AIコーディング2026年10月更新

Grok Buildとは?8並列・Arena Modeの現状と料金・使い方、Claude Codeとの違い

公開日: 2026/05/01
更新日: 2026/10/19
Grok Buildとは?8並列・Arena Modeの現状と料金・使い方、Claude Codeとの違い

この記事のポイント

Grok BuildはSpaceXAI(旧xAI)のターミナル型AIコーディングエージェントで、2026年7月にApache 2.0でオープンソース化され、8月にv1.0になりました。「8並列」「Arena Mode」の現状、既定モデル、料金、7月のアップロード騒動と対策、Claude Codeとの違いを2026年10月時点の公式情報で整理します。

Grok Buildは、SpaceXAI(旧xAI)が提供するターミナル型のAIコーディングエージェントです。 2026年5月にearly betaとして公開され、7月15日にApache 2.0でソースが公開、8月7日にv1.0となりました。既定のモデルは現在Grok 4.6/4.7系で、話題になった「8並列エージェント」は初期の数字、「Arena Mode」は公式には提供されていません。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • Grok Buildの現在の提供状況(OSS化・v1.0・既定モデルの変更)
  • 「8 parallel agents」「Arena Mode」は今どうなっているのか
  • /goal・サブエージェント・Plan Modeなど主要機能と使い方
  • サブスクとAPIの料金、コスト試算の考え方
  • 2026年7月のコードアップロード騒動と、今やっておくべき設定
  • Claude Code・OpenAI Codex CLI・Gemini CLI・Cursorとの違い

対象読者は、CLIで動くAIコーディングエージェントの導入や乗り換えを検討しているエンジニア・開発チームです。2026年10月11日時点で、公式ドキュメント(docs.x.ai)と公開ソース(GitHub xai-org/grok-build)で確かめられた情報を中心に、確認できなかった点はその旨を明記しています。

Grok Buildのインターフェース概要(初期ベータ時点の画面)

出典: TestingCatalog — Early look at Grok Build

Grok Buildとは(概要と位置付け)

Grok Build公式ドキュメントの概要ページのOGP画像

出典: xAI Docs — Grok Build Overview

Grok Buildは、ターミナル上のフルスクリーンUI(TUI)で動き、コードベースの理解・ファイル編集・シェルコマンド実行・Web検索・長時間タスクの管理までをこなすコーディングエージェントです。 Rustで書かれたCLIで、使い方は次の3通りが公式に用意されています。

  • 対話型TUI: プロジェクトのディレクトリで grok を起動して指示する
  • ヘッドレス実行: grok -p "..." でスクリプトやCIから呼び出す
  • エディタ組み込み: Agent Client Protocol(ACP)経由でエディタから使う

開発元はイーロン・マスク氏が創業したxAIで、公式ドキュメントとGitHubでは現在「SpaceXAI」と表記されています。Grokシリーズ全体の位置付けはGrokとはで解説しています。

公開から現在までの経緯

公開当初の「early beta」からは状況がかなり変わっています。確認できた主な出来事は次のとおりです。

時期

出来事

2026年2月

TestingCatalogが「Parallel Agents(最大8)とArena Modeをテスト中」とリーク報道

2026年5月14日

early betaとして公開(当初はSuperGrok Heavy加入者のみ)

2026年5月29日

API向けモデル grok-build-0.1 をパブリックベータで公開

2026年7月12〜13日

リポジトリ全体がクラウドへ送られていたと研究者が公表。翌日サーバー側で停止

2026年7月15日

全ソースをApache 2.0で公開

2026年8月7日

CLI v1.0.0 リリース

2026年9月21日

Grok 4.7 リリース(公式ドキュメントで「最新モデル」として掲載)

2026年10月6日

v1.0.50(npmのlatest)。更新はかなり頻繁

ソースは github.com/xai-org/grok-build で公開されていますが、社内のリポジトリから定期的に同期する形式で、外部からのプルリクエストは受け付けていません。コードは読めても、コミュニティで開発するOSSではない点は押さえておきましょう。

Grok Build・Grok Build Mode・Grok Bot・grok-build-0.1の違い

名前の似た製品が4つあり、混同しやすくなっています。

名称

何か

使う場所

Grok Build

ターミナル型コーディングエージェント(本記事の対象)

手元のPCのターミナル・CI・エディタ

Grok Build Mode

grok.comのチャット上でアプリを作る機能(2026年7月にEarly Beta)

ブラウザ・アプリ

Grok Bot

クラウド上で動くAIチームメイト(2026年8月にベータ)

クラウド

grok-build-0.1

API向けのコーディング用モデル

API・OpenRouter・Vercel AI Gateway

Grok BotについてはGrok Botとはで詳しく扱っています。

公式の入口は x.ai・docs.x.ai・github.com/xai-org です。 インストールスクリプトやアカウント連携は、これら以外のドメインから実行しないでください。

現在の提供状況と利用に必要なプラン(2026年10月時点)

CLI本体はオープンソースで無料でインストールできますが、モデルを動かすにはSpaceXAIのアカウント(サブスク)かAPIキーが必要です。 v1.0に到達しており、もうearly betaではありません。

項目

状況(2026年10月時点)

CLI本体

v1.0系(2026年8月7日〜)。Apache 2.0のOSS

既定モデル

Grok 4.6/4.7系(/model で切り替え可能)

対応OS

macOS・Linux・Windows向けのビルド済みバイナリあり

認証

SpaceXAIアカウントでのOAuthログイン、または XAI_API_KEY

/goal(長時間の自律実行)

利用可能

サブエージェント・ワークフロー

利用可能(既定で有効)

Arena Mode

公式ドキュメント・公開ソースのどちらにも存在しない

サブスクで使える対象プランは、公式の料金ページを確認できず確定できていません。SuperGrok(月30ドル)で使えるとする情報が多く、X Premium+(月40ドル)でも使えるとする情報もあります。加入前に、公式の x.ai で対応プランを必ず確認してください。

今すぐ安定運用できるCLIエージェントを探している場合は、Claude CodeとはやCursorとはもあわせて比べておくと判断しやすくなります。AIコーディングツール全体の比較はAIコーディングツール おすすめ比較で整理しています。

Grok Buildでできること(主要機能)

Grok Buildの中核は「計画を立て、サブエージェントに分担させ、レビューを通してから完了とする」流れです。 よく話題になる「8並列」と「Arena Mode」は、2026年2月のリーク報道で広まった言葉で、現行版の実態とはずれています。

8並列エージェント(Parallel Agents)の現在

「最大8並列」は公式の上限ではありません。 公開ソース(2026年9月29日同期分)では、サブエージェントの同時実行数の既定値は32です。「8」は2026年2月のリーク報道(2つのモデルで4エージェントずつ動かす構成)と、初期ベータ時点の数字です。

2026年2月のリーク時に報じられたGrok Buildの並列エージェント画面

出典: TestingCatalog — Grok Build Parallel Agents & Arena Mode

現行版のサブエージェントは次のように動きます。

  • それぞれが独立した子セッションで、別々のコンテキストを持つ。調査・実装・テスト・レビューを親から任され、終わると要約を返す
  • 組み込みの種類は general-purpose(既定)、explore(調査専用で編集しない)、plan(計画専用で編集しない)の3つ。.grok/agents/ に独自のエージェントも定義できる
  • Git worktreeでの隔離は選べる設定で、常に隔離されるわけではない(ペルソナの default_isolation を worktree にするか、起動時に --worktree を付ける)
  • 同時実行数は環境変数 GROK_MAX_CONCURRENT_SUBAGENTS や設定ファイルの [subagents] max_concurrent で変えられる。サーバー側の設定でも変わるため、実際に何本まで同時に動くかはアカウントによって異なる可能性がある

このほか、決まった数のサブエージェントをバックグラウンドで動かして作業を分担・検証させる「ワークフロー」(/create-workflow・/workflow <name>)や、複数エージェントで調べて出典付きのレポートを書く /deep-research もあります。

並列数を増やせばそのぶんトークンを消費します。並列化すると速くなる代わりにコストが増えると考えておきましょう。

/goal 自律実行モード

/goal <目標> は、大きめのタスクを終わるまで任せる長時間実行のモードです。 各ラウンドの後に「続ける/ユーザーに聞く/完了」を判断し、完了と判定するにはレビュー役のサブエージェント複数の過半数の合意が必要です。同じところで止まり続けると一時停止して、人に状況を見せます。

  • /goal <目標> --budget <トークン数>: トークンの上限を付けて開始
  • /goal status: 進み具合の確認
  • /goal pause / /goal resume: 一時停止・再開
  • /goal clear: ゴールの解除

公式ドキュメントは、「テストがすべて通る」のように終わりの状態が具体的で検証できる目標ほど向いているとしています。初期の解説記事でよく見かける「Composer 2.5と組み合わせた2モデル構成」は、公式ドキュメントと公開ソースでは確認できませんでした。

Arena Mode(公式には未提供)

Arena Modeは、2026年10月時点で公式に提供されていません。 公式ドキュメント(Modes and Commands)にも、公開ソースにも該当する機能は見当たりません。

2026年2月のリーク報道で示されたArena Modeとされるコード画面

出典: TestingCatalog — Grok Build Arena Mode

Arena Modeは、2026年2月のリーク報道で「複数エージェントの出力を自動で採点・順位付けし、良い案を人に見せる」機能として紹介されたものです。5月のベータ公開時にも動いておらず、その後も正式な発表はありません。一部の記事にある --best-of-n(複数案を並列で生成するオプション)も、現行の公開ソースには見当たりませんでした。

近い考え方は、/goal の「レビュー役の合意で完了を判定する」仕組みや、/deep-research で根拠を照らし合わせる処理に取り入れられています。ただし、SpaceXAIがこれらを「Arena Mode」と呼んだ事実はありません。Arena Modeを目当てに加入するのはおすすめしません。

Plan Mode・MCP・スキル化

人がレビューを挟む使い方と、他ツールの設定の取り込みにも対応しています。

  • 3つの実行モード: Plan(承認するまで計画ファイル以外は編集しない。/plan か Shift+Tab)、Auto(安全と判定した操作は自動で承認)、Always-approve(確認を省略。ただし deny ルールとフックは有効)。権限モードの既定は ask で、読み取り系の操作だけ自動で通す
  • MCP・スキル・プラグイン・フック: /mcps・/skills・/plugins・/hooks で管理。grok inspect で読み込まれた設定・スキル・MCPサーバーを一覧できる。MCPの基本はMCPとはを参照
  • Claude Codeの設定を読める: AGENTS.mdに加えて、CLAUDE.md・.claude/rules/・.cursor/rules/ も読み込む。.claude/settings.json の権限設定にも対応し、/import-claude でClaude側の設定を取り込める
  • その他: メモリ(/remember・/memory)、セッションの分岐(/fork)と巻き戻し(/rewind)、定期実行(/loop)、エージェントの状況画面(/dashboard)、モデル切替(/model)と推論の強さの設定(/effort)

一部の解説記事で紹介されている /skillify は、現在の公式コマンド一覧にはありません。

インストールと基本的な使い方

インストールは公式のワンライナーで終わります。 公式README・ドキュメントに記載された手順は次のとおりです。

  • macOS / Linux / Git Bash: curl -fsSL https://x.ai/cli/install.sh | bash
  • Windows(PowerShell): irm https://x.ai/cli/install.ps1 | iex
  • 確認: grok --version

社内ネットワークから x.ai に出られない場合は、npmパッケージ @xai-official/grok から入れる方法もあります。

初回はプロジェクトのディレクトリで grok を実行すると、ブラウザが開いてSpaceXAIアカウントでのログインに進みます。ブラウザのないサーバーでは grok login --device-auth を使うか、console.x.aiで発行した XAI_API_KEY を設定します。

用途

コマンド

説明

対話モード

grok

TUIを起動。/plan・/goal・Shift+Tab などを使う

ヘッドレス(CI)

grok -p "タスク説明"

非対話で実行。--output-format streaming-json などで出力形式を選べる

隔離して実行

grok --worktree

セッションをGit worktree上で動かす

サンドボックス付き

grok --sandbox workspace

書き込みをカレントディレクトリと一時領域に制限

基本の流れは次のとおりです。

  1. プロジェクトのディレクトリで grok を起動する
  2. /plan で計画を作らせ、内容を確認して承認する
  3. 実装させ、差分を確認する
  4. 大きなタスクは /goal に任せ、/goal status で進み具合を見る
  5. 利用量は /usage、データの扱いは /privacy で確認する

ヘッドレス専用のオプション(--tools・--disallowed-tools・--max-turns など)を使うと、CIで実行できる操作を絞り込めます。

Grok Buildの設定・環境管理画面(初期ベータ時点)

出典: TestingCatalog — Early look at Grok Build

基盤モデル(Grok 4.6/4.7とgrok-build-0.1)のスペック

xAI公式ドキュメントのモデル一覧・料金ページのOGP画像

出典: xAI Docs — Models & Pricing

現在のGrok Buildの既定モデルは、grok-build-0.1 ではなくGrok 4.6/4.7系です。 公開ソースに同梱された既定値はgrok-4.6で、公式ドキュメントはgrok-4.7を最新モデルとして掲載しています。既定モデルはサーバー側の設定で変わることがあるため、/model で実際に使っているモデルを確かめてください。

モデル

コンテキスト

API入力(100万トークンあたり)

API出力(100万トークンあたり)

主な用途

grok-4.7

50万トークン

$2.00

$6.00

最新モデル

grok-4.6

50万トークン

$2.00

$6.00

公開ソースの既定値

grok-4.5

50万トークン

$2.00

$6.00

選択肢の一つ

grok-build-0.1

25.6万トークン

$1.00

$2.00

API向けのコーディング用モデル

※単価はプロンプトが20万トークン未満の場合。2026年10月11日時点の公式モデル一覧(docs.x.ai)より。

各モデルの詳細はGrok 4.7とは、Grok 4.6とは、Grok 4.5とはで解説しています。

推論の強さはlow/medium/high/xhighから選べ、既定はhighです。~/.grok/config.toml に base_url などを書けば、他社のモデルやローカルで動かすモデルを追加することもできます。旧モデルの grok-code-fast-1 は現在のモデル一覧から外れています。

ベンチマークには注意が必要です。 よく引用される「SWE-bench Verified 70.8%」は旧 grok-code-fast-1 の社内測定値です。Grok Build(CLI)としての公式スコアは確認できず、grok-build-0.1 の発表にもベンチマークの記載はありません。

コンテキストは既定モデルで50万トークンです。grok-build-0.1 の25.6万トークンからは広がりましたが、100万トークン級のモデルを使えるツールと比べると、大規模なリポジトリを一度に読ませる用途では不利になる場面があります。

料金(サブスク・API)とコスト試算

xAI公式ドキュメントのAPI料金ページのOGP画像

出典: xAI Docs — API Pricing

Grok BuildのCLIは無料で、費用はサブスク(定額)かAPI(従量課金)のどちらかで発生します。 サブスクの対応プランと価格は公式ページで確認できなかったため、確度を分けて整理します。

プラン / 課金

価格

確度・備考

CLI本体

無料(Apache 2.0)

公式

SuperGrok

月30ドル

Grok Buildが使えるとする情報が多い。要公式確認

X Premium+

月40ドル

使えるとする情報あり。要公式確認

SuperGrok Heavy

月300ドル

価格は二次情報。要公式確認

API(XAI_API_KEY)

既定のGrok 4.6/4.7は入力$2・出力$6(100万トークンあたり)

公式

サブスクの有料プランは、2026年6月以降、チャット・画像生成・音声・Buildで週単位の利用枠を共有する方式とされています。上限の具体的な数値は公開されておらず、CLIでは /usage で残りを確認します。無料プランで使えるかどうかは確認できていません。

APIで使う場合の試算例を示します(既定のGrok 4.6/4.7、すべてのリクエストが20万トークン未満でキャッシュなしと仮定)。

作業の規模

入力

出力

概算費用

1エージェントで中規模の修正

200万トークン

20万トークン

約5.2ドル

同じ作業をサブエージェント4本で分担・検証

800万トークン

80万トークン

約20.8ドル

プロンプトが20万トークンに達したリクエストは、そのリクエストの全トークンが倍の単価(入力$4・出力$12)になります。 長いファイルを丸ごと読ませ続けると費用が急に増えやすいため、/goal --budget でトークンの上限を付け、/plan で作業範囲を絞っておくのが現実的です。キャッシュが効けば入力単価は下がります(Grok 4.6/4.7で$0.50)。

定額か従量課金かで総額の見え方は大きく変わります。比べる相手としてはClaude Code 料金プランも参考になります。

Claude Code・Cursor・Codex CLIとの違い

Grok Buildは「ソースが公開されたCLI」「サブエージェントの同時実行数を大きく取れる」「Claude Codeの設定をそのまま読める」点が特徴です。 一方、サブスクの利用枠が公開されていないこと、7月にデータ送信の問題を起こしたことは、他ツールと比べるときの弱みになります。

比較項目

Grok Build

Claude Code

OpenAI Codex CLI

Gemini CLI

Cursor

提供元

SpaceXAI(旧xAI)

Anthropic

OpenAI

Google

Anysphere

形態

CLI(TUI)+ACPでエディタ連携

CLI+IDE拡張など

CLI

CLI

IDE

ソース公開

あり(Apache 2.0、外部PRは不可)

なし

あり(Apache 2.0)

あり(Apache 2.0)

なし

主なモデル

Grok 4.6/4.7系

Claude系

GPT系

Gemini系

複数社から選択

料金の入口

SpaceXAIのサブスク or API

Claudeの有料プラン or API

ChatGPTの有料プラン or API

無料枠あり+API

無料枠あり+有料プラン

Claude Codeの設定の読み込み

あり(CLAUDE.md・.claude/rules・settings.json)

—

なし(AGENTS.md)

なし

.cursor/rules が中心

※他ツールの料金・機能は頻繁に変わります。導入前に各公式サイトで最新情報を確認してください。

選び分けの目安は次のとおりです。

  • Claude Codeの設定資産を活かしながら別のモデルも試したい → Grok Build。CLAUDE.mdや .claude/rules/ をそのまま読むため、試すときの手間が小さい
  • 大規模なリポジトリを一度に読ませたい → 100万トークン級のモデルを使えるClaude CodeやGemini CLIを先に検討する
  • エディタの中で完結させたい → IDE型のCursor
  • データの扱いや実績を最優先したい → 企業向けの運用情報が多いClaude Codeなど

各ツールの詳細はOpenAI Codexとは、Gemini CLIとは、OpenCodeとはで解説しています。なお、Grok Buildの bash・edit などのツールはOpenCodeから、apply_patch などはOpenAI Codexから移植されたことがライセンス表記に明記されています。CLI型とIDE型の違いはCursor vs Claude Codeでも掘り下げています。

セキュリティ・運用上の注意点

Grok Build公式ドキュメントの権限設定ページのOGP画像

出典: xAI Docs — Grok Build Permissions

最大の注意点は2026年7月に起きたコードのアップロード問題です。 現在は止まっていて、公開ソースでも無効化を確認できますが、7月以前に使った人は確認と対処をしておくべきです。

2026年7月のアップロード騒動とその後

2026年7月12日、研究者がv0.2.93の通信を解析し、次の問題を公表しました。

  • 作業中のリポジトリ全体がGit履歴ごとGoogle Cloud Storageへ送られていた(12GBの試験用リポジトリで約5.1GB。モデルとのやり取りそのものは約192KB)
  • 「読まないで」と指示したファイルや、.env の秘密情報もマスクされずに含まれていた
  • 学習利用をオフにする設定(Improve the model)を切っても送信は止まらなかった

SpaceXAIは7月13日にサーバー側の設定で送信を止め、マスク氏はアップロード済みデータを削除すると投稿しました。7月15日には全ソースが公開され、旧アップロード処理は常にエラーを返すよう無効化されていることが外部の開発者により確認されています。その後、データ保持を既定でオフにすると表明したと報じられています。

ただし、正式なセキュリティ勧告は出ておらず、削除がどの範囲で完了したかの公式説明も確認できていません。

いま確認・設定しておくこと

  • 7月以前に使った場合: /privacy でデータ保持の状態と削除を確認し、作業したリポジトリに含まれていたAPIキーやトークンを再発行(ローテーション)する
  • サンドボックスを有効にする: サンドボックスは既定でオフ。grok --sandbox workspace で書き込み先を制限し、独自プロファイルで **/.env・**/*.pem などを読み書きとも拒否する(Linuxでは bubblewrap が必要)
  • 確認を省略するときはdenyを併用: CIで --always-approve を使う場合は、--deny 'Bash(rm -rf *)' のように危険な操作を拒否するルールを付ける。denyは自動承認より優先される
  • 送信の設定を確認: トレース送信は [telemetry] trace_upload で制御できる。自社の監視基盤へのOpenTelemetry送信は /privacy では止まらないため、別に確認する
  • ローカルの履歴: 会話の履歴は ~/.grok/ に保存される

AIエージェントの権限設定を誤ったときの影響は、AIエージェントがデータを全削除した事故まとめが参考になります。AIコーディング全般のリスクはAIコーディングのセキュリティリスクとはで整理しています。

企業で導入するときの管理機能

企業向けには、次の管理機能が公式に用意されています。

機能

内容

ZDR(ゼロデータ保持)

チーム単位で有効にでき、プロンプト・コード・応答を推論側で保存しない

SSO

OIDCによるシングルサインオン

設定の固定

requirements.toml で設定を固定し、個人の設定やサーバー側の設定で上書きさせない

確認省略の禁止

always-approveモードを使えないようにする

認証の制限

APIキー認証の禁止、ログインできるチームの制限

通信先

cli-chat-proxy.grok.com と auth.x.ai(443番・TLS 1.2以上)を許可すれば動く

社内の開発フローや業務システムにこうしたAIエージェントやモデルを組み込むときは、データの通り道と費用を先に見積もっておく必要があります。進め方と費用の目安は既存システムにAIを組み込む方法にまとめています。

こんな方におすすめ

Grok Buildの導入が向いているケース:

  • Claude Codeを使っていて、別のモデルも試したい開発者: CLAUDE.mdや .claude/rules/ をそのまま読むため、設定を作り直さずに比べられる
  • 調査・実装・レビューを分担させたいチーム: サブエージェントの同時実行数を大きく取れ、/goal は複数のレビュー役の合意で完了を判定する
  • CLIのソースを読んで挙動を確かめたい人: Apache 2.0で公開されており、通信や権限の処理をコードで確認できる
  • SuperGrokなどを既に契約している人: 追加の費用なしで試せる可能性がある(対応プランは公式で確認)

おすすめしない方

現時点では他ツールを優先したほうがよいケース:

  • 機密性の高いコードを、管理体制を整えずに扱う人: 7月の騒動の経緯を踏まえ、ZDR・サンドボックス・deny設定を整えてから使う方が安全
  • 100万トークン級のコンテキストが必要な人: 既定モデルは50万トークン
  • 月の利用量を事前に正確に見積もりたい人: サブスクの利用枠は数値が公開されていない
  • Arena Modeが主な目的の人: 公式には提供されていない
  • 公式ベンチマークで比べて選びたい人: Grok Buildとしての公式スコアは確認できない

Grok Buildで試作したツールを、社内の実データや既存システムにつないで業務で使う段階では、権限・ログ・テストの設計が別に必要になります。この段階を外部に頼む場合の範囲と進め方は、AI受託開発・AIシステム開発のページで紹介しています。

よくある質問(FAQ)

Q. Grok Buildは無料で使えますか?

CLI自体はオープンソースで無料でインストールできます。ただしモデルを動かすにはSpaceXAIの有料サブスクかAPIキー(従量課金)が必要です。無料プランで使えるとする記事もありますが、チャット上のGrok Build Modeと混同している可能性があり、公式では確認できていません。

Q. 「8 parallel agents」で最大8本まで動かせるという情報は正しいですか?

2026年2月のリーク報道と初期ベータ時点の数字です。現在の公開ソースではサブエージェントの同時実行数の既定値は32で、設定や環境変数で変えられます。ただしサーバー側の設定でも変わるため、実際の上限はアカウントによって異なる可能性があります。

Q. Arena Modeは今後提供されますか?

提供予定を示す公式の発表はありません。2026年10月時点で、公式ドキュメントにも公開ソースにも機能は存在しないため、「近く使える」と見込んで導入を決めるのは避けた方が無難です。

Q. 7月以前にGrok Buildを使っていました。何をすればよいですか?

/privacy でデータ保持の状態を確認し、削除を申請・確認してください。あわせて、そのとき作業したリポジトリにコミットされていたAPIキー・トークン・パスワードは再発行をおすすめします。送信は7月13日に止まっていますが、削除の範囲について公式の説明は確認できていません。

Q. Claude Codeから乗り換えるとき、設定は作り直しになりますか?

多くはそのまま使えます。CLAUDE.md・.claude/rules/・.claude/settings.json の権限設定を読み込み、/import-claude で取り込み画面も開けます。ただしスキルやMCPの細かい挙動は環境ごとに違うため、grok inspect で読み込み結果を確認してから使い始めてください。

Q. grok-code-fast-1はまだ使えますか?

現在の公式モデル一覧には載っていません。コーディング用途でAPIから使うなら grok-build-0.1(入力$1・出力$2)、Grok Buildの既定ではGrok 4.6/4.7系が使われます。

まとめ

Grok Buildは、SpaceXAI(旧xAI)がオープンソースで提供するターミナル型のAIコーディングエージェントです。2026年8月にv1.0となり、既定モデルはGrok 4.6/4.7系(50万トークン)に移りました。

2026年10月時点では、よく話題になる2つの機能のうち「8並列」は初期の数字で、現行の既定は32本です。「Arena Mode」は公式には提供されていません。強みはClaude Codeの設定をそのまま読める手軽さと、サブエージェントによる分担・検証の仕組みです。一方で、7月のアップロード騒動、サブスク利用枠の不透明さ、公式ベンチマークの不在は導入前に確認しておくべき点です。

試すなら、まず --sandbox workspace と deny ルールを設定し、/privacy でデータの扱いを確認してから小さなタスクで比べてみてください。料金と対応プランは変わりやすいため、最終的な判断は公式の x.ai・docs.x.ai で確認しましょう。

AIエージェントの基本はAIエージェントとは、ツール全体の選び方はAIコーディングツール おすすめ比較で整理しています。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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