Kimi K3とは?無料で使える?料金・Claude Opus 5比較【2026年8月最新】

この記事のポイント
Kimi K3とは、Moonshot AIの2.8兆パラメータ・100万トークン対応オープンウェイトLLM。無料でどこまで使えるか、API料金(入力$3/出力$15)、Claude Opus 5・GPT-5.6 Solとの比較、ハルシネーション率約51%の弱点まで2026年8月時点の情報で解説します。
Kimi K3は、中国・北京のMoonshot AI(月之暗面)が2026年7月16日に公開した、総パラメータ2.8兆・アクティブ104億のMoE型フラッグシップLLMです。 100万トークン(1,048,576)のコンテキストと画像・動画のネイティブ処理に対応し、2026年7月27日にHugging Faceで重みが公開された「史上最大級のオープンウェイトモデル」でもあります。
kimi.comに無料登録すればK3自体はすぐ試せますが、100万トークンの長文処理は月額$39のAllegretto以上、API利用は最低$1の課金が条件です。性能は第三者集計のSWE-bench Verifiedで93.4%と高い一方、Claude Opus 5(97.0%)やGPT-5.6 Sol(96.2%)には届かず、AA-Omniscienceのハルシネーション率が約51%(前世代K2.6は39%)という無視できない弱点も測定されています。位置づけは「フロンティア最上位の一段下・ただしオープンウェイトでは最上位、価格は数分の一」です。
この記事でわかること:
- Kimi K3の基本仕様と、KDA(Kimi Delta Attention)など新アーキテクチャの中身
- 無料でどこまで使えるか(無料枠・1M文脈の解放ライン・API課金の下限)の線引き
- API料金(入力$3.00/出力$15.00)とメンバーシップ4プランの中身、OpenRouterとの価格差
- Claude Opus 5・GPT-5.6 Sol・DeepSeek V4 Proとの第三者ベンチ横並び
- 前世代Kimi K2.6・コーディング特化のKimi K2.7 Codeとの使い分け
- 日本語での使い勝手と、日本語特化APIという別解
- 「オープンウェイトだから自宅で動く」が成り立たない具体的な理由(1.56TB/650GB floor)
- 経路別のデータ保管先(消費者版=中国本土/API=シンガポール)と学習オプトアウト手順
想定読者: Kimi K3を業務に入れるか判断したいエンジニア・開発チーム、フロンティア級モデルのコストを下げたい技術リーダー、中国発モデルの利用可否を社内で説明する必要がある情シス・法務担当者。料金・仕様は改定される領域のため、契約前に公式の一次情報での確認を推奨します。
Kimi K3とは — Moonshot AIの「Open Frontier Intelligence」

Kimi K3は、Moonshot AIが「Open Frontier Intelligence(開かれたフロンティア知能)」と位置づける現行フラッグシップです。公式リポジトリでもこの標語が掲げられ、ソフトウェアエンジニアリング・ナレッジワーク・長時間エージェントワークフロー(long-horizon agentic work)を主戦場に設計されています。
項目 | 内容 |
|---|---|
正式名称 | Kimi K3 |
開発元 | Moonshot AI(月之暗面)/2023年3月創業・本社 中国・北京・Alibaba出資 |
リリース日 | 2026年7月16日 |
モデルID(API) |
|
アーキテクチャ | スパースMoE(Stable LatentMoE)/総2.8T・アクティブ104B |
コンテキスト | 1,048,576トークン(約100万) |
マルチモーダル | ネイティブビジョン(画像・動画入力)/MoonViT-V2(401M) |
提供形態 | kimi.com(Web)/モバイルアプリ/Kimi Work/Kimi Code(CLI)/API(platform.kimi.ai)/OpenRouter/GitHub Copilot 他 |
モデル重み | 公開済み(2026年7月27日・Hugging Face |
ライセンス | Kimi K3 License(独自ライセンス) |
Moonshot AI自身は、K3を「open source」ではなく一貫して "open weight"(重みのみ公開) と呼んでいます。学習データと学習コードは非公開で、この呼称の使い分けは海外の技術コミュニティでも「誠実な表現」として評価されました。
Kimiシリーズの流れ
K3がどの位置にいるかは、系譜を見ると掴みやすくなります。
時期 | モデル | 主な内容 |
|---|---|---|
2025-07 | K2 | オープンウェイト路線の起点 |
2025-11 | K2 Thinking | 推論特化モデル |
2026-01 | K2.5 | マルチモーダル+エージェント対応 |
2026-04 | K2.6 | 1T MoE・262,144トークン文脈 |
2026-06-12 | K2.7 Code | コーディング特化・1T総/32B活性・256K・Modified MIT |
2026-07-16 | K3 | 2.8T・1M文脈・独自ライセンス |
2026-07-27 | K3 重み公開 | 1.56TB/MXFP4。vLLMのKDA本番対応も同時 |
前世代の詳細な仕様やエージェント機能はKimi K2.6とは?1T MoEの実力を徹底解説にまとめています。
Kimi K3は無料で使える?無料枠と有料の境界線

出典: Kimi API Platform(Moonshot AI 公式)
kimi.comに無料登録すればK3自体は使えます。ただし「100万トークンの長文処理」と「API利用」は有料の壁の向こう側です。 ここが最も誤解されやすい部分なので、線引きを表で整理します。
使いたいこと | 必要な条件(2026年8月中旬時点) |
|---|---|
K3とチャットする | 無料登録でOK(利用上限は非公表・レート制限あり) |
画像・動画を読ませる | 無料枠で試用可(上限あり) |
100万トークンの文脈を使う | Allegretto($39/月)以上。無料・Moderatoは256K相当 |
Kimi Claw(グループチャット連携) | Allegretto以上 |
Agent Swarm のサブエージェント拡張 | Allegro($99/月)以上 |
APIで | 最低$1のトップアップが必要。レートリミットは累計課金額に連動 |
重みをダウンロードして自前運用 | ダウンロード自体は無料(Hugging Face)。ただし1.56TBの重みで、実働にはRAM+VRAM合計650GB以上が必要 |
「とりあえずK3の実力を確かめたい」なら無料枠、「長大なリポジトリや契約書を丸ごと読ませたい」なら$39以上、「アプリに組み込みたい」なら$1課金してAPI、という判断になります。
Kimi K3の料金 — API単価とメンバーシップ4プラン

出典: Kimi 公式サイト
料金は「①API従量課金」と「②kimi.com/アプリのメンバーシップ」の2系統です(2026年8月17日確認・税抜・米ドル)。
API料金(platform.kimi.ai)
モデル | 入力(キャッシュヒット) | 入力(キャッシュミス) | 出力 | コンテキスト |
|---|---|---|---|---|
kimi-k3 | $0.30 / 1Mトークン | $3.00 / 1Mトークン | $15.00 / 1Mトークン | 1,048,576 |
kimi-k2.6(前世代) | $0.16 | $0.95 | $4.00 | 262,144 |
moonshot-v1(旧基盤) | — | — | — | 2026年8月31日サンセット予定 |
単価表からは読み取れない要素も押さえておく必要があります。
- コンテキスト長による段階課金がない(フラット料金)。100万トークン近くを投げても単価は変わらないため、長文ワークロードでは効きます
- キャッシュヒットで入力が90%引き($3.00→$0.30)。公式はコーディングワークロードでキャッシュヒット率90%超と説明しており、プロンプト設計次第で実効単価が大きく変わります
- Web検索ツールは1呼び出し$0.004 の別課金
- K2.6からは実質3〜3.75倍の値上げ。「Kimi=格安」という前提はK3では成り立ちません
なお、サードパーティ経由の価格は公式とズレています。OpenRouterでは入力$2.60/出力$13と公式より安い経路が生まれており、GitHub Copilot経由はFireworks AIホストで$3/$15/キャッシュ$0.30のプロバイダー実費、低レイテンシ版の「Kimi K3 Fast」は標準比で約1.5倍です。API単価だけで比較すると判断を誤ります。
メンバーシップ(kimi.com/アプリ)
2026年7月20日の再編で、有料プランは4段階に整理されました。
プラン | 月額 | 年払い時(月あたり) | 主な内容 |
|---|---|---|---|
無料 | $0 | — | K3利用可・1M文脈は不可(上限非公表) |
Moderato | $19 | $15 | 並列エージェント2、優先キューで約4倍速、スケジュール10、256K文脈 |
Allegretto | $39 | $31 | 並列2、Goal機能、Kimi Claw、1M文脈を解放 |
Allegro | $99 | $79 | 並列4、K3の超長文チャット(最大1M)、Swarmサブエージェント8 |
Vivace | $199 | $159 | 並列4、1M文脈フル、Swarm 8、上位機能一式 |
全プラン共通で、カスタムダッシュボード・15種類以上のプラグイン・Swarmエージェント・Dream Memory・自己進化スキルが使えます。法人向けには Kimi Business が別途あり、「企業データを学習パイプラインに入れない」「個人ワークスペースと企業ワークスペースを完全分離する」と明記されています(料金は非公開)。
Kimi K3でできること

K3が得意なのは、大量の文脈を一度に飲み込む処理と、長時間止まらずに動き続けるエージェント処理です。
できること | 具体的な使いどころ |
|---|---|
100万トークンの長文処理 | 大規模モノレポの横断解析、長文契約書・仕様書のクロスチェック、RAG前段の一次スクリーニング |
ネイティブビジョン(画像・動画) | スクリーンショット・ログ画面・UI・テスト結果を見せながらのデバッグ、動画マニュアルの読解 |
長時間エージェント処理 | リポジトリ探索→ツール呼び出し→デバッグの多段ループ。Agent Swarmで並列サブエージェント運用 |
常時ONの思考モード |
|
OpenAI/Anthropic互換API | 既存コードの |
自己ホスト | vLLM(KDA本番対応済)/SGLang/TokenSpeed に公式レシピあり |
プロンプトキャッシュ | 入力単価を1/10にできる、実効コスト最大のレバー |
エージェント用途で組む場合は、権限設計やツール実行の監査も同時に設計が必要です。運用面の考え方はAIエージェントのセキュリティ対策ガイドが参考になります。
技術仕様 — 2.8T MoEとKDA(Kimi Delta Attention)

出典: Hugging Face / moonshotai/Kimi-K3
K3の技術的な核心は、規模を約2.8倍に拡大しながら、アテンション機構を作り替えて長文脈のコストを抑えた点にあります。
項目 | 値 |
|---|---|
総パラメータ | 2.8T(2.8兆) |
アクティブパラメータ | 104B |
レイヤ構成 | 93層(KDA 69層+Gated MLA 24層+dense 1層) |
エキスパート | 896(トークンあたり16選択+共有2) |
Attention | KDA+Gated MLA+AttnRes(Attention Residuals) |
Attention隠れ次元/ヘッド数 | 7,168 / 96 |
語彙数 | 160,000 |
量子化 | MXFP4重み+MXFP8活性(量子化認識学習 QAT) |
ビジョンエンコーダ | MoonViT-V2(401M) |
公式ベンチ実行環境 | H20 GPU(公式表記) |
KDA(Kimi Delta Attention) は、標準アテンションの計算コストが文脈長の二乗で膨らむ問題を回避するためのハイブリッド線形アテンションです。Moonshotは、これにより長文脈推論を従来手法比で最大6倍安くできると説明しています。あわせて導入された AttnRes は層をまたいで関連表現を選択的に取り出す仕組みで、追加コスト2%未満で学習効率を約25%改善したと報告されています。Stable LatentMoEと組み合わせた結果、K2比で総合的なスケーリング効率は約2.5倍というのが公式の主張です。
これらは公式・および技術メディアによる報告であり、独立した再現検証はまだ限定的です。数字はあくまで「開発元の主張」として読むのが安全です。
ベンチマーク — 強い領域と、弱点が出る領域
公式値では推論・エージェント・ビジョンの各領域で高水準ですが、第三者集計のSWE-bench Verifiedではフロンティア最上位に届いていません。そして知識の正確性では明確な弱点があります。 事実の性質が違うため、公式値と第三者値を分けて示します。

公式公表値(2026年7月23日付の公式評価表)
分野 | ベンチマーク | Kimi K3 |
|---|---|---|
推論 | GPQA Diamond | 93.5 |
コーディング | DeepSWE | 67.5 |
エージェント | BrowseComp | 91.2 |
ビジョン | MMMU-Pro | 81.6 / 83.4 |
注意点として、この公式評価表の比較対象はClaude Opus 4.8・GPT-5.5・GLM-5.2で、すでに一世代前の顔ぶれです。2026年7月24日にClaude Opus 5が出ているため、公式表をそのまま「現在の勢力図」として読むことはできません。加えて、ブラインド評価のArena.ai「Frontend Code Arena」ではK3が1位を獲得しており、フロントエンド生成は明確な得意領域です。
第三者評価(Artificial Analysis 等)
指標 | Kimi K3 |
|---|---|
Artificial Analysis Intelligence Index | 57〜60(測定時期で変動/189モデル中4位との報道) |
SWE-bench Verified | 93.4% |
出力速度 | 約33〜62 tok/s(測定条件で大きく変動) |
TTFT(初トークンまで) | 約1.99〜3.14秒 |
AA-Omniscience ハルシネーション率 | 約51%(K2.6は39%) |
同・正答率 | 46%(K2.6は33%) |
Kimi K3 Fast の速度 | 約117 tok/s |
SWE-bench Verified 横並び(第三者集計)
モデル | SWE-bench Verified |
|---|---|
97.0% | |
96.4% | |
96.2% | |
Kimi K3 | 93.4% |
88.6% |
読み方はシンプルです。フロンティア最上位ではないが、オープンウェイトとしては最上位で、価格は上位勢の数分の一。 SWE-bench Pro についてはK3の公表値が存在しないため、他モデルとの横並びはできません。
見落とされがちな弱点:ハルシネーション率約51%
日本語の解説記事でほとんど触れられていない重要な数字が、AA-Omniscienceで測定されたハルシネーション率 約51% です。正答率は前世代の33%から46%へ改善した一方で、「知らないことを自信を持って答えてしまう率」は39%から51%に悪化しています。
これは矛盾ではありません。二値採点のベンチマークでは「わからない」と答えるより推測した方がスコアが上がるため、推測が合理的な戦略になってしまう——という指摘が2026年のNature掲載論文(Kalai他)を引く形で議論されています。実務への含意は次の通りです。
- フロントエンドのコード生成・リファクタリングなど、出力の正しさをその場で検証できる用途では影響が小さい
- 社内調査・法務リサーチ・医療や統計の事実確認など、出力が事実かどうかを人が検証しにくい用途では、検証工程を挟まない運用は危険
つまり「ベンチマークが強いこと」と「知識業務で信頼できること」は分けて評価する必要があります。
Kimi K2.6・K2.7 Codeとの違い — 常に最新版が正解ではない
K3はK2.6の拡大版ではなく、アテンション機構から作り直した世代交代です。ただし用途によっては、下位モデルを使い続ける方が合理的です。

出典: Moonshot AI / Hugging Face
項目 | Kimi K2.6 | Kimi K2.7 Code | Kimi K3 |
|---|---|---|---|
公開 | 2026年4月 | 2026年6月12日 | 2026年7月16日 |
パラメータ | 1T総 / 32B活性 | 1T総 / 32B活性 | 2.8T総 / 104B活性 |
コンテキスト | 262,144 | 262,144 | 1,048,576 |
ライセンス | オープンウェイト | Modified MIT | Kimi K3 License(独自) |
得意領域 | 汎用+エージェント | コーディング特化 | 長文脈・エージェント・ビジョン |
API単価(入力/出力・1Mあたり) | $0.95 / $4.00 | 公式ページで要確認 | $3.00 / $15.00 |
位置づけ | コスト重視の汎用 | 安く速いコーディング用 | フラッグシップ |
使い分けの目安は次の通りです。
- コーディング中心で、256Kの文脈で足りる → K2.7 Code。Modified MITでライセンス面も扱いやすく、単価も抑えられます
- 大量のバッチ処理・軽いタスク → K2.6。K3の思考モードは完全に切れないため、単純作業ではコストが読みにくい
- 100万トークンの文脈が必要/動画入力が必要/長時間エージェントを回す → K3
「最新だから移行」ではなく、文脈長とライセンス要件で選ぶのが実務的です。コーディング用途のツール全体像はAIコーディングツールおすすめ比較で整理しています。
Claude Opus 5・GPT-5.6 Solとの比較 — 2026年8月の勢力図
K3の訴求は「フロンティアに近い性能を、オープンウェイトかつ数分の一の価格で」です。総合力の最上位を求めるならClaude Opus 5、応答速度を求めるならGPT-5.6 Solが優位です。

出典: Anthropic 公式サイト
比較ポイント | Kimi K3 | Claude Opus 5 | GPT-5.6 Sol | DeepSeek V4 Pro |
|---|---|---|---|---|
提供元 | Moonshot AI(中国) | Anthropic(米国) | OpenAI(米国) | DeepSeek(中国) |
SWE-bench Verified | 93.4% | 97.0% | 96.2% | 96.4% |
コンテキスト | 1,048,576 | 1M級 | 大容量(公式仕様は要確認) | 大容量 |
重みの公開 | 公開(独自ライセンス) | 非公開 | 非公開 | 公開系 |
動画入力 | 対応 | 画像中心 | 対応 | 要確認 |
出力速度 | 約33〜62 tok/s(遅め) | 速い | 速い | 中程度 |
価格帯 | $3 / $15(キャッシュ$0.30) | 上位帯 | 上位帯 | 低〜中 |
弱点 | ハルシネーション率約51%・速度 | 価格 | 価格 | エコシステム成熟度 |
比較で外しやすい観点も押さえておきます。
- 公式ベンチの比較相手が古い。 K3公式表はOpus 4.8/GPT-5.5世代との比較で、Opus 5・GPT-5.6 Solとの公式横並びは存在しません。世代を揃えた比較は第三者集計に頼るしかありません。詳細はClaude Opus 5とはとGPT-5.6とはで確認できます
- 表面単価と実効コストが乖離する。 K3は思考モードをOFFにできず出力トークンが膨らみやすいため、出力$15/1Mが想定以上に響きます。逆にキャッシュ設計が効けば入力は$0.30/1Mまで落ちます
- 「オープンウェイト」の価値をどう見るか。 重みが手に入ること自体は大きな差ですが、1.56TBの重みを動かせる組織はごく限られます。オープンウェイト路線をめぐる各社の立場の違いはAnthropicのオープンウェイトに対する立場も参考になります

出典: OpenAI 公式サイト
中国オープンウェイト勢との位置関係
同じオープンウェイト路線では、DeepSeek V4 Pro、GLM-5.3、Qwen 3.8 Max、MiniMax H3が競合します。K3は2.8Tという規模と1M文脈で一段上を狙うポジションですが、価格も一段高く、「オープン勢の中のプレミアム帯」という新しい立ち位置です。コーディング特化のSWE-bench値だけで見ればDeepSeek V4 Proが上回っており、オープンウェイト=K3が常に最善とは限りません。
日本語での使い勝手
kimi.comのUIは日本語表示に対応し、日本語プロンプトでも問題なく応答します。ただしK3の日本語性能を測った公式ベンチマークは公開されていません。
そのため「日本語のニュアンス処理や敬語・業界用語の扱いが日本語特化モデルより優れているか」は、現時点では自社データでの実測に頼るしかありません。日本語の精度と国内データ保管を両方求めるなら、K2.6をベースに日本語特化したAPIという選択肢もあります。詳細はSakana Namazuとは、国内モデル全体の比較は日本語LLM 7モデル比較で整理しています。
実務では、自社の実データで次を測るのが確実です。
- 日本語の長文要約で、固有名詞・数値の取り違えが起きないか
- 日本語の指示に対して、指定フォーマット(JSON等)を崩さないか
- 日本語出力のトークン消費量(思考モードの影響で膨らみやすい)
Kimi K3の使い方 — Web・Kimi Code・API・Copilot
方法1:kimi.com/モバイルアプリ(最短ルート)
- kimi.com にアクセスしてサインアップ
- モデル選択でK3を指定してチャット開始
無料枠でK3に触れられます。100万トークンの文脈が必要な場合はAllegretto以上への加入が条件です。デスクトップアプリ「Kimi Work」でも同様に利用できます。
方法2:Kimi Code(CLIコーディングエージェント)

出典: Kimi 公式サイト
ターミナルで動くコーディングエージェント「Kimi Code」からK3を使えます。実務的なコツとして、設定の context-window を手動で 1048576 に指定すると1M文脈をフルに使えます(既定値のままではフル長を使い切らない場合があります)。
方法3:API(OpenAI/Anthropic互換)
Kimi APIはOpenAI SDK互換のため、base_url とモデルIDの差し替えで既存コードから移行できます。
import openai
client = openai.OpenAI(
api_key='your-api-key',
base_url='https://api.moonshot.ai/v1'
)
response = client.chat.completions.create(
model='kimi-k3',
messages=[{'role': 'user', 'content': 'このリポジトリの構造を分析して改善案を出してください'}],
reasoning_effort='high',
max_completion_tokens=131072
)
print(response.choices[0].message.content)実装時の注意点:
- 利用開始には最低$1のトップアップが必要。レートリミットは累計課金額に連動して緩和されます
reasoning_effortはlow/high/max(既定max)。完全なOFFはできません- マルチターンでは
reasoning_contentとtool_callsを含む完全なassistantメッセージを次ターンにそのまま返す必要があります。ここを省くと挙動が崩れやすく、移行時のつまずきポイントです - エンドポイントURLやパラメータの最終仕様は platform.kimi.ai のドキュメントで確認してください
- 旧moonshot-v1プラットフォームは2026年8月31日にサンセット予定。旧基盤を使っている場合は移行が必要です
方法4:GitHub Copilot(2026年8月6日にGA)
2026年8月6日、Kimi K3がGitHub CopilotでGA(Fireworks AIホスト)となりました。企業導入で押さえるべきは権限設計です。
- Pro / Pro+ / Max では、モデル選択に自動で表示されます
- Business / Enterprise では既定でOFF。管理者が明示的に有効化しないと使えません。GitHubは「オープンウェイトモデルのポリシーを自社のセキュリティ・コンプライアンス要件と照合してから有効化する」よう案内しています
つまり、情シスが承認していない状態で社内に広まる設計にはなっていません。なお同日、ロールアウトが一時停止された件が話題になりましたが、原因はK3側ではなくGitHub Actionsの約10時間の障害で、同日中に再開されています。K3の品質問題と混同しないよう注意してください。
できないこと・導入前に知っておくべき制約

出典: GitHub / MoonshotAI・Kimi-K3
高いスコアの一方で、K3には無視できない制約があります。特に上位2つは、導入計画そのものを左右します。
- オープンウェイトだが、事実上ほとんどの環境で自己ホストできない。 公開された重みは1.56TB(MXFP4)。Unslothの1bit量子化(UD-IQ1_S)でも594〜620GB、実働にはRAM+VRAM合計で650GB以上が下限です。本番運用の想定はH100/B200クラス64基前後(8サーバー)規模。24GB GPUの個人環境や128GBのワークステーションでは動きません
- 知識の正確性に弱点がある。 ハルシネーション率約51%。検証しにくい知識業務では検証工程が必須です
- 思考モードを完全にOFFにできない。 出力トークン($15/1M)が膨らみやすく、実効単価が読みにくい
- 速度が遅め。 約33〜62 tok/sは、GPT-5.6 SolやClaude系より劣ります。対話UXよりバッチ処理・分析向きです
- マルチターン実装が煩雑。
reasoning_contentとtool_callsの再送が必要 - 独自ライセンス。 MITではなく「Kimi K3 License」です
- 1M文脈は無料・Moderatoでは使えない。 Allegretto($39)以上が条件
- 可用性リスク。 2026年7月19日にGPU逼迫で新規サブスクの受付を一時停止した前例があります。ミッションクリティカルな用途で単独依存は避けるべきです
ライセンスの誤情報に注意
一部の海外メディア要約が「Modified MIT」と記していますが、これはK2.7 Codeなど旧世代の話です。K3の重みとコードはいずれも独自の「Kimi K3 License」で公開されています。
「MITだから自由に使える」という前提で計画を立てると、商用利用や再配布の段階で問題になり得ます。商用利用・再配布・MaaS提供を検討している場合は、公式リポジトリのライセンス条項を必ず自社の法務で確認してください。 条項の具体的な数値条件(収益規模やユーザー数に応じた制約等)については一次ソースでの確認が取れていないため、断定的な記載は避けています。
セキュリティと企業利用の判断材料
Kimi K3のデータ保管先は「どの経路で使うか」で変わります。「中国サーバーだから一律NG」という整理は正確ではありません。
利用経路 | データ保管先 | 学習利用 |
|---|---|---|
消費者版(kimi.com/モバイルアプリ) | 中国本土内のサーバー | 厳格に非識別化した上で入力・応答を学習に利用しうる。オプトアウト可 |
API(Kimi OpenPlatform) | シンガポールのサーバー(国際版プライバシーポリシー) | ポリシーに基づく |
Kimi Business(法人) | ワークスペース分離 | 学習に利用しないと明記 |
自己ホスト | 自社インフラ | なし(ただしハードウェア要件が極端に高い) |
学習オプトアウトの手順
消費者版で学習利用を止めたい場合、次の流れになります。
- サポート窓口へ申請
- 本人確認を経て、30日以内に登録される
- アカウント単位のみ(会話単位でのオプトアウトは不可)
- オプトアウト後もチャット履歴・会員資格は維持される
Moonshotは、同意または法的要請がない限り会話データを第三者へ共有・販売しないと明記し、暗号化・アクセス制御・専任のデータ保護部門の存在にも言及しています。一方でデータリテンション期間は非公開、またEU圏からのアクセス制限に関する報道もありますが公式確認は取れていません。提供地域の制約は導入前に個別確認が必要です。
入力を避けるべき情報(消費者版利用時の原則)
- 未公開のソースコード・設計書
- 顧客の個人情報
- 未公開の財務情報・経営戦略
- 医療・健康データ、NDA対象の情報
地政学リスクの扱い
2026年7月下旬、米ホワイトハウス関係者がK3について「規制対象のNVIDIAチップでの学習」「競合モデルからの蒸留」を指摘し、Moonshotの事業責任者 Huang Zhenxin 氏は「アーキテクチャ上の独自革新によるもので、既存モデルの蒸留・複製ではない」と否定しました。現時点で第三者による決着はついておらず、どちらかを事実として扱うべき段階にありません。
ただし実務上は、取引先や業界団体のポリシーで中国製モデルの利用が制限される可能性があるため、公共・防衛・重要インフラ関連の組織は特に慎重な判断が必要です。全社的なポリシー設計は生成AIのセキュリティ対策にまとめています。
K3をめぐる動き — リリースから2026年8月中旬までの時系列
K3は公開から1か月で状況が大きく動きました。直近の動きを時系列で整理します。
日付 | 出来事 |
|---|---|
2026-07-16 | Kimi K3リリース。kimi.comにK3·Max/K3 Cluster·Max(Swarm Max)の2系統 |
2026-07-19 | GPU逼迫により新規サブスクの受付を一時停止 |
2026-07-20 | メンバーシップを4プランへ再編 |
2026-07-23 | 公式評価表を公開(比較対象はOpus 4.8/GPT-5.5世代) |
2026-07-23〜28 | 米政府関係者が蒸留・チップ規制違反を指摘 → Moonshotが否定 |
2026-07-24 | Claude Opus 5がリリースされ、比較の主役が交代 |
2026-07-27 | K3の重みをHugging Faceで公開(1.56TB/MXFP4)+vLLMがKDAを本番対応 |
2026-07-29 | Moonshotが35億ドル調達・評価額350億ドル。ARRは4月2億ドル→6月3億ドル |
2026-08-06 | GitHub CopilotでK3がGA(Fireworks AIホスト・全プランティア)。同日のGitHub Actions障害でロールアウトが一時停止→同日再開 |
2026-08 | プレマネー500億ドルでの次ラウンド観測・プレIPO報道 |
2026-08-31(予定) | 旧moonshot-v1プラットフォームのサンセット |
2026年8月11日〜17日の週については、新たな公式発表やK3後継モデルの告知は確認できていません。 ここに記載した仕様・料金は、2026年8月中旬時点で有効な情報です。K3.1等の後継に関する情報は、確認できるまで推測で扱わないことを推奨します。
こんな方におすすめ/おすすめしない方
おすすめできるケース
該当する状況 | 理由 |
|---|---|
数十万〜100万トークン規模の文脈を日常的に扱う | 1,048,576トークン+段階課金なしのフラット料金。長文でも単価が上がらない |
フロントエンド生成やUI実装を任せたい | Arena.aiのブラインド評価「Frontend Code Arena」で1位。出力の正しさをその場で検証できる用途と相性が良い |
上位モデルのAPI費用を圧縮したい | $3/$15、キャッシュヒットなら入力$0.30/1M。上位勢より明確に安い |
動画・スクリーンショットを読ませたい | 動画をネイティブに扱えるフロンティア級モデルは限られる |
将来的に重みを持ち込んだ運用を検討している大規模組織 | 重みが公開されている数少ないフロンティア級。ただしH100/B200 64基規模の投資が前提 |
GitHub Copilot経由で管理下に置いて評価したい | Business/Enterpriseは既定OFFのため、情シスの承認プロセスに乗せられる |
おすすめしないケース
該当する状況 | 代わりに検討したい選択肢 |
|---|---|
事実の正確性が最重要(法務・医療・調査業務) | ハルシネーション率約51%。Claude Opus 5等の上位モデル+人の検証工程 |
低レイテンシの対話プロダクトに組み込む | 33〜62 tok/s・TTFT約2秒は遅い。GPT-5.6系や低レイテンシ版の検討 |
軽いタスクを大量に安く処理したい | 思考モードを切れずコストが膨らむ。Kimi K2.6 / K2.7 Code、または低価格帯モデル |
コーディング中心で256K文脈で足りる | Kimi K2.6系のK2.7 Code(Modified MIT・安価) |
日本語の高精度処理と国内データ保管が要件 | |
自社GPU 1〜2台で自己ホストしたい | 650GB以上が下限。この規模では成立しない |
中国製モデルの利用が社内・取引先ポリシーで制限されている | 米国系クローズドモデル、または国内提供モデル |
よくある質問
Q. Kimi K3を無料で使うと、何が制限されますか?
A. 無料登録でK3自体は使えますが、100万トークンの文脈は利用できません(無料・Moderatoは256K相当で、1M解放はAllegretto=$39/月以上)。利用回数の上限は公表されていません。APIについては別枠で、kimi-k3 を呼ぶには最低$1のトップアップが必要です。
Q. 重みが公開されたので、自分のPCで動かせますか?
A. 現実的には困難です。公開された重みは1.56TB(MXFP4)で、1bit量子化でも594〜620GB、実働にはRAM+VRAM合計650GB以上が下限とされています。個人環境ではなく、H100/B200クラスを64基前後並べるようなクラスタ規模が前提です。
Q. ライセンスはMITですか?
A. いいえ。K3は独自の「Kimi K3 License」で公開されています。Modified MITはK2.7 Codeなど旧世代のモデルの話であり、混同されがちな点です。商用利用や再配布の前に条項の確認が必要です。
Q. GitHub CopilotでK3が使えなくなったと聞きましたが?
A. 2026年8月6日のGAロールアウト時に一時停止がありましたが、原因はGitHub Actionsの約10時間の障害で、同日中に再開されています。K3側の不具合ではありません。ただしBusiness/Enterpriseでは既定でOFFのため、管理者が有効化していない環境では選択肢に出てきません。
Q. ベンチマークが高いのに、なぜハルシネーション率が悪化しているのですか?
A. 二値採点のベンチマークでは、「わからない」と答えるより推測して当てにいく方がスコアが上がります。この構造上、推測を促す最適化が進むと正答率と同時に誤答の自信度も上がり得る、という指摘が2026年のNature掲載論文などで議論されています。K3では正答率が33%→46%に改善する一方、ハルシネーション率が39%→51%に上がっており、この傾向と整合します。
Q. APIとOpenRouter、どちらが安いですか?
A. 2026年8月中旬時点ではOpenRouterの方が安い(入力$2.60/出力$13、公式は$3.00/$15.00)状況です。ただし公式APIはキャッシュヒット時に入力$0.30/1Mまで下がるため、同一プロンプトを繰り返す設計なら公式の方が有利になり得ます。キャッシュ活用の有無で逆転します。
Q. 現在moonshot-v1を使っています。何をすべきですか?
A. 旧moonshot-v1プラットフォームは2026年8月31日にサンセット予定です。platform.kimi.ai 系のエンドポイントとモデルID(kimi-k3 など)への移行計画を、期限までに済ませる必要があります。
Q. K3の日本語性能を示す公式スコアはありますか?
A. 現時点で公開されていません。UIとプロンプトは日本語で問題なく使えますが、日本語品質は自社データでの実測が必要です。
まとめ — Kimi K3の現在地
観点 | ポイント |
|---|---|
正体 | Moonshot AIが2026年7月16日に公開した2.8T MoE(アクティブ104B)のフラッグシップ。KDA+AttnResで1M文脈を実用化 |
強み | オープンウェイトとして最上位のSWE-bench Verified 93.4%、Frontend Code Arena 1位、1M文脈のフラット料金、$3/$15(キャッシュ$0.30) |
弱み | ハルシネーション率約51%、速度33〜62 tok/s、思考モードOFF不可で実効コストが読みにくい |
最大の注意点 | 独自ライセンス(MITではない)/消費者版は中国本土・APIはシンガポール保管/自己ホストは650GB以上が下限 |
料金 | API 入力$3.00・出力$15.00・キャッシュヒット$0.30。メンバーシップは$19/$39/$99/$199。1M文脈は$39以上 |
Kimi K3は、「オープンな重みのままフロンティアに挑む」というMoonshot AIの路線が最も明確に形になったモデルです。長文脈・フロントエンド生成・長時間エージェントでは十分に戦力になり、価格面の優位も明確です。
一方で、フロンティア最上位ではないこと、知識の正確性に弱点があること、独自ライセンスであること、そして「重みが公開されている」ことが実際の自己ホスト可能性を意味しないこと——この4点を踏まえない導入判断は危険です。
現実的な進め方は、①無料枠かAPIの少額課金で自社データで評価 → ②プロンプトキャッシュ前提で実効コストを試算 → ③ライセンス条項とデータ保管経路を法務・情シスで確認 → ④用途を「検証可能な出力」に寄せて本番投入という順序です。事実の正確性が最重要の業務では、上位モデルとの併用や人の検証工程を前提に設計してください。
あわせて読みたい:
- Kimi K2.6とは?1T MoEの実力を徹底解説 — 前世代とK2.7 Codeの詳細
- Claude Opus 5とは — SWE-bench 97.0%の現行最上位
- GPT-5.6とは — OpenAI側のフラッグシップ体制
- DeepSeek V4 Proとは / GLM-5.3とは / Qwen 3.8 Maxとは — オープンウェイト勢の比較
- AIコーディングツールおすすめ比較 — 用途からツールを選ぶ
- 生成AIのセキュリティ対策 / AIエージェントのセキュリティ対策ガイド — 導入時のリスク設計
このツールを自社の毎月の業務に組み込むと何が変わるか、ご提案します
業務を1つ送るこの記事の著者

AI革命
編集部
AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
最新記事

競合価格の調査・集計を自動化する方法と費用|専用ツール・RPA・AIエージェントの選び分け【2026年8月最新】
2026/08/31

CursorでOpenAIモデルが使えなくなる|11月12日終了の理由と代替モデル移行手順
2026/08/31

Cursorとは?料金・できること・OpenAIモデル終了の影響まで解説【2026年8月最新】
2026/03/31

DALL·EがChatGPTから提供終了|2026年8月30日でDALL·E GPT廃止・過去画像の保存方法とChatGPT Imagesへの移行手順【2026年8月最新】
2026/08/31

ChatGPTとは?料金プラン・できること・モデル・使い方を2026年最新版で解説
2026/04/18

Anthropicが国防総省に勝訴|「サプライチェーンリスク」指定は違法・違憲との判決と自律兵器の線引き【2026年8月最新】
2026/08/30

