AIツール2026年10月更新

Claude Scienceとは?できること・料金・使い方・通常のClaudeとの違いを解説【2026年10月最新】

公開日: 2026/07/01
更新日: 2026/10/11
Claude Scienceとは?できること・料金・使い方・通常のClaudeとの違いを解説【2026年10月最新】

この記事のポイント

Claude ScienceはAnthropicの研究者向けAIワークベンチです。Pro以上のプランに追加料金なしで含まれ、2026年9月からWindowsでも使えます。60以上の科学DB連携、レビュアー、料金と利用上限、データの扱い、GPT-Rosalindとの違いを解説します。

Claude Science(クロード・サイエンス)は、Anthropicが2026年6月30日に公開した研究者向けのAIワークベンチです。Claudeと手元のPCの解析環境を組み合わせたデスクトップアプリで、60以上の科学データベースにつながった状態から、文献調査・データ解析・図の作成・論文執筆までを1つのアプリで進められます。新しいAIモデルではなく、契約中のプランで使える既存のClaudeモデルを研究向けに組み合わせた製品です。

導入前に知っておきたい2026年10月時点の状況は、次のとおりです。

  • 料金: Pro / Max / Team / Enterprise に含まれ、Claude Science用に別途購入するものはない(Freeプランでは使えない)。利用量はClaude Code・Coworkと同じ上限を共有する
  • 対応OS: 2026年9月10日にWindows 11版が出て、macOS・Windows・Linuxの3つに対応した
  • 提供状況: いまもベータ版。6月30日から10月7日までに約20回更新されている
  • データ: ファイルや会話履歴はPCに残るが、Claudeが読んだファイルの中身やコードの出力はAnthropicに送られる。ZDR(ゼロデータ保持)とBAA(HIPAA)は対象外

生命科学・化学・物理などの研究者、研究室の運営者、企業R&Dで導入を検討している方に向けて、公式ドキュメントで確認できた内容をもとに解説します。公式に記載がない点は、その旨を明記しています。

Claude Scienceとは?概要と位置づけ

Claude Scienceの公式製品ページのイメージ

出典: Claude Science 公式製品ページ

Claude Scienceは、研究の作業を1つのデスクトップアプリにまとめるためのAIワークベンチです。公式は "Anthropic's AI workbench for rigorous science"(厳密な科学のためのAIワークベンチ)と紹介しています。

基本の流れはシンプルです。研究タスクを自然言語で頼むと、ClaudeがPython・R・シェル(WindowsではPowerShell)のコードを書き、PC上のサンドボックスで実行します。許可したフォルダのファイルを読み、コネクタ経由で科学データベースからデータを取り、結果をバージョン付きの成果物として保存します。最後に、レビュアーと呼ばれる別のエージェントが、回答の内容が実際の実行記録と合っているかを確かめます。

項目

内容

開発元

Anthropic

公開日

2026年6月30日(ベータ版として公開)

提供状況

2026年10月時点でもベータ版。正式版の時期は未発表

位置づけ

研究者向けのAIワークベンチ。新しいモデルではない

使うモデル

契約プランで使えるClaudeモデル(Opus / Sonnet / Haiku。プランによってはFableも)

提供形態

デスクトップアプリ(Claudeデスクトップアプリとは別にインストール)。Webサービス・APIではない

対応OS

macOS 13以降・Windows 11(x64)・Linux(x64)

対象プラン

Pro / Max / Team / Enterprise(Freeは不可。Team・Enterpriseは管理者による有効化が必要)

対象分野

生物学・化学・医学研究のほか、計算機科学、工学、材料科学、数学、物理、社会科学

公式が特に強調しているのは、成果物を後から検証・再現できることです。図や表を1つ作るたびに、それを作ったコード・実行環境・作業内容の説明・会話が一緒に記録されます。数か月後に査読で「この数値はどう出したのか」と聞かれても、記録をたどって説明できます。

使うモデルについては、公開時の報道(TechCrunch)でOpus 4.8世代の既存モデルで動くと伝えられていました。現在はClaudeのモデルがOpus 5.5 / Sonnet 5.5 / Haiku 5.5などに世代交代しており、Claude Scienceでも契約プランで選べるモデルを使います。2026年9月28日の更新では、Sonnet 5.5のセッションは推論の深さ(推論努力)が既定で最も高い「Extra high」になりました。各モデルの違いは「Claude Opus 5.5とは」「Claude Sonnet 5.5とは」、Claude全体の概要は「Claudeとは?機能・料金・使い方・ChatGPTとの違いを解説」にまとめています。

Claude Scienceでできること

Claude Scienceが連携するNVIDIA BioNeMoのイメージ

出典: NVIDIA BioNeMo 公式サイト

Claude Scienceの中心は、複数のエージェントによる作業分担、60以上の科学データベースとの連携、研究データをそのまま表示できる画面の3つです。公式は主な用途として、文献レビュー・実験計画・データ管理・データ分析・図の作成・論文執筆の6つを挙げています。

統括エージェント・専門エージェント・レビュアーの分担

Claude Scienceでは、役割の違うエージェントが連携して作業します。マルチエージェントの一般的な仕組みは「マルチエージェントとは?仕組み・種類・活用事例を解説」で解説しています。

  1. 統括エージェント: 依頼を受けて作業を組み立て、必要に応じて他のエージェントを作って仕事を割り振ります。「Delegation(委任)」をオンにすると、依頼を独立した作業に分けて並列で進めます。止めるときはセッション全体を止める仕組みで、個別の作業だけを止めることはできません。
  2. 専門エージェントとスキル: 文献レビューや、タンパク質構造予測などのモデル別スキルがあらかじめ用意されています。自分の分野向けの専門エージェントやスキルも作れます。
  3. レビュアー: 直近の回答・承認済みの作業計画・保存した成果物・実行記録を読み直し、主張が実際の実行内容と合っているかを確認します。

レビュアーが見つける誤りの例として、公式は次のようなものを挙げています。

  • 実行していない計算を「計算した」と報告している
  • ファイルの中身と食い違う数値を書いている
  • 引用文献が主張を裏付けていない、DOIが別の論文を指している
  • 計画した手順が終わっていない
  • 使った手法からは導けない結論を書いている

ただし、レビュアーは分析をやり直さず、手法の選び方が妥当かも判断しません。自動レビューは Max / Team / Enterprise では既定でオン、Proでは既定でオフです(2026年7月の更新からProでも使えるようになりました)。レビューもプランの利用量を消費します。

60以上の科学データベースに最初からつながっている

公式は「60以上の科学データベース」に接続済みと説明しています。主要なものはアカウント登録なしで読み取り専用で使え、既定でオンになっています(OpenAlexの検索だけは無料のAPIキーが必要です)。公式ドキュメントに載っている主なコネクタは次のとおりです。

分類

主な接続先

ゲノム

Ensembl(VEP含む)、UCSC、BioMart

遺伝子・オントロジー

MyGene、UniProt、GO、Reactome、OLS

バリアント

gnomAD、ClinVar、dbSNP

ヒト遺伝学

GWAS Catalog、FinnGen、BioBank Japan

臨床ゲノミクス

ClinGen、CIViC、Open Targets

発現・制御

GTEx、JASPAR、UniBind、CELLxGENE

タンパク質

InterPro、Pfam、Human Protein Atlas、STRING

構造・相互作用

PDB、AlphaFold、EMDB、Complex Portal、IntAct

RNA

Rfam

オミクス

GEO、ArrayExpress、PRIDE、MGnify、MetaboLights

がんモデル

cBioPortal

化学

PubChem、ChEBI、Rhea、BindingDB、ZINC

医薬品の規制情報

FDA drug data、openFDA

文献

OpenAlex、arXiv

研究リソース

Grants.gov、Antibody Registry

このほか、他のClaude製品と共通のコネクタとして、PubMed・bioRxiv・ChEMBL・Clinical Trialsも使えます。

日本の研究者にとっては、BioBank Japanが最初から入っている点が目を引きます。一部のデータベースには非商用限定や出典表示などのライセンス条件があるため、論文や製品に使う前に各データベースの条件を確認してください。

用意されていないデータベースや社内システムは、MCPサーバーを追加すればつなげます。電子実験ノート(ELN)・社内API・独自の解析パイプラインもこの方法で接続します。

タンパク質構造予測などのモデル別スキル

構造生物学やゲノミクスでよく使うモデルが、スキルとして用意されています。

  • タンパク質構造予測: AlphaFold2、Boltz-2、Chai-1、ESMFold2、OpenFold3
  • タンパク質設計: ProteinMPNN(LigandMPNN / SolubleMPNN)
  • ドッキング: DiffDock
  • 配列・ゲノムのモデル: ESM-2、Evo 2、Borzoi
  • シングルセル解析: scGPT、scvi-tools

注意点として、AlphaFold2・Boltz-2・Chai-1・OpenFold3のスキルは、配列のアラインメントを作るときに公開のColabFoldサーバーを使うことがあります。この場合、タンパク質の配列はAnthropicを通らずColabFoldのサーバーへ直接送られます。未公開の配列を扱う研究室は、使う前に設定を確認してください。

スキルは、Claudeと会話しながら作る、ゼロから書く、ファイルをアップロードする、GitHub(非公開リポジトリも可)から取り込む、の4つの方法で追加できます。過去のセッションの手順をスキルとして抜き出すこともできます。

NVIDIA BioNeMo連携(Evo 2 / Boltz-2 / OpenFold3)

NVIDIAのBioNeMo Agent Toolkitのスキルを使うと、Evo 2・Boltz-2・OpenFold3をNVIDIAのNIMエンドポイント経由で呼び出せます。NVIDIAがホストするエンドポイントのほか、自前GPUで動かすコンテナにもつなげます。この「Model endpoints」の機能はmacOSとLinuxのみで、Windows版では使えません。

研究データをそのまま表示する

Claude Scienceのアプリ内では、研究データを専用の画面で表示できます。

  • タンパク質の3D構造(回転・拡大できる)
  • 配列アラインメント、ゲノムトラック
  • 化学構造(SDF・MOL2・XYZなどの小分子ファイルも表示)
  • PDF、TSV・Parquet・Excel(セルの色やヒートマップも表示)

図に「この軸のラベルを変えて」「この残基を強調して」とコメントすると、エージェントが元のコードを直して図を作り直します。コードはスクリプトやノートブックとして書き出せるので、Claude Scienceの外でも再実行できます。

論文執筆と、状態が残るPython / R環境

  • 論文の下書き: MarkdownとLaTeXのプレビューに対応し、\ref や \eqref の相互参照も表示されます
  • 状態が残るカーネル: Python / Rの変数やデータフレームは、セッション中はメモリに残ります(約30分操作がないと終了)。最初からnumpy・pandas・scipy・matplotlib、R側はtidyverse・ggplot2などが入っており、conda-forge・bioconda・PyPI・CRAN・Bioconductorから追加できます

ノートPCからHPC・クラウドGPUまで使える

計算する場所は、作業に合わせて選べます。

  • 自分のPC: ノートPCやLinuxマシン。LinuxではGPUも設定でオンにできます
  • SSH接続先: 研究室のワークステーション、HPCのログインノード、Slurmクラスタ。バッチスクリプトを書いてジョブを投入・管理します
  • Modal: 自分のModalアカウントのクラウドGPU(H100など)。1GPUから数百GPUまで使えます
  • クラウドストレージ: Amazon S3、Google Cloud Storage、Azure Blob Storage

Modalのジョブは、実行前にマシンの仕様と最大の課金時間が承認カードに表示されます。ただしModal側に支出上限はなく、アプリを閉じてもジョブは止まりません(既定のタイムアウトは12時間)。費用はModalから利用者に直接請求されます。

Claude Scienceの強み

1. 調査から論文執筆まで1つのアプリで進められる

文献を探すサイト、解析環境、作図ツール、執筆ツールを行き来せずに、同じプロジェクトの中で作業を続けられます。前の解析結果や会話の流れを踏まえて次の作業を頼めるので、ツールを替えるたびに説明し直す手間が減ります。

2. 結果を後から検証・再現できる

成果物ごとにコード・実行環境・作業内容の説明・会話が記録されます。査読への回答、共同研究者への引き継ぎ、数か月後の再解析で「どうやってこの結果を出したか」をたどれるのは、汎用のチャットAIにはない特徴です。

3. レビュアーが誤りを拾う

「計算していないのに計算したと書く」「存在しない論文を引用する」といった生成AIによくある誤りを、成果物として出す前にレビュアーが点検します。自分の分野のチェック項目を「Settings > Specialists」で追加することもできます。

4. 実行前に許可を求める

フォルダへのアクセス、コードの実行、ネットワーク接続、コネクタ、保存した認証情報、リモートのジョブなどは、それぞれ許可カードで承認してから動きます。許可の範囲は「今回だけ」「この会話」「このプロジェクト」「すべて」から選べます。複数の手順がある作業では、先に作業計画を示し、承認されるまでコードを実行しません。

5. 既存の計算資源をそのまま使える

研究室のサーバーやHPCがあれば、それをSSHでつないで使えます。新しい計算基盤を用意しなくても、手持ちの資源の上にAIの作業環境を重ねられます。

Claude Scienceの弱み・注意点

1. Windows版はあるが、使えない機能がある

2026年9月10日にWindows 11(x64)版が出ました(9月14日の更新で、日本語など英字以外のユーザーフォルダ名にも対応)。ただしWindows版には次の制約があります。

  • シェルはPowerShell。一部の操作は初回にWindows側の許可が必要
  • ネットワーク共有・ネットワークドライブ・FAT/exFAT形式のドライブ(多くのUSBメモリ)・ドライブ全体はフォルダとして許可できない
  • npm・.cmd・.bat・.ps1で起動するカスタムコネクタは使えない
  • NVIDIA BioNeMoのModel endpointsは使えない

これらが必要な場合は、WSL2(Ubuntu 24.04以降)でLinux版を動かす方法もあります。

2. 研究データの一部はAnthropicに送られる

ファイルや会話履歴はPCに保存されますが、Claudeが読んだファイルの中身、コードの出力、コネクタの結果はClaudeへのリクエストとしてAnthropicに送られます。「データはすべて手元に残る」わけではありません。ZDR(ゼロデータ保持)やBAA(HIPAA)の対象外で、Amazon BedrockやGoogle Cloud Vertex AIなど他社クラウド経由の推論も使えません。

3. 生命科学の内容で回答が止まることがある

生物兵器などへの悪用を防ぐ安全制限があり、生命科学の内容で「Chat paused」と表示されて回答が止まることがあります。一部のモデルは、生命科学研究の大半をブロックするほど制限が強いと公式に警告されています(どのモデルが該当するかはドキュメントに明記されていません)。10月2日の更新で、制限に引っかかったときは別のモデルで自動的にやり直すようになりました。組織単位で制限を緩める仕組みとして、9月にはLSVP(Life Sciences Verification Program)も始まっています。

4. ベータ版で仕様がよく変わる

公開から約3か月で約20回更新されています。機能の追加は早い一方、手順や画面が変わることもあります。研究室の手順書に組み込むなら、公式の変更履歴を定期的に確認してください。

5. 利用量はClaude Code・Coworkと共有される

Claude Science専用の利用枠はなく、Claude Code・Coworkと同じプランの上限を使います。長い解析やレビューを回すと、ほかの作業に使える量が減ります。また、ファイル・成果物・会話履歴はPCごとに保存され、別のPCには同期されません。研究室のPCと自宅のPCを行き来する使い方には向きません。

6. 臨床・診断には使えない

公式は、Claude Scienceが臨床や診断での利用を想定していないと明記しています。研究目的の解析に限って使ってください。

Claude Scienceの料金・プラン

Claude ScienceはPro / Max / Team / Enterprise に含まれ、Claude Science用に別途購入するものはありません。Freeプランでは使えません。Team・Enterpriseでは、組織のオーナーが管理設定でClaude Scienceを有効にする必要があります。

プラン

料金(米ドル・税別)

Claude Science

備考

Free

$0

使えない

—

Pro

月払い$20、年払いなら月$17

使える

自動レビューは既定でオフ。Fableは利用クレジットが必要

Max

月$100から(5x・20xの2段階)

使える

20xの料金は公式の料金ページで確認

Team Standard

1席あたり月$20(年払い)、月払い$25

使える(要有効化)

—

Team Premium

1席あたり月$100(年払い)、月払い$125

使える(要有効化)

利用量が多い席

Enterprise

1席あたり月$20(年払い)+API料金に応じた従量課金

使える(要有効化)

年契約のみ

※2026年10月時点の公式料金ページに基づく内容です。円での目安は「Claudeの料金プランを解説」、Maxプランの詳細は「Claude Maxプランとは?料金・使用量・他プランとの違いを解説」を参照してください。

利用量の上限と、追加費用がかかる場面

利用量には、5時間ごとにリセットされる上限と週ごとの上限があります。上限に達したとき、リセットまで8時間未満なら作業が一時停止してリセット後に自動で再開し、8時間以上かかる場合は最大8時間待ってから停止します。

追加の費用が発生するのは、次の3つの場合だけです。

  1. Pro / Maxで利用クレジットをオンにした、またはTeamで管理者が追加利用(extra usage)を有効にした場合
  2. 従量課金型のEnterpriseで利用料が発生する場合
  3. 自分のアカウントでつなぐ外部サービスの料金(Modalのクラウドなど。Anthropicは計算資源を提供・請求しない)

Pro / Maxで利用クレジットを使う場合は、「Settings > Usage」で月の上限額を決められます。7月の更新で、追加利用に切り替わる前に確認が出るようになりました。Fableは追加料金がかかるプランがあるため、事前に「Claude Fable 5.1とは」で条件を確認しておくと安心です。

研究者向けの割引(Claude Team plan for scientists)

大学や非営利の研究機関の研究者向けに、Teamプランの割引があります。

項目

内容

Standard席

月$0(通常$20)

Premium席

月$15(通常$100。利用量は5倍)

割引の期間

登録から12か月。その後はその時点の通常価格で更新(事前に管理者へ通知)

対象

認定された大学・非営利研究機関のPI(研究室の主宰者)またはそれに相当する人

対象外

営利企業、CRO(医薬品開発受託機関)、企業のR&D部門

席数

1〜25席(それ以上は営業窓口へ)

含まれるもの

Claude Science・Claude Code・Cowork、科学データベースのコネクタとスキル、共有プロジェクト、SSOなど

審査は通常5〜7営業日です。最終的な価格は認証後に確定し、90日間使われないと通常のTeam価格に移される場合があります。日本の大学が対象かどうかは公式ページに明記されていないため、申し込みページで確認してください。他社の研究者向け優遇と比べたい方は「ChatGPT for Academic Researchersとは」も参考になります。

AI for Scienceプログラム(研究助成)

公開と同時に、Anthropicは研究助成プログラム「AI for Science」を発表しました。最大50件のプロジェクトに各$30,000分のクレジットを提供し、一部のプロジェクトにはModalから最大$2,000分の計算資源も付く内容でした。

ただし、2026年分は応募締切が7月15日で、すでに終了しています(採択プロジェクトの実施期間は9月1日〜12月1日)。次回の募集は、10月時点で発表されていません。

Claude Scienceの使い方(導入ステップ)

Step 1: 動作要件を確認する

OS

要件

主な注意点

macOS

macOS 13以降(Apple silicon / Intel)

ブラウザのタブで開く

Windows

Windows 11(x64)

専用ウィンドウで開く。ネットワークドライブ・BioNeMoのModel endpointsは不可

Linux

x64(glibc系のディストリビューション)

bubblewrap 0.8.0以上とsocatが必要(導入にsudoが必要)。Ubuntu 22.04標準のbubblewrapは古く、24.04なら対応

WSL2

Ubuntu 24.04以降

Windows上でLinux版を動かす方法

どのOSでも、空き容量は約5GB必要です。Linuxはリモートのサーバーで動かし、SSHトンネル経由で手元のブラウザから使うこともできます。

Step 2: プランを確認し、組織なら有効化を依頼する

Pro / Max / Team / Enterpriseのいずれかに入っているか確認します。Team・Enterpriseの場合は、組織のオーナーに管理設定でClaude Scienceを有効にしてもらいます。

Step 3: アプリをインストールしてサインインする

公式サイトからOSに合ったアプリをダウンロードし、Claudeのアカウントでサインインします。普段のClaudeデスクトップアプリとは別のアプリです。手順は公式ヘルプ(日本語)にもまとまっています。

Step 4: フォルダと計算資源をつなぐ

解析したいデータのあるフォルダを許可します。必要なら、SSHで研究室のサーバーやHPCを、Modalのアカウントでクラウドを、S3などのクラウドストレージをつなぎます。どれも初回に許可カードで承認します。

Step 5: 自然言語で依頼し、計画を承認する

やりたいことを文章で頼むと、Claudeが作業計画を示します。承認すると解析が始まり、図や表は成果物として保存されます。

例:「このシングルセルRNA-seqデータをクラスタリングして、主な細胞型ごとのマーカー遺伝子を図にまとめて」
例:「この遺伝子のバリアントをgnomADとClinVarで調べ、頻度と臨床的意義を表にして」
例:「この論文リストを読み、出典付きでレビュー論文の下書きをLaTeXで作って」

終わったら、レビュアーの指摘を確認します。長い作業では途中でも自動でレビューが入り、「Request review」を押せば手動でも実行できます。

このツールを自社のシステムや業務にどう組み込むか、ご提案します

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通常のClaude・Claude Code・Claude Scienceの違い

Claudeを開発するAnthropicの公式イメージ

出典: Anthropic 公式ニュース

通常のClaudeは会話、Claude Codeはソフトウェア開発、Coworkは日常の事務作業、Claude Scienceは研究の解析と論文作成のための製品です。4つとも同じプランの利用量を使います。

比較項目

通常のClaude(チャット)

Claude Code

Claude Cowork

Claude Science

主な利用者

全ユーザー

エンジニア・開発者

事務・企画などの業務担当者

研究者・研究支援者

使う場所

ブラウザ・デスクトップ・スマホ

ターミナル・IDE

Claudeデスクトップアプリ

専用のデスクトップアプリ

得意な作業

文章作成・質問への回答

コードの作成・修正、Git操作

ファイル整理・資料作成など

データ解析・可視化・論文執筆

データ連携

コネクタ

プロジェクトのフォルダ

業務アプリのコネクタ

60以上の科学データベース、ELN、HPC

表示できるもの

文章・簡単な図表

コード

文書・表

3D構造・ゲノムトラック・化学構造

計算する場所

クラウド

自分のPC・サーバー

クラウド中心

自分のPC〜HPC〜クラウドGPU

記録

会話履歴

コードの履歴

作業履歴

コード・環境・会話を成果物ごとに記録

利用量

プランの上限を共有

同左

同左

同左

選び分けの基準

  • 文章作成・翻訳・要約・調べ物 → 通常のClaudeで十分です(Claudeとは)
  • アプリやツールの開発 → Claude Code
  • 資料作成やファイル整理などの事務作業 → Claude Cowork
  • ゲノム・タンパク質・化合物などのデータ解析と論文作成 → Claude Science

Claude CodeとClaude Scienceは、どちらもPC上でコードを書いて実行する点が似ています。違いは、Claude Scienceが科学データベース、研究データの表示、HPC連携、成果物ごとの記録、レビュアーといった研究向けの機能を最初から持っていることです。研究用の解析ツールそのものを開発したいなら、Claude Codeの方が合います。

他社の研究者向けAIとの違い

競合としては、OpenAIのGPT-RosalindとGoogleのGemini for Scienceがよく比較されます。TechCrunchの整理を参考にすると、3社のアプローチは次のように違います。

比較項目

Claude Science(Anthropic)

GPT-Rosalind(OpenAI)

Gemini for Science(Google)

中身

既存モデルを使う研究用アプリ

生物学の推論向けに調整したモデル

Geminiに生命科学のデータベースをまとめた環境

入手方法

Pro以上の有料プランで使える

米国の適格な企業向けのリサーチプレビュー

Googleの案内による

データベース

60以上(公式発表)

—

30以上の生命科学データベース(報道)

特徴

レビュアー、成果物ごとの記録、HPC・Modal連携

生物学に特化したモデル性能

AlphaFold・AlphaGenomeなど自社モデルとの組み合わせ

GPT-Rosalindの詳細は「GPT-Rosalindとは」で解説しています。

研究現場での活用シーンと導入事例

ライフサイエンス研究でのClaude活用を示すAnthropic公式イラスト

出典: Anthropic 公式ニュース

Claude Scienceは、主に計算系(ドライラボ)の研究者を対象にしています。公開時点の事例と、公開後に発表された研究成果があります。数値はいずれもAnthropicや利用者の発表に基づくものです。

公開されている導入事例

組織

使い方

発表されている効果

Allen Institute(Jérôme Lecoq氏)

複数のエージェントでレビュー論文を書く仕組みを構築

最大2年かかる作業を短縮

UCSF脳腫瘍センター(Stephen Francis氏)

グリオーマの生殖細胞系列の解析

通常の約10分の1の時間で完了

Manifold Bio

組織を標的とする医薬品候補の順位付け

解析を最初から最後まで実施

Novo Nordisk

創薬研究での活用(TechCrunchの報道)

—

公開後の研究成果:紫外線の全天マップ

2026年10月8日、Anthropicはジョンズ・ホプキンス大学のBrice Ménard氏とClaude Scienceを使い、紫外線で見た全天の地図を初めて作ったと発表しました。NASAの紫外線観測衛星GALEXの約3.8万回分の観測をまとめ、観測されていない約3分の1の空を予測し、1億個以上の星に紫外線の推定値を付けたという内容です。観測済みの領域で確かめた誤差は約10%でした。

この発表では、最初の版に誤ったデータ(アーティファクト)が残り、それがエージェントによる2回のレビューを通過してしまい、人間の研究者が気づいたことも明かされています。レビュアーがあっても、最終的な確認は研究者が行う必要があることを示す例です。

ベータ期間に多い作業

  • シングルセルRNA-seq解析
  • CRISPRスクリーンの設計
  • タンパク質の構造予測と設計
  • 化合物の探索・評価(ケモインフォマティクス)
  • 長い文献レビューの作成

創薬分野でのAI活用は「製薬・バイオテックのAI活用事例」、Claudeが関わった研究成果の例は「Claudeが新しい酵素系を発見」でも紹介しています。

セキュリティ・データ主権の考え方

Claude Scienceでは、生のデータやファイルはPCに残りますが、Claudeが読んだ内容はAnthropicに送られます。どこに何があるかを正しく理解してから、扱うデータを決めてください。

データの置き場所は3つに分かれる

置き場所

保存・送信されるもの

自分のPC

会話履歴、プロジェクトのファイル、成果物、メモリ、設定、認証情報(~/.claude-science などのフォルダ。Anthropicは保存・同期しない)

Anthropic

Claudeへのリクエスト(それまでの会話、Claudeが読んだファイルの中身、コードの出力、コネクタの結果、画像、呼び出したメモリを含む)、Web検索の語句、音声入力、利用状況データ(会話内容は含まない)

接続先のサービス

SSH接続先、Modal、モデルのエンドポイント、クラウドストレージ、ColabFoldへは、PCから直接送られ、Anthropicを通らない

学習への利用と保存期間

  • Team / Enterprise: 商用規約が適用され、入力したデータはモデルの学習に使われません
  • Pro / Max: 個人向けの規約に従います。学習への利用はアカウントのプライバシー設定で決まるため、研究データを扱う前に設定を確認してください
  • 安全対策の対象となるモデルへのリクエストは30日間保存されます。人によるレビューは、自動の安全システムが問題を検知した場合などに限られます

企業・医療機関が確認すべき制約

  • ZDR(ゼロデータ保持)、BAA(HIPAA)は対象外です。患者の個人を特定できる医療情報(PHI)は入れないでください
  • Amazon BedrockやGoogle Cloud Vertex AIなど、他社クラウドや自社テナント経由の推論は使えません
  • 監査ログへのイベント出力はなく、組織のデータエクスポートにも含まれません。メンバーを削除しても、その人のPCのデータは消えません
  • Enterpriseでは、顧客管理の暗号鍵(CMEK)、Compliance APIによるセッション記録(ベータ)が使えます
  • SOC 2などの認証は、Claude Science固有のページではなくAnthropic Trust Centerで確認する形です

実行環境の安全対策

  • コードはOSレベルのサンドボックスで実行され、ネットワークは既定で遮断されます。通信できるのは、許可したパッケージの取得元、データベース、承認したホストだけです
  • サンドボックスに管理者権限はなく、aptやsudoは使えません
  • 認証情報は暗号化してPCに保存され、Claudeが求め、利用者が承認したときだけコードに渡されます
  • 組織の管理者は、コネクタ・スキル・SSH・Modal・メモリ・通信先の許可リストを制御できます

生命科学の安全制限を緩める「LSVP」

2026年9月17日、Anthropicは「Life Sciences Verification Program(LSVP)」のベータを始めました。審査を通った組織に、生物学分野の制限を緩めたモデルを提供する仕組みです。

  • 対象はTeam / Enterprise / APIの組織。Pro / Maxは対象外
  • 対象モデルはMythos 5.1、Opus 5.5、Opus 5、Sonnet 5など。Fableは対象外
  • 1チーム最大100席、審査は約3営業日、PHIは不可、データは30日保存
  • Claude Science・Claude.ai・Claude Code・APIのすべてで有効

研究で安全制限に引っかかることが多い組織は、申請を検討する価値があります。Fable系の安全制限については「Claude Fable 5の生物学ガードレール」で解説しています。

立場別の導入判断

使う立場によって、選ぶプランと確認すべき点が変わります。

立場

おすすめのプラン

主な確認ポイント

大学・非営利の研究室

研究者向けTeamプラン(PIが申し込み)

12か月後の価格、データベースのライセンス、未公開配列とColabFoldの扱い

個人の研究者

Pro(重い解析が多いならMax)

Pro / Maxの学習設定、Claude Code・Coworkとの利用量の共有

企業のR&D部門

Team または Enterprise

ZDR・BAA不可、監査ログの出力なし、Compliance APIはEnterpriseのみ、LSVPの申請

病院・臨床研究

臨床・診断には使わない

PHIは入力不可、HIPAA対象組織では多くの機能が既定でオフ

企業のR&Dでは、Claude Science単体よりも、社内の実験ノート・化合物データベース・既存の解析基盤とどうつなぐかが課題になることが多くあります。MCPで独自コネクタを作る、社内の業務システムに生成AIを組み込むといった進め方と費用の考え方は、「既存システムにAIを組み込む方法」で整理しています。

こんな方におすすめ

Claude Scienceがおすすめな人・組織

  • ゲノミクス・プロテオミクス・構造生物学・ケモインフォマティクスなどで、データ解析をする研究者
  • 文献調査から解析・作図・論文執筆までを1つの環境で進めたい人
  • 査読や再解析に備えて、解析の記録を残したい研究チーム
  • 研究室のサーバーやHPCをすでに持っている大学・研究機関
  • BioBank Japanなど、公開データベースを使った解析が多い人
  • 研究者向けTeamプランの対象になる、大学・非営利研究機関のPI

Claude Scienceをおすすめしない人・組織

  • Freeプランのまま使いたい人
  • 患者の医療情報(PHI)を扱う臨床・診断の業務(対象外)
  • ZDRや他社クラウド経由の推論を必須とする企業
  • 研究以外の一般的な文章作成や事務作業が目的の人(通常のClaudeやCoworkの方が合う)
  • 複数のPCで同じプロジェクトを行き来したい人(データが同期されない)
  • 仕様が変わると困る基幹業務で、すぐ本番運用したい組織

よくある質問(FAQ)

Q1. Claude Scienceは新しいAIモデルですか?

いいえ。Claude Scienceはアプリで、モデルではありません。公式も、プランに含まれる同じClaudeモデルを使うと説明しています。生物学の性能が高い特別なモデルが入っているわけではありません。

Q2. どのモデルを使いますか?

契約しているプランで使えるClaudeモデルです。料金ページによると、Opus・Sonnet・Haikuに加え、プランによってはFableも使えます(ProでFableを使うには利用クレジットが必要)。Sonnet 5.5のセッションは、推論努力が既定で「Extra high」になっています。

Q3. 日本語で使えますか?

日本語での指示について公式の制限は見当たりませんが、アプリの画面が日本語に対応しているかは公式に記載がありません。日本語のヘルプ記事はあり、Windows版は日本語のユーザーフォルダ名にも対応しています。

Q4. Windowsで使えますか?

使えます。2026年9月10日からWindows 11(x64)版が提供されています。ただし、ネットワークドライブやUSBメモリのフォルダは許可できず、NVIDIA BioNeMoのModel endpointsも使えません。

Q5. 研究データはクラウドに送られますか?

ファイルや会話履歴そのものはPCに保存されます。一方で、Claudeが読んだファイルの中身やコードの出力は、回答を作るためにAnthropicへ送られます。未公開データを扱う場合は、Pro / Maxなら学習設定を、組織ならTeam / Enterpriseの商用規約を確認してください。

Q6. AI for Scienceプログラムには今から応募できますか?

できません。2026年分は7月15日に締め切られました。次回の募集は発表されていません。費用を抑えたい大学・非営利の研究者は、研究者向けTeamプラン(Standard席が12か月間月$0)を検討してください。

Q7. 企業の研究部門でも研究者向けの割引は使えますか?

使えません。営利企業・CRO・企業のR&D部門は対象外で、通常のTeamかEnterpriseを契約します。生物学の安全制限で作業が止まりやすい場合は、Team / Enterprise向けのLSVPを申請できます。

まとめ

Claude Scienceは、Anthropicが2026年6月30日に公開した研究者向けのAIワークベンチです。新しいモデルではなく、契約プランで使えるClaudeモデルに、60以上の科学データベース、作業を分担するエージェントとレビュアー、研究データの表示、HPC・クラウドGPUとの連携、成果物ごとの記録を組み合わせたデスクトップアプリです。

2026年10月時点では、Pro / Max / Team / Enterpriseに追加料金なしで含まれ、macOS・Windows・Linuxで使えます。一方で、利用量はClaude Code・Coworkと共有され、Claudeが読んだデータはAnthropicに送られ、ZDR・BAAの対象外で、臨床・診断には使えません。レビュアーも誤りをすべて防ぐわけではなく、最終確認は研究者の役割です。

まだベータ版で更新が続いているため、導入前に公式ドキュメントと料金ページで最新の条件を確認してください。

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AI革命

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