AIツール2026年9月更新

Difyとは?料金・できること・使い方とLangChainとの違い|2026年最新版

公開日: 2026/04/19
更新日: 2026/09/01
Difyとは?料金・できること・使い方とLangChainとの違い|2026年最新版

この記事のポイント

Difyは、GUIでAIワークフロー・RAG・エージェントを作りWebアプリやAPIとして公開できるオープンソースのAI開発基盤。最新版v1.17.0の機能、Cloud/セルフホストの料金、始め方、LangChain・n8nとの違い、商用ライセンスとセキュリティまで整理します。

Dify(ディファイ)は、LangGenius, Inc. が開発するオープンソースのAIアプリ開発プラットフォームです。 ブラウザ上のビジュアルキャンバスでAIワークフロー・RAG(社内文書検索)・AIエージェントを組み立て、そのままWebアプリ/API/MCPサーバーとして公開できます。クラウド版は無料枠から試せ、ソースコードが公開されているためDockerで自社サーバーに構築することもできます。

2026年9月1日時点の最新安定版は v1.17.0(2026年8月25日リリース)。さらに8月27日には公式ブログで 新しいAgent が発表され、これまでワークフローに紐づいていたエージェントが「独立して再利用できるアプリ」へと構造ごと変わりました。Difyは「プロトタイプを作るツール」から「エージェントを本番運用する基盤」へ性格を変えつつある、というのが現在地です。

この記事でわかること

  • Difyでできること(ワークフロー/ナレッジ/エージェント/公開手段)と2026年9月時点の最新機能
  • Cloud・Community(セルフホスト)・Enterpriseの料金と、見落としやすい「二層構造」のコスト
  • AIクレジット(Message Credits)が実際に何回分なのか、プラン上限に達すると何が止まるのか
  • クラウド版を試す5ステップと、Docker Composeでのセルフホスト手順・v1.17.0のアップグレード注意点
  • LangChain/n8n/Flowise・Langflowとの選び分け、商用ライセンス2条件、セキュリティ運用の実態

この記事はこんな方向けです。 社内AI基盤のツールを選定している情シス・DX担当、LangChainと比較検討しているエンジニア、セルフホストの要件と運用負荷を事前に把握したい方。生成AIそのものの基礎から確認したい方は生成AIとは?仕組みから活用事例まで解説もあわせてご覧ください。

Difyの基本情報:開発元・提供形態・規模

Difyは公式に「The Platform for Production-Ready Agentic Workflows(本番運用に耐えるエージェンティックワークフローのためのプラットフォーム)」と位置づけられているオープンソースプロダクトです。開発元は LangGenius, Inc.(日本国内向けには日本法人が窓口となり、日本語サイトとEnterprise版の提供・導入支援を行っています)。

Dify公式サイトのトップページ。エージェンティックワークフロー開発プラットフォームとして紹介されている

出典: Dify 公式サイト

項目

内容(2026年9月1日時点)

名称

Dify(一般に「ディファイ」と読まれる)

開発元

LangGenius, Inc.

公式の位置づけ

自社データを参照するエージェント・エージェント型ワークフロー・チャットボットを作り、WebアプリやAPIとして提供できるオープンソース基盤

GitHub

langgenius/dify(スター154,000超・フォーク24,300超)

ライセンス

Apache License 2.0 の改変版(Dify Open Source License。追加条項あり)

最新安定版

v1.17.0(2026年8月25日)

提供形態

Dify Cloud(SaaS)/Community Edition(OSS・セルフホスト)/Dify Enterprise(VPC・商用ライセンス)

認証・準拠

ISO 27001:2022/SOC 2 Type II/GDPR(公式ブログで2年連続の取得を発表)

資金調達

2026年3月にシリーズPre-Aで3,000万ドルを調達(公式ブログ「Dify Raises $30M」)

導入企業(公式掲載)

Adobe・Google・PayPal・Mercedes-Benz・Deloitte など20社以上をトップページに掲載

Difyが担う範囲

Difyは「LLMそのもの」ではなく「LLMを使ったアプリを作り、運用する土台」です。OpenAI・Anthropic・Googleなど各社のモデルをMarketplace経由で接続して使う構成で、モデルの提供やファインチューニングは行いません。裏を返せば、モデルを乗り換えてもアプリ側を作り直さずに済むのが構造上のメリットです。

Difyでできること:6つの機能ブロック

現在のDifyは、Workflow(ワークフロー)/Knowledge(RAG)/Agent(エージェント)/Marketplace(拡張)/Publishing(公開)/Monitoring(監視) の6ブロックで整理すると理解しやすい構成になっています。

Difyのエージェンティックワークフロー機能を示す公式カバー画像

出典: langgenius/dify GitHub

1. Workflow / Chatflow(ワークフロー構築)

LLM呼び出し・条件分岐・変数抽出・ツール実行などのノードをドラッグ&ドロップでつなぎ、多段処理を設計します。公式ドキュメントで確認できる主なノードは次のとおりです。

分類

ノード例

生成・推論

LLM、Agent、質問分類器、パラメータ抽出器

知識

知識検索、テキスト抽出(Doc Extractor)

制御

If-Else、反復処理(Iteration)、ループ(Loop)、変数集約器、変数アサイナー、リスト演算子

実装

コード(Python/JavaScript)、テンプレート(Jinja2)、HTTPリクエスト、ツールノード

起動

開始ノード、スケジュールトリガー、Webhookトリガー、インテグレーショントリガー

人の介在

人間の入力(Human-in-the-Loop:処理を止めて承認・入力を求める)

実務でよく組まれるのは「問い合わせメールを分類 → 該当マニュアルを検索 → 返信文を生成 → 担当者が承認してから送信」「議事録を要約 → 決定事項とタスクを抽出 → 表形式で出力」「見積書PDFから項目を抽出 → 社内基準と突合 → 逸脱をアラート」といった流れです。バージョン管理・スニペット(ノード群の再利用)・単一ノード実行・変数インスペクターなど、編集と検証を回す機能が標準で用意されています。

2. Knowledge(RAG/ナレッジ)

ファイルをアップロードし、チャンク設定とインデックス方法を決めるだけで検索可能なナレッジベースが作れます。インデックスは「高品質(ベクトル)」と「経済的(キーワード)」の2種類で、経済的モードはベクトルを作らないためストレージを消費しません。

  • 親子モード(Parent-Child)チャンクに対応し、検索精度と文脈量のバランスを調整できる
  • 取り込み元はローカルファイルのほか、Notion同期・Webサイトからのインポートに対応
  • Knowledge Pipeline で、取り込み〜前処理〜ベクトル化を自分で設計できる
  • External Knowledge API により、既に持っている自社RAGや外部検索基盤を接続できる
  • ドキュメントメタデータ管理、検索テスト(Retrieval Test)、リクエストレート制限を用意

RAGの仕組みそのものを押さえたい場合はRAGとは?仕組みと最新動向を解説を先に読むと、チャンク設計や埋め込みモデル選定の判断がしやすくなります。

3. Agent(AIエージェント)

2026年のDifyで最も大きく変わったのがここです。新しいAgent(公式ブログ 2026年8月27日発表/ドキュメント上はベータ機能と明記)により、エージェントの扱いが次のように変わりました。

観点

従来(Agentノード世代)

新しいAgent

エージェントの所在

ワークフローに紐づく。他所で使うには作り直し

独立したアプリ/再利用可能なリソース

実行環境

ツール呼び出し中心

専用サンドボックス内でコマンド実行・パッケージ導入・ファイル読み書きが可能

使い方

ワークフローの一部

①単体のチャットアプリ(Webアプリ/API)②ワークフロー内の1ステップ の2通り

構築方法

手動設定

Configure(手動設定) と Build(対話しながら構築し、承認してから公開) の2モード

拡張

ツール/Agent Strategies

Managed Tools(プラグイン・API・MCPサーバー・ワークフロー)/Skills(手順書・参考資料・スクリプトの束)/CLI Tools(セッション限定の一時能力)

概念としては、ロール・プロンプト・モデル・スキル・ツール・ファイルをまとめた「能力(Capabilities)」を先に作り、実行のたびに「タスク」を渡す設計です。会話ごとに記憶は独立し、新しい会話は白紙から始まります。エージェントの基礎概念はAIエージェントとは?仕組み・活用事例・リスクを解説で整理しています。

なお従来型のAgentアプリ(モデルが自律的にツールを使うチャット型アプリ)も引き続き利用できます。新しいAgentはベータ扱いのため、社外公開より社内の限定利用から始めるのが妥当です。

4. Marketplace(プラグイン・拡張)

marketplace.dify.ai では Models / Tools / Data Sources / Triggers / Agent Strategies / Extensions / Bundles の7カテゴリでプラグインが配布されています。モデルプロバイダーもここから追加するため、初期構築時点で連携先をすべて決め切る必要はありません。加えて、ワークフローのテンプレートを公開できる Templates セクションと Creator Center も用意されています。

Skills やプラグインという考え方自体を掘り下げたい方はAgent Pluginsとは?MCPとAgent Skillsの標準を解説が参考になります。

5. Publishing(公開手段)

作ったアプリは次の形式で公開できます。ここが「フレームワークではなくプラットフォーム」と言える最大の理由です。

  • 共有URL付きのWebアプリ(チャット型/ワークフロー型、ブランディングとアクセス制御の設定つき)
  • サービスAPI(OpenAPI仕様を公開。自社システムやSlackボットから呼び出し)
  • 既存サイトへのiframe/チャットウィジェット埋め込み
  • MCPサーバーとしての公開 — Claude DesktopやCursorなどMCP対応クライアントからDifyアプリを呼び出せる
  • Dify Marketplaceへのアプリ公開

MCPまわりの標準化動向はMCPの新ロードマップ(2026年後半)で扱っています。

6. Monitoring(モニタリング)

ダッシュボード(パフォーマンス・コスト・エンゲージメント)、会話ログ/実行ログ(Webアプリ・Webhook・スケジュールなど起動元を表示)、アノテーション(良い回答をキュレーションしてAI生成をバイパスする仕組み)が標準搭載です。外部連携として LangSmith / Langfuse / Opik / W&B Weave / Arize / Phoenix などにトレースを送れます。

2026年最新アップデート:v1.17.0で何が変わったか

2026年9月1日時点の最新安定版はv1.17.0(8月25日リリース)です。 直近のリリースは、機能追加よりも「エージェントを本番で回せるか」に重心が寄っています。

Dify GitHubリポジトリのリリースページ。最新バージョン情報が公開されている

出典: langgenius/dify GitHub

バージョン

公開日

主な内容

v1.17.0

2026-08-25

E2Bクラウドサンドボックス対応、ビルド時のHome Snapshots、ワークスペース単位のSkill管理、履歴圧縮、統合トレーシング

v1.16.1

2026-07-28

Squidプロキシによるエージェントサンドボックスのネットワーク隔離ほかセキュリティ強化

v1.16.0

2026-07-17

Dify Agent(オープンベータ)、Linuxサンドボックス、スキルシステム、ワークフロー統合

v1.15.0

2026-06-25

公式CLI difyctl、思考過程(CoT)可視化、オンボーディング刷新

v1.14.2

2026-05-19

セキュリティ修正、エージェント基盤整備

v1.13.0

2026-02-11

Human-in-the-Loop とワークフロー実行の強化

v1.12.0

2026-02-03

Summary Index(AI要約による検索改善)

v1.17.0の主な変更点

  • E2Bサンドボックスバックエンド — エージェントのシェル/コード実行を、ローカルサンドボックスに加えてE2Bのクラウドサンドボックスでも実行可能に。DIFY_AGENT_RUNTIME_BACKEND で切り替え、docker-compose.e2b.yaml が新規提供
  • Build-time Home Snapshots — エージェント公開時にサンドボックスのホームディレクトリ(インストール済みパッケージ・準備ファイル)をスナップショット化し、以降の実行がその状態から始まる。毎回の環境構築待ちがなくなる
  • ワークスペース単位のSkill管理 — スキルを「コードとツール定義をまとめた再利用可能・バージョン管理されたケイパビリティ」として扱い、draft → publish → version のライフサイクルで管理
  • コンテキスト対応の履歴圧縮 — 古いツール結果の削除 → 古い履歴の要約という段階的な圧縮で、長い会話でもコンテキスト予算内に収める
  • LLM環境変数の再利用 — プロバイダー・モデル・パラメータの共有設定を一度定義し、任意のLLMノードから参照できる
  • Loop/Iteration内でのHuman Input — 繰り返し処理の中にレビュー・承認ステップを置け、ページを更新しても一時停止と再開が維持される
  • プロバイダー中立の統合トレーシング(既定はオフ)— LLMのTTFT、エージェントのReActステップ、ツール呼び出し、失敗ノードを可視化
  • マルチモーダル強化 — LLMノードとエージェントが画像ファイルを直接マルチモーダルモデルへ渡せるように
  • Go to Anything(⌘K/Ctrl+K) — アプリ・エージェント・スキル・ナレッジ・プラグインへ横断ジャンプ
  • 既定値変更 — APP_MAX_EXECUTION_TIME と WORKFLOW_MAX_EXECUTION_TIME が1200秒 → 3600秒に引き上げ

長時間タスクの上限が3600秒になった点と、Home Snapshotsの追加は、「エージェントに調査や集計を任せる」使い方を現実的にする変更です。

Difyの料金プラン(2026年9月時点)

Dify Cloudは無料のSandboxを含む3プラン、セルフホストのCommunityは無料、Enterpriseは個別見積もりです。 公式の料金ページは既定が年払い表示(17%オフ)になっているため、月額と年額の混同に注意してください。

SaaSの料金プランを比較検討するイメージ。Difyはクラウド版とセルフホスト版で費用構造が異なる

Dify Cloud

項目

Sandbox

Professional

Team

年額(公式表示)

無料

$590/ワークスペース/年

$1,590/ワークスペース/年

月額

無料

$59/月

$159/月

AIクレジット

200(一回限り・毎月補充なし)

5,000/月

10,000/月

チームメンバー

1名

3名

50名

アプリ数

5

50

200

ナレッジ文書

50件

500件

1,000件

ナレッジストレージ

50MB

5GB

20GB

トリガーイベント

3,000(1ワークフロー最大2トリガー)

20,000/月

無制限

ログ保持

30日

無制限(種別により差あり)

無制限(同)

Dify APIレート制限

5,000/月

なし

なし

ドキュメント処理優先度

Standard

優先

最優先

月額表示は公式ページの月/年トグルで切り替えて確認できます。既定表示は年額のため、申し込み前に必ず自分が契約する周期の金額を確認してください。

なお、過去に存在したセルフホスト向けの「Premium」プラン(AWS AMI提供)は、現在の公式料金ページには掲載がありません。掲載はCommunityとEnterpriseの2つのみです。古い解説記事で「Premium」を前提にした比較を見かけたら、そこは情報が更新されていないと判断して構いません。

セルフホスト・Enterprise

プラン

価格

内容

Community

無料(OSS)

公開リポジトリのコア機能一式。シングルワークスペース。Docker Composeでデプロイし、ライセンス条項の順守が前提

Enterprise

個別見積もり

SSO、多段ロール(RBAC)、監査ログ、複数ワークスペース、ブランドカスタマイズ、ロードバランシング、専任サポート。取得には公式への問い合わせが必要

Enterpriseの金額は公式に非公開です。第三者サイトが具体的な年額を挙げていることがありますが、公式で確認できる情報ではないため、社内資料に転記しないほうが安全です。CommunityとEnterpriseは同一のDockerイメージで、ライセンスと環境変数によって機能が切り替わる構造になっています。

見落としやすい「二層構造」のコスト

Difyの利用料と、裏で動くLLMのAPI従量課金は別会計です。 ここを分けずに見積もると、稟議後に必ず差分が出ます。

費用の種類

支払先

発生条件

Difyサブスクリプション

LangGenius

Cloud有料プラン利用時(Communityは無料)

LLM API利用料

OpenAI・Anthropic・Googleなど

自前APIキー(BYOK)を使う場合は常に発生

インフラ費用

自社が使うクラウド・サーバー

セルフホスト時のみ

運用工数

自社

セルフホスト時(アップデート・バックアップ・監視)

プラン料金に含まれるのはAIクレジット(料金ページの表記はMessage Credits)で使える範囲です。ここで押さえるべき公式仕様が1つあります。

AIクレジットの消費単位は「AIレスポンス1回=モデル呼び出し1回(入力1回+出力1回)」。消費トークン数に関係なく1レスポンスとしてカウントされ、必要クレジット数はモデルごとに異なる(大きいモデルほど多く消費)。

つまり「5,000クレジット=5,000往復」ではなく、使うモデルによって実際の往復回数は変わります。長文を投げてもクレジット消費は増えない一方、上位モデルを選ぶと1回あたりの消費が増える、という挙動です。

自分のOpenAI/Anthropic等のAPIキーを登録(BYOK)した分は、各プロバイダー側に直接課金されます。キーはワークスペース全体で有効になり、管理できるのはオーナーと管理者のみです。AIクレジットと自前キーは併用でき、プロバイダーごとに「使用優先度」を設定してクレジット枯渇時に自前キーへフォールバックさせることもできます。

「Communityは無料だからコストゼロ」という見積もりは成立しません。実コストはサーバー費用+LLM API費用+運用工数です。逆にCloudのProfessionalを選んでも、支払いは「$590/年+LLM API利用料」になります。

教育プログラム(Dify for Education)

在学中の学生・現職の教員/学校職員は、認証すると年額Professionalプランを無償で利用できます。条件は細かいので、申請前に次を確認してください。

  • 18歳以上で、教育機関に在学・在職していること
  • 学校発行のメールアドレスでの登録が必須(個人アドレス・卒業生専用アドレスは対象外)
  • 適用されるのは年額プランのみ。月額プランや既存の有料サブスクには適用できない
  • AIクレジットはSandbox相当(一回限り200・毎月補充なし)。使い切った後は自分のAPIキーで継続利用
  • 1回の認証につき1ワークスペース。自動更新はなく、毎年の再認証が必要。終了後はSandboxに戻る

ツール全体のコスト感を横並びで見たい場合は生成AIツールおすすめ比較も参考にしてください。

プラン上限は実際どう効くのか

料金表の数字より、上限に達したときに何が止まるかのほうが導入判断では重要です。公式ドキュメントで確認できる挙動を整理します。

上限

到達したときに起きること

Sandboxのログ保持30日

期限切れのログは完全削除され、後からアップグレードしても復元できない。検証結果を残したいなら早めに有料プランへ

有料プランのワークフロー実行ログ

約3か月でアーカイブへ移動(月別CSVでダウンロード可)。会話ログはサブスク有効期間中は保持

ナレッジストレージ上限

ドキュメント追加・チャンク編集・アーカイブ復元・再インデックスがすべてブロックされる。既存データは消えず検索は継続できる

ストレージの計算方法

ファイルサイズではなく生成ベクトル数×埋め込みモデルの次元数で決まる。text-embedding-3-large は -small の約2倍消費する

トリガーイベント

Plugin/Schedule/Webhookによるワークフロー自動起動の回数。Sandboxは1ワークフローあたり最大2トリガーまで

Community Editionの制約

シングルワークスペースのみ。ログのアーカイブ機能・ワークフローログの月別整理は利用不可

さらに運用上見落とされやすい仕様として、会話やログを削除しても、その中でアップロードされたファイルは消去されません(公式ドキュメントに明示的な警告があります)。個人情報を含むファイルを扱う運用では、ファイル側の削除手順を別途決めておく必要があります。エディタ上でのプレビュー・テスト実行はログに残らない点も、検証記録を残したい場合は注意点です。

Difyの使い方①:クラウド版で始める5ステップ

最短で試すならクラウド版です。登録からアプリ公開まで、慣れれば30分程度で一巡できます。

ノーコードでAIアプリを構築する作業イメージ。Difyクラウド版はブラウザだけで始められる

ステップ1:アカウント登録
https://cloud.dify.ai にアクセスし、GitHub・Google・メールアドレスのいずれかでサインアップします。Sandboxプランは無料で即利用できます。

ステップ2:モデルプロバイダーを設定
「設定」→「モデルプロバイダー」で、使用するLLMをMarketplaceから追加します。AIクレジットで動くモデルはそのまま使え、自前のAPIキーを登録すればその分は各社に直接課金されます。ローカルモデル(Ollama等)はエンドポイントURLを指定します。

ステップ3:アプリを作成
「アプリを作成」から、チャットボット/テキストジェネレーター/Agent/Chatflow/Workflowを選びます。最初の1本はチャットボットが最も理解しやすく、テンプレートを取り込んで中身を読み解く進め方も有効です。

ステップ4:プロンプト設計とナレッジ接続
システムプロンプトを書き、必要ならナレッジ(RAG用ドキュメント)を紐付けます。右側のプレビューで挙動を即確認でき、思考過程(CoT)も専用パネルで追えます。ここで検索テスト(Retrieval Test)を使い、狙ったチャンクが引けているかを先に確認しておくと後の手戻りが減ります。

ステップ5:公開する
「公開する」で共有URLが発行され、同時にAPIエンドポイントも生成されます。埋め込みコードやMCPサーバーとしての公開もここから設定します。公開前にアクセス制御の設定を確認し、社内限定にするか外部公開するかを明示的に決めてください。

Difyの使い方②:Docker Composeでセルフホストする手順

社内データを外部に出せない場合は、Community Edition(OSS版)をDocker Composeで自社環境に構築します。

事前に必要な環境(公式の最小要件)

項目

要件

CPU

2コア以上

メモリ

4GiB以上

Docker

19.03以降(Linux)/Docker Desktop(macOS・Windows。WindowsはWSL2上)

Docker Compose

v2.24.0以降

その他

git、curl、jq(最新タグ取得に使用)。macOSはVMに2CPU・8GB RAM以上の割り当てを推奨

構築の流れ

  1. 最新リリースタグを指定してリポジトリをクローンする
  2. dify/docker ディレクトリへ移動する
  3. .env.example を .env にコピーして設定する
  4. docker compose up -d で起動する
  5. docker compose ps で全コンテナの起動を確認する
  6. http://localhost/install(サーバー上なら http://<サーバーIP>/install)にアクセスして管理者アカウントを作成する

起動するのはコアサービス+依存サービス+初期化タスクで計16コンテナです。ベクトルDB・リバースプロキシ・サンドボックス実行環境などが含まれるため、単一のWebアプリより構成が重い点は最初に理解しておく必要があります。v1.15.0以降は公式CLI difyctl も提供されており、Web UIを開かずにターミナルやCIからアプリ・ワークフローを実行できます。

v1.17.0へアップグレードするときの注意点

既に運用している環境をv1.17.0に上げる場合、破壊的変更が含まれます。公式手順は「compose と .env をバックアップ → 最新コードを取得 → マイグレーション実行」です。

  • 新規DBマイグレーションあり(flask db upgrade が必要)。add_conversation_cleanup_index は既存データにインデックスを張るため、conversations テーブルが大きいと時間がかかる
  • 環境変数 EDITION が DEPLOYMENT_EDITION にリネーム。ENTERPRISE_ENABLED は削除
  • AGENT_BACKEND_RUN_TIMEOUT_SECONDS → DIFY_AGENT_RUN_TIMEOUT_SECONDS に置換。DIFY_AGENT_SHELLCTL_AUTH_TOKEN / DIFY_AGENT_SHELLCTL_ENTRYPOINT は削除
  • Docker Compose構成が変更され、docker-compose.e2b.yaml が追加。カスタマイズ済みのcomposeファイルは再適用が必要

本番運用で追加検討する項目

最小要件(2コア/4GiB)は検証用の下限です。実運用では以下を前提に設計してください。

  • リソース:ドキュメント処理とベクトル検索がボトルネックになりやすい。公式は本番向け推奨スペックを数値で公開していないため、実データでの負荷試験が現実的
  • バックアップ:PostgreSQL(アプリ設定・ログ)、ベクトルDB、アップロードファイルの3系統
  • 公開範囲:社内利用ならVPN・社内ネットワークに閉じる。インターネット公開するならリバースプロキシでのTLS終端とアクセス制御が必須
  • アップデート運用:セルフホストでは脆弱性対応のためのバージョン追従が事実上の義務

構築のハードルは「Dockerを扱える担当者が最低1名いること」です。ここが確保できないなら、無理にセルフホストせずCloudのProfessional/Teamから始めるほうが総コストは低くなります。

Difyの日本語対応はどこまで進んでいるか

UI・公式ドキュメントとも日本語が用意されており、日本語環境での利用ハードルは低い部類です。ただし公式日本語ドキュメントはAIによる自動翻訳です。

対象

日本語対応の状況(2026年9月時点)

管理画面UI

日本語表示に対応。ただし追加直後の新機能やエラーメッセージは英語のまま出ることがある

公式ドキュメント

日本語版あり(Cloud向け・セルフホスト向けを合わせて370ページ規模)。各ページ冒頭に「AIによって自動翻訳されており、不正確な部分がある場合は英語版を参照」との但し書きがある

公式サイト

日本語ページあり

アプリ内の日本語処理

使用するLLM側の性能に依存。Dify自体は言語を問わない

仕様の細部(環境変数名や上限値など)を確認するときは、日本語ページで当たりをつけて英語版で裏を取る運用が安全です。日本語RAGで精度を出すときの実務ポイントは次の2点になります。

  1. チャンク分割の見直し — 日本語は既定のチャンクサイズだと文脈が切れることがあります。検索テストで実データを見ながら調整する前提で組むこと
  2. 埋め込みモデルの選定 — 日本語に強い埋め込みモデルを選ぶだけで検索ヒット率が変わります。ただし次元数が大きいモデルはストレージ消費も増えるため、精度とプラン上限のバランスで決めます

Difyの強み

Difyが接続できる各種LLMプロバイダーのロゴ一覧

出典: langgenius/dify GitHub

1. モデルを固定せずに済む
複数のプロバイダーをMarketplace経由で接続でき、ローカルモデルにも対応します。価格改定や新モデル登場があっても、ワークフローの構造を変えずに差し替えられるのは長期運用で効きます。

2. 作る・試す・公開する・見るが1画面で完結
プロンプト設計、ワークフロー構築、ナレッジ管理、公開、ログ監視までが同じ画面に収まっています。ツールを繋ぎ合わせる手間がないため、非エンジニアが関わる社内プロジェクトで特に有利です。

3. セルフホストという選択肢がある
ソースコードが公開されているため、外部SaaSにデータを預けられない業務でも自社環境で完結できます。Cloudで検証してからセルフホストへ移す段階的な進め方も取れます。

4. 「作った後」の機能が厚い
ログ、アノテーション、トレース連携、Human-in-the-Loop、バージョン管理、CLI実行と、運用フェーズで必要になる機能が揃っています。2026年のリリースはこの領域への投資が中心です。

5. エージェントが再利用可能な資産になった
新しいAgentにより、一度作ったエージェントを単体アプリとしてもワークフローの1ステップとしても使えるようになりました。ワークフローごとに似たエージェントを作り直す無駄が消えます。

6. 公開監査を受けている
ISO 27001:2022、SOC 2 Type II、GDPR対応を2年連続で完了したと公式ブログが発表しており、Cloud版利用者は画面右上の「Compliance」からレポートをダウンロードできます。稟議で提示できる材料が公式経路で手に入るのは実務上の利点です。

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開発について相談する

Difyの弱み・できないこと

制約

内容

LLMは提供されない

各社のAPIキーが別途必要。コスト管理・レート制限の管理は利用者側の責任

GUIの表現力には上限がある

独自アルゴリズム・複雑な状態管理・厳密な型制御は、コードベースのフレームワークのほうが素直

ファインチューニングは対象外

モデル自体の追加学習は行えない

Community版はシングルワークスペース

複数ワークスペース運用・SSO・監査ログ・多段ロールはEnterpriseの領域

新しいAgentはベータ

仕様変更の可能性があり、サンドボックスとはいえコマンド実行を伴う。不特定多数への公開は慎重に

セルフホストの運用負荷

16コンテナ構成で、脆弱性対応のためのバージョン追従が必須。Dockerを扱える担当者が要る

無料枠は実験用の広さ

Sandboxは200クレジット(補充なし)・1メンバー・5アプリ・ナレッジ50文書・ログ30日

ライセンスに追加条項

マルチテナントSaaS化とロゴ・著作権表示の削除には商用ライセンスが必要

開発ツールではない

コード生成やIDE的な開発支援(Claude Code・Cursor等の領域)とは用途が異なる

日本語ドキュメントは機械翻訳

細かい仕様は英語版での確認が前提

LangChain・n8n・Flowise/Langflowとの違い

LangChainとの比較が最も多く検索されますが、両者は競合というより層が違います。 LangChainはコードで書くフレームワーク、DifyはGUIで作って公開・運用まで担うプラットフォームです。

LangChainのGitHubリポジトリ。PythonベースのLLMフレームワークでDifyの主要な比較対象

出典: langchain-ai/langchain GitHub

比較項目

Dify

LangChain(+LangGraph)

n8n

Flowise/Langflow

種別

AIアプリ開発・運用プラットフォーム

エージェント構築フレームワーク(ライブラリ)

業務自動化(iPaaS寄り)

ノーコードLLMビルダー

作り方

GUI中心(ノーコード)

Python/TypeScriptのコード

GUI+一部コード

GUI中心

RAG

標準機能として搭載

部品を組み合わせて自前実装

連携ノード経由

標準搭載

エージェント

新しいAgent(ベータ)+Agentノード

create_agent/LangGraphが中核

限定的

対応

制御の細かさ

ノードの範囲内

ほぼ無制限(状態遷移も自由)

連携処理中心

ノードの範囲内

運用・監視

ログ/トレース/アノテーション内蔵

LangSmith(別サービス)で対応

実行履歴あり

簡易的

公開手段

Webアプリ・API・埋め込み・MCP

自前で実装

Webhook等

API等

セルフホスト

可(Community)

ライブラリのため該当なし

可

可(Difyより軽量に動く)

主な利用者

情シス・DX担当〜エンジニアのチーム

エンジニア

業務自動化担当

個人開発者・検証用途

ライセンス

Apache 2.0+追加条項

MIT

Fair-code(Sustainable Use)

Apache 2.0/MIT

DifyとLangChainの選び分け

現在のLangChainは、エージェントを構成する本体(create_agent)、決定論的ワークフローと耐久実行を担う LangGraph、全部入り構成の Deep Agents、そして可観測性レイヤーの LangSmith という3〜4層の構成になっています。「LangChain=チェーンをつなぐライブラリ」という2024年頃の理解のままだと、比較を誤ります。

判断の目安は次のとおりです。

  • コードで細かく制御したい/既存のPythonアプリに深く組み込みたい → LangChain+LangGraph
  • 非エンジニアを含むチームで内製し、公開・運用まで一気に持っていきたい → Dify
  • PoCはDifyで速く回し、要件が固まった部分だけコードで作り直す → 併用

重要なのは、両者が排他ではないことです。Difyのトレースを LangSmith に送る統合は公式に提供されています。 GUIで作りつつ、観測とデバッグはLangChain側のエコシステムに寄せる、といった構成も取れます。フレームワーク側の詳細な比較はAIエージェントフレームワーク比較で扱っています。

Difyとn8nの選び分け

n8nはSaaS間連携・業務自動化のツールで、課金単位も「ワークフロー実行回数」です。「複数SaaSをまたぐ定型業務の自動化」が主目的ならn8n、「LLMの精度とナレッジ設計が主目的」ならDifyという切り分けになります。実務では、n8nがトリガーと外部連携を担い、AI処理部分だけDifyのAPIを叩く構成も現実的です。中小企業での自動化の進め方は中小企業のAI自動化ガイドも参考になります。

DifyとFlowise/Langflowの選び分け

いずれもフロー型のLLMアプリビルダーで、個人の検証や学習には十分です。Flowiseは動作要件が軽く(Difyの最小4GiBに対して1GB程度でも動くとされます)、手元で試すには扱いやすい選択肢です。Difyとの差は、ナレッジ管理・アノテーション・ログ/トレース・チーム権限・複数の公開手段といった「組織で運用する側」の作り込みにあります。1人で試すならどれでも構いませんが、チーム運用に入ると差が出ます。

ライセンスと商用利用の条件

DifyはApache License 2.0の改変版で公開されており、商用利用そのものは可能です。 社内の業務プラットフォームとして使う、受託開発でバックエンドに使う、自社サービスの基盤として使うといった用途は、追加ライセンスなしで行えます。

別途Difyから商用ライセンスを取得する必要があるのは、次の2ケースだけです。

  1. マルチテナントサービスとしての運用 — 書面による明示的な許可なく、Difyのソースコードを使ってマルチテナント環境を運用してはならない、と規定されています。ここでのテナントは1テナント=1ワークスペースと定義されています。要は「Difyをそのまま顧客ごとに切って他社向けSaaSとして提供する」形が該当します
  2. ロゴ・著作権表示の削除/改変 — Difyのフロントエンド(ソースの web/ ディレクトリ、Dockerの web イメージ)を使う場合、コンソールやアプリ上のロゴ・著作権情報を削除・改変できません。フロントエンドを使わずAPIのみを利用する構成には、この制限は適用されません

これ以外はApache License 2.0に従います。加えてライセンス文には「本製品のインタラクティブデザインは意匠権で保護されている」との記載もあります。グループ会社への横展開のようなグレーゾーンは、自己判断せず開発元へ確認するのが安全です。

セキュリティ:セルフホストなら「バージョン追従」が必須条件

Difyを自社サーバーで運用するなら、脆弱性情報の追跡とアップデートを運用作業として組み込む必要があります。 これはDify固有の欠陥というより、活発に開発されているOSSを本番で使う際の一般的な前提ですが、実際に高深刻度の指摘が継続して公開されているため、精神論では済みません。

公開されている主なセキュリティアドバイザリ

内容

公開日

深刻度

修正版

AppMCPServerのPUTエンドポイントにおけるIDOR(他アプリのMCPサーバー設定を改変可能)

2026-08-19

High

1.16.0

Consoleの file_id がスコープ外で、テナントを跨いでファイルをプレビュー可能

2026-07-15

High

1.14.2

テナントを跨いで外部APIの詳細が漏えい

2026-07-15

High

1.14.0

テナントを跨いで外部API利用状況を列挙可能

2026-07-15

Medium

1.14.0

SVGファイルアップロード経由の保存型XSS

2026-04-20

Medium

1.13.1

チャットの保存型XSS

2026-03-03

Medium

1.11.2

echarts利用時のWebチャットアプリでのDOM型XSS

2026-02-11

High

最新版への追従を推奨

モデルプロバイダー設定エンドポイントからAPIキーが平文で露出

2026-01-04

High

1.11.0

半年の間にHigh判定が複数公開されている、というのが事実です。「無料だが運用は無料ではない」というのが、Community Editionを選ぶときの正確な理解になります。

v1.16.1〜v1.17.0で入ったセキュリティ強化

一方で、直近のリリースではハードニングも進んでいます。

  • Cloudflare Turnstile(CAPTCHA) をサインイン/メールコードログインに任意適用できる
  • メールコード認証の試行回数制限とトークン有効期限、エージェント用の短命認可トークン
  • アクセス制御のスコープ厳格化 — dataset/document/RAG/conversation/ワークスペース資格情報/OAuthクライアントを所有者とアプリスコープに一貫して束縛し、複数の未認可アクセス経路を封鎖
  • SSRF・アウトバウンド強化 — 外部HTTP接続フェーズを5秒に制限、エージェントのダウンロード/実行タイムアウトを設定可能に
  • Azure Key Vault/プラガブルKMS — 鍵の払い出し・暗号化・復号とローテーション設定に対応
  • v1.16.1では Squidプロキシによるエージェントサンドボックスのネットワーク隔離

エージェント機能を業務で使うなら、v1.16.1以上、できればv1.17.0を選ぶのが妥当です。

セルフホスト運用のチェックリスト

  • GitHubのReleasesとSecurity Advisoriesを購読し、更新を検知できる体制にする
  • 少なくとも月1回、バージョン差分を確認して適用可否を判断する
  • アップデート前にDB・ファイルのバックアップを取る(v1.17.0はDBマイグレーションを含む)
  • 管理コンソールをインターネットに直接公開しない(VPN・IP制限・リバースプロキシ)
  • LLMのAPIキーは環境変数・シークレット管理で扱い、権限とレート上限を絞る
  • アップロード可能なファイル形式を業務上必要な範囲に限定する
  • エージェントのサンドボックス実行を使う場合は、利用者を社内の信頼できる範囲に限定する

公式ドキュメントは「ログには完全なユーザー会話が含まれ、機密情報が含まれる場合がある」と明記し、現地のデータプライバシー規制への準拠、プライバシーポリシーの公開、必要に応じた利用者同意の取得を求めています。Cloud版を選べばパッチ適用はDify側で行われるため、「セルフホストのほうが安全」ではなく「安全にする責任を自社が引き受ける」という理解が正確です。生成AI全般のリスク整理は生成AIのセキュリティリスクと対策、エージェント特有の権限設計はAIエージェントのセキュリティガイドで扱っています。

日本国内での導入の広がり

日本のビジネス街のイメージ。金融・通信・自治体・大学へDify導入が広がっている

国内では、金融・通信のような大規模組織と、自治体・大学のような「現場に作らせたい」組織の双方で採用が公表されています。各組織や開発元の公表資料で確認できる代表例は次のとおりです(内容は各社の発表時点のもの)。

組織

公表時期

内容

みずほフィナンシャルグループ

2026年5月

Dify Enterpriseによる現場主導のAI開発基盤を全社展開

KDDI Digital Life

2026年8月

povo2.0のカスタマーサポート業務にDifyを採用

大阪府(行政AIエージェントコンソーシアム)

2026年8月

自治体向けコンソーシアムにLangGeniusが参画しDifyを提供

神戸市

2026年7月

庁内AI基盤「KOBE AI PORT」でDifyを活用

九州大学 × Fusic

2026年8月

OSS版Difyを用いた全学的なAI活用基盤を構築

共通しているのは、情シスが基盤を用意し、各部門が自分でアプリを作る「現場内製型」の運用です。ここがコードベースのフレームワークとの分岐点になります。国内では解説記事や活用事例が豊富で、SIerによる導入支援も存在するため、日本語での情報収集がしやすい点も選定理由になりやすいところです。

Cloud・Community・Enterpriseの選び方

導入形態は、次の3問を順に判断すると迷いません。

Q1. 扱うデータを外部SaaSに置けますか?

  • 置ける → Q2へ
  • 置けない(機微情報・規程上不可) → Community(セルフホスト) または Enterprise。ただしDockerを扱える担当者が必要

Q2. 利用は何名規模で、SSOや複数ワークスペースが必要ですか?

  • 1名・検証だけ → Sandbox(無料)
  • 3名程度・単一プロジェクト → Professional($590/年)
  • 最大50名・複数プロジェクト → Team($1,590/年)
  • 全社展開でSSO・監査ログ・複数ワークスペースが要る → Enterprise(個別見積もり)

Q3. インフラを運用できる担当者がいますか?

  • いない → Cloud一択。セルフホストは初期構築より継続運用(アップデート・バックアップ)が負担になります
  • いる → Communityで自社構築。全社展開の段階でEnterpriseへ切り替える経路も取れます

コストの目安は次のとおりです。

形態

Difyへの支払い

追加で必ず発生する費用

Sandbox

0

クレジット消化後はLLM API費用

Professional/Team

$590〜$1,590/年

LLM API費用

Community

0

サーバー費用+LLM API費用+運用工数

Enterprise

個別見積もり

LLM API費用+(VPC構成なら)インフラ費用

こんな方におすすめ / おすすめしない方

おすすめできるケース

  • 社内の生成AI活用をノーコードで立ち上げたい情シス・DX担当 — Pythonを書かずにRAGや承認フロー付きの業務アプリを作れる
  • 各部門に自分でアプリを作らせたい大企業・自治体 — 基盤を情シスが用意し、現場が内製する運用に合う
  • 社内文書検索(RAG)を短期間で形にしたい企業 — ナレッジ機能が標準搭載で、取り込みから公開まで一気通貫
  • 複数のLLMを比較しながら選定したいチーム — モデルを差し替えても構成を作り直さずに済む
  • エージェントを社内の複数業務で使い回したいチーム — 新しいAgentにより、一度作った能力を単体アプリにもワークフローの一部にも使える
  • DifyのアプリをClaude DesktopやCursorから呼び出したい開発者 — MCPサーバーとしての公開に対応
  • 機密データを社内に閉じたい企業でDocker運用者がいる場合 — Community版で自社完結の構成が組める

おすすめしないケース

  • 独自アルゴリズムをコードで細かく制御したいエンジニア — LangChain+LangGraphのほうが素直で、保守もしやすい
  • 主目的がSaaS間連携・定型業務の自動化 — n8nやZapierの領域
  • Difyをそのままマルチテナントの自社SaaSとして販売したい事業者 — 商用ライセンス契約が前提
  • インフラを運用できる人材がおらず、かつクラウド保存にも懸念がある組織 — どちらの選択肢にも無理が出るため、社内ルールの整理が先
  • LLM費用込みの固定料金パッケージを求めている組織 — 費用はプラットフォーム料金とAPI従量課金の組み合わせになる
  • 不特定多数の外部ユーザーにコマンド実行型エージェントを提供したい場合 — 新しいAgentはベータであり、サンドボックスとはいえ実行環境を伴う

よくある質問(FAQ)

Q1. 最新バージョンは?アップデートは必要ですか?
2026年9月1日時点の最新安定版はv1.17.0(2026年8月25日リリース)です。Cloud版は自動で更新されますが、セルフホストは自分で更新します。2026年に入ってからHigh判定のアドバイザリが複数公開されており、古いバージョンで止めている環境は優先的に更新すべきです。なおv1.17.0は環境変数のリネーム(EDITION → DEPLOYMENT_EDITION)とDBマイグレーションを含むため、バックアップを取ってから作業してください。

Q2. AIクレジット5,000は「5,000回の会話」という意味ですか?
厳密には違います。公式仕様ではAIレスポンス1回(入力1回+出力1回)で1回分としてカウントし、消費トークン数には依存しません。ただし必要なクレジット数はモデルごとに異なり、大きいモデルほど多く消費します。上位モデルを常用するなら、クレジット枠の消費は想定より速く進みます。

Q3. Sandboxの200クレジットを使い切ったらどうなりますか?
Sandboxのクレジットは一回限りで、毎月の補充はありません。使い切った後は自分のAPIキーを登録して利用を継続します。Difyの機能自体が止まるわけではなく、LLM呼び出しの費用負担先が変わるという理解が正確です。AIクレジットと自前キーは併用でき、優先度を設定してフォールバックさせることもできます。

Q4. セルフホスト版に必要なスペックは?
公式の最小要件はCPU 2コア以上・メモリ4GiB以上、Docker Compose v2.24.0以降です。ただしこれは検証用の下限で、起動するコンテナは16個あります。ナレッジのドキュメント量が増えるほど処理負荷が上がるため、本番では実データで負荷を測って決めるのが確実です。

Q5. 個人情報や機密文書を扱っても大丈夫ですか?
社内ルール次第です。Cloud版はISO 27001:2022・SOC 2 Type II・GDPR対応の監査を受けており、Cloud利用者は画面右上の「Compliance」からレポートを取得できます。外部保存自体が規程で認められない場合は、セルフホストかEnterpriseのVPC構成を選ぶことになります。加えて、会話やログを削除してもアップロードされたファイルは消えない仕様があるため、ファイル削除の手順は別途決めておいてください。

Q6. 無料で使い続けることはできますか?
Community Edition(OSS版)を自社サーバーで動かせば、Dify自体のライセンス費用はかかりません。ただしサーバー費用、LLM API費用、アップデート対応の工数は発生します。Cloud版のSandboxも無料ですが、1メンバー・5アプリ・ナレッジ50文書・ログ30日という枠内での利用です。Sandboxのログは30日で完全削除され、後からアップグレードしても復元できません。

Q7. DifyとLangChain、どちらを選ぶべきですか?
チームで素早く形にして公開・運用したいならDify、コードで細かく制御したいならLangChain(+LangGraph)です。排他ではなく、Difyで仮説検証してから要件が固まった部分をコードで作り直す進め方も一般的です。DifyのトレースをそのままLangSmithへ送る統合も公式に用意されています。

Q8. 新しいAgentは従来のAgentノードと何が違いますか?
最大の違いは再利用性です。従来はエージェントがワークフローに紐づいており、別の場所で使うには作り直しが必要でした。新しいAgentはエージェント自体が独立したアプリになり、単体のチャットアプリとしてもワークフローの1ステップとしても呼び出せます。専用サンドボックス内でコマンド実行やファイル操作もできます。ただしベータ機能である点は前提にしてください。

Q9. 自社サービスに組み込んで販売できますか?
自社サービスのバックエンドとしてAPIを組み込む用途は、追加ライセンスなしで可能です。一方、Difyそのものをマルチテナント型のSaaSとして他社に提供する場合や、コンソール上のロゴ・著作権表示を削除・改変する場合は商用ライセンスが必要になります。

Q10. 学生・教職員は無料で使えますか?
Dify for Educationにより、年額のProfessionalプランを無償で利用できます。学校発行のメールアドレスでの登録が必須で、月額プランや既存の有料サブスクには適用されません。AIクレジットはSandbox相当(200・補充なし)にとどまるため、実質的には自前のAPIキー前提の運用になります。毎年の再認証が必要です。

まとめ

Difyは、AIアプリの構築から公開・運用までをGUIで一気通貫に扱えるオープンソースプラットフォームです。2026年9月時点の最新版はv1.17.0で、8月末に発表された新しいAgentにより、エージェントが「ワークフローの部品」から「独立して再利用できる資産」へ変わりました。

導入判断の要点は次のとおりです。

  • 試すだけならCloudのSandboxが最短。アカウント登録とモデル設定だけで動く
  • チーム利用ならProfessional($590/年)かTeam($1,590/年)。既定表示は年額のため、月額契約なら申込画面で単価を確認する
  • 費用はDify料金+LLM API従量課金の二層構造。AIクレジットは「1レスポンス=1回」でカウントされ、モデルによって消費量が変わる
  • データを外に出せないならCommunity(セルフホスト)。ただしDocker運用者とアップデート体制が前提で、実コストはサーバー費用+API費用+工数
  • 全社展開・SSO・複数ワークスペースが必要ならEnterprise(個別見積もり)
  • 商用利用は原則OK。ライセンス取得が必要なのは「マルチテナントSaaS化」と「ロゴ・著作権表示の削除」の2ケースのみ
  • セルフホストではバージョン追従が必須。2026年もHigh判定のアドバイザリが継続して公開されている

コードで細かく制御したい要件が主ならLangChain+LangGraphのほうが適しています。逆に、非エンジニアを含むチームで内製し、公開と運用まで自分たちで回したいなら、現時点でDifyは有力な選択肢です。

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