ビジネス活用2026年9月更新

AI開発の期間はどれくらいか|規模別スケジュール実例と短縮策【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/10
AI開発の期間はどれくらいか|規模別スケジュール実例と短縮策【2026年9月最新】

この記事のポイント

AI開発の期間は既存AIを組み込む型で1〜3ヶ月、自社データで学習させる型なら6ヶ月〜1年。30万円〜/300万円〜の規模別スケジュールを週単位で示し、稟議を含む着手前の期間と短縮策まで数字で解説します。

AI開発の期間は、すでに世の中にあるAIを自社の業務システムに組み込む型なら1〜3ヶ月、自社のデータを集めてゼロからAIを育てる型なら6ヶ月〜1年が目安で、同じ「AI開発」でも所要期間が3倍以上変わります。費用は部分的な改修なら30万円〜、効果を試す小さな検証(PoC)なら300万円〜が下限で、期間を決めているのは技術の難しさではなく、発注する側がデータと判断をどれだけ早く出せるかです。

この記事は、AIを使った仕組みを外部の開発会社に発注したときに「相談してから実際に現場で使えるようになるまで何ヶ月かかるのか」を扱います。工程ごとの日数、自社側で発生する作業日数、稟議や契約にかかる着手前の期間まで含めて、規模別のスケジュールを実例で示します。AI開発の技術を自分で習得するまでの学習期間を探している場合は、この記事は対象外です。

AI開発の期間は「2つの型」で3倍以上変わる

既存AIを組み込む型と自社データで学習させる型の工程数の違いを示した図

期間の目安を調べると「6ヶ月〜1年」と書かれた記事と「1〜2ヶ月」と書かれた記事の両方が出てきます。どちらも間違いではありません。AI開発と呼ばれているものが、2026年現在は中身の違う2種類に分かれているからです。まず自社の案件がどちらなのかを判定してください。ここを取り違えたまま社内に期間を報告すると、必ず食い違いが起きます。

既存のAIを組み込む型

自社データで学習させる型

やること

すでに提供されている対話型AIを、自社の業務システムや社内資料とつなぐ

自社の過去データを集めてAIに学習させ、自社専用の予測・判定を作る

典型例

社内文書の検索と要約、問い合わせの一次対応、書類の読み取りと転記、定型レポートの自動作成

需要予測、設備の異常検知、画像による品質判定、独自の与信判断

データを集める工程

既存資料の整理のみ(数日〜3週間)

収集と「正解の印付け」に1〜3ヶ月

AIを育てる工程

原則不要

1〜3ヶ月(やり直しが発生する)

精度が事前に読めるか

ある程度読める

やってみないと分からない

全体期間

1〜3ヶ月

6ヶ月〜1年

費用の相場

50万〜1,000万円

500万〜3,000万円

期間の差を生んでいるのは「正解の印付け」と「AIを育てる」の2工程です。専門的にはアノテーション(データ1件ずつに正解のラベルを付ける作業)と学習と呼ばれ、従来型のAI開発ではプロジェクト時間の大半をここが占めます。数千〜数万件のデータに人手で印を付け、育てて、精度が足りなければ印の付け方から見直す。この往復が数ヶ月単位で発生します。

一方、既存のAIを組み込む型では、この2工程がまるごと消えます。AIはすでに言葉を理解できる状態で提供されているので、自社がやるのは「どの資料を読ませるか」「どういう手順で処理させるか」を決めることだけです。期間が3倍以上違うのは、工程数そのものが違うためです。

自社案件がどちらか判定する3つの質問

  1. 必要な答えは「文章・書類・会話」の中にありますか。それとも「過去の数値の傾向」の中にありますか。 前者なら組み込む型、後者なら学習させる型です。
  2. その業務の判断ルールを、人間が言葉で説明できますか。 説明できるなら組み込む型で足ります。「ベテランは分かるが言語化できない」なら学習させる型が候補になります。
  3. 過去のデータが数千件以上、機械が読める形(システム内のデータ、Excel、CSV)で残っていますか。 残っていないなら、学習させる型はそもそも選べません。データを貯めるところから始めるので、期間は1年以上を見ます。

実務では、中堅企業から寄せられる相談の大半は1つ目の質問で「文章・書類」に該当します。つまり多くの案件は、6ヶ月〜1年ではなく1〜3ヶ月のレンジです。 見積を取る前に、この判定だけでも社内でやっておくと、その後の話が早く進みます。

規模別のスケジュール実例

ここからは、実際にどう進むのかを週単位で示します。3つの規模に分けました。金額はすべて税別の目安です。

小規模な改修・部分自動化(30万円〜/合計2週間〜1.5ヶ月)

すでにある業務の、詰まっている1箇所だけを直す進め方です。転記作業をなくす、決まった形式の集計を自動化する、といった範囲を指します。

開発会社側

自社側でやること

1週目

現状のヒアリング、実現方法の確認

対象作業を実際に見せる、サンプルデータを渡す

2週目

仕様の確定、見積提示

部門長決裁を取る

3〜4週目

実装

週1回30分の確認のみ

5週目

現場での試験運用、調整

実際の業務で試し、不具合を挙げる

6週目

本番稼働、手順書の引き渡し

現場への周知

この帯は稟議が軽いのが最大の利点です。部門長の決裁で通る金額なので、着手前の待ち時間がほとんど発生しません。実務でも、最初の1本はこの規模から始めるのが最も失敗しにくい進め方です。

効果を試す小さな検証・PoC(300万円〜/合計2〜3ヶ月)

いきなり全社導入せず、対象を1部門・1業務に絞って「本当に使えるか」を確かめる段階です。

期間

開発会社側

自社側でやること

1〜2週目

対象業務の絞り込み、合格ラインの文書化

対象業務を1つに決める、合格基準に合意する

3〜6週目

データの受領と整形、試作

必要なデータを揃えて渡す(ここが最大の遅延要因)

7〜10週目

試作版の調整、精度の確認

現場担当者による試用、結果の評価

11〜12週目

結果報告、本開発へ進むかの判断材料の提示

進むか止めるかの意思決定

PoCで最も重要なのは、開始前に「どうなったら合格か」を数字で文書化しておくことです。精度、処理時間、対象件数の3点で構いません。これがないと、終わってから「まだ判断できない」となり、そのまま2ヶ月延びます。検証段階の費用の内訳はAIのPoCにかかる費用で詳しく整理しています。

本開発(個別見積/合計3〜12ヶ月)

業務システムとして本格的に組み上げる段階です。組み込む型なら3〜6ヶ月、学習させる型なら6〜12ヶ月が現実的な帯になります。

期間

工程

自社側でやること

1〜2ヶ月目

要件定義、既存システムとの接続方法の調査

現場ヒアリングへの協力、判断ルールの文書化、情報システム部門の審査

2〜6ヶ月目

設計・実装

隔週の中間確認、画面や帳票の確認

6〜7ヶ月目

受け入れテスト

現場担当者が実データで検証(合計10〜30時間)

7〜8ヶ月目

本番移行、現場教育

運用ルールの決定、説明会の実施

8ヶ月目以降

安定稼働の見守り、改善

使われ方の共有、改善要望の集約

工程ごとに何日かかるのか(自社側の作業日数込み)

AI開発の工程ごとの所要日数を並べたスケジュールのイメージ

期間の資料の多くは、開発会社側の工数しか書いていません。しかし実際にスケジュールを壊すのは、発注する側の作業が止まったときです。両方を並べた表がこちらです。

工程

開発会社側

自社側が出す時間

止まりやすさ

現状ヒアリング

2〜5日

現場担当者 合計4〜8時間

中(日程調整で1〜2週遅れる)

要件定義

2週間〜1ヶ月

判断ルールの整理 3〜10日

データの提供

受領後の整形に1〜3週間

5日〜1ヶ月

最高

情報システム部門の審査

資料作成 2〜5日

審査 2週間〜2ヶ月

実装

2週間〜4ヶ月

週1回30分の確認

受け入れテスト

3〜10日

現場で合計10〜30時間

本番移行・現場教育

3〜10日

説明会・手順書の確認 5〜10時間

自社側で必要になる時間を合計すると、小規模なら3〜5人日、PoCなら8〜15人日、本開発なら20〜40人日が目安です。ここを「担当者の空き時間でやる」と決めると、まず間に合いません。プロジェクトの担当者に、月に何時間をこの案件に使ってよいかを最初に決めておいてください。

なお、情報システム部門の審査や稟議にかかる日数について、公開された統計は見当たりません。上の数字は当社が実際に関わった案件での観測値であり、業種や社内規程によって大きく変わります。幅として捉えてください。

相談してから使えるようになるまでの本当の期間

経営者が知りたいのは「着手してから納品まで」ではなく「相談してから現場で使えるまで」です。ところが、この2つの間には着手前の期間が挟まっています。

段階

期間の目安

初回相談

60分×1〜2回

概算見積・進め方の提示

1〜2週間

社内稟議・決裁

2週間〜2ヶ月

契約手続き(秘密保持契約を含む)

1〜3週間

キックオフ、体制の確定

1週間

つまり、着手前だけで1〜3ヶ月かかります。金額帯で大きく変わるのがこの部分です。

  • 30万円台:部門長決裁で通ることが多く、相談から着手まで2〜4週間
  • 300万円台:役員決裁が必要になり、相談から着手まで1〜2ヶ月
  • 1,000万円超:取締役会や年度予算との調整が発生し、相談から着手まで2〜6ヶ月

逆算の考え方はこうです。使いたい日 −(開発期間)−(着手前の期間)= 相談を始めるべき日。 4月の新年度から本開発した仕組みを使いたいなら、開発6ヶ月+着手前2ヶ月で、前年の8月には相談を始めている必要があります。 ここを見落として「3ヶ月後に稼働します」と社内に約束してしまう例が非常に多く、これがAI案件が「遅れた」と評価される最大の理由です。見積を取る段階の進め方はAI開発の見積もり比較にまとめています。

期間が延びる5つの原因と、実際に効いた対処

1. データの提供待ち(+2週間〜2ヶ月)

最も多い原因です。「データはあります」と言われて着手したものの、実際には複数のシステムに分散していた、担当者しか出し方を知らない、個人情報が混ざっていて出すのに法務確認が要る、といった事情で止まります。

対処:契約前に、対象データを1週間分だけ実際に出力してみてください。すぐ出力できたなら問題ありません。手間取ったなら、その手間取り具合がそのままスケジュールに乗ります。

2. 要件の後出し(+1〜3ヶ月)

実装が進んだ段階で「この処理も入れてほしい」「別部署の分も対象に」と追加が入り、設計からやり直しになるケースです。

対処要件定義書に「今回やらないこと」を明記します。やることリストより、やらないことリストのほうが効きます。追加要望は却下せず、第2フェーズの候補として別リストに積んでください。

3. 情報システム部門の審査(+2週間〜2ヶ月)

外部のサービスにデータを送る構成の場合、社内のセキュリティ規程に照らした審査が入ります。審査の存在自体を知らずに進めて、本番移行の直前に止まる例が実際にあります。

対処:相談の初期段階で情報システム部門に一報を入れ、審査に必要な資料の様式と、審査の所要日数を先に聞いておくことです。これだけで1ヶ月単位の遅れが防げます。審査は実装工程と並行して進められます。

4. 現場の巻き込み不足(+1〜3ヶ月、最悪は作り直し)

企画部門だけで要件を決め、出来上がったものが現場の実際の手順と合わず使われない、というパターンです。テスト段階で発覚すると、設計からやり直しになります。

対処:現場担当者を1名、正式にプロジェクトメンバーに入れてください。オブザーバーではなく、要件の可否を判断する権限を持つ立場としてです。よくある失敗の型はAI開発が失敗する原因で整理しています。

5. 合格ラインが決まっていない(+1ヶ月〜無期限)

「精度が十分になったら本番へ」という決め方をすると、いつまでも十分になりません。判定する人が判定できないためです。

対処:「対象100件のうち90件以上が人手の確認なしで通ればよい」のように、件数と割合で書きます。 「実用に耐えるレベル」といった表現は判定基準になりません。

期間を短くするために、発注する側が選べる4つの手段

生成AIプロジェクトの検証段階での放棄を予測したガートナーのロゴ

出典: Gartner 公式サイト

期間短縮の解説はしばしば「事前準備をしましょう」で終わりますが、実際に効くのは次の4つの意思決定です。いずれも発注する側が単独で決められます。

手段1:対象業務を1つに切る

複数業務を同時に対象にすると、要件定義の期間が業務数に比例して伸びます。最も時間を食っている業務を1つだけ選んでください。 全社展開は、1本目が動いてからで間に合います。

手段2:検証段階は3ヶ月で必ず区切る

検証に期限を設けないと、判断が先送りされ続けます。これは根拠のある進め方です。

ガートナーは2024年7月29日の発表で、生成AIプロジェクトの少なくとも30%が、2025年末までに検証段階のあとで放棄されると予測しました。理由として挙げられたのは、データ品質の低さ、リスク管理の不足、コストの増大、ビジネス価値が不明確なことです。さらに2025年6月25日の発表では、自律的に動くタイプのAIプロジェクトの40%以上が2027年末までに中止されるとの予測も出しています。

止まるプロジェクトの多くは「技術的に無理だった」のではなく、期限がないまま検証を続けて、価値を判定できずに終わっているのです。だからこそ、始める前に終わりの日を決めます。

手段3:段階を分けて契約する

経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(2018年6月公表、2019年12月に1.1版)は、AI開発を①アセスメント ②PoC ③開発 ④追加学習の4段階に分け、段階ごとに契約する進め方を示しています。狙いは2つあります。AIは事前に性能を予測しにくいため段階を区切って認識をすり合わせること、そして大きな投資をした後で性能不足が判明する事態を避け、難しいと分かった時点で止められるようにすることです。さらに2025年2月18日には、発注する側の視点で条項レベルの確認ができる「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」も公表されています。

期間を区切るのは、値切りでも急かしでもなく、国が示している標準的な進め方です。 社内で説明するときの論拠としても使えます。契約の形と期間の関係はAI開発の契約形態で解説しています。

手段4:並行できる工程を分ける

順番にやる必要がない工程を並べます。実務で効くのは次の3つです。

  • 情報システム部門の審査を、実装と並行して進める(審査待ちで実装を止めない)
  • データの整備を、契約手続きと並行して自社で進める(データの棚卸しは契約前でもできる)
  • 現場向けの手順書作成を、テスト工程と並行して進める

この3つを並行させるだけで、本開発では1〜1.5ヶ月短縮できます。

2026年、実装は速くなったのに全体期間が縮まらない理由

AIツール利用時の所要時間が予測に反して19%長くなったMETRの実験結果グラフ

出典: METR 公式

AIがプログラムを書く仕組みが実用段階に入り、定型的なデータ処理や画面の作成といった、パターンが決まっている部分はAIに任せられるようになりました。技術者は設計と仕様の検討に集中する形に移っています。

ただし、「実装が速くなった」という体感と、実際に測った結果は必ずしも一致しません。研究機関METRが2025年7月に公表した実験では、平均5年の経験を持つ開発者16名が実際の開発課題246件に取り組んだところ、AIツールの使用を許可した条件のほうが所要時間が19%長くなりました。参加者自身は終了後に「20%速くなった」と回答していたにもかかわらずです。速くなる場面と、かえって手戻りが増える場面の両方がある、というのが現時点の実態です。

いずれにせよ、発注する側から見た全体期間は、期待されたほど縮んでいません。 短くなった工程と、短くならない工程がはっきり分かれているからです。

短くなった工程

短くなっていない工程

実装・プログラムの作成

要件定義・現場ヒアリング

画面や帳票の作成

データの収集と整備

試作版を出すまでの時間

受け入れテスト(現場が実データで確認する時間)

仕様変更への追従

稟議・契約・情報システム部門の審査

本開発の工程を時間で見ると、実装が占めるのは全体の3〜4割程度です。ここが半分になっても、全体では1〜2割の短縮にしかなりません。残りの6〜7割は、人が集まって決めること、データを揃えること、社内で承認を得ることに使われており、AIでは短縮できない領域です。

ここから導かれる実務的な結論は1つです。「実装が速い会社を選ぶ」より、「自社側の工程を先に片付ける」ほうが、期間短縮への効きが大きい。 発注先を比較する時間があるなら、その時間でデータの棚卸しと判断ルールの文書化を進めたほうが、結果的に早く動きます。自社でやるか外に出すかという論点は生成AIの内製と外注で扱っています。

費用と期間の対応表

期間は費用と連動します。まず業界の相場です(税別)。

規模

費用の相場

期間の目安

部分的な改修・自動化

5〜50万円

2週間〜1.5ヶ月

PoC(効果検証)

100〜500万円

1〜3ヶ月

業務システム化(既存AI組み込み)

300万〜1,500万円

3〜12ヶ月

自社データ学習型・全社データ基盤

1,000万〜5,000万円以上

6ヶ月〜1年以上

当社の価格と期間は次の通りです(すべて税別)。

当社の価格

期間の目安

小規模な改修・部分自動化

30万円〜

2週間〜1.5ヶ月

PoC(効果検証)

300万円〜

2〜3ヶ月

本開発

個別見積

3〜12ヶ月

相場のほぼ中央で、安売りはしていません。期間について当社が重視しているのは、着手前に「この案件は何ヶ月の案件なのか」を確定させることです。要件が固まっていない段階でご相談いただいて構いません。初回相談は無料で、対象業務の絞り込みとデータの所在確認から一緒に行います。実際、多くの案件はここが終わっていないために着手できずにいます。

進め方の詳細、対応できる範囲、過去の案件の規模感は受託開発サービスのページに記載しています。費用側の内訳をもう少し詳しく知りたい場合はAI受託開発の費用相場もあわせてご覧ください。

実際にやった事例|期間の内訳つき

守秘の関係で社名は出せませんが、当社が担当した案件を3つ、課題・作ったもの・何がどう変わったかの順で、期間の内訳とあわせて紹介します。

調剤薬局のケース(小規模改修・相談から稼働まで約5週間)

課題は、1つのシステムに入力した内容を別の管理表へ手で転記する作業が毎日発生していたことでした。繁忙期には転記漏れも起きていました。作ったものは、片方のシステムから出力したデータを整形し、もう一方の形式に変換して取り込める仕組みです。期間の内訳は、相談と仕様確定に2週間、実装に2週間、現場での試験運用に1週間でした。5週間で終わった最大の理由は、対象を「毎日発生している転記1箇所」に限定したことです。全社的なシステム刷新にしていれば、同じ内容でも半年コースになっていました。変わったのは、転記作業そのものと、転記ミスを探して直す時間の両方が消えたことです。

医療機関のケース(PoC・約3ヶ月)

課題は、蓄積された文書や記録は多いのに、必要な情報を探すのに時間がかかっていたことでした。作ったものは、手元の資料をAIに読ませ、質問すると根拠となる箇所を示しながら答える仕組みです。期間の内訳は、対象業務の絞り込みと合格ラインの設定に2週間、データの受領と整形に3週間、試作と調整に5週間、現場試用と判定に2週間。開始前に「どの質問に、どの水準で答えられたら合格とするか」を文書で決めていたため、拡大の可否を2週間で判断できました。 ここが曖昧な案件は、この判定だけで1〜2ヶ月延びます。

インフラ企業のケース(本開発・約7ヶ月)

課題は、複数システムにまたがるデータを人が突き合わせて確認しており、件数が多く月末に負荷が集中していたことでした。作ったものは、システム間のデータを自動で照合し、食い違いがある分だけを人に回す仕組みです。期間の内訳は、要件定義に2ヶ月、実装に3ヶ月、テストに1ヶ月、移行と現場教育に1ヶ月。要件定義に2ヶ月かかったのは、対象システムが複数あり、それぞれのデータの出し方を確認する必要があったためです。 全件を人が見る運用から例外だけを人が見る運用に切り替わり、確認作業の総量が減ったことに加えて、月末に集中していた負荷が平準化されました。

相談から着手までの流れ

段階

期間

自社側でやること

初回相談(無料)

60分

困っている業務と、そこに月何時間かけているかを話す

進め方と概算の提示

1〜2週間

対象業務を1つに絞る

データの所在確認

1週間

対象データを1週間分だけ試しに出力してみる

見積・スケジュール提示

1週間

情報システム部門に一報を入れる

稟議・契約

2週間〜2ヶ月

決裁を取る(この間にデータ整備を並行)

キックオフ

1週間

現場担当者を正式メンバーに入れる

初回相談の段階で「何ヶ月の案件になりそうか」の見立てをお伝えします。要件が固まっていない状態でも構いません。むしろ、固まる前にご相談いただいたほうが、着手前の1〜3ヶ月を短くできます。 体制の組み方や対応できる工程の範囲は受託開発サービスの進め方に記載しています。依頼先を見極める観点はAI開発会社の選び方にまとめています。

よくある質問

Q1. 「3ヶ月でお願いします」と期限を切って発注できますか。

できます。ただし、期限を固定すると、動くのは対象範囲と費用のどちらかです。3ヶ月で確実に動かすなら、対象業務を絞る、判断が難しいケースは人が処理する運用にする、といった形で範囲を削ります。逆に範囲を削らずに3ヶ月へ収めようとすると、体制を厚くするため費用が上がります。よくないのは、期限だけ約束させて範囲も費用もそのままにすることです。この形で受ける会社は、テスト工程を削っているか、期限を守れないかのどちらかになります。発注時は「3ヶ月で、この範囲を、この費用で」と3点セットで合意してください。

Q2. 期間が延びた場合、追加費用は発生しますか。

契約の形によります。準委任契約は「決められた体制で作業する」契約なので、期間が延びればその分の費用が発生します。 請負契約は「成果物の完成」を約束する契約なので、開発会社側の都合で延びた分は追加になりません。ただし、発注側の都合(データ提供の遅れ、要件の追加)で延びた場合は、請負契約でも追加費用や納期変更の対象になるのが通常です。契約書の「納期変更」「追加作業の取り扱い」の条項を、契約前に必ず読んでください。AI開発では、前半の検証段階を準委任、後半の本開発を請負とする組み方が一般的です。

Q3. 社内にデータがまとまっていません。まず何から始めれば期間が短くなりますか。

棚卸しの表を1枚作ってください。列は「データの名前/どのシステムにあるか/形式(システム内・Excel・CSV・PDF・紙)/いつからの分があるか/件数/出力できる人」の6つです。この作業は自社だけででき、契約前でも進められます。この表があると、要件定義の期間が2〜4週間短くなります。 埋まらない欄が多い場合、そこがそのままリスク箇所です。特に「出力できる人」が1名しかいない項目は、その人の稼働がスケジュールを直接左右します。紙しかない項目があれば、AI化の前に電子化の検討が必要です。

Q4. PoCをやらずに、いきなり本開発に進むことはできますか。

条件次第で可能です。既存のAIを組み込む型で、対象業務の判断ルールが言葉で説明でき、データがすでに電子化されている場合は、検証段階を飛ばしても大きなリスクにはなりません。この場合、要件定義の中で小さな試作を作って確認する形にすれば、全体で1〜2ヶ月短縮できます。一方、自社データで学習させる型では飛ばすべきではありません。 精度が出るかどうかを事前に読めないため、いきなり本開発に投資すると、性能不足が判明した時点で投資額がまるごと失われます。判断に迷う場合は、300万円の検証をやる代わりに「30万円台の改修で1箇所だけ試す」という選択肢もあります。

Q5. 期間中、自社側は誰が何時間くらい関わる必要がありますか。

必要な体制は3つの役割です。①決裁できる責任者(月1〜2時間、進捗確認と意思決定)、②プロジェクト担当者(週2〜4時間、窓口と社内調整)、③現場担当者1〜2名(ヒアリングとテストの時期に集中して合計10〜30時間)。合計すると、小規模で3〜5人日、PoCで8〜15人日、本開発で20〜40人日です。このうち省略できないのは③の現場担当者です。ここを外すと、出来上がったものが実際の手順と合わず、テスト段階で作り直しになります。担当者の通常業務の一部を、この期間だけ外す前提で体制を組んでください。

Q6. 途中で開発会社を変えたい場合、期間はどれくらい戻りますか。

工程によります。要件定義の途中なら、成果物(要件定義書、データの棚卸し表)を引き継げるため、戻りは2〜4週間程度で済みます。実装の途中で切り替える場合は、引き継ぐ側が既存のプログラムを読んで理解する期間が必要になり、実装済みの量にもよりますが1〜3ヶ月は戻ると見てください。最悪なのは、成果物の権利関係が契約書で整理されておらず、作りかけのものを引き取れないケースです。この場合はゼロからやり直しになります。契約時に「中途解約時の成果物の引き渡し」の条項を確認しておけば、この最悪ケースは避けられます。

Q7. 補助金を使う場合、スケジュールにどう影響しますか。

補助金は原則として交付決定の前に発注・契約した分は対象外です。したがって「相談 → 申請 → 交付決定 → 契約 → 着手」という順序になり、通常の進め方より着手が後ろにずれます。申請の準備、審査、交付決定までを含めると、着手前の期間が数ヶ月単位で伸びると見ておいてください。逆算するなら、使いたい時期から補助金の分だけさらに前倒しして相談を始める必要があります。制度ごとの締切や要件は年度で変わるため、最新の公募要領を必ず確認してください。制度の概要はAI導入に使える補助金で扱っています。

まとめ|期間を左右するのは技術ではなく段取り

AI開発の期間は、既存のAIを組み込む型で1〜3ヶ月、自社データで学習させる型で6ヶ月〜1年。これに着手前の1〜3ヶ月が乗ります。そして、この期間を実際に伸ばしているのは技術的な難しさではなく、データの提供待ち、要件の後出し、社内審査、現場の巻き込み不足、合格ラインの未定義という段取りの問題です。

裏を返せば、対象業務を1つに絞り、データの棚卸しを済ませ、合格ラインを数字で決めておくだけで、期間は目に見えて短くなります。この準備は、発注先が決まる前から自社だけで始められます。

「自社の案件は何ヶ月の案件になるのか」を知りたい段階で構いません。初回相談は無料で、対象業務の絞り込みからご一緒します。要件が固まっていない状態こそ、期間を短くする余地が最も大きい段階です。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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