AIツール2026年10月更新

Gemini 3.8 Flash TTSとは?30秒で声をクローン・2,000種の音声・料金・日本語対応・使い方【2026年10月】

公開日: 2026/09/28
更新日: 2026/10/15
Gemini 3.8 Flash TTSとは?30秒で声をクローン・2,000種の音声・料金・日本語対応・使い方【2026年10月】

この記事のポイント

Gemini 3.8 Flash TTSは、Googleのテキスト読み上げ専用モデルです。声のクローンとボイスデザイン、Flash-Lite TTSとの違い、Standard・Batch・Flex・Priorityの公式料金と1時間あたりの試算、日本語対応、Google Cloud(Agent Platform)でのPreview提供の状況、使い方と権利面の注意点をまとめました。

Gemini 3.8 Flash TTSは、Googleが2026年9月23日(米国時間)に発表したテキスト読み上げ(TTS)専用のAIモデルです。入力したテキストを、スタジオ品質のナレーションや2人の掛け合い音声にします。声は既製の音声から選べるほか、文章で説明して新しく作ったり、本人の同意を得たうえで短い録音から声を再現(クローン)したりもできます。

Gemini APIでは9月22日からプレビューではなく一般提供(GA)として使えます。9月28日には、Google Cloudの「Gemini Enterprise Agent Platform(旧Vertex AI)」でもPreviewとして提供が始まりました。無料枠があり、有料でも2026年内は1時間の音声あたり約0.81ドルです(公式の換算レートで試算)。ただし2027年1月1日から料金は2倍になります。日本語にも対応しており、Google AI Studioからすぐに試せます。

ナレーション制作・オーディオブック・ゲームの音声・電話の自動応答などでAI音声を使いたい開発者、クリエイター、企業の担当者向けに、同時に発表されたFlash-Lite TTSとの違い、料金の試算、声のクローン手順、ElevenLabs・OpenAIとの違い、権利面の注意点までまとめました。

ポイント

要点

何か

Googleのテキスト→音声専用モデル。Gemini API / Google AI StudioでGA(一般提供)、Google Cloud(Agent Platform)ではPreview

目玉機能

10〜30秒の本人音声+同意録音で声を再現できる「ボイスレプリケーション」、文章から声を作る「ボイスデザイン」

料金

無料枠あり。有料は音声出力100万トークンあたり$9(2026年内)→$18(2027年1月〜)

日本語

対応。声のクローンに使う日本語の同意文も用意されている

おすすめな人

長尺ナレーション、キャラクター音声、多言語コンテンツを低コストで作りたい人

おすすめしない人

リアルタイム音声会話を作りたい人、Google Cloud上で本番SLAつきの正式提供が必須の企業


Gemini 3.8 Flash TTSとは|Googleのテキスト読み上げ専用モデル

Gemini 3.8 Flash TTSとFlash-Lite TTSの発表画像

出典: Google公式ブログ

Gemini 3.8 Flash TTSは、テキストだけを受け取り、音声だけを出力する読み上げ専用モデルです。チャットやコード生成をするGeminiとは別系統で、「台本を人間らしく演じて読む」ことに特化しています。Googleは「Gemini Audio」と呼ぶ音声モデル群の一つとして位置づけており、文字起こしの3.5 Transcribe、音声翻訳の3.5 Live Translate、音声対話の3.8 Liveと並ぶ製品です。

同時に、軽量版のGemini 3.8 Flash-Lite TTSも発表されました。2つのモデルの関係は次のとおりです。

項目

Gemini 3.8 Flash TTS

Gemini 3.8 Flash-Lite TTS

モデルコード

gemini-3.8-flash-tts

gemini-3.8-flash-lite-tts

位置づけ

最上位。スタジオ品質・演技表現・長尺での安定性重視

高スループット・低遅延・低コスト重視

公式が挙げる用途

オーディオブック、ナレーション、複雑な掛け合い、ゲーム、ポッドキャスト

大量生成、音声エージェント、吹き替え

対応言語

130言語以上(日本語含む)

100言語以上(日本語含む)

旧モデルとの関係

新設の最上位ティア

gemini-3.1-flash-tts-preview の置き換えとして開発

提供ステージ(Gemini API)

GA(2026年9月22日〜)

GA(2026年9月22日〜)

入力上限 / 出力上限

8,192トークン / 16,384トークン

8,192トークン / 16,384トークン

公式ブログでは総称として「100以上の言語と方言」に対応すると説明されています。モデルごとの対応言語数は、Gemini APIのモデルページの記載(Flash TTSは130以上、Flash-Lite TTSは101)を参照するのが確実です。

どこで使えるか

2026年10月16日時点の提供先は、利用者のタイプによって分かれます。

利用者

提供先

状況(2026年10月16日確認)

開発者

Gemini API / Google AI Studio

Flash TTS・Flash-Lite TTSともにGA。AI Studioの音声生成画面で試せる

企業(Google Cloud)

Gemini Enterprise Agent Platform(旧Vertex AI)

Flash TTSは9月28日からPreview。ロケーションは global のみ、GenerateContent APIで呼び出す。ボイスデザイン・声のクローンにも対応

企業(Google Cloud)

Cloud Text-to-Speech API

使えない。公式ドキュメントに「3.8はGemini Enterprise API経由のPreviewのみ」と明記

一般ユーザー

Gemini Notebook(Flash TTS)、Google Vids(Flash-Lite TTS)

公式ブログでは全ユーザー向けに展開するとされている。日本での提供時期・必要なプランは未確認

外部プラットフォーム

Vercel AI Gateway、OpenRouter など

提供開始

Google Cloudでは名前の似たサービスが2つあるため注意が必要です。Cloud Text-to-Speech APIで使えるGemini系の音声は、現時点で3.1 Flash TTS Preview、2.5 Flash TTS、2.5 Flash Lite TTS Preview、2.5 Pro TTSまでです。3.8を社内のGoogle Cloud環境で使いたい場合は、Agent Platform側を選びます。ただしPreviewにはGA前の規約(Pre-GA規約)が適用されるため、本番の顧客向けサービスに組み込む前に、サポート範囲を確認しておくと安心です。Agent Platform上のFlash-Lite TTSは、公式ドキュメントのメニューには掲載されているものの、提供ステージの詳細を確認できていません。

公式ブログでは、Figma、HeyGen、Wondercraft、LiveKit、Pipecat、Agoraなどのパートナーも紹介されています。音声エージェント基盤やクリエイティブツール経由で、間接的に使う機会も増えていく見込みです。

同世代のテキスト生成モデルについてはGemini 3.8 Flashとは、Gemini全体の位置づけはGeminiとはで整理しています。


Gemini 3.8 Flash TTSでできること

主にできることは、「声を選ぶ・作る」「演技を細かく指示する」「長い音声を安定して作る」の3つです。

声の選び方は4種類

これまでのGemini TTSとの一番の違いは、声の選択肢が大きく広がった点です。

声の選び方

内容

向いている用途

プリビルト音声

Kore、Puck、Charon、Zephyr、Fenrirなど30種類の名前付き音声

すぐ試したい、2人の掛け合いを1回で作りたい

拡張ボイスライブラリ

公式ブログでは2,000種以上。言語・地域・アクセント・性別・ピッチ・ペルソナ・用途で絞り込める

ナレーター役やキャラクター役を多くの候補から探したい

ボイスデザイン

「落ち着いた30代の関西弁の女性ナレーター」のような文章から新しい声を作る。voice_... のIDとサンプル音声が返り、再利用できる

ブランド専用の声、ゲームのキャラクター

ボイスレプリケーション(声のクローン)

話者本人の短い録音から声質を再現する

自分の声でのナレーション、本人公認の声の量産

「2,000種以上」は公式ブログの表現です。一方、Gemini APIのドキュメントでは拡張ライブラリを「数百(hundreds)」、9月22日のリリースノートでは「150以上のプリビルト・カスタム音声を照会できる」と書かれており、資料によって数え方が違います。言語によって選べる数にも差があるため、日本語で使える声は client.voices.list() で言語を絞って実際に確かめるのが確実です。

1行ごとの演技指示と音声タグ

台本の1行ごとに、話すペース・感情・アクセント・方言の切り替えを指示できます。さらに文中に山括弧のタグを書くと、笑い声やため息などの非言語音も入れられます。公式ドキュメントには30種類以上のタグが載っており、代表的なものは次のとおりです。

  • <laugh>(笑い)、<chuckle>(含み笑い)、<giggle>(くすくす笑い)、<sigh>(ため息)
  • <breath>(息づかい)、<gasp>(息をのむ)、<cough>(咳)、<yawn>(あくび)
  • <whispers>(ささやき)、<shout>(叫ぶように)、<sob>(すすり泣き)
  • <short pause> / <long pause>(間)

日本語の台本でも、タグは英語のまま書くのが推奨です。「<笑い>」のように日本語化すると、そのまま読み上げられたり無視されたりするおそれがあります。相づち(「mhm」「yeah」のようなバックチャネル)も台本で指定できるため、ポッドキャスト風の自然な会話が作りやすくなっています。

2人の掛け合いと長尺ナレーション

プリビルト音声を使う場合、1回のリクエストで最大2人の掛け合いを生成できます。また、数分〜数時間のナレーションでも、声の同一性・音色・音量・部屋鳴りが途中で崩れにくい(ボイスドリフトが起きにくい)と公式ブログで強調されています。具体的な数値は示されていませんが、オーディオブックのような長尺用途を意識した設計です。

出力フォーマット

通常のリクエストではWAV(24kHz・モノラル・16bit PCM)が既定です。ストリーミング時はヘッダなしのLinear PCMで返り、電話向けのmu-law / A-law(G.711)にも対応しています。サンプリングレートも24kHz・16kHz・8kHzなどから指定できるため、IVR(電話の自動音声応答)の音声素材を作る用途でも扱いやすい仕様です。

できないこと

一方で、次のことはできません。

  • 音声の入力・リアルタイム会話:Live APIには非対応です。ユーザーと声でやり取りするAIを作るなら、Gemini 3.8 Liveのような別モデルを使います
  • 関数呼び出し・検索・Thinking・構造化出力・コード実行:いずれも非対応です
  • 音声→テキスト:文字起こしはGemini 3.5 Transcribe、音声翻訳はGemini 3.5 Live Translateの担当です
  • ボイスリミックス:音色・ピッチ・話速・アクセントを後から調整する機能は、2026年10月16日時点でも「近日提供」のままです

30秒で声をクローンする「ボイスレプリケーション」の仕組み

声のクローンは、10〜30秒の本人の音声と、同じ人が読み上げた「同意文」の録音の2つがそろって初めて作れます。「30秒あれば誰の声でもコピーできる」機能ではありません。

公式ブログでは「30秒の音声サンプル」と説明されていますが、公式ドキュメント上の参照音声の目安は10〜30秒です。必要なものは次の2点です。

素材

内容

ポイント

参照音声

同じ成人話者の自然でクリアな発話 10〜30秒

雑音の少ない環境で録る。推奨は24kHz・モノラル・16bit WAV

同意音声

同じ話者が所定の同意文を読み上げた録音

参照音声と同一人物かを話者照合する。文言の言い換えは不可

日本語の同意文は、公式ドキュメントで次のように定められています。

私はこの音声の所有者であり、Googleがこの音声を使用して音声合成モデルを作成することを承認します。

同意文は日本語を含む30のロケールで用意されています。公式ドキュメントでは、どちらの録音も実在の人間が話したものであることが条件とされています。他社のTTSで作った声や、ボイスデザインで作った声を参照音声にできるかは、開発者フォーラムで質問が出ているものの、公式の回答は確認できていません。

ボイスレプリケーションはFlash TTS・Flash-Lite TTSの両方で使えると公式ドキュメントに書かれています。ただし公開直後の9月末〜10月には、Voices APIでエラーが返るという報告が開発者フォーラムに複数出ていました。業務に組み込む場合は、失敗時に再試行する処理を入れておくと安全です。

作った声の保存方法と期限

作成した声は、保存方法によって扱いが変わります。運用の設計に直接かかわるため、導入前に把握しておきたい項目です。

保存方式

返ってくるもの

上限・期限

ステートフル(既定)

永続的な voice_... のID

1プロジェクトあたり最大200音声(デザインとクローンの合計)。最後に使ってから1年で削除

ステートレス

利用者側で保管する voicekey_...

有効期限7日

ステートフル方式の保持期間は、作成から1年ではなく「最後に使ってから1年」です。音声の生成に使ったり、リミックスの元にしたりするとカウントがリセットされるため、使い続けている声が突然消えることはありません。逆に、季節もののキャンペーン用の声のように1年以上間が空くものは消える可能性があります。長期で使う声は、参照音声と同意音声の元データを自社で保管し、作り直せる状態にしておくと安心です。

日本から使えるか

AI Studioでのボイスレプリケーションは、米イリノイ州・テキサス州、EEA(欧州経済領域)、英国、スイス、インドでは利用できないと公式ブログで案内されています。日本はこの対象に入っていません。API経由で使う場合の地域条件は、公式の「Available regions」ページで個別に確認できていないため、海外拠点を含めて使う企業は、事前に各拠点から動作を確かめてください。


Gemini 3.8 Flash TTSの強み

前世代や他社サービスと比べて有利なのは、声づくりの自由度、演技表現、価格の3つの面です。

  1. 声をセルフサービスで作れる:ボイスデザインと声のクローンを、営業窓口を通さずAPIとAI Studioから使えます。海外メディアのThe New Stackは、OpenAIのカスタム音声が営業経由であるのに対し、Googleはセルフサービスにしたと対比しています
  2. 演技の指示が細かい:1行ごとの感情・ペース指示と30種類以上の音声タグで、朗読ではなく「演じる」音声を作れます
  3. 長尺でも声がぶれにくい:オーディオブックや長い研修動画で、途中から別人のような声になるリスクを抑えています
  4. 2026年内は価格が安い:音声出力の単価は100万トークンあたり$9で、前世代の3.1 Flash TTS Preview($20)の半分以下です
  5. 評価指標で上位:Google発表では、Hume AI Voice Design Benchmarkで総合1位(71.4)。人間がブラインドで聞き比べるVoice Arenaでも、日本語を含む複数言語で上位に入ったとされています。ただしいずれもGoogle側の発表値で、ベンチマーク作成者がGoogleの発表に関わっている点を指摘するレビューもあります。声のクローン品質を他社と比べた第三者の評価は、まだ多くありません
  6. 透かしが標準で入る:Gemini Audioモデルの出力にはすべてSynthIDの電子透かしが入り、声のクローンではC2PAのコンテンツ認証情報にも対応すると公式ブログで説明されています

Gemini 3.8 Flash TTSの弱み・注意点

Google Cloudのロゴ

出典: Google Cloud公式ドキュメント

弱みは、「Google Cloud側はまだPreview段階」であることと「2027年に料金が上がる」ことです。

  • Google Cloud側はPreviewのみ:Agent Platformでは9月28日からPreviewとして使えますが、ロケーションは global のみで、GenerateContent API以外(Live API、トークン数の事前計算など)には対応していません。Cloud Text-to-Speech APIでは使えません
  • 2027年1月1日から料金が2倍:2026年内は導入価格です
  • 同時に話せるのは2人まで:1回の掛け合い生成はプリビルト音声に限られます。カスタム音声同士の掛け合いは、話者ごとに別々に生成して結合する必要があります
  • 1リクエストの入力は8,192トークンまで:長い原稿は章や段落単位で分割して生成します
  • 読み間違いや指示どおりにならない場合がある:難読の人名や数字は誤読することがあります。演出指示はあくまでプロンプトで、「男性の声を指定したのに女性の声になった」といった報告もあります。本文中に書いた演出指示まで読み上げてしまうケースもあるため、台本と指示は分けて書き、作り直す前提で工程を組むのが安全です
  • ボイスリミックスは未提供:生成後に声を微調整したい場合は、現時点では作り直しが必要です

Gemini 3.8 Flash TTSの料金

Gemini APIの公式ドキュメント画像

出典: Gemini API公式ドキュメント(料金)

無料枠で試せて、有料でも1時間の音声あたり約0.81ドル(2026年内・Standard)です。ただし2027年1月1日から全ティアの単価が2倍になります。

公式料金(100万トークンあたり・USD)

Gemini API公式料金ページ(2026年10月16日確認)の内容です。料金ページには10秒の音声あたりの価格も併記されています。

Gemini 3.8 Flash TTS

ティア

入力(テキスト)

出力(音声)

音声10秒あたり

Standard 無料枠

無料

無料

-

Standard 有料(〜2026/12/31)

$0.50

$9.00

$0.00225

Standard 有料(2027/1/1〜)

$1.00

$18.00

$0.0045

Batch / Flex(〜2026/12/31)

$0.25

$4.50

$0.001125

Batch / Flex(2027/1/1〜)

$0.50

$9.00

$0.00225

Priority(〜2026/12/31)

$0.90

$16.20

$0.00405

Priority(2027/1/1〜)

$1.80

$32.40

$0.0081

Gemini 3.8 Flash-Lite TTS

ティア

入力(テキスト)

出力(音声)

音声10秒あたり

Standard 無料枠

無料

無料

-

Standard 有料(〜2026/12/31)

$0.50

$6.00

$0.0015

Standard 有料(2027/1/1〜)

$1.00

$12.00

$0.003

Batch / Flex(〜2026/12/31)

$0.25

$3.00

$0.00075

Batch / Flex(2027/1/1〜)

$0.50

$6.00

$0.0015

Priority(〜2026/12/31)

$0.90

$10.80

$0.0027

Priority(2027/1/1〜)

$1.80

$21.60

$0.0054

参考:旧世代のTTSモデル(出力単価)

モデル

無料枠

入力 / 出力

Batch 入力 / 出力

3.1 Flash TTS Preview

あり

$1.00 / $20.00

$0.50 / $10.00

2.5 Flash Preview TTS

あり

$0.50 / $10.00

$0.25 / $5.00

2.5 Pro Preview TTS

なし

$1.00 / $20.00

$0.50 / $10.00

BatchとFlexは同じ単価で、急がない処理を安く回すためのティアです。Priorityは混雑時にも優先して処理されるぶん、Standardの1.8倍の単価になっています。

2027年の2倍価格になっても、3.8 Flash TTSの出力単価($18)は3.1 Flash TTS Preview($20)を下回ります。3.1 Previewから移行する場合、コスト面での不利はありません。

ボイスデザインやボイスレプリケーションで声を作る操作そのものの料金は、公式料金ページに記載がありません。「追加料金なし」と決めつけず、利用前に最新の料金ページを確認してください。Google Cloud(Agent Platform)経由で使う場合の単価も、料金ページで3.8 TTSの行を確認できていません。レート制限の具体値は、公式では「AI Studioのダッシュボードで確認」とされています。

1分・1時間・オーディオブック1冊あたりの目安

公式料金ページには「音声トークンは音声1秒あたり25トークン」と明記されています(1分で1,500トークン、1時間で90,000トークン)。この換算レートで出力料金を試算すると次のとおりです。入力テキスト分の料金は含んでいません。

生成する音声の長さ

3.8 Flash TTS(2026年内)

3.8 Flash TTS(2027年〜)

3.8 Flash-Lite TTS(2026年内)

3.8 Flash-Lite TTS(2027年〜)

1分

$0.0135

$0.027

$0.009

$0.018

1時間

$0.81

$1.62

$0.54

$1.08

8時間(オーディオブック1冊相当)

$6.48

$12.96

$4.32

$8.64

1時間(Batch / Flex)

$0.405

$0.81

$0.27

$0.54

急ぎでない大量生成はBatchかFlexを使うと、出力単価が半額になります。たとえば研修動画100時間分のナレーションを3.8 Flash TTSのBatch(2026年内)で作る場合、出力料金は約$40.5が目安です。実際には読み直しや作り直しが発生するため、予算は試算の1.5〜2倍程度で見ておくと現実的です。

無料枠を業務で使うときの注意

公式料金ページでは、3.8 Flash TTS・Flash-Lite TTSともに、無料枠の入出力は「製品の改善に使われる」、有料枠では「使われない」と明記されています。社内の未公開原稿や、声優・ナレーターの音声を扱う場合は、有料枠で使うのが基本です。クローン用の参照音声・同意音声そのものの保存や学習利用の扱いは、公式に個別の説明を確認できていないため、規約もあわせて確認してください。

一般ユーザー向けのGemini Notebook・Google Vidsで使う場合の料金やプラン条件は、現時点で公式に明示されていません。


日本語対応の状況

日本語は、Flash TTS・Flash-Lite TTSの両方で対応言語として明記されています。声のクローンに必要な同意文にも日本語版(ja-JP)が用意されており、日本語話者が自分の声でクローンを作るまでの流れはひと通りそろっています。

言語は自動で判定されるため、日本語の台本をそのまま入れれば日本語で読み上げます。ボイスデザインでは「関西弁」のような方言の指定も可能です。Google発表では、Voice Arenaの日本語部門でも上位に入っています。第三者のまとめでは、日本語ボードのスコアがElevenLabs Eleven v3を上回ったとする記述もありますが、Eloスコアは相対的な評価である点に注意してください。

実務で気をつけたいのは2点です。1つは読み間違いで、固有名詞・社名・数字・単位は、ひらがなや読みやすい表記に置き換えた「読み上げ用台本」を別に用意すると修正の手間が減ります。もう1つは音声タグで、日本語の台本でもタグは <laugh> のように英語で書きます。


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Gemini 3.8 Flash TTSの使い方

Google AI Studioの紹介画像

出典: Google AI Studio公式サイト

使い方は、「ノーコードで試す(AI Studio)」「APIで組み込む」「一般向けアプリで使う」の3パターンです。まずはAI Studioで声と演技を確かめてから、APIに移るのが効率的です。

Google AI Studioで試す手順

  1. GoogleアカウントでGoogle AI Studioにログインする
  2. 音声生成(Generate speech)の画面を開く
  3. モデルで Gemini 3.8 Flash TTS(または Flash-Lite TTS)を選ぶ
  4. 声を選ぶ(プリビルト音声・ライブラリから選択、またはボイスデザインで作成)
  5. 台本を入力し、必要に応じて感情の指示や <laugh> などのタグを入れる
  6. 生成して試聴し、気に入ったらWAVでダウンロードする

声のクローンを作る手順

  1. 静かな部屋で、自分の自然な話し声を10〜30秒録音する(原稿の朗読より、普段の話し方のほうが自然に再現されやすい)
  2. 同じマイク・同じ部屋で、日本語の同意文を一字一句そのまま読み上げて録音する
  3. AI Studioの画面、またはVoices API(POST /v1beta/voices)に2つの音声をアップロードする
  4. 作成された声のID(voice_...)を保存し、以降の音声生成で指定する

公式ドキュメントでも、話者照合を通すために「2つの録音は同じマイク・同じ音響環境で録る」よう案内されています。

APIで組み込む場合の流れ

公式ドキュメントのサンプルでは、Python SDKから次のような流れで呼び出します。パラメータ名はSDKの更新で変わる可能性があるため、実装時はText-to-speech generationの公式ドキュメントを確認してください。

# 概略(公式ドキュメントのサンプルを簡略化したもの)
interaction = client.interactions.create(
    model="gemini-3.8-flash-tts",
    input="こんにちは。本日のニュースをお伝えします。",
    generation_config={
        "speech_config": {
            # プリビルト音声名、またはボイスデザイン/クローンで作った voice_... のIDを指定
        }
    },
)
audio_base64 = interaction.output_audio.data  # base64の音声データ

現在のGemini APIのサンプルはInteractions APIで書かれていますが、従来のgenerateContentを使う手順も「Generate Content API (Legacy)」として公式に残っています。Google CloudのAgent Platformで使う場合は、GenerateContent APIのみ対応です。拡張ボイスライブラリは client.voices.list()(google-genai 2.25.0以上、@google/genai 2.24.0以上)で言語・性別・用途などを条件に一覧を取得できます。

業務システムに組み込む場合は、長い原稿を8,192トークン以内に分割して生成し、音声をつなげる処理と、作成した voice_... のIDを社内で管理する仕組みが必要になります。電話の自動応答や研修動画の制作フローのような既存の業務システムに新しいモデルを組み込むときの方法と費用の目安は、既存システムにAIを組み込む方法で整理しています。

一般ユーザーが使う場合

プログラミングをしない人は、Gemini Notebook(Flash TTS)やGoogle Vids(Flash-Lite TTS)経由で新しい音声を使えるようになります。公式ブログではいずれも全ユーザー向けに展開するとされていますが、日本での提供時期や必要なプランは現時点で確認できていません。


他の音声生成AIとの違い

Gemini 3.8 Flash TTSの特徴は、声づくり(デザイン・クローン)をセルフサービスで提供し、価格を低めに設定している点です。他社の料金は改定が多いため、表では数値を載せず、各公式ページでの確認を前提にしています。

比較項目

Gemini 3.8 Flash TTS

Gemini 3.8 Flash-Lite TTS

ElevenLabs

OpenAI(GPT-Realtime系など)

主な用途

高品質ナレーション、ゲーム、オーディオブック

大量生成、吹き替え、音声エージェント

ナレーション、キャラクター音声、吹き替え

リアルタイム音声対話

文章から声を作る

対応(ボイスデザイン)

対応

対応(Voice Design)

公式で要確認

声のクローン

本人の同意録音つきでセルフサービス

対応

対応

カスタム音声は営業経由と報道

リアルタイム会話

非対応(Liveは別モデル)

非対応

別製品で対応

得意分野

日本語

対応

対応

対応

対応

透かし

SynthID(クローンはC2PAも)

SynthID(クローンはC2PAも)

公式で要確認

公式で要確認

料金

出力100万トークン$9(2026年内)

出力100万トークン$6(2026年内)

公式サイト参照

公式サイト参照

評価指標の上では、Voice Design BenchmarkでGemini(71.4)とElevenLabs Voice Design v3(70.8)が僅差とする整理もあり、声質や人間らしい抑揚など一部の項目ではElevenLabsが上回るとの報道もあります。品質は用途と言語によって変わるため、同じ台本で聞き比べてから決めるのが確実です。

各ツールの詳細は、ElevenLabs Voice Design v3とは、GPT-Realtime-2とはで解説しています。

用途別の選び方

やりたいこと

おすすめ

オーディオブック・長尺ナレーション

Gemini 3.8 Flash TTS

ゲームやアニメのキャラクター音声

Gemini 3.8 Flash TTS(ボイスデザイン)

動画の多言語吹き替え・大量生成

Gemini 3.8 Flash-Lite TTS(+Batch / Flex)

IVRの音声素材・電話向け定型音声

Gemini 3.8 Flash-Lite TTS(mu-law/A-law出力)

ユーザーと声で会話するAIエージェント

Gemini 3.8 Live、OpenAIのリアルタイム系モデル

社内のGoogle Cloud環境で検証したい

Agent Platform上の3.8 Flash TTS(Preview)

声の細かな後編集や成熟した制作UIが必要

ElevenLabsなど制作ツール型のサービスも比較対象に


セキュリティと権利の注意点

声のクローンは、自分の声か、利用する権利を持つ声にしか使えません。技術的な安全策は用意されていますが、使う側の権利確認も欠かせません。

Googleが用意している主な安全策は次のとおりです。

  • 本人の口頭同意の録音が必須:参照音声と同意音声の話者照合が通らないと声は作られず、他人の声を無断で登録しにくい仕組みです
  • SynthID:Geminiの音声モデルで生成したすべての音声に、聞き取れない電子透かしが埋め込まれます
  • C2PA:声のクローンでは、AI生成であることを示すコンテンツ認証情報にも対応すると公式ブログで説明されています

一方で、次のようなリスクは使う側で管理する必要があります。

  • 声優・ナレーター・社員の声を使う場合の契約(利用範囲・期間・報酬・削除条件)
  • 生成音声が本人の発言と誤解されるリスク(なりすまし・詐欺への悪用)
  • 退職者や契約終了者の声データの扱い(保存した声の削除、使い続ける限り失効しない保持ルールとの関係)
  • 無料枠で扱ったデータが製品改善に使われる点(業務データは有料枠で)

日本では、法務省が声の権利(パブリシティ権)に関する考え方を示しています。業務で声のクローンを使う前に、法務省「声の権利」指針の解説もあわせて確認しておくと、契約書に盛り込むべき項目を整理しやすくなります。


Gemini 3.8 Flash TTSはこんな人におすすめ

おすすめな人

  • オーディオブック・研修動画・ポッドキャストを作る人:長尺でも声が崩れにくく、1時間あたり約0.81ドル(2026年内・Standard)で作れます
  • ゲーム・アニメ・広告で個性のある声が欲しいクリエイター:文章から声を作れるため、声のイメージを言葉にできればすぐ試せます
  • 自分の声でナレーションを量産したい発信者・講師:本人の同意録音つきで、自分の声のクローンを作れます
  • 多言語展開をしたい企業:日本語を含む100以上の言語に対応し、Flash-LiteとBatch / Flexを組み合わせれば大量生成のコストも抑えられます
  • 3.1 Flash TTS Previewを使っている開発者:3.8系はGAで、2027年の値上げ後でも出力単価は3.1 Previewより低く、移行しやすい状況です

おすすめしない人

  • ユーザーと声でリアルタイムに会話するAIを作りたい人:Live API非対応のため、Gemini 3.8 Liveなどを選ぶべきです
  • Google Cloud上で正式提供(GA)のサービスしか使えない企業:Agent Platform上の3.8はPreviewで、Cloud Text-to-Speech APIでは使えません
  • EEA・英国・インドなどの拠点で声のクローンを使いたい企業:AI Studioでは、これらの地域で声のクローンが使えません
  • 3人以上が同時に話す音声を1回で作りたい人:同時話者は2人までです
  • 権利関係を確認できない声を再現したい人:本人同意のない声は作れず、作るべきでもありません

よくある質問

Q. 本当に30秒の録音だけで声をクローンできますか?

A. 声質の再現に使う参照音声は10〜30秒が目安ですが、それとは別に、同じ本人が同意文を読み上げた録音が必要です。つまり「30秒の音声+同意の録音」の2つが条件です。どちらも実在の人間の録音である必要があり、本人以外の録音から勝手にクローンを作ることは想定されていません。

Q. 無料で使えますか?

A. Gemini APIには無料枠があり、Google AI Studioでも試せます。ただしレート制限があり、具体的な上限はAI Studioのダッシュボードで確認する形です。無料枠の入出力は製品改善に使われると料金ページに明記されているため、業務データを扱う場合は有料枠を使ってください。

Q. 2027年1月の値上げの前後で、料金や作った音声はどうなりますか?

A. 公式料金ページでは2027年1月1日から新価格になると示されているため、それ以降のリクエストには2倍の料金がかかると考えておくのが安全です。2026年内に作った音声ファイル自体は、そのまま使い続けられます。大量の音声を作る計画がある場合は、年内に生成しておくのも1つの方法です。

Q. 作った声はずっと使えますか?

A. 既定の保存方式では、最後に使ってから1年たつと声のIDが削除されます。音声の生成に使うたびに期間がリセットされるため、使い続けている限り失効しません。ステートレス方式で発行されるキーは7日で失効します。長い間使わない可能性がある声は、元の録音データを手元に残しておきましょう。

Q. Google Cloud(Vertex AI)で使えますか?

A. 2026年9月28日から、Gemini Enterprise Agent Platform(旧Vertex AI)で3.8 Flash TTSがPreviewとして使えます。ロケーションは global のみで、GenerateContent APIから呼び出します。Cloud Text-to-Speech APIでは使えないため、どちらのサービスで契約・実装するかを先に決めておく必要があります。

Q. 生成した音声を商用利用できますか?

A. 業務での利用可否は、Gemini APIの利用規約とGoogleの利用ポリシーに従います。利用前に最新の規約を確認してください。特に、他人の声を再現した音声や、実在の人物になりすます用途は規約違反や権利侵害につながります。声優・ナレーターの声を使う場合は、別途本人との契約が必要です。

Q. Gemini 3.1 Flash TTS Previewはいつ使えなくなりますか?

A. Gemini 3.8 Flash-Lite TTSは3.1 Flash TTS Previewの置き換えとして作られたモデルですが、3.1 Flash TTS Previewの提供終了日は2026年10月16日時点で公式に示されていません。プレビュー版は予告後に終了することが多いため、早めに3.8系で動作確認をしておくと安心です。


まとめ

Gemini 3.8 Flash TTSは、テキストを「演じる声」に変えるGoogleの読み上げ専用モデルです。大規模な音声ライブラリ、文章から声を作るボイスデザイン、本人の同意録音つきで作る声のクローンにより、声の選択肢がこれまでより大きく広がりました。Gemini APIではGA、Google CloudのAgent PlatformではPreviewとして提供されています。

料金は2026年内なら1時間の音声あたり約0.81ドル(Standard)、Batch / Flexならその半額で、2027年1月1日から2倍になります。日本語にも対応しており、まずはGoogle AI Studioで声と演技の品質を確かめるのがおすすめです。リアルタイム会話が必要な場合はGemini 3.8 Live、Google Cloud上で正式提供が必須なら3.8のGAを待つ、というように、目的に合わせて選んでください。

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この記事の著者

AI革命

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