Mistral Medium 3.5とは?128B統合モデルの料金・Vibe Workモード・SWE-bench 77.6%を解説【2026年10月最新】

この記事のポイント
Mistral Medium 3.5は、チャット・推論・コーディングを1つにまとめたMistral AIの128B密モデルです。Vibe(旧Le Chat)のWorkモード、API料金、Large 4との違い、Modified MITライセンスの売上条件まで2026年10月時点の公式情報で整理します。
Mistral Medium 3.5は、フランスのMistral AIが2026年4月28日に公開した、指示追従(チャット)・推論・コーディングを1つの128B密(dense)モデルにまとめたモデルです。SWE-bench Verifiedは77.6%(Mistral発表値)、API料金は100万トークンあたり入力$1.50/出力$7.50で、重みはModified MITライセンスで公開されています。
公開時、Mistralはこのモデルを「初の統合型フラッグシップ」と呼び、旧Le Chatの推論モデル「Magistral」とコーディングCLI「Vibe」の既定モデル「Devstral 2」を置き換えました。その後、Le Chatは2026年5月28日に「Vibe」へ名前が変わり、10月6日には上位モデルのMistral Large 4(パブリックプレビュー)が登場しています。2026年10月時点では、Medium 3.5は「重みが公開済みで、自社で動かせる統合モデル」と見るのが実態に近くなりました。
この記事でわかること:
- Mistral Medium 3.5の仕様と、置き換えた旧モデル(廃止日つき)
- Vibe(旧Le Chat)のWorkモード(旧称 Le Chat Work Mode)でできること・承認ゲートの仕組み
- Vibe Codeのリモートエージェント(GitHub PR作成)の使い方と初期設定の注意点
- API料金・Vibe各プランの最新情報と、Mistral Large 4との違い
- Modified MITライセンスの「月間売上$20M超」条件とセルフホストの条件
- こんな人におすすめ/おすすめしない人
AIコーディングツールや割安なLLM APIを検討している開発者・エンジニアと、データ主権(EU拠点・オンプレ運用)を重視する企業の担当者に向けた記事です。
Mistral Medium 3.5とは?3つの機能を統合した128B Dense型モデル
Mistral Medium 3.5は、それまで「コーディング」「チャット」「推論」で別々だったモデルを、1つの重み(128Bの密モデル)にまとめたモデルです。日本では4月29〜30日に報道され、APIでは公開時からmistral-medium-3-5として提供されています。

項目 | 仕様(2026年10月時点) |
|---|---|
開発元 | Mistral AI(フランス・パリ) |
公開日 | 2026年4月28日(公式changelog) |
パラメータ数 | 128B(Dense型。すべてのパラメータが毎回動く) |
アーキテクチャ | Dense Transformer(MoEではない) |
コンテキスト長 | 256k(約25.6万トークン) |
入力 | テキスト+画像 |
出力 | テキストのみ |
対応言語 | 数十言語。Hugging Faceのモデルカードでは日本語も明記 |
ライセンス | Modified MIT(オープンウェイト。売上の大きい企業には条件あり) |
提供状況 | Mistral公式ドキュメントではGA(一般提供)。Microsoft Foundryのカタログ上は「Preview」表示 |
APIモデルID |
|
提供先 | Mistral API、Vibe(旧Le Chat)、Vibe Code、Hugging Face、Ollama、NVIDIA NIM、Microsoft Foundry、OpenRouter |
Mistral AIはオープンウェイトのモデルを積極的に公開してきた欧州のAI企業です。会社の概要やモデルの全体像は「Mistral AIとは」で、資金調達とソブリンAIの動きは「Mistral 3000億円調達」で解説しています。
Medium 3.5が統合・置き換えた旧モデル
Medium 3.5の公開に合わせて、Mistralは用途別に分かれていたモデルを整理しました。置き換えられた旧モデルは2026年7〜8月にAPIでの提供を終えており、2026年10月時点ではすべて廃止済みです。
旧モデル | 従来の役割 | Medium 3.5との関係 | APIの廃止日 |
|---|---|---|---|
Magistral Medium 1.2 | 旧Le Chatの推論モデル | 推論機能がMedium 3.5に統合 | 2026年7月31日 |
Magistral Small 1.2 | 小型の推論モデル | 同時期に非推奨化 | 2026年7月31日 |
Devstral 2 | Vibe CLIの既定モデル | 既定モデルがMedium 3.5に交代 | 2026年7月31日 |
Mistral Medium 3/3.1 | 前世代のMediumモデル | 後継がMedium 3.5 | 2026年8月31日 |
旧モデルのAPI IDをコードに残していると、もう応答は返ってきません。移行先としてはmistral-medium-3-5、または常に最新のMediumを指すmistral-medium-latestが候補です。版を固定したい本番環境では版付きIDを指定し、エイリアスの切り替わりで挙動が変わらないようにしておくと安全です。
Dense型アーキテクチャの特徴
Mistral Medium 3.5は、すべてのパラメータが毎回動くDense(密)型です。大型モデルで増えているMoE(Mixture of Experts。推論のたびに一部の専門家ネットワークだけを動かす方式)とは作りが違います。
Dense型は挙動が読みやすく、自社で動かすときの構成も比較的単純です。一方で128Bすべてが毎回動くため、計算量は大きくなります。Medium 3.5はこの点を補うために、リクエストごとに推論の深さ(reasoning_effort)を切り替えられるようにしています。同じ重みのまま、軽いチャットから長いエージェント処理まで使い分けられます。
Mistral Medium 3.5でできること
1. 統合型チャット・推論・コーディング(reasoning effort可変)
reasoning_effortに指定できる値は、Hugging Faceのモデルカードによるとnoneとhighの2つです。
指定値 | 主な用途 | 推奨パラメータ(公式) |
|---|---|---|
| 日常のチャット、短い照会、定型の文章作成 | temperature 0.0〜0.7 |
| 複雑な論理、複数手順のコーディング、エージェント処理 | temperature 0.7・top_p 0.95 |
以前は「速いモデル」と「考えるモデル」を別々に呼び分ける必要がありましたが、Medium 3.5では指定値を変えるだけで済みます。APIで使う場合は、簡単な照会をnoneにして出力トークンを抑え、難しいタスクだけhighにすると費用を調整しやすくなります。Vibeの画面では「fast」と「think」の切り替えがこれにあたります。
2. マルチモーダル(画像入力)
視覚エンコーダーは、サイズや縦横比の違う画像を扱えるよう一から学習されています。次のような使い方ができます。
- 図表・グラフの読み取りと解説
- UIのスクリーンショットの分析
- 書類・請求書の読み取り
- 文書画像への質問応答
出力はテキストだけで、画像生成はVibe側の別機能です。大量の書類を正確に読み取りたい場合は、2026年8月31日にGAになった専用のOCRモデルが向いています。詳しくは「Mistral OCR 4とは」で解説しています(OCR 4.0は9月30日に廃止され、現行は4.1です)。
3. エージェント向けの機能(関数呼び出し・構造化出力)
公式のモデルページによると、次の機能に対応しています。
- 関数呼び出し(Function Calling)
- 構造化出力(JSON)
- Predicted Outputs、Prefix、ドキュメントQ&A
- バッチ処理(
/v1/batch) - Agents API/Conversations APIと組み込みツール
外部ツールと連携して自律的に動くエージェントを作るときのモデルとして使えます。
4. Vibe Workモード(旧 Le Chat Work Mode)
メール・カレンダー・Slack・Notion・GitHubなどをまたいで、複数手順のタスクを進めるエージェント機能です。4月に「Le Chat Work mode(Preview)」として登場し、Vibeへの改名後は中心機能になりました。ツールの呼び出しはすべて画面に表示され、メール送信などの前には承認を求めます。
5. Vibe Codeのリモートエージェント(コーディング)
コーディング作業をクラウドのサンドボックスで非同期に進め、完了したらGitHubのプルリクエストとして受け取れる機能です。4月の発表ではVibe CLIの既定モデルがMedium 3.5になりました。
6. オープンウェイト・セルフホスティング
Hugging Faceでmistralai/Mistral-Medium-3.5-128Bとして公開されています。vLLM(推奨)、SGLang、Transformers、llama.cpp(UnslothのGGUF)、Ollama、LM Studioで動かせます。投機的デコーディング用のMistral-Medium-3.5-128B-EAGLEも公開されています。
承認ゲート付きのエージェント業務支援「Vibe Workモード」(旧 Le Chat Work Mode)
Workモードは、Mistral Medium 3.5で動くVibe(旧Le Chat)のエージェント機能です。2026年9月ごろには従来のChatタブとWorkが1つにまとまり、chat.mistral.aiを開くとWorkが基本の画面になりました。旧Chatタブは順に撤去されており、Enterpriseプランには6か月の移行期間があって、管理者が切り替える日を選べます。

名前が変わったのはサービス名だけで、URL(chat.mistral.ai)、アカウント、会話の履歴、契約はそのまま引き継がれています。「Le Chat」で検索して情報が見つからない場合は、「Vibe」で探すと最新の公式情報にたどり着けます。
Work Modeでできること
ワークフローの自動化
- メール・Slack・カレンダーを1回の指示でまたいで操作する
- 受信箱の仕分け、返信の下書き、チームへの要約の送付
- 定期レポートを予約実行で作る(1回だけ/毎日・毎週・毎月・毎年)
調べものと文書づくり
- Web検索・URLの読み込み・社内資料から、構成の整ったレポートを作る
- Canvasに出力して、ブリーフやスライドの骨子をそのまま編集する
データの処理
- 請求書の処理、異常値の洗い出し、例外レポートの作成
- 複数のファイルやツールのデータをまとめて分析する
Work Modeで使えるツール
ツール | 内容 |
|---|---|
fast/think | 速さ重視と推論重視の切り替え |
Connectors | メール、カレンダー、Slack、Notion、GitHub、Google Drive、SharePointなど(Freeでも100以上) |
Skills | 旧Agentsの後継。 |
Libraries・Knowledge Base・ファイル | 社内資料や手元のファイルを参照する |
Canvas | 文書・レポート・スライドの骨子を作って編集する |
Web検索・Open URL | 最新の情報やページの中身を取りにいく |
Code Interpreter | コードを実行して計算・グラフ作成をする(有料プランのみ) |
Projects・Workflows | 作業をまとめて管理し、手順を定型化する |
Temporary Chat | 履歴に残らず学習にも使われない一時的な会話 |
社内の業務フローを組み立てる基盤としては、Mistralのワークフロー機能も選択肢になります。「Mistral Studio Workflowsとは」で仕組みを解説しています。
エージェントの意図しない操作を防ぐ承認ゲート
Workモードでは、メール送信、メッセージの投稿、カレンダーへの登録、課題の削除、外部ツールのデータ変更など、取り消しにくい操作の前に承認(approval gate)を求めます。ツールの呼び出しはすべて表示され、途中で止めたり指示を変えたりもできます。
業務ツールにつなぐエージェントで一番怖いのは、意図しない送信や削除です。承認ゲートはこれを抑える仕組みで、機密データや顧客とのやり取りを扱う部署で試すときの判断材料になります。AIの出力そのものを検査する仕組みが必要なら、Mistralの安全対策モデルを扱った「Shieldstralとは」も参考になります。
Work Modeの現時点の制約
制約 | 内容 |
|---|---|
使えるプラン | 4月の発表時点ではPro/Team/Enterprise向け。Vibeになってからの公式ドキュメントにはプラン条件が書かれていないため、契約前に画面で確認が必要 |
Code Interpreter | Workの中でも有料プランのみ |
使用量の上限 | 公式は「Freeの何倍」とだけ示しており、具体的な回数は公開していない |
既定モデル | 4月の発表時点ではMedium 3.5。Large 4登場後に変わったかどうかは公式で確認できていない |
最新の提供状況はVibe(chat.mistral.ai)と公式ドキュメントで確認してください。
GitHub PRを自動生成するコーディングエージェント「Vibe リモートエージェント」
Vibe Code(旧Vibe CLIとリモートエージェント)は、コードベースを読み書きして作業を進めるコーディングエージェントです。4月の発表で、既定モデルがDevstral 2からMistral Medium 3.5に変わりました。

出典: Mistral AI 公式ドキュメント(Vibe Code)
Vibeの主な機能
形態・機能 | 内容 |
|---|---|
CLI | ターミナルからファイルの読み書き、パッチ適用、シェル実行、コード検索 |
VS Code拡張 | エディタの中で同じエージェントを使う |
Vibe Code Web | GitHubリポジトリを選び、リモートのサンドボックスで作業させる |
To-do管理 | エージェントが自分の作業を一覧にして進める |
| 変更内容を確認しながら進めたいときに使う |
リモートエージェント(注目機能)
リモートエージェントは、クラウドで非同期・並列に動きます。/teleportを使うと、手元のCLIのセッションを、履歴や承認の状態ごとクラウドへ移せます。
- コードの編集、依存関係のインストール、テストの実行を非同期で進める
- 終わったらGitHubにプルリクエストを作る
- 手元の端末を閉じても作業は止まらない
- 連携先はGitHub・Linear・Jira・Sentry・Slack/Teams
大きなリファクタリングや時間のかかる作業を任せて、結果をPRで確認する使い方に向いています。
初期設定で気をつけたい点: 公式ドキュメントによると、シェルコマンドの実行には承認が必要ですが、ファイルの編集は初期設定だと確認なしで適用されます。重要なリポジトリでは、ブランチを分けて作業させるか、askエージェントで変更を確かめてから反映すると安心です。同じ種類のツールとの違いは「Claude Codeとは」とあわせて見ると判断しやすくなります。
Mistral Medium 3.5の強み
1. 実コードのIssue解決能力(SWE-bench Verified 77.6%)
実際のGitHubのIssueを直せるかを測るSWE-bench Verifiedで、Mistralは77.6%と発表しています。ほかに文字の数値で公開されているのは、エージェントの能力を測るτ³-Telecomの91.4%と、法律分野のLEXam-hardの31.89です。

Mistralの比較グラフでは、エージェント系テストの多くでClaude Sonnet 4.5を上回り、Sonnet 4.6・Kimi K2.5・GLM-5.1・Qwen3.5とも並べて比較しています。ただし、これらはすべてMistral自身の測定です。第三者のレビューには「Sonnet 4.6には少し届かない」という評価もあり、競合のスコアは測定条件やモデルの改訂で動きます。自社のコードで小さく試してから判断するのが確実です。
2. 高精度クラスとしては割安なAPI料金
Medium 3.5のAPI単価は、入力$1.50/出力$7.50(100万トークンあたり)で、公開時から変わっていません。米国製の上位モデルより抑えめとされることが多い水準ですが、他社の単価は改定が多いため、比べるときは各社の公式料金ページで現時点の金額を確かめてください。
ただし、2026年10月6日に出た同じMistralのLarge 4は入力$1.36/出力$4.18で、Medium 3.5より安くなっています。「Mistralの中で一番安い高性能モデル」という位置づけは変わったため、APIだけで使うならLarge 4も比較に入れてください。
3. Modified MITでセルフホスティング可能
重みが公開されているため、自社のサーバーやVPCで動かせます。ClaudeやGPTのようなクローズドモデルではできない、データを外に出さない運用が可能です。
- Hugging Face:
mistralai/Mistral-Medium-3.5-128B - GGUF版:
unsloth/Mistral-Medium-3.5-128B-GGUF - Ollama:
mistral-medium-3.5(約80GB) - 投機的デコーディング用:
mistralai/Mistral-Medium-3.5-128B-EAGLE
GPUの必要枚数について、Mistralは「最小4枚」と説明しています。ただし、Hugging Faceに載っている起動例はtensor-parallel 8(GPU 8枚)の構成で、SGLangのイメージもH100/H200・B200/B300向けです。見積もりでは4枚構成と8枚構成の両方を試算しておくと、あとになってGPUが足りないと分かる事態を防げます。
4. Temporary Chatとオンプレ運用によるデータ主権
Mistral AIはフランス(EU)を拠点とし、データ主権を前面に出しています。Vibeには、履歴に残らず学習にも使われないTemporary Chatがあります(会話があったという記録は残り、法令で必要な場合は保持されます)。重みを自社で動かせば、データを外部に出さずに運用できます。EUの顧客を持つ企業や、金融・医療などの規制業界で検討しやすいモデルです。
現時点での制約・できないこと
制約 | 内容 |
|---|---|
画像生成はできない | 出力はテキストのみ。画像生成はVibe側の別機能 |
コンテキストは256k | 同じMistralのLarge 4は1M。長大な文書を一度に扱うならLarge 4のほうが向く |
完全なオープンソースではない | Modified MIT。前月の世界連結の月間売上が$20Mを超える企業は個別の許諾が必要 |
セルフホストのハードル | 128Bの密モデル。公式は最小GPU 4枚、起動例は8枚。個人のPCで実用的に動かすのは難しい |
使用量が数字で示されていない | Vibeの上限は「Freeの何倍」としか公開されていない |
汎用ベンチマークの数値が少ない | 文字の数値で出ているのはSWE-bench・τ³-Telecom・LEXam-hardの3つ。ほかはグラフのみ |
このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します
初回相談は無料・30分(オンライン)。要件が決まっていなくても大丈夫です。改修100万円〜・PoC300万円〜(税別)
API料金・Vibe(旧Le Chat)のプラン
API従量課金(公式)
区分 | Mistral Medium 3.5 | 参考:Mistral Large 4(プレビュー) |
|---|---|---|
入力 | $1.50/100万トークン | $1.36/100万トークン |
出力 | $7.50/100万トークン | $4.18/100万トークン |
キャッシュ入力 | モデルページに記載なし | $0.14/100万トークン |
バッチ処理 | 50%引き(料金ページの共通の記載) | 同左 |
料金ページには、バッチ処理は50%引き、キャッシュ入力は最大90%引きと書かれています。Medium 3.5のキャッシュ単価は個別に載っていないため、使う前にMistral AIの料金ページで確認してください。
Vibe(旧Le Chat)のプラン(2026年10月時点・税抜)
プラン | 価格 | 主な内容 |
|---|---|---|
Free | $0 | メッセージ・Web検索・コーディングのセッション数に上限あり。基本的な画像生成、コネクタ100以上。web・モバイル・CLIで使える |
Pro | $14.99/月(学生は$5.99/月・最長12か月) | Freeの最大6倍のメッセージ、Web検索は最大5倍、画像生成は最大40倍。ストレージ15GB、予約実行5件まで。APIクレジット$15/月つき |
Team | $24.99/ユーザー/月(年払いは€19.99との報道あり) | 上限はProと同じ。1ユーザー30GB、ドメイン認証、データのエクスポート、予約実行は無制限 |
Enterprise | 個別見積 | カスタムモデル、監査ログ、SAML SSO、ホワイトラベル、独自構成でのデプロイ |
Proには毎月$15分のAPIクレジットが付くため、Vibeで試したあと、同じアカウントでAPIからMedium 3.5を呼んで小さく検証する流れが作れます。日本円での価格は公式に示されていないため、請求額は為替とカード会社の手数料で変わります。
セルフホスティングのコスト感
セルフホストでは、GPUサーバーの費用(4〜8枚構成)と運用の人手が固定でかかります。API(使った分だけ課金)とセルフホスト(固定費)のどちらが得かは、月の処理量で分かれます。想定する入出力トークン量から、どこで費用が逆転するかを試算しておくのが現実的です。
新しいモデルをAPIや自社サーバーで動かし、社内の業務システムに組み込む場合は、モデルの利用料とは別に、連携部分の開発と精度の検証に費用がかかります。PoCから本開発までの価格と見積もりの内訳は「AI開発の費用相場」で整理しています。
Mistral Medium 3.5を使う3つの方法
方法1: Vibe(旧Le Chat)Web(最も手軽)
- chat.mistral.aiを開く(旧Le Chatと同じURL)
- アカウントを作るか、既存のLe Chatアカウントでログインする
- Workの画面で指示を入力する。速さを重視するならfast、じっくり考えさせるならthinkを選ぶ
- メールやSlackと連携させる場合は、Connectorsから対象のサービスをつなぐ
日常のチャットや文書の作成・分析は、Freeプランから始められます。
方法2: API利用(開発者向け)
APIキーはconsole.mistral.aiで発行します。Mistral APIはChat Completions形式のエンドポイントを持っているため、OpenAI SDKの接続先を変えて呼び出す方法がよく使われます(すべての機能が互換とは限らないため、細かい仕様は公式ドキュメントで確認してください)。
import openai
client = openai.OpenAI(
api_key="your-mistral-api-key",
base_url="https://api.mistral.ai/v1"
)
response = client.chat.completions.create(
model="mistral-medium-3-5-26-04", # 版を固定。最新を追うなら mistral-medium-latest
messages=[{"role": "user", "content": "このコードをレビューしてください"}],
temperature=0.7,
top_p=0.95,
extra_body={"reasoning_effort": "high"} # 推論なしにするなら "none"
)
print(response.choices[0].message.content)Magistral系・Devstral 2・Medium 3/3.1を指定しているコードは、すでに廃止日を過ぎているため、モデルIDを書き換えてください。旧モデルのIDは公式のモデル一覧の廃止予定表で確認できます。
方法3: Ollama/セルフホストでローカル実行
# Ollamaをインストールしたあと(モデルは約80GB)
ollama pull mistral-medium-3.5
ollama run mistral-medium-3.5128Bのモデルなので、RTX 4090のような一般向けGPU 1枚で実用的に動かすのは困難です。本格的に使うなら、vLLMかSGLangで複数GPUに分けて動かします。
長いコンテキストで性能が落ちる場合: 公開直後のTransformers用configに誤りがあり、長いコンテキストで性能が下がる不具合がありました(その後の更新で修正済み)。修正前に作られたGGUFも同じ影響を受けるため、configとGGUFは最新版を使ってください。Mistralは、手元で性能が出ないときはAPIを使うよう案内しています。
他モデルとの比較

いま比べる相手として一番重要なのは、同じMistralのLarge 4です。Claudeなど他社モデルの数値は各社の公式で確かめられる範囲が限られるため、ここではMistralの公開情報で確かめられる項目に絞って比べます。
Mistral Medium 3.5とMistral Large 4の違い
項目 | Mistral Medium 3.5 | Mistral Large 4 |
|---|---|---|
公開 | 2026年4月28日 | 2026年10月6日(パブリックプレビュー) |
方式 | 128B Dense | 約1.05T MoE(動くのは約50B。発表文は49B、ドキュメントは52B) |
コンテキスト長 | 256k | 1M |
API単価(入力/出力) | $1.50/$7.50 | $1.36/$4.18 |
提供状況 | GA | パブリックプレビュー |
重みの公開 | 公開済み(Hugging Face) | 10月27日時点で未公開(Hugging Faceの予定は10月31日) |
ライセンス | Modified MIT(内容が確定している) | 重みと同時に公開予定で、まだ確認できない |
自社で動かす難しさ | GPU 4〜8枚 | 1T規模のMoEのため、より大きな設備が必要になる見込み |
Large 4の詳しい仕様は「Mistral Large 4とは」で解説しています。
Claude Sonnet系との違い
項目 | Mistral Medium 3.5 | Claude Sonnet系 |
|---|---|---|
SWE-bench Verified | 77.6%(Mistral発表値) | Mistralのグラフでは比較対象。数値は各社の公式で確認を |
重みの公開・自社運用 | できる(Modified MIT) | できない(クローズド) |
画像入力 | 対応 | 対応 |
開発元の拠点 | フランス(EU) | 米国 |
コーディング用ツール | Vibe Code | Claude Code |
用途別の選び分け
優先したいこと | 選ぶモデル | 理由 |
|---|---|---|
重みを自社で動かしたい(今すぐ) | Medium 3.5 | 重みとライセンスが確定済み。128B密でGPU構成を見積もりやすい |
データを社外に出したくない・規制業界 | Medium 3.5 | オンプレ・VPCで運用できる。EU拠点 |
APIだけで使い、単価を下げたい | Large 4 | 入力・出力とも単価が安い(ただしプレビュー) |
長大な文書を一度に処理したい | Large 4 | 1Mコンテキスト |
本番で安定した提供を重視 | Medium 3.5 | GA。プレビューより仕様変更の心配が少ない |
コーディング精度を最優先 | 複数モデルを比較 | 各社の発表値は条件が違うため、自社のコードで試すのが確実 |
こんな人におすすめ / おすすめしない人
おすすめの人
- 重みを自社環境で動かしたい組織:データを社外に出せない、またはモデルのバージョンを自分で固定したい
- EU・規制業界向けのサービスを持つ企業:データ主権とオンプレ運用が求められる場面
- コーディングエージェントを試したい開発者:Vibe CodeでPR作成まで任せる使い方を試したい
- Workモードで業務の自動化を試したい人:メール・カレンダー・Slack・GitHubをまたぐ定型作業を減らしたい
- 画像も読ませたい開発者:画像入力とテキスト出力を、上位の米国製モデルより抑えた単価で使いたい
- 旧Magistral・Devstral 2・Medium 3.1の利用者:廃止済みモデルからの移行先を探している
おすすめしない人
- APIだけで使い、とにかく単価を下げたい人:Large 4のほうが安い。プレビューでよければそちらを比較する
- 1M規模のコンテキストが必要な人:256kでは足りない場合がある
- 月間売上が$20Mを超える企業で、重みを自由に使いたい人:ライセンス上、個別の許諾かホスト型の利用が必要
- 日本語の画面で迷わず使いたい個人:Vibeの日本語UIについての公式の説明は少ない
- 無料で大量に使いたい人:Freeには上限があり、具体的な回数も公開されていない
セキュリティ・ライセンスの注意点
Modified MITの「大企業例外」
Mistral Medium 3.5のライセンスはModified MITです。Hugging FaceのLICENSE原文によると、前月の世界連結の月間売上が$20M(他通貨なら同等額)を超える企業とその従業員は、このライセンスによる権利を持ちません。使いたい場合は、sales@mistral.aiに連絡して個別の許諾を得るか(許諾するかどうかはMistralの判断)、APIなどMistralのホスト型サービスを使う必要があります。
$20Mは1ドル150円で換算すると月約30億円、年換算で約360億円です。日本の大手企業や売上の大きい中堅企業は対象になりえます。グループ会社を含む連結の売上で判断する点にも注意してください。オープンウェイト版を社内に入れる前に、法務部門でLICENSE原文を確認しておくのが確実です。
Vibe リモートエージェント利用時のデータ取り扱い
Vibe Codeのリモートエージェントは、Mistralのクラウド上のサンドボックスでコードを扱います。機密性の高いソースコードや顧客データを含むリポジトリでは、次の点を確認してください。
- 自社のデータ管理ポリシーで、外部のサンドボックスにコードを送ってよいか
- 金融・医療などの規制業界では、使う前にコンプライアンスの審査を通す
- ファイル編集が初期設定で自動適用されるため、ブランチを分けるか
askエージェントを使う - Workモードの承認ゲートを外さない
機密性が特に高い環境では、リモートエージェントを使わず、セルフホストしたMedium 3.5を社内で使うのが安全です。
セルフホスト時の注意
- configとGGUFは最新版を使う(修正前のものは長いコンテキストで性能が落ちる)
- 重みは誰でもダウンロードできますが、売上の条件に当てはまる企業はライセンス上使えない
- 推論サーバーを社内公開する場合は、アクセス制御と入出力のログ管理を先に設計する
よくある質問(FAQ)
Q. Le ChatとVibeは別のサービスですか?
同じサービスです。Le Chatは2026年5月28日に「Vibe」へ名前が変わりました。URL(chat.mistral.ai)、アカウント、履歴、契約は引き継がれています。「Le Chat Work Mode」と呼ばれていた機能は、いまはVibeのWorkモードです。
Q. Medium 3.5とLarge 4はどちらを使えばいいですか?
重みを自社で動かしたい場合や、GA版で安定して使いたい場合はMedium 3.5です。APIだけで使い、単価の安さや1Mのコンテキストを重視するならLarge 4を検討してください。Large 4は10月27日時点ではパブリックプレビューで、重みとライセンスはまだ公開されていません。
Q. Mistral Medium 3.5は日本語で使えますか?
使えます。Hugging Faceのモデルカードで対応言語に日本語が挙がっています。ただし、日本語での精度を数値で示した公式のベンチマークは見当たらないため、業務で使う前に自社の文書で試すことをおすすめします。
Q. Workモードは無料プランでも使えますか?
4月の発表時点ではPro/Team/Enterprise向けとされていました。Vibeになってからの公式ドキュメントにはプラン条件が書かれておらず、Code InterpreterはWorkの中でも有料プランのみと明記されています。Freeで使える範囲は、ログインして画面で確認してください。
Q. 自社で動かしたら性能が低く感じます。原因は何ですか?
公開直後のconfigの誤りで、長いコンテキストの性能が落ちる不具合がありました。configとGGUFを最新版にしてください。GPU 4枚構成で速度が出ない場合は、公式の起動例と同じ8枚構成も検討します。それでも改善しなければ、Mistralが案内しているとおりAPIで比べてみると原因を切り分けられます。
Q. Vibeのリモートエージェントにコードを渡しても大丈夫ですか?
Mistralのクラウドで処理されるため、社外に出せないコードには向きません。公開しているプロジェクトや機密性の低いリポジトリから試し、規制業界では事前に審査を通してください。ファイル編集が初期設定で自動適用される点にも気をつけてください。
まとめ
Mistral Medium 3.5は、チャット・推論・コーディングを1つの128B密モデルにまとめ、Magistral・Devstral 2・Medium 3.1を置き換えたモデルです。置き換えられた旧モデルは2026年7〜8月に廃止され、Le ChatはVibeへ名前を変え、Workモードが中心の画面になりました。
2026年10月時点で、Medium 3.5を選ぶ理由になるのは次の点です。
- 自社で動かせる:重みとModified MITライセンスが確定済み。GPU 4〜8枚でオンプレ・VPC運用ができる
- 実用的なコーディング力:SWE-bench Verified 77.6%(Mistral発表値)。Vibe CodeでPR作成まで任せられる
- データ主権:EU拠点、Temporary Chat、オンプレ運用で、規制業界でも検討しやすい
一方で、APIの単価と長いコンテキストでは、10月に出たLarge 4のほうが有利です。月間売上$20M超の企業にはライセンス上の制限もあります。「重みを自社で持つか」「APIだけで足りるか」を先に決めると、Medium 3.5とLarge 4のどちらを選ぶかが見えてきます。
会社とモデルの全体像は「Mistral AIとは」、上位モデルは「Mistral Large 4とは」、文書解析は「Mistral OCR 4とは」で解説しています。ロボット向けのモデルは「Robostral Navigateとは」をご覧ください。
このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します
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AI革命
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