ビジネス活用2026年9月更新

社内申請のチェックを自動化する方法と費用|稟議・購買・押印の一次確認は月何時間減るか【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/01
社内申請のチェックを自動化する方法と費用|稟議・購買・押印の一次確認は月何時間減るか【2026年9月最新】

この記事のポイント

社内申請(稟議・購買・押印・出張)の一次チェックは自動化できます。ワークフローシステムなら月5,000円〜、AIエージェントなら初期100万円+月10万円〜。削減時間の試算と適用できる範囲、導入の流れを経営者向けに解説します。

稟議・購買申請・押印申請・出張申請・システム利用申請といった社内申請の一次チェック(承認者が判断する前に総務・経理・管理部門が行う不備確認)は、自動化できます。費用は、ワークフローシステムに備わる自動チェック機能を使うなら月5,000円〜3万円程度、既存のワークフローを入れ替えずにAIエージェントを外付けして規程との照合や複数システムの突き合わせまで任せるなら初期100万円+月額10万円〜が目安です。

ただし、自動化できるのは「一次チェック」までで、投資の可否や人事の判断といった決裁そのものは人が行います。この記事では、社内申請のどこに時間がかかっているかを整理したうえで、自動化できる範囲とできない範囲、3つの実現方法の費用、削減できる時間の試算、導入までの流れを、経営者・管理部門長の視点で解説します。

なお、経費精算(立替精算・領収書・インボイス対応)のチェック自動化は経費精算のチェックを自動化する方法と費用で詳しく扱っています。本記事は経費精算を除く社内申請全般が対象です。

社内申請のチェックのどこに時間がかかっているか

社内申請の一次チェックで申請書・添付書類・押印を確認する総務のデスクのイメージ

「一次チェック」で総務・経理が見ている6項目

社内申請の承認フローには、承認者(部門長・役員)が決裁する前に、総務・経理・管理部門が申請の不備を確認する工程があります。これが一次チェックです。1件ごとに見ている項目を書き出すと、概ね次の6つになります。

確認項目

具体的に見ていること

必須項目

件名・目的・金額・支払先・希望納期などの記入漏れ、形式の誤り

必須添付

見積書、一定額以上なら相見積、契約書ドラフト、関連する稟議番号

金額と決裁権限

金額が申請者の部門長で決裁できる範囲か、役員決裁が必要か

予算枠

該当部門・科目の予算残があるか(会計システムで別途確認)

規程との照合

購買規程・契約規程・出張規程の条件(相見積の閾値、契約期間の上限など)に合っているか

過去申請との整合

同じ案件の分割申請ではないか、同じ取引先と既に契約があるか、前回条件と違わないか

1件あたりは数分でも、月初・月末に申請が集中し、件数が増えるほど時間は比例して増えます。

不備があると三者の往復が生まれる

不備が見つかると、差し戻し → 申請者が修正 → 再申請 → 再確認、という往復が発生します。修正後の申請は承認者ももう一度見ることになるため、総務・申請者・承認者の三者の時間が同時に消費されます。差し戻しの原因は、記入漏れや誤記、添付書類の不足、承認ルートの誤設定、そもそもルールが不明確で申請者が判断できない、といったものが大半です。

承認者側の時間と「滞留」のコスト

見落とされがちなのが承認者(管理職)側の時間です。承認者は内容を読む前に「何の稟議か」「どこが論点か」を自分で読み解く必要があり、件数が増えると「とりあえず承認」に流れて、承認漏れや滞留が起きます。

エイトレッドが2022年に実施した稟議書に関する実態調査(従業員100名以上の企業で半年に3回以上起案した109名が対象)では、稟議フローに悩みがある人が約8割にのぼり、悩みの内訳は「承認までに時間がかかる」60.5%、「進捗が把握しづらい」55.8%、「承認漏れが生じている」18.6%でした。承認までの日数は「3日以上」が約半数を占めています。プロフェッショナルテック総研が2024年に行った調査(クラウドサイン利用者312名が対象)でも、承認まで1日以上かかるケースが73.5%でした。

稟議が3日止まれば、発注も契約も採用もその分だけ遅れます。一次チェックの自動化は、総務の工数削減だけでなく「決裁が早くなる」という経営上の効果を持ちます。

進捗の問い合わせと催促、複数システムの横断確認

進捗が見えないため、申請者は総務に「今どこで止まっているか」を聞き、総務は承認者に催促する。この問い合わせ対応と催促は、集計されないまま総務の時間を削っています。

さらに、ワークフロー・会計・購買・契約台帳がそれぞれ別のシステムに分かれている企業では、「予算残があるか」「この取引先と既に契約があるか」を別画面で開いて確認しています。一次チェックの時間の相当部分は、この画面の行き来です(契約台帳側の管理については契約書の期限管理を自動化する方法で扱っています)。

自動化すると何がどう変わるか

チェックの流れ Before / After

工程

自動化前

自動化後

必須項目・添付の確認

総務が全件を目視

申請時にシステムが自動判定。不足があれば申請者に即時通知

金額と決裁権限の照合

総務が規程表と突き合わせ

金額に応じて承認ルートが自動で分岐

予算残・契約台帳・過去申請との照合

会計・台帳を別画面で確認

AIエージェントが各システムを横断して照合し、不一致だけを抽出

規程との照合

担当者の記憶と経験

規程・マニュアルを読み込んだAIが照合し、根拠となる条文を添える

承認者の確認

申請書を最初から読み解く

「何の申請か・規程との照合結果・要確認箇所」の要点が先に届く

滞留の把握・催促

申請者から問い合わせ → 総務が催促

一定日数止まった申請を自動検知し、承認者に催促

差し戻し

総務が理由を都度文章化

差し戻し理由を自動で文面化し、申請者に修正箇所を明示

「全件を見る」から「上がってきたものだけを判断する」へ

自動化後の総務・経理の仕事は、全件を確認することではなく、機械が「要確認」と判定した案件だけを判断することになります。判定は「問題なし/要確認/明確な不備」の3段階で出し、「問題なし」は承認者へ、「明確な不備」は理由付きで申請者へ差し戻し、「要確認」だけが人の手元に残る設計です。

この構造の本質は、件数が増えても総務の時間が増えなくなることです。拠点や部門が増えて申請件数が倍になっても、人が見るのは「要確認」の分だけで済みます。

削減できる時間の試算:月何時間 × 人件費でいくらか

自社の数字に置き換えられるよう、前提を明示して試算します。以下は当社が実務ベースで置いたモデルであり、公的な調査データではありません。自社の件数・単価に差し替えてご覧ください。

前提

項目

前提値

補足

総務・経理の一次チェック

1件あたり5分

添付・予算・権限区分の確認が経費精算より多い

差し戻しの発生率

20%

差し戻し1件あたりの往復(申請者・承認者・総務の合計)

15分

承認者(管理職)の確認

1件あたり3分

進捗の問い合わせ対応・催促

月5〜10時間

規模に応じて

人件費換算

総務・経理 時給3,000円/管理職 時給5,000円

時給3,000円は経理事務の平均年収423万円に会社負担の法定福利費を加えて逆算

自動化後に残る作業は、一次チェックが「要確認」のみとなり4分の1に(アシストが公表するAEDANの「工数を3分の1〜4分の1に削減」の事例を参考に置いた前提)、差し戻しは不備が申請時点で申請者に返るため半減、承認者の確認は要点が先に届くため半減、催促はゼロ、と置いています。

ケースA:従業員30名・1拠点・月80件

作業

月間時間

一次チェック(5分 × 80件)

6.7時間

差し戻し対応(16件 × 15分)

4.0時間

承認者の確認(3分 × 80件)

4.0時間

進捗確認・催促

5.0時間

合計

約20時間/月

人件費換算で月約6.7万円、年約80万円です。この規模では、後述するワークフローシステムの自動チェック機能(月5,000円〜3万円)で必須項目・添付・承認ルートの分岐を自動化すれば、一次チェックの大半が消えます。AIエージェントをこの業務単体のために入れる規模ではありません。

ケースB:従業員150名・5拠点・月400件

作業

月間時間

一次チェック(5分 × 400件)

33.3時間

差し戻し対応(80件 × 15分)

20.0時間

承認者の確認(3分 × 400件)

20.0時間

進捗確認・催促

10.0時間

合計

約83時間/月

人件費換算で月約29万円、年約350万円(総務・経理63.3時間 × 3,000円 + 管理職20時間 × 5,000円)。

自動化後に残る作業は約28時間・月約10.5万円で、削減額は月約18.5万円、年約220万円です。

正直に申し上げると、この規模でAIエージェントの月額を20万円と仮定した場合、社内申請の一次チェック単体では削減額と月額がほぼ相殺で、初期費用100万円の回収は成り立ちません。ケースBでAIエージェントが成立するのは、経費精算のチェック受発注の照合月次レポートの作成といった他の定型業務を同じエージェントに束ねて、削減額の合計が月額を上回る場合です。

ケースC:従業員300名・複数拠点・独自規程あり・月1,000件

作業

月間時間

一次チェック(5分 × 1,000件)

83.3時間

差し戻し対応(200件 × 15分)

50.0時間

承認者の確認(3分 × 1,000件)

50.0時間

進捗確認・催促

10.0時間

合計

約193時間/月

人件費換算で月約68万円、年約816万円。担当者1人分を超える時間が、確認と往復と催促に使われている計算です。

自動化後に残るのは約71時間・月約26万円で、削減額は月約42万円、年約500万円。AIエージェントの月額は処理量連動で10〜50万円の幅の中で決まりますが、仮に月30万円で見積もると差し引き月12万円のプラスとなり、初期費用100万円は約9ヶ月で回収できます。

「担当者をもう1人採用する」との比較

選択肢

年間コスト

総務・経理を1名増員

年収423万円 × 会社負担約1.2倍 = 約508万円(採用費・教育期間は別途)

一次チェックをAIエージェントに任せる(初期100万円+月30万円と仮定)

初年度460万円/2年目以降360万円

ケースCの規模なら、人を増やすより安く、退職も引き継ぎもありません。逆にケースAならワークフローシステムで十分です。規模によって答えが変わることを先にお伝えしておきます。

自動化できる業務・できない業務の境界線

社内申請のチェックには「形式のチェック」「内容の照合」「決裁」の3つの層があり、自動化できるのは前の2つまでです。

自動化

形式のチェック

必須項目・添付の有無、金額と権限区分の照合、二重申請の検知、日付の整合(契約日と開始日、稟議承認日と発注日など)

できる(ワークフローシステムの標準機能で対応可能)

内容の照合

規程との照合、予算残・契約台帳・過去申請との横断照合、承認者向けの要点整理、滞留の検知

できる(AIエージェントの領域。判定は3段階で出し、要確認は人に回す)

決裁

投資の可否、採用の可否、取引先の選定、規程の解釈が分かれる案件

できない(人が行う。本記事では扱わない)

「一次チェックの自動化」と「決裁の自動化」は別物です。決裁権限規程や職務分掌の観点からも、決裁は人が行う前提で設計します。この線を先に引いておくと、内部統制や監査への不安は解消できます。

適用できる条件・適用できない条件

適用できる

適用できない

毎月繰り返し発生する申請(稟議・購買・押印・出張・システム利用・人事関連)

年に数回の大型投資稟議など、件数が少なく毎回内容が違うもの

申請・添付・台帳がデジタルで揃っている

紙の申請書・物理押印・対面説明が前提(先に電子化が必要)

「必須添付」「金額 × 権限区分」「相見積の閾値」などのルールを文章で定義できる

規程が暗黙知で「担当者が見れば分かる」状態

一次チェック・要点整理・催促までを任せ、決裁は人が行う

最終決裁(投資可否・人事判断)をAIに委ねたい

判定を「問題なし/要確認/明確な不備」の3段階で出し、要確認は人に回す運用を受け入れられる

見逃しゼロを要求する

「見逃しゼロ」については根拠を添えておきます。デジタル庁が2024年5月に公開した令和5年度の生成AI検証結果では、ルールに基づく判定タスク(文書の機密度判定)で22通りの入力のうち適切に判定できたのは91%で、「それなりに高い精度であるものの改善が必要」と評価されています。ルール判定にAIを使う以上、100%にはなりません。だからこそ「要確認」を人に回す3段階の設計にし、人が見る件数を数分の1に減らすことを現実的な目標にします。

実現する方法は3つある

クラウド型ワークフローシステム X-point Cloud の公式イメージ(稟議書フォームの画面)

出典: X-point Cloud 公式

方法1:ワークフローシステムの自動チェック機能を使う

ジョブカンワークフロー、X-point Cloud(エイトレッド)、バクラク申請(LayerX)、楽楽精算の汎用ワークフロー、kintone(サイボウズ)などが該当します。必須項目・必須添付の判定、金額上限や規程違反時の警告・ブロック、金額に応じた承認ルートの自動分岐、二重申請の検知が標準機能として備わっています。バクラク申請は、社内規程やマニュアルをAIが参照してレビューし、確信度が高いものは自動で一次承認する機能を公式に掲げています。

  • 費用:月5,000円〜3万円程度(ユーザー数連動)
  • 向く規模:従業員30〜100名程度で、申請が1つのシステムで完結している企業
  • 残る作業:会計の予算残・契約台帳・過去申請との突き合わせ、規程変更時の設定更新

方法2:RPA・ノーコードで転記と照合を自動実行する

WinActor(NTT-AT)やMicrosoft Power Automateで、ワークフローから申請データを取り出して会計システムの予算残と突き合わせる、承認済み申請を購買システムに転記する、といった決まった手順を自動実行します。既にワークフローシステムを使っていて「別画面での確認・転記」が残っている企業に向きます。

  • 費用:Power Automate Premium 2,248円/ユーザー/月、Process 22,488円/ボット/月(税別・年払換算)/WinActor 実行版 300,080円/年、フル機能版 1,098,680円/年(PC1台・税込)。加えて作り込みの工数
  • 向く規模:手順が完全に固定で、画面や様式が変わらない業務
  • 残る作業:規程との照合や内容の判断はできない。画面レイアウトが変わると止まるため保守が必要(データ転記の自動化で詳述)

方法3:AIエージェントを既存ワークフローに外付けする

既存のワークフローシステムはそのままに、申請データ・添付・規程・各システムの台帳を読み込んで、規程との照合・横断照合・承認者向けの要点整理・滞留の催促までを行うAIエージェントを追加します。当社のシゴハヤエージェントのほか、NTTテクノクロスは2021年に「BizFront/SmartUI Decision Manager」を年額100万円〜で発表し、社内試行(購買・発注・経費精算1,354件)で年間約4,000時間の削減見込みを公表しています。アシストの「AEDAN」も申請不備チェックの工数を3分の1〜4分の1に減らした事例を公式に掲載しています(価格は非公開)。エイトレッドが2025年8月に発売したAI搭載ワークフロー(月35,000円/80,000円)は稟議書の素案作成が主機能で、チェックではなく作成支援に位置づけられます。

  • 費用:初期100万円+月10〜50万円(シゴハヤエージェント)/年額100万円〜(NTTテクノクロス・2021年発表時点)
  • 向く規模:従業員100名以上、複数拠点・複数システム、独自規程がある企業
  • 残る作業:「要確認」案件の判断と決裁

なお、チェック作業をそのまま外部に委託するBPO(TOPPAN「ノエラ」など)もありますが、料金は非公開で、件数が増えれば費用も増える構造のため、本記事では比較対象から外しています。

3つの方法の比較

ワークフローシステム

RPA・ノーコード

AIエージェント

自動化できる範囲

形式のチェック、承認ルート分岐

転記・照合の自動実行

形式+規程照合+横断照合+要点整理+催促

初期費用

0〜10万円

ライセンス+作り込み

100万円

月額

5,000円〜3万円

2,248円/ユーザー〜(クラウド)/年30万〜110万円(デスクトップ)

10〜50万円

既存システムの変更

導入・移行が必要

不要

不要

規程変更への追従

利用企業側で設定更新

手順の作り直し

運用保守の範囲で対応

向く規模

30〜100名

手順固定の業務

100名以上・複数拠点

費用の目安

サイボウズのノーコードデータベース kintone の公式ロゴ

出典: kintone 公式

方法別の費用を横並びにします。いずれも2026年9月時点で確認できた公式または準公式の情報で、金額は税別表記が中心ですが、製品により税込のものがあります。

手段

製品

初期費用

継続費用

ワークフローシステム

ジョブカンワークフロー

0円

300円/ユーザー/月、最低5,000円/月(無料プランあり。公式料金ページで要確認)

ワークフローシステム

X-point Cloud

記載なし

20,000円/月+500円 × ユーザー/月(税別)

ワークフローシステム

バクラク申請

記載なし

月額1万円〜(税抜。詳細は資料請求)

ワークフローシステム

楽楽精算(汎用ワークフロー含む)

100,000円(税抜)

30,000円〜/月(税抜)

ノーコードデータベース

kintone

0円

1,000〜3,000円/ユーザー/月(税別。ライト・スタンダードは10ユーザーから)

RPA(クラウド)

Power Automate

Premium 2,248円/ユーザー/月、Process 22,488円/ボット/月(税別)

RPA(デスクトップ)

WinActor

実行版 300,080円/年、フル機能版 1,098,680円/年(税込・PC1台)

AI一次チェック

NTTテクノクロス Decision Manager

年額100万円〜(税別・2021年発表時点。現行価格は要確認)

AIエージェント

シゴハヤエージェント

100万円(税別)

月10〜50万円(税別・運用保守込み)

第三者の相場感として、TOKIUMは自社コラムで「小規模なSaaS(クラウド型サービス)導入は初期0〜50万円・月3〜20万円、API連携(システム同士をつなぐ開発)を伴う中規模構築は初期50〜300万円・月5〜30万円、運用保守は月額の10〜30%」という目安を示しています。

見落としやすい費用

  • 規程変更時の設定更新:ワークフローシステムの規程違反ブロックは、規程が変わるたびに利用企業側で設定を更新する必要があります。決裁権限規程を年に何度も改定する企業では、この作業が無視できません
  • RPAの保守:画面レイアウトや様式の変更で止まるため、直せる人を社内に置くか保守契約が必要です
  • 電子化の前工程:紙の申請書が残っている場合、先にスキャンや電子申請への切り替えが要ります(紙をスキャンして文字を読み取るOCRの活用は紙書類のOCR登録の自動化を参照)

当社の場合

当社のシゴハヤエージェントは、初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)で、月額は処理量連動です。従業員10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安で、月1,000万〜1.2億トークン(AIが読み書きする文字量の単位)の処理枠と運用保守を含みます。既存のワークフローシステム・会計システム・契約台帳はそのままに、一次チェックの工程だけを外付けする形を取ります。

月額に運用保守が含まれるため、規程改定に伴うルールの更新や、申請種別の追加は月額の範囲で対応します。この点が「設定更新は利用企業側の作業」となるワークフローシステムとの違いです。

回収ラインの目安

  • 月100件以下・1システムで完結:ワークフローシステムの自動チェック機能。AIエージェントは不要
  • 月300〜500件・複数拠点:一次チェック単体ではAIエージェントの月額と相殺。経費精算・受発注照合・月次集計など他の定型業務と束ねるなら成立
  • 月1,000件前後・複数システム・独自規程:一次チェック単体で初年度内の回収圏。増員より安い

実際にやった事例:調剤薬局チェーンのケース

調剤薬局チェーン本部で店舗データを2つの画面で突き合わせるデスクのイメージ

当社が支援した調剤薬局チェーンのケースをご紹介します。対象は社内申請そのものではなく、店舗から本部に上がってくるデータの月次照合でしたが、複数拠点から集まる情報を、本部が規程やマスタと照合し、要確認のものだけを担当者に回すという構造は、多拠点企業の社内申請の一次チェックと同じです。

課題

複数店舗のデータが、本部の基幹システムと店舗側のシステムに分かれていました。本部の担当者は毎月、両方の画面を開いて1件ずつ突き合わせており、店舗が増えるたびに本部の作業時間が増えていました。基幹システムはベンダー保守の都合で改修できず、乗り換えも現実的ではない。「システムは変えずに、突き合わせの作業だけをなくしたい」という要件でした。

作ったもの

既存システムには手を入れず、両方からデータを取得して、あらかじめ定義した照合ルールに従って突き合わせるAIエージェントを構築しました。一致しないものだけを、不一致の理由(金額差か、片側にデータがないのか、マスタの表記ゆれか)を添えて一覧にし、担当者に届けます。判断が必要な案件は必ず人に回る設計です。

何がどう変わったか

本部担当者の仕事は「全件を突き合わせる」から「一覧に上がってきたものだけを判断する」に変わりました。作業時間が減っただけでなく、店舗数が増えても本部の作業時間が増えない構造になったことが、経営側にとって大きな変化でした。

社内申請の一次チェックに当てはめると、拠点や部門から上がってくる稟議・購買申請・出張申請を、規程・予算・契約台帳と自動で照合し、「要確認」だけが本部の総務・経理に届く形になります。拠点が増えても本部を増員しなくてよい、という構造の効果は同じです。

薬局チェーンの本部業務全般については、薬局チェーン本部の運営管理本部と店舗の業務分担でも取り上げています。

導入までの流れと期間

シゴハヤエージェントの場合、標準の導入期間は1〜2ヶ月です。

段階

内容

期間の目安

1. 申請種別の棚卸し

稟議・購買・押印・出張・システム利用・人事関連のうち、月に繰り返し発生する種別と件数を洗い出す。総務・経理が今1件ごとに何を見ているかを言語化する

1〜2週間

2. ルール定義と検証

「必須添付」「金額 × 権限区分」「相見積の閾値」などをルールとして書き下し、過去の申請データで人の判定と機械の判定を突き合わせて精度を確認する

2〜3週間

3. 構築と接続

既存のワークフロー・会計・契約台帳からデータを取得する経路を作り、3段階判定と承認者向け要点整理、催促の仕組みを実装する

2〜3週間

4. 並走期間

従来の目視チェックと2〜4週間並走させ、ズレがないことを確認してから切り替える

2〜4週間

5. 本稼働と規程改定の反映

運用保守の範囲で規程改定や申請種別の追加に対応

継続

最初の棚卸しで、「そもそも何を見ているか」が担当者ごとに違うことが分かるケースが少なくありません。この段階で規程を言語化すること自体が、自動化とは別に差し戻し率を下げる効果を持ちます。人事関連の申請(残業・休暇)については、勤怠集計の自動化と合わせて設計すると、承認後の集計まで一続きになります。

棚卸しの段階で「この規模ならワークフローシステムで十分」と判断した場合は、そのようにお伝えします。件数と現在のチェック項目をお聞かせいただければ、削減できる時間と費用を数字でお出しします

よくある質問

Q1. すでにワークフローシステムを導入しています。それでもAIエージェントを追加する意味はありますか?

意味があるかどうかは、「ワークフローの外」に残っている確認作業の量で決まります。ワークフローシステムの自動チェックは、そのシステムの中で完結する形式要件(必須項目・添付・金額と権限区分)までです。会計システムの予算残、契約台帳、過去の稟議との突き合わせは、システムの外にあるため今も人が別画面で見ているはずです。その時間が月30時間を超えるなら追加する意味があります。逆に、導入後に総務の確認時間がほぼゼロになっているなら不要です。なお、追加する場合も既存のワークフローを入れ替える必要はありません。

Q2. 紙の申請書と物理押印が残っています。どこから手を付ければよいですか?

紙のまま回っている工程は自動化できないため、先に「申請の入口」を電子化します。ただし、全ての押印をなくす必要はありません。実務上は、申請と添付をワークフローシステムで受け付け、対外的に押印が必要な契約書だけ承認後に押印する運用に分ければ、一次チェックの自動化は成立します。電子契約に切り替えられる契約はそちらに寄せると、押印の工程自体が減ります。

Q3. AIが「問題なし」と判定した申請に不備があり、そのまま承認されてしまった場合、責任は誰にありますか?

決裁者にあります。これは自動化の前後で変わりません。一次チェックは決裁の補助であり、決裁権限規程上の責任は承認者に残ります。そのうえで、実務上のリスクを下げるために、「問題なし」の判定にも根拠(照合した規程の条文、突き合わせたデータ)を添えて承認者に届け、判定のログを全件保存する設計にします。監査で「なぜ承認したか」を問われたときに、人が目視していた頃より説明しやすくなる点は、むしろ利点です。

Q4. 稟議・購買・出張・人事関連と、申請の種類が増えると費用も増えますか?

シゴハヤエージェントの月額は処理量連動のため、申請の種類ではなく処理する件数と内容量で決まります。月1,000万〜1.2億トークン(AIが処理する文字量の単位)の処理枠を含んでおり、一般的な社内申請の一次チェックであれば、種類が5〜6つに増えても枠の中に収まるのが通常です。初期費用100万円は種類数にかかわらず一定ですが、構築時に対象とする申請種別が多いほど、棚卸しとルール定義の期間は長くなります。まず件数の多い1〜2種別から始め、稼働後に追加していく進め方が現実的です。

Q5. 既存の承認ルートや決裁権限規程を変える必要はありますか?

ありません。現在の決裁権限規程をそのままルールとして読み込ませ、承認ルートも既存のワークフローシステムの設定を使います。変えるのは「承認者が申請を見る前に、一次チェックの結果と要点が添えられている」という点だけです。ただし、棚卸しの過程で「規程には書いていないが担当者が慣習的に見ていた項目」が見つかることが多く、それを規程に明文化するかどうかは判断が必要になります。

Q6. 拠点や部門ごとに規程や申請様式が違います。対応できますか?

できます。拠点別・部門別のルールを分けて持たせる設計にします。ただし、様式やルールの種類が多いほど、初期の棚卸しとルール定義に時間がかかります。実務上は、導入を機に様式を統一する企業と、統一せずルールを分けて持たせる企業の両方があります。統一できるなら統一したほうが構築も運用も早く、統一できない事情(法人が分かれている、地域ごとの規制がある等)があれば分けて持たせます。

Q7. 申請データには人事情報や取引先の契約条件が含まれます。AIに読ませて問題ありませんか?

読ませる範囲と読ませない範囲を設計段階で切り分けます。一次チェックに必要なのは申請本文・添付・規程・台帳の該当項目であり、給与明細や個人情報の原本は不要です。読ませる範囲を業務上必要なものに限定し、誰が最終確認するか、ログをどう残すかを決めてから稼働します。デジタル庁が公開している生成AIの調達・利活用ガイドライン(2025年5月初版)は、高リスク用途についてガバナンス・運用プロセス・システム要件を確認する枠組みを示しており、民間企業でも「誰が最終確認するか」「ログを残すか」を決める際の参考になります。

社内申請のチェックを自動化すべきか、無料でご相談ください

社内申請の一次チェックの自動化は、月間件数と、申請が何システムにまたがっているかで最適解が変わります。月100件以下で1つのシステムに収まるならワークフローシステムの自動チェック機能、月300件以上で会計・契約台帳との横断確認が残っているならAIエージェント、というのが基本的な考え方です。

当社のシゴハヤエージェントは、御社専用のAI社員が毎月繰り返す定型業務を自動で実行するサービスです。費用は初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)、導入期間は標準1〜2ヶ月。既存のワークフローシステムや会計システムを入れ替えることなく、一次チェック・承認者向けの要点整理・滞留の催促を外付けできます。

「うちの規模だと、そもそもAIを入れる意味があるのか」——その判断から一緒に整理します。月間の申請件数、申請の種類、今どのシステムで何を確認しているかをお聞かせいただければ、削減できる時間と費用を数字でお出しします。ワークフローシステムのほうが適していると判断した場合は、正直にそうお伝えします。

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