ビジネス活用2026年10月更新

RPAが動かない原因と対処法|直し続けるか、AIエージェントに乗り換えるかの判断基準【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/02
更新日: 2026/10/14
RPAが動かない原因と対処法|直し続けるか、AIエージェントに乗り換えるかの判断基準【2026年9月最新】

この記事のポイント

RPAが動かない原因は「画面・帳票・手順の変更」と「直せる人の不在」に集約されます。原因の切り分け、直し続ける維持費の計算式、RPAのまま直す・作り直す・業務の仕組みごと置き換えるの判断表と、開発費の回収期間の試算を解説します。

RPAが動かなくなる原因の大半は、「操作する画面・帳票・手順が変わった」か「直せる人がいなくなった」のどちらかです。前者が月に何度も起きているなら、直し続けるための費用(ライセンス+復旧の人件費。この記事の仮定に基づく試算では月20万円前後)を払い続けるより、業務の流れごと作り直したほうが安くなる場合があります。分かれ目は、今の維持費との差額で作り直しの開発費を何ヶ月で回収できるかです。

この記事では、まず目の前のロボットを直すための原因の切り分けを短くまとめ、そのうえで「直し続ける・作り直す・業務の仕組みごと置き換える(システム連携の開発やAIエージェント)」の3つをどう選ぶかを、金額と判断表で示します。RPAを全部やめるべきだという話ではありません。直せば済むケース、RPAのままでよいケースも書きます。

RPAが動かない原因は5つ|「起動しない」と「途中で止まる」を分ける

Windows 11の公式イメージ。OSの更新や移行など環境の変化はRPAが動かない原因の1つ

出典: Microsoft Windows 11 公式サイト

現場で「RPAが動かない」と言うとき、実際には2つの状態が混ざっています。

  • 起動しない:ロボット自体が立ち上がらない、決まった時刻に実行が始まらない。ライセンスの期限切れ、パソコンの再起動でログインが外れた、実行用のパソコンがスリープしていた、といった理由が考えられ、設定の見直しで直る場合がある
  • 途中で止まる:処理の途中でエラーになって停止する。操作する画面やデータの形が変わったことが原因で、ロボットの中身に手を入れる必要がある

厄介なのは後者です。日立ソリューションズ、NTT-AT、EzRobotなどRPAベンダーの公式コラムが挙げる原因を整理すると、次の5つに分かれます。

原因

現場で起きていること

典型例

直す難易度

① パソコンやソフトの環境が変わった

Windows Update後に動かない、ウイルス対策ソフトがロボットをブロックした、ブラウザが更新された

自動更新の後、月曜の朝に止まっている

低(設定の見直しで直る)

② 操作する画面が変わった

業務システムやWebサイトのボタンの位置・項目名が変わり、ロボットが「押す場所」を見失う

取引先の受注サイトがリニューアルした

中(該当箇所を作り直す)

③ 扱うデータの形が変わった

Excel帳票に列が増えた、CSVの並び順が変わった、桁数が変わった

経理が帳票の書式を改訂した

中(該当箇所を作り直す)

④ ネットワーク・権限・パスワード

通信の遅延で待ちきれずに止まる、サーバーの保守時間と重なる、パスワードの定期変更で認証に失敗する

3ヶ月ごとのパスワード変更のたびに止まる

低〜中

⑤ ロボットの設計そのものの不備

想定外のケースの処理を書いていない、画面が表示されるまでの待ち時間が短すぎる

件数が多い月末だけ止まる

高(作った人がいないと手を出せない)

①と④は、自動更新の時間帯を業務時間外に固定する、ウイルス対策ソフトにロボットを例外登録する、パスワード変更日をカレンダーに入れておく、といった運用の工夫でかなり減らせます。まずここを確かめてください。

②③⑤は、ロボットの中身を直す作業です。ここで「直せる人が社内にいるか」が分かれ道になります。RPAベンダーのBizteXが2024年1〜2月に行った調査(RPA導入企業のIT担当者862名・ベンダー自社調査)では、RPAを一部の部門でだけ導入している422名に全社で導入していない理由を聞いたところ、「コストがかかる」(53.3%)に次いで「RPAのスキルを持った人材が一部の部門にしかいない」(47.4%)が挙がっています。同社が公開している失敗事例には「担当者の退職でメンテナンスが止まった」というものが含まれています。作った人が異動・退職していると、②③⑤は「直せない」に変わります。

「止まる」より怖いのは「間違ったまま動き続ける」こと

経営者の方に最も知っておいてほしいのは、RPAが指示の誤りを自分で検知できないことです。この点は、日立ソリューションズの公式コラムが指摘しています。帳票の列が1つずれても、エラーにならずに隣の列の数字をそのまま転記し続けることがあります。

止まってくれれば誰かが気づきます。止まらずに間違った集計結果が毎月の経営会議に上がるほうが、損失は大きくなります。作成者や用途が分からないまま動いている、いわゆる「野良ロボット」のリスクとして、KPMGや三菱総合研究所も同じ点を挙げています。動かないロボットを直すときは、「いつから、どの処理が、正しく動いていなかったか」の確認をセットで行ってください。

なぜ2026年はRPAが止まりやすいのか

NTT-ATのRPAツールWinActor Ver.7.7.0(AIヘルプ搭載・2026年9月1日販売開始)の公式告知画像

出典: WinActor(NTT-AT)公式サイト

「以前は年に1〜2回だったのに、最近やたら止まる」と感じているなら、気のせいではありません。2025年後半から2026年にかけて、RPAの動作環境が変わる出来事が重なっています。

出来事

時期

RPAへの影響

Windows 10のサポート終了

2025年10月14日(Microsoft公式)

Windows 11への移行が集中。パソコン上で動くRPAはOSが変わると全ロボットの再検証が必要になる。Excel操作のエラー、Outlookが起動しない、画面の読み取りがずれる、といった不具合が典型

Chromeの更新周期が4週間から2週間に短縮

2026年9月8日のChrome 153から(Google発表・2026年3月)

ブラウザを操作するタイプのRPAは、ブラウザ更新のたびに止まるリスクがある。更新頻度が倍になれば、遭遇する回数も単純計算で倍になる。更新間隔が8週間と長い法人向けの版(Extended Stable)への切り替えが現実的な対策

WinActor Ver.7.7.0にAIヘルプを搭載

2026年9月1日販売開始(NTT-AT公式)

操作やエラーの疑問をチャットで解決できる機能を全ライセンスに搭載。ベンダー側も「エラー対応の負荷」を課題と認めている証拠。ただし直す人がいる前提の機能で、直す人がいない問題は解決しない

UiPathが画面変更を自己修復する機能を提供

2025年9月(UiPath公式ブログ)

ボタンの位置や項目名の変更に自動で追従する。ただし法人向けプランが必要(Enterpriseは標準搭載、Standardは追加購入、個人向けのBasicでは使えない)で、中堅・中小企業が使うことの多いパソコン型のRPAには同等の機能は確認できていない

つまり、外部環境は「変更が増える」方向に動いており、RPAベンダーはそれをAIで補う方向に動いています。MM総研の調査(2024年3月実施・国内企業1,599社へのWebアンケート)でも、中堅・大手企業で生成AIとRPAの組み合わせを「本格的に活用済み」なのは10%にとどまり、「準備中・検討中」が53%でした。法人向けの上位プランを契約できる大企業はAIによる自己修復の恩恵を受けられますが、1台のパソコンに固定するタイプのライセンスでRPAを使っている中堅・中小企業では、止まる頻度が上がる一方で直す手段は変わっていない、というのが2026年の実態です。

RPAを直し続ける費用はいくらか|月何時間×人件費で試算する

「動かないRPAを持ち続けるコスト」を数字にします。ライセンス費用だけが予算に載っていて、復旧に使っている人件費が見えていないことがあります。

動かないRPAの維持費(月)= ライセンス費 + 復旧対応の人件費 + 止まっている間に手作業へ戻す人件費

前提として、次のようなロボットを想定します。

  • 対象業務:月次の集計と転記(人がやれば月20時間)
  • 停止頻度:月2回(画面や帳票の変更が原因)
  • 復旧にかかる時間:1回あたり2日=16時間(原因の切り分け・修正・再テスト)
  • 担当者の人件費:時給3,000円換算

停止頻度と復旧時間は、ユーザックシステムが公開している顧客事例(画面の読み取りに依存したRPAで「月に数回シナリオ(ロボットの手順書)が中断し、その都度2〜3日の検証と微調整」)を参考にしています。

項目

計算

月額

復旧対応の人件費

月2回 × 16時間 × 3,000円

96,000円

止まっている間の手作業戻し

月8時間 × 3,000円

24,000円

人件費 小計

月40時間 × 3,000円

120,000円(年間144万円)

ライセンス費(例:WinActorノードロック〈1台のパソコン固定型〉・フル機能版)

1,098,680円/年 ÷ 12(税込・1年間ライセンス・NTT-AT公式)

約91,600円

維持費 合計

約211,600円(年間約254万円)

月に40時間、担当者の時間が「ロボットの世話」に消えている計算です。この担当者が本来やるべき業務の遅れは含めていません。

業務の仕組みごと作り直した場合の差額と回収期間(仮定に基づく試算)

同じ業務を、画面操作に頼らない仕組み(システム間のデータ連携、ファイルの取込と表記ゆれの吸収、判断できないものだけ人に回す通知)として開発し直した場合と比べます。以下は仮定に基づく試算で、実際の案件の数字ではありません。

  • 開発費:100万円の場合と300万円の場合の2通り(当社の公開価格では、既存システムの改修が100万円〜、PoC〈本番前の検証〉が300万円〜、本開発は個別見積で、いずれも税別。どれに当たるかは対象の業務とシステムで変わります)
  • 開発後の担当者の作業:結果の確認と「要確認」の処理で、月4時間 × 3,000円 = 12,000円
  • クラウド・外部APIなどの実費:月1万円と仮定(開発費とは別にかかります)
  • 保守・変更対応の費用:月3万円と仮定(契約の内容で変わります。当社の価格ではありません)
  • RPAのライセンス:この業務だけで使っていた1台分を解約できると仮定(ほかのロボットも同じパソコンで動いているなら解約できません)

開発後の月コストは 12,000円 + 10,000円 + 30,000円 = 52,000円です。今の維持費 約211,600円との差は、月 約159,600円になります。

  • 開発費100万円の場合:100万円 ÷ 約16.0万円 ≒ 約6.3ヶ月で回収
  • 開発費300万円の場合:300万円 ÷ 約16.0万円 ≒ 約18.8ヶ月で回収

自社の数字で計算するときは、次の式を使ってください。

回収月数 = 開発費 ÷(今の月の維持費 − 開発後の月コスト〈確認作業の人件費+実費+保守費〉)

保守費と実費は、見積のときに開発費とは別に出してもらってください。開発費だけで比べると、回収月数を短く見積もりすぎます。

作り直さないほうがよいケースも数字で分かる

同じ式で、作り直しが合わないケースも見えます。たとえばPower Automateの無人実行プラン(Process・22,488円/ボット/月・Microsoft公式)で運用していて、停止が月1回・復旧に1日(8時間)で済んでいるなら、

  • 復旧人件費:8時間 × 3,000円 = 24,000円
  • ライセンス:22,488円
  • 維持費合計:約4.6万円/月

この場合、開発後の月コストがゼロになったとしても差は月4.6万円で、開発費100万円の回収に約22ヶ月かかります。上の試算と同じく開発後に月5.2万円かかるなら、むしろ月のコストが増えます。今のRPAを直し続けるか、止まりやすい箇所だけ作り直すのが合っています。「作り直すべきかどうか」は感覚ではなく、この維持費の計算で決めてください。

直し続ける・作り直す・AIエージェントに移す|判断表

維持費の計算とあわせて、業務の性質から3つの選択肢のどれに当てはまるかを判断する表です。「正しく作り直せば使える」という説明をよく見かけますが、実際には作り直しても同じ理由で止まる業務があります。

判断項目

RPAのまま直せばよい

作り直しを検討(別のRPA・Power Automate等)

業務の仕組みごと置き換えを検討(連携の開発・AIエージェント等)

止まる原因

環境要因(更新・メモリ・通信)が主

画面の見た目に頼った設計が原因

帳票・画面・手順の変更が原因で繰り返し止まる

止まる頻度

年に数回

月1回程度

月に数回以上

直せる人

社内にいる

社内にいるが1人だけ

いない/退職・異動済み

例外の割合

ほぼゼロ

少数で、条件分岐に書ける

例外が多く「内容を読んで振り分ける」必要がある(ただし最終判断は人)

対象業務の性質

1つのシステム内での繰り返し操作

複数のクラウドサービス間の連携(連携用の窓口がある)

複数システムをまたぎ、表記ゆれや文面の解釈を含む定型業務

入出力

デジタルで完結

デジタルで完結

デジタルで完結(紙・対面が前提なら、何に替えても無理)

右の列に3つ以上当てはまるなら、置き換えの検討に値します。左の列が中心なら、この記事の最初の章に戻って直してください。それで済みます。

なお、Windows 11への移行で止まったロボットは、原因が「環境要因」なので基本的には左の列です。ただし、移行を機に棚卸しをしてみたら「誰も中身を説明できないロボットが十数本あった」という状態なら、それは真ん中か右の列の問題です。

AIエージェントに任せられる業務・任せられない業務の境界線

置き換え先として検討する前に、AIエージェントに何ができて何ができないかを正直に書いておきます。「AIエージェントに移せば全部解決する」わけではありません。調査会社のGartnerは2025年6月、「エージェント型AIプロジェクトの40%超が2027年末までに中止される」と予測し、理由としてコストの増大、ビジネス価値の不明確さ、リスク管理の不足を挙げています。既存のRPAやチャットボットを「AIエージェント」と呼び替えているだけのベンダーも多いと指摘しています。適用範囲を絞ることが、失敗しない前提条件です。

任せられる

任せられない

毎日・毎週・毎月、繰り返し発生する

毎回その場の状況で判断が変わる

入力も出力もデジタルで完結する(システム、ファイル、メール、チャット)

紙の書類や対面のやり取りが前提

判断のルールを文章で説明できる(「この項目名は数量として扱う」など)

最終的な決裁をAIに委ねたい

表記のゆれ・書式の違いを吸収して同じ処理をする

前例のない案件を一から判断する

例外を見つけて「要確認」として人に回す

例外そのものをAIが決めて処理する

RPAとの違いを業務の言葉で言うと、RPAは「決めた手順を、決めた画面で、そのとおりに実行する」道具です。AIエージェントは「目的と判断のルールを渡しておくと、入ってきたデータの中身を読んで、手順を組み立てて実行する」仕組みです。そのため「店舗ごとにExcelの書式が少しずつ違う」「取引先ごとに注文書の項目名が違う」といった、RPAなら止まる(あるいは間違って処理する)ゆれを吸収できます。

一方で、RPAが得意な「1つのシステムの中で、まったく同じ操作を高速に大量に繰り返す」業務は、今のRPAが安定して動いているならそのままでよく、わざわざ移す理由はありません。AIエージェントの仕組みそのものについては、AIエージェントとは何かで解説しています。

実現する方法は3つある|費用感と得意・不得意

RPAツールUiPathの公式ロゴ

出典: UiPath 公式サイト

動かないRPAを解消する方法を、当社サービスに限らずフラットに並べます。

方法1. 今のRPAを直す(社内で直す/外部に保守を委託する)

止まる原因が環境要因中心で、頻度が年数回なら、これが最も安く済みます。社内に直せる人がいない場合は、外部への運用保守委託という選択肢があります。RPA保守サービスの公開情報では、保守・メンテナンス費用の目安は月5〜30万円、スポット対応は1時間5,000円〜が相場です(ラディックス社「RaBit」の公開情報)。

  • 合う:停止が年数回、原因が更新やパスワード変更、直せる人が社内にいる
  • 合わない:変更のたびに止まる、作った人が不在で中身が分からない
  • 注意点:保守委託は「直す人を外に持つ」だけで、止まる頻度は変わらない。変更起因で月数回止まる業務では委託費が積み上がる

方法2. 別のRPA・Power Automateで作り直す

画面の見た目に頼った設計が原因で止まっているなら、連携用の窓口(API)を使う設計に作り直すと安定します。Microsoft 365を使っている会社ならPower Automateが有力で、クラウド上の連携(画面を使わない)とパソコン上の画面操作を組み合わせられます。Power Automateの公式価格は、人がパソコンにいる間だけ動くタイプが2,248円/ユーザー/月、無人で動かすタイプが22,488円/ボット/月です(いずれも税別・年払い)。

  • 合う:複数のクラウドサービス間の連携で、連携用の窓口が用意されている業務
  • 合わない:連携窓口のない古い業務システムが相手、書式や表記のゆれが多い業務(作り直しても同じ理由で止まる)
  • 注意点:作り直しの開発費は別途かかる(外部に委託する場合、シナリオ1本あたり15〜50万円、修正のたびに5〜15万円が目安・BizteX公開情報)。さらに「直せる人」の問題は解決しないため、作った人が1人なら属人化が再発する

方法3. 業務の仕組みごと置き換える(連携の仕組みを開発する/AIエージェント型のサービスを使う)

RPAを直すのではなく、その業務の流れを、画面操作に頼らない仕組みで作り直す方法です。やり方は大きく2つあります。

  • 開発会社に仕組みを作ってもらう:システム間を連携用の窓口(API)やCSVでつなぎ、表記ゆれはルールやAIで吸収し、判断できないデータだけを「要確認」として人に回す。保守や変更対応を誰が担うかは契約で決める
  • 運用型のAIエージェントサービスを使う:業務をサービス事業者に預け、月額で動かしてもらう。初期費用・月額・変更への追従の範囲は事業者ごとに違うので、見積で確認する

今は、ChatGPTやClaudeなどのAIに聞きながら、社内で連携の仕組みを作ることも十分にできます。止まりやすい箇所の洗い出し、連携方式の調べもの、変換処理の試作は、社内でAIを使って進められる部分です。一方で、会社に頼んだほうがよいのは、自社のデータの癖(店舗ごとの書式や例外の扱い)、今のシステムの仕様や権限、「正しく処理できたか」をどう確かめるか、書式が変わったときに誰がいつ直すか、といった自社に固有の部分です。RPAが止まる理由の多くは、ここにあります。

当社(AI革命株式会社)は受託開発として、既存システムとの連携や改修、業務を自動化する仕組みの開発に対応できます。費用は既存システムの改修100万円〜、PoC 300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別。クラウドや外部APIの利用料などの実費は別)。

  • 合う:帳票・画面・手順の変更で繰り返し止まる、複数システムをまたぐ、表記ゆれの解釈を含む定型業務、直す人がいない
  • 合わない:単一システム内の高速な反復操作(今のRPAで安定しているなら移す理由がない)、対象業務が小さく開発費を回収できない、紙・対面が前提の業務
  • 注意点:開発費のほかに実費と保守費がかかる。今の維持費が小さいなら、かえって費用が増える(前の章の計算式で確認)

費用の目安|直す・作り直す・乗り換えるを同じ表で比べる

Power Automateを提供するMicrosoftの公式ロゴ

出典: Microsoft Power Automate 公式サイト

3つの方法の費用を、初期費用・月額・直す人の所在で並べます。

方法

初期費用

月額の目安

直す人

備考

今のRPAを社内で直す

0円

ライセンス費のみ(WinActorノードロック フル機能版なら約9.2万円/月相当・税込、実行版なら約2.5万円/月相当・税込)

社内

復旧の人件費が別途かかる(月40時間なら12万円)

外部に保守委託

0〜数十万円

ライセンス費 + 保守委託 月5〜30万円

外部

止まる頻度は変わらない

Power Automateで作り直す

開発費 1本15〜50万円が目安(外部委託・BizteX公開情報)

2,248円/ユーザー/月(有人)〜22,488円/ボット/月(無人)・税別

社内または開発会社

連携窓口のある業務向き。外部委託だと修正のたびに5〜15万円

UiPathで作り直す

開発費 1本15〜50万円が目安(外部委託・BizteX公開情報)

$25/月〜(個人用)、法人向けは要問い合わせ

社内または開発会社

自己修復機能は法人向けプラン限定(Enterprise標準搭載・Standardは追加購入)

ロボパットAIに乗り換える

0円(FCE公式)

1ヶ月単位契約(月額は公式サイト非掲載)

社内

3ライセンス1ヶ月無料トライアルあり

業務の仕組みごと開発し直す(受託開発・当社の場合)

既存システムの改修100万円〜/PoC 300万円〜/本開発は個別見積(税別)

クラウド・外部API等の実費+保守費(契約で決める)

開発会社または社内(保守の契約で決める)

画面操作に頼らない設計にできる業務向き。ソースコードの権利の帰属は契約で確認

価格はいずれも2026年9月時点の各社公式サイト掲載値です。WinActorは税込・1年間ライセンスの月換算、Power Automateは税別・年払い相当の公式表示価格、作り直しの開発費はRPAベンダー(BizteX)が公開している外部委託の相場です。当社の受託開発の価格は、2026年10月時点の当社サイトの掲載値です。

表を見て分かるとおり、RPAの作り直しは「ライセンス+開発費+直す人の確保」の3つが必要で、合計がいくらになるかは開発費と修正回数次第です。外部委託なら1本15〜50万円で作った後、変更のたびに5〜15万円の修正費が積み上がります。業務の仕組みごと開発し直す方法は、開発費が大きい代わりに、画面の変更で止まる箇所そのものを減らせます。「直す人がいない」が問題の本質なら、ライセンスの安さより、変更が起きたときに誰が直すかが決まっている構成を選ぶべきです。

今のRPAの停止頻度と復旧時間、使っているシステムの名前を伺えれば、上の式に当てはめて、作り直したほうが安くなりそうかを一緒に確かめます。初回相談は無料・30分(オンライン)で、相談後に依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。今のRPAを直したほうがよい場合は、その旨も相談メモに書きます。

▶ 止まるRPAを、今のシステムを活かした仕組みに置き換えられるか相談する

当社の開発例と、店舗ごとの書式ゆれを吸収する構成例

当社が公開している受託開発の例のうち、この記事の内容に近いものは次の2つです(守秘のため社名は非公開)。どちらも、RPAからの移行案件として公開しているものではありません。

  • 通信事業:数万件の請求情報を取り込み、集計し、確認する画面を作った例
  • 薬局:複数店舗・数千人分の記録の管理と、権限・確認工程を作った例

どちらも「複数の入力をまとめて取り込み、人が確認する工程を残す」という点で、RPAが止まりやすい業務の置き換えと共通しています。

説明用の構成例(架空):店舗ごとにExcelの書式が違う集計

以下は説明のための架空の例で、実際の案件ではありません。

複数の店舗から週次で上がる集計用のExcelで、項目名が店舗によって「錠数」「数量」「個数」とばらつき、列の並びも揃っていないとします。RPAで自動化しようとすると、店舗ごとに別のロボットを作るか、書式を全店で統一させるかのどちらかになります。前者は店舗の数だけ保守が発生し、後者は現場に負担がかかって守られなくなりがちです。

仕組みごと作り直すなら、各店舗のファイルとシステム上のデータを取り込み、項目名の対応表(「錠数」「数量」「個数」はすべて数量として扱う、など)で本部の形式に揃えます。対応表で判断できないデータだけを「要確認」として本部の担当者に通知し、統合後に前回との差異をチェックして、結果を関係者に配信します。店舗が書式を少し変えても、対応表で解釈できる範囲は処理し、できない部分だけが人に回るので、誤りに気づかれないまま間違った数字を出し続けることを防げます。

この構成で会社に頼む意味が大きいのは、対応表を作るための実データの確認、例外の扱いを決める打ち合わせ、正しく取り込めたかを確かめる試験の部分です。変換処理そのものは、社内でAIを使って試作することもできます。

同じ種類の業務は、システム間のデータ転記の自動化、Excel集計の自動化、CRM入力の自動化でそれぞれ詳しく解説しています。

相談から置き換えまでの流れ

AI革命株式会社のロゴ

出典: AI革命株式会社 受託開発

RPAからの置き換えは、次の順で進めます。今のRPAは、切り替えが終わるまで止めません。期間は対象の業務とシステムで変わるため、見積のときにお示しします。

段階

内容

費用

① 初回相談

動いているロボット、止まる頻度、復旧にかかっている時間、使っているシステムを伺い、社内でAIを使って進める部分と、頼んだほうがよい部分を切り分ける。相談後に相談メモをメールでお送りする

無料(30分・オンライン)

② 提案と見積

資料(業務の流れ、RPAのシナリオ、帳票の見本など)を受け取り、置き換える業務と、RPAのまま残す業務を分けて提案・見積する

無料

③ 調査(必要な場合)

中身の分からないロボットや既存システムを調べて報告する

有償(始める前に範囲と金額を示して合意)

④ 開発

既存システムの改修・PoC・本開発のいずれかで作る。RPAのシナリオがあれば手順書として参照する

改修100万円〜/PoC 300万円〜/本開発は個別見積(税別)

⑤ 並走と切り替え

今のRPA(または手作業)と新しい仕組みを同時に動かして結果を見比べ、差異がなくなってから切り替える。移したロボットのライセンスは次回更新で解約

見積でお示しする

①の段階で置き換えが合わないと分かった場合は、今のRPAを直す方向を相談メモでお伝えします。秘密情報や本番のパスワード、実際の顧客データは、初回相談の前に送らないでください。相談は受託開発のページから受け付けています。

よくある質問

Q1. RPAとAIエージェントは併用できますか?

できます。むしろ全部を移す必要はありません。1つのシステム内で同じ操作を大量に繰り返す処理は今のRPAに残し、複数システムをまたぐ処理や、書式のゆれを解釈する処理だけをAIエージェントに移す構成が現実的です。RPAが処理した結果ファイルをAIエージェントが受け取る、という役割分担もできます。

Q2. 今のRPAのシナリオ(手順)は、移行のときに流用できますか?

シナリオそのものをそのまま動かすことはできませんが、無駄にはなりません。シナリオには「どのシステムの、どの項目を、どの順番で、どこに入れるか」が全部書かれており、これはAIエージェントに渡す判断ルールを作るときの最良の手順書になります。作った人が退職していても、シナリオが残っていれば業務の中身を復元できます。

Q3. Windows 11に移行したら、ロボットは全部作り直しですか?

全部作り直しではありません。全ロボットの動作確認(再検証)は必要ですが、Excel操作やOutlook起動、画面の読み取りなど、エラーが出る箇所は多くのロボットで共通しているため、1本直した方法を残りにも当てられる場合があります。ただし、この作業を「誰がやるか」が決まっていない場合は、移行を機に棚卸しをすることをお勧めします。

Q4. 無人で動かしているロボットが止まったことに、すぐ気づく方法はありますか?

最低限、「実行が終わったら完了メールを送る」「決まった時刻までに完了メールが来なければ管理者に知らせる」の2つを組み込んでください。RPA運用支援会社の公開ブログには「止まっていたことに1週間気づかなかった」という例が出ています。止まったことより、止まっていた期間の業務が抜けていたことのほうが被害は大きくなります。業務の仕組みごと作り直す場合も、処理が完了しなかったときに担当者と管理者へすぐ通知すること、中途半端な書き込みを残さないことを、依頼するときの条件に入れておいてください。

Q5. ロボットを作った担当者が退職しました。まず何をすべきですか?

3つです。(1) 動いているロボットの一覧を作る(何を、いつ、どのシステムに対してやっているか)。(2) ロボットに埋め込まれているIDとパスワードを洗い出す。退職者のアカウントで動いているロボットは、アカウント停止と同時に止まります。(3) 「止めても困らないロボット」と「止まると業務が止まるロボット」に分ける。後者だけを、直す・作り直す・移すの判断対象にしてください。全部を一度に何とかしようとすると動けなくなります。

Q6. 仕組みごと作り直しても、画面が変わったら止まるのではないですか?

画面操作に頼る部分が残れば、影響を受けます。だから作り直すときは、できるだけ画面操作ではなく、データやファイル、連携用の窓口(API)を通じて処理する設計にし、画面操作が避けられない部分を最小限にします。AIエージェントを使う場合も同じです。そのうえで、影響が出たときに誰がいつ直すかを、保守の契約で決めておいてください。RPAとの違いは「止まらないこと」ではなく、「止まる箇所が少なく、止まったときに直す責任が誰にあるかが決まっている」点です。

Q7. 患者情報や取引先情報など、機微なデータをAIに渡して大丈夫ですか?

確認すべきポイントは3つです。(1) データがAIの学習に使われない契約になっているか、(2) 通信・保管が暗号化されているか、(3) アクセスできる担当者が限定されているか。依頼先には、この3点を書面で確認してください。なお、RPAではIDとパスワードをシナリオの中に直接書き込む運用になりがちで、日立ソリューションズもセキュリティ上の問題として挙げています。仕組みを作り直す際は、ログイン情報をシナリオから切り離して管理する構成に改めることも、あわせて依頼してください。

Q8. IT導入補助金などは使えますか?

制度は年度ごとに対象や締切が変わるため、この記事では断定しません。使えるかどうかは、検討する時点の公募要領で確認してください。補助金ありきで対象業務を広げるより、維持費の式で「補助金なしでも回収できる業務」を選ぶほうが、結果的に失敗しません。

Q9. 社内でChatGPTやClaudeを使って作り直すのと、開発会社に頼むのは、どう分ければよいですか?

止まる原因の調べもの、連携方式の比較、変換処理の試作は、社内でAIを使って十分に進められます。社内で続けられるなら、それが一番安く済みます。開発会社に頼んだほうがよいのは、本番のデータの例外をどう扱うか、既存システムの権限や仕様にどう合わせるか、正しく処理できたかをどう試験するか、変更が起きたときに誰が直すかを決める部分です。社内で作った試作を、本番で使える形に直すところだけを頼む、という分け方もできます。

RPAの復旧対応に追われている方へ

RPAが動かない原因のうち、環境要因は運用の工夫で直せます。しかし「変更のたびに止まる」「直せる人がいない」の2つが揃っているなら、それは直し方の問題ではなく、道具の選び方の問題です。

  • 帳票・画面・手順の変更が原因で、月に数回止まっている
  • 作った人が異動・退職していて、中身を説明できる人がいない
  • 復旧対応の人件費とライセンスを足すと、月20万円前後になっている

この3つに当てはまるなら、業務の仕組みごと作り直すことを検討する価値があります。この記事の仮定に基づく試算では、開発費100万円なら約6ヶ月、300万円なら約19ヶ月で回収できる計算でした。当てはまらない場合は、今のRPAを直すほうが合っています。

まずは、今動いているロボットの一覧と、止まる頻度・復旧にかかっている時間、使っているシステムの名前をお聞かせください。初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。相談後に、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。

▶ 止まるRPAを、今のシステムを活かした仕組みに置き換えられるか相談する

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依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

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