ビジネス活用2026年9月更新

与信・反社チェック自動化の費用と進め方|ツール月1.5万円〜、一次調査ごと任せるなら初期100万円+月10万円〜【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/01
与信・反社チェック自動化の費用と進め方|ツール月1.5万円〜、一次調査ごと任せるなら初期100万円+月10万円〜【2026年9月最新】

この記事のポイント

与信・反社チェックの一次調査(登記取得・記事検索・証跡保存)は自動化でき、最終判断は人に残ります。ツール単体月1.5万円〜、RPA月5万円〜、AIエージェント初期100万円+月10万円〜の費用と、月100件で月50時間削減の試算を解説。

与信審査と反社チェックの一次調査(登記・企業情報の取得、新聞・Web記事の検索、結果の転記、証跡の保存)は自動化できますが、取引していいかどうかの最終判断と、疑わしい先の二次調査は人に残ります。費用は、反社チェックツール単体なら月15,000円+1検索300円前後、既存のCRMやkintoneとつないで担当者の画面操作をなくすならRPAで月5万円〜、複数の情報源をまたいで記事の一次判定・証跡整理・書き戻しまで任せるなら初期100万円+月額10万円〜(税別)が目安です。

この記事では、一次調査を8つの工程に分けて「どこに時間が消えているか」を示したうえで、実現手段3つの費用と、自社の月間件数で投資が何ヶ月で回収できるかを、公開されている実額で整理します。

与信・反社チェックのどこに時間がかかっているか

帝国データバンクの公式ロゴ画像。新規企業信用調査は標準約29営業日かかる

出典: 帝国データバンク 公式

「反社チェックをやるかどうか」の段階は、多くの会社で終わっています。Sansanが2022年に849名を対象に行った調査では実施率94.9%、上場を目指す企業に限った別の調査(2022年、経営者・役員108名)でも87%が実施していました。現場の悩みは「やるか」ではなく、1件ごとの手間、証跡が残っているか、同姓同名をどう判断するかに移っています。

新規取引先1社について、実務で発生している工程を並べると次のようになります。

#

工程

実際にやっていること

対象の抜き出し

CRM・kintone・Excelから社名・代表者名・役員名をコピーする

法人の特定

法人番号公表サイトで正式商号・所在地を確認し、表記ゆれ(斎藤/齋藤、㈱/株式会社)を揃える

登記・基本情報の取得

登記の全部事項(現在事項ではなく履歴を含むもの)を取得し、役員・資本金・設立年・本店移転の履歴を見る。HPと突き合わせる

記事検索

新聞・Web・制裁リスト・反社DBで社名と役員名を検索する。業界ごとのネガティブワード(「検挙」「違反」「暴力団」等)を組み合わせる

記事を読んで判断

ヒットした記事を開き、同姓同名か本人か、取引に影響する内容かを読み分ける

与信の一次判断

企業DBの評点・格付、決算書があれば売上・自己資本、支払条件から「いくらまで売掛にするか」の案を作る

転記と稟議

結果をExcel台帳や社内システムに転記し、稟議を起票する

証跡の保存

検索画面のPDF、取得した登記、判断メモを日付付きで保存する

反社チェック(①②④⑤⑦⑧)だけで、手作業では1件あたり7〜11分かかるという事業会社の公開データがあります(KYCコンサルティング、2026年3月)。1,000件なら40時間、既存取引先の年次再チェック1,000件では約50時間です。反社チェックと与信確認のサイトを順に巡回するフローでは、1件1.5時間という例もあります(AUTORO公式)。

時間を奪っているのは「検索」ではなく前後の作業

工程のうち④の検索そのものは、ツールを使えば数秒で終わります。時間が消えているのは、①の抜き出し、⑤の読み分け、⑦の転記、⑧の証跡保存という前後の手作業です。ツールを入れた会社で「検索は速くなったが担当者の残業は減らない」という状態が起きるのは、①⑤⑦⑧が残っているためです。

もう一つ、営業側に実害が出ているのが調査会社レポートの待ち時間です。帝国データバンクの新規企業信用調査は標準で約29営業日、東京商工会議所経由で依頼した場合は約40営業日かかります(いずれも公式の納期)。全件を調査会社に回す運用だと、商談が1〜2ヶ月止まります。一次調査を社内で回して「懸念のある先だけ調査会社へ」に絞れるかどうかが、営業のスピードを左右します。

自動化すると何がどう変わるか

KYCコンサルティングの反社チェックツールRiskAnalyzeの公式イメージ画像

出典: RiskAnalyze(KYCコンサルティング)公式

工程①〜⑧のうち、人に残るのは⑥の最終判断と、⑤で「懸念あり」と仕分けされた案件の確認だけになります。

工程

自動化前

自動化後

① 対象の抜き出し

担当者がCRMからコピー

CRM・kintone・スプレッドシートへの取引先登録をきっかけに自動で起動

② 法人の特定

目視で表記ゆれを揃える

法人番号で名寄せし、重複登録も同時に検出

③ 登記・基本情報

1件ずつ取得しHPと見比べる

登記情報・gBizINFO・企業DBから自動取得し、1枚にまとめる

④ 記事検索

ツールの画面で1件ずつ検索

社名・役員名・ネガティブワードの組み合わせを自動で実行

⑤ 読み分け

全記事を人が読む

AIが記事を要約し「懸念なし/要確認/懸念あり」に仕分け。同姓同名の可能性が高いものは理由付きで除外候補にする

⑥ 与信の一次判断

担当者が評点と決算を見て案を作る

「資本金◯円以上・設立◯年以上・格付◯以上・ネガティブ記事なし」など言語化した基準で一次振り分け。最終決裁は人

⑦ 転記と稟議

Excel・社内システムに手入力

結果をCRMに書き戻し、稟議のたたき台を作成、Slackやメールで通知

⑧ 証跡の保存

PDFを手動で保存

検索日時・情報源・結果を自動で保存

事業会社が公開している自動化後の数値は、次のとおりです。

  • KYCコンサルティング:1件7〜11分 → 40秒前後。月500件で約83時間削減
  • RoboRobo×松屋フーズホールディングス:1件5〜6分 → 1〜2分。月平均87時間削減
  • AUTORO×NewsPicks:Salesforceに取引先を登録してから完了まで約2分。担当者はSlack通知を見るだけ
  • リスクモンスター×wevnal:API連携で取引先審査の工数を約90%削減(上場準備中の企業)
  • リスクモンスター 与信管理の効率化事例:懸念の少ない8割の審査を簡略化し、繁忙期の残業を月48時間削減

担当者の役割が「調べて転記する人」から「懸念ありの案件だけ確認して決裁する人」に変わる、というのがどの事例にも共通しています。

削減時間の試算|月100件なら月50時間・人件費15万円

自社の数字に置き換えられるよう、前提を明示して計算します。

前提

  • 新規取引先の一次調査:月100件
  • 1件あたりの所要時間:30分(反社チェック7〜11分の公開データに、登記取得・HP確認・与信の一次判断・転記・稟議起票を加えた想定値。与信側の1件あたり分数は公開された一次データがないため、幅を持って読んでください。上限はAUTORO公式の1.5時間/件)
  • 担当者の人件費:時給3,000円換算(社会保険料等を含む会社負担ベース)

計算

  • 月100件 × 30分 = 月50時間
  • 月50時間 × 3,000円 = 月15万円、年間180万円

これをシゴハヤエージェント(初期100万円+月額10万円・10名規模の場合、税別)で自動化すると、月次の純削減は 15万円 − 10万円 = 5万円。初期費用100万円の回収は約20ヶ月です。

月間件数

月間工数

人件費/月

月額10万円との差

初期100万円の回収

月50件

25時間

7.5万円

−2.5万円

単体では回収できない。ツール単体かRPAが妥当

月100件

50時間

15万円

+5万円

約20ヶ月

月200件

100時間

30万円

+20万円

約5ヶ月

月50件以下なら、AIエージェントは単体では採算が合いません。この規模なら後述のツール単体(月1.5万円〜)かRPA(月5万円〜)が現実的です。月100件前後の場合は、取引先のCRM登録契約書の期限管理など、同じ担当者が抱える他の定型業務と束ねて対象にすると回収が早まります。

なお、反社チェックツールの従量費(月100件 × 300円 = 3万円程度)は、手作業でもツールを使っているなら現状すでに払っている費用なので、上の差し引きには含めていません。

もう一つの効果は、調査会社に出す件数が減ることです。 RISK EYESが公開している月100件のモデルでは、全件を調査会社に依頼すると月300万〜1,000万円、自社で一次調査をしたうえで高リスクの20件だけ依頼すると月60〜80万円です。一次調査を自社で回せる体制は、人件費より先にこの外注費に効きます。

自動化できる業務・できない業務の境界線

東京商工リサーチ(TSR)の公式ロゴ画像

出典: 東京商工リサーチ 公式

「毎月繰り返す・入力と出力がデジタルで完結する・判断ルールを言葉にできる」の3つを満たす工程は自動化の対象になります。逆に、最終決裁と例外対応は残ります。

自動化できる

自動化できない(人に残る)

CRM・kintone・Excelへの新規取引先登録をきっかけに、法人番号・登記・gBizINFO・企業DB・記事検索を自動で回して結果を1枚にまとめる

取引可否と与信限度額の最終決裁

同姓同名・表記ゆれの名寄せと、記事のリスク要約・3段階の仕分け

「懸念あり」と出た先の二次調査(調査会社への依頼、警察・暴力追放運動推進センターへの照会、弁護士相談)

「資本金◯円以上・設立◯年以上・格付◯以上・ネガティブ記事なし」など言語化できた基準での一次振り分け

基準が毎回変わる、担当者の勘と経験で決めている

証跡(検索日時・情報源・PDF)の自動保存と、CRMへの書き戻し・通知

紙の決算書しか出てこない先、訪問・対面ヒアリングが前提の先

既存取引先の月次/年次の再チェック、制裁リスト更新への追随

海外の取引先で人権・環境まで含めた専門調査が必要な先

反社チェックツール各社も「完全自動化は実現不可」と明記しています(RISK EYES公式コラム)。ツールもAIも「調べた証拠を残し、人が判断しやすい形に整える」ものであって、反社かどうかを断定するものではありません。最終判断をAIに委ねたいという要望には、当社も含めてどの手段でも応えられないと考えてください。

東京商工リサーチも、取引金額が小さく懸念の少ない先は審査部門が関与しない設計にし、①重複口座の確認 ②正式商号・住所でのマスタ登録 ③最新リスク指標の取得 を業務システムに組み込むことを推奨しています。営業は数秒で社内承認を得られ、審査担当は複雑な案件に時間を回せる、という考え方です。

言語化できない基準がある場合は、自動化の前に「なぜその判断をしたか」を数件分書き出す作業が必要です。書き出せた部分だけを自動化し、書き出せない部分は人に残す、という切り分けが現実的です。

実現する方法は3つある

同じ「与信・反社チェックの自動化」でも、手段によって費用も残る作業も変わります。3つを並べます。

① 手作業の効率化(ツール単体の導入)

反社チェックツールや与信DBに担当者がログインし、1件ずつ検索する形です。検索と証跡保存は速くなりますが、対象の抜き出し・転記・稟議起票は残ります。

  • 費用:反社チェックツール 初期0円・月0〜15,000円+1件250〜300円。与信側は登記330円/件、TDB企業概要2,200円(税込)/件などの都度払い
  • 適するケース:月数十件以下、担当者1名で回っている、証跡を残せれば十分
  • 適さないケース:件数が増えて転記漏れが出ている、複数部門から取引先登録が来る

② RPA・ノーコードでの連携

Salesforce・kintoneなどの取引先登録をきっかけに、人の画面操作を機械に代行させる仕組み(RPA)か、システム同士を直接つなぐ仕組み(API)で結果を書き戻す形です。AUTOROの「Salesforce登録→約2分で完了」や、KYCコンサルティングの「kintone/Salesforceのボタン→数秒」がこの型です。

  • 費用:AUTORO 月5万円〜、リスクモンスターAPI 月1万円/ID(法人基礎5項目・年5万件まで・年間契約)、RoboRobo API連携オプション 2万〜7万円(参考価格・要問い合わせ)
  • 適するケース:CRMが整備済みで、取引先登録が1つのシステムに集約されている。判定ルールが明確
  • 適さないケース:判定ルールが曖昧で「記事を読んで決める」部分が大きい、巡回先のサイト仕様が変わるたびに直す人がいない

③ AIエージェント(一次調査ごと任せる)

複数の情報源をまたいで収集・名寄せ・記事の要約と仕分け・証跡整理・書き戻し・通知までを一連で実行し、人は「懸念あり」だけ確認する形です。文章を読んで要約・分類するAIが⑤の読み分けを担うため、①②と違って「記事を読む時間」も減ります。

  • 費用:初期100万円+月額10万〜50万円(税別)が当社の場合の実額
  • 適するケース:月100件超、複数システム横断、社内にエンジニアがいない、同じ担当者が他の定型業務も抱えている
  • 適さないケース:最終判断まで任せたい、紙・対面が前提、月50件以下で他に束ねる業務がない

① ツール単体

② RPA・ノーコード連携

③ AIエージェント

初期費用

0円〜

0円〜(構築を外注する場合は別途見積)

100万円(税別)

月額

0〜1.5万円+従量

1万〜5万円〜+従量

10万〜50万円(税別)

人に残る作業

抜き出し・読み分け・転記・稟議・証跡

読み分け・稟議(ルール外の案件)

懸念ありの確認・最終決裁

導入期間

契約後すぐ使える

連携の構築期間が別途(数週間程度〜)

1〜2ヶ月

合う規模

月数十件以下

月50〜200件・CRM整備済み

月100件超・複数システム

②で足りる会社は②で十分です。③を選ぶ理由があるのは、「記事を読んで仕分ける」工程と「複数システムをまたぐ」工程の両方が残っている場合に限られます。

費用の目安|情報源・ツール・つなぐ費用を分けて見る

与信・反社チェック一体型サービス「アラームボックス」の公式イメージ画像

出典: アラームボックス 公式

ツールの比較記事では「月額」だけが並びがちですが、実際に払う費用は3層に分かれます。混ぜて見積もると、後から「連携費用が別だった」となります。

第1層:情報源の費用(1件あたり)

情報源

費用

備考

国税庁 法人番号公表サイト

無料

正式商号・所在地。名寄せの基準

gBizINFO(経済産業省)

無料

約500万社の基本情報・補助金・届出。システムから直接取得できる

登記情報提供サービス 商業・法人登記 全部事項

330円/件(税込)

2026年4月1日改定後の価格。役員・資本金・本店の履歴

新聞・Web記事検索(RISK EYES)

300円/検索/媒体(税別)

新聞は見出し・本文の閲覧料が別

企業DB 格付取得(リスクモンスター e-与信ナビ)

1,200円/件(反社ヒートマップ込 1,700円/件)

比較メディア経由の参考価格

TDB企業概要(G-Search 都度払い)

2,200円(税込)/件

固定費なし。TSR企業財務情報は5,170円(税込)/件

信用調査会社 新規調査(帝国データバンク)

調査問合票 5枚120,000円(24,000円/枚)〜63枚1,000,000円(15,873円/枚)

標準約29営業日。特急14日(+3,000円)、超特急7日(+4,000円)

信用調査会社 新規調査(東京商工リサーチ)

新規50,000円。ポイント利用で15,000円〜

評点+倒産確率スコア。東京商工会議所経由なら27,500円+付帯費で約40営業日

一次調査を無料・低額の公的ソース(法人番号・gBizINFO・登記330円)と記事検索300円で組めば、1件あたり1,000円前後(登記330円+記事検索2媒体600円)で収まります。調査会社レポート(15,000〜50,000円)は懸念が出た先だけに絞る、というのが費用面での基本設計です。

第2層:ツールの月額

サービス

初期費用

月額

1件単価

備考

RISK EYES

0円

15,000円〜(税別)

300円/検索/媒体

新聞・Web・掲示板・制裁リスト・反社DB。利用企業の株式公開59社(2026年4月時点)

RoboRoboコンプライアンスチェック

0円

従量プランは固定費なし(月額100件プラン 20,000円は参考価格)

250円/件

最低利用3ヶ月。生成AIによる記事要約・注目度判定のオプションあり(参考価格 月20,000円)

アラームボックス パワーサーチ

0円

3,000円〜

登記・信用・反社チェック 各500円〜

与信一体型。プラン構成は情報源により差があるため公式で要確認

リスクモンスター e-与信ナビ

入会金30,000円

20,000〜70,000円(1〜99人)

格付1,200円/件

比較メディア経由の参考価格

URIHO

0円

9,800円〜

与信+売掛保証

第3層:業務システムにつなぐ費用

ここが見積もりで抜けやすい部分です。ツールの月額とは別に、「取引先登録をきっかけに自動で動かし、結果をCRMに戻す」ための費用がかかります。

手段

費用

含まれるもの

AUTORO(RPA型)

月5万円〜(件数連動)

反社・与信サイトの巡回、Salesforce連携

リスクモンスターAPI

月1万円/ID(法人基礎5項目・年5万件まで・年間契約)

格付・与信限度額・反社区分などの取得。Salesforce/HubSpot/kintone/スプレッドシート連携

RoboRobo API連携オプション

2万〜7万円(参考価格・要問い合わせ)

既存システムからの自動照会

シゴハヤエージェント(当社)

初期100万円+月額10万〜50万円(税別)

収集・名寄せ・記事の要約と仕分け・証跡保存・CRM書き戻し・通知までの設計と運用

当社のシゴハヤエージェントは、月額が処理量に連動します。目安は10名規模で月10万円、30名規模で月20万円で、月額には月1,000万〜1.2億トークン(AIが読み書きする文章量の単位)の処理枠が含まれます。反社チェックツールや企業DBの利用料は第1層・第2層として別途かかりますが、既存の契約があればそのまま使えます。導入期間は標準1〜2ヶ月です。

月100件・1件30分の試算で見たとおり、この構成が単体で採算に乗るのは月100件前後からです。件数がそれより少ない場合は、第2層+第3層のRPA・API連携で組む方が総額は下がります。

実際にやった事例

当社は医療機関・薬局・インフラ企業で、複数システムをまたぐ定型業務を自動化してきました(守秘のため社名は非公開です)。与信・反社チェックそのものの事例ではありませんが、「複数の情報源から集めて、名寄せして、一致するものは自動処理し、判断が要るものだけ人に回す」という構造は同じです。

調剤薬局チェーンのケース|卸からの納品データと発注データの突合

課題:複数の医薬品卸から届く納品データを自社の発注データと突き合わせる作業が、本部の担当者2名で月70時間ほど発生していた。卸ごとにデータ形式が違い、同じ薬でもJANコード・薬価基準コード・卸独自コードが混在。分納が入ると数量が合わず、その都度Excelで手作業の照合が起きていた。ミスに気づくのが月末の請求突合の段階で、月初の数日が毎月潰れていた。

作ったもの:卸から届くデータを自動で取り込み、コード体系の違いを吸収して自社マスタの品目に変換。発注データと数量・単価・納期を突き合わせ、一致したものは自動で消し込み、不一致・分納・単価差のあるものだけを一覧にして翌朝担当者に通知する仕組み。判断が必要な部分は人に残し、確認作業だけをなくす設計にした。

何がどう変わったか:担当者の作業が「全件を照合する」から「一覧に上がった不一致だけを確認する」に変わり、月末に集中していた作業が日次に分散した。手順が仕組みの中に定義されたため、担当者以外でも状況を追えるようになった。

与信・反社チェックに置き換えると、「卸ごとのコード」が「同姓同名・表記ゆれ」、「一致は自動消し込み」が「懸念なしは自動で完了」、「不一致だけ翌朝通知」が「要確認・懸念ありだけ担当者へ」に対応します。

インフラ企業・医療機関のケース

保守委託先・納入業者・工事会社など、新規の取引先登録が複数部門・複数拠点から発生する業種では、審査の手間より先に「同じ会社が部門ごとに別名で登録されていて、どこまで審査済みか分からない」ことが問題になります。この場合、記事検索の自動化より先に、登録時に法人番号で名寄せしてマスタを一本化する仕組みが効きます。当社が薬局・インフラ企業で行ってきた「複数システムのマスタを共通のコードで突き合わせる」作業と同じ構造です。

同種の課題であれば、シゴハヤエージェントの導入相談で、月間の取引先登録件数と現在の工数から適用可否と回収月数をお伝えできます。取引先登録の前段にあたる名刺情報のCRM登録、後段のシステム間のデータ転記と束ねて対象にすることも可能です。

導入までの流れと期間

シゴハヤエージェントを提供するAI革命の公式ロゴ画像

出典: AI革命 公式サイト

シゴハヤエージェントの場合、標準1〜2ヶ月です。期間の大半は仕組みの構築ではなく、判断基準の言語化と情報源の整理に使われます。

段階

期間の目安

やること

会社側に必要なこと

1. 業務の棚卸し

1〜2週間

現在の一次調査の工程・件数・所要時間・判断基準を整理する。「懸念あり」と判断した過去案件を数件持ち寄り、なぜそう判断したかを言葉にする

審査担当者の時間(数時間×2〜3回)

2. 情報源と接続先の確定

1週間

使う情報源(登記・gBizINFO・記事検索ツール・企業DB)と、起点にするシステム(CRM/kintone/スプレッドシート)、結果の戻し先を決める

既存ツールの契約内容・API可否の確認

3. 構築と並走テスト

2〜4週間

仕組みを組み、過去の案件と直近の新規案件で人の判断と突き合わせる。同姓同名の除外精度と「要確認」の閾値を調整する

テスト結果の確認(週1回程度)

4. 運用開始

担当者は「要確認・懸念あり」の確認と決裁のみ。月次で仕分け精度と件数を報告

決裁フローの変更周知

導入前に社内で決めておくと早いこと

  • 判定基準の言語化:例えば「資本金1,000万円以上・設立3年以上・格付◯以上・直近3年にネガティブ記事なし」のように、数字と条件で書けるか。書けない部分は人に残す
  • 稟議フローの棚卸し:一次調査の結果を誰が見て誰が決裁するか。「懸念なし」は自動承認にするか、必ず人が押すか
  • 証跡の保管ルール:どこに・何年・誰が見られる形で残すか
  • 取引先の個人情報の取扱い:代表者名・役員名を外部ツールやAIに渡す際の権限と保存先。上場審査・監査で説明できる形にしておく

よくある質問

Q1. 反社チェックは法律上の義務ですか。

一律に義務づける法律はありません。根拠になっているのは2007年の政府指針(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」)で、これ自体に法的拘束力はなく、全都道府県の暴力団排除条例でも契約時の確認や暴排条項の導入は努力義務で罰則がありません。一方で、取締役には会社法上の善管注意義務があり、放置して被害が出れば賠償責任を問われうること、株式上場を目指す場合は反社排除体制の構築が審査の必須要件になっていることから、実務上は「やらない選択肢がない」状態です。発覚時には行政指導、金融機関の融資停止、上場廃止、取引先喪失につながります。

Q2. 反社チェックツールを入れれば、それで自動化になりますか。

なりません。ツールが担うのは「検索」と「証跡保存」で、対象の抜き出し・記事の読み分け・転記・稟議起票は担当者に残ります。ツール導入後に「検索は速くなったが残業が減らない」場合、残っているのはこの前後の作業です。ツールの上に、取引先登録をきっかけに自動起動して結果を書き戻す仕組み(RPA・API連携・AIエージェント)を足すかどうかが、次の判断になります。

Q3. 同姓同名で記事がヒットしたときはどうしますか。

AIによる分類で「本人でない可能性が高い」ものは理由付きで除外候補になりますが、誤検知はゼロにはなりません。運用としては、生年月日・住所・役職・所属企業など照合できる情報を増やして絞り込み、それでも判断がつかない先は「要確認」として人が見る、それでも残る疑義は調査会社や警察・暴力追放運動推進センターへの照会に回す、という3段階にします。「除外した理由」も証跡として残しておくと、後から監査で説明できます。

Q4. 証跡は何年残せばいいですか。

上場審査や監査で求められるのは「いつ・誰が・どの情報源で・何を調べ・どう判断したか」を示せることです。ツール側の目安として、RiskAnalyze(KYCコンサルティング)は検索履歴とPDFを7年間保存します。自社で保管ルールを決める際は、7年を一つの目安にしつつ、監査法人や主幹事証券の要求に合わせてください。自動化する場合は検索日時・情報源・結果を自動で保存する設計にしておくと、保管期間の議論以前に「残っていない」という事態を防げます。

Q5. 調査会社のレポートは不要になりますか。

不要にはなりません。役割が「全件」から「懸念が出た先」に変わります。帝国データバンクの新規調査は標準約29営業日、東京商工会議所経由なら約40営業日かかるうえ、1件15,000〜50,000円です。一次調査を自社で回して振り分ければ、RISK EYES公開のモデルケース(月100件)で、全件依頼の月300万〜1,000万円が、高リスク20件のみ依頼の月60〜80万円まで下がります。

Q6. 既存取引先の定期的な再チェックも自動化できますか。

できます。むしろ再チェックの方が自動化の効果は大きい業務です。契約時だけでなく年1回など定期的に既存取引先を再スクリーニングする運用は上場企業では標準で、手作業だと1,000件で約50時間かかります(KYCコンサルティング公開値)。自動化すれば、取引先マスタを起点に定期実行し、前回から状況が変わった先だけを担当者に通知する形にできます。海外制裁リストの更新への追随も同じ仕組みに乗せられます。

Q7. 海外の取引先も対象にできますか。

制裁リスト(OFAC・EU・国連など1,400を超えるリスト)との照合は自動化の対象です。ただし、2022年の調査では海外のマネーロンダリング・テロ資金供与まで確認している企業は約3割にとどまり、海外先まで確認する基準そのものが定まっていない会社が多いのが実態です。人権・環境まで含めた専門調査が必要な先は、人手の調査領域として残ります。

Q8. kintoneやSalesforceを使っていなくても導入できますか。

できます。起点は取引先登録が発生する場所であればよく、Excelやスプレッドシート、メールでの依頼でも設計できます。ただし、登録が部門ごとにばらばらの場所で起きている場合は、先に「どこに登録されたら審査を動かすか」を一本化する必要があります。この整理を含めて導入期間内に行います。

Q9. 取引先の代表者名や役員名をAIに渡して問題ありませんか。

取扱いのルールを決めれば運用できます。確認すべき点は、渡した情報がAIの学習に使われない設定になっているか、保存先がどこか、誰が閲覧できるか、の3つです。既存の反社チェックツールも同様に外部へ情報を渡す仕組みなので、考え方は変わりません。詳細はAIエージェントのセキュリティ対策にまとめています。

自社の月間件数で採算が合うか、無料で試算します

与信・反社チェックの一次調査は、ツール単体なら月1.5万円台から自動化できます。判断が難しいのは、「検索の前後に残る作業まで含めて、自社の件数で仕組み化する価値があるか」です。

当社では、月間の新規取引先件数・現在の調査手順・担当者の工数をうかがったうえで、削減できる時間と回収月数を試算してお伝えしています。試算の結果、ツール単体やRPA連携で足りると判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。

  • 費用:初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)
  • 導入期間:標準1〜2ヶ月
  • 初回相談は無料。判定基準が言語化できていない段階でも構いません

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