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EC受注処理の自動化はどこまでできる?出荷連携までの費用と削減時間【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/09
EC受注処理の自動化はどこまでできる?出荷連携までの費用と削減時間【2026年9月最新】

この記事のポイント

EC受注処理の自動化はどこまで可能か。受注取込から在庫引き当て、送り状データ作成、追跡番号のモール反映までを工程別に整理し、一元管理システム・RPA・AIエージェントの費用を公開価格で比較。削減時間と投資回収期間も試算します。

各モール・カートからの受注取込、在庫の引き当て、送り状データの作成、発送通知と追跡番号の反映まで、EC受注処理の大半は自動化できます。費用の目安は、EC一元管理システムを入れる方法で初期0〜5万円+月額3,000円〜4万5,000円程度、備考欄の自由記入やイレギュラー対応まで含めて任せるAIエージェントで初期100万円+月額10万円〜(税別)です。

一方で「一元管理システムを入れたのに、受注処理に人が張り付いたままだ」という声は非常に多く聞きます。この記事では、受注処理のどこに時間が消えているのかを工程ごとに分解し、自動化できる業務とできない業務の線引きを表で示したうえで、実現方法3つの費用を公式の公開価格で横並びにし、「月何時間減って、初期投資を何ヶ月で回収できるのか」まで数字で出します。


EC受注処理は、どこに時間がかかっているのか

EC一元管理システムTEMPOSTARの公式イメージ。複数モール・ネットショップ運営の連携と自動化を示す

出典: TEMPOSTAR 公式サイト

経済産業省の調査によると、2024年の物販系分野のBtoC-EC市場規模は15兆2,194億円、EC化率は9.78%まで伸びています。市場が伸びる一方で、受注件数の増加にそのまま人員を張り付けている事業者は少なくありません。

受注処理を工程で分けると、実際には8つの作業が連続しています。

  1. 注文の受付 — 各モール・自社カートから受注データを取得し、受注伝票を作る
  2. 入金確認 — 銀行振込の名義・入金日・金額を照らし合わせる
  3. 受注内容の確認 — 備考欄・要望欄のチェック、住所不備、複数注文の同梱判断、のし・ラッピング・配達日指定
  4. 在庫引き当て — 在庫を確保し、欠品時は顧客連絡と入荷待ち処理
  5. 出荷指示 — 自社倉庫または委託倉庫へ出荷データを渡し、送り状データを作る
  6. 発送作業 — ピッキング・検品・梱包・引き渡し
  7. 発送通知・売上計上 — サンクスメール送信、追跡番号を各モールへ反映
  8. キャンセル・返品・問い合わせ対応

1件あたり18分という試算の意味

EC一元管理システムのベンダーであるTEMPOSTARが公開している試算では、ツールを一切使わず各モールの管理画面に手でログインして回す前提で、1件あたり18分(モール画面へのログインと注文確認5分、受注情報の転記5分、在庫引き当て・更新3分、サンクスメール2分、送り状システムへの入力3分)とされています。1日30件なら540分、つまり1日9時間です。

これはベンダー自身の試算であり実測統計ではありません。また「何もツールを使っていない状態」という上限寄りの前提です。ただ、工程の内訳を見れば分かるとおり、時間を食っているのは判断ではなく、システム間のデータの持ち運びと転記だという構造は、規模を問わず共通しています。

繁忙期は件数が3〜5倍になり、締め時間に間に合わなくなる

セールや年末年始の繁忙期には、受注件数が通常の3〜5倍に膨らみます。ここで起きるのは単なる残業ではなく、出荷遅延によるレビュー評価の低下、急いだ結果のピッキングミス・誤出荷、そしてスタッフの疲弊です。

当日出荷を掲げている店舗ほど締め時間の制約が厳しくなります。集荷便の時刻から逆算して「1件あたりの出荷作業時間 × 同時処理できる件数」で締め時間を決める設計が一般的ですが、受注処理が人手待ちになった瞬間、この逆算が崩れて出荷リードタイムの遅延に直結します。人を増やして解決しようとしても、繁忙期だけ経験者を採用することはできません。

一元管理システムを入れた後に残る4つの作業

ここが本題です。ネクストエンジンやGoQSystem、TEMPOSTARといった一元管理システムを入れても、次の作業は社内に残ります。

① 備考欄・要望欄の自由記入 ネクストエンジンには「備考欄変換設定」という機能がありますが、公式ブログの説明によれば、これは受注伝票の備考欄に入った文字を自動で置換する、別項目へ転記する、削除する機能です。つまりあらかじめ決めた文字列に対する処理であり、「20日以降に発送してください」「上司へのお祝いなので熨斗をお願いします」といった自由な文章の意味を読み取るものではありません。結果として、備考欄がある注文は人が目で読む運用が残ります。

② モール別のイレギュラー処理 モールごとに出荷確定の操作もステータスの呼び方も違います。楽天は「[楽天処理中]→[発送待ち]」といった独自の状態遷移を持ち、システム側もそれに合わせた設計になっています。標準の自動処理ルールで表現しきれない例外は、モールの数だけ増えていきます。

③ 送り状システムとのCSV手渡しリレー 送り状の発行は配送会社ごとに別のシステムです。ヤマト運輸はB2クラウド、佐川急便はe飛伝シリーズ、日本郵便はゆうプリR。複数社を使う店舗はそれぞれを併用する必要があります。従来の運用は「受注管理システムからCSVをダウンロード → 送り状システムにアップロード → 発行された追跡番号のCSVを受注管理システムに戻す」という手渡しのリレーです。ネクストエンジンのB2クラウド連携アプリのように、この手渡しを消せる製品もありますが、対応していない組み合わせは手作業が残ります。

しかもこれは壊れます。カラーミーショップはB2基本レイアウトとe飛伝IIの宅配便送り状データCSV仕様変更を告知しており、配送会社側のCSV仕様が変わると連携が止まるという運用リスクは実在します。

④ 連携に対応していない販路のCSV取り込み すべてのモール・カートがデータ連携に対応しているわけではありません。GoQSystemには非対応の販路をCSVで取り込む「カスタムCSV店舗」機能が用意されていますが、逆に言えば自動でつなげない販路が現実に残るということです。

EC構築ベンダーのebisumart(ecbeing)も、自社ブログで「ツール導入だけでは問題解決しない」「システム間の分断や例外処理が残る」「導入後の日常的なモニタリング体制の構築が重要」と明記しています。


自動化すると、受注から出荷までがこう変わる

LOGILESSの管理画面イメージ。受注から出荷までのステータスと件数が一覧表示されている

出典: LOGILESS 公式サイト

自動化の対象は「受注ボタンを押す作業」ではなく、注文が入ってから追跡番号がモールに反映されるまでの一連の流れです。工程ごとに前後を比べます。

工程

現状(人がやっている)

自動化後

① 受注取込

各モール管理画面に順番にログインしてダウンロード

決まった間隔で全販路から自動取得。取得件数の上限に合わせて分割して取りに行く

② 入金確認

入金明細と注文を目で照らし合わせ、名義の揺れを判断

名義揺れを自動照合し、一致しなかった分だけ一覧で担当者に上げる

③ 受注内容確認

備考欄を全件読み、のし・同梱・日付指定を判断して転記

記述内容を読み取り、決めたルールに沿って出荷指示へ振り分け。判断がつかない文面のみ人へ

④ 在庫引き当て

在庫表を見て確保、欠品分は個別にメール作成

引き当てを自動実行、欠品対象を抽出して定型連絡文を送信直前まで用意

⑤ 出荷指示・送り状

CSVをダウンロードして送り状システムへ手渡し

送り状システムの形式に自動変換して受け渡し

⑥ 発送通知

追跡番号CSVを各モールに手でアップロード

追跡番号を各モールへ自動反映、発送通知まで実行

⑦ 進捗把握

未処理件数が誰にも見えない

朝一で受注件数・未処理件数・遅延リスク注文を通知

重要なのは②③⑦です。自動化しても判断が必要な例外は必ず残ります。よくできた自動化とは「例外がゼロになる」ことではなく、担当者が例外だけに時間を使える状態を指します。1日100件のうち90件が自動で通り、残り10件だけが画面に上がってくるなら、作業時間は大きく減ります。

参考として、RPA導入支援を行うegg systemが公開している事例では、futureshopの受注データを手作業でフォーマット変換して基幹システムに取り込んでいた作業を、変換ツールとRPAで自動化し、毎日約30分(月約10時間・年約120時間)の削減を実現しています。対応期間は約2ヶ月、費用は約100万円(RPAライセンス料は別途)でした。外部委託していた業務が不要になり、委託コストも削減されています。


削減時間の試算:月何時間減って、何ヶ月で回収できるのか

投資判断は「何時間減るか」ではなく「何円減って、何ヶ月で回収するか」で決まります。前提を明示した試算を3パターン出します。いずれも実測値ではなく前提付きの試算です。

人件費の置き方

求人媒体を見ると、ECサイトの梱包・受注処理スタッフの時給は1,150円前後、EC運営スタッフで1,100〜1,120円程度、東京都の一般事務職(アルバイト・パート)の平均時給は1,535円(2026年7月時点)です。ただし社会保険料・採用費・教育コストを含めた実効人件費は時給ベースの1.2〜1.5倍になります。ここではパート中心の体制を時給2,000円、社員が兼務している場合を時給2,200〜3,000円換算で計算します。

ケース1:月1,500件・複数モール運営・パート2名体制

項目

数値

月間受注件数

1,500件

1件あたりの処理時間

8分(一元管理システム導入後も残る確認・例外処理を含む)

月間作業時間

200時間

実効時給

2,000円

受注処理にかかっている人件費

月40万円(年480万円)

うち例外判断・備考欄確認・イレギュラー連絡の割合

6割=月120時間=月24万円

この6割部分を自動化した場合、初期100万円+月額10万円の構成なら、月の純削減は24万円 − 10万円 = 月14万円。初期費用100万円の回収は 約7〜8ヶ月 です。2年目以降は月24万円の削減に対して月10万円の費用なので、年間168万円が浮く計算になります。

ケース2:月3,000件・社員1名+パート2名

項目

数値

受注処理・出荷連携の月間作業時間

300時間

実効時給

2,200円

現状の人件費

月66万円(年792万円)

自動化による削減

月150時間=月33万円

月額費用(処理量から月20万円想定)

20万円

純削減

月13万円

初期100万円の回収は 約8ヶ月。この規模になると、削減効果より「繁忙期に人を増やさずに回せる」「担当者の退職で業務が止まらない」という運用リスクの解消のほうが金額換算しにくい価値を持ちます。

ケース3:月200〜500件の小規模EC

この規模では、AIエージェントの初期100万円は費用対効果が合いません。 まず一元管理システム(月3,000円〜1万5,000円)を導入してください。受注取込・在庫連携・発送メールという定型の幹を自動化するだけで、作業時間は大きく減ります。この段階でAIエージェントを検討するのは順序が逆です。

立ち上がりの2〜3ヶ月は効果ゼロで見込む

回収期間を計算するときの注意点です。構築に1〜2ヶ月、そこから精度が安定するまでさらに1ヶ月程度かかります。運用開始直後は「自動で処理案を作り、人が全件確認する」段階から始めるため、初月の削減効果は限定的です。立ち上がりの2〜3ヶ月を効果ゼロとして見込んでおくと、見通しが狂いません。ケース1なら実質10〜11ヶ月で回収、と考えておくのが現実的です。


自動化できる業務・できない業務の境界線

判断の原則はシンプルです。繰り返し発生し/入力も出力もデジタルで完結し/判断ルールが言葉にできる。この3つが揃えば自動化できます。どれか1つでも欠けると、人が残ります。

自動化できる

自動化できない(人が残る)

各モール・カートから受注データを取得し、決まった形式に変換して基幹システムや受注管理システムへ渡す

紙のFAX注文書しか来ない、電話注文が主体の受注

備考欄の記述を、のし・ラッピング・配達日指定・同梱といったルール化された指示に振り分けて出荷指示に載せる

顧客とその場で条件交渉が必要な受注(個別見積もり・値引き判断)

入金の名義揺れを照合し、未入金・過不足を一覧化して担当者に上げる

与信・取引可否の最終判断

欠品・入荷待ちの対象注文を抽出し、定型の連絡文を送信直前まで用意する

クレーム対応、謝罪の文面判断

出荷データを送り状システムの形式に変換し、追跡番号を各モールへ反映する

倉庫内のピッキング・検品・梱包(物理作業そのもの)

モールごとに異なる出荷確定操作を順に実行し、結果を突き合わせて報告する

「今回だけは特別対応」の可否を決める最終決裁

日次の受注件数・未処理件数・遅延リスク注文をまとめて朝一で通知する

販促企画・価格戦略の意思決定

特に間違えやすい3つのケース

「備考欄は自由記入だから無理」は誤りです。 自由な文章でも、過去半年分を読み返せば実際に来る指示は10〜20パターンに収まることがほとんどです。その振り分けは自動化できます。自動化できないのは「振り分けた先の対応をどうするか、その場で決める」部分です。

「例外が多いから無理」も多くの場合は誤りです。 例外の中身を数えると、8割は「過去にも起きた例外」です。過去に発生した例外を分類してルール化すれば、残るのは本当に新しい2割だけになります。GoQSystemも自社ブログで「自動化が難しい業務は、判断基準を決めることから始めよう」と書いており、判断基準が言語化できれば自動化の余地があるという点は業界共通の認識です。

逆に「毎回条件が変わる法人向けの個別受注」は自動化に向きません。 取引先ごとに納期・単価・締め日が交渉で決まるBtoB受注は、判断ルールが定義できないため人が残ります。ただし、その中の「注文書の内容を社内システムに入力する」工程だけは切り出せます。詳しくは受発注データの照合を自動化する方法で扱っています。


実現する方法は3つある

EC一元管理システムGoQSystemの公式イメージ。受注管理画面のダッシュボードが表示されている

出典: GoQSystem 公式サイト

受注処理の自動化には3つの手段があります。重要なのは、この3つは排他ではなく積み上げだということです。「一元管理システムを捨ててAIに置き換える」話ではありません。①を土台に、残った隙間を②③で埋めるのが正しい順序です。

① EC一元管理システム(受注管理システム)を導入する

複数モールの受注・在庫・商品情報を1画面にまとめ、決めたルールに従って自動処理する仕組みです。受注取込・在庫連携・発送メールという定型の幹を押さえます。

  • 費用:初期0〜5万円/月額3,000円〜4万5,000円程度(+オプション)
  • 適するケース:一元管理システムをまだ入れていない。複数モールへの手動ログインが常態化している
  • 限界:標準の自動処理ルールで表現できない例外は残る。備考欄の自由記入は人が読む前提

② RPAで作り込む

パソコンの画面操作を記録して人の代わりに実行させる仕組みです。一元管理システムと基幹システムの間に残ったCSVの手渡しなど、操作手順が確定している作業に向きます。

  • 費用:開発30万〜100万円+RPAライセンス料は別途/期間1〜2ヶ月
  • 適するケース:画面操作が毎回まったく同じ。データの形が固定されている
  • 限界:画面レイアウトの変更や業務フローの変更で止まる。RPA導入支援を行う光信も自社サイトで「業務フロー変更時の再設定が必要」「向いていない業務を無理に自動化するとかえって手間が増える」「導入後の運用・保守に工数がかかる」と明記しています。組んだ担当者が退職すると運用が止まるリスクもあります

③ AIエージェントに一連の流れごと任せる

手順とルールを覚えさせ、複数のシステムをまたいで代わりに操作させる方法です。①②で残った自由記述の読み取りと例外の振り分けまで含めて任せられます。

  • 費用:初期100万円+月額10〜50万円(税別・当社の場合)/導入1〜2ヶ月
  • 適するケース:一元管理システムは既に入っているのに人が張り付いている。月間受注1,000件以上
  • 限界:月200〜500件規模では費用対効果が合わない。まず①で十分

④ 人に外注する(BPO・EC運営代行)

自動化ではありませんが、実務上の選択肢として比較対象になります。比較メディアで紹介されている相場帯は、EC運営をまるごと委託する場合で月30〜50万円前後。受注件数別の料金例として月1,001〜3,000件で49万5,000円、3,001〜5,000件で55万円といった水準が挙げられています。件数が増えれば費用も増える構造である点が、自動化との最大の違いです。

4つを同じ条件で並べる

方法

初期費用

月額

導入期間

件数が増えたとき

① 一元管理システム

0〜5万円

3,000円〜4.5万円

数日〜1ヶ月

従量制なら増加、固定制なら据え置き

② RPA

30万〜100万円

ライセンス料

1〜2ヶ月

ほぼ据え置き(ただし仕様変更で保守発生)

③ AIエージェント

100万円

10〜50万円

1〜2ヶ月

処理量に応じて段階的に増加

④ 外注(BPO)

0〜数十万円

30〜50万円前後

1〜2ヶ月

件数に比例して増加


費用の目安:主要サービスの公開価格と、自社サービスの実価格

電卓と料金比較表を広げたデスクのイメージ。EC受注処理自動化の費用試算を表す

「システムを入れればいくら」という話が、実際には基本料金だけでは終わらない点を含めて整理します。以下は各社が公式サイトで公開している価格です(2026年9月時点)。

EC一元管理システム・受注管理システム

サービス

初期費用

月額

課金方式

ネクストエンジン

0円

3,000円〜(税抜/受注200件まで)

受注件数従量(201〜400件は35円/件、以降段階的に5円/件まで低下)。契約1年経過後、年間保守費用15,000円(税抜)

GoQSystem 受注管理プラン

30,000円(税別)

15,000円(税別)

固定制・受注件数無制限

GoQSystem 受注・在庫連携管理プラン

40,000円(税別)

29,800円(税別)

固定制

GoQSystem 受注・商品・在庫連携管理プラン

50,000円(税別)

44,800円(税別)

固定制

TEMPOSTAR スターター

無料

1,650円(税込/〜200件・〜2,000点・2店舗)

商品課金+受注課金

TEMPOSTAR スタンダード

無料

11,000円〜(税込/制限なし)

商品課金+受注課金(最低月額11,000円)

LOGILESS ライトプラン

0円

20,000円(税抜/月300件まで)

出荷件数従量(〜5,000件は25円/件)

LOGILESS スタンダードプラン

0円

25,000円(税抜/月500件まで・電話サポート付)

出荷件数従量

参考までに、ネクストエンジンで月1,000件の受注を処理した場合の概算は、基本料3,000円+(201〜400件の200件×35円)+(401〜1,000件の600件×30円)= 月2万8,000円前後(税抜) です。

基本料金に含まれないもの

ここが上位の解説記事で抜けやすい点です。受注処理の肝である機能が別オプションになっているケースがあります。

TEMPOSTARの場合、「受注自動更新機能」は月額16,500円(税込)の別オプションです。ほかにも基幹連携16,500円、その他モール受注連携16,500円、その他モール在庫連携16,500円、楽天物流連携22,000円(いずれも税込・月額、初期無料)といった構成になっています。つまりスタンダード11,000円+受注自動更新16,500円+基幹連携16,500円で、月額は4万4,000円になります。

GoQSystemも同様に、APIオプション月5,000円/初期10,000円、商品マスター月10,000円/初期20,000円、ロジオプション月20,000円/初期30,000円、店舗追加月10,000円/初期20,000円、外部システム連携月5,000円/初期20,000円(いずれも税別)というオプション構成です。

「月額15,000円で受注処理が自動化できる」と読むと見誤ります。 見積もりを取るときは、自社が必要な機能を先に洗い出したうえで、オプション込みの総額で比較してください。

AIエージェントに任せる場合の費用

私たちが提供しているシゴハヤエージェントは、上の表の一元管理システムを入れてもなお人が張り付いている事業者向けのサービスです。料金は初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)で、月額は処理量に連動して決まります。目安として10名規模の運用で月10万円、30名規模で月20万円です。月額には月1,000万〜1.2億トークン(AIが読み書きできる文字量の枠で、受注データや備考欄をどれだけ処理できるかに相当します)の処理枠が含まれます。導入期間は標準1〜2ヶ月です。

既存の一元管理システムを乗り換える必要はありません。既に入っているものはそのまま使い、その前後に残った「備考欄の読み取り」「送り状システムとのCSV手渡し」「モール別のイレギュラー処理」を引き受ける設計になります。サービスの詳細と料金の内訳はシゴハヤエージェントのサービスページに掲載しています。

補助金を使う場合の注意点

2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されています。受注管理システムはインボイス枠(インボイス対応類型)の受発注ソフトウェアに該当しうる区分です。

  • 補助上限額:「会計」「受発注」「決済」の機能を1つのみ有する場合50万円、2機能以上有する場合350万円
  • 補助率:補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は事業者規模によらず2/3以内
  • 次回締切:通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の1次締切は2026年9月29日(火)17:00。交付決定日は2026年11月9日(月)予定
  • 事業実施期間・実績報告期限:交付決定〜2027年4月30日(金)17:00予定
  • 複数者連携デジタル化・AI導入枠の1次締切は2026年10月30日(金)17:00、交付決定は2026年12月10日(木)予定、実績報告期限は2027年5月31日(月)17:00予定
  • 2次締切以降の日程は、本記事執筆時点で未発表です。 事務局は確定した募集回のスケジュールのみを公表する運用のため、申請を検討する場合は公式サイトで随時ご確認ください

実務上の落とし穴が2つあります。ひとつは、交付決定の前に契約・発注すると補助対象外になること。申請締切から交付決定まで約6週間あるため、この間は発注できません。もうひとつは、プラン形態の制約です。TEMPOSTARは補助金受付ページで、対象になるのは年間定額プラン(基本料金480,000円/年額)であり月額料金プランでは申請できないと明記しています。補助金を使うなら年払いへの切り替えが前提になる、ということです。

また、補助金は交付決定 → 事業実施(導入・支払い)→ 実績報告 → 確定検査 → 交付という流れで、入金は実績報告後になるため、いったん全額を自社で立て替える必要があります

1次締切分で時期を追うと、申請が2026年9月29日、交付決定が11月9日で申請から交付決定まで約6週間。そこから導入・支払いを行い、実績報告の期限が2027年4月30日です。実績報告後に事務局の確定検査を経てから交付されるため、申請から入金までは、最短で導入・報告を進めても半年程度、実績報告が期限近くになれば1年前後を見込むのが現実的です。資金繰りの計画は、この立て替え期間を前提に組んでください。制度は年度ごとに変わるため、申請前に公式サイトで最新の公募要領を確認してください。


実際にやった事例:データ変換と差分検出の自動化(調剤薬局チェーンのケース)

EC事業者の事例ではありませんが、構造がまったく同じ案件をご紹介します。

課題:複数の卸から届く商品情報(品名・規格・薬価・包装単位・JANコード)が、卸ごとに違うExcel形式で毎月送られてきていました。担当者はそれを社内システムの形式に手作業で整形し、店舗ごとの在庫マスタに反映していました。表記ゆれの修正と単位の換算に時間がかかり、月末は担当者が数日この作業に占有される状態でした。加えて、反映漏れによる発注ミスが年に数回発生していました。

作ったもの:卸ごとのファイル形式を自動で判別して自社フォーマットに変換し、既存マスタとの差分(新規・変更・終売)を検出して更新案を作り、判断が必要な行だけを一覧で担当者に提示する仕組みです。担当者は一覧を見て承認・修正するだけになりました。

何がどう変わったか:月次の整形作業が数日から半日程度に短縮され、差分検出を機械が行うことで反映漏れによる発注ミスがなくなりました。担当者は空いた時間を、仕入価格の見直しなど本来やるべき仕事に振り向けています。

EC受注処理に置き換えると:卸=各モール・カート、商品マスタ=受注データ、社内システム=受注管理システムや基幹システム、と読み替えれば同じ設計です。「送られてくるデータの形が販路ごとに違う」「差分・例外だけを人に上げる」「人は承認だけする」という骨格は共通しています。ECの場合はこれに送り状システムとの受け渡しと、モールへの追跡番号反映が加わります。

在庫側の突き合わせについては棚卸・在庫突合の自動化、商品登録側はEC商品登録の自動化で個別に扱っています。


導入までの流れと期間

壁に並んだ付箋で工程を段階的に並べたイメージ。自動化導入のステップと期間を表す

標準で1〜2ヶ月です。実際の進み方は次のとおりです。

第1週:現状の棚卸し どの販路から何件の受注が入り、誰が、どの工程に、月何時間使っているか。備考欄の記述は過去半年分でどんなパターンがあるか。ここで前述の削減試算を、推計ではなく実データで作り直します。この段階で「自動化しないほうがいい」と判断した場合は、その理由をお伝えして終了します。

第2〜3週:ルールの言語化 備考欄の記述をどう振り分けるか、欠品時の連絡はどの条件で誰が判断するか、どのケースを人にエスカレーションするか。多くの場合、ここが最も時間のかかる工程です。現場の担当者が頭の中でやっている判断を書き出す作業なので、社内の協力が必要になります。

第4〜6週:構築と試験運用 実際の受注データを流し、人がやった結果と突き合わせて精度を確認します。いきなり全件を自動で通すのではなく、最初は「自動で処理案を作り、人が全件承認する」形から始め、精度が安定してから承認を省く範囲を広げます。この期間中も現場の運用は止まりません。

第7〜8週:本番運用開始 運用開始後も、モールの仕様変更、配送会社のCSVレイアウト変更、販路の追加に合わせて調整が入ります。この保守は月額費用に含まれます。 自社でRPAを組む場合との最大の違いはここで、仕様変更のたびに社内で直す必要がなくなります。

繁忙期の直前に導入を始めるのは避けてください。ルールの言語化に現場の時間が必要なため、閑散期に着手して繁忙期に間に合わせる進め方が現実的です。9月に着手すれば年末商戦、1〜2月に着手すれば春の繁忙期に間に合う計算になります。

各工程でこちらが何を引き受け、どこから先を御社にお願いするのかは、シゴハヤエージェントのサービスページに導入の進め方としてまとめています。初回のご相談は無料で、要件が固まっていない段階でも構いません。


よくある質問

Q1. 受注管理システムを入れているのに、なぜ人が減らないのですか?

受注管理システムは「決めたルールどおりに処理する」仕組みであり、ルールが決まっていない部分は素通りして人の手元に残るためです。具体的には、備考欄に自由な文章が書かれた注文、住所や電話番号に不備がある注文、複数注文の同梱可否、システム連携に対応していない販路の分。件数としては全体の1〜2割でも、1件あたりの処理時間が定型注文の5倍以上かかるため、体感の作業時間はほとんど減りません。減らすべきはこの1〜2割です。

Q2. 楽天・Amazon・Yahoo!でモールごとに運用ルールが違いますが、まとめて自動化できますか?

できます。むしろモール数が多いほど効果が出ます。各モールのデータ取得には技術的な制約があり、たとえば楽天は一度に取得できる件数に上限があるため、件数の多い日は時間帯で分けて取りに行く設計にします。こうした販路ごとの癖を吸収して1つの流れにまとめる部分が、自前で組むと最も苦労するところです。なお連携に対応していない販路については、CSVでの受け渡しを自動化する形で対応します。

Q3. 受注件数が月300件程度でも導入する意味はありますか?

正直に申し上げると、その規模ではおすすめしません。 月300件なら、まず一元管理システム(月3,000円〜1万5,000円)を導入してください。初期100万円のAIエージェントは、削減できる人件費に対して回収期間が長くなりすぎます。目安として、受注処理に月100時間以上(パート換算で0.6人分以上)かかっている、または月間受注1,000件以上、というのが検討の入口です。それ未満であれば、一元管理システムの自動処理ルールを詰めるほうが効果的です。

Q4. 自動化した後にミスが起きたら、どうやって気づけますか?

3段構えで設計します。ひとつ目は事前の停止条件で、想定外のデータ形式や金額の桁違いを検知した時点で処理を止めて人に上げます。ふたつ目は処理後の突き合わせで、取り込んだ件数と各モールの受注件数が一致しているかを毎日照合し、差分があれば通知します。3つ目は日次のレポートで、処理件数・保留件数・エラー件数を朝一で担当者に届けます。「気づかないうちに止まっていた」という状態が最も危険なので、動いていることを毎日確認できる形を必ず作ります。

Q5. 導入期間中、現場の作業を止める必要はありますか?

止める必要はありません。試験運用の期間は、これまでどおり人が処理する裏側で自動処理を並走させ、両者の結果を突き合わせて精度を測ります。人の作業を止めるのは、精度が確認できて本番運用に切り替える時点です。ただし第2〜3週のルールを決める工程では、現場の担当者に合計10〜20時間程度お時間をいただきます。ここを省略すると、現場の実態と合わない仕組みができてしまいます。

Q6. 担当者が辞めてしまい、受注処理の手順が誰にも分からない状態です。この状態でも相談できますか?

その状態こそご相談ください。現状の棚卸しの工程では、過去の受注データと実際の処理結果を突き合わせて「何が行われていたか」を復元する作業から入ります。手順書がなくても、過去半年分の受注データと出荷実績があれば、どんな判断が行われていたかは相当な精度で再現できます。むしろ属人化した業務は自動化の効果が大きく、同じことが二度起きないようにするという副次的な価値もあります。

Q7. 配送会社のCSVの仕様が変わったら、また止まりませんか?

止まる可能性はあります。実際に配送会社の送り状データ仕様変更は定期的に告知されています。違いは復旧の担い手です。シゴハヤエージェントの場合、この保守は月額費用に含まれており、こちらで対応します。自社でRPAを組んだ場合は、仕様変更のたびに社内で設定を直す必要があり、それができる担当者がいなくなると運用が止まります。「安く導入したが結局動かなくなって放置された」という状態の多くは、この保守体制がないことから起きています。

Q8. まず一部だけ試すことはできますか?

可能です。よくある始め方は「備考欄の振り分けだけ」「送り状データの受け渡しと追跡番号の反映だけ」といった単一工程からの着手です。ただし対象範囲が狭いと初期費用に対する削減効果も小さくなるため、初回のご相談で「どこから始めれば投資に見合うか」を一緒に見立てるところから始めます。範囲を絞った結果、投資に見合わないと判断した場合は、その旨をお伝えします。


受注処理に月100時間以上かかっているなら、一度ご相談ください

EC受注処理は、繰り返し発生し、入力も出力もデジタルで完結し、判断ルールを言葉にできる——自動化に最も適した業務のひとつです。それでも人が張り付いたままになるのは、一元管理システムが「整ったデータを、決めたルールどおりに処理する」前提で作られていて、備考欄の読み取り・モール別のイレギュラー・送り状システムとのCSV手渡しが社内に残り続けるからです。

シゴハヤエージェントは、この残った部分をまとめて引き受けるサービスです。初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)、導入は標準1〜2ヶ月。 既存の一元管理システムは乗り換えずにそのままお使いいただけます。

初回のご相談では、現在の販路数・月間受注件数・受注処理にかけている時間をお聞きし、削減できる時間と回収期間の試算をお出しします。試算の結果、投資に見合わないと判断した場合は、一元管理システムの設定見直しや外注を含めた別の進め方をご提案します。月200〜500件規模の事業者に初期100万円のご提案はいたしません。

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関連して、受注後の問い合わせ対応は問い合わせメールの自動振り分け、システム間のデータ受け渡し全般はデータ転記の自動化で扱っています。


参考

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