定する回答シート、質問への答え方のルール、AI開発を含む場合に足す6項目までをまとめました。当社(受託開発)の金額は、既存システムの小規模改修が30万円〜、PoC(試しに小さく作って業務で使えるか確かめる工程)が300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)です。

相見積もりが比べられないのは「渡した情報」がそろっていないから

デジタル庁の公式サイトOGP画像(情報システム調達の手続マニュアルを公開している省庁)

出典: デジタル庁 公式サイト

「3社に声をかけたのに、提案が全部バラバラで比べられなかった」。システム開発の相見積もりで最も多い困りごとです。このとき現場では、だいたい次のことが起きています。

  • A社の見積もりにはテストが入っているのに、B社はテストが別見積もりだった
  • C社だけ、旧システムからのデータの移し替えが対象外になっていた
  • 打ち合わせで口頭説明をするうちに、2社目・3社目ほど話が詳しくなり、各社が聞いた内容が違っていた
  • 一番安い会社に決めかけたが、社内から「何が入っていないのか」と聞かれて答えられない

金額の開きは小さな案件に限りません。RFP作成・開発会社選定の支援を行うオーシャン・アンド・パートナーズは、見積もりの開きの例として「A社5,000万円、B社8,000万円、C社1億2,000万円」を紹介しています。数千万円規模でも、前提がそろっていなければ2倍以上開くということです。

国の調達でも考え方は同じです。デジタル庁の調達手続マニュアル(2023年4月改訂版)は、見積書を取るときのルールを次のように引いています。

「情報システムの調達において事業者から見積書を取得するときは、実現したい業務・機能の内容、規模、サービスレベル、スケジュール等、事業者が見積もりをするための必要な情報の提供を行うこととされており、既存のシステムがあるときには、見積もりを依頼する事業者に対し、秘密保持契約(NDA)を締結した上で、各種設計書等の閲覧を行わせることに留意する」

業務の言葉に直すと、「①何をしたいか ②どのくらいの量か ③止まったときにどこまで許せるか ④いつまでに必要か」の4つを渡さなければ、正しい見積もりは出てこないということです。総務省の自治体職員向け研修資料も、仕様書で大事なのは「透明性」と「公平性」だとし、悪い仕様書の典型として「要件未定、曖昧な記載、製品指定、責任範囲、契約・会計ルールとの整合」の問題を挙げています。

RFPは、この4つに「今回やらないこと」と「選び方」を加えて文書にし、全社に同じものを渡すための書類です。

書類

目的

使う時期

RFI(情報提供依頼)

どんな方法があり、概算でいくらかかりそうかを広く聞く

何を作るか決める前

RFP(提案依頼書)

同じ条件で、進め方と金額の提案をもらう

やりたいことが決まった後

見積依頼

作るものが確定した状態で、金額だけを出してもらう

作るものの中身が固まった後

受け取った見積書が10倍違う理由と、見積書を1枚の表に並べ直す方法はAI開発の見積もり比較で解説しています。この記事はその前の工程、つまり依頼する側が書類をそろえる作業を扱います。

RFPが必要な金額の帯と、書く手間の目安

RFPは、厚く作るほど良いわけではありません。開発費の見込みによって、作る書類の厚さを変えます。

開発費の見込み

声をかける社数

RFPの形

社内で書く時間の目安

〜100万円

1〜2社

不要。対象業務と希望時期のメモで足りる

100万〜500万円

2〜3社

A4 1枚版(7項目)+回答シート

4〜8時間

500万円〜

3社が基本(多くても5社)

フル版+評価の配点+回答シート

16〜32時間

※社数はAI開発会社の選び方と同じ基準。時間は当社の目安で、A4 1枚版は対象業務の現状が分かっている前提、フル版は現状を文章にする作業と、つなぐシステム・データの一覧づくりを含みます。

100万円未満でRFPを勧めないのは、選ぶ手間が開発費に対して重すぎるからです。担当者2名が選定に100時間使えば、時給3,000円換算で30万円。30万円の改修なら、選定の人件費が開発費と同じになります。

社数を増やしすぎないことも大事です。開発会社は、提案書と見積もりを無償で作っています。受注できる見込みが低い、提案を作る人手が取れないと判断すると、辞退されることがあります(IT調達ナビ)。5社を超えると、辞退が増えるか、各社の提案が薄くなります。

開発費の見込み自体が分からない場合は、RFPを作る前に2〜3社へ「この規模だと数百万円か、数千万円か」を概算で聞いて桁をつかみます。業務システムの費用の目安は業務システム開発の費用相場にまとめています。

なお、補助金を使う場合は開発費が小さくても話が別です。後述するとおり、50万円以上の発注に「同一条件の見積もり」を求める補助金があるため、A4 1枚版は作っておきます。

そのまま使えるRFPテンプレート(記入例つき)

経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」の想定読者と利用場面をまとめた表

出典: 経済産業省 公式サイト(AIの利用・開発に関する契約チェックリスト)

記入例は、架空の中堅卸売業が「受注メールの内容を販売管理システムに手入力している作業」を効率化したい場合を想定しています。「項目」と「書くこと」の列は、そのまま自社用に使えます。

A4 1枚版:100万〜500万円の開発向け(7項目)

項目

書くこと

記入例

1. 対象業務

1つに絞る。候補が複数あれば、残りは「参考」として別枠に書く

受注メールの内容を販売管理システムへ入力する作業

2. 現状の手順と量

誰が・いつ・何件・月何時間やっているか

営業事務2名が毎朝、受注メール約30件を見て手入力。月あたり約40時間

3. 使う人

部署・人数・パソコン操作に慣れているか

営業事務2名と、内容を確認する課長1名

4. 成功と判断する条件

開発が終わったあとに測れる形で書く

入力作業を月40時間から10時間以下に。入力ミスによる出荷の訂正をゼロに

5. 予算の上限

上限か幅で書く

初期費用300万円まで、月額5万円まで

6. 希望時期

使い始めたい時期と、その時期を動かせない理由

2027年4月の繁忙期の前に使い始めたい

7. 渡せるデータ

種類・件数・状態・渡せる時期

過去3ヶ月分の受注メール(秘密保持契約の締結後、取引先名を伏せて提供)、入力画面の画面写真

1枚目の下に、次の4行を必ず添えます。

  • 提出期限:2026年○月○日(○)17時
  • 質問の締切:2026年○月○日(○)。回答は全社に同じ文面でお送りします
  • 見積もりの形式:別紙「見積回答シート」を埋めてご提出ください(自社形式の見積書の添付も可)
  • 窓口:○○部 ○○(メールアドレス)

フル版:500万円〜の開発で足す11項目

A4 1枚版の7項目に、次の11項目を足します。

項目

書くこと

書かないと起きること

8. 今回やらないこと

対象外の作業と、将来つなぐ可能性の有無

範囲の読み違いで、金額が数倍ずれる

9. 既存システムとの関係

残すか入れ替えるか。つなぐシステムの名前と本数

残す前提か入れ替え前提かで、見積もりが一桁変わる

10. 使う規模と、止まったときの許容範囲

利用者数、1日の処理件数、止まってよい時間、復旧までの目安、データを置く場所

各社が勝手に想定し、機器や保守の費用が大きくずれる

11. 納期と機能のどちらを優先するか

どちらを優先するかを一言で

各社の見積もりの前提(人数と期間)がずれる

12. 体制と再委託

実際に作る人を提案書に書くこと。再委託する場合は工程と社数

誰が作るか分からないまま契約する

13. 納品物

プログラム一式、設計書、運用手順書、各種アカウント

他社に引き継げない形で納品される

14. 稼働後の運用・保守

誰が運用するか、保守に含めてほしいこと、3年分の費用

初期費用だけで比べて、稼働後に高くつく

15. 契約の形の希望

請負(完成を約束する契約)か準委任(作業した分を払う契約)か、工程ごとに契約を分けるか

同じ内容でも金額が2〜3割ずれる

16. 評価の方法と配点

下の配点例を参照

何を提案すれば選ばれるか読めず、辞退が増える

17. スケジュール

送付日、質問の締切、回答日、提出期限、選定結果の連絡日

各社が準備期間を読めない

18. 秘密保持と追加資料

秘密保持契約の締結後に渡す資料の一覧

見せる情報が会社ごとに違ってしまう

11番の「納期か機能か」は軽く見られがちですが、効きます。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)のソフトウェア・メトリクス調査2025では、納期を優先したプロジェクトの74.5%が予定の期間内に完了し、20%以上遅れたのは8.2%でした。他の事項を優先した場合、20%以上遅れた割合は19.6%です。優先順位を書いておくと、各社は「納期に間に合わせるために何を後回しにするか」まで含めて提案できます。

契約の形(15番)の違いはAI開発の契約形態、スケジュールの組み方(17番)はAI開発の期間の目安で詳しく扱っています。

評価の方法と配点を、RFPに先に書いておく

デジタル庁の調達の流れでは、仕様書の案を作る段階で複数の会社から参考の見積もりを集め、評価の配点を確認してから公告に進みます。評価の項目と点数の配分は、調達上の必要性・重要性に基づいて決めるとされています。民間の発注でも、配点は見積もりが届く前に決めて、RFPに書いておきます。

評価項目

配点(例)

見るところ

業務の理解と提案の具体性

30点

自社の業務の言葉で書かれているか。難しい箇所を具体的に挙げているか

費用(3年総額)

25点

初期費用+月額×36ヶ月+想定される追加費用

進め方

20点

小さく試す工程があるか。合格の条件を着手前に決めるか

体制

15点

実際に作る人と役割が書かれているか。再委託の範囲が明示されているか

運用と引き継ぎ

10点

設計書・運用手順書の納品、アカウントを自社名義にできるか

配点は一例です。自社が重視することに合わせて変えてください。

配点を先に書くと、3つのことが起きます。開発会社は何に力を入れて提案すればよいかが分かり、受注の見込みも読めるので辞退しにくくなります。社内では、見積もりが届いてから「やはり安いところで」と基準が変わるのを防げます。そして稟議で「なぜこの1社か」を聞かれたとき、配点表と各社の点数がそのまま説明になります。

AI開発を含むときに足す6項目

AIを使う開発では、一般的なシステム開発のRFPに次の6項目を足します。ここが抜けると、データの扱いと権利で後から揉めます。

項目

記入例

書かないと起きること

渡せるデータの種類・件数・状態

過去2年分の問い合わせ履歴(Excel、表記ゆれあり)を秘密保持契約の締結後に提供

データを整える作業が、会社によって入っていたり抜けていたりする

データを学習に使ってよいか

提供データを、他の案件のAIの学習に使わないこと

預けたデータの使われ方が契約で決まらない

合格の条件と、それを測るデータ

当社が用意する質問○件で、担当者が手直しせずに使える回答が○割以上

「精度○%」が何に対する数字か分からない

AIの利用料の名義と上限

AIサービスの契約は当社名義。月額の想定と上限を見積もりに記載

開発会社名義で契約され、解約時にデータごと動かせなくなる

作ったものの権利

プログラム、AIへの指示文、設定の権利と引き渡し範囲を提案に明記

権利が開発会社に残り、他社に改修を頼めない

AIを乗り換えるときの扱い

別のAIサービスに切り替える場合の作業範囲と費用の考え方を記載

特定のAIに深く結びついた作りになり、数年後に作り直しになる

これらは、経済産業省が2025年2月18日に公表した「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」の考え方を、RFPで先に聞く形にしたものです。契約書で確認すべき項目はAI開発会社の選び方の20項目チェックリストで扱っています。

見積もりの「返し方」を指定する回答シート

RFPで条件をそろえても、見積書の形式が3社バラバラだと、結局は自分で表に書き写す作業が発生します。そこで、RFPに「この表を埋めて返してください」という回答シートを同封します。受け取った時点で3社が同じ行に並ぶので、比べる作業がほぼ終わった状態から検討を始められます。

書いてもらう内容

受け取ったときに見るところ

1. 工程別の金額

要件定義/設計/開発/テスト/データ移行・操作説明/プロジェクト管理

0円の工程、「一式」の工程がないか

2. 前提条件

データの状態、つなぐシステムの本数、発注側が担う作業、修正の回数

前提の行が少ない見積もりは、着手後に増える

3. 対象外

見積もりに含まれない作業

3社で対象外が違う箇所が、そのまま質問リストになる

4. 追加になったときの単価

連携1本/画面1枚/帳票1枚/修正1回が増えた場合の金額

途中で要望が増えても、その場で費用が計算できるか

5. 体制と再委託

役割ごとの人数、自社の社員か、再委託する工程と社数

誰が実際に作るのか

6. 期間

工程ごとの期間と、発注側が確認に使う時間

発注側の手間が現実的か

7. 費用の総額

初期費用、月額、3年総額(初期+月額×36ヶ月)

初期費用だけで並べると順位が入れ替わる

8. AIの利用料(該当する場合)

月額の想定、上限、契約の名義

月額に含まれる量と、超えたときの金額

9. 契約の形と有効期限

請負か準委任か、見積もりの有効期限

比べている間に期限が切れないか

回答シートはExcel 1枚にまとめ、「自社形式の見積書の添付も可」と書き添えます。開発会社の負担は小さく、発注側は各社の見積書を読み解く手間が大きく減ります。

届いたシートを横に並べたあと、どこを見て判断するかはAI開発の見積もり比較の比較表(15行)と同じ考え方です。回答シートはその表を後から埋めるのではなく、最初からその形で受け取るためのものです。

条件をそろえたまま相見積もりを進める手順とルール

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業基盤整備機構)の公式サイトOGP画像

出典: 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト

手順と期間

時期

やること

ポイント

0週目

2〜3社に概算を聞き、開発費の桁をつかむ

この段階はRFP不要。桁が分かれば、RFPの厚さと声をかける社数が決まる

1〜2週目

RFP・回答シート・配点を作り、秘密保持契約を結ぶ

既存システムの設計書や業務データの見本を見せるなら、先に契約を結ぶ

3週目

全社に同じ日に、同じファイルを送る

口頭で補足しない。補足が必要ならRFPに書き足す

3〜4週目

質問を受け付け、締切後に全社へ同じ回答を送る

質問した会社名は伏せる

5〜6週目

提案と回答シートを受け取る

送付から提出まで2〜3週間を取る

6〜8週目

シートを並べ、各社と打ち合わせ、配点で決める

選ばなかった会社にも結果を連絡する

全体で1〜2ヶ月です。提案の準備期間を短くしすぎないでください。デジタル庁の調達手続マニュアルでは、1,500万円未満の案件でも公告から10日以上、WTO政府調達協定の対象になる大きな案件(1,500万円以上)では50日以上の準備期間を取るとしています。民間の発注では2〜3週間が目安です。「来週までに見積もりを」と頼むと、開発会社は社内の標準単価を当てはめた概算しか出せません。

0週目の概算は、どの会社に聞いても構いません。当社も、要件が固まっていない段階の相談を初回無料で受けています。進め方は受託開発サービスのページに載せています。

質問と回答のルール

相見積もりが途中で比べられなくなる原因の多くは、質問への答え方にあります。次のルールをRFPに書いておき、発注側も守ります。

  • 質問はメールなど文書で受け付け、締切日を決める
  • 回答は、質問した会社名を伏せて、全社に同じ文面で送る
  • 1社にだけ電話や打ち合わせで追加の情報を渡さない。渡してしまったら、同じ内容を全社に送る
  • 範囲・予算・時期を変えたら、RFPの改訂版を全社に送り、全社から再見積もりを取る
  • 1社の提案に含まれていた工夫や資料そのものを、他社に見せない

質問が多い会社を面倒に感じるかもしれませんが、多くの場合、実際に作る前提でRFPを読み込んでいる会社です。質問への回答を全社にそろえて返すこと自体が、各社の見積もりの前提をそろえる作業になります。

やってはいけない依頼のしかた

  • 「来週までに概算をください」:標準単価を当てはめた数字しか返ってこず、比べる意味がない
  • 口頭だけで説明する:説明するたびに内容が変わり、各社が違う前提で見積もる
  • 1社の提案内容を、他社向けのRFPに混ぜる:提案した会社の工夫をただで配ることになり、次から良い提案が出なくなる
  • 途中で1社にだけ条件を変える:その時点で比較が成り立たなくなる
  • 5社を超えて声をかける:辞退が増え、残った会社の提案も薄くなる

発注側の進め方が原因で開発がつまずく例は、AI開発の失敗はどこで起きるかにまとめています。

補助金を使うなら、RFPが「同一条件の見積もり」の証拠になる

補助金を使って開発する場合、RFPは社内の比較のためだけでなく、審査で求められる書類そのものになります。ものづくり補助金 第23次の公募要領(2026年2月6日公開、5月8日締切で終了済み)には、次の記載があります。

「単価50万円(税抜)以上の物件等については、原則として2者以上から同一条件による見積りをとることが必要です。」

「システム構築費については、補助金交付候補者として採択後、見積書に加え仕様書等の価格妥当性を検証できる書類の提出を求めることがあります。」

「同一条件」を示すには、全社に同じRFPと回答シートを同じ日に送った記録(送信メールと添付ファイル)を残しておくのが確実です。「仕様書等」としても、RFPがそのまま使えます。

同じ公募要領には「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外」ともあります。第23次で同一条件の見積書を求められたのは採択後の交付申請の段階ですが、申請する事業計画の金額を固めるためにも、見積もりは早めに取り、発注・契約は交付決定の後という順番を崩さないでください。

2026年度は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募が行われています。2026年6月29日に公募要領が公開され(8月14日に改訂)、8月31日から申請を受け付けており、応募締切は2026年10月30日(金)18:00です(当初の9月30日から延長)。事務局は、従来の「中小企業新事業進出補助金」や「ものづくり補助金」とは異なる補助金だと案内しています。RFPの作成から見積もりの受け取りまで1〜2ヶ月かかるので、この回の申請を考えているなら早めに動き始めてください。見積もりの社数や金額の基準が第23次と同じかは、申請前に事務局サイトの最新の公募要領で確認してください。デジタル化・AI導入補助金の締切はデジタル化・AI導入補助金の締切で追っています。

見積もりの後で作業を増やしたら、再見積もりを取る

2026年1月1日に、下請法を改正した取適法(中小受託取引適正化法)が施行されました。公正取引委員会のよくある質問(Q111)では、見積書を出してもらった後で作業内容が増えたのに、当初の見積単価のまま発注すると、十分な協議が行われたとはいえず「買いたたき」に当たるおそれがある、と説明しています。

一方で同じQ&A(Q28)は、自社で使うソフトウェアのうち、自社では作る力がない部分を専門の開発会社に外注する場合は、この法律の対象となる委託に当たらないとも説明しています。一般的な事業会社が自社で使う業務システムを外注するだけなら、対象外になるケースが多いということです。ただ、対象かどうかにかかわらず、RFPの内容を変えたら全社から再見積もりを取るのは、同じ条件で比べるための原則でもあります。

返ってきた見積もりが妥当かを、公的データで一段チェックする

JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」の開発フェーズ別の工数と工期の比率グラフ(工期20:50:30、工数15:60:25)

出典: JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)公式「ソフトウェア・メトリクス調査2025【ガイドブック】」

回答シートがそろったら、金額の配分が極端でないかを公的な調査の数字で確かめます。

JUASのソフトウェア・メトリクス調査2025(2025年4月10日)では、作業量(工数)の比率は次のとおりでした。

工程

作業量の比率

期間の比率

要件定義

15

20

設計〜結合テスト

60

50

総合テスト

25

30

「設計〜結合テスト」は設計から、作った部品を組み合わせて動くかを確かめるまで、「総合テスト」は業務の流れどおりにシステム全体が動くかを確かめる工程です。作業量の比率なので金額と完全には一致しませんが、要件定義から総合テストまでの部分が1,000万円の見積もりなら、要件定義に150万円前後、総合テストに250万円前後が乗っているのが一つの目安になります。次のような見積もりは、この時点で理由を聞いてください。

  • 要件定義が0円、またはごく小さい:要件を決める作業を発注側に任せる前提か、見積もりに入っていない
  • テストが全体の1割にも満たない:テストの範囲が狭いか、発注側がテストする前提になっている
  • 工程が「一式」でまとめられている:扱い方はAI開発の見積もり比較のよくある質問で解説しています

期間も確認できます。同調査の標準的な期間は「3.23×作業量(人月)の立方根」で、たとえば27人月(1人が1ヶ月作業する量の27倍)の開発なら、27の立方根は3なので3.23×3=約9.7ヶ月です。さらに、50人月未満のプロジェクトの56%が標準の期間を超えていました。小さい案件ほど遅れやすいので、RFPの希望時期には余裕を持たせてください。

ただし、この調査は大きな案件のデータが中心です。数十万〜数百万円の改修やPoCにそのまま当てはめると外れるので、「配分が極端でないか」を見る用途に限ってください。総務省の研修資料も、要件が明確でない段階の見積もりには「かなりの幅が生じることが多い」としつつ、参考見積もりの妥当性のチェックは可能だとしています。

費用の目安:RFP作成から開発まで

RFPと相見積もりにかかる費用

項目

金額・時間の目安

補足

RFPを社内で書く(A4 1枚版)

4〜8時間(1.2万〜2.4万円)

時給3,000円換算。当社の目安

RFPを社内で書く(フル版)

16〜32時間(4.8万〜9.6万円)

現状の文章化、つなぐシステムの一覧を含む。部門長クラス(時給5,000円)なら8万〜16万円

RFPの作成を外部に頼む

80万円〜(公開価格の例)

マイクロウェーブクリエイティブの企業サイト制作向けRFP作成支援の価格。業務システム向けは価格を公開していない会社が多い

相見積もり全体の社内の手間

35〜60時間・1〜2ヶ月(10万〜30万円)

依頼文づくりから比較、稟議まで。時給3,000〜5,000円換算

開発会社の提案・見積もり

無償

無償で作るため、条件が悪いと辞退される

社内で書けば10万円前後の人件費で済むRFPを、外部に頼むと80万円〜という例があります。外部の作成支援が見合うのは、システム投資が数千万円を超える、社内に業務を文章にできる人がいない、といった場合です。数百万円規模の開発なら、この記事のテンプレートを埋めて、足りない部分を開発会社との初回相談で補うほうが現実的です。

開発費の相場と当社の金額

依頼の種類

公開されている相場

当社(税別)

既存システムの小規模改修(画面・帳票の追加、データの書き出し、他システムとの連携、処理の修正)

30万〜200万円

30万円〜

PoC(小さく作って業務で試す)

100万〜500万円

300万円〜

本開発(本番で使うものを作る)

500万〜5,000万円

個別見積

初回相談

無料(要件が固まっていない段階でも可)

※相場は、各社が2026年に公開している工程別の相場をAI開発の見積もり比較で整理したもの。AI開発に絞った内訳はAI受託開発の費用相場にあります。

当社の本開発が個別見積なのは、金額が「利用者数・機能数・外部との連携・データの移し替え・セキュリティ・運用のしやすさ」で決まるためです。これはフル版RFPの8〜14番に書く内容そのものなので、フル版RFPがあれば、当社も含めて各社の見積もりの精度が上がります

当社の進め方は「ご相談 → 課題・要件整理 → 提案・見積もり → PoCまたは本開発 → 導入・改善」の5段階です。RFPの7項目がまだ埋まらない段階なら、ご相談と課題・要件整理のなかで、対象業務の絞り込みや成功の条件を一緒に言葉にしていきます。他社にもRFPを出す前提で、提案を依頼する1社に加えていただくことも歓迎しています。金額と進め方の詳細は受託開発サービスの料金と進め方をご覧ください。

RFPの1行で金額と進め方が変わる|実際にやった3つのケース

社名は守秘のため出せません。以下は当社が受けた案件で見積もりの段階に論点になったことを、「RFPに書くならこの1行」という形に置き換えたものです。

調剤薬局のケース:「既存システムは残す前提で提案してください」

課題:使っている業務システムから毎日データファイル(CSV)を書き出し、Excelで加工して、別のシステムに手で入力していた。担当者が休むと業務が止まる状態だった。

作ったもの:既存システムはそのままに、データの取り込みと加工、次のシステムへの受け渡しを自動で行う仕組みを追加した。新しいシステムは導入していない。

何が変わったか:手入力の工程がなくなり、担当者が休んでも業務が流れるようになった。見積もりの段階では、他社から基幹システムの入れ替えを含む提案も出ていた。

RFPに書くなら:フル版の9番「既存システムとの関係」に「既存システムは残す前提」と1行書くかどうかで、同じやりたいことに対する見積もりが一桁変わります。入れ替えが必要だと考える会社には、「入れ替える場合の案は参考として別に出してください」と書き添えれば、比較は崩れません。

医療機関のケース:「対象業務は1つ。残りは参考として記載」

課題:AIで効率化したい業務の候補が複数あり、どれから手を付けるか社内で決められなかった。全部をやる前提で見積もると数千万円になり、稟議が通らない。

作ったもの:候補の中から1業務に絞り、実際の業務データを使って、現場の担当者が触れるものをPoCとして作った。着手の前に「どの質問に、どの水準で答えられたら合格か」を文書で決めた。

何が変わったか:現場の言葉で「使える/使えない」を判断できるようになり、本開発に進む範囲を数字で説明できるようになった。

RFPに書くなら:A4 1枚版の1番「対象業務」に1つだけ書き、残りの候補は「参考」として別枠にします。そのうえで4番「成功と判断する条件」を着手前に決める前提で書いておけば、各社の提案はPoCの金額帯(当社なら300万円〜)にそろい、稟議にかけられる金額になります。PoCの設計はAI PoCの費用で詳しく扱っています。

インフラ企業のケース:「連携が1本増えたときの追加費用を記載してください」

課題:複数の社内システムにデータが分散し、集計と確認に人手がかかっていた。

作ったもの:分散していたデータを集め、必要な形で取り出せる仕組みを作った。既存システムとつなぐ本数を最初に確定させてから開発した。

何が変わったか:見積もりの段階で、つなぐ本数と「1本増えた場合の追加費用」を決めていたため、途中で業務側の要望が増えても、追加費用をその場で計算できる状態を保てた。

RFPに書くなら:回答シートの4番「追加になったときの単価」がこの1行です。つなぐシステムは、業務を進めるうちに増えるのが普通です。増えたときの値段を最初の見積もりで決めておくと、後の揉め事がほぼなくなります。

よくある質問

Q1. RFPに予算を書くべきですか。書くと、上限いっぱいで見積もられませんか。

書いたほうが比べやすくなります。予算を伏せると、各社は自分たちが想定する規模で見積もるため、既製のサービスを設定するだけの案と、一から作る案が混ざり、桁が合わなくなります。受注の見込みも読めないので、辞退の理由にもなります。「上限いっぱいで見積もられる」心配は、回答シートで工程別の金額と前提条件を書いてもらえば、何にお金が乗っているかが見えるので確かめられます。書き方は「初期費用300万円まで」のような上限か、「200万〜300万円」のような幅で構いません。あわせて「予算に収まらない場合は、どこを削れば収まるかも記載してください」と書くと、範囲を小さくした案が出てきます。

Q2. 1社目の提案で良いアイデアが出ました。他社向けのRFPに反映してもいいですか。

反映してかまいませんが、手順があります。まず、その会社の提案書や資料そのものは他社に渡しません。次に、アイデアを自社の要望として言い換え、RFPの改訂版として全社に同じ文面で送ります。最後に、全社から再見積もりを取ります。アイデアを出した会社は、評価の配点の「業務の理解と提案の具体性」で加点すれば公平に扱えます。提案をそのまま他社に見せると、次からどの会社も手の内を出さなくなります。

Q3. RFPを送ったら、開発会社に辞退されました。何が悪かったのでしょうか。

辞退の理由が開発会社側の事情(人手が空いていない、得意分野と違う)のこともありますが、発注側に原因があることが多いのは、提出までの期間が短い、声をかけた社数が多い、予算や評価の方法が書かれておらず何を提案すれば選ばれるかが読めない、対象業務が広すぎて見積もりに時間がかかる、の4つです。辞退の連絡が来たら「差し支えなければ理由を教えてください」と聞き、次にRFPを出すときの改善に使ってください。

Q4. 既存システムの設計書がない、または何年も前のものしかありません。RFPに何を書けばいいですか。

「設計書はない」「2018年時点のものしかない」とそのまま書くのが正解です。それ自体が、各社が見積もるうえで大事な前提条件になります。代わりに渡せるものとして、画面の画面写真、帳票やデータファイルの見本(秘密保持契約の締結後、個人情報を消したもの)、製品名と導入した時期、保守している会社があるかどうかを書きます。「既存システムの中身を調べる作業」を見積もりに入れるかどうかは会社によって分かれやすいので、回答シートの前提条件と対象外で、その扱いを必ず書いてもらってください。

Q5. 見積書の書式をこちらで指定すると、開発会社に嫌がられませんか。

前提条件・対象外・追加の単価を書く欄は、着手後に「それは範囲外でした」と揉めるのを防ぐためのもので、開発会社にとっても損はありません。嫌がられやすいのは、欄が多すぎる場合と、独自の計算方法を押しつける場合です。回答シートはA4 1〜2枚に収め、「自社形式の見積書の添付も可」と書いておけば、負担はほとんど増えません。もし「この書式では出せない」という会社があれば、どの欄が書けないのかを聞いてください。追加の単価や体制が書けない理由は、そのまま判断の材料になります。

Q6. 開発会社にRFPづくりを手伝ってもらうと、相見積もりが公平でなくなりますか。

手伝ってもらうこと自体は問題ありません。要件が固まらない段階で1社と話して整理するのは、むしろ近道です。注意点は2つです。1つは、特定の会社の製品名や独自の作り方をRFPに書かないこと。総務省の研修資料も、悪い仕様書の典型に「製品指定」を挙げています。RFPに書くのは「何を実現したいか」までにし、「どう作るか」は各社の提案に任せます。もう1つは、手伝ってくれた会社にも、他社と同じRFP・同じ締切・同じ回答で提案してもらうことです。手伝った分の業務の理解は提案の中身に自然に表れるので、特別扱いする必要はありません。

Q7. RFPをChatGPTなどのAIで作ってもいいですか。

項目の洗い出しや、書いた文章を読みやすく整える下書きには使えます。ただし、RFPで一番大事な「現状の件数と時間」「今回やらないこと」「予算の上限」「成功と判断する条件」は、自社の業務を知っている人にしか書けません。AIに任せると、どの会社にも当てはまる一般論のRFPになり、各社の見積もりはまた前提がずれます。また、業務データ、取引先の名前、患者や顧客の個人情報をそのまま入力しないでください。社内のAI利用ルールと、使うサービスの設定(入力した内容が学習に使われるかどうか)を確認してから使うのが安全です。


RFPに何を書くかの整理から相談できます

「対象業務を1つに絞れない」「予算の上限をいくらに置けばいいか分からない」「既存システムを残すべきか判断がつかない」。RFPの7項目が埋まらない段階でも相談を受けています。他社との相見積もりを前提にしたご相談も歓迎です。当社の金額は、既存システムの小規模改修が30万円〜、PoCが300万円〜、本開発は個別見積(すべて税別)で、初回相談は無料です。

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AI革命

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