ビジネス活用2026年10月更新

棚卸の突合を自動化する方法と費用|自作・在庫管理システム・開発の比べ方と回収試算

公開日: 2026/08/28
更新日: 2026/10/12
棚卸の突合を自動化する方法と費用|自作・在庫管理システム・開発の比べ方と回収試算

この記事のポイント

棚卸の突合(帳簿在庫と実在庫の照合・差異一覧・報告)は自動化できます。ExcelやAIでの自作、在庫管理システム連携、RPA、AIエージェント、受託開発の5つを費用で比較し、自分で作れる範囲と会社に頼む部分、開発費の回収試算を解説します。

棚卸の突合、つまり帳簿在庫と実在庫を突き合わせて差異一覧を作り、報告するところまでは自動化できます。現物の数え方はそのままで突合だけを自動化する場合、拠点や品番が少なければExcelやAIを使った自作で足り(追加費用はほぼ0円)、在庫管理システムで外部連携まで使うならzaicoのプロフェッショナルプランで月150,000円〜(税抜)、自社の基幹システム・倉庫システム・拠点のExcelに合わせて開発会社に作ってもらうなら、AI革命の場合は既存システムの改修で100万円〜、PoC(試作と検証)で300万円〜(いずれも税別)が入口です。

この記事では、棚卸のどの工程に時間がかかっているのかを分解したうえで、自動化できる範囲とできない範囲、5つの実現手段の費用、AIを使って自分で作れる部分と会社に頼んだ方がよい部分の境目、そして「何時間減って、何ヶ月で元が取れるのか」を仮定に基づく試算で示します。棚卸の自動化というと現物を数える作業(バーコード・RFID・IoT重量計)の話になりがちですが、この記事ではカウント後の机上作業を正面から扱います。

棚卸で本当に時間を食っているのは「数える作業」ではない

基幹システムと倉庫システムのデータ連携を自動化するASTERIA Warpの紹介画像

出典: ASTERIA Warp 公式サイト

棚卸を工程に分解すると、次の7つになります。

工程

実際にやっていること

自動化の余地

① 事前準備

締め処理、対象ロケーションの確定、棚卸表の印刷、担当割り

一部

② 現物カウント

現場で数える/ハンディ端末・RFIDで読む

ハード投資が必要

③ データ集約

各拠点のExcelや紙をメールで回収し、1ファイルに統合する

大きい

④ 突合(照合)

基幹システムの帳簿在庫と実在庫を品番キーで突き合わせる

大きい

⑤ 差異一覧の作成

差異数量・差異金額・差異率を算出し、閾値を超えたものを抽出

大きい

⑥ 原因追跡

入出庫伝票を遡り「いつ・どこで」ずれたかを特定

一部

⑦ 報告

差異報告書を作成し、経理・経営へ配信

大きい

現場の人手がかかるのは②ですが、経理や管理部門の担当者が深夜まで残っているのは③〜⑦です。

突合が終わらない理由は「データが揃わない」ことではない

突合作業が長引く原因は、データが足りないことよりも、同じ商品を指しているはずのデータが一致しないことにあります。

  • 基幹システムでは「A-1023」、倉庫の在庫管理システムでは「A1023」、拠点のExcelでは「A-1023-2」と品番の書き方が違う
  • 基幹はケース単位、現場はバラ単位で数えていて、入り数を掛けないと比較できない
  • 拠点コードが古い体系のまま残っていて、統廃合した倉庫の在庫がどこにも紐づかない
  • ECモールの在庫は別管理で、モール側の引当分が帳簿に反映されていない

結果として、担当者は関数で一致しなかった行を目で見ながら、手作業で対応表を作り直します。この「寄せる作業」が突合時間の大半を占めます。

在庫管理サービスを提供するzaicoも、目視で現物と帳簿を突き合わせる運用ではチェック漏れが起き、作業者の経験差で照合の速さと正確さにばらつきが出ると指摘しています。また、倉庫側で実際の在庫を管理するシステム(WMS)と、会社の数字を管理する基幹システムがつながっていない場合、基幹から倉庫側へ手で取り込み、倉庫の実績を手で基幹へ戻す運用になり、そのタイムラグと入力ミスがそのまま在庫差異と出荷遅延につながるという指摘もあります(ASTERIA Warp)。

なお、棚卸差異率は「棚卸差異額 ÷ 帳簿在庫額 × 100」で計算し、一般には2〜3%以下が望ましい水準とされます(ITトレンド)。ただし業種や単価構成によって適正値は変わるため、自社の過去実績を基準に置くのが現実的です。

突合を自動化すると何がどう変わるか

作業の流れ

現在の流れ

  1. 各拠点から棚卸結果のExcelがメールで届く(形式が拠点ごとに微妙に違う)
  2. 1つのファイルに貼り付けて統合する
  3. 基幹システムから帳簿在庫をCSVで出力する
  4. 関数で突合し、一致しない行を手で寄せる
  5. 差異数量・差異金額を計算し、閾値超過を抽出する
  6. 差異報告書の体裁を整え、経理と経営にメール送信する
  7. 「この差異は何ですか」という問い合わせに個別回答する

自動化した後の流れ

  1. 各拠点が所定のフォルダに棚卸結果を置く(形式は今のままでよい)
  2. 翌朝、統合済みの差異一覧と差異報告書が指定の宛先に届いている
  3. 担当者は差異の大きい上位項目だけを確認し、原因を判断する

消えるのは③〜⑦の工程そのものではなく、③〜⑦の手を動かす部分です。判断は人が持ち続けます。

削減時間の試算

拠点3・品番3,000点・月次棚卸を行う中堅企業を想定した、仮定に基づく試算です。各工程の時間も仮に置いた値で、実測値ではありません。自社の数字を当てはめて計算するための型として使ってください。

工程

月あたりの所要時間

③ 各拠点データの集約

4時間

④ 突合・表記ゆれの寄せ込み

8時間

⑤ 差異一覧の作成

4時間

⑦ 報告書作成・配信

2時間

差異に関する問い合わせ対応

2時間

合計

月20時間

担当者の人件費を時給3,000円(仮定)で換算すると、月20時間 × 3,000円 = 月6万円、年間では 72万円です。四半期棚卸(年4回)の企業でも年間80時間、月次で行っている企業は年間240時間をこの作業に費やしている計算になります。

開発費を何ヶ月で回収できるか(仮定に基づく試算)

開発会社に突合の仕組みを作ってもらう場合、回収までの期間は次の式で出せます。

回収月数 = 開発費 ÷(月の削減額 − 月の実行コスト)

前提は次のとおりです。いずれも仮定で、見積ではありません。

  • 開発費: AI革命の公開価格の入口である「既存システムの改修 100万円〜」と「PoC 300万円〜」(税別)の2通りで計算します。実際の金額は、つなぐシステムの数・データの形・例外の多さで変わり、本開発は個別見積です
  • 月の実行コスト: クラウドの利用料や外部APIの費用などの実費を、仮に月1万円とおきます。構成によって変わる仮置きの値です
  • 月の削減額: 上の試算と同じく時給3,000円で換算します
  • 含めていないもの: 開発後の保守・改修の費用、社内で結果を確かめる工数、税金

まず、棚卸の突合だけを自動化する場合です。月20時間 × 3,000円 = 月6万円から実行コスト1万円を引くと、月5万円が残ります。開発費100万円なら約20ヶ月、300万円なら約60ヶ月で回収する計算です。

突合だけのために300万円規模の開発をすると、回収に5年かかります。突合単体なら、後述の①(ExcelやAIを使った自作)をまず試し、自分たちでは持てない部分だけを頼むほうが無理がありません。

回収が早まるのは、同じデータの取り込み(基幹システム・倉庫システム・拠点のExcel)の上に、周辺の定型業務も載せられるときです。

束ねる業務

月あたりの時間(仮定)

棚卸の突合・差異報告

20時間

月次の在庫レポート作成・配信

10時間

商品マスタの新規登録・更新

10時間

受発注データと納品書の照合

15時間

合計

月55時間

月55時間 × 3,000円 = 月16.5万円。実行コスト1万円を引くと月15.5万円が残ります。業務量別に並べると次のとおりです。

束ねた業務量

削減額(時給3,000円)

実行コスト月1万円を引いた残り

開発費100万円の回収

開発費300万円の回収

月20時間(突合のみ)

6万円

5万円

約20ヶ月

約60ヶ月

月40時間

12万円

11万円

約9ヶ月

約27ヶ月

月55時間

16.5万円

15.5万円

約6〜7ヶ月

約19〜20ヶ月

月60時間

18万円

17万円

約6ヶ月

約18ヶ月

注意点として、周辺業務まで載せるほど開発の範囲は広がるため、束ねた場合の開発費が100万円に収まるとは限りません。表の「月55時間で開発費100万円」は楽観側の組み合わせです。判断の基準は「棚卸の突合を自動化すべきか」ではなく、「自分たちで作れない部分に開発費を払って、何ヶ月で回収できるか」です。自社の時間と見積額を式に入れて確かめてください。周辺業務については受発注の照合を自動化する方法、月次レポートの自動化、商品マスタ更新の自動化も併せて検討材料にしてください。

なお、差異そのものが減ることによる棚卸差損の圧縮や、月次決算の締めが早まる効果も現実には発生します。ただし金額が業種と在庫構成に大きく依存するため、この記事の回収計算には含めていません。確実に読める工数削減だけで判断できる形にしています。

自動化できる業務・できない業務の境界線

棚卸突合の判断業務を担うAIエージェントの例として挙げられるClaudeのロゴ

出典: Anthropic 公式サイト

問い合わせをいただく前に、自社が対象になるかを確認できるよう、自動化できる条件とできない条件を示します。下の右列に3つ以上当てはまる場合、現時点では見送ったほうがよいと考えています。

自動化できる

自動化できない

毎月・毎週、決まったタイミングで棚卸突合が発生する

期末に一度だけで、毎回やり方が変わる

基幹・倉庫システム・Excel・ECモールからCSVまたはデータ連携で数字を出せる

棚卸票が紙のみで、デジタル化されていない

差異の判定ルール(閾値・許容差)を言葉にできる

差異ごとに現場が個別の事情で判断している

差異一覧・報告書のフォーマットが決まっている

報告先ごとに毎回体裁を作り直している

品番の対応表が作れる(多少の表記ゆれは吸収できます)

現物を見ないと品番が確定しない商材である

最終承認は人が行う前提でよい

在庫調整の仕訳までAIに決裁させたい

とくに重要なのは最後の行です。棚卸資産の金額は決算数値に直結するため、在庫調整仕訳の承認をAIに任せることは推奨していません。自動化の範囲は「差異を漏れなく洗い出し、根拠付きで並べて提示するところまで」とし、承認は人が行う設計にします。この範囲を守ることが、監査対応でも日々の運用でも結果的に安全です。

また、②の現物カウントそのものはソフトウェアだけでは自動化できません。ここを速くしたい場合は、ハンディ端末・RFID・IoT重量計といったハード投資が必要になります(費用は後述)。

突合を自動化する5つの方法

入出庫から棚卸までを効率化するクラウド在庫管理システムzaicoの画面イメージ

出典: zaico 公式サイト

開発会社に頼む前に、選択肢を並べます。上から順に検討して、当てはまるものがあればそれで十分です。

① Excel関数・マクロの作り込み

現在の作業をPower QueryやVBAで組み上げる方法です。自分で組めば追加費用は原則ゼロです。外注する場合の費用は依頼先と範囲で変わります。

ただし、作った人以外が保守できない状態になりやすく、品番体系や拠点構成が変わるとすぐに動かなくなります。担当者の異動で誰も触れないファイルが残る、というのは在庫管理の現場で起きやすいトラブルです。拠点が1〜2、品番数が数百点までなら現実的な方法です。

ChatGPTやClaudeに手伝ってもらえば、この①はかなり自分で進められます。拠点のExcelと基幹システムのCSVの列名と、品番や数量を架空の値に置き換えた数行のサンプルを渡し、「品番の記号を除いて突き合わせ、差異数量と差異金額を出すPower Query(またはPython)を書いて」と頼めば、突合のたたき台は短時間で手に入ります。表記ゆれの対応表の案づくりや、差異報告書の文面の下書きもAIが得意な作業です。

自分で作るときに残る課題は、AIの能力よりも、会社ごとのデータと運用の側にあります。

  • 品番・単位・拠点コードの例外を、過去の棚卸データで洗い出し切れるか(統廃合した倉庫、ケースとバラ、ECモールの引当分など)
  • 基幹システムから毎月同じ形でデータを出せるか。誰の権限で出すか
  • 出てきた差異一覧が正しいかを、人が作った結果と突き合わせて確かめたか
  • 品番体系や拠点が変わったときに、誰が直すか

この4つを社内で持てるなら①で十分です。持てない部分があるなら、その部分だけを⑤の開発で頼む形も選べます。

② 在庫管理システムとの連携

zaicoなどのクラウド在庫管理システムを導入し、基幹システムと自動でデータをやり取りさせる方法です。ここで注意が必要なのは料金体系です。

プラン

初期費用

月額(税抜)

公式プラン表での外部システム連携の記載

zaico スターター

0円

8,980円

なし

zaico ベーシック

0円

49,800円

なし

zaico プロフェッショナル

0円

150,000円〜

あり

(2026年10月12日時点、zaico公式の料金プランページで確認。初期費用は全プランでかかりません。公式のプラン比較表で「外部システムとの連携」が明記されているのはプロフェッショナルのみです。料金・提供範囲は改定される可能性があるため、契約前に必ず最新の公式情報をご確認ください)

つまり「月額1万円で棚卸が自動化できる」という話は現物を数える作業の効率化であって、基幹システムとの突合の自動化ではありません。突合を丸ごと自動化するには外部連携が使える上位プランが必要で、月額15万円〜のレンジになります。製品の枠内でできることは確実に動きますが、自社独自の突合ルールや報告書の体裁までは合わせられない場合がある点は押さえておいてください。

③ RPA

RPAは、人がパソコン上で行う画面操作を記録して、同じ手順を繰り返し実行させるソフトウェアです。費用の目安は次のとおりです。

種別

費用の目安

クラウド型

10万〜50万円程度(月額のサブスクリプション)

デスクトップ型

50万〜100万円程度(1台10万円前後 × 台数)

サーバー型

100万〜1,000万円程度

手順の作り込みを外部委託

初期数百万円〜

(RPAの費用はミツモアの解説記事の目安。2026年1月5日更新の記事を2026年10月12日に確認。製品・規模で変わります)

決まった手順を決まった通りに繰り返す用途では非常に強力です。一方で、棚卸突合の難所である「品番の表記ゆれ」「単位違い」「想定外の行」に当たると止まります。止まった手順を直す作業が毎月発生し、その保守が新たな定型業務になるおそれがあります。データの形が毎回きれいに揃っているなら③、揃わないなら④か⑤が向いています。

④ AIエージェント

AIエージェントは、データの読み取りから判断、次の作業の実行までを一続きでこなす仕組みです。担当者に業務を引き継ぐときと同じように手順とルールを渡しておくと、毎月それを実行します。表記ゆれのある品番を前後の情報から寄せる、単位の違いを入り数マスタから補正する、差異の大きい項目について入出庫履歴から原因の候補を挙げる、といった「ルールを全部書き切れない部分」を扱えるのが③との違いです。

提供の形は、運用まで含めて月額で提供する運用型のサービスと、自社の環境に組み込んで開発する形(⑤)に分かれます。運用型の費用は提供会社と処理量で大きく変わるため、月額の範囲、処理量の上限、業務が変わったときの手直しがどこまで含まれるかを契約前に確かめてください。どちらの形でも、品番の紐付けや差異の原因は「候補」として出し、確定は人が行う設計にします。

⑤ 開発会社に自社専用の突合の仕組みを作ってもらう(受託開発)

基幹システム・倉庫システム・拠点のExcel・ECモールのデータを取り込み、品番の対応表と単位換算をかけて突合し、差異一覧と報告書を出す仕組みを、自社の環境に合わせて作る方法です。今の基幹システムや在庫管理システムに突合の画面や出力を足す「改修」の形もあれば、取り込みから報告までを新しく作る形もあります。表記ゆれの寄せ込みや原因候補の提示に、AIを組み込むこともできます。

費用は会社によって違います。AI革命の場合、既存システムの改修は100万円〜、PoC(試作と検証)は300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別。クラウド・外部APIなどの実費は別)。製品の枠に業務を合わせる②と違い、自社の突合ルールと報告書の体裁に仕組みを合わせられます。そのぶん、作った仕組みの保守を誰が持つかを契約で決めておく必要があります。

5つの比較

手段

初期費用

継続費用

表記ゆれへの強さ

保守の負担

適した状況

Excel・マクロ

0円(自作)〜外注費

ほぼ0

弱い

属人化しやすい

拠点1〜2、品番数百点まで

在庫管理システム連携

0円

月8,980円〜150,000円〜

中

ベンダー側

製品の標準機能で足りる

RPA

10万〜100万円

ライセンス費+保守

弱い

自社に残る

データ形式が毎回揃う

AIエージェント(運用型サービス)

提供会社による

月額(提供会社・処理量による)

強い

委託先が担う(範囲は契約次第)

複数システムをまたぐ・運用も任せたい

受託開発

AI革命の場合 改修100万円〜/PoC300万円〜(税別)

実行の実費+保守(契約で決める)

作り込み次第で強い

契約で分担を決める

自社独自の突合ルール・報告書・既存システムに合わせたい

費用の目安

棚卸突合の自動化手段のひとつであるRPAの代表的製品UiPathのロゴ

出典: UiPath 公式サイト

現物カウント側も含めた全体の相場を一覧にします。特記のないものは税別です。

項目

費用の目安

補足

Excel・マクロ

自作なら0円。外注は依頼先と範囲による

保守は自社に残る

在庫管理システム(連携なし)

月8,980円〜49,800円

現物カウントの効率化まで

在庫管理システム(外部連携あり)

月150,000円〜

突合の自動化にはこのレンジが必要

RPA

10万〜1,000万円

型による幅が大きい

RFID(タグ・リーダー・棚卸パッケージ)

機器と規模で大きく変わる(見積)

現物カウントを速くしたい場合のハード投資

棚卸代行(アウトソース)

在庫点数・人員数で変動(見積)

現物カウントの外注まで

受託開発(AI革命)

既存システムの改修100万円〜/PoC300万円〜/本開発は個別見積

税別。クラウド・外部APIなどの実費は別

(RFID・棚卸代行は本記事では価格を確認していません。機器・規模・在庫点数で変わるため、各社に見積を依頼してください。RPAの出典は前述のとおりです)

棚卸代行については1点補足があります。現物カウントは外注できますが、その後の突合・差異分析・報告は社内に残ります。代行を入れても事務部門の負荷が思ったほど減らないのはこのためです。逆に言えば、現物カウントを外注し、突合以降を自動化すると、社内に残るのは差異の確認と判断が中心になります。

受託開発で作る場合の費用(AI革命)

AI革命の受託開発の価格は、既存システムの改修 100万円〜、PoC(試作と検証)300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別)。クラウドの利用料・外部API・ライセンスなどの実費は別にかかります。PoCの300万円〜は検証の開始価格で、本番で使う仕組みの完成価格ではありません。

棚卸突合でどの形になりそうかの目安は次のとおりです。範囲と金額は、資料を見たうえでの見積で決まります。

状況

依頼の形の候補

今の基幹システム・在庫管理システムに、突合結果の出力や差異一覧の画面を足したい

既存システムの改修(100万円〜)

表記ゆれや例外が多く、自動で寄せられるかを先に確かめたい

PoC(300万円〜)。直近の棚卸データで、人が作った差異一覧と結果が合うかを確かめる

拠点・倉庫・ECモールをまたいで、取り込みから報告までを新しく作る

本開発(個別見積)

自分たちでAIを使って作った突合のExcelやスクリプトを、本番で使える形にしたい

今あるファイルを見たうえで、残す部分・直す部分・任せる範囲を分けて見積

前述の試算のとおり、突合だけのために大きな開発をすると回収に時間がかかります。月次レポート・商品マスタ更新・受発注照合など、同じデータを使う業務も一緒に載せられるか、今あるシステムの改修で済むかを、相談の段階で一緒に確かめます。

開発後の運用まで外部に任せたい場合は、月額で運用まで含める運用型のサービス(④)と比べるのも一案です。突合ルールや報告書の体裁を自社に合わせて作り込み、仕組みを自社で持ちたい場合は、開発で作るほうが合います。

なお、設備投資やシステム導入には中小企業省力化投資補助金などが使える場合がありますが、公募回ごとに日程と要件が変わります。補助金ありきで計画を組まず、最新の公募状況は中小企業庁・中小機構の公式サイトでご確認ください。

初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。今の棚卸の手順と使っているシステムを伺い、依頼範囲の候補と費用の目安を相談メモでお返しします。

今の棚卸データと基幹システムで突合を自動化できるか相談する

当社の公開実績と、棚卸突合の構成例

AI革命が公開している受託開発の実績は次の2件です。どちらも在庫の突合そのものの実績ではありませんが、「複数の出どころのデータを取り込み、集計し、人が確認する」という点で、棚卸突合の仕組みと共通する部分があります。

1件は通信事業の案件で、数万件の請求情報の取り込み・集計と、確認用の画面を作りました(社名は非公開)。もう1件は薬局の案件で、複数店舗・数千人分の記録の管理と、権限・確認の工程を作りました。

棚卸突合の構成例(説明用)

以下は実案件ではなく、拠点3・品番3,000点の会社を想定した説明用の構成例です。

  1. 取り込み: 各拠点が所定のフォルダに棚卸結果を置く(形式は今のまま)。基幹システムの帳簿在庫はCSVで受け取る
  2. 寄せ込み: 品番の対応表と入り数マスタで、表記ゆれと単位の違いを揃える。対応表にない品番は「同一と思われる候補」として担当者に確認を求める
  3. 突合と差異一覧: 差異数量・差異金額・差異率を出し、閾値を超えたものを抜き出す。差異は「数量差」「単価差」などに分ける
  4. 報告: 差異一覧と報告書を、決まった宛先に配信する
  5. 記録: どのデータをいつ取り込み、どの対応表で紐付けたかを残す

この構成で人が持ち続けるのは、新しい品番の紐付けの確認、差異の原因の確定、在庫調整の承認です。現場に新しい入力ルールを課さず、事務側の処理だけを変える設計にすると、拠点の負担が増えにくくなります。

相談から開発までの流れ

受託開発で進める場合の流れです。期間は範囲とデータの状態で変わるため、見積の段階でお伝えします。

ステップ

内容

費用

1. 初回相談(30分・オンライン)

今の棚卸の手順、使っているシステム、時間がかかっている工程を伺い、自社で進める部分と頼む部分を切り分ける

無料

2. 相談メモ

確認した現状と課題、依頼範囲の候補、進め方と費用の目安、次に必要な資料をメールでお送りする

無料

3. 資料の確認と提案・見積

棚卸データや帳簿在庫の出力の形、差異報告書の書式を見て、範囲と金額を示す

無料

4. PoC・開発

合意した範囲で作る。直近の棚卸データで実行し、人が作った差異一覧と突き合わせて結果を確かめる

有償(着手前に範囲と金額を合意)

5. 本番の運用

月次の締めに組み込み、差異が出たときの確認の手順と、品番体系が変わったときの直し方を決める

保守の範囲は契約で決める

初回相談の前にあると早いのは、今の棚卸の流れ、使っているシステム・ツールの名前、時間がかかっている工程、手元にあるもの(拠点のExcel、自分たちで作った突合のファイルやスクリプト、差異報告書の書式)の有無です。初回相談に実際の在庫データや本番システムのログイン情報は要りません。データの形を見る段階でも、まずは品番や数量を架空の値に置き換えたサンプルで足ります。

相談の結果、Excelや在庫管理システムの標準機能で足りると判断した場合は、相談メモにそう書きます。進め方と対応できる範囲は受託開発のサービスページに掲載しています。

よくある質問

Q1. 品番のつけ方が拠点ごとにバラバラなのですが、突合できますか。

できます。むしろ、そこが手作業で最も時間を取られている部分です。初期設定の段階で過去データから対応関係を抽出し、対応表を作ります。その後、新しい表記が出てきた場合は「この品番はこれと同一と思われる」という候補として提示し、人が確認して対応表に追加する運用にします。完全自動で判断させず確認を挟む設計にしているのは、誤った紐付けが在庫金額の誤りに直結するためです。

Q2. 基幹システムに連携機能がなく、CSV出力しかできません。対応可能ですか。

可能です。定期的に決まった場所へCSVを出力していただければ、そこから読み取って処理します。基幹システムに手を入れる必要はありません。手作業でのCSV出力が残る場合、その1工程だけは人に残りますが、出力の手順を決めておけば短時間で済みます。

Q3. 棚卸差異の「原因」まで特定してくれますか。

原因の候補提示までです。差異が出た品番について該当期間の入出庫履歴を遡り、「◯月◯日の入庫伝票と受入実績に食い違いがある」「同一ロケーションの類似品番と数量が入れ替わっている可能性がある」といった候補を並べます。どれが正しいかの確定と、その後の処理判断は人が行います。伝票処理の誤りやタイムラグ、管理ルールの不徹底、仕入先起因の書類不備といった原因は入出庫履歴から候補を挙げやすく、候補提示だけでも調査の手間を減らせます。

Q4. 監査法人や税理士に説明できる証跡は残りますか。

残ります。どのデータをいつ取得し、どのルールで突合し、どの品番をどう紐付けたかの記録を保持する設計にしています。棚卸資産は決算数値に直結するため、この点は要件を決める段階で確認し、証跡を残す仕組みを最初から開発の範囲に入れておくのが前提です。

Q5. 現物カウントにハンディ端末やRFIDは必須ですか。

必須ではありません。この記事で扱っている突合の自動化は、現物カウントの方法とは切り離せます。紙に書いてExcelに手入力している運用のままでも、そのExcelを入力として受け取れば突合以降は自動化できます。RFID等は現物カウント自体を速くしたい場合の選択肢です。タグやリーダーへのハード投資が要り、費用は機器と規模によって大きな幅があります。まず突合側を自動化し、効果を確認してから現物側を検討する順序をおすすめしています。

Q6. 棚卸の頻度を月次から週次に上げると費用は変わりますか。

開発した仕組みの場合、頻度を上げても開発費そのものはほとんど変わりません。増えるのはクラウドや外部APIの実行コスト(実費)で、構成によって差が出るため、見積の段階で月次・週次それぞれの実費の見込みを確かめてください。頻度を上げたほうが1回あたりの差異が小さくなり、原因追跡が容易になるという利点もあります。

Q7. 導入後、自社の担当者が運用を引き継ぐことはできますか。

できます。ソースコード・処理ルール・品番対応表の権利と引き渡しの範囲は、契約の段階で決めます。保守を当社に任せる形のほか、自社の担当者がAIを使いながら直していき、当社と共同で開発を続ける形も選択肢です。内製に移す場合は、品番体系や拠点が変わったときにどこを直せばよいかを、引き継ぎの資料に含めておくことをおすすめします。

Q8. 拠点が1つ、品番も数百点しかありません。それでも依頼できますか。

その規模であれば、まずはExcelのPower QueryやVBAで組むことをおすすめします。本記事の①に当たる方法で、ChatGPTやClaudeに手伝ってもらえば自分で組める範囲です。開発会社に頼んで費用対効果が出やすいのは、複数システムをまたいでいる、拠点や品番が多く表記ゆれが常態化している、周辺の定型業務も合わせて月50時間以上ある、といった条件が揃う場合です。相談の段階で条件に届かないと判断した場合は、相談メモにそう書きます。

まとめ

  • 棚卸で事務部門の時間を奪っているのは現物カウントではなく、データ集約・突合・差異一覧作成・報告の4工程
  • 突合の自動化は可能。ただし紙のみの運用、毎回やり方が変わる棚卸、在庫調整仕訳の決裁まで任せたい場合は対象外
  • 拠点・品番が少なければ、ChatGPTやClaudeを使ったExcel・スクリプトの自作で足りる。残る課題は例外の洗い出し・データの取得・結果の確かめ方・変更時の保守
  • 仮定に基づく試算では月20時間・年72万円相当。突合だけのために開発すると、開発費100万円で約20ヶ月、300万円で約60ヶ月の回収になる
  • 同じデータを使う周辺業務も載せられるか、今あるシステムの改修で済むかで、回収期間は大きく変わる
  • 費用は在庫管理システムの外部連携で月15万円〜(zaicoの場合・税抜)、RPAで10万〜100万円、受託開発はAI革命の場合 既存システムの改修100万円〜/PoC300万円〜(税別・実費別)

自社の棚卸突合を自分で作るか、どこを会社に頼むかは、初回相談(無料・30分・オンライン)で一緒に切り分けます。今の棚卸の手順と使っているシステムを伺い、依頼範囲の候補と費用の目安を相談メモでお返しします。要件が決まっていなくても大丈夫です。

今の棚卸データと基幹システムで突合を自動化できるか相談する

関連記事:受発注の照合を自動化する方法/データ転記の自動化/商品マスタ更新の自動化/月次レポートの自動化/卸売・商社のAI活用事例/薬局のAI活用事例

依頼範囲と費用の目安を30分で整理します

開発について相談する

この記事の著者

AI革命

AI革命

編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

AI・システム開発は、開始価格を公開しています

既存システムの改修 100万円〜・PoC 300万円〜(税別)。相談内容を送っていただくと、2営業日以内に担当者からご返信します