AIツール2026年8月更新

DeepSeek V4 Flash 0731とは?Terminal Bench 82.7・DeepSWE 7倍改善・入力0.14ドル/1Mの激安料金とV4.1/V4 Proとの違いを解説【2026年8月最新】

公開日: 2026/08/02
更新日: 2026/08/05
DeepSeek V4 Flash 0731とは?Terminal Bench 82.7・DeepSWE 7倍改善・入力0.14ドル/1Mの激安料金とV4.1/V4 Proとの違いを解説【2026年8月最新】

この記事のポイント

DeepSeek-V4-Flash-0731は2026年7月31日公開の正式版。設計も料金も据え置きのままDeepSWEが7.3→54.4に改善しました。9項目のベンチマーク、実費の落とし穴、セルフホストに必要なGPU、「V4.1」「V4-Pro-Max」という呼び名の正体まで整理します。

DeepSeek-V4-Flash-0731は、中国・杭州のDeepSeekが2026年7月31日に公開したV4-Flashの正式版で、API入力単価は100万トークンあたり0.14ドル(キャッシュヒット時0.0028ドル)、コンテキスト長100万トークンのオープンウェイト(MITライセンス)モデルです。 アーキテクチャもモデルサイズも料金もプレビュー版から一切変えず、ポストトレーニングをやり直しただけで、エージェント系ベンチマークのDeepSWEが7.3→54.4(約7.4倍)、Terminal Bench 2.1が61.8→82.7へ跳ね上がりました。

なお、日本語圏で流通している「DeepSeek V4.1」と「DeepSeek V4-Pro-Max」は、いずれも2026年8月5日時点でDeepSeek公式の製品名ではありません。公式の現行ラインはdeepseek-v4-flashdeepseek-v4-proの2本だけです。

HuggingFaceで公開されているDeepSeek V4 Flashの公式モデルリポジトリ

出典: HuggingFace DeepSeek-AI 公式リポジトリ

この記事でわかること

  • 「V4.1」「V4-Pro-Max」という2つの呼び名の正体と、実際に触るべきモデルID
  • 0731版で何が変わったのか(設計は同一・料金据え置き・性能だけ向上)
  • 公式ベンチマーク9項目のフルデータと、その正しい読み方
  • 公式API・OpenRouter・セルフホストそれぞれの料金と、円建ての実コスト
  • 単価が安いのに実費が想定より膨らむ理由(出力の冗長さ)
  • セルフホストに実際に必要なGPU・VRAMの目安
  • 中国系モデル特有のデータ主権リスクと、オープンウェイトで解決できる範囲・できない範囲

APIコストを下げたいエンジニア、コーディングエージェントの実行基盤を選定しているプロダクト責任者、中国系モデルの業務利用可否を判断する情報システム担当者に向けた記事です。DeepSeekそのものの基礎から知りたい場合はDeepSeekとは?特徴・料金・使い方・ChatGPTとの違い、V4シリーズ全体の位置づけはDeepSeek V4とは?性能・料金・V3との違いから辿ると理解が早くなります。

3行でわかるDeepSeek V4 Flash 0731

  1. 「同じ設計・同じ値段のまま、ポストトレーニングだけで性能が上がった」モデル。 公式Change Logは「アーキテクチャとモデルサイズはV4-Flash-Previewと同一で、再ポストトレーニングのみを行った」と明言しています。API料金は据え置きです。
  2. エージェント系ベンチ9項目すべてで、上位モデルのV4-Pro-Previewを逆転した。 アクティブパラメータ13BのFlashが、アクティブ49B・総1.6TのV4-Pro-PreviewをTerminal Bench 2.1で10.6ポイント上回りました。パラメータ数がそのまま実務性能にならないことを示す事例です。
  3. ただしフロンティアモデルには届いていない。 公開されている9項目すべてでClaude Opus 4.8に劣後しています。しかもそのOpus 4.8は2026年5月のモデルで、Anthropicの現行フラッグシップは7月公開のClaude Opus 5です。「最新のClaudeに肉薄した」とまでは言えません。

用途としては、大量に呼び出すコーディングエージェント・社内自動化・長文バッチ処理でコストを一桁下げたい人向けのモデルです。逆に、最難関の設計・研究タスクや画像入力が必要な場面では選択肢になりません。

「V4.1」「V4-Pro-Max」——公式にない2つの呼び名を整理する

2026年8月5日時点で、DeepSeek公式に「V4.1」という製品名は存在せず、「V4-Pro-Max」も独立したモデルではありません。 ここを取り違えると、他モデルのスコアをV4-Flashの実力と誤解します。

「V4.1」は第三者由来の通称

公式APIドキュメント(api-docs.deepseek.com)のModels & Pricing/Change Logに掲載されている現行モデルはdeepseek-v4-flashdeepseek-v4-proの2つだけです。「V4.1」は2026年5〜6月に第三者メディアやコミュニティで流通した通称・観測情報で、公式リポジトリ名やAPIモデルIDとしては確認できていません。

呼称

公式ステータス

実体

DeepSeek-V4-Flash-0731

公式・正式版(2026/7/31公開)

APIモデルID deepseek-v4-flash の現行中身

DeepSeek-V4-Flash-Preview

公式・プレビュー(2026/4/24公開)

0731に置き換えられた前バージョン

DeepSeek-V4-Pro(Preview)

公式・プレビュー扱い

正式版は「今後リリース予定」と公式が明記。8/5時点で未リリース

「V4.1」「V4.1 Flash」

公式名称ではない

第三者メディア・コミュニティの通称

「V4-Pro-Max」

独立モデルではない

deepseek-v4-pro を max reasoning effort で動かしたときの呼称

「V4.1を使いたい」という目的で情報を探している場合、実際に触るべきモデルIDはdeepseek-v4-flash(=0731版)です。呼称が広まった経緯はDeepSeek V4.1とは?V4との違いと噂の切り分けで整理しています。

「V4-Pro-Max」のスコアをFlashのものと誤読しない

llm-statsやArtificial Analysis等の第三者サイトには「DeepSeek-V4-Pro-Max」という表記が登場しますが、これは別モデルではなくdeepseek-v4-proを最大推論モード(max reasoning effort)で動かした状態を指します。したがって次のスコアはV4-Flash-0731のものではありません

スコア

帰属

補足

SWE-Bench Verified 80.6%

V4-Pro-Max

Flashのスコアではない

GPQA Diamond 90.1%

V4-Pro-Max

同上

Codeforces Rating 3206

V4-Pro-Max

日本語記事で最も混同されている数値

日本語の解説記事にはこれらをV4-Flashの実績として紹介しているものがあります。Flashの実力を判断する際は、公式モデルカードに載っているエージェント系9項目の数値を見るのが正確です。

DeepSeek V4 Flash 0731の基本スペック

DeepSeek公式サイトのイメージ

出典: DeepSeek 公式サイト

スパースMoE(Mixture-of-Experts)構成で、総パラメータ284B・アクティブ13B、コンテキスト長100万トークン、テキスト専用のオープンウェイトモデルです。

項目

内容

正式モデル名

DeepSeek-V4-Flash-0731

APIモデルID

deepseek-v4-flash(呼び出し方は従来どおり。中身が0731に更新)

公開日

2026年7月31日(APIはPublic Beta)

アーキテクチャ

スパースMixture-of-Experts(MoE)+ CSA/HCA ハイブリッドアテンション

総パラメータ

284B(HuggingFaceリポジトリ表記は304B。差分はDSpark投機的デコーディングモジュール分)

アクティブパラメータ

13B/トークン

エキスパート構成

共有エキスパート1+ルーテッドエキスパート256、トークンあたり6エキスパート起動

学習量

32兆トークン超、Muonオプティマイザ

コンテキスト長

100万トークン(A4換算でおよそ1,500ページ相当)

最大出力

384Kトークン(high/max reasoning effort時の推奨上限)

推論モード

thinkingがデフォルト。reasoning effortは low / high / max の3段階

入出力

テキストのみ(画像・音声・動画の入出力なし)

ライセンス

MIT(申請不要でダウンロード可)

API同時実行上限

2,500

HuggingFaceダウンロード数

直近1か月で433,284件(2026年8月5日確認)

総パラメータの表記に284Bと304Bの2種類が出回っています。これは推論高速化用の投機的デコーディング(DSpark)モジュールを含むかどうかの差で、モデル本体は284Bと理解しておけば混乱しません。

0731版で何が変わったのか

変わったのはポストトレーニングだけです。 公式Change Logは「アーキテクチャとモデルサイズはV4-Flash-Previewと同一で、再ポストトレーニングのみを実施した」と明記しており、パラメータ数もコンテキスト長もAPI料金も変わっていません。それでいてエージェント系ベンチマークのスコアが大きく動いた、というのがこのリリースの本質です。

実務的に影響が大きい変更点は次のとおりです。

  • エージェント・ツール利用向けの再学習 — function calling、structured outputs(構造化出力)を伴う多段タスクの成功率が上がっています。
  • Responses API形式のネイティブサポートCodex向けアダプテーションが公式Change Logに明記されました(Responses API対応はFlashのみで、Proは対象外)。
  • APIがPublic Betaへ移行 — プレビュー扱いから一段進みましたが、安定版(GA)ではありません。
  • トークン効率の改善 — Artificial Analysisの評価では、同じIndex評価を通すのに必要な出力トークンが約234M→約206Mへ12%減りました。
  • ハルシネーション率の低下 — 同機関の評価(AA-Omniscience)で96%→84%へ12ポイント改善。ただし正答率は37%で横ばいのため、「知らないことを知らないと言える割合が増えた」という性質の改善です。

一方で、モデルサイズが同じである以上、ハードウェア要件や推論コスト構造は前バージョンと変わりません。セルフホストしている場合、既存構成のままウェイトを差し替えられるのは利点です。

公式ベンチマーク9項目とその読み方

独立系ベンチマーク機関Artificial Analysisの公式サイトイメージ

出典: Artificial Analysis 公式サイト

Terminal Bench 2.1で82.7を記録し、上位モデルのV4-Pro-Preview(72.1)を10.6ポイント上回りました。掲載9項目すべてでV4-Pro-Previewを、8項目でGLM-5.2を上回った一方、Claude Opus 4.8には9項目すべてで届いていません。 公式モデルカードおよびChange Logに掲載された数値を整理します。

ベンチマーク

V4-Flash-0731

V4-Flash-Preview

V4-Pro-Preview

GLM-5.2

Claude Opus 4.8

Terminal Bench 2.1

82.7

61.8

72.1

81.0

85.0

NL2Repo

54.2

39.4

38.5

48.9

69.7

Cybergym

76.7

38.7

52.7

83.1

DeepSWE

54.4

7.3

12.8

46.2

58.0

Toolathlon-Verified

70.3

49.7

55.9

59.9

76.2

Agents' Last Exam

25.2

15.8

16.5

23.8

25.7

AutomationBench Public

25.1

10.8

12.8

12.9

27.2

DSBench-FullStack※

68.7

37.0

41.8

61.8

71.6

DSBench-Hard※

59.6

25.8

31.1

54.5

71.7

※DSBench-FullStack/DSBench-HardはDeepSeekの内部テストセットで、第三者による検証結果ではありません。

1. DeepSWEの7.3→54.4が最大の変化。 約7.4倍という数字は、「エージェントとしてほぼ機能しなかったものが実用域に入った」ことを意味します。プレビュー版でV4-Flashをエージェント用途に試して諦めた経験があるなら、再評価する価値があります。

2. 下位モデルが上位モデルを全項目で逆転した。 アクティブ13BのFlashが、アクティブ49B・総1.6TのV4-Pro-Previewをエージェント系9項目すべてで上回りました。ただしこれはV4-Proがプレビューのまま更新されていないためでもあり、Pro正式版が出れば構図は変わり得ます。

3. オープンウェイト同士ではGLM-5.2に優位。 比較値のある8項目すべてで上回り、AutomationBench Publicでは25.1対12.9と約2倍の差がつきました。中国系オープンウェイトの直接の競合についてはGLM-5.2とはが比較材料になります。

4. フロンティアとの差は残る、しかも比較相手は1世代前。 Terminal Benchで−2.3、Agents' Last Examで−0.5と僅差の項目がある一方、NL2Repoは−15.5、DSBench-Hardは−12.1と難タスクほど差が開きます。加えて公式表の比較対象Claude Opus 4.8は2026年5月のモデルであり、Anthropicの現行フラッグシップは7月のClaude Opus 5です。「Opus 4.8超え」でも「最新Claudeに肉薄」でもない、というのが正確な理解になります。

第三者評価(Artificial Analysis)

独立系ベンチマーク機関Artificial Analysisの評価では、Intelligence Indexが40→50へ10ポイント上昇しました。

指標

Artificial Analysis Intelligence Index

50(評価対象101モデル中の上位帯/前バージョンは40)

同スコア帯

Gemini 3.6 Flash(50)と同点

上位モデル

GPT-5.6 Luna(51)・Muse Spark 1.1(51)に1点差、Kimi K3(57)に7点差

エージェント評価(GDPval-AA v2)

1559 Elo(前バージョンは1189)

出力速度

122.7 tok/s(101モデル中9位。中央値は65 tok/s)

初回トークンまでの時間(TTFT)

1.34秒

ブレンド単価

約0.06ドル/1Mトークン

Index評価にかかった実費

72.02ドル

コスト効率

GPT-5.6 Lunaと同等知能で、タスクあたりコストは約60%安い

Artificial Analysisはこの結果を「価格性能のパレートフロンティアに大きなスパイクを作った」と表現しています。知能の絶対値で首位を取ったわけではなく、同じ知能をどれだけ安く買えるかという軸で突出したモデルという位置づけです。知能面での上位モデルはKimi K3とは?性能・料金・特徴も比較対象になります。

見落とされがちな注意点:出力が「非常に冗長」

同機関はV4-Flash-0731を "very verbose"(非常に冗長) と評価しています。Index評価を通すのに要した出力トークンは約206Mで、評価対象モデルの中央値(約100M)の2倍以上でした。

これは実費に直結します。単価は安くても出力トークン数が2倍なら、出力課金が支配的なワークロードでは想定の2倍の請求になり得ます。「1Mあたり0.28ドル」だけを見て予算を組むと外れるということです。実運用では、reasoning effortをlowに落とす、max_tokensで上限を切る、出力フォーマットを構造化出力で固定するといった対策を前提に見積もってください。

料金|入力0.14ドル/1M・キャッシュヒットは50分の1

OpenRouterのDeepSeekモデル一覧ページのイメージ

出典: OpenRouter 公式サイト

DeepSeek公式APIでの現行価格は、入力0.14ドル/出力0.28ドル(いずれも100万トークンあたり・USD)で、プレビュー版から据え置きです。 性能だけ上がって値段は変わっていません。

モデル

入力(キャッシュヒット)

入力(キャッシュミス)

出力

コンテキスト

最大出力

同時実行

deepseek-v4-flash(=0731)

$0.0028

$0.14

$0.28

1M

384K

2,500

deepseek-v4-pro

$0.003625

$0.435

$0.87

1M

384K

500

押さえておきたい実務ポイントは次のとおりです。

  • キャッシュヒット時の入力単価は通常の50分の1(約98%引き)。同じシステムプロンプトや同じリポジトリ文脈を繰り返し投げるエージェント用途では、この差がコストを支配します。Artificial Analysisが算定するブレンド単価は約0.06ドル/1Mトークンです。
  • V4-Proの0.435ドル/0.87ドルは、2026年5月22日に75%割引を恒久価格化した結果であり、期間限定プロモーションではありません(元の標準価格は1.74ドル/3.48ドルとされます)。
  • 公式ドキュメントにはピーク時間帯(北京時間09:00–12:00/14:00–18:00=日本時間10:00–13:00/15:00–19:00)の2倍課金に関する記載がありますが、原文は「正式アナウンス待ちで実装保留」となっており、2026年8月5日時点でも未適用です。将来の変動要因として頭に入れておく程度が妥当です。
  • コンシューマ向けチャット(chat.deepseek.com/公式アプリ)は執筆時点で無料です。課金はAPIの従量課金のみで、サブスクリプション型のプラン区分はありません。無料枠の仕様は変わり得ます。

サードパーティ経由の価格

公式API以外の入口もあります。プロバイダによって単価が異なるため、公式価格とは分けて考えてください。

提供元

入力

出力

備考

DeepSeek公式API

$0.14

$0.28

キャッシュヒット時入力$0.0028

OpenRouter

$0.09

$0.18

複数プロバイダへルーティング。プロンプトキャッシュにより実効価格はさらに下がるとされる

Baseten

$0.13

$0.26

キャッシュ$0.028。プロバイダにより微差あり

DeepInfra

掲載あり

掲載あり

デモ提供あり。具体値は都度確認

OpenRouterが公式より安いのは複数プロバイダの競争結果であって保証された価格ではありません。ルーティング先によってレイテンシやデータ取り扱いも変わります。複数モデルを1つのAPIキーで切り替えたい場合の仕組みはOpenRouterとは?使い方・料金・対応モデルで解説しています。

他モデルとの単価比較

モデル

入力($/1M)

出力($/1M)

備考

DeepSeek V4-Flash-0731

$0.14

$0.28

AA Index 50

DeepSeek V4-Pro(Preview)

$0.435

$0.87

恒久割引後

GPT-5.6 Luna

$0.20

$1.20

2026/7/30に80%値下げ。AA Index 51

GPT-5.6 Terra

$2.00

$12.00

2026/7/30に20%値下げ

GPT-5.6 Sol

$5.00

$30.00

据え置き

Gemini 3.6 Flash

$1.50

$7.50

AA Index 50(V4-Flashと同点)

GLM-5.2(Z.AI)

$1.40

$4.40

中国系オープンウェイト

Kimi K3

$3.00

$15.00

AA Index 57

Claude Sonnet 5

$3.00

$15.00

Claude Opus 5

$5.00

$25.00

Anthropic現行フラッグシップ

※DeepSeek以外の単価は、各社の公開情報および複数の価格集計サイトで一致した値を採用しています。改定が頻繁な領域のため、導入判断の前に各社公式のPricingページで再確認してください。

出力トークン単価で見ると、V4-Flash-0731はGPT-5.6 Lunaの約4分の1、Gemini 3.6 Flashの約27分の1、Claude Opus 5の約89分の1です。それでいてAA Intelligence IndexはLunaと1点差、Gemini 3.6 Flashと同点という位置にあります。GPT-5.6側の値下げ背景はGPT-5.6 Lunaが80%値下げ|AI価格競争の現在地で扱っています。

円建ての実コスト試算

コーディングエージェントの1タスクを「入力50万トークン・出力5万トークン」と仮定して概算します(1ドル=約155円の執筆時点レートによる概算)。

モデル

1タスクあたり

1,000タスク実行時

V4-Flash-0731(キャッシュミス想定)

約$0.084(約13円)

約$84(約1.3万円)

V4-Flash-0731(入力の7割がキャッシュヒット)

約$0.036(約6円)

約$36(約5,600円)

OpenRouter経由($0.09/$0.18)

約$0.054(約8円)

約$54(約8,400円)

GPT-5.6 Luna

約$0.16(約25円)

約$160(約2.5万円)

Claude Sonnet 5

約$2.25(約350円)

約$2,250(約35万円)

Claude Opus 5

約$3.75(約580円)

約$3,750(約58万円)

ただしこの試算は出力トークン量が全モデル同じという前提です。実際のV4-Flash-0731は中央値の2倍程度を出力する傾向があるため、出力側が膨らんで差は縮まります。それでもClaude系との桁差は覆らない一方、GPT-5.6 Lunaとの差は数字ほど開かない可能性がある、と見ておくのが安全です。

できること・できないこと

DeepSeek API ドキュメントのイメージ

出典: DeepSeek API Docs 公式

できること

  • 100万トークンの長文コンテキスト処理(リポジトリ全体・長大な仕様書や議事録の一括読み込み)
  • reasoning effortをlow/high/maxの3段階で切り替え、レイテンシ・トークン消費と思考の深さを調整
  • function calling、structured outputs(構造化出力)を使ったツール連携・エージェント実行
  • Responses API形式のネイティブ利用、OpenAI ChatCompletions互換/Anthropic API互換インターフェースでの呼び出し
  • FIM(Fill-In-the-Middle)補完(non-thinkingモードのみ)
  • MITライセンスのオープンウェイトをHuggingFaceから取得しての商用利用・オンプレ運用・ファインチューン・再配布
  • 投機的デコーディング(DSpark)モジュールによる推論高速化

できないこと・制約

  • マルチモーダル非対応。テキスト入出力のみで、画像・音声・動画は扱えません(一部の第三者記事にvision対応との記述がありますが、公式仕様・HuggingFaceモデルカード・Artificial Analysisの記載はいずれもテキストのみです)。
  • 最難関タスクではフロンティアモデルに届かない。公式掲載9項目すべてでClaude Opus 4.8に劣後し、AA IndexでもKimi K3に7点差があります。
  • V4-Proの正式版は2026年8月5日時点で未リリース。公式Change Logは「V4-Proの正式版は今後リリース予定」と述べるにとどまり、最新エントリは7月31日のままです。中国メディアは「8月初旬」、一部海外ソースは「8月中旬にずれ込む」と報じていますが、いずれも観測であり公式の確定情報ではありません。
  • ローカル実行のハードルは高い。アクティブ13Bとはいえ、MoEは全パラメータをメモリに載せる必要があります。
  • 出力が冗長。出力課金が支配的なワークロードでは、単価の安さが相殺されます。
  • APIはPublic Beta。本番基幹での利用にはSLAや仕様変更のリスクを織り込む必要があります。
  • 日本語専用の公式ベンチは非公開。第三者の実利用レビューでは「日本語の文章品質は自然」との評価が複数ありますが、数値的な裏付けは存在しません。
  • Responses API対応はFlashのみで、Proは非対応です。

使い方|3つの入口と推奨設定

HuggingFaceのDeepSeek-AI公式組織ページのイメージ

出典: HuggingFace deepseek-ai 公式組織ページ

利用ルートは「公式API」「サードパーティ経由」「セルフホスト」の3つで、機密データの扱い方によって選ぶべきルートが変わります。

入口

手順の概要

適したケース

DeepSeek公式API

platform.deepseek.comでAPIキー発行 → OpenAI互換エンドポイントにmodel: "deepseek-v4-flash"で投げる

最短で試したい。非機微データのバッチ処理

OpenRouter等の中継

OpenRouterのAPIキー1つでdeepseek/deepseek-v4-flash-0731を指定

複数モデルを比較・切り替えたい

セルフホスト

HuggingFaceからMITウェイトを取得し、vLLM/SGLang等で起動

機密データを外部に出せない企業

コーディングエージェントに繋ぐ場合、公式がCodex向けアダプテーション済みと明記しているため、OpenAI互換エンドポイントを設定できるツール(Codex系・OpenCode系など)であれば、ベースURLとモデル名の差し替えだけで動かせるケースが大半です。ツール側の選定はAIコーディングツールおすすめ比較も参考になります。

公式の推奨設定

  • temperature = 1.0
  • エージェント用途は top_p = 0.95、それ以外は top_p = 1.0
  • reasoning effortは用途で使い分け。low=定型変換・分類・大量バッチ、high=通常のコーディングエージェント、max=設計判断を伴う難タスク。highまたはmaxを使うときは最大出力384Kを前提にする
  • 投機的デコーディングを使う場合、vLLMは--speculative-config '{"method":"dspark","num_speculative_tokens":7}'、SGLangは--speculative-algorithm DSPARK

実装上の落とし穴として、チャットテンプレートがJinja形式ではなく、encodingフォルダ内の専用Pythonスクリプトとして同梱されています。Jinjaテンプレート前提の推論スタックをそのまま流用すると噛み合わないため、モデルカードの手順を確認してください。

セルフホストに実際に必要なGPU

「MITだからオンプレで動かせる」は事実ですが、必要なハードは軽くありません。以下は第三者による試算・実測値で、公式が公表した必要要件ではない点に注意してください(出典間でばらつきがあります)。

項目

目安

出典の種別

公式ウェイトのファイルサイズ

約167GB

国内メディア報道

Unsloth量子化版(GGUF)

82.5GB(1bit)〜161.9GB(8bit)

同上

ネイティブFP4/FP8精度での総VRAM

約170〜175GB(重み約158GB+1MコンテキストのKVキャッシュ約10GB+オーバーヘッド)

第三者試算

FP16推論時のVRAM

約663GB

第三者試算

FP8ウェイトのみ

約284GB → 8×H100(HGX、TP=8)想定

第三者試算

現実的な構成例

2×H200(282GB)または2×RTX Pro 6000 Blackwell(192GB)

第三者試算

強めの量子化での最小構成

約33GB(1×RTX 6000 Ada または 2×RTX 4090)

第三者試算

クラウドGPU最安ライン

INT4で4×L40S 48GB、約$3.84/時

第三者試算

つまり、フル精度なら実質H100/H200級の複数枚構成、量子化しても80GB超のVRAMが現実的なラインです。「MITライセンスだから個人PCで気軽に」という水準ではありません。vLLMがday-0レシピを公開し、UnslothがGGUF量子化版と実行ガイドを、コミュニティがApple Silicon向けMLX(MXFP4)変換版を公開しているため、入口としてはこれらを使うのが早道です。

移行時のチェックリスト

既にDeepSeek APIを使っている場合、0731への移行そのものは容易ですが、直前に別の破壊的変更が入っている点に注意が必要です。

  • deepseek-chat / deepseek-reasoner は2026年7月24日に廃止済み(15:59 UTC=日本時間7月25日00:59)。レガシーモデル名を残したままだと呼び出しが通りません。deepseek-v4-flash または deepseek-v4-pro に置き換えます。
  • deepseek-v4-flash の中身は自動的に0731へ更新済み。モデルIDの変更は不要ですが、出力の傾向は変わっているため、プロンプトと評価セットの再確認をおすすめします。
  • サンプリング設定を公式推奨値に合わせる(temperature 1.0、エージェント時 top_p 0.95)。
  • reasoning effortの指定を見直す。low/high/maxの3段階で、コストとレイテンシが大きく変わります。
  • Responses APIを使う場合はFlashのみ対応。Proに切り替える前提の設計にしていないか確認します。
  • 最大出力384Kを前提にタイムアウト・課金上限を見直す。出力が冗長になりやすいため、max_tokensの上限設定は実質必須です。
  • APIはPublic Betaのため、本番投入前にフォールバック先モデルを用意しておきます。
  • セルフホストの場合はチャットテンプレートの実装方式(非Jinja)を確認してから差し替えます。

セキュリティとデータ主権の扱い方

DeepSeekを業務で使う際の最大の論点は性能でも料金でもなく、データがどこに保管されるかです。 DeepSeekのプライバシーポリシーは、ユーザーデータを中国国内のサーバに保管すると明記しており、準拠法・裁判管轄が中国になり得ます。

日本国内での公的な対応は次のとおりです(いずれも全面禁止ではなく注意喚起レベルである点が重要です)。

  • 2025年2月3日:個人情報保護委員会が「DeepSeekに関する情報提供」を公表。個人データが中国のサーバに保存され、中国の法令が適用される点を注意喚起。
  • 2025年2月6日:デジタル社会推進会議幹事会事務局が各省庁向けに「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」を発出。利用する場合はNISC・デジタル庁に助言を求めるよう指示。

海外では、米NASAが政府支給端末での使用を内部通達で禁止、オーストラリア政府が全政府機関でのインストール・利用を禁止するなど、機関単位の制限事例があります。

データ主権とモデル挙動は別問題

ここで効いてくるのが、V4-Flash-0731がMITライセンスの完全なオープンウェイトであるという事実です。ただし、セルフホストで解決できるのは「データの行き先」であって、「モデルの挙動」ではありません。

使い方

データが中国に渡るか

政治的トピックでの出力の偏り

適したケース

公式チャット/公式アプリ

渡る

残る(+サービス側の応答制限)

個人の非機微な用途のみ

公式API

渡る

残る

非機微データのバッチ処理・検証

OpenRouter等の第三者ルーティング

プロバイダ次第(要確認)

残る

中程度の要件

オープンウェイトのセルフホスト

渡らない

モデル自体には残る

機密データ・オンプレ要件のある企業

中国の生成AIサービス規制の下でアライメントが行われている以上、台湾・領土問題・歴史認識といったトピックでは出力が偏る、あるいは回答を避ける可能性があります。これはウェイトをダウンロードして自社環境で動かしても消えません。該当領域のコンテンツを扱うなら、出力ガードレールと回帰テストをセットで設計する必要があります。

つまり「DeepSeekは危険だから使わない」でも「セルフホストすれば全部解決」でもなく、「データ主権はセルフホストで、挙動のリスクは評価と後段フィルタで」という2段構えが現実解です。オープンウェイトを自社サービスに組み込む際のライセンス表記の落とし穴は楽天Rakuten AI 3.0のDeepSeek V3リブランド騒動、エージェントに権限を渡す際の設計はAIエージェントのセキュリティ対策で整理しています。

V4-Flash-0731とV4-Pro、どちらを選ぶか

2026年8月5日時点では、エージェント・コーディング用途ならFlash-0731が優先候補です。 理由は3つあります。

  1. 公式掲載9項目すべてで、Flash-0731がV4-Pro-Previewを上回っている
  2. 料金がProの約3分の1(入力・出力とも)で、同時実行上限も2,500対500とFlashが有利
  3. Responses API対応はFlashのみ

比較ポイント

V4-Flash-0731

V4-Pro(Preview)

ステータス

正式版(2026/7/31)、API Public Beta

プレビュー。正式版は8/5時点で未リリース

アクティブ/総パラメータ

13B/284B

49B/1.6T

入力(キャッシュミス)

$0.14

$0.435

出力

$0.28

$0.87

同時実行上限

2,500

500

Responses API

対応

非対応

エージェント系ベンチ

公式掲載9項目でProを上回る

Previewのまま未更新

最大推論モード

reasoning effort max

max(通称「V4-Pro-Max」。SWE-Bench Verified 80.6%等はこのモードの数値)

長文の論理的一貫性や難易度の高い推論タスクでProが優位に立つ場面は残ります。ただし現行のPro-Previewは4月時点のポストトレーニングのままです。Proを本格採用するなら、正式版のリリースを待って再評価するのが妥当で、それまではFlash-0731で検証を進めておくのが実務的です。V4シリーズ全体の設計思想はDeepSeek V4とは?性能・料金・V3との違いで解説しています。

こんな人におすすめ/おすすめしない人

おすすめできるケース

  • コーディングエージェントを大量に回している — 1タスクあたり十数円で済むため、試行回数を増やしても予算が壊れません。DeepSWEの7.4倍改善が最も効くのがこの用途です。
  • 社内ツールの自動化・バッチ処理 — 同じシステムプロンプトを繰り返し使うため、キャッシュヒット単価0.0028ドルの恩恵を最大化できます。
  • 長文コンテキストを扱いたい — 100万トークンで大規模リポジトリや長大な資料をまとめて投入できます。
  • オンプレ・閉域要件があり、H100級のGPUを複数用意できる企業 — MITライセンスのオープンウェイトなので、自社環境で完結させられます。
  • 中国系モデルを含めて選択肢を検証したい — 全体の勢いは中国製AIモデルがOpenRouter利用の60%超え、同系統の比較対象はQwen 3.8 MaxとはLongCat 2とはが参考になります。

おすすめしない・慎重に判断すべきケース

  • 最難関の設計・数学・研究タスクが中心 — Claude Opus 5やKimi K3との差が明確に出ます。ここでコストを削るとやり直しコストの方が高くつきます。
  • 画像・音声・動画を扱いたい — テキスト専用のため要件を満たしません。
  • 機密データを公式API経由で流したい — データ保管先の問題が解消しないため、セルフホストに切り替えるか、他ベンダーを選ぶべきです。
  • SLAが必要な本番基幹システム — APIがPublic Betaのため、可用性保証を前提とした設計には向きません。
  • 出力トークン量が支配的で、費用の予測精度が求められる — 冗長な出力傾向があるため、上限設定と実測なしに単価だけで見積もると外れます。
  • 政治・歴史・地政学に触れるコンテンツを生成したい — セルフホストしても出力の偏りは残ります。
  • 日本語の品質を数値で担保したい — 公式の日本語ベンチが存在せず、自前で評価セットを作る前提になります。

よくある質問

Q. モデル名をdeepseek-v4-flash-0731と指定する必要がありますか?

公式APIではdeepseek-v4-flashのままで問題ありません。既存モデルIDの中身が0731に差し替えられています。一方、OpenRouterなどの中継サービスではバージョン付きの識別子(deepseek/deepseek-v4-flash-0731)を使うため、プロバイダごとの表記を確認してください。

Q. 「V4-Pro-Max」というモデルを使いたいのですが、どこにありますか?

独立したモデルとしては存在しません。deepseek-v4-proをmax reasoning effortで呼び出した状態がそう呼ばれているだけです。Codeforces 3206やSWE-Bench Verified 80.6%といったスコアは、この状態のProのものであってFlashの実力ではありません。

Q. プレビュー版を使っていたアプリは、何もしなくても性能が上がりますか?

APIのモデルIDが同じなので、呼び出し側の変更なしに0731の挙動になります。ただし出力の傾向やトークン消費量は変わっているため、プロンプトの微調整と回帰テストは実施すべきです。特に出力が長くなる傾向があるので、課金上限とタイムアウトの確認は先に済ませてください。

Q. 単価が安いのに請求が想定より高いのはなぜですか?

出力が冗長になりやすいためです。Artificial Analysisの評価では、同じベンチマークを通すのに中央値の2倍以上の出力トークンを消費しました。reasoning effortをlowに落とす、max_tokensで上限を切る、構造化出力で形式を固定する、といった対策で改善します。

Q. 無料で試せますか?

公式チャット(chat.deepseek.com)と公式アプリは執筆時点で無料です。APIは従量課金ですが単価が低いため、数百円分のクレジットでも実用的な検証量を回せます。

Q. 商用サービスに組み込んでもライセンス上問題ありませんか?

MITライセンスのため、商用利用・改変・再配布が可能です。ただし著作権表示とライセンス条文の同梱は必要で、これを怠るとライセンス違反になります。自社開発モデルとして宣伝する場合は特に注意が必要です。

Q. GPUを何枚用意すればセルフホストできますか?

第三者の試算では、ネイティブ精度で総VRAM 170〜175GB程度(2×H200相当)、FP8ウェイトのみで約284GB(8×H100想定)が目安です。GGUF量子化版なら82.5GB〜、強めの量子化で約33GBまで下げられますが、精度は落ちます。いずれも公式の必要要件ではないため、自社ワークロードでの実測が前提になります。

Q. V4-Proの正式版はいつ出ますか?

2026年8月5日時点では未リリースで、公式Change Logの最新エントリは7月31日のままです。中国メディアは8月初旬、一部海外ソースは8月中旬と報じていますが、公式が日付を確定させた情報はありません。

まとめ

DeepSeek-V4-Flash-0731は、設計もサイズも料金も変えずに、ポストトレーニングのやり直しだけでエージェント性能を実用域まで引き上げたモデルです。DeepSWE 7.3→54.4、Terminal Bench 2.1 61.8→82.7という数字は、パラメータ数の増加ではなく学習後の作り込みで性能が動くことを示しています。

導入判断の軸をまとめると次のようになります。

  • コスト最優先で、用途がエージェント/コーディング/長文処理なら第一候補(入力$0.14・キャッシュヒット$0.0028)
  • ただし出力が冗長。単価ではなく実測トークン量で見積もる
  • 最難関タスクやマルチモーダル要件があるなら対象外(Claude Opus 5等との差は残る)
  • 機密データはMITオープンウェイトのセルフホストで扱う。ただし必要なのはH100級の複数枚構成
  • 「V4.1」を探していたなら触るべきはdeepseek-v4-flash、「V4-Pro-Max」はProの推論モードの呼称
  • V4-Proの正式版は2026年8月5日時点で未リリース。Pro採用の最終判断は正式版を待つ

料金とベンチマークが短期間で動く領域のため、採用時は公式のPricingページとChange Logを直前に確認してください。他モデルとの比較検討はDeepSeek V4とGPT-5.5の比較、DeepSeek全体の理解はDeepSeekとはから辿るのが効率的です。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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