Grok 4.5とは?API料金$2/$6・V9基盤・「Opus級性能」の実態を検証【2026年7月最新】

この記事のポイント
Grok 4.5はSpaceXAI(旧xAI)が2026年7月9日に一般公開したコーディング特化モデル。API料金$2/$6、コンテキスト500K、公開ベンチ4本の検証、CursorBenchの学習データ混入開示、EU未提供の制約まで公式情報ベースで整理します。
Grok 4.5は、SpaceXAI(旧xAI)が2026年7月9日に一般公開した、コーディングとエージェント業務に特化したフロンティアモデルです。 イーロン・マスク氏は「Opus級のモデル」と表現していますが、公開されたベンチマーク4本を精査すると、Claude Opus 4.8に対しては2勝2敗、Claude Fable 5には4本すべてで負けており、性能の絶対王者ではありません。このモデルの本当の武器は、同じ性能帯を約4分の1のトークン量・出力単価4分の1以下で回せるコスト効率にあります。
この記事では、Grok 4.5のスペックと料金、「Opus級」という主張をベンチマーク実測値で検証した結果、Cursor公式が自己開示したベンチマークへの学習データ混入という重要な注意点、EU未提供という現時点の制約、そして企業導入前に確認すべきセキュリティ観点まで整理します。API導入を検討している開発者・技術選定担当者、そして「Grok 4.5は本当にClaudeやGPTの代替になるのか」を判断したい方を対象としています。
なお、本記事に掲載したベンチマーク値はすべてSpaceXAIが公開した自己申告値であり、Artificial AnalysisやLMArenaといった第三者機関による独立検証は2026年7月9日時点で行われていません。この前提を踏まえて読み進めてください。
Grokシリーズ全体の概要・使い方については Grokとは?Agent Mode・Grok Imagineの機能・料金・使い方を解説 もあわせてご覧ください。
Grok 4.5の要点|3行でわかるまとめ

- 性能は「Opus級」だが1位ではない — Opus 4.8に2勝2敗、Claude Fable 5には公開ベンチ4本すべてで敗北
- 勝負どころは価格と効率 — 出力単価$6/1MはFable 5の8.3分の1。同一タスクの出力トークン量もOpus 4.8の約4分の1
- 制約が明確にある — コンテキストは500Kで下位モデルのGrok 4.3(1M)より短く、EUでは2026年7月9日時点で未提供
項目 | 内容 |
|---|---|
正式名称 | Grok 4.5 |
モデルID |
|
開発元 | SpaceXAI(旧xAI) |
一般公開日 | 2026年7月9日(発表は7月8日) |
位置づけ | コーディング・エージェントタスク・ナレッジワーク向けフロンティアモデル |
アーキテクチャ | Mixture-of-Experts(MoE) |
コンテキスト | 500Kトークン |
API料金 | 入力 $2.00 / 出力 $6.00(各100万トークンあたり) |
推論エフォート |
|
スループット | 約80 TPS |
提供チャネル | API / Grok Build / Cursor / Grokアプリ |
開発元は「xAI」から「SpaceXAI」へ|2026年の変化を整理

出典: SpaceX 公式サイト
Grok 4.5を開発したのは、正確には「xAI」ではなく「SpaceXAI」です。 xAIは2026年2月にSpaceXへ吸収合併され、2026年7月6日に「SpaceXAI」へ正式リブランドされました。Grok 4.5は、このリブランド後に初めて公開されたフロンティアモデルにあたります。
検索や報道では依然として「xAI」の名称が使われるため混乱しやすいのですが、時系列で整理すると次のようになります。
日付 | 出来事 |
|---|---|
2026-02-02 | SpaceXがxAIを全株式交換(約1.25兆ドル)で買収。史上最大級の非公開合併 |
2026-04-21 | SpaceXがAnysphere(Cursor開発元)への買収オプション契約を締結 |
2026-06-12 | SpaceXがNasdaq上場。調達額は史上最大規模 |
2026-06-16 | SpaceXがCursorを600億ドルの全株式取引で買収すると発表(Q3 2026クローズ予定) |
2026-07-06 | xAI → 「SpaceXAI」へ正式リブランド |
2026-07-08 | Grok 4.5 発表・ベンチマーク公開 |
2026-07-09 | Grok 4.5 一般公開 |
この流れが重要なのは、Grok 4.5がCursorとの共同学習によって作られたモデルだからです。Cursor公式ブログによれば、Grok 4.5の学習にはCursorの利用データ数兆トークンが使われています。買収と製品開発が密接に結びついているという事実は、公開されたベンチマークの信頼性を評価するうえでも欠かせない前提になります。
Cursor買収の経緯は Cursor × SpaceX 600億ドル買収とは?背景と影響を整理 で詳しく解説しています。
Grok 4.5のスペック|MoE構造・500Kコンテキスト・V9基盤
Grok 4.5はMixture-of-Experts(MoE)構造を採用したモデルで、コンテキストウィンドウは500Kトークンです。 MoEとは、モデル内部に複数の「専門家(Expert)」ネットワークを持ち、入力に応じて一部だけを稼働させる仕組みで、総パラメータ数が巨大でも推論コストを抑えられる点が特徴です。

「1.5兆パラメータ・V9基盤」は報道ベース
複数のメディアが「V9基盤・約1.5兆パラメータ(前世代V8-smallの約3倍)」と報じており、学習にはNVIDIA GB300 GPUが数万基使われたとされています。ただし、筆者が確認できた公式開発者ドキュメント(docs.x.ai)には、パラメータ数もV9という基盤名も記載がありません。 MoE構造であることはCursor公式ブログが明記していますが、パラメータ規模については現時点で公式仕様として断定できない情報です。
「1.5兆パラメータ」という数字を根拠に導入判断をするのは避け、実際のベンチマーク値と料金で評価することをおすすめします。
⚠️ コンテキストは500K。下位モデルのほうが長い
ここは誤記が非常に多い部分です。Grok 4.5のコンテキストは500Kトークンであり、1Mでも2Mでもありません。
モデル | コンテキスト | 入力(/1M) | 出力(/1M) |
|---|---|---|---|
grok-4.5 | 500K | $2.00 | $6.00 |
grok-4.3 | 1M | $1.25 | $2.50 |
grok-4.20-0309-reasoning | 1M | $1.25 | $2.50 |
grok-4.20-multi-agent-0309 | 1M | $1.25 | $2.50 |
grok-build-0.1(Code API) | 256K | $1.00 | $2.00 |
注目すべきは、下位モデルであるGrok 4.3のほうがコンテキストが長い(1M)という逆転が起きている点です。「2Mコンテキスト」という記述を見かけることがありますが、それはGrok 4 Fastの仕様であり、Grok 4.5のものではありません。
実務上の意味は明快です。巨大なコードベース全体や長大な仕様書を一度に読ませたい用途では、最新のGrok 4.5より旧世代のGrok 4.3のほうが適する場合があるということです。長いエージェントループを回す場合、公式ドキュメントはコンテキスト圧縮(context compaction)の実装を推奨しています。
長文コンテキスト用途との比較は Grok 4.3 Betaとは?1Mコンテキスト・新機能・料金まとめ を参照してください。
「Opus級性能」は本当か|公開ベンチマーク全4本を検証

出典: Cursor 公式ブログ
「Opus級(=同じ性能ティアに属する)」という表現は妥当ですが、「Opusを超えた」は誤りです。 マスク氏の「Opus級」という表現はベンダーによる自己申告であり、SpaceXAI自身が公開したベンチマーク表を読むと、その位置づけがはっきりします。
ベンチマーク | Grok 4.5 | Claude Fable 5 (max) | GPT-5.5 (xhigh) | Claude Opus 4.8 (max) | GLM-5.2 |
|---|---|---|---|---|---|
DeepSWE 1.0 (pass@1) | 62.0% | 66.1% | 64.31% | 55.75% | — |
DeepSWE 1.1 (mini-swe-agent) | 53% | 70% | 67% | 59% | 44% |
Terminal-Bench 2.1 | 83.3% | 84.3% | 83.4% | 78.9% | — |
SWE-Bench Pro(解決率) | 64.7% | 80.4% | 58.6% | 69.2% | 62.1% |
Harvey's Legal Agent Bench | 1位 | — | — | — | — |
※すべてSpaceXAIが公開した自己申告値(2026年7月時点)。第三者による独立検証は未実施。
Opus 4.8に対しては2勝2敗
Grok 4.5がOpus 4.8を上回ったのは、DeepSWE 1.0(62.0% vs 55.75%)とTerminal-Bench 2.1(83.3% vs 78.9%)の2本。逆に下回ったのが、DeepSWE 1.1(53% vs 59%)とSWE-Bench Pro(64.7% vs 69.2%)の2本です。互角というのが公平な評価であり、「Opus級」というティア表現はこの実測値と整合します。
Claude Fable 5は4本すべてで首位
一方、Anthropicが2026年6月に発表したClaude Fable 5は、公開された4本すべてでGrok 4.5を上回っています。 特にSWE-Bench Proでは80.4%対64.7%と、15.7ポイントの明確な差がついています。
興味深いのは、SpaceXAI自身がこの自社に不利な比較をベンチマーク表に掲載している点です。都合の悪い数字を隠していないという意味で、この公開姿勢自体は評価できます。裏を返せば、SpaceXAIは性能の絶対値ではなく別の軸で勝負しているということでもあります。
比較対象となった2モデルについては Claude Opus 4.8とは と Claude Fable 5とは で詳しく整理しています。
⚠️ CursorBenchには学習データ混入の自己開示がある
これはGrok 4.5を評価するうえで、最も見落とされている重要な注意点です。
学習パートナーであるCursorは、公式ブログで次の事実を自己開示しています。
Grok 4.5はCursorBenchで有利になっている。Cursorコードベースの過去スナップショットが、誤って学習データに混入したためである。
つまり、CursorBenchのスコアはベンチマーク汚染(benchmark contamination)の影響を受けており、額面通りに受け取るべきではありません。該当データは今後のイテレーションから除去済みで、CursorBench自体も更新中とされています。
学習パートナー当事者が自ら開示している点は誠実ですが、Cursor上での体感性能を語る記事やCursorBenchの数値を引用する記事を読む際は、この前提を必ず踏まえてください。 なお、SpaceXAIが公開したDeepSWE 1.0・DeepSWE 1.1・Terminal-Bench 2.1・SWE-Bench Proの4本については、同種の汚染は開示されていません。
本当の武器はトークン効率|実コストは約17倍の差

Grok 4.5の最大の価値は、ベンチマークのスコアではなくトークン効率です。 SpaceXAIは「主要モデルの約2倍のトークン効率」「タスクを半分以下のステップ数で解決」と主張しており、SWE-Bench Proでの実測値がそれを裏付けています。
指標 | Grok 4.5 | Claude Opus 4.8 (max) |
|---|---|---|
SWE-Bench Pro の平均出力トークン | 15,954 | 67,020 |
出力単価(/1Mトークン) | $6 | $25 |
同一タスクの出力コスト(試算) | 約$0.096 | 約$1.676 |
同じタスクを解くのに、Grok 4.5は約16,000トークン、Opus 4.8は約67,000トークンを出力します。トークン量で約4.2倍、単価でも約4.2倍の差があるため、出力側だけで実質的に約17倍のコスト差が生まれる計算です。
※これは公開ベンチマーク1本(SWE-Bench Pro)の平均値からの単純試算です。実際のコストはタスクの性質・推論エフォート設定・プロンプトキャッシュの利用状況によって変動します。
ベンチマーク差と価格差のトレードオフ
競合フロンティアモデルと料金を並べると、SpaceXAIの戦略がはっきりします。
モデル | 入力 / 1M | 出力 / 1M | 出力単価の対Grok倍率 |
|---|---|---|---|
Grok 4.5 | $2 | $6 | 1.0倍 |
Claude Opus 4.8 | $5 | $25 | 4.2倍 |
Claude Fable 5 | $10 | $50 | 8.3倍 |
Fable 5はGrok 4.5より確かに強い。しかしその差はベンチマークで数ポイント〜15.7ポイントです。対して出力単価は8.3倍。ここに、トークン効率の差が掛け算で乗ってきます。
この構図から導かれる実務的な判断は次のとおりです。
- 大量のエージェントループを回す用途 — 精度差より総コストが効くため、Grok 4.5が有利になりやすい
- 一発の精度が事業成果を左右する用途 — 難易度の高いリファクタリングや本番障害対応など、失敗コストが高い場面ではFable 5やOpus 4.8を選ぶ合理性がある
- CI/CDに組み込む定型タスク — 単価とトークン効率が直接効くため、Grok 4.5の適性が高い
各モデルの料金を横断的に見たい場合は 生成AI料金比較【2026年最新】 が便利です。
料金プラン早見表|API・Cursor・消費者向けプラン

出典: SpaceXAI Developer Docs — Models and Pricing
API料金(公式・2026年7月9日時点)
モデル | コンテキスト | 入力 / 1M | 出力 / 1M |
|---|---|---|---|
grok-4.5 | 500K | $2.00 | $6.00 |
grok-4.3 | 1M | $1.25 | $2.50 |
grok-build-0.1(Code API) | 256K | $1.00 | $2.00 |
プロンプトキャッシュに対応していますが、確実にヒットさせるには prompt_cache_key の設定が必要です。なお、キャッシュ入力の単価は公式ドキュメント上で確認できませんでした。
Cursor経由の料金
Cursorには通常版に加えてFastバリアントが存在します。この存在に触れている日本語記事はほとんどありません。
バリアント | 入力 / 1M | 出力 / 1M |
|---|---|---|
Grok 4.5 | $2 | $6 |
Grok 4.5 Fast | $4 | $18 |
Fast版は低レイテンシと引き換えに単価が2〜3倍になります。対話的なコーディングでレスポンス速度を重視する場合の選択肢ですが、バッチ処理やエージェントループで安易に選ぶとコスト効率という最大の利点を失います。
Cursorのindividual / teamプランにはfirst-party model poolとして利用枠が含まれ、提供開始から1週間は利用枠2倍のキャンペーンが実施されています。Grok BuildとCursorでは期間限定の無料利用枠も提供されています。
消費者向けプラン(参考値)
プラン | 月額(報道ベース) |
|---|---|
SuperGrok Lite | 約$10 |
SuperGrok | 約$30 |
SuperGrok Heavy | 約$300 |
X Premium+ | $8〜 |
消費者向けプランの価格は二次情報にもとづく参考値です。 地域や決済プラットフォームによって実際の請求額は異なるため、契約前に公式のチェックアウト画面で確認してください。また、どのプランでGrok 4.5が利用できるかは変更される可能性があります。
どこで使える?|API・Grok Build・Cursor・Office連携

出典: SpaceXAI Developer Docs — Models
Grok 4.5は、API、Grok Build、Cursor、Grokアプリ(X Premium・SuperGrok経由)の4系統で利用できます。
API
function calling、Web検索、X(旧Twitter)検索、コード実行といったツール利用に対応しています。X検索はGrokシリーズ固有の機能で、リアルタイムの世論や速報性の高い情報を扱うタスクで差が出ます。
モダリティについては、テキスト入力の対応は公式ドキュメントで確認済みですが、画像入力の対応可否は公式ドキュメント上で明確な記載を確認できませんでした(OpenRouterはmultimodalと表記)。マルチモーダル用途で導入する場合は事前に検証することをおすすめします。
Cursor
desktop / web / iOS / CLI / SDKのすべてで、全プランから利用可能です。Cursorの利用データで共同学習されているため、Cursor上での挙動は最適化されています。
Cursor自体の機能は Cursorとは?AIコードエディタの機能・料金・使い方、他のコーディングツールとの比較は AIコーディングツール おすすめ9選 で整理しています。
Microsoft Office連携(Grok Build経由)
Grok BuildからWord・Excel・PowerPointへのアドイン提供が始まっています。単なるテキスト生成ではなく、各アプリのネイティブ機能を操作する点が特徴です。
アプリ | できること |
|---|---|
Word | 会話型サイドバーのエージェント。Web検索、段落単位の更新、文書の新規作成 |
Excel | 数式が動作する複数シートのモデルを構築。途中経過を「付箋」として残す |
PowerPoint | 画像の貼り付けではなく、編集可能なネイティブ図形・ダイアグラムでデッキを構成 |
PowerPointが画像ではなく編集可能な図形を出力する点は、実務上かなり大きな違いです。生成後に手直しできるためです。
ただし、このアドインがどのプランで利用できるかは、公式ページを確認できなかったため断定できません。 「SuperGrok / Heavy / Business / Enterprise」で提供されるとの情報がありますが、導入前に公式で確認してください。
Word連携の比較対象として Claude for Wordとは?、Grok Build自体は xAI Grok Buildとは? を参照してください。
⚠️ EUではまだ使えない|提供状況と実務への影響

2026年7月9日時点で、SpaceXAIの製品およびAPIコンソールはEUのユーザーに提供されていません。 公式ドキュメント上では2026年7月中旬の提供開始が見込まれていますが、これは確定日ではありません。
この制約は、日本企業にとっても他人事ではありません。実務上、次のようなケースで影響します。
- EUに拠点・子会社がある — 現地の開発チームがGrok 4.5を利用できない
- EU居住者の個人データを扱う — GDPRの適用対象となるデータ処理にGrok 4.5を組み込めない
- DPA(データ処理契約)の締結が必要な業務 — EU未提供の状態では契約前提が整わない
つまり、EU個人データを扱う用途では、現時点でGrok 4.5は選択肢に入りません。 グローバル展開している企業が全社標準として採用する場合、EU提供開始が確認できるまで待つか、地域ごとにモデルを使い分ける設計が必要になります。
提供状況は数日単位で変わりうるため、導入判断の直前に公式ドキュメントで最新状況を確認してください。
セキュリティとデータの取り扱い|企業導入前の確認事項

出典: SpaceXAI Developer Docs — API Reference
公式の安全性フレームワーク
SpaceXAIは、事前学習からデプロイまでのライフサイクル全体で安全性評価を実施し、モデルカードとFrontier AI Frameworkを公開しています。リスクは①悪用可能性(脱獄耐性)②懸念される性向(ユーザー欺瞞など)③デュアルユース能力(攻撃的サイバー能力)の3分類で管理され、大量破壊兵器・大規模暴力・テロ・大規模サイバー攻撃に関わる要求には加重セーフガードが適用されます。
⚠️ ただし、Grokは意図的に制約が緩い設計
ここは企業導入時に必ず理解しておくべき点です。SpaceXAIは公式に、「真実性と有用性を優先し、論争的トピックでの制限を競合より少なく設計している」と位置づけています。
これは思想の問題ではなく、運用設計の問題です。他社モデルなら拒否される出力が、Grokでは通る可能性があります。したがって、企業がGrok 4.5を顧客接点に置く場合、自前のガードレール(出力フィルタ・モデレーションレイヤー・人間によるレビュー)の実装が事実上の前提になります。
データの取り扱い
項目 | 内容 |
|---|---|
会話のレビュー | 安全性・改善のためレビューされる可能性がある |
学習利用のオプトアウト | 設定から可能 |
Private Chatモード | 履歴に残らず、学習に利用されず、30日以内にシステムから削除 |
公式の案内 | 機微情報を入力しないよう明示的に案内 |
機微データを扱う場合は、Private Chatモードの利用、学習利用のオプトアウト設定、あるいはEnterprise契約を前提としてください。
報道されている懸念(中立に事実として)
Grokをめぐっては、次のような指摘が報じられています。導入判断の材料として、事実関係を把握しておく価値があります。
- Xユーザーのデータを同意なく学習に利用したとの指摘
- 安全性評価が製品投入速度を優先して省略・短縮されたとする元従業員の証言
- 数十万件のGrok会話が誤って公開された事案
- 非同意の性的ディープフェイク生成に対する脆弱性
- 安全エンジニアの解雇をめぐる訴訟
- AI Lab Watchなど第三者機関による安全フレームワークへの批判
これらは二次情報にもとづく報道であり、すべてが確定した事実として司法判断を受けたわけではありません。ただし、規制業種(金融・医療・公共)での採用を検討する場合、これらの論点は社内のリスク評価プロセスで確実に問われます。
訴訟の経緯は xAI Grok 安全エンジニア解雇訴訟まとめ で整理しています。
競合モデル比較|Fable 5・Opus 4.8・GPT-5.5との違い

出典: Anthropic 公式サイト
項目 | Grok 4.5 | Claude Fable 5 | Claude Opus 4.8 | GPT-5.5 |
|---|---|---|---|---|
提供元 | SpaceXAI | Anthropic | Anthropic | OpenAI |
入力 / 1M | $2 | $10 | $5 | — |
出力 / 1M | $6 | $50 | $25 | — |
コンテキスト | 500K | 1M | — | — |
公開ベンチ4本の順位 | 中位(Opusに2勝2敗) | 全4本で首位 | Grokと互角 | Grokをやや上回る本が多い |
トークン効率 | 高(Opus比 約4.2倍) | — | 基準 | — |
リアルタイムX検索 | 対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 |
EU提供 | 未提供(7月中旬見込み) | 提供済み | 提供済み | 提供済み |
このほか、オープンウェイト系ではGLM-5.2が対抗馬として存在します。またOpenAIのGPT-5.6は2026年6月26日にプレビューが始まり、一般提供は7月末が見込まれています。GPT-5.6の一般提供が始まれば、この比較表の前提は変わります。
比較対象の詳細は GPT-5.5(Spud)とは、GPT-5.6とは、GLM 5.2とは をご覧ください。
こんな人におすすめ
Grok 4.5は「性能の頂点」を求める人ではなく、「十分な性能を安く大量に回したい人」に向いたモデルです。
- エージェントループを大量に回す開発チーム — トークン効率の差が月額コストに直結する。ここが最大の適性
- CI/CDにAIレビューや自動修正を組み込みたいチーム — 定型タスクの単価が効く領域
- すでにCursorを使っている開発者 — 全プランで利用可能、共同学習によって挙動が最適化されている
- リアルタイムのX情報を扱うプロダクト — X検索に対応しているのはGrokシリーズだけ
- Office文書の自動生成を業務に組み込みたい企業 — PowerPointの編集可能な図形出力は実務価値が高い
- コストを理由にフロンティアモデルを諦めていたスタートアップ — Opus級の性能帯に手が届く価格
おすすめしない人
- EUの個人データを扱う、またはEU拠点で利用する企業 — 2026年7月9日時点で提供されていない。これは技術的な妥協ではなく利用不可
- 100万トークン級の長文コンテキストが必要な用途 — 500Kでは足りない。Grok 4.3(1M)やClaude Fable 5(1M)を検討する
- 一発の精度が事業成果を左右する場面 — 本番障害対応や大規模リファクタリングでは、コストを払ってFable 5やOpus 4.8を選ぶ合理性がある
- 自前のガードレールを用意できない組織 — 制約が緩い設計であるため、顧客接点に置くには出力管理の実装が前提になる
- 規制業種で厳格なコンプライアンス審査が必要な企業 — 報道されている安全性・データ取り扱いの論点が社内審査で問われる可能性が高い
- 第三者検証済みのベンチマークで意思決定したい組織 — 現時点の数値はすべてベンダー自己申告
よくある質問
Q. Grok 4.5はClaude Opusを超えましたか?
超えていません。 SpaceXAI自身が公開したベンチマーク4本では、Opus 4.8に対して2勝2敗の互角です。さらに上位モデルのClaude Fable 5には4本すべてで負けています。「Opus級」はマスク氏による性能ティアの表現であり、「Opusを超えた」という意味ではありません。
Q. Grok 4.5のコンテキストは1Mトークンですか?
500Kトークンです。 1Mと記載している情報源がありますが、それはGrok 4.3の仕様です。また「2M」はGrok 4 Fastの仕様です。公式ドキュメント上、Grok 4.5は500Kと明記されています。
Q. 日本から使えますか?
利用できます。 提供が制限されているのは2026年7月9日時点のEUです。日本国内からのAPI利用・Cursor経由の利用に制限はありません。ただしEU居住者の個人データを処理する用途では、EU未提供という制約が実務上の障害になります。
Q. Cursorでの性能が高いと聞きましたが、信頼できますか?
CursorBenchのスコアは割り引いて読む必要があります。 Cursor公式が「Cursorコードベースの過去スナップショットが誤って学習データに混入した」と自己開示しているためです。該当データは今後のイテレーションから除去済みとされ、CursorBench自体も更新中です。一方で、DeepSWE・Terminal-Bench・SWE-Bench Proについては同種の汚染は開示されていません。
Q. Grok 4.5 Fastとの違いは何ですか?
Fastは低レイテンシ版で、Cursor経由の料金は入力$4 / 出力$18と、通常版($2 / $6)の2〜3倍です。対話的なコーディングで応答速度を重視する場合の選択肢ですが、バッチ処理やエージェントループで使うとGrok 4.5最大の利点であるコスト効率が損なわれます。
Q. 開発元はxAIではないのですか?
xAIは2026年2月にSpaceXへ吸収合併され、2026年7月6日に「SpaceXAI」へ正式リブランドされました。Grok 4.5はリブランド後に公開された最初のフロンティアモデルです。検索や報道では「xAI」の名称が残っていますが、現在の正式な開発元はSpaceXAIです。
Q. 画像を入力できますか?
確認が必要です。 テキスト入力への対応は公式ドキュメントで確認できましたが、画像入力について公式ドキュメント上で明確な記載は確認できませんでした(OpenRouterはmultimodalと表記)。マルチモーダル前提で導入する場合は、事前に実機で検証してください。
まとめ
Grok 4.5は、2026年7月9日にSpaceXAI(旧xAI)が一般公開した、コーディングとエージェント業務に特化したMoE型フロンティアモデルです。
- 性能はOpus級。ただし1位ではない — Opus 4.8に2勝2敗、Claude Fable 5には公開ベンチ4本すべてで敗北
- 本当の武器はコスト効率 — 出力単価$6/1MはFable 5の8.3分の1。トークン効率もOpus比約4.2倍で、実質約17倍のコスト差
- コンテキストは500K — 下位のGrok 4.3(1M)より短いという逆転がある
- EUでは2026年7月9日時点で未提供 — 7月中旬提供開始の見込みだが確定していない
- ベンチマークはすべてベンダー自己申告 — 第三者検証は未実施。CursorBenchには学習データ混入の自己開示がある
- 制約が緩い設計 — 企業導入では自前のガードレールが前提になる
「最強のモデルが欲しい」ならClaude Fable 5です。しかし「十分に強いモデルを、大量に、安く回したい」なら、2026年7月時点でGrok 4.5は極めて合理的な選択肢になります。ベンチマークの数ポイント差と、8.3倍の価格差。どちらが自社の意思決定にとって重いのかを見極めることが、このモデルを正しく評価する鍵です。
なお、EU提供状況・第三者ベンチマークの公開・GPT-5.6の一般提供など、本記事の前提は数日単位で変わりうる領域です。導入判断の直前には、必ず公式ドキュメントで最新情報を確認してください。
生成AIの全体像から理解したい方は 生成AIとは?仕組み・種類・活用例・注意点をわかりやすく解説、エージェント活用の基礎は AIエージェントとは? をご覧ください。次期モデルの動向は Grok 5とは|6兆パラメータ・AGI宣言 で追っています。
この記事の著者

AI革命
編集部
AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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