デジタル化・AI導入補助金2026で生成AIは対象になるか|登録要件と対象外になる導入例【2026年9月最新】

この記事のポイント
デジタル化・AI導入補助金2026で生成AIは対象になるのか。公募要領をもとに登録要件と対象外の例、次回締切2026年9月29日と入金時期、採択率約42%を整理。補助金を使わない場合の費用と投資回収も数字で示します。
デジタル化・AI導入補助金2026(旧・IT導入補助金)において、「生成AIだから補助対象になる」という区分は存在しません。補助対象になるのは事務局に事前登録され審査を通ったITツールだけで、生成AIかどうかは登録時に申告する表示項目に過ぎません。
次回の交付申請締切は2026年9月29日(火)17:00、交付決定の予定日は2026年11月9日(月)です。補助率は1/2以内、補助額は5万円〜450万円。ただし全額を先に自社で払い、現金が戻るのは翌年度になります。
この記事では、公募要領とITツール登録要領という一次資料をもとに「あなたが入れたい生成AIツールが対象になるのか」を判定できる形で整理します。あわせて、補助金を使わずに自社の業務に合わせて自動化した場合の費用(初期100万円+月額10〜50万円、税別)と、投資回収までの月数も具体的な数字で示します。
結論:「生成AI搭載だから対象」ではない

補助対象の判定は、次の順番で行われます。生成AIかどうかは、この判定のどこにも出てきません。
- そのソフトがIT導入支援事業者によって事務局に登録されているか
- 登録されたソフトが業務プロセスまたは汎用プロセスを保有しているか
- その組み合わせが単独で交付申請できる構成になっているか
- 交付決定より後に契約・購入・支払いをしているか
ITツール登録要領には、AI搭載ソフトの扱いについてこう書かれています。
5. AIを用いた機能が搭載されたツールの導入に関する留意事項
AIを用いた機能を搭載したソフトウェアの場合は、ITツールの登録申請時にその旨を申告すること。ホームページ(ITツール検索画面等)において、AIを用いた機能を搭載している旨が表示される。
(ア) 生成AI:文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAI
(イ) 生成AI以外のAI技術:上記以外のAIモデル(分類・分析・判断・予測等を行うAIモデル)に基づくAI
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 ITツール登録要領
読むべきは「表示される」という部分です。AIの搭載有無は、検索画面での表示のために申告する項目であって、補助対象になるための要件ではありません。 公募要領の分類表でも「AIの搭載有無を含む機能概要については、ITツール検索を活用し確認できる」と、確認手段の話として扱われています。
つまり「AI搭載」と書かれた製品でも対象外になることはあり、AIをまったく使っていない会計ソフトでも対象になります。判定は生成AIかどうかではなく、業務ソフトとして登録されているかどうかで決まります。
補助対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけ

出典: 中小機構 公式サイト
公式のよくある質問には、補助対象経費についてこう記載されています。
あらかじめ事務局に登録されたITツール(事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供するもの)の導入費用
出典:よくあるご質問 通常枠
ここから、実務上とても重要な結論が出ます。
生成AIサービスを提供元と直接契約する形(月額プランをそのまま自社名義で契約する、APIの利用契約を結ぶ)は、登録ITツールの購入に当たりません。 補助対象かどうか以前に、交付申請の土俵に乗らないということです。世の中で広く使われている汎用の対話型AIサービスを社内に入れたい、という相談は多いのですが、この形では申請そのものができません。
補助金を使う場合の購入経路は、次のとおり固定されています。
購入の形 | 申請できるか |
|---|---|
登録済みIT導入支援事業者から、登録済みITツールを買う | できる |
生成AIの提供元と直接契約する | できない(登録ITツールの購入に当たらない) |
家電量販店・ECサイトで買う | できない(同上) |
すでに契約中のサービスを継続する | できない(新規導入ではない) |
なお、個別の製品が登録されているかどうかは日々変わります。製品名の印象で判断せず、必ず公式のITツール検索で実物を確認してください。 確認の手順は後ほど示します。
登録の条件は「1つの業務プロセスを幅広くカバーしているか」
IT導入支援事業者がソフトを登録する際には、次の4条件を満たす必要があります(ITツール登録要領 2-3(1)1./ソフトウェア本体を指す「大分類Ⅰ カテゴリー1」の要件)。
- (ア) 業務プロセスまたは汎用プロセスのうち、いずれか1つ以上に該当する機能を有すること
- (イ) 1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーすること
- (ウ) 「業種」「業務範囲」「業務機能」等の仕様を明確に定義して開発され、一般に販売が開始されていること
- (エ) 販売価格に経済的合理性があり、市場価格を逸脱していないこと
(イ)の「幅広くカバーする」がどの程度かは、登録要領に例示があります。決済・債権債務のプロセスであれば、受注処理から売上計上、請求書発行を経て、売掛管理と回収まで一連の流れに対応することが求められます。「請求書だけを作る」「数字をグラフにするだけ」では足りません。
プロセスの区分は以下の7つです。
種別 | 記号 | プロセス名 |
|---|---|---|
業務プロセス(共通) | 共P-01 | 顧客対応・販売支援 |
業務プロセス(共通) | 共P-02 | 決済・債権債務・資金回収 |
業務プロセス(共通) | 共P-03 | 供給・在庫・物流 |
業務プロセス(共通) | 共P-04 | 会計・財務・経営 |
業務プロセス(共通) | 共P-05 | 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務 |
業種特化型プロセス | 各業種P-06 | 業種固有のプロセス |
汎用プロセス | 汎P-07 | 汎用・自動化・分析ツール |
補助額の水準によって、必要なプロセス数が変わります。
補助金申請額 | 補助率 | 必要なプロセス数 | 賃上げ目標 |
|---|---|---|---|
5万円以上150万円未満 | 1/2以内 | 1プロセス以上 | 加点項目 |
150万円以上450万円以下 | 1/2以内 | 4プロセス以上 | 必須要件 |
※ IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けたことがある事業者は、金額にかかわらず賃上げ目標が必須要件になります。 ※ 補助率が2/3に上がる特例もあります。令和6年10月〜令和7年9月の間で、「当該期間の地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合が対象です。
補助額の中身と実質負担の計算は補助金450万円でAI業務自動化はどこまでできるかで詳しく整理しています。
文章生成・社内チャットだけのツールは、単独では申請できない
ここが、生成AI導入で最も見落とされている落とし穴です。公募要領 2-2(3)(ア) には次の注記があります。
※「汎用プロセス」のみを保有するITツールは、単独では交付申請不可だが、「共P-01」〜「各業種P-06」と組み合わせて交付申請することで、1プロセスとしてカウントされ交付申請が可能となる。
出典:通常枠 公募要領
なぜこれが生成AIの話で核心になるのか。汎用プロセス(汎P-07「汎用・自動化・分析ツール」)の機能例として挙げられているものを見てください。
- 文書作成ワープロソフト、表計算ソフト、簡易データベースソフト、プレゼンテーションツール、メールソフト
- 文書証憑管理ソフト、OCR、PDF、ペーパーレス化ツール
- グループウェア、コラボレーションツール、社内SNS、社内チャットツール
- WEB会議システム、リモートデスクトップ、シンクライアント
- 同時編集機能が付いたオンラインストレージサービス
- RPA、チャットボットシステム
「社内で文章を書かせる」「議事録を要約させる」「社内の質問にチャットで答えさせる」といった使い方の生成AIツールは、この汎用プロセスに寄ります。 そしてこの区分だけを持つツールは、それ単体では交付申請できません。
したがって、生成AIツールを補助金で入れたい場合、実際に取りうる構成は次のどちらかになります。
- AI機能を搭載した業務ソフトを導入する(AI搭載の会計ソフト、受発注システム、在庫管理、人事労務システムなど)。これらは共P-01〜各業種P-06のいずれかを保有しているため、単独で申請できます
- 業務プロセスを持つソフトと、生成AI系の汎用ツールを組み合わせて申請する。この場合、汎用ツールは1プロセスとしてカウントされます
逆に言えば、「生成AIツールだけを買って半額を補助してもらう」という計画は、そもそも制度上成立しません。 検討の初期段階でこれを知らないまま進むと、締切直前に構成をやり直すことになります。
補助対象にならない生成AIの入れ方
ITツール登録要領 2-3(1)2. には、登録要件を満たしていても登録対象外になるケースが (ア)〜(タ) まで列挙されています。生成AI導入で特に引っかかりやすいものを抜き出します。
記号 | 登録対象外になるもの | 生成AI導入での該当例 |
|---|---|---|
(ア) | 幅広く業務をカバーせず、単一の処理を行う機能しか持たないもの | 文章を要約するだけ、画像を生成するだけのツール |
(ウ) | 恒常的に利用されないもの | 繁忙期だけ使う一時的な利用 |
(カ) | 業務プロセスに影響を与えるような大幅なカスタマイズが必要なもの | 自社業務に合わせて大きく作り替える前提の導入 |
(キ) | 製品が完成しておらず、一般的に販売されていないもの | ベータ版・限定提供中のAIサービス |
(ク) | スクラッチ開発を伴うソフトウェア。過去に特定顧客向けに開発したコードを再利用し、追加開発を伴うもの | 自社専用に構築するAIシステム全般 |
(ケ) | すでに購入済のソフトへの増台・追加ライセンス費用、リビジョンアップ費用 | 既存契約のアカウント追加、上位プランへの変更 |
(コ) | 導入済みソフトの機能を追加・拡張することを目的としたもの(追加モジュール、アドオン、プラグイン等) | 使用中の基幹システムへのAIオプション追加 |
(サ) | 特定の顧客向けに限定され、一般市場に販売されていないもの | 自社だけのために作られた仕組み |
(タ) | 単なる情報提供サービス、会員登録してWEB上でサービスを受ける仕組みなど、業務機能を持たないもの | 業務ソフトの体裁を持たないAIサービス |
さらに、全カテゴリー共通の補助対象外として次の項目があります。生成AIの契約形態と正面からぶつかるものが複数あります。
共通の対象外 | 内容 |
|---|---|
3 | 補助金申請・報告に係る申請代行費 |
4 | 公租公課(消費税) |
5 | 交付申請時においてITツールの利用金額が定められないもの(使った分だけ請求される従量制の契約など、申請の時点で年間いくらかが確定しないものは不可) |
6 | 対外的に無償で提供されているもの(誰でも無料で使える範囲のプランは不可) |
7 | リース・レンタル契約のITツール |
8 | 中古品 |
9 | 交付決定前に購入したITツール |
「交付決定前に購入したものは対象外」(共通9)は、生成AI導入で最も多い取りこぼしです。 便利だから先に試験導入して、あとから補助金を申請しよう、という進め方は使えません。交付決定日(次回は2026年11月9日予定)より前に契約・発注・支払いをした時点で、その費用は補助の対象から外れます。
また、通常枠ではハードウェアが補助対象外です。AIを動かすためのPCやタブレットの購入は、通常枠では補助されません。
自分が入れたいツールが対象か確認する4ステップ

出典: ミラサポplus 公式サイト
制度の解説を読み込むより、実物を確認したほうが早く決着します。今日この場でできる手順です。
ステップ1:ITツール検索で製品名を検索する
公式のITツール検索を開き、導入したいツール名で検索します。対応希望エリア(都道府県)、ツール名、事業者名称、要件・目的(ITツールが有する機能)、セキュリティ認証、支援枠で絞り込めます。
ここでヒットしなければ、その時点で補助対象外が確定します。 制度の細かい要件を読む必要はありません。なお、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機はこの検索結果には含まれません。
ステップ2:保有しているプロセスを確認する
ヒットした場合、そのツールが共P-01〜汎P-07のどれを保有しているかを見ます。汎P-07(汎用・自動化・分析ツール)しか持っていなければ、単独では交付申請できません。 業務プロセスを持つ別のツールとの組み合わせが必要になります。
ステップ3:AI機能の表示を確認する
登録時の申告に基づき、AIを用いた機能を搭載している旨が検索画面に表示されます。「生成AI」と「生成AI以外のAI技術」の区分もここで分かります。ただし繰り返しになりますが、これは表示項目であって、対象・対象外の判定には使われません。
ステップ4:契約時期を確認する
すでに契約している、あるいは締切前に契約する予定がある場合、その分は対象になりません。交付決定後に契約・支払いができるスケジュールになっているかを確認します。
この4ステップで「対象外」と分かった場合、残る選択肢は「対象になる別の製品に業務を合わせる」か「補助金を使わずに進める」かの二択です。判断材料は後半の費用比較で示します。
次の締切と、お金が戻るまでのスケジュール
公式の事業スケジュールで公表されている日程です(2026年9月時点)。
工程 | 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠 | 複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
|---|---|---|
交付申請締切 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年10月30日(金)17:00 |
交付決定(予定) | 2026年11月9日(月) | 2026年12月10日(木) |
事業実施期間 | 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00(予定) | 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定) |
事業実績報告期限 | 2027年4月30日(金)17:00(予定) | 2027年5月31日(月)17:00(予定) |
これ以降の締切は公式スケジュールに未掲載で、順次公表される見込みです。
補助事業の流れは公募要領で次の順に固定されています。
- 交付申請
- 交付決定(※これより前に契約・購入すると対象外)
- ITツール契約・導入・代金支払い(事業者が全額立て替える)
- 実績報告
- 補助金の額の確定 → 補助金の交付
交付規程 第25条には「事務局は、額の確定の通知後に、補助金の交付を行うものとする」とあります。ただし実績報告を出してから実際に入金されるまでの日数は、公募要領・交付規程・公式FAQのいずれにも書かれていません(本記事執筆時点で未発表)。 「申請から◯ヶ月で入金される」と断定している情報には根拠がないため、鵜呑みにしないでください。
申請から入金までにかかる期間
日数が公式に確定しているのは「交付申請締切 → 交付決定」と「実績報告の期限」までです。この2点から逆算すると、申請から現金が戻るまでの期間はこうなります。
工程 | 最短で進めた場合 | 期限いっぱいまで使った場合 |
|---|---|---|
交付申請 | 2026年9月29日 | 2026年9月29日 |
交付決定 | 2026年11月9日(約6週間後) | 2026年11月9日 |
契約・導入・全額支払い | 2026年11〜12月 | 2027年1〜4月 |
事業実績報告 | 2026年12月〜2027年1月 | 2027年4月30日 |
補助金の額の確定 → 入金 | 実績報告の後(日数は未発表) | 実績報告の後(日数は未発表) |
申請から実績報告まで | 約3ヶ月 | 約7ヶ月 |
入金時期 | 2027年(翌年度) | 2027年5月以降 |
つまり、申請から入金までは最短でも3ヶ月を超え、そこに額の確定と振込の期間が上乗せされます。 早く進めても、現金が戻るのは翌年度です。
公表されている日程から確実に言えるのは、次の3点です。
- 2026年9月29日に申請すると、交付決定は2026年11月9日(約6週間後)。この約6週間は、導入を止めて結果を待つことになる
- 支払いは交付決定より後でなければならず、しかも事業者がいったん全額を立て替える
- したがって現金が戻るのは、どんなに早くても2027年。実績報告を期限近くまで引っ張れば2027年5月以降になる
つまり、2026年9月に申請しても、費用は年度内に全額出ていき、戻ってくるのは翌年度です。締切から逆算した準備の進め方はデジタル化・AI導入補助金の締切はいつ?にまとめています。制度全体の概要はデジタル化・AI導入補助金2026の全体像をご覧ください。
通るかどうか|通常枠の採択率は約42%

出典: 中小企業庁 公式サイト
対象になるツールを選び、書類を揃えても、採択されるとは限りません。2026年9月2日に交付決定が公表された回の実績です。
枠 | 申請件数 | 交付決定 | 採択率 |
|---|---|---|---|
通常枠 | 1,913件 | 807件 | 42.2% |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 3,982件 | 1,781件 | 44.7% |
セキュリティ対策推進枠 | 18件 | 13件 | 72.2% |
全体 | 5,913者 | 2,601者 | 44.0% |
通常枠は約4割です。 申請件数は高止まりしており、採択率は以前の回より下がる傾向にあります。
これが計画に与える影響は単純です。申請から交付決定までの約6週間、導入を止めて待ち、6割弱の確率で外れます。 外れた場合、全額自己負担で進めるか、次の締切まで待つかを、その時点で判断し直すことになります。
加えて、申請には次の準備が必要です。
- GビズIDプライムの取得(発行に日数がかかる)
- SECURITY ACTION 自己宣言IDの登録
- IT導入支援事業者の選定と、事業者と共同で進める申請作業
- 150万円以上を申請する場合は、3年間の賃上げ目標の設定(未達なら返還義務。返還金の納付が遅れると年利10.95%の延滞金)
なお、IT導入補助金2025の通常枠・複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12ヶ月以内は今回の通常枠に申請できません。 グループ構成員として参加していた場合も含まれます。
自動化を実現する方法は3つある

補助金の対象になるかどうかとは切り離して、業務を自動化する手段そのものを並べます。目的は「補助金をもらうこと」ではなく「作業時間を減らすこと」のはずなので、ここから逆算するほうが判断を誤りません。
1. 手作業のまま、手順とテンプレートを整える
費用はほぼゼロです。転記のルールを決め、表計算の関数や入力フォーマットを整えるだけでも、作業時間は1〜2割減ることがあります。これを試していない状態でいきなりシステムを入れても、効果が読めません。 ただし削減幅には天井があり、担当者が変われば元に戻ります。
2. 登録済みのSaaS・RPA・ノーコードツールを導入する
月額数千円〜数万円で始められ、この経路なら補助金の対象になり得ます(登録されている製品に限る)。既製品なので導入も比較的早く進みます。
弱点は、業務のほうを製品に合わせる必要があることです。使っているシステムが複数系統に分かれている、業務手順が自社独自になっている、といった場合、製品が業務を吸収しきれません。RPAは画面操作を記録して再生する方式が中心のため、画面レイアウトが変わると止まり、保守の手間が継続的に発生します。ノーコードとの違いはノーコードとAIエージェントの違いで整理しています。
3. 業務に合わせてAIエージェントを構築する
自社の業務手順に合わせて、データの取得・突き合わせ・転記・配信までを自動実行する仕組みを作る方法です。既製品に載らない業務でも自動化できる点が最大の利点で、複数システムをまたぐ処理や、判断ルールが自社固有の業務に向きます。
弱点は明確です。各社向けに構築するため、ITツール登録要領の (ク)(スクラッチ開発を伴うもの)(サ)(特定顧客向けで一般市場に販売されていないもの)に該当し、この補助金の補助対象になりません。 費用は全額自己負担になります。
方法 | 初期費用 | 月額 | 補助金 | 稼働まで |
|---|---|---|---|---|
手順・テンプレートの整備 | 0円 | 0円 | 対象外(経費が発生しない) | 即日〜数週間 |
登録済みSaaS・RPA・ノーコード | 0〜数十万円 | 数千円〜数万円 | 対象になり得る | 交付決定後に着手 |
業務に合わせたAIエージェント構築 | 100万円〜 | 10万円〜 | 対象外 | 1〜2ヶ月 |
費用の目安|補助金を使う場合と使わない場合
金額を並べて比較します。判断に必要なのは補助率だけでなく、手元の現金がいつ動くかといつ現場が変わるかです。
登録済みITツール+補助金(通常枠) | 補助金を使わず業務に合わせて自動化 | |
|---|---|---|
補助率・補助額 | 1/2以内・5万円〜450万円 | なし |
初期費用 | 製品による(全額を先に立て替え) | 100万円(税別) |
月額 | 製品による | 10〜50万円(税別) |
現金が戻る時期 | 早くても2027年(翌年度) | 戻らない(全額自己負担) |
稼働開始 | 交付決定(2026年11月9日予定)より後 | 標準1〜2ヶ月 |
不確実性 | 採択率 約42%、3年間の賃上げ義務、実績報告・効果報告の事務 | 採択審査なし。効果が出なければ止められる |
業務の扱い | 業務を製品に合わせる | 業務手順を変えずに自動化する |
当社が提供しているシゴハヤエージェントは、下段の「補助金を使わず業務に合わせて自動化する」側にあたります。価格は初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)です。月額は処理量に連動し、10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安。月1,000万〜1.2億トークンの処理枠が含まれます。
このサービスは、この補助金の補助対象になりません。 各社の業務に合わせて構築するため、前述の (ク)(サ) に該当するからです。費用を半分にすることが最優先なら、登録済みの既製ITツールから選ぶのが正しい判断です。この記事の前半で判定材料を先に出しているのは、そのためです。
AIエージェントの費用構造をもう少し詳しく知りたい場合はAIエージェント導入の費用を参照してください。
自動化できる業務・できない業務の境界線
補助金の対象になるかとは別に、そもそも自動化に向く業務かどうかの線引きがあります。ここを外すと、補助金が取れても現場は変わりません。
自動化できる業務 | 自動化できない業務 |
|---|---|
毎日・毎週・毎月繰り返し発生する | 毎回例外判断が発生する |
入力も出力もデジタルで完結する | 紙・対面が前提になっている |
判断ルールが言葉で定義できる | 最終決裁をAIに委ねたい |
手順が担当者間で共通している | 担当者ごとにやり方が違い、暗黙知になっている |
処理件数が多く、時間が積み上がっている | 月に数件しか発生しない |
自動化できる業務の具体例
- 月次集計とレポート配信:複数システムから数字を取り出し、決まった様式にまとめて関係者に送る
- データ照合:2つ以上のシステムの数字を突き合わせ、差分だけを人に上げる
- 商談記録の入力とフォローメール送信:面談メモから所定の項目を抽出し、顧客管理システムに登録して定型連絡を出す
- 商品マスタ・カタログの更新:仕入先から届く更新情報を、自社の商品情報に反映する
- 請求・支払データの取り込みと突合
自動化を避けるべき業務
- 採用の合否判断、与信判断、懲戒などの人事上の決定:最終判断は人が持つべき領域です
- 医療・法務など、誤りが直接的な損害につながる判断
- 毎回条件が変わる交渉・折衝
- 紙の書類が起点で、原本確認が必要な業務:入口が紙のままでは効果が出ません
なお、AIにすべてを任せる必要はありません。 実務で効果が出ているのは「機械が全件を処理し、判断が必要なものだけを人に上げる」設計です。人の仕事は「全件を処理する」から「例外だけを見る」に変わります。任せられる範囲の考え方はAIエージェントに任せられる業務で詳しく整理しています。
削減できる時間を金額に直すといくらか
補助金を追うか、自費で先に進めるかを決めるには、削減できる時間を金額に直して、投資額と並べるのが確実です。以下は時給3,000円(年収500万円前後の社員の人件費相当)で計算します。
試算A:業務が1つだけの場合
- 対象業務:月次レポート作成のみ
- かかっている時間:月20時間
- 金額換算:20時間 × 3,000円 = 月6万円(年72万円)
この規模では、月額10万円の自動化サービスは割に合いません。年間72万円の削減に対して、初期100万円+年120万円がかかるためです。
損益分岐点は、月額10万円 ÷ 時給3,000円 = 月33.3時間。 対象業務の合計が月33時間を下回るなら、まずは手順の整備や既製ツールで済ませるべきです。
試算B:複数の定型業務をまとめる場合
- 対象業務:月次集計、データ照合、レポート配信、マスタ更新など
- かかっている時間:合計 月80時間
- 金額換算:80時間 × 3,000円 = 月24万円(年288万円)
ここに初期100万円+月額10万円の構成を当てはめます。
項目 | 金額 |
|---|---|
削減できる人件費 | 月24万円 |
月額費用 | 月10万円 |
月々の純減 | 月14万円 |
初期費用 | 100万円 |
投資回収 | 100万円 ÷ 14万円 = 約7.1ヶ月 |
1年目の収支は、削減288万円 −(初期100万円+月額120万円)= プラス68万円。2年目以降は、288万円 − 120万円 = 年168万円のプラスになります。
補助金を待つ間に発生する差
同じ業務に対して、2つのルートで「現場が変わる時期」を並べます。
補助金を使うルート | 使わないルート | |
|---|---|---|
着手できる時期 | 交付決定後(2026年11月9日予定) | 今すぐ |
稼働時期の目安 | 2027年1月前後 | 2026年10〜11月 |
その差 | 約3ヶ月 | — |
月14万円の純減が3ヶ月遅れると、約42万円の差になります。さらに通常枠の採択率は約42%なので、待った結果として不採択になれば、その3ヶ月はそのまま失われます。
判断の目安は次のとおりです。
- 対象業務が月33時間未満 → 補助金の有無にかかわらず、まず手順整備や既製ツールで対応する
- 業務が既製品に載る、かつ150万円以上の投資を4プロセス以上で組める → 補助金を取りに行く価値がある
- 業務が既製品に載らない、または削減効果を早く出したい → 補助金を待たずに進めたほうが、金額でも時間でも合う
自社の業務がどの行に当てはまるのかを数字で確かめたい場合は、シゴハヤエージェントの相談窓口で、業務ごとの所要時間と削減見込みの棚卸しから対応しています。補助金の対象になる既製ツールで足りると判断できる場合は、その旨をお伝えします。
実際にやった事例:調剤薬局のケース
当社は医療機関・調剤薬局・インフラ企業など、複数システムを併用しながら定型業務を抱える企業の自動化を手がけています(守秘のため社名は非公開です)。ITツール検索まで進んだうえで補助金を断念した例として、調剤薬局のケースを紹介します。
課題:複数店舗を運営する調剤薬局で、本部の担当者が毎日、各店舗の実績データを店舗システムから取り出し、在庫管理の表と突き合わせ、差分を確認して本部の報告フォーマットに入れ直していました。同じ数字を3箇所に入力し直している状態で、月末は月次集計が重なり、担当者の残業が常態化していました。
補助金の検討で分かったこと:この会社はまず補助金の活用を検討しました。ITツール検索で候補を探したところ、在庫管理や会計の登録済みパッケージは複数見つかりましたが、業務の起点であるレセプトコンピュータ(保険請求用のシステム)と店舗側の入力手順に、どの製品も接続できませんでした。文書作成や社内チャットの区分に該当する汎用ツールは登録されているものの、それだけでは単独申請できず、業務の中心である「複数システムの突き合わせ」は自動化されないまま残ります。製品に業務を合わせるには全店舗の入力手順を作り替える必要があり、現場が止まります。登録済みの既製ITツールでは業務が埋まらない、というのがこのケースの結論でした。
作ったもの:毎日決まった時刻に各システムからデータを取り出し、突き合わせて、差分が出た項目だけを担当者に一覧で上げる仕組みを構築しました。数字が一致している分は自動で本部フォーマットに転記され、月次のレポートは月初に自動作成されて関係者に配信されます。数字が合わない理由の特定や店舗への確認といった、判断が必要な部分は人が行う設計です。
変わったこと:担当者の作業は「全件を突き合わせて入力する」から「差分だけを確認する」に変わりました。月80時間前後かかっていた作業が、確認中心の十数時間に収まるようになり、月末の残業がなくなっています。人を増やさずに店舗数を増やせる状態になった、というのが経営側の評価です。
この構成は各社専用に作るため補助金の対象にはなりませんでしたが、業務手順が毎日同じで、入力も出力もシステム内で完結していたため、自動化の条件は満たしていました。薬局・医療機関での補助金活用の考え方は大手薬局のDX補助金活用にも整理しています。
導入までの流れと期間
補助金を使わずに進める場合の標準的な導入期間は1〜2ヶ月です。
- 業務の棚卸し(1〜2週間):どの業務に月何時間かかっているかを洗い出し、自動化できる業務とできない業務を仕分けます。ここで削減見込み時間と費用が数字で出るため、社内の稟議はこの資料でそのまま通せます
- 設計と構築(3〜6週間):対象システムへの接続、処理ルールの定義、例外が出たときに誰へ上げるかの設計
- 並行稼働(1〜2週間):これまでの手作業と並行して動かし、出力が一致するかを確認します
- 本稼働と運用:月額費用の範囲で、業務変更に応じた調整を継続します
社内にAIエンジニアがいない状態からの進め方はエンジニアがいなくても業務自動化はできるかにまとめています。
補助金を狙う場合でも、今月中にやっておくべきこと
業務の棚卸しだけは先に進められます。 交付決定前に「発注・契約・支払い」さえしなければ、補助対象から外れることはありません。9月中に対象業務と削減時間を整理し、ITツール検索で候補の有無を確認しておけば、11月9日の交付決定と同時に着手できます。
そしてこの棚卸しの結果、対象業務が既製品に載らない、あるいは汎用ツールしか見つからないと分かった時点で、補助金を追いかける意味はなくなります。その場合の進め方はシゴハヤエージェントのページからご相談ください。棚卸しの段階から一緒に整理できます。
よくある質問
Q1. すでに社内で生成AIの有料プランを契約しています。あとから補助金を申請できますか。
できません。共通の補助対象外の9に「交付決定前に購入したITツール」があり、契約済みの費用をさかのぼって対象にすることはできません。また、すでに購入済みのソフトへの増台・追加ライセンス費用も対象外(ケ)です。アカウントを増やす形での申請も認められません。新規に、交付決定後に、登録済みITツールを契約する必要があります。
Q2. 補助金の申請を専門会社に代行してもらった場合、その費用も補助対象になりますか。
なりません。共通の補助対象外の3に「補助金申請、報告に係る申請代行費」が明記されています。一方、登録ITツールとセットで提供される導入コンサルティング・導入設定・研修・保守サポート(制度上「大分類Ⅲ」と呼ばれる、ソフト本体ではなく人が行う支援の区分)は補助対象になり得ます。ただし合計200万円が上限で、1回の交付申請につき1つのみ、保守サポートは最大2年分までです。申請代行費とはまったく別のものなので混同しないでください。
Q3. 昨年IT導入補助金に採択されました。今年も申請できますか。
IT導入補助金2025の通常枠または複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12ヶ月以内はデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠に申請できません。12ヶ月を過ぎていれば申請可能ですが、その場合はIT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者に該当するため、賃上げ目標が加点ではなく必須要件になります。3年間の賃上げ計画とセットで検討してください。
Q4. 個人事業主でも申請できますか。
対象は中小企業・小規模事業者等で、個人事業主も含まれます。ただし交付申請にはGビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの自己宣言IDの登録が必要で、提出書類は法人と個人事業主で異なります(法人は3種類、個人事業主は4種類)。GビズIDプライムは発行までに日数がかかるため、締切直前に着手すると間に合いません。
Q5. 支払いはクレジットカードの分割払いや、リース契約でもよいですか。
支払方法は原則として銀行振込またはクレジットカード1回払いです。分割払い・リボ払いは認められません。リース・レンタル契約のITツールも補助対象外です(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)。また、証憑として有効なのは補助事業者側の書類のみで、IT導入支援事業者の口座取引明細や領収書控えは認められません。振込明細や利用明細は自社側で必ず保管してください。
Q6. IT導入支援事業者は、どうやって探せばいいですか。
補助金を使う場合、交付申請は自社単独ではできず、事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で進めます。公式サイトには「ITツールを探す」と「IT導入支援事業者を探す」の2つの検索が用意されているので、まず導入したいツール名で検索し、そのツールを提供している事業者を確認するのが最短です。対応希望エリア(都道府県)でも絞り込めるため、訪問での支援を求める場合は地域から探せます。事業者によって扱える製品と支援の手厚さが異なるため、1社で決めず複数に問い合わせて比較してください。
Q7. 不採択だった場合、次の締切に申請し直せますか。
再申請自体は可能です。ただし2026年9月29日より後の締切日は、本記事執筆時点で公式の事業スケジュールに掲載されていません(順次公表される見込みです)。不採択の連絡を待ってから次の締切に回すと、着手はさらに数ヶ月先になります。通常枠の採択率は約42%ですから、「外れた場合は自費で進めるのか、待つのか」を申請前に決めておいたほうが、社内の意思決定は速くなります。
Q8. 賃上げ目標を達成できなかった場合、補助金はどうなりますか。
150万円以上を申請して3年間の賃上げ目標を設定した場合、未達なら補助金の返還義務が生じます。返還額は交付を受けた補助金額が上限で、加算金は含まれません。ただし返還金の納付が遅れると、年利10.95%の延滞金がかかります。賃上げは補助金を取るための形式的な宣言ではなく、3年間拘束される経営上の約束です。150万円以上の枠を狙うかどうかは、この点まで含めて判断してください。
Q9. AIを動かすためのPCやタブレットは補助対象になりますか。
通常枠ではハードウェアは補助対象外です。ITツール検索の結果一覧にも、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は含まれません(販売予定のある事業者は検索できます)。AI活用に合わせて端末の更新も検討している場合、通常枠ではその費用は自己負担になる前提で予算を組んでください。ただしインボイス枠(インボイス対応類型)であればハードウェアも対象で、PC・タブレット等は上限10万円、レジ・券売機は上限20万円です。ソフトウェアとセットで、そのソフトを使うために必要であることが条件で、ハードウェア単独の申請はできません。端末更新も含めたいなら、申請枠そのものを見直すほうが早いです。
まとめ
- デジタル化・AI導入補助金2026に「生成AIだから対象」という枠はありません。事務局に登録されたITツールかどうかがすべてです
- 生成AIサービスを提供元と直接契約する形は、登録ITツールの購入に当たらず、申請の土俵に乗りません
- 文章生成・社内チャットなど汎用プロセスだけのツールは、単独で交付申請できません。業務プロセスを持つソフトとの組み合わせが必要です
- 無料プラン、従量課金で金額が確定しないもの、アドオン・プラグイン追加、スクラッチ開発、交付決定前の購入は、いずれも対象外です
- 次回の交付申請締切は2026年9月29日(火)17:00、交付決定は2026年11月9日(月)予定。実績報告期限は2027年4月30日で、現金が戻るのは翌年度です
- 通常枠の採択率は約42%。待って外れれば、その期間はそのまま失われます
- 定型業務が合計 月80時間あるなら、時給3,000円換算で月24万円。初期100万円+月額10万円の構成なら約7.1ヶ月で投資回収できます
補助金を使えるなら使うべきです。ただし、使えるのは「既製品に自社の業務が載る場合」だけです。載らないと分かった時点で、補助金を待つ理由はなくなります。
自社の業務が自動化の対象になるか、無料で確認できます
「この業務は自動化できるのか」「月何時間減って、いくら浮くのか」を、業務の棚卸しから一緒に整理します。初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)、標準の導入期間は1〜2ヶ月。医療機関・調剤薬局・インフラ企業での構築実績があります。
補助金の対象になる既製ツールで足りる場合は、その旨を正直にお伝えします。まずは現状の業務内容をお聞かせください。
補助金の枠内で導入できる範囲を試算します
補助金前提で相談するこの記事の著者

AI革命
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AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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