動物病院・獣医療のAI活用事例|画像診断支援・診療記録自動化・ペット保険連携まで【2026年最新】

この記事のポイント
動物病院・獣医療でのAI活用を、レントゲン/エコー画像診断支援・問診効率化・診療記録(SOAP)自動化・ペット保険連携の4領域で整理。主要ツールの料金比較、導入メリットと規制・課題、向いている病院の条件まで2026年7月時点の情報で解説します。
動物病院・獣医療でのAI活用は、「レントゲン/エコーの画像診断支援」「会話からの診療記録(SOAP)自動化」「来院前問診・受付の効率化」「ペット保険の請求・査定連携」の4領域で急速に実用化が進んでいます。慢性的な人手不足と長時間労働、獣医師の地域偏在を背景に、2025〜2026年にかけて国内でも導入事例が増えています。
この記事でわかること:
- 動物病院でAIが使われている4つの領域と具体的な業務
- 主要ツール・サービスの料金と提供形態の比較(2026年7月時点/公式要確認)
- 国内外の導入事例と、各社が訴求する効果(時間削減など)
- 薬機法(動物用医療機器)・個人情報・獣医師の最終責任といった導入前に知るべき課題
- 規模別(個人開業/複数施設/2次診療)の向いている病院・向いていない病院
対象読者は、AI導入を検討している開業獣医師・院長・動物病院の経営/事務スタッフ、およびペット関連事業者です。診療の最終判断は獣医師が行うという前提のもと、「今使えるツール」と「注意点」を実務目線で整理します。
本記事の料金・サービス提供状況は2026年7月時点で確認できた範囲の情報です。料金改定やサービス終了・開始が頻繁に起こる領域のため、導入前には必ず各社公式ページで最新情報を確認してください。
動物病院・獣医療でAI活用が進む背景
獣医療でAIが広がっている最大の理由は、「人手が足りず、書類・記録・画像読影に時間を取られすぎている」からです。AIはこの構造的な負担を軽くする補助ツールとして機能します。
獣医療業界が抱える課題は、人の医療と共通する部分が多くあります。
- 獣医師・動物看護師の慢性的な人手不足と長時間労働
- 獣医師の地域偏在(都市部集中/地方の担い手不足)
- 診療記録(カルテ)・紹介状・報告書などの書類作業の多さ
- 画像読影(X線・超音波)を担う専門医が院内にいないケースが多い
- 飼い主対応・問い合わせ・広報など、診療外業務の増加
AIは、これらの「診療そのもの以外に取られる時間」を削減し、獣医師が判断・処置に集中できるようにする方向で導入が進んでいます。市場調査各社の予測でも、動物保健分野のAI市場は今後10年で大きく成長すると見込まれています。
医療分野全体のAI活用の流れは、医療業界のAI活用事例や薬局・調剤薬局のAI活用事例でも整理しています。獣医療は「人の医療の技術を動物向けに応用する」構図が多く、これらと重なる論点が少なくありません。
動物病院のAI活用領域【業務別一覧表】
動物病院でのAI活用は、大きく次の4領域に整理できます。
活用領域 | 主な業務 | AIの役割 | 期待できる効果 | 主なツール・サービス例 |
|---|---|---|---|---|
① 画像診断・検査支援 | レントゲン/X線・エコー/超音波・尿沈渣・血球・血液化学 | 異常兆候の検出、検査結果のパターン解析、読影補助 | 見落とし低減、検査精度の底上げ、専門医不在時の補助 | IDEXX(SediVue Dx/ProCyte One/Catalyst One)、富士フイルム FCR、SignalPET・Vetology(海外) |
② 診療記録・書類自動化 | 会話→SOAPカルテ、紹介状・報告書作成 | 音声文字起こし+生成AIによる要約・下書き | カルテ入力時間の短縮、書類作成の効率化 | VetAsis、Vetty(声でカルテ)、iVet |
③ 問診・受付・広報の効率化 | 来院前問診、予約・問い合わせ対応、飼い主向け説明文・SNS原稿 | 問診票の自動生成、定型応答、文章の下書き生成 | 受付・事務負担の軽減、飼い主説明の質向上 | myVetty(Vetty)、ChatGPT等の汎用生成AI |
④ ペット保険・バックオフィス連携 | 診療明細レシートのデータ化、保険金請求・査定 | 画像解析OCRでレシートをテキスト化、請求データ連携 | 請求手続きの簡略化、保険会社側の査定工数削減 | アニカル(アニマライフ)、アニコム損保の各種AI基盤 |
① レントゲン・エコーなどの画像診断支援AI

出典:SignalPET公式サイト
画像診断支援AIは、X線や超音波、尿・血液検査の画像/データから異常兆候を検出し、獣医師の読影・判断を補助するものです。最終診断はあくまで獣医師が行い、AIは「見落としを減らす第二の目」として機能します。
検査機器に組み込まれたAI(国内で実用化が進む領域)
国内の動物病院で最も普及しているのは、検査機器メーカーが自社機器に組み込んだAIです。代表格がIDEXXの各種装置です(IDEXX Japan公式解説による)。
- IDEXX SediVue Dx(尿沈渣分析):倒立顕微鏡と高解像度カメラで撮影した画像から、桿菌・球菌、赤血球・白血球・扁平上皮細胞、シュウ酸カルシウム二水和物などの結晶、円柱類をAIが評価します。学習データは8億枚以上(2022年時点)とされ、検査ごとにデータが増え精度が高まる設計です。
- IDEXX ProCyte One(血球計算):4センサー・5情報を解析し、細胞の測定・分類をパターン自動解析します。
- IDEXX Catalyst One(血液化学):画像認識システムと連動し、読み込みエラーや準備完了を通知します。
X線(レントゲン)については、富士フイルムの動物用X線画像診断システム「FCR」が、人医療と同水準のデジタルX線(CR)基盤を獣医療に提供しています。画像そのものをデジタル化することが、AI読影の前提インフラになります。
放射線読影AI(海外先行・国内は限定的)
AIによる放射線レポート自動生成サービスは海外が先行しています。
- SignalPET(SignalSTAT):X線画像のAI解析レポートを短時間で返すサービス(45分保証・24時間対応を訴求、2024年開始)。
- Vetology:AI駆動の放射線レポートとテレラジオロジー(遠隔読影)を組み合わせたサービス。
ただし、これら海外サービスの国内正式提供・日本語対応・薬機法上の位置付けは2026年7月時点で未確認です。本記事では「海外先行事例」として扱い、国内での標準採用状況は限定的である点に留意してください。
AIではなく「人による遠隔読影」という選択肢
画像読影を外部に委ねる方法として、AIとは別に獣医読影医による遠隔画像診断サービスもあります。スカイベッツは、DICOM画像を送信すると獣医読影医(6名)がレポートを作成し、3営業日以内に納品するサービスで、X線・超音波・CT・MRIに対応します(約75施設・年間約3,600件の実績)。
これはAIではなく人の専門医による読影である点が重要です。「AI診断」と「遠隔読影サービス」は混同されがちですが、精度の担保や責任の所在が異なるため、導入時は区別して検討してください。
② 診療記録(SOAP)自動化・書類作成AI

診察中の会話をAIが文字起こしし、SOAP形式のカルテや紹介状・報告書の下書きを自動生成する領域は、国内で最も導入が進んでいる用途の一つです。各社は「カルテ入力時間を約10分→約1分」「半減」などの効果を訴求しています(いずれも各社自己申告値)。
SOAPとは、獣医療・医療のカルテ記載形式で、S(主観的情報=飼い主の訴え)、O(客観的情報=検査所見)、A(評価)、P(計画)の頭文字です。会話からこの4項目に自動整理してくれるのがこのタイプのAIです。
主なツール
- VetAsis(Joy with Paws LLC):iPhone・iPad対応の動物病院専用カルテ作成支援AI。診察中の会話→SOAP自動要約を行い、パトラNeo・ミニイクなどの電子カルテと連携します。14日間の無料トライアルあり。
- Vetty(株式会社MOTOCLE):クラウド電子カルテと飼い主アプリ「myVetty」を提供。「声でカルテ」機能で2024年10月に特許を取得し、2026年2月にISO/IEC 27001認証を取得するなど情報セキュリティ対策を明示しています。
- iVet(株式会社アスクジャパン/生成AI実装:ネットイヤーグループ):2025年4月に生成AIを導入し、2次病院への紹介状・報告書の作成を効率化しています。
導入時の重要な注意点
生成AIによるカルテ・書類作成には、以下の前提があります。
- 出力は必ず獣医師が確認・修正する(AIの下書きをそのまま確定しない)
- 生成AIはハルシネーション(誤情報生成)を起こし得るため、医学的内容の裏取りが必須
- 患者情報・カルテ情報を汎用の一般向けAI(ChatGPT等)にそのまま入力しない(秘密保持・個人情報の観点)。専用ツールを使う場合もクラウド保管範囲を確認する
なお、生成AI(ChatGPT)を採用していた「AI動物病院SOAP」(aiah.jp)は、2026年5月30日にサービス終了・新規受付停止となりました。この領域はサービスの入れ替わりが速いため、導入前の稼働状況確認が欠かせません。汎用生成AIそのものの基礎はChatGPTとは何かを解説した記事も参考にしてください。
③ 問診・受付・広報の効率化AI

出典:船井総合研究所公式サイト
来院前の問診、予約・問い合わせ対応、飼い主向けの説明文やSNS・ブログ原稿の作成など、「診療外の事務・コミュニケーション業務」を生成AIで効率化する領域です。診療そのものではないため導入ハードルが低く、まず最初に着手しやすい用途です。
具体的な活用シーンは次のとおりです。
- 来院前問診:飼い主アプリ(Vettyの「myVetty」など)で事前に症状・経過を入力してもらい、診察をスムーズにする
- 予約・問い合わせ対応:定型的な質問への自動応答
- 飼い主向け説明文の作成:病名・処置・投薬の説明文をわかりやすい日本語で下書き
- SNS・ブログ・院内掲示の原稿作成:ChatGPTなどの汎用生成AIで広報コンテンツの下書き
- スタッフ教育資料・求人原稿の作成
船井総合研究所などは、動物病院向けにChatGPT活用の経営・業務効率化コンサルを提供しており、①業務移譲→②オペレーション最適化→③人材育成という段階的なフレームを示しています。
この領域は汎用生成AIで手軽に始められる一方、飼い主に渡す文章は必ず獣医師・スタッフが内容確認すること、個別のペットの診療情報を汎用AIに入力しないことが前提です。AIを「業務を任せる相手」として捉える考え方は、AIエージェントとは何かを解説した記事も参考になります。
④ ペット保険・バックオフィス連携AI

出典:アニコム損害保険公式サイト
動物病院とペット保険会社の間で発生する「保険金請求・査定」を、画像解析AIで効率化する領域です。競合記事で扱われることが少なく、獣医療AIの中でも見落とされがちな用途ですが、飼い主・病院・保険会社の三者にメリットがあります。
- アニカル(株式会社アニマライフ):飼い主が診療明細レシートをスマホで撮影すると、画像解析AIが文字をテキスト化し、保険会社の基幹システムに自動連携。保険会社側の査定工数を削減します。FPCペット保険(価格.com限定プラン)などで利用できます。
- アニコム損保:オンライン保険金請求サービスやAIデータ基盤(FastLabel導入・2023年)を整備。2026年3月25日には、DENBAと共同開発した健康管理サービス『DENBA Pet care by anicom』(月額4,180円税込)を提供開始しました。
保険請求のデジタル化・自動化は、飼い主の手間削減と病院の事務負担軽減の両方に効きます。保険業界全体のAI活用の動向は保険業界のAI活用事例でも詳しく整理しています。
主要AIツール・サービス比較表(2026年7月時点)
動物病院向けの主なAI関連サービスを、活用領域・提供形態・料金の観点で横断比較します。料金は改定されやすく、正確な金額は各社公式ページで要確認です。
サービス | 活用領域 | 提供形態 | 料金(確認できた範囲) | 特徴・備考 |
|---|---|---|---|---|
VetAsis | 診療記録自動化 | iPhone/iPad対応アプリ(クラウド) | 14日間無料トライアルあり/金額は公式要確認 | 会話→SOAP自動要約。既存電子カルテと連携 |
Vetty | 記録自動化+問診(myVetty) | クラウド電子カルテ+飼い主アプリ | 公式pricingページ要確認 | 「声でカルテ」特許(2024/10)、ISO/IEC 27001認証(2026/2) |
iVet | 書類自動化(紹介状・報告書) | 動物病院向け電子カルテ | 公式要確認 | 2025/4に生成AI実装 |
IDEXX(SediVue Dx等) | 画像診断・検査支援 | 検査機器組込 | 機器・要問い合わせ | 尿沈渣・血球・血液化学のAI解析。学習データ8億枚以上 |
富士フイルム FCR | X線画像基盤 | 機器(デジタルX線) | 要問い合わせ | 人医療同水準のCR。AI読影の前提インフラ |
スカイベッツ | 遠隔画像診断(※人の読影) | DICOM送信→レポート納品 | 公式に料金記載なし(要問い合わせ) | AIではなく獣医読影医6名。3営業日以内納品 |
アニカル | ペット保険連携 | 飼い主向け請求アプリ | 要確認 | 画像解析AIでレシートをテキスト化 |
AI動物病院SOAP | 診療記録自動化 | クラウド | 月5,667円〜(※2026/5/30終了) | サービス終了済み。新規導入不可 |
※「AI動物病院SOAP」は2026年5月30日でサービス終了しているため、新規導入の選択肢からは外れます(注意事例として掲載)。
動物病院がAIを導入するメリット
AI導入で得られる主なメリットは、「時間」「精度」「経営」の3つに整理できます。
- 診療外業務の時間削減:カルテ入力・紹介状・報告書・広報原稿などの作成時間が短縮され、獣医師・スタッフが診療や飼い主対応に集中できます(各社はカルテ入力の大幅短縮を訴求)。
- 診断・検査精度の底上げ:画像診断支援AIが異常兆候の見落としを減らし、専門医が院内にいない場合の補助になります。腫瘍・関節疾患・心疾患・呼吸器疾患などの早期兆候検出に寄与します。
- 人手不足・偏在への対応:少人数の病院でも、記録・読影・事務の一部をAIや外部サービスに任せることで運営負荷を平準化できます。
- 飼い主満足度の向上:来院前問診や、わかりやすい説明文の提供により、コミュニケーションの質が上がります。
- バックオフィスの効率化:ペット保険請求・査定の自動化で、事務手続きの手間が減ります。
導入コスト感とハードル
AI導入のコストとハードルは、着手する領域によって大きく異なります。「まず何から始めるか」の判断材料として整理します。
導入タイプ | 初期コスト感 | ハードル | 向く病院 |
|---|---|---|---|
汎用生成AI(広報・問診の下書き) | 低(月額数千円〜、無料枠も) | 低。すぐ始められるが情報入力ルールが必要 | すべての病院の第一歩 |
SOAP自動化ツール | 中(月額数千〜数万円+既存カルテ連携) | 中。既存電子カルテとの相性確認が必要 | 記録業務の負担が重い病院 |
画像診断・検査機器のAI | 高(機器導入・更新費用) | 高。機器投資と運用体制が前提 | 検査を院内完結したい中〜大規模病院 |
遠隔読影・保険連携サービス | 従量・要問い合わせ | 中。導入自体は比較的容易 | 専門医不在の病院/保険請求が多い病院 |
主なハードルは、①既存の電子カルテ(パトラ・Ahmics・アニレセ等)との連携可否、②スタッフのITリテラシーと運用ルールの整備、③機器投資の回収見込み、④規制・責任・情報管理の4点です。まずは低コストで始められる汎用生成AIやSOAP自動化ツールの無料トライアルから試し、効果を確認して段階的に広げるのが現実的です。
規制・コンプライアンス上の注意点
獣医療でAIを使う際は、「薬機法(動物用医療機器)」「個人情報・秘密保持」「獣医師の最終責任」の3点を必ず押さえる必要があります。ここは競合記事で手薄になりがちですが、導入判断の核心です。
1. 動物用医療機器の承認(薬機法)
動物用医療機器は、人用が厚生労働大臣の承認であるのに対し、農林水産大臣の承認が必要です。X線診断装置は中リスク機器に分類されます。AI診断ソフトが「動物用医療機器」に該当するか、承認を得ているかは製品ごとに異なるため、導入前に個別確認が必要です。また、施設開設者・獣医師には、医薬品・医療機器等の副作用/不具合を農林水産大臣に報告する義務があります(医薬品医療機器等法)。
なお、飼育動物診療施設に対するヒト用医療機器の情報提供については、日本画像医療システム工業会(JIRA)のガイドラインがあります。
2. 個人情報・カルテ情報の取り扱い
- 飼い主の個人情報や患者(ペット)のカルテ情報を、汎用の一般向けAIにそのまま入力しない。秘密保持・プライバシーの観点から原則禁止と考えるべきです。
- 専用ツールを使う場合も、クラウド保管の範囲・保存期間・第三者提供の有無を確認します。Vettyが取得したISO/IEC 27001認証のような、情報セキュリティ体制の裏付けがあるかは選定の重要な指標です。
3. 生成AIのハルシネーションと獣医師の最終責任
- 最終診断・治療判断は獣医師の責任です。AIは補助ツールであり、診断を代替しません。
- 生成AIは誤った医学情報を出力し得るため、出力は必ず獣医師が確認・修正します。「そのまま使わない」を運用ルールに明文化しておくことが重要です。
- 画像診断AIは学習データに依存するため、稀少疾患・特殊症例では精度が落ちる点も理解しておく必要があります。
医療分野全体のセキュリティ・規制の考え方は、歯科医院のAI活用事例や介護業界のAI活用事例など、隣接領域の記事でも共通する論点として扱っています。
国内外の導入事例と市場動向
国内では診療記録自動化と検査機器AIの導入が進み、市場は今後10年で大きく成長すると予測されています。
主な最新動向(確認できた範囲):
- 2024年10月:Vettyが「声でカルテ」機能で特許取得
- 2025年4月:iVetが生成AIで紹介状・報告書作成を効率化(実装:ネットイヤーグループ)
- 2026年2月:MOTOCLE(Vetty)がISO/IEC 27001認証取得
- 2026年3月25日:アニコム損保×DENBAの『DENBA Pet care by anicom』提供開始(月額4,180円税込)
- 2026年5月30日:「AI動物病院SOAP」(aiah.jp)サービス終了
市場規模については、動物保健分野のAI市場が2025年の約15億152万米ドルから2035年に約100億3,721万米ドルへ、CAGR 21.80%(2026〜2035年)で成長するとの予測があります(Report Ocean等のレポート予測値)。日本を含むアジア太平洋が最速成長、北米が最大シェアと見込まれ、主要企業にZoetis・IDEXX・Heska・Merckなどが挙げられています。ただしこれらはレポート販売各社の予測値であり、断定的な数値ではない点に留意してください。
向いている動物病院・向いていない動物病院
AI導入の適否は、病院の規模・体制・課題によって変わります。規模別に整理します。
AI導入が向いている病院
- カルテ・書類作成の負担が重い病院:SOAP自動化ツールの効果が出やすい
- 少人数・人手不足で長時間労働が常態化している病院:記録・事務・読影の一部を外部化できる
- 検査を院内で完結させたい中〜大規模病院:検査機器組込AIへの投資対効果が見込める
- 画像読影の専門医が院内にいない病院:遠隔読影サービスやAI読影補助が有効
- ペット保険の請求対応が多い病院:保険連携AIで事務を効率化できる
- 飼い主向け広報・説明に力を入れたい病院:汎用生成AIで低コストに着手できる
現時点では慎重に検討すべき病院
- AIの出力を確認・修正できる体制(獣医師のチェック工数)を確保できない病院
- 既存の電子カルテとの連携が取れず、二重入力が増えてしまう病院
- 個人情報・カルテ情報の管理ルールを整備できていない病院
- 稀少疾患・特殊症例中心で、画像診断AIの精度が担保しにくい診療領域
- 機器投資の回収見込みが立たない小規模・低稼働の病院(まずは低コストの生成AI活用から)
いずれの場合も、AIは獣医師の判断を置き換えるものではなく、時間と精度を底上げする補助ツールという位置付けを崩さないことが大前提です。
まとめ
動物病院・獣医療のAI活用は、①画像診断支援、②診療記録(SOAP)自動化、③問診・受付・広報の効率化、④ペット保険連携の4領域で実用段階に入っています。
- 最も導入しやすいのは、汎用生成AIによる広報・問診の効率化(低コスト・すぐ着手可能)
- 効果が実感しやすいのは、SOAP自動化ツールによるカルテ入力時間の短縮(VetAsis・Vetty・iVetなど)
- 検査・画像診断はIDEXX等の機器組込AIが国内で先行し、放射線読影AIは海外先行段階
- ペット保険連携(アニカル等)は競合が薄く、事務効率化の余地が大きい
- 導入時は薬機法(動物用医療機器)・個人情報・獣医師の最終責任を必ず押さえる
サービスの入れ替わりが速い領域のため(2026年5月に終了したサービスもあります)、導入前には各社公式ページで最新の料金・稼働状況・セキュリティ体制を確認してください。まずは低コストな用途で試し、効果を見ながら段階的に広げるのが失敗しない進め方です。
他業界のAI活用の考え方は、医療業界のAI活用事例、薬局のAI活用事例、保険業界のAI活用事例もあわせて参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 動物病院のAIは獣医師の診断を置き換えますか?
いいえ。現時点でAIは補助ツールであり、最終診断・治療判断は獣医師の責任です。画像診断支援AIも「見落としを減らす第二の目」として使い、出力は必ず獣医師が確認・修正します。
Q. カルテ作成AIにペットや飼い主の情報を入力しても大丈夫ですか?
専用ツール(VetAsis・Vetty等)はそのために設計されていますが、クラウド保管範囲・保存期間・セキュリティ認証(ISO/IEC 27001等)を事前に確認してください。一方、ChatGPTなどの汎用AIに患者情報・カルテ情報をそのまま入力するのは、秘密保持・個人情報の観点から避けるべきです。
Q. まず何から導入すればいいですか?
コストとハードルが低い、汎用生成AIによる広報・説明文・問診の下書き作成から始めるのが現実的です。効果を確認したうえで、SOAP自動化ツールの無料トライアル、さらに検査機器AIや遠隔読影サービスへと段階的に広げるのがおすすめです。
Q. レントゲンやエコーのAI読影は日本で使えますか?
検査機器に組み込まれたAI(IDEXX等)は国内で普及していますが、AIによる放射線レポート自動生成サービス(SignalPET・Vetology等)は海外先行で、2026年7月時点の国内正式提供・日本語対応・薬機法上の位置付けは要確認です。国内では、獣医読影医による遠隔読影サービス(スカイベッツ等)が実用的な選択肢になります。
Q. AI導入にかかる費用の目安は?
汎用生成AIは月額数千円〜(無料枠あり)、SOAP自動化ツールは月額数千〜数万円程度、検査機器AIは機器投資が前提で高額、遠隔読影・保険連携は従量・要問い合わせが一般的です。正確な金額は各社公式ページで確認してください(料金は改定されやすいため)。
この記事の著者

AI革命
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