AIツール2026年9月更新

Claude Fable 5.1が370年未解読の暗号を44分で解読|Cyphral Distichの解き方・AIの自律研究能力と限界を解説【2026年9月】

公開日: 2026/09/16
Claude Fable 5.1が370年未解読の暗号を44分で解読|Cyphral Distichの解き方・AIの自律研究能力と限界を解説【2026年9月】

この記事のポイント

AI評価企業Vals AIは、Claude Fable 5.1が約370年解けなかった暗号「Cyphral Distich」を44分で解いたと発表しました。解き方、翌日に出た反論、AIの自律研究でできたこと・できないこと、料金と使えるプランまで2026年9月時点の情報でまとめます。

AI評価企業のVals AIは2026年8月31日、Claude Fable 5.1が1653年の書籍に載っていたとされる未解読暗号「Cyphral Distich(暗号二行詩)」を44分・約17.6万トークンで解いたと発表しました。ただし翌日には「そもそも原本に暗号が載っていない」「提案された規則では成立しない箇所がある」という反論がGitHubで公開されており、2026年9月17日時点では専門家による決着はついていません

AIニュースを正確に把握したい方、Claude Fable 5.1を研究・調査業務に使うか検討している方、「AIが暗号を解いた」と聞いてセキュリティ面が気になった方に向けて、解き方・反論・AIの自律研究の限界・料金を整理します。

なお、今回の検証を行ったのはAnthropicではなくVals AIです。Anthropicの公式発表ページに暗号解読の話は出てきません。Fable 5.1のモデル仕様についてはClaude Fable 5.1とは?で詳しく扱っています。

「解読したと発表」は事実、「解読が確定」とはまだ言えない

論点

2026年9月17日時点の状況

発表したのは誰?

AI評価企業のVals AI(Anthropic公式の発表ではない)

何をしたと主張?

Claude Fable 5.1が暗号二行詩(64個の数字)を44分・約17.6万トークンで解読

人の関与は?

解読作業中の口出しはゼロ。ただし課題を選ぶ段階で人による励ましや誘導はあった

解き方は?

同じ本の中にある32個の番号付き章句を鍵に使う「書籍暗号(ブックサイファー)」だったとする

反論は?

Reticuli Labsが「1653年版の原本に暗号がない」「10か所で規則が成立しない」と反論

決着は?

未決着。所蔵本ごとの違いを指摘する再反論もあり、歴史暗号の専門家による独立した検証は確認できていない

現代暗号への影響は?

なし。鍵が本文にある古典的な暗号の話で、AESなどの現代暗号が破られたわけではない

ここで押さえておきたいのは、「AIが仮説を立てて資料を横断し、筋の通る答えを短時間で出した」ことと「その答えが歴史的に正しいと証明された」ことは別の話だという点です。

何が起きたのか:Vals AIの発表と反論の時系列

AI評価企業Vals AIのロゴ

出典: Vals AI 公式

Vals AIの研究者が、一般提供前のClaude Fable 5.1に未解読暗号への挑戦を任せ、その過程と結果をブログで公開したのが発端です。一般提供は翌9月1日なので、事前アクセスでの検証だったと考えられます(実施日はVals AIの記事に書かれていません)。

発表の要点

Vals AIの発表記事によると、条件は次のとおりです。

項目

内容

対象

Cyphral Distich(64個の数字)、追加で Cyphral Octastich(285個の数字)

モデル

Claude Fable 5.1

所要時間

44分

消費トークン

約176,000

コスト

非公開

作業中の人の介入

ゼロ(zero interjections)

事前の人の関与

励ましや、Kryptos K4のような難しすぎる課題を避けるよう促す誘導あり

使った資料

サブエージェントがGoogle Books、HathiTrust、Internet Archive、スコットランド国立図書館の資料を検索・照合

「人間ゼロで自律的に解いた」と紹介されることもありますが、正確には「課題の方向づけは人間、解読作業そのものはAI」です。

時系列

日付

出来事

1653年

サー・トマス・アーカートの著書『Logopandecteision』に暗号が載っていたとされる

1899年

未解決の問題として紹介される

2014年11月

歴史暗号研究家Klaus Schmehがブログで「この暗号二行詩を解けるのは誰か」と紹介

2026年8月31日

Vals AIが「Claude Fable 5.1がCyphral Distichを解いた」と公開

2026年9月1日

AnthropicがClaude Fable 5.1 / Mythos 5.1を発表し、一般提供を開始

2026年9月1日

Reticuli LabsがGitHubで反論を公開

2026年9月2〜3日

海外テック系メディアで報道が広がる

2026年9月9日

セキュリティ専門家Bruce Schneierが自身のブログで取り上げる(結果の正確性に不確かさがある旨の注記付き)

2026年9月13〜14日

日本語を含む二次報道が増える

2026年9月17日時点

専門家による決定的な独立検証は確認できず、論争は続いている

「370年」は1653年を起点にした表現です。2026年から数えると正確には約373年ですが、報道では「370年」「373年」の両方が使われています。

Cyphral Distich(暗号二行詩)とはどんな暗号か

書籍暗号のイメージとなる開かれた古書

Cyphral Distichは、17世紀スコットランドの著述家サー・トマス・アーカート(Sir Thomas Urquhart)の著書に載っていたとされる、2行×32個=計64個の数字だけでできた暗号です。

作者と掲載元

  • 作者: サー・トマス・アーカート。清教徒革命期にステュアート朝を支持した王党派の人物
  • 掲載元とされる本: 『Logopandecteision(ロゴパンデクテイシオン)』(1653年)。独自の人工言語の構想をうたいつつ、債権者やスコットランド教会への批判も多く含む風変わりな本
  • 形式: 数字が1行に32個、2行で64個並ぶ
  • 知名度: 歴史暗号研究家Klaus Schmehがまとめた「未解読暗号トップ50」に入っていた

なぜ370年も解けなかったのか

Vals AIの説明によれば、最大の理由は解読の鍵が「文字の置き換え表」ではなく「本の文章そのもの」だったためです。

一般的な古典暗号の解き方である頻度分析(英語で多いEやTに当たる記号を探す方法)は、アルファベットを別の記号に置き換える換字式暗号にしか効きません。数字が「どの文章の何番目の単語か」を指す書籍暗号では、同じ数字が毎回違う文字を表すため、頻度分析はほぼ役に立ちません。鍵になる本が特定できなければ、数字列だけを眺めていても手がかりがないのです。

もう一つ、海外の解説記事やHacker Newsでは「そもそもこの暗号に長時間取り組んだ人が少なかったのでは」という見方も出ています。難解な古書を何日も読み込む人手が足りなかった、という仮説です。

Claude Fable 5.1の解き方をステップで解説

Claude Fable 5.1とMythos 5.1の公式発表画像

出典: Anthropic 公式

Vals AIの説明では、Fable 5.1は本文中の2つの手がかりから「同じ本の32個の章句が鍵だ」と見抜き、規則を当てはめて平文を取り出したとされています。

ステップ1:本文にある「32」へのこだわりに気づく

アーカートは本文で「32という数ほどふさわしい数はない」という趣旨のことを書いており、32を特別扱いしています。暗号の1行も32個の数字です。

ステップ2:添えられた詩の予告を読む

暗号に添えられた詩では、読者はそこに「自分の心の願いと、著者の心」を見出すだろう、と予告されています。つまり平文は著者の思想や願いを表す文だと推測できます。

ステップ3:32個の番号付き章句「Proquiritations」を鍵と見抜く

同じ本の中に、番号付きの章句「Proquiritations(プロクィリテーション、嘆願・宣言の文)」がちょうど32個あります。暗号の1行あたりの数字と同じ数です。Fable 5.1はここを鍵だと判断しました。

ステップ4:規則を当てはめる

Vals AIが示した規則は次のとおりです。

手順

やること

具体例(イメージ)

1

暗号の i 番目の数字を読む

11番目の数字が「5」だとする

2

i 番目のProquiritationを開く

11番目のProquiritationを開く

3

その数字番目の単語を探す

その章句の5番目の単語を探す

4

単語の頭文字を取る

単語が「King…」なら「K」

※具体例の数字は仕組みを説明するための仮の値です。

身近な例でいえば、「友人と同じ本を持っていて、『3ページ目の7番目の単語』の頭文字を並べて秘密のメッセージを送る」やり方と同じ発想です。

ステップ5:出てきた平文

この規則で取り出された文字列は、次の2行だったとされます。

O GOD UPHOLD KING CHARLS THE SECOND AND

MAKE HIM THE SUPREME RULER OF THIS LAND

和訳すると「おお神よ、国王チャールズ2世を支え、この国の至高の統治者とならしめたまえ」という祈りの文です(CHARLSは当時の綴り)。

ステップ6:答えの妥当性を自分で確かめる

Fable 5.1は、出てきた文が正しそうかを次の3点で確認したと説明されています。

  • 文字数: 空白を除いて各行ちょうど32文字で、暗号の数字の数と一致する
  • : 行末がAND / LANDで韻を踏み、「二行詩(distich)」という名前と合う
  • 内容: 王党派だったアーカートの立場と矛盾しない

ランダムな規則でここまで整った英文が出る可能性は低いため、説得力のある傍証ではあります。ただし、文として整っていることだけでは「正しい」証明にはなりません。反論側もまさにこの点を突いています。

もう1つの暗号「Cyphral Octastich(暗号八行詩)」も解いたと発表

Vals AIは続けて、アーカートの1652年の著書『The Jewel(Ekskybalauron)』にある285個の数字の暗号八行詩も同じ発想で解いたと発表しています。ただしこちらは、Vals AI自身が未解決の部分と検証の限界を明記しています。

項目

内容

暗号の長さ

285個の数字

規則

k番目の数字は本のkページ目を指し、そのページの該当する単語の頭文字を取る(本は番号付き284ページ)

平文

8行の王党派の祈り(ABABABCCの韻を踏むottava rima形式)+「AMEN, SO BE IT」

一致率

読める275か所のうち231か所が完全一致。残り44か所は転写の問題で1〜3語ずれる

未解決の点

5行目の9文字が意味の通る語にならない/159番目以降でページが1つずれる/IRISHがI-R-S-Hになる

検証の限界

1652年版の無料のページ画像がなく、実物か1983年の刊行版での確認が必要

平文の書き出しは「GREAT LORD, MANTAINE THAT REGAL FAMILIE / WHEREOF KING CHARLS THE SECOND IS THE HEAD」で、二行詩と同じく国王チャールズ2世への祈りになっています。

8割を超える一致率は偶然では説明しにくい一方、Vals AIが「資料が手に入らない部分は確認できていない」と正直に書いている点は、今回の件を評価するうえで重要です。

「本当に解けたのか?」反論と論点の整理

反論を公開したReticuli LabsのGitHubリポジトリ

出典: Reticuli Labs GitHub 公式

発表の翌日、Reticuli LabsがGitHubで反論資料を公開しました。要点は「1653年版の原本に暗号が見当たらない」「規則を当てはめると成立しない箇所がある」の2つです。

Reticuli Labsの3つの指摘

指摘1:1653年版に暗号そのものがない

大英図書館所蔵の1653年版マイクロフィルムと、その転写データ(EEBO-TCP)を確認したところ、Proquiritationsの30〜32番の後は印刷装飾、エピグラフ、「FINIS」、正誤表で終わっており、暗号は載っていないとしています。

指摘2:10か所で規則が成り立たない

提案された規則で必要な文字を探すと、該当する章句にその文字で始まる単語が存在しない位置が10か所あると指摘しています。例として挙げられているのが「KING」のK(11番目の文字)で、11番目のProquiritationは80語あるものの、Kで始まる単語が1つもないとしています。

指摘3:規則を変えても偶然レベルの一致しかしない

単語の区切り方、数え始めの位置、文字の取り方などを変えた65通りの方法を試しても、64文字中最大8文字しか一致せず、偶然と同程度だったと報告しています。

さらに、暗号の数字列は1899年のアーカートの伝記に由来するもので、元の出典が確立していないとも指摘しています。報道によれば、Vals AIが参照したのは1834年に刊行された版だとされています。

一方でReticuli Labsも、数字列そのもの、アーカートの引用、八行詩に関する『The Jewel』が番号付き284ページであることなどは正しいと認めています。

再反論:「所蔵本によって違うのでは」

反論に対しては、「印刷した時期や所蔵本によって暗号のページがあったりなかったりするだけで、大英図書館の1冊にないことは暗号がないことの証明にならない」という再反論もあります。Schneierのブログのコメント欄や一部の海外記事では、スコットランド国立図書館の所蔵本には暗号のページがあるという主張も出ています。

ただしこれらはコメントや二次報道が中心で、一次資料は確認できていません。17世紀の本は同じ版でも刷りによって中身が違うことがあるため、どちらの主張もあり得る状況です。

主張・反論・再反論の比較

論点

Vals AI(解読を主張)

Reticuli Labs(反論)

再反論・未確認点

暗号の出典

アーカートの著書に載っている暗号

1653年版の原本(大英図書館)に暗号はない。数字列は1899年の伝記由来

他の所蔵本には暗号ページがあるとの主張あり(一次資料は未確認)

同書の32個のProquiritations

章句自体は存在するが、規則は成立しない

参照した版(1834年版)の本文と原本の本文が違う可能性

規則の妥当性

64文字すべてで意味の通る2行詩になる

10か所で必要な頭文字の単語がない。65通り試しても8/64

どの版の本文で数えるかで結果が変わる可能性

傍証

各行32文字、韻、王党派の内容

内部で整合していても正しさの証明にならない

専門家の検証

Vals AIによる自己検証

反論側の検証

歴史暗号の専門家による独立した検証は未確認

どう受け止めるべきか

2026年9月時点では、「AIが提案した解読案が有力な候補として出され、その正しさを巡って議論中」と受け止めるのが妥当です。海外メディアのLet's Data Scienceも「提案された解(proposed solution)」と表現し、発見は評価を行った企業自身から出ていると指摘しています。

最終的な決着には、暗号ページがある所蔵本を実際に確かめ、その版の本文で規則を再現できるかを書誌学・歴史暗号の専門家が確認する必要があります。

今回わかったAIの自律研究能力と限界

解読が正しいかどうかとは別に、今回の件は「AIエージェントに調査を丸ごと任せたとき、何ができて何ができないか」を示す例になっています。

できたこと・できなかったことの整理

観点

AIができたこと

AIだけではできなかったこと

仮説づくり

本文の「32」へのこだわりと章句の数を結びつけ、書籍暗号という仮説を立てた

仮説が歴史的に正しいかの確定

資料探し

サブエージェントで複数のデジタルアーカイブを横断検索・照合

デジタル化されていない原本や、所蔵本ごとの違いの確認

自己検証

文字数・韻・内容の整合性をチェックし、未解決の点も記録

「整合している」と「正しい」の区別(外部の独立検証)

スピード

44分・約17.6万トークンで答えの候補と手順を出力

答えを検証する作業の短縮(検証のほうが時間がかかる)

自律性

作業中は人の介入なしで完走

課題選びの段階での判断(人が難しすぎる課題を避けるよう誘導)

限界1:資料が本物かどうかはAIには保証できない

今回の論争の中心は暗号の解き方ではなく、「そもそもその暗号が原本に載っていたのか」です。AIは手に入ったテキストの範囲で筋の通る答えを出しますが、どの版のどの所蔵本を使ったか、その資料が信頼できるかという確認は、人間の専門的な検証に頼るしかありません

限界2:「もっともらしい」と「正しい」は違う

32文字・韻・内容という整合性は強い傍証ですが、反論側は規則が成り立たない位置を具体的に示しています。AIが出した答えが整って見えるほど、人間は検証を省きたくなるので注意が必要です。

限界3:学習データに答えのヒントがあった可能性

Hacker Newsなどでは「あらゆる本を学習したモデルに書籍暗号を渡した」「2014年のブログのコメントで既に書籍暗号説が出ていた」という指摘もあります。これらはコミュニティの意見で事実として認定されたものではありませんが、AIの成果を評価するときは「ゼロから発見したのか、既存の手がかりを組み合わせたのか」も考える必要があります。

限界4:検証のコストは下がっていない

エンジニア視点で書かれた海外の解説記事(neoteric.no)では、今回の価値は暗号を解く力そのものより「問題を調べ、無理な課題を避け、成果を体系的に記録する」エージェントとしての能力にあると評価したうえで、答えを出すコストより検証するコストのほうが大きくなっていると指摘しています。AIの調査スピードが上がるほど、人間側の検証が追いつかなくなる構図です。

Anthropic公式が示す「長時間自律作業」の事例

暗号の件はAnthropicの発表に含まれていませんが、Anthropicの発表ページではFable 5.1 / Mythos 5.1による長時間の自律研究の例が紹介されています。

事例

内容

タンパク質設計

Mythos 5.1が12の標的でヒット率ほぼ50%(通常は10〜15%程度)

モデルの高速化

オープンソースの深層学習モデル7つを最大2.5倍高速化

無人での長時間実行

機械学習の課題で38時間連続で無人実行し、過去の結果の問題を診断

公式ドキュメントでも、Fable 5.1の向上領域として「マルチステップのウェブリサーチ」や「発見を追跡するディープリサーチの精度向上」が挙げられています。報道によれば、科学系の長時間タスクを測るTerminal-Bench-Science 0.1のスコアは、Fable 5が24.7%、Opus 5が29.0%のところ、Fable 5.1は52.6%とされています(公式ドキュメントには数値の記載がないため、報道ベースの値です)。

暗号の件は、こうした「長く自律的に調べ続ける能力」が歴史研究でも使われた例と位置づけられます。他社の自律リサーチ機能についてはDeep Research Maxとは、AIエージェント全般についてはAIエージェントとはで解説しています。

AIが暗号を解いたら、現代のパスワードや暗号は危ない?

セキュリティを表す金色の南京錠

今回の件で現代の暗号やパスワードが危なくなったわけではありません

今回扱われたのは、17世紀の本の文章を鍵にした書籍暗号です。鍵が「どこかの本の本文」にあるため、その本を見つけて規則を推測できれば解けます。いわば謎解きに近い問題です。

一方、Webの通信やパスワード保存に使われるAESやRSA、ハッシュ関数などの現代暗号は、鍵を知らなければ現実的な時間では解けないように設計されています。今回のような「資料を探して推理する」タイプの能力で破られる性質のものではありません。

比較項目

今回の暗号(書籍暗号)

現代暗号(AESなど)

鍵のありか

公開されている本の本文

利用者だけが持つランダムな秘密鍵

解くために必要なもの

鍵になる本の特定と規則の推理

鍵そのもの(総当たりは現実的に不可能な設計)

今回のAIの成果との関係

直接関係する

関係しない

なお、AIを使って現代暗号の安全性を研究する取り組み自体は別に存在します。耐量子署名方式への新しい攻撃の話題はClaude MythosによるHAWK暗号の新攻撃で扱っています。今回の暗号二行詩の件とは別のテーマとして区別してください。

Claude Fable 5.1の料金と使えるプラン

Claudeの料金プランページの公式画像

出典: Claude 公式サイト

Claude Fable 5.1は、APIでは入力100万トークンあたり10ドル・出力50ドルで、Anthropicのモデルの中では高価な部類です。claude.aiではMaxプランなら追加料金なしで一定量まで使えますが、Proプランでは使用量クレジットが必要です。

API料金(公式ドキュメント、100万トークンあたり)

項目

Claude Fable 5.1

Claude Opus 5

Claude Sonnet 5

入力

$10

$5

$2

出力

$50

$25

$10

キャッシュ読み取り

$0.25

入力の0.1倍

入力の0.1倍

バッチ処理

入力$5 / 出力$25

Fable 5.1ではキャッシュ読み取りがFable 5の1.00ドルから0.25ドルに下がりました。長い資料を繰り返し読み込ませるリサーチ系の作業では、この値下げが効いてきます。

44分・約17.6万トークンはいくらかかった?

Vals AIはコストを公開していません。参考までに公式の料金表で単純計算すると、次のようになります。

  • 17.6万トークンがすべて入力だった場合:約1.76ドル
  • 17.6万トークンがすべて出力だった場合:約8.8ドル

実際は入力・出力・キャッシュの内訳が不明で、サブエージェント分が含まれているかもわかりません。このため、数ドル〜十数ドル程度が一つの目安と考えるのが無難です。「370年解けなかった問題の解読案が数ドル程度で出てくる」というコスト感は、研究用途での使い方を考えるうえで参考になります。

プラン別の使える範囲(Anthropic Help Center、2026年9月17日確認)

プラン

Fable 5.1の扱い

Max / Team・Enterpriseのプレミアムシート

週ごとの利用上限の最大50%まで追加料金なし

Pro / Team・Enterpriseの標準シート

プランの利用枠に含まれず、使用量クレジットが必要

従量課金型のEnterprise / Claude API

標準のAPI料金で課金

Fable 5で実施されていた無料プロモーションは、Fable 5.1の対象外です。プランごとの詳しい条件はClaude MaxプランとはClaude Fableの使用量クレジット、日本円での月額はClaudeの料金プラン解説を確認してください。

Opus 5との使い分け

Anthropicの公式ドキュメントは、ほとんどの作業はまずClaude Opus 5から始め、高度な推論や長時間のエージェント作業が必要な場合にFable 5.1を使うよう推奨しています。Fable 5.1は応答速度も遅めです。日常的な調べ物や文章作成ならOpus 5で十分なことが多く、今回のような「数十分〜数時間かけて自律的に調べ続ける」用途でFable 5.1を選ぶ、という考え方が基本になります。比較の詳細はClaude Opus 5とFable 5の違い、他社モデルとの比較はGPT-6 AstraとClaude Fable 5.1の比較で解説しています。

AIに調査・研究を任せるときの注意点

今回の論争から得られる教訓は、AIの調査結果は「有力な仮説」として受け取り、一次資料の確認は人間が行うということです。Fable 5.1の公式ドキュメントにも、調査用途で気をつけるべき挙動が書かれています。

公式ドキュメントに書かれている注意すべき挙動

公式に記載された挙動

調査・研究での影響

対策

effortが低いと、検索せず記憶から答えがち

最新情報や原典を確認しないまま答える

調査タスクではeffortを上げ、検索と出典提示を明示的に指示する

要約時に、明示せず原文を引用しがち

引用と要約の区別がつかず、剽窃のリスク

引用箇所には出典と引用である旨を付けるよう指示する

並列ツール呼び出しの振る舞いにばらつきがある

調べる範囲が実行ごとに変わる

調べるべき資料・データベースを指定する

応答が遅め

短い質問には向かない

軽い調べ物はOpus 5などを使う

業務で使う前に確認したいセキュリティ面

  • データ保持: 公式ドキュメント上、Fable 5.1 / Mythos 5.1には30日間のデータ保持が適用され、Anthropicが明示的に許可しない限りゼロデータ保持(ZDR)は使えません。企業向けの別の保護措置で対応できる場合もあるため、契約条件を確認してください。詳しくはClaude Fableのデータ保持と企業利用を参照してください
  • 安全性分類器: 危険と判定された依頼は拒否されます。報道によれば、Fable 5.1ではサイバーセキュリティ関連の誤検知による介入が約60%減ったとされています。分類器の考え方はClaude Fable 5の生物学分野の安全対策でも触れています
  • エージェントの権限管理: 長時間の自律作業では、アクセスできるファイルや外部サービスを必要最小限に絞ることが基本です。AIエージェントのセキュリティ対策ガイドもあわせて確認してください

AIに調査を任せるときのチェックリスト

  1. 目的と「解けないなら撤退してよい」条件を最初に伝えたか
  2. 使った資料の版・所蔵先・URLを記録させたか
  3. 答えの根拠と、確認できていない点を分けて出力させたか
  4. 一次資料(原本・公式情報)を人間が照合したか
  5. 結論を公開する前に、分野の専門家や第三者のレビューを受けたか

こんな人・用途におすすめ

  • 大量の文献やデータを横断して、仮説の候補を短時間で洗い出したい研究者・リサーチ担当者
  • 数十分〜数時間かかる調査や分析を、人の手を離れて進めてほしい人
  • AIの出した答えを自分で検証できる専門知識や、検証する時間・体制がある人
  • Maxプランを契約している、またはAPIの従量課金を許容できる人

おすすめしない人・用途

  • AIの結論をそのまま事実として公開・報告したい人
  • 原本や一次資料にアクセスできず、答えの裏取りができない調査
  • 短い質問や日常的な文章作成が中心の人(Opus 5などで十分なことが多い)
  • 機密データを扱い、ゼロデータ保持が必須条件になっている業務(契約で対応できるか要確認)

よくある質問

Q. Anthropicが暗号解読を発表したのですか?

いいえ。発表したのはAIモデルの評価を行う企業Vals AIです。Anthropicの公式発表ページやドキュメントに暗号解読の話は出てきません。「Anthropicが解読した」と書いている記事もありますが、正確ではありません。

Q. 暗号は正しく解読されたと考えてよいですか?

2026年9月17日時点では確定していません。Vals AIの解読案は文字数や韻が整っていて説得力がありますが、Reticuli Labsが原本に暗号がない点や規則が成り立たない箇所を指摘しています。所蔵本の違いによる再反論もあり、専門家による独立した検証を待つ段階です。

Q. Claude Fable 5.1は無料で試せますか?

現時点で、Anthropic Help Centerが案内しているのはMax・Pro・Team・Enterpriseの各プランとAPIでの利用方法で、無料プランで使えるという案内は確認できていません。Maxプランでは週ごとの上限の50%まで追加料金なしで使え、Proプランでは使用量クレジットの購入が必要です。Fable 5のときの無料プロモーションはFable 5.1には適用されません。

Q. 同じプロンプトを使えば自分でも暗号を解けますか?

Vals AIは課題の与え方の方向性(オープンな目標設定、励まし、難しすぎる課題を避ける誘導など)を説明していますが、使ったeffortの設定や実行環境、プロンプト全文は確認できていません。同じ結果が再現できるかは不明です。AIの出力は実行ごとに変わるため、同じ手順でも同じ答えにたどり着くとは限りません。

Q. Claude Opus 5やChatGPTなど、他のAIでも解けますか?

他のモデルで同じ課題に挑戦した比較結果は、2026年9月時点で確認できていません。どのモデルなら解けるかを判断する材料はまだありません。

Q. 歴史研究や学術研究でAIの成果をそのまま論文に使えますか?

そのまま使うのは避けるべきです。今回の件のように、AIの答えは参照した資料の版や質に左右されます。AIは仮説づくりや資料探しの補助として使い、原典の確認、引用の明示、専門家によるレビューを経てから成果として扱うのが安全です。

まとめ

  • Vals AIは、Claude Fable 5.1が約370年未解読だった暗号二行詩「Cyphral Distich」を44分・約17.6万トークンで解いたと発表した。Anthropic公式の発表ではない
  • 解き方は、同じ本にある32個の番号付き章句を鍵に「i番目の数字→i番目の章句→その数字番目の単語→頭文字」を取る書籍暗号だったとされる
  • 平文は「O GOD UPHOLD KING CHARLS THE SECOND AND / MAKE HIM THE SUPREME RULER OF THIS LAND」という王党派の祈りで、文字数や韻が整っている
  • 一方、Reticuli Labsは「1653年版の原本に暗号がない」「10か所で規則が成立しない」と反論しており、2026年9月時点で決着はついていない
  • 今回の件は、AIが仮説づくり・資料横断・自己検証を短時間でこなせることを示した一方、資料の真正性の確認や独立した検証はまだ人間の役割だとわかる例になった
  • 書籍暗号の話であり、AESなどの現代暗号やパスワードの安全性には影響しない
  • Fable 5.1はAPIで入力10ドル・出力50ドル(100万トークンあたり)。Maxプランなら週ごとの上限の50%まで追加料金なしで使える。多くの作業はまずOpus 5から試すのが公式の推奨

Claude Fable 5.1の機能や変更点を詳しく知りたい方はClaude Fable 5.1とは?、Claude全体の特徴はClaudeとはをご覧ください。

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