AIツール2026年10月更新

WeatherNext Cyclonesとは?台風・サイクロン予測AIの精度・使い方・料金を整理【2026年10月最新】

公開日: 2026/08/10
更新日: 2026/10/26
WeatherNext Cyclonesとは?台風・サイクロン予測AIの精度・使い方・料金を整理【2026年10月最新】

この記事のポイント

WeatherNext CyclonesはGoogle DeepMindが2026年8月にNature論文とともにオープンソース化した台風・サイクロン予測AIです。「3日先が従来の2日先相当」という精度の中身、2026年シーズンの実績と弱点、WeatherNext 3との違い、使い方・料金・注意点を公式情報をもとに整理します。

WeatherNext Cyclones(WN-C)は、Google DeepMindとGoogle Researchが開発した、熱帯低気圧(台風・ハリケーン・サイクロン)の進路・強度・風の広がりを1つのモデルで予測するAIです。 2026年8月6日にNature論文(DOI: 10.1038/s41586-026-10953-2)が公開され、同じ日にコードと学習済みの重みがGitHubでオープンソース化されました。

公式の説明では、主要な現業モデルより平均で約1日分早く同じ精度に届きます。「3日先の予報が、従来モデルの2日先と同じくらい当たる」という意味です。公開後の2026年のハリケーンシーズンでも、米国立ハリケーンセンター(NHC)がGoogle DeepMindのモデルを重く見て予報を出す場面が続いています。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • WeatherNext Cyclonesの定義と、WeatherNext 2・WeatherNext 3・FNV3・GDMI・2-miniなど紛らわしい名前の関係
  • 精度がどれだけ上がったのか(公式の数字、論文を読んだ報道の数字、2026年シーズンの第三者検証を分けて整理)
  • 2026年8月前後に変わったこと(WeatherNext 3の発表、旧モデルの配信終了、2026年シーズンの実績と弱点)
  • 公開された6モデルの違い、動かす手順、必要なハードウェア、料金
  • 公式が書いている免責と、防災・業務で使うときの注意点
  • 日本の台風予測との関係(ウェザーニューズの採用、気象庁の方針)

想定読者は、気象データを扱う研究者・データサイエンティスト、BCPや事前防災を担当する企業・自治体の担当者、AIモデルの社会実装に関心のあるビジネス層です。数値は2026年10月時点の公式情報・公開情報に基づきます。

WeatherNext Cyclonesとは|Google DeepMindの熱帯低気圧予測AI

WeatherNext Cyclonesは、熱帯低気圧の進路・強度・風の広がりを1つのモデルでアンサンブル予測する全球AI気象モデルです。Google DeepMindが、米国立ハリケーンセンター(NHC)、コロラド州立大学のCIRA、英国気象庁(UK Met Office)などの気象機関と組んで開発・検証してきました。

WeatherNext Cyclonesの発表記事に掲載された公式キービジュアル

出典: Google 公式ブログ「WeatherNext 2 Cyclones」

基本情報

項目

内容

正式名称

WeatherNext Cyclones(略称 WN-C)

開発元

Google DeepMind / Google Research

連携機関

米国立ハリケーンセンター(NHC)、CIRA(コロラド州立大学)、英国気象庁ほか

予測対象

熱帯低気圧の進路・強度(最大風速/中心気圧)・風の構造(暴風域・強風域の半径)、全球の一般気象

予測期間

最大15日先

空間解像度

0.25°(約28km)/軽量版は1°(約111km)

方式

FGN(Functional Generative Networks)によるアンサンブル予測。WeatherNext 2と同じアルゴリズム

学習データ

ERA5(約20TBの全球大気データ)とIBTrACS(過去の熱帯低気圧約5,000件)を同時に学習

速度

TPU 1基で15日先の予測を1分未満

論文

Nature、2026年8月6日公開(DOI: 10.1038/s41586-026-10953-2)

ライセンス

コード=Apache License 2.0/その他の素材=CC BY 4.0

公開場所

GitHub google-deepmind/weathernext(2026年10月時点でスター約7,700)

従来の台風予測と何が違うのか

これまでの現業予報では、熱帯低気圧に2種類のモデルを使い分けるのが一般的でした。

  1. 広い範囲を扱う全球モデルで進路(どこへ進むか)を予測する
  2. 高解像度の領域モデル(NOAAのHAFSなど)で強度(どこまで強くなるか)を予測する

WeatherNext Cyclonesは、この2つを1つのモデルで同時に出す点が新しいところです。解像度は約28kmで、公式ブログの表現では強度予測用の領域モデルより「100倍粗い」格子です。それでも強度予測で最先端の精度を出したことが、論文の主張の中心にあります。

ただし、粗い格子でなぜ精度が出るのかは、研究者自身もまだ完全には分かっていないと公式ブログに書かれています。信頼性を評価するうえで見落とせない点です。

AIを自然現象の予測に使う流れを広く知りたい場合は、生成AIとは何かの基礎整理や、DeepMindが数学・アルゴリズムの分野で成果を出したAlphaEvolveとあわせて読むと、同社の「科学へのAI応用」の全体像がつかみやすくなります。

紛らわしい名称の対応関係(FNV3 / GDMI / WeatherNext 2 / 3 / Mini)

WeatherNextの周辺は名前が多く、日本語の記事でも混乱が見られます。公式ブログ・GitHub README・開発者ドキュメントの表記をもとに整理しました。

呼び名

実体

補足

WeatherNext Cyclones(WN-C)

熱帯低気圧の予測を目的に公開されたモデル群

この記事の主題

FNV3

WeatherNextCyclones_<2025 の通称

2025年シーズンに運用で使われた版。ウェザーニューズも「WeatherNext(FNV3)」と表記

GDMI

NHC側の呼び名。DeepMindモデルの出力をNHCが後処理したもの

2025年はFNV3が中身(README)。2026年シーズンのGDMIがWN-CかWeatherNext 3かは公式に確認できない

WeatherNext 2(WN2)

汎用の全球気象予測モデル

アルゴリズムはWN-Cと同じ。重みが別なのは別々に学習したため

WeatherNext 2-mini/WeatherNext Cyclones Mini

1°解像度の軽量版

公式ブログと開発者向けリリースノートは「WeatherNext 2-mini」、GitHub READMEは「WeatherNext Cyclones Mini」と書いている。どちらも公式の表記で、同じもの

WeatherNext 3(WN3)

2026年9月3日に発表された次世代の汎用モデル

毎時更新・最大約5km。熱帯低気圧の進路も直接出力する。重みの公開は確認できない

WeatherNext Graph / Gen

旧世代のGraphCast/GenCast

重みはGitHubに残っているが、Earth Engine・BigQueryでのデータ配信は2026年7月29日に終了

公式READMEは「WN2とWN Cyclonesのアルゴリズムは同じで、重みが違うのは別々に学習したため」と説明しています。「台風はWN-C、普通の天気はWN2」と機能で分かれているわけではありません。

2026年8月以降の動き|WeatherNext 3の発表と2026年シーズン

Google DeepMindがWeatherNext 3を発表した公式ページのキービジュアル

出典: Google DeepMind 公式サイト「WeatherNext」

2026年7月末から10月にかけて、提供の形と評価の両方が動きました。WeatherNext Cyclonesを今から使う人は、次の変化を前提にしてください。

日付

出来事

WN-Cへの影響

2026年7月29日

Earth Engine・BigQueryのWeatherNext Gen(GenCast)・Graph(GraphCast)のデータ配信が終了

旧世代の予測データは配信経由では入手できない

2026年8月4日

ウェザーニューズが法人向けサービスにWeatherNext(FNV3)を追加

日本の企業・自治体がAI予測を比べて使える経路ができた

2026年8月6日

Nature論文の公開、コードと重みをGitHubで公開、Weather Labの画面を刷新

WN-Cが誰でも検証できる形になった

2026年8月31日〜9月3日

WeatherNext 3を公開・発表

予測データを使う用途では、公式が新規プロジェクトにWN3を勧めている

2026年9月4日

GitHubにCloud TPU VMでWN2のデモを動かすガイドを追加

自前で推論する手順が増えた

2026年9月10日

2026年シーズン(9月6日まで)の検証で、DeepMindのモデルが公開されている進路予報のなかで首位という集計が出る

第三者の検証が積み上がり始めた

2026年10月6〜10日

ハリケーン・イサイアスで、NHCの予報解説が「Google DeepMind(GDMI)をより重視」と明記

運用の現場での比重が増した

WeatherNext 3はWN-Cの後継なのか

WeatherNext 3は汎用の天気予報モデルの次世代版で、WN-Cをそのまま置き換えるものではありません。静止衛星の画像を1時間ごとに取り込み、毎時更新・最大約5kmの解像度で予報します。1つのモデルが、格子状の気象データ、熱帯低気圧の進路、観測地点の値をまとめて出力するため、台風の進路予測もWN3の対象に入っています。

一方で、WN3の重みの公開は確認できず(ブログ・GitHubとも記載なし)、Vertex AIのカスタム推論にも対応していません。台風の予測を自分で回して検証したいならWN-C、予測済みのデータを使いたいならWN3、と分けて考えるとわかりやすいでしょう。

WeatherNext Cyclonesでできること

WeatherNext Cyclonesが出すのは、熱帯低気圧の3要素と全球の一般気象です。どちらも、複数のシナリオを並べたアンサンブル(確率予測)として得られます。

熱帯低気圧について予測できるもの

  • 進路(track):中心位置の時系列
  • 強度(intensity):最大風速・中心気圧
  • 風の構造(wind structure):暴風域・強風域の半径。避難範囲や被害想定に直結する
  • いずれも最大15日先まで

全球の一般気象

気温・風・降水・気圧などの全球予測も出します。台風以外にも、電力需給、農作業の計画、物流の輸送計画といった用途に使える出力です。気象データを需給予測に組み込む取り組みは、電力・エネルギー業界のAI活用や農業のAI活用でも広がっています。

アンサンブル(不確実性の扱い)

WeatherNext Cyclonesは「正解の進路」を1本だけ出すのではなく、たくさんのシナリオを作って確率として示します。公式ブログによると、2025年シーズンは50シナリオ、2026年は1,000シナリオに増やしました。起こりにくいものの被害が大きい急速な発達(急速強化)を、確率として拾うのが狙いです。

ただし、メンバー数は使う経路によって違います。誤解されやすいので、経路ごとに並べます。

経路

公式に書かれているメンバー数

公式ブログ(2026年のサイクロン予測)

1,000

WeatherNext 3 の配信データ(BigQuery / Earth Engine / Cloud Storage)

64

Open-Meteo の「Google WeatherNext 2 Ensemble」

64

自前で推論する場合

計算資源の範囲で自分で決める

「1,000メンバー」はDeepMind側のサイクロン予測の数字で、配信データをそのまま使ったときの数とは一致しません。導入を検討するときは、使う経路のドキュメントで個別に確認してください。

推論速度と更新頻度

TPU 1基で15日先の予測を1分未満で作れます。FGN方式は1ステップにつきネットワークを1回通すだけなので、何十回も計算を重ねる拡散モデル(GenCast)より軽く済みます。スーパーコンピュータで数時間かける従来の数値予報とは、計算コストの考え方が変わる水準です。

配信データの更新は経路で異なります。WeatherNext 2系は6時間ごと(00/06/12/18 UTC)の初期値、Open-Meteo経由は12時間ごと(00/12 UTC)です。WeatherNext 3は毎時更新ですが、15日先まで出すのは00/06/12/18 UTCの回で、それ以外の回は48時間先までです。

精度はどれだけ上がったのか|「3日先が従来の2日先相当」の中身

公式の主張は「進路・強度・風の構造のすべてで、主要な現業モデルに24時間を超えるリードタイムの差をつけた」です。平均すると約1日分の上乗せで、「3日先の予報が従来モデルの2日先と同程度」になります。DeepMindはこれを「気象学のおよそ10年分の進歩」と表現しています。

WeatherNext Cyclonesの成果を発表したGoogle公式ブログ「The Keyword」のキービジュアル

出典: Google 公式ブログ「The Keyword」

公表されている主な数値

数字は出どころで信頼度が変わるため、「公式ブログ」「論文を読んだ報道」「2026年シーズンの第三者検証」に分けました。

指標

WeatherNext Cyclones

比較対象

出どころ

リードタイムの差

進路・強度・風の構造で24時間超(平均で約1日)

主要な現業モデル

公式ブログ(2023〜2024年の熱帯低気圧で測定)

3日先の強度誤差

約11ノット

HWRFより小さい

公式ブログの図から読み取れる値

3日先の位置誤差

約100km

ECMWF-ENSより小さい

公式ブログの図から読み取れる値

5日先の進路誤差

230km

ECMWF ENS 370km/GenCast 335km

論文を読んだ技術メディア(The Decoder)

NHCのコンセンサス予報に加えた場合の改善

進路 平均28%/強度 約6%

NHCの既存コンセンサス

同上

3日先の強度

HAFSより3.75ノット高精度

NOAA HAFS

同上

ハリケーン強度(64ノット)到達の予測

CSI 0.3未満 → 0.5

既存モデル

同上

2026年シーズンの進路(9月6日まで)

公開されている進路予報のなかで首位。5日先でNHC公式予報を最大30%上回る

NHC公式予報ほか

第三者の検証(元NHC部門長の集計をもとにした解説)

230km・28%・6%・3.75ノット・CSIの数字は、Nature論文を読んだ技術メディアが報じたもので、DeepMindの公式ブログ本文では確認できません。論文本体は購読制のため、数字を社内資料などに引用するときは、公式ブログの値と報道の値を分けて扱うのが安全です。

実運用での実績

WeatherNext Cyclonesは、いきなり公開されたモデルではありません。2025年6月から実験サイト「Weather Lab」で予測を公開し、NHCが実際の予報で参照してきました。

2025年シーズン:NHCの年次検証レポートで、WeatherNextは進路と強度の両方で個別モデルの1位でした(DeepMind公式ブログ、2026年5月19日)。象徴的なのが2025年10月28日にカテゴリー5でジャマイカに上陸したハリケーン・メリッサです。WeatherNextは上陸の5日前に80%の確からしさでカテゴリー5での上陸を示し、3日前にはほぼ100%になりました。NHCがカテゴリー1の段階からカテゴリー5への発達を予報したのは、これが初めてだったと公式は説明しています。

2026年シーズンの実績と見えてきた弱点

2026年もNHCはDeepMindのモデルを重視していますが、弱点もはっきりしてきました。良い結果だけでなく、外れたケースもあわせて見ておくことが大切です。

評価された点

  • 10月のハリケーン・イサイアスで、NHCの予報解説(10月7日)に「成績のよい補正コンセンサス(HCCA)とGoogle DeepMind(GDMI)をより重視する」と書かれた
  • NHCは発生の初期からDeepMindのモデルに近い予報を出し、命名前の最初の予報でカテゴリー2への発達を予報した(CNNの報道)
  • NHCのブレナン局長は「AIモデルは一貫性が高い」と述べ、NHCのベストトラック解析を学習に提供したことが強度予測の良さにつながったと説明している(同)

弱点として指摘された点

  • 小さな構造は苦手:イサイアスの上陸時、西側にできた強い風の帯(スティングジェット)は、台風専用の高解像度モデル(実験版HAFS)のほうがよく捉えた。DeepMindのモデルはこうした小さな構造を描く設計ではない(weather.com)
  • 初期値ごとのぶれ:9月のハリケーン・ローウェルでは、DeepMindの進路予報が初期値ごとに大きく揺れ、NHCの公式予報のほうが先に正解に寄った(気象解説者 Michael Lowry 氏、9月10日)
  • 発生前の段階は弱い:イサイアスでは発生の12日前に兆候を示した後、数日間シグナルを失った。機械学習モデルは発生前の段階では信頼性が下がるという指摘もある

NHCは「AIに予報を任せたわけではない」と説明しており、AIの予報を物理モデルや予報官の判断と組み合わせて使っています。また、2026年シーズンにNHCが参照した「GDMI」がWN-CなのかWeatherNext 3なのかは、公式に確認できません。報道のなかにはWeatherNext 3と書くものもありますが、ここでは断定しません。

公開された6モデルの違いと選び方

WeatherNext Cyclonesの学習済み重みが公開されたGitHubリポジトリ google-deepmind/weathernext

出典: GitHub google-deepmind/weathernext

GitHubで公開されているのは1つのモデルではなく、目的の違う複数の重みです。2026年10月時点の最新タグは v0.3.0 で、READMEに載っている主な6モデルは次のとおりです。

モデル(重みファイル名)

解像度

学習データの範囲

主な用途

WeatherNext2_<2025(model1〜4の4ファイル)

0.25°

2024年まで

運用で使われた汎用の全球モデル

WeatherNextCyclones_<2025

0.25°

2024年まで

2025年シーズンに運用で使われた版(FNV3)。最新の台風予測を試すならこれ

WeatherNextCyclones_<2024

0.25°

2023年まで

論文の2024年の結果を再現するための版

WeatherNextCyclones_<2023

0.25°

2022年まで

論文の2023年の結果を再現するための版

WeatherNextCyclones_Mini_<2024

1°

2023年まで

軽量版(公式ブログでは「WeatherNext 2-mini」)。手元での検証・学習用

WeatherNextCyclones_Mini_<2023

1°

2022年まで

同上(より古い評価期間向け)

旧世代のGraphCast(WeatherNext Graph)とGenCast(WeatherNext Gen)の重みも、リポジトリには残っています。ただし、Earth Engine・BigQueryでの予測データの配信は2026年7月29日に終わりました。READMEにWeatherNext 3の重みは載っていません。

目的別の選び方

やりたいこと

選ぶモデル

理由

まず動かして挙動を知りたい

WeatherNextCyclones_Mini_<2024

Colabの v5e-1 ランタイムで動く。公式はMiniに大きい版と同じ性能を期待しないよう書いているので、精度の評価には使わない

今いちばん良い台風予測を試したい

WeatherNextCyclones_<2025

運用実績のあるFNV3。H100クラスのGPUか v5p 級のTPUが必要

論文の結果を追試したい

_<2024 または _<2023

評価する期間が学習データに入らないよう、学習範囲が区切られている

台風以外の気象も一緒に使いたい

WeatherNext2_<2025

汎用の出力。サイクロンの予測方法はWN-Cと同じ

評価するときの注意:_<2025 を2023年や2024年の台風で評価すると、その期間が学習データに含まれているため成績が実力より良く出ます。論文の再現や第三者検証では、評価期間より前で学習を打ち切った版を選んでください。

WeatherNext Cyclonesの使い方|5つの入手経路

重みが無料で公開されたからといって、すぐに自分で台風予測を回せるわけではありません。予測の出発点になる気象データ(初期値)を別に用意する必要があり、Mini以外のモデルは高性能なハードウェアも要ります。使い方は大きく5つに分かれます。

経路

何ができるか

必要なもの

向いている人

① Google Colab(公式ノートブック)

Miniで推論を体験

Googleアカウント(Miniは v5e-1 で動作)

まず挙動を見たい人

② GitHub(自前で推論)

全モデルを好きな初期値で実行

H100クラスのGPUか v5p 級TPU、ERA5またはHRESのデータ

研究者、自社で検証したい技術チーム

③ BigQuery / Earth Engine / Cloud Storage

予測済みデータを取得(WN3・WN2)

Googleアカウントと利用申請(WN3は許可制)

予測データだけ欲しい分析・BIチーム

④ Vertex AI カスタム推論

好きな初期値でマネージド推論

利用申請、課金の有効化、GPUクォータの申請。対応はWeatherNext 2のみ

本番運用を見据える企業

⑤ Open-Meteo API / Weather Lab

APIやブラウザで手軽に参照

Open-Meteoの利用規定に沿った利用/ブラウザ

アプリ開発者、情報を見たいだけの人

① Colabで試す(最も手軽)

公式リポジトリのデモノートブック(docs/weathernext2/wn2_demo.ipynb)は、初期設定で Mini を v5e-1 のTPUランタイムで動かします。Googleアカウントがあれば一通りの流れを確認できます。Mini以外のモデルを回すには v5p が必要で、Colabの有料枠になります。料金はColab側の規定に従います。

② 自前環境で推論する場合の手順

大まかな流れは次のとおりです。

  1. パッケージを入れる:PyPIではなくGitHubから直接入れます。pip install git+https://github.com/google-deepmind/weathernext.git@v0.3.0 のようにリリースタグで固定してください
  2. 重みを取得する:Google Cloud Storageの公開バケット dm_graphcast から、使うモデルの重みをダウンロードします
  3. 初期値データを用意する:ERA5(再解析データ)またはECMWF HRESの解析値です。ここがいちばんのハードルになります
  4. 推論を実行する:公式はTPUでの実行を勧めています。GPUで動かすときは、デモノートブックにあるとおりattentionの実装を切り替えます。2026年9月4日にはCloud TPU VMで動かすガイドも追加されました
  5. 出力から台風を追う:出力された気象場から熱帯低気圧の中心を追跡します

ハードウェアの目安:MiniはP100でも推論できます。Mini以外はメモリの都合でH100が必要です。なお、モデルを一から学習し直すのは現実的ではありません。ERA5の全量とHRESでの微調整用データが必要で、個人や中小規模の組織で用意できる量ではありません。

③〜⑤ データやAPIだけを使う

自前で推論せず、出来上がった予測データを使う方法もあります。

  • WeatherNext 3のデータ:BigQuery・Earth Engine・Cloud Storageで提供されています。公式は新しいプロジェクトにはWN3を勧めています。申請フォームから許可リストに登録する方式で、通常5〜7営業日かかります
  • WeatherNext 2のデータ:引き続き提供されています。ただし公式は、2026年5月12日のECMWF IFSの更新(Cycle 50r1)以降、WN2の精度が下がる可能性があると注意を出しています
  • Open-Meteo:第三者のサービスで、WeatherNext 2のアンサンブル(64メンバー・0.25°・12時間ごと更新)をAPIで提供しています。WN3の提供は確認できません
  • Weather Lab:Google Earth AIの実験サイトです。2026年8月に画面が新しくなり、サイクロンの進路に加えて全球の予報も見られるようになりました
WeatherNextの予測データを配信するGoogle Earth Engineの公式キービジュアル

出典: Google Earth Engine 公式ドキュメント

Googleの地球観測・気象系の提供内容は、実験的な公開と見直しが繰り返されています。2026年7月の旧モデルの配信終了もその一例です。Google EarthのAI画像生成機能が1日で撤回された事例のように、提供内容が短い期間で変わる可能性は織り込んでおくべきです。

料金|無料で使える範囲と有料になる境界

重みとコードは無料です(Apache 2.0/CC BY 4.0)。費用がかかるのは主に計算資源とクラウドの利用の側で、公式に単価が出ているものはありません。

利用方法

料金(公式で確認できた範囲)

注意点

GitHubのコード・重み

無料

計算資源は自己負担

Google Colab

Miniは v5e-1 で動く

Mini以外は v5p(有料枠)。料金はColab側の規定

WeatherNext 3の予測データ

有料のGoogle Cloud契約は不要。Googleアカウントがあれば研究者・学生も申請できる

BigQueryのクエリやCloud Storageの転送に従量課金がかかるかは、公式ページに記載がない

Vertex AI カスタム推論(WN2のみ)

料金の記載なし

課金の有効化と、H100またはA100 80GBのGPUクォータ申請が必要(初期値は0)。GPUの利用料は発生する

Weather Lab

無料(閲覧)

実験的なサイト。公式の予報ではない

Open-Meteo API

Open-Meteoの規定(非商用は無料、商用は有料プラン)

提供はWeatherNext 2のみ

見落とされやすいのがデータの利用規約です。

  • WeatherNext 3のデータ:リアルタイムのデータ(1時間以内と未来の時刻)は「実験的データの利用規約」、1時間以上前の過去データはCC BY 4.0です。データは「現状のまま」の提供で、公式の警報ではないと明記されています。商用で使ってよいかは公式ページからは読み取れないため、事前に確認してください
  • 自前で推論する場合の初期値:ERA5やHRESはECMWFの規約に従います。READMEも、データの利用規約を守っているかの確認は利用者の責任としています

商用サービスに組み込むなら、モデルのライセンスとデータのライセンスを分けて確認する必要があります。Vertex AIでのマネージド利用は、2026年10月時点でも単価が公開されておらず、本番運用の費用を見積もるにはGoogleへの問い合わせが必要です。

このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します

初回相談は無料・30分(オンライン)。要件が決まっていなくても大丈夫です。改修100万円〜・PoC300万円〜(税別)

使う前に必ず押さえるべき制約と免責

WeatherNext Cyclonesは、公式に「Googleの正式サポート製品ではない」と書かれた実験的な研究プロジェクトです。 防災に関わる以上、ここは曖昧にできません。GitHubの免責事項を要約します。

  1. 公式サポート製品ではない(This is not an officially supported Google product)
  2. 実験的な研究プロジェクトであり、使ってよいかの判断と、そこから生じるリスクは利用者の責任
  3. どの政府気象機関とも共同で作ったものではなく、承認も受けていない。公的な警報・注意報の代わりにはならない
  4. APIの安定性は保証されない。予告なく互換性のない変更が入ることがあるため、リリースタグでの固定を勧めている
  5. Weather Labの予測は開発中のモデルによるもので、公式の予報・警報ではない

公式ページはどれも「公式の予報・警報は各地の気象機関を参照すること」と明記しています。

技術面・信頼性面の制約

  • 重みだけでは動かない:ERA5かHRESの初期値が別に必要で、それぞれ別の規約に従う
  • ハードウェアの要件が高い:Mini以外はH100か v5p 級のTPUが前提
  • 学習し直すのは現実的でない:ERA5の全量とHRESの微調整用データが必要
  • 精度が出る理由が未解明:粗い格子でなぜ強度を当てられるのか、研究者自身もまだ完全には説明できていない
  • 小さい現象と発生前の段階は苦手:2026年シーズンに、スティングジェットのような小さな構造や、台風が生まれる前の段階で弱さが見えた
  • 予報のぶれ:初期値ごとに進路が大きく揺れたケースがある
  • 初期値の変化による影響:ECMWF IFSの更新(2026年5月12日)後、WN2の精度が下がる可能性があると公式が注意している。HRESやERA5を初期値に使うWN-Cにも同じ影響があるかは、公式に確認できない
  • 西太平洋(日本の台風)の検証が見当たらない:公式・論文の検証は大西洋・東太平洋・中部太平洋が中心
  • 日本語の画面・ドキュメントは確認できない

一方で、重みが公開されたことで、外部の研究者が「なぜ精度が出るのか」「どこで外れるのか」を確かめられるようになりました。これがオープンソース化の最大の意義だという見方もあります。評価が固まるには、公開後の再現検証の積み重ねを待つ必要があります。

企業・自治体が使う場合の運用ルール

業務に組み込むなら、少なくとも次の点を社内のルールにしておくのが現実的です。

  • AIの予測は参考値として扱い、気象庁など公的機関の情報を一次情報にする
  • 判断の記録に、どのモデルの何時の初期値を参照したかを残す
  • パッケージはリリースタグで固定する(インストールはGitHubから直接、重みは公開バケットから取得するため、サプライチェーン対策としても固定が望ましい)
  • 予測をどう読むかの責任は利用者側にあることを、関係部署で合意しておく
  • 自社のサービスで予測を「予報」として第三者に出すなら、気象業務法の予報業務許可が必要かどうかを気象庁に確認する

台風予測のデータを自社の配送計画やBCPのシステムに取り込む場合、予測データを取得して使うだけにするか、自前の推論環境まで持つかで、開発の範囲と費用が大きく変わります。外部のモデルやデータを業務システムに組み込むときの進め方と費用の目安は、AI開発の費用相場で整理しています。

リスク評価や事業継続にAIをどう位置づけるかは、保険・損保業界のAI活用や官公庁・自治体のAI活用事例でも共通する論点です。

日本の台風予測とどう関係するのか

WeatherNext(FNV3)を法人向け台風予測に採用したウェザーニューズの公式サイト

出典: ウェザーニューズ公式サイト

日本でも、WeatherNext系のモデルはすでに法人向けの気象サービスに組み込まれています。ただし、気象庁との公式な連携は2026年10月時点でも確認できません。

2026年8月4日、ウェザーニューズは法人向けサービス「ウェザーニュース for business」の台風予測を新しくし、比べられるモデルを8本から23本に増やしました。その1つがGoogleのWeatherNext(FNV3)です。あわせて「台風可能性 15日間予測」として、台風がどこにありそうかの確率を色分けで示す機能を加えています。想定する利用先は、自治体・建設・物流・電力・農業・放送・学校・港湾などです。同社はAIが物理モデルを「上回ることもある」と書いており、AIを判断材料の1つとして並べて使う考え方を取っています。

DeepMindは2026年5月の公式ブログで、フィリピン(PAGASA)・台湾(CWA)・インドネシア(BMKG)・ベトナム(VNMHA)の気象機関に研究を広げていると説明し、日本・オーストラリア・インドでも今後取り組む予定と書きました。ただし、日本のどの機関と組むのかは書かれていません。

気象庁は2026年6月26日、「2030年に向けた数値予報技術開発重点計画」を補強し、AI気象モデルと物理モデルを補い合う形で併用して、防災気象情報を高度化する方針を示しました。WeatherNextを採用するという発表ではありません。日本の警報・注意報の一次情報は、引き続き気象庁です。

また、論文の検証は大西洋などNHCの担当海域が中心で、日本近海(西太平洋)の個別の検証結果は公開情報では見つかりません。日本の台風での実力を判断するには、今後の第三者検証や、ウェザーニューズのような事業者の運用実績を待つ必要があります。

台風は物流の遅れ、電力設備の被害、農作物の被害など幅広く影響します。リードタイムが1日伸びる価値は、運輸・物流業界のAI活用や環境・インフラ分野でのAI活用の文脈で考えるとイメージしやすいはずです。

他の気象モデルとの比較

WeatherNext Cyclonesを、同じGoogleのAIモデルと、従来の物理モデルのなかに置いて比べます。

WeatherNext Cyclonesの共同開発元であるGoogle Research公式サイトのキービジュアル

出典: Google Research 公式サイト

モデル

種類

解像度

主な予測対象

入手方法(2026年10月)

WeatherNext Cyclones

AI(FGN)

0.25°

熱帯低気圧の進路・強度・風の構造+全球の気象

重みを公開(Apache 2.0)

WeatherNext Cyclones Mini(2-mini)

AI(FGN)

1°

同上(軽量・検証用)

重みを公開。Colabの v5e-1 で動く

WeatherNext 2

AI(FGN)

0.25°

全球の気象。サイクロンの予測方法はWN-Cと同じ

重みを公開+データ配信+Vertex AIのカスタム推論

WeatherNext 3

AI(FGN)

約5〜25km(変数による)

毎時更新の全球の気象、熱帯低気圧の進路、観測地点の値

データ配信(申請制)、Google検索・Gemini・Googleマップに反映。重みの公開は確認できない

GenCast(WeatherNext Gen)

AI(拡散モデル)

0.25°

全球の気象のアンサンブル

重みはGitHubに残る。データ配信は終了

GraphCast(WeatherNext Graph)

AI(グラフニューラルネットワーク)

0.25°

全球の気象(1本の予測)

重みはGitHubに残る。データ配信は終了

ECMWF ENS

物理(数値予報)

—

全球の気象のアンサンブル

現業モデル。データは規約に沿って提供

NOAA HAFS

物理(領域モデル)

高解像度

ハリケーンの強度・構造

米国の現業モデル

WN-CとWeatherNext 3の違い

比較項目

WeatherNext Cyclones

WeatherNext 3

位置づけ

台風予測の研究モデル(2025年に運用で使われた版を含む)

汎用の運用モデルの次世代版

発表

2026年8月6日(Nature論文)

2026年9月3日(arXiv論文)

更新

自前で回す場合は好きなタイミング

毎時(15日先は6時間ごとの回)

解像度

約28km(Miniは約111km)

地上の気温など約5km、気圧面の風など約25km

台風の予測

進路・強度・風の構造を出す

進路を直接出す

重み

公開

公開は確認できない

向いている使い方

自分で推論・検証したい、論文を再現したい

予測済みのデータを業務や分析に使いたい

AIモデルと物理モデルが置き換えの関係ではないことが大事です。AIモデルは、ERA5のような再解析データや現業モデルの解析値を初期値に使います。物理モデルと観測網があってはじめて動くので、「物理モデルが要らなくなる」という理解は誤りです。2026年のイサイアスで、小さな風の構造は高解像度の物理モデルのほうがよく捉えたことも、役割の違いを示しています。

Googleのほかのオープンウェイトモデルと比べたい場合はGemma 4、基盤モデルの動きはGemini 4の記事も参考になります。

こんな人におすすめ

WeatherNext Cyclonesを実際に触る価値が高いのは、次のような人です。

  • 気象・防災分野の研究者や大学院生:論文の再現や、西太平洋での独自の評価をしたい。日本の台風での検証はまだ空白なので、取り組む余地が大きい
  • 気象データを扱うデータサイエンティスト:アンサンブル予測を分析の仕組みに取り込みたい。予測済みのデータで足りるならWeatherNext 3のデータ配信も候補になる
  • BCP・事前防災を担当する企業や自治体の担当者:自分で推論を回すより、ウェザーニューズのような事業者を通じて、AIを含む複数モデルを比べて使うほうが現実的
  • 気象情報を扱うアプリ・サービスの開発者:Open-Meteo経由なら初期投資を抑えてWeatherNext 2のデータを試せる
  • AIと科学の最前線を追いたいビジネス層:「粗い格子でなぜ当たるのか分からない」という論点は、AIの説明可能性を考えるうえでも示唆が大きい

おすすめしない人・使うべきでないケース

  • 公的な警報の代わりにしたい人:公式がはっきり否定しています。避難の判断は気象庁など公的機関の情報に従ってください
  • すぐ使える完成品のツールを期待している人:SaaSではなく研究用のコードです。初期値データとハードウェアの用意が前提です
  • H100やv5p級のTPUを用意できないまま、精度を検証したい人:公式はMiniが大きい版と同じ性能ではないと書いています。Miniの結果でモデル全体を評価するのは不適切です
  • 人命や安全に関わる判断を1つの情報源で行いたい組織:免責事項がそれを認めていません。複数のモデルと公的情報を併用するのが前提です
  • APIの安定が必要な本番システムに直結させたい開発者:予告なく互換性のない変更が入りえます。予測データの配信やVertex AIの正式な条件を確かめてから設計するほうが安全です
  • 日本の台風での精度を前提に意思決定したい人:西太平洋での公式な検証結果はまだ見当たりません

よくある質問

Q. WeatherNext CyclonesとWeatherNext 2、どちらを使えばいいですか。

A. 台風の予測が目的なら、運用実績のあるWeatherNext Cyclonesの _<2025(FNV3)が第一候補です。台風以外の気象も一緒に使うならWeatherNext 2を選びます。公式によると、サイクロンの予測方法は同じで、重みが違うのは別々に学習したためです。

Q. 「WeatherNext 2-mini」と「WeatherNext Cyclones Mini」は別物ですか。

A. 同じ軽量版(解像度1°)です。DeepMindの公式ブログと開発者向けリリースノートは「WeatherNext 2-mini」、GitHubのREADMEは「WeatherNext Cyclones Mini」(WeatherNextCyclones_Mini_<2024 など)と書いています。どちらも公式の表記です。

Q. WeatherNext 3が出たら、WeatherNext Cyclonesはもう古いのですか。

A. 用途で分かれます。WeatherNext 3は毎時更新・高解像度の汎用モデルで、台風の進路も出しますが、重みの公開は確認できません。自分で推論を回したい、論文を再現したいという用途では、重みが公開されているWN-Cが引き続き選択肢になります。予測済みのデータを使うだけなら、公式は新しいプロジェクトにWN3を勧めています。

Q. 商用利用はできますか。

A. コードはApache License 2.0、その他の素材はCC BY 4.0なので、ライセンスの面では商用利用を妨げません。ただし「公式サポート製品ではない」「公的警報の代わりではない」という免責が付きます。初期値のERA5・HRESはECMWFの規約に従い、WeatherNext 3のリアルタイムデータは実験的データの利用規約に従います。商用で使えるかが公式ページで明記されていない部分もあるため、モデルとデータの両方を確認してください。国内で予測を「予報」として第三者に出すなら、気象業務法の確認も必要です。

Q. 日本の台風にも精度は出るのでしょうか。

A. 2026年10月時点で公開されている検証は大西洋・東太平洋・中部太平洋が中心で、西太平洋の詳しい結果は見つかりません。国内ではウェザーニューズが法人向けサービスでFNV3を比較モデルの1つとして使っており、気象庁もAIと物理モデルを併用する方針を示しています。こうした運用の積み重ねが今後の判断材料になります。

Q. 1,000メンバーのアンサンブルは誰でも使えますか。

A. 1,000メンバーはDeepMindが2026年のサイクロン予測で使った数です。配信データ(WeatherNext 3)やOpen-Meteo(WeatherNext 2)は64メンバーです。自前で推論する場合は、計算資源の許す範囲でメンバー数を決めます。

Q. 2026年シーズンにNHCが使った「GDMI」はWeatherNext Cyclonesですか。

A. 公式には確認できません。2025年のGDMIはFNV3(WeatherNextCyclones_<2025)をNHCが後処理したものですが、2026年については報道によってWeatherNext 3と書くものもあり、はっきりしません。

まとめ

WeatherNext Cyclonesは、Google DeepMindが2026年8月6日にNature論文とともに公開した熱帯低気圧の予測AIです。進路・強度・風の構造を1つのモデルでまとめて確率予測し、公式の説明では「3日先の予報が従来の2日先相当」の精度に届いています。

導入を考えるときの要点は次のとおりです。

  • 重みとコードは無料(Apache 2.0/CC BY 4.0)。ただし初期値データ(ERA5/HRES)は別の規約で、ここが実質的なハードルになる
  • 手軽に試すならColabでMini(2-mini)。ただしMiniで精度を評価してはいけない
  • 本格的な推論にはH100やv5p級のTPUが必要。Vertex AIのマネージド推論は申請制・WeatherNext 2のみ・料金非公開
  • 予測データだけ使うならWeatherNext 3が公式の推奨。有料のGoogle Cloud契約は不要だが申請制
  • 2026年シーズンもNHCが重視する一方、小さな構造・発生前の段階・予報のぶれという弱点も見えてきた
  • 公式サポート製品ではなく、公的な警報の代わりにはならない。防災では気象庁など公的機関の情報を一次情報にする
  • 国内ではウェザーニューズがFNV3を採用。気象庁はAIと物理モデルの併用方針を示したが、WeatherNextとの連携は確認できない

「AIが天気予報を置き換える」という話ではありません。2026年10月時点では、物理モデルと観測網を前提に、確率予測の質と速さを大きく引き上げる道具が誰でも検証できる形で公開されたと理解するのが正確です。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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