AIツール2026年10月更新

Mistral Large 4とは?1兆パラメータのオープンウェイトMoE・料金$1.36/$4.18・10月末に重み公開・GPT-6 Luna/DeepSeek V4.1との比較【2026年10月】

公開日: 2026/10/07
Mistral Large 4とは?1兆パラメータのオープンウェイトMoE・料金$1.36/$4.18・10月末に重み公開・GPT-6 Luna/DeepSeek V4.1との比較【2026年10月】

この記事のポイント

Mistral Large 4は、仏Mistral AIが2026年10月6日にプレビュー公開した、総1兆超・アクティブ490億パラメータのマルチモーダルMoEモデルです。API料金(定価$1.36/$4.18と割引価格)、10月末予定の重み公開、ベンチマーク、GPT-6 Luna・DeepSeek V4.1とのコスト比較、こんな人におすすめかまで整理します。

Mistral Large 4は、フランスのMistral AIが2026年10月6日にパブリックプレビューとして公開した、総パラメータ約1兆・アクティブ490億のマルチモーダルMoE(Mixture-of-Experts)モデルです。現時点ではAPIで利用でき、モデルの重みは公式発表で「10月末」に公開される予定です。API定価は100万トークンあたり入力$1.36/出力$4.18で、公開から2週間は半額で使えます。

ここでは、Mistral Large 4の仕様、料金と割引期間、ベンチマーク(公式発表と第三者評価)、GPT-6 Luna・DeepSeek V4.1との比較、使い方、セルフホストの注意点、セキュリティ上のポイントをまとめています。

こんな方に向けた記事です

  • オープンウェイトの大型モデルを自社環境で動かすことを検討している開発者・情報システム担当者
  • 米国製・中国製以外のLLMを選択肢に入れたい企業・官公庁の担当者
  • GPT-6 LunaやDeepSeek V4.1と比べて、Large 4を選ぶ理由があるのかを知りたい方

Mistral Large 4の要点

ポイント

内容

何か

Mistral AIの最上位オープンウェイトモデル。テキスト+画像を入力できるMoE構成

規模

総1兆(モデルカード上は1.05兆)/1トークンあたりアクティブ490億(埋め込み層等を含めると520億)

料金

定価 入力$1.36・出力$4.18(100万トークンあたり)。公開から2週間は50%オフ

重み公開

公式は「10月末」。Hugging FaceのETAは10月31日。10月27日という報道もある

強み

サイバーセキュリティ、金融・法務、画像グラウンディング(衛星画像・図面)、欧州でのデータ主権

弱み

価格あたりの総合性能ではGPT-6 LunaやDeepSeek V4.1-Flashに劣る。出力が冗長になりやすい

おすすめの組織

オープンかつ非米中製の大型モデルを、オンプレや欧州リージョンで使いたい組織

Mistral AIという会社そのものについては、Mistral AIとは?で詳しく解説しています。


Mistral Large 4とは:仏Mistral AIの1兆パラメータ級オープンウェイトモデル

Mistral AI公式サイトのMistral Large 4発表ページのイメージ

出典:Mistral AI「Introducing Mistral Large 4」

Mistral Large 4は、Mistral AIが「中国以外で最も強力なオープンウェイトモデル」と位置づけるフラッグシップモデルです。指示に従う通常の応答と、段階的に考える推論(reasoning)を1つのモデルにまとめた「ハイブリッド型」で、画像も入力できます。公式の愛称は「Le Chonk(ル・チョンク)」です。

基本仕様

項目

内容

開発元

Mistral AI(フランス・パリ)

公開日

2026年10月6日(パブリックプレビュー)

APIモデルID

mistral-large-4

Hugging Faceリポジトリ

mistralai/Mistral-Large-4.0-1T05-A52B(現時点では公開予定ページのみ)

アーキテクチャ

細粒度(granular)のMixture-of-Experts。指示追従と推論のハイブリッド

総パラメータ

約1兆(公式モデルカードでは1.05兆)

アクティブパラメータ

490億(埋め込み層・出力層を含めると520億)

ビジョンエンコーダ

16億パラメータ

入力/出力

テキスト・画像/テキスト

コンテキスト長

100万トークン(公式)。第三者の計測ではAPI上限が約52万トークンと表示される例あり

対応言語

160以上(EU全公用語を含む)

学習基盤

欧州にあるMistral自社データセンターのNVIDIA Grace Blackwell GPU 3,800基

出典: Mistral公式ブログ、公式モデルカード、Hugging Face

「1兆パラメータなのにアクティブ490億」とはどういう意味か

MoEは、モデルの内部を多数の「専門家(エキスパート)」に分け、入力されたトークンごとに必要な専門家だけを動かす仕組みです。Large 4は全体で約1兆の知識を持ちつつ、1トークンを処理するときに実際に計算するのは490億パラメータ分だけです。そのため、1兆パラメータの密なモデルと比べて推論のコストと速度を抑えられます。

ただし、計算するのは一部でも、重み全体はメモリに載せておく必要があります。API利用では関係ありませんが、自社サーバーで動かす場合はこの点が大きなハードルになります。

数値の表記がメディアによって違う理由

Large 4の仕様は、情報源によって数字が少しずつ異なります。どれも誤りではなく、数え方や時点の違いです。

項目

表記の例

違いの理由

アクティブパラメータ

49B / 52B

49Bは本体のみ、52Bは埋め込み層・出力層を含めた値

総パラメータ

1T / 1.05T

公式ブログは概数、モデルカードは詳細値

コンテキスト長

1M / 524K

1Mは公式仕様。Artificial Analysis等の計測環境では約52万トークンと表示

重みの公開日

10月末 / 10月31日 / 10月27日

公式ブログは「今月末」、HFのETAは10/31、10/27は一部メディアの報道

API料金

$1.36・$4.18 / $0.68・$2.09

前者が定価、後者は公開後2週間の50%割引価格

前世代からの変化は大きく、2025年に公開されたMistral Large 3のAPI料金は入力$0.5/出力$1.5でした。Large 4は定価ベースで約2.7倍の価格帯に上がっています。


Mistral Large 4でできること

Large 4は、汎用チャットよりも専門性の高い業務やエージェント用途を強く意識したモデルです。公式が得意分野として挙げているのは次の領域です。

分野

具体的な用途の例

公式発表の主な数値

サイバーセキュリティ

脆弱性調査、インシデント対応、マルウェア解析

Cybench 93%、AA Cyber Index 82%

エージェント型コーディング

リポジトリ全体の修正、ターミナル操作

DeepSWE v1.1 61.7%、Terminal Bench 4 28.3%

金融

決算資料・開示資料の分析

FinWorkBench 67%

法務

契約書や法務文書のレビュー

Legal AgentでGPT-6 Astraを上回ると発表(数値非公表)

製造・エンジニアリング

CAD図面・技術図面の読み取り

Dense 200(ビジュアルグラウンディング)42%

地球観測

ギガピクセル級の衛星画像の解析

DIOR-RSVG 73%

業務自動化

複数ツールをまたぐワークフローの実行

AutomationBench 59.9%

API経由では、構造化出力(Structured Outputs)、関数呼び出し(Function Calling)、ドキュメントQ&A、バッチ処理、Agents & Conversations API、組み込みツールが使えます。業務フローに組み込むための機能は一通りそろっています。Mistralのワークフロー機能との組み合わせはMistral Studioのワークフロー機能が参考になります。

一方で、出力はテキストのみです。画像生成や音声の入出力には対応していません。PDFや画像の文字起こしに特化するなら、同社のMistral OCR 4を併用するほうが効率的です。


Mistral Large 4の強み

Large 4の強みは、「総合力で最強」という点ではありません。オープンウェイトであること、欧州製であること、専門分野に強いことの組み合わせにあります。

1. 米国製でも中国製でもないオープンウェイトの大型モデル

2026年時点で、1兆パラメータ級のオープンウェイトモデルはDeepSeek、Kimi、Qwen、GLMなど中国勢が中心です。Mistralは、Large 4を「米国・欧州のオープンウェイトモデルの中で総合ベンチマーク首位」としています。調達ルールや取引先の要請で中国製モデルを使いにくい企業にとって、現実的な選択肢が増えたことになります。

2. 欧州でのデータ主権

公式によると、欧州リージョンのデプロイは「他のデジタルサービス事業者から独立し、欧州法のもとでエンドツーエンドで運用」されます。米国のクラウド事業者を経由させたくない組織や、GDPR対応を重視する欧州拠点を持つ日本企業にとって、判断材料になります。学習に使った計算資源も欧州の自社データセンターで、その拡張には2026年9月の大型資金調達が充てられています(Mistral AIのシリーズD調達)。

3. サイバーセキュリティ領域の能力と安全対策

公式発表では、脆弱性の再現やCTF形式の課題で高いスコアを出しています。同時に、悪意あるサイバー攻撃目的のプロンプトに対する拒否率は「どのオープンソースモデルよりも高い」とし、正当な依頼を誤って拒否する率はクローズドモデルより低いと説明しています。セキュリティ企業や政府機関と組んだレッドチーミングも実施済みです。

4. 画像を使った専門業務

衛星画像の位置特定(DIOR-RSVG 73%)や、密集した画像内の物体特定(Dense 200で42%、GPT-6 Astraの41%を上回る)など、「画像のどこに何があるか」を答えるタスクで強さを見せています。図面・地図・検査画像を扱う製造業やインフラ分野で試す価値があります。


Mistral Large 4の弱み・制約

現時点でのLarge 4はプレビュー版であり、本番導入にはいくつかの制約があります。

弱み・制約

内容

重みが未公開

2026年10月7日時点ではAPI利用のみ。セルフホストやファインチューニングは重みの公開後

ライセンス未発表

Large 3はApache 2.0だったが、Large 4の商用利用条件は未発表

プレビュー版

強化学習(RL)が継続中。正式版で性能・挙動・料金が変わる可能性がある

総合性能はクローズド上位に届かない

Vals Indexは48.05%で44モデル中32位、Artificial AnalysisのIntelligence Indexは38

出力が冗長

AAの評価で出力トークン2億(同価格帯の中央値は8,100万)。1タスクあたりのコストが膨らみやすい

日本語性能が未公表

160以上の言語に対応とあるが、日本語に関する個別の評価は公式にない

レイテンシ

Valsの計測では応答までの時間が長めと評価されている

特に注意したいのが出力の冗長さです。トークン単価が同じでも、回答が2倍長ければ請求額も2倍になります。Artificial Analysisの計測では、評価タスク1件あたりの平均コストが約$1.13でした。見積もりは単価だけでなく、実際のプロンプトで出力量を測ってから行うのが安全です。

コーディングでも、Surge AIによる人手評価ではLarge 4が3.74、Claude Opus 5が4.22と差があります。開発支援を主目的にするなら、クローズドの上位モデルとの比較検証は欠かせません。


Mistral Large 4の料金:定価と割引期間

Large 4のAPI料金は、定価が入力$1.36/出力$4.18(100万トークンあたり)です。2026年10月6日の公開から2週間は50%割引が適用されています。

区分

定価

プレビュー割引中(公開から2週間)

入力

$1.36(約€1.21)

$0.68

キャッシュ入力

未発表

$0.07

出力

$4.18(約€3.71)

$2.09

出典: Mistral公式ブログ、公式Changelog

  • 公式Changelogには「最初の2週間は50%オフ」とだけあり、正確な終了日時は明記されていません。10月6日から数えると、10月20日前後に定価へ戻る見込みです
  • 公式ドキュメントのモデルカードは割引後の価格を表示しているため、モデルカードだけを見て予算を組むと、割引終了後に約2倍になります
  • 重みの公開後は、自社サーバーで動かせばトークン課金はかかりません。代わりにGPUの調達・運用コストが発生します

チャットアプリ「Mistral Vibe(旧Le Chat)」の料金

MistralのチャットアプリLe Chatは、2026年5月に「Mistral Vibe」へ名称が変わりました。公式料金ページで確認できるプランは、Free($0、月$10分のAPIクレジット付き)、Pro(月$14.99、月$15分のAPIクレジット付き)、Team(1ユーザー月$24.99、最低2ユーザー)、Enterprise(個別見積もり)です。ただし、VibeでLarge 4をどのプランから選べるかは、料金ページでは確認できません。Vibeでの利用を前提にする場合は、契約前にアプリ内のモデル選択画面で確認してください。


GPT-6 Luna・DeepSeek V4.1との比較

比較対象DeepSeekの公式サイトのロゴイメージ

出典:DeepSeek公式サイト

価格あたりの総合性能では、Large 4は割高です。Artificial AnalysisのIntelligence IndexはGPT-6 Luna、DeepSeek V4.1-Flashとほぼ同水準ですが、API単価は数倍から十数倍高くなります。Large 4を選ぶ理由は「安さ」ではなく、オープンウェイト・欧州製・専門分野の強さにあります。

比較表

項目

Mistral Large 4(プレビュー)

GPT-6 Luna

DeepSeek V4.1-Flash

DeepSeek V4-Pro-0813

開発元

Mistral AI(仏)

OpenAI(米)

DeepSeek(中)

DeepSeek(中)

重みの公開

10月末予定(ライセンス未発表)

非公開(クローズド)

公開(MIT)

公開(MIT)

総/アクティブパラメータ

1.05T/49B(52B)

非公開

552B/約8B〜16B

1.6T/49B

コンテキスト長

1M(公式)

1.05M(272K超は割増)

1M

1M

入力 $/100万トークン

1.36(割引中0.68)

0.10(272K超は0.20)

0.15(オフピーク)/0.30(ピーク)

0.66(オフピーク)/1.32(ピーク)

出力 $/100万トークン

4.18(割引中2.09)

0.50(272K超は0.75)

0.60/1.20

1.98/3.96

画像入力

○

○

×

×

AA Intelligence Index

38

38(Max設定)

39(Max設定)

—

出力速度(AA計測)

116 tok/s

129 tok/s

227 tok/s

—

出典: OpenAI API料金、DeepSeek API料金、Artificial Analysis

AA Intelligence Indexは評価時の設定(推論の強さなど)がモデルごとに異なるため、参考値として見てください。DeepSeekのピーク時間帯は平日の日本時間10:00〜13:00と15:00〜19:00で、日本の業務時間と重なりやすい点にも注意が必要です。

「DeepSeek V4.1」は、2026年6月に公開されたV4.1本体と、現行APIで提供されているV4.1-Flash(モデルID deepseek-flash)が混同されやすい名称です。この比較では現行APIの料金表に載っているV4.1-Flashを使っています。V4.1そのものの解説はDeepSeek V4.1とは?、Flash系はDeepSeek V4 Flashとは?をご覧ください。

月1億トークン使った場合のコスト試算

入力8,000万トークン・出力2,000万トークン(入力8:出力2)で、キャッシュを使わない場合の月額を試算しました。

モデル

月額の目安

Large 4定価との比較

Mistral Large 4(定価)

約$192

—

Mistral Large 4(割引中)

約$96

約1/2

GPT-6 Luna(272K以下)

約$18

約1/11

DeepSeek V4.1-Flash(オフピーク/ピーク)

約$24/約$48

約1/8〜1/4

DeepSeek V4-Pro-0813(オフピーク/ピーク)

約$92/約$185

約1/2〜ほぼ同等

この試算は単価のみの比較です。Large 4は出力が長くなりやすいため、同じ業務を処理させると出力トークンが他モデルより増え、差がさらに開く可能性があります。

どのモデルを選ぶべきか

優先したいこと

選ぶべきモデル

とにかく安く、大量に処理したい

GPT-6 Luna、DeepSeek V4.1-Flash

オープンウェイトで、コストも抑えたい

DeepSeek V4-Pro(オフピーク利用)

オープンウェイトで、米国製・中国製を避けたい

Mistral Large 4

欧州法のもとでデータを扱いたい

Mistral Large 4

画像(衛星画像・図面)とテキストを1モデルで扱いたい

Mistral Large 4、GPT-6 Luna

総合性能の最上位がほしい

クローズドの上位モデル(GPT-6 Astra、Claude Opus系など)

実質的なライバルは、アクティブパラメータ(49B)も価格帯も近いDeepSeek V4-Proです。両者の違いは「開発国」「画像入力の有無」「ライセンス(MITか未発表か)」の3点に集約されます。詳しくはDeepSeek V4 Proとは?、GPT-6 LunaについてはGPT-6 Sol・Lunaとは?を参照してください。クローズド最上位モデル同士の比較はGPT-6 Astra vs Fable 5.1でまとめています。

中国系オープンモデルとの公式ベンチマーク比較

Mistralは公式発表で、DeepSeek V4 Pro、Qwen 3.8 Max、GLM-5.2/5.3、Kimi K3を上回ったとしています。報道で確認できた数値は次のとおりです。

ベンチマーク

Mistral Large 4

比較対象

DeepSWE v1.1(コーディング)

61.7%

GLM-5.3 61%、DeepSeek-V4-Pro 57%

FinWorkBench(金融)

67%

DeepSeek-V4-Pro 67%、GLM-5.3 65%

DIOR-RSVG(衛星画像)

73%

Kimi K3 55%

いずれもMistral自身が発表した数値です。第三者の総合評価では順位が大きく下がることも合わせて見ておく必要があります。比較対象の各モデルはKimi K3とは?、Qwen 3.8 Maxとは?で解説しています。


Mistral Large 4の使い方

Mistral AI公式ドキュメントのトップページイメージ

出典:Mistral AI Documentation

現時点でLarge 4を使う方法は、Mistral公式のAPI(Mistral Studio)と、OpenRouterなどの外部サービス経由の2つです。

Mistral Studio(公式API)で使う手順

  1. Mistralの公式サイトからMistral Studio(旧La Plateforme)にアカウントを登録する
  2. 支払い方法を登録し、APIキーを発行する
  3. モデルIDに mistral-large-4 を指定してリクエストを送る

curlでの呼び出し例は次のとおりです。

curl https://api.mistral.ai/v1/chat/completions \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -H "Authorization: Bearer $MISTRAL_API_KEY" \
  -d '{
    "model": "mistral-large-4",
    "messages": [
      {"role": "user", "content": "この決算短信の要点を3つに整理してください。"}
    ]
  }'

エンドポイントやパラメータは変更される可能性があるため、実装時は公式ドキュメントで最新の仕様を確認してください。出力が長くなりやすいモデルなので、max_tokens を指定して上限を決めておくと、想定外の課金を防げます。

外部サービス経由で使う

  • OpenRouter: モデルID mistralai/mistral-large-4-0 で掲載されています。複数モデルを同じAPIで切り替えて比較したい場合に便利です
  • 国内事業者: 日本のFastMetalが提供開始を発表しています(PR TIMES)。提供条件やデータの保存場所は各社で異なるため、個別に確認が必要です

AWS Bedrock、Azure、Google Cloud Vertex AIでの提供状況は、現時点で公式に確認できていません。

使い始める前のチェックポイント

  • 割引期間中に検証し、定価で予算を組む
  • 日本語の業務文書で、品質と出力の長さを自社で計測する
  • プレビュー版のため、本番では他モデルへ切り替えられる構成にしておく

重み公開とセルフホストの見通し

Hugging Face上のMistral AI公式ページのイメージ

出典:Hugging Face「mistralai」

Large 4の重みは、公式ブログで「今月末(2026年10月末)」に公開予定とされています。Hugging Faceの公式リポジトリには「ETA: October 31, 2026」と表示されており、一部メディアは10月27日と報じています。現時点では公式の「10月末」を基準に考えるのが確実です。

重みの公開と同時に、アーキテクチャの詳細と、学習後の調整(ポストトレーニング)の手法も開示される予定です。Mistralは、Large 4をベースにした特化型・軽量化モデルを今後投入するとも予告しています。中位クラスのモデルで足りる用途なら、Mistral Medium 3.5も比較候補になります。

セルフホストに必要なハードウェアの目安

公式は必要スペックを発表していません。以下はパラメータ数からの推定です。

精度

重みだけで必要なメモリ(推定)

想定される構成(推定)

BF16

約2.1TB

複数ノードにまたがるGPUクラスタ

FP8

約1.05TB

1基141GB級のGPU 8基構成では重みだけでほぼ埋まる。KVキャッシュを考えると16基クラス、または1基192GB以上のGPUが現実的

4bit量子化

約0.5〜0.6TB

GPU 8基前後。ただし品質の劣化を検証する必要あり

MoEはアクティブパラメータが少ないため計算量は抑えられますが、メモリ要件は総パラメータで決まります。「アクティブ49Bだから中規模サーバーで動く」とは考えないほうが安全です。小規模なオンプレ運用が目的であれば、より小さいモデルや蒸留版の登場を待つ選択肢もあります。


セキュリティ・利用上の注意点

Large 4は高いサイバー能力を持つぶん、使う側の管理体制が問われるモデルです。

1. デュアルユース(悪用)のリスク

オープンウェイトのモデルは、公開後に誰でもダウンロードでき、安全対策を外す改変も技術的には可能です。Mistralは公開前にレッドチーミングを行い、拒否性能を高めたと説明していますが、改変されたモデルにはその対策が残らない可能性があります。オープンウェイトをめぐる論点はAnthropicのオープンウェイトに対する立場でも整理しています。

2. 社内で動かす場合のアクセス管理

自社サーバーでセルフホストする場合、利用者の認証、プロンプトと出力のログ保存、外部ネットワークへの接続制限を設けることが推奨されます。特にエージェント機能でコード実行やファイル操作を許可する場合は、権限を最小限に絞ってください。

3. プレビュー版を本番に組み込むリスク

正式版までに、性能・挙動・料金が変わる可能性があります。業務の中核に組み込む場合は、プロンプトの回帰テストを用意し、モデル更新時に結果を比べられるようにしておくと安心です。

4. API利用時のデータの扱い

公式は欧州リージョンでの運用をアピールしていますが、学習へのデータ利用やログの保持期間などの条件は、契約プランや利用規約によって異なります。機密情報を送る前に、Mistralの利用規約とデータ処理に関する公式ページを確認してください。外部の中継サービスを使う場合は、そのサービスのデータ方針も別途確認が必要です。


Mistral Large 4はこんな人におすすめ

おすすめできる人・組織

  • 中国製モデルを使いにくい事情があり、オープンウェイトの大型モデルを探している企業・官公庁
  • 欧州拠点を持ち、GDPRなど欧州法に沿ったデータ処理を重視する企業
  • サイバーセキュリティ業務(脆弱性調査、インシデント対応)でAIを試したいセキュリティチーム
  • 衛星画像・CAD図面・決算資料・法務文書など、専門性の高い文書や画像を扱う業務
  • 重みの公開後に、自社環境でのファインチューニングや閉域運用を計画している組織

おすすめしない人・組織

  • コストを最優先し、大量のテキストを安く処理したい人(GPT-6 LunaやDeepSeek V4.1-Flashのほうが有利)
  • 個人で手軽にチャットAIを使いたい人(Mistral Vibeでの提供条件が未確認で、APIは従量課金)
  • 日本語の文章品質を最重視する人(日本語性能の公式評価がなく、自社検証が前提)
  • 正式版で仕様が固まるまで待てない、変更に弱い本番システム
  • 1兆パラメータ級を動かすGPU環境を持たないのに、オンプレ運用を前提に考えている組織

よくある質問

Q. Mistral Large 4は無料で使えますか?

APIは従量課金のため、使った分だけ料金がかかります。公式料金ページによると、Mistral VibeのFreeプランには月$10分のAPIクレジットが付くため、少量の試用ならその範囲で収まる可能性があります。重みの公開後は、ライセンス条件しだいで自社環境で無償利用できる見込みですが、GPU費用は自己負担です。

Q. 「Le Chonk」という愛称は何ですか?

Mistralが公式に使っているLarge 4の愛称です。英語のネットスラングで「とても大きい・ずんぐりした」を意味する「chonk」にフランス語の冠詞「Le」を付けたもので、1兆パラメータという規模を表しています。

Q. Apache 2.0ライセンスで公開されますか?

現時点では未発表です。前世代のLarge 3はApache 2.0でしたが、Large 4が同じ条件になるかはわかりません。商用利用を予定している場合は、重みと同時に公開されるライセンスを必ず確認してください。

Q. 割引期間が終わると料金はどうなりますか?

入力$0.68→$1.36、出力$2.09→$4.18と、ちょうど2倍になります。割引期間中の請求額をそのまま月額予算にすると、翌月以降に予算を超える原因になります。

Q. Mistral Large 3から乗り換えるべきですか?

性能面では大きく向上していますが、API単価は約2.7倍です。Large 3で品質に不満がない用途なら、無理に乗り換える必要はありません。画像入力や長いコンテキスト、エージェント機能が必要な業務から順に検証するのが現実的です。

Q. 日本からでも使えますか?

Mistral Studioのアカウントを作成すれば、日本からでもAPIを利用できます。OpenRouterや国内事業者経由で使う方法もあります。ただし、日本語の品質は公式に評価されていないため、実際の業務文書で試してから導入を判断してください。


まとめ

Mistral Large 4は、総1兆超・アクティブ490億パラメータのMoE構成で、画像入力にも対応した、Mistral AIの最上位オープンウェイトモデルです。現時点ではAPIのプレビュー版のみで、定価は入力$1.36/出力$4.18、公開から2週間は半額です。重みは10月末に公開予定ですが、ライセンスはまだ発表されていません。

価格あたりの総合性能ではGPT-6 LunaやDeepSeek V4.1-Flashに劣るため、安さを求めて選ぶモデルではありません。米国製・中国製以外のオープンウェイトモデルが必要な場合、欧州でのデータ主権を重視する場合、サイバーセキュリティや衛星画像・図面などの専門業務に使う場合に、検討する価値があります。

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