AI活用事例2026年10月更新

コンタクトセンターのAI活用事例|AmiVoice・ボイスボット導入ガイド【2026年版】

公開日: 2026/04/20
更新日: 2026/10/12
コンタクトセンターのAI活用事例|AmiVoice・ボイスボット導入ガイド【2026年版】

この記事のポイント

コンタクトセンターのAI活用は、全通話の文字化と応対支援から始め、定型の問い合わせをボイスボットに任せる二段構えが主流です。一次情報で確認できた国内事例、AmiVoice APIの公開料金と月額試算、今のPBX・CTIを残したままAIを足す方法、施行済みのカスハラ対策義務化への対応までを整理します。

コンタクトセンター(コールセンター)のAI活用は、AmiVoiceのような音声認識で全通話を文字にしてオペレーターを支援し、定型の問い合わせはボイスボットに任せる「二段構え」が2026年時点の主流です。三井住友銀行・みずほ銀行・東京海上日動などが本番運用に入った一方、完全無人化の公表事例はなく、「どこまでAIに任せ、どこから人に戻すか」の線引きが成否を分けています。

コンタクトセンター・コールセンターのAI活用事例

この記事でわかること

  • コンタクトセンターで使われているAIの5系統と、業務ごとの使い分け
  • 一次情報(企業・ベンダーの発表)で確認できた国内の導入事例と、その数字の読み方
  • AmiVoice(音声認識・応対支援)とボイスボット(無人の一次対応)の違い
  • 今あるPBX・CTIを入れ替えずにAIを足す3つの方法
  • 公開されている料金(AmiVoice APIの秒単価)と、月の通話時間からの試算
  • 2026年10月1日に施行されたカスハラ対策義務化のうち、AIで支えられる部分と支えられない部分
  • デジタル化・AI導入補助金の次の締切(2026年10月30日)と、第7次以降の要件変更
  • PoCが止まる条件、撤退の基準、導入をおすすめしない企業

この記事は、コンタクトセンターの運営責任者、BPO事業のマネージャー、稟議資料を作る情報システム部門、そして「AmiVoiceやボイスボットの見積りを取る前に相場をつかみたい」担当者に向けて書いています。生成AIの基本から押さえたい方は生成AIとは?仕組み・種類・活用事例、自律型AIの考え方はAIエージェントとは?仕組み・できることから読むと理解しやすくなります。

2026年のコンタクトセンターAI|導入フェーズの現在地

現時点のコンタクトセンターAIは、大手では「入っていて当たり前の設備」になりつつあり、中小規模ではまだ様子見が多い、という二極の状態です。

矢野経済研究所が2026年5月29日に公表した調査では、一般企業のコールセンター部門で生成AIを使ったサービスを「導入している」のは19.0%、「導入予定あり」が30.0%でした。一方、99席以下のセンターでは半数以上が「導入予定なし」と答えています。コールセンターサービス事業者のAIサービス市場は2024年度に90億円(前年度比150%)で、2029年度には313億円に達すると予測されています(矢野経済研究所 プレスリリース)。

大手の動きで目立つのは金融機関です。

  • 三井住友銀行:2026年2月25日に「SMBC AIオペレーター」の提供を開始。本人確認の要らない一般照会に、土日祝を含む24時間365日対応しています(日本IBM発表)
  • みずほ銀行:2026年1月にAI-IVRを導入し、3月からPKSHA VoiceAgentの「マルチターンヒアリング」を搭載しました(PKSHA Technology発表)。この機能は2026年8月19日に一般提供が始まっています
  • 東京海上日動:2026年3月、応対支援AIの稼働を開始。年間で最大約9万時間の削減を見込んでいます

導入を後押ししているのは、採用難と離職による人手不足です。そこへ2026年10月1日のカスハラ対策義務化の施行が重なり、AI導入は「人手不足対策」と「法対応」の両方から検討されるようになりました。

ただし、公表されている事例を読むと、完全無人化を実現した例は確認できません。SMBC AIオペレーターも対象は本人確認が不要な照会に絞られ、複雑な相談や途中で本人確認が必要になった場合は、コールセンターの営業時間内に有人へ引き継ぐ設計です。

コンタクトセンターで使われるAIの5系統

コンタクトセンターのAIは用途で5系統に分かれ、実務ではこれらを組み合わせて使います。

AIの支援を受けて応対するコンタクトセンターのオペレーター

① 音声認識(ASR/Speech-to-Text)

通話をリアルタイム、または録音後にまとめてテキスト化する基盤技術です。VOC分析、応対品質の評価、後処理(ACW)の短縮は、どれもこの文字化の上に成り立ちます。国内のコンタクトセンター向けではAmiVoice Communication Suite(アドバンスト・メディア)が代表的で、公式LPでは導入実績600社・90,000ライセンス以上と公表されています。

② ボイスボット(AI自動音声応答)

音声認識・対話AI・音声合成を組み合わせ、かかってきた電話にAIが声で一次対応します。用件の聞き取り、聞き返し、SMSでの案内送信、有人への転送までを自動で行い、「1番は〜」とプッシュ操作させる従来型IVRの後継にあたります。PKSHA VoiceAgent、MOBI VOICE、LINE WORKS AiCallなどが該当します。

③ チャットボット(テキスト応対)

Web・LINE・アプリ上での自動応答です。シナリオ型から、社内文書を検索して回答をつくるRAG型、手続きまで進めるAIエージェント型へと移ってきています。2026年9月には、PKSHAの対話AIエージェント機能がNTTドコモのオンライン手続きに提供されました。

④ 生成AIによる応対支援・要約・VOC分析

通話中にオペレーター画面へ回答案を出す、通話後に要約・タグ付け・FAQ案を自動でつくる、感情を解析する、といった使い方です。最終判断を人が持つため誤回答のリスクが小さく、最初の一歩に選ばれやすい領域です。

⑤ AIオペレーター型(音声AIエージェント)

AIが自由な話し言葉で照会に答え、必要に応じてCRMや業務システムの操作まで進める形です。SMBC AIオペレーターやSalesforceのAgentforce Voiceがこれにあたり、2026年の中心テーマになっています。仕組みの一般論はAIエージェントとは?仕組み・できること、海外のカスタマーサポート特化型の例はSierra AIとは?カスタマーAIエージェントの実力で整理しています。

業務別のAI活用一覧

業務カテゴリ

代表的な業務

AIの役割

期待できる効果

主なツール

インバウンドの一次対応

用件の判別、振り分け、FAQ応対

ボイスボットが応対し、必要なときだけ有人へ転送

応答率の向上、放棄呼の削減、時間外の受付

PKSHA VoiceAgent、MOBI VOICE、LINE WORKS AiCall、Agentforce Voice

オペレーターの応対支援

回答案の提示、通話中の要約、手続き案内

生成AIが通話内容に合わせて情報を出す

後処理時間の短縮、応対品質のばらつき縮小、新人の早期戦力化

AmiVoice Communication Suite(生成AI連携)

アウトバウンド

督促、予約リマインド、状況確認

ボイスボットが定型の発信を自動化

架電数の増加、難しい案件への人員集中

各社ボイスボット

品質管理・モニタリング

全通話のモニタリング、応対品質の採点、感情解析

音声認識と感情解析で自動スコアリング

SVの工数削減、トラブルの早期発見

AmiVoice Communication Suite

バックオフィス

応対記録の入力、報告書作成、FAQ整備

生成AIが要約・FAQ案を作成

記録業務とFAQ作成の工数削減

汎用の生成AI+RAG、AmiVoice生成AI連携

VOC分析・CX改善

トピック抽出、解約・クレームの兆候検知

音声・テキストから課題を見える化

商品・サービス改善のサイクル短縮

音声認識+テキストマイニング

外国語の問い合わせまで広げるなら、Gemini 3.5 Live Translateのリアルタイム音声翻訳のような翻訳基盤も候補に入ります。

2026年10月施行のカスハラ対策義務化とAI活用の関係

カスタマーハラスメント対策を所管する厚生労働省のロゴ

出典: 厚生労働省 公式サイト

AIはカスハラ対策の義務を果たすための「道具」であって、ツールを入れただけで義務を満たしたことにはなりません。ただし義務となった措置のいくつかはAIの得意分野と重なるため、稟議では「人手不足対策」と「法対応」の両面から効果を説明できます。

何が義務になったのか

改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日からカスタマーハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置が事業主の義務になりました(厚生労働省リーフレット)。具体的な措置は、2026年2月26日に告示された指針(令和8年厚生労働省告示第51号)で示されています。主な柱は次の5つです。

  1. 方針の明確化と、従業員への周知・啓発
  2. 相談体制の整備(相談窓口の設置と対応の仕組み)
  3. 事案が起きたときの迅速で適切な対応(事実確認、被害者への配慮、再発防止)
  4. 悪質な行為を抑止するための措置
  5. 相談者のプライバシー保護と、相談を理由とした不利益な取扱いの禁止

中小企業向けの猶予はなく、従業員を1人でも雇っていれば対象になります。対象範囲や違反時の扱いの細部は、指針の本文と顧問の社会保険労務士・弁護士に確認してください。

AIが支えられる部分と、支えられない部分

義務となった措置

AIで支援できるか

具体的な使い方

方針の明確化・周知

△(間接的)

AI応対の冒頭アナウンスに方針を入れる程度。方針の文書化と周知は組織の仕事

相談体制の整備

△(間接的)

応対記録を一か所にまとめ、相談対応の基礎資料にする

事案発生時の対応

◎

全通話の文字化で「言った・言わない」をなくす記録になる。該当通話をすぐ検索できる

悪質行為の抑止

○

キーワード検知と感情解析で荒れている通話を見つけ、SVにリアルタイムで通知

従業員が暴言を受ける回数を減らす

◎

ボイスボットが一次受けすることで、オペレーターが直接受ける件数そのものを減らす

再発防止・傾向分析

○

VOC分析でカスハラが起きやすい問い合わせの種類・時間帯・原因を見える化

アドバンスト・メディアは「カスハラ検知&対策パッケージ」の導入実績を500社と公表しています。自治体の例では、茨城県取手市が約3か月の試行を経て、2026年10月1日にAIを使った相談窓口のカスハラ対策システムを正式運用に移しました。窓口の会話をリアルタイムで文字にして室外のPCに表示し、不適切な言葉や感情の高ぶりを検知するとアラートを出す仕組みで、記録はネットワークにつながないスタンドアロン環境で管理していると報じられています(政治山)。自治体の他の活用例は官公庁・自治体のAI活用事例にまとめています。

一方で、方針の策定、相談窓口の設置、周知・啓発、不利益な取扱いの禁止は、AIでは代わりがききません。稟議書では「措置を実際に機能させるための手段」と位置づけるのが正確です。

国内の導入事例|一次情報で確認できたもの

企業・ベンダーの公式発表や、その発表を報じた報道で中身を確認できた事例だけを載せています。数字は各社の公表値で、算定方法や対象範囲は企業ごとに異なります。

ボイスボットによる電話応対の自動化

金融・保険

企業

AIの種類

導入内容と公表されている成果

出典

三井住友銀行

AIオペレーター

2026年2月25日開始。Oliveのサービス内容・年会費・特典・申込手続きの概要など、本人確認が不要な一般照会に24時間365日対応。複雑な質問や本人確認が必要な場合は、かけ直し不要で有人へ転送(コールセンター営業時間内)。通話ログと顧客評価をもとに管理画面から回答を改善

日本IBM

みずほ銀行

AI-IVR・ボイスボット

2026年1月にAI-IVRを導入。3月からPKSHA VoiceAgentのマルチターンヒアリングを搭載し、プッシュ操作なしで話し言葉から専門窓口へ案内

PKSHA Technology

東京海上日動火災保険

応対支援(リアルタイム文字化+回答案の提示)

2026年3月稼働。対象は年間200万件超の入電がある東京海上日動コミュニケーションズ。顧客向けで最大約30%(約5.8万時間)、代理店向けで最大約10%(約3.2万時間)、合計で年約9万時間の削減を見込む

IT Leaders(CTC・PKSHA発表の報道)

SBIいきいき少額短期保険

AIエージェント型ボイスボット(MOBI VOICE)

2025年6月から1か月のPoCで通話完結率70%超、コールバック率を60%超削減。2025年8月28日から自動応答専用のホットラインで利用開始

AIsmiley(モビルス発表の報道)

クレディセゾン

ボイスボット(LINE WORKS AiCall)

オペレーター対応件数が月10万件から7万件へ(30%減)、IVRでの完了率が40%増

LINE WORKS(ベンダー公表)

金融機関のAI活用は与信や不正検知にも広がっています。全体像は銀行・金融機関のAI活用事例、保険分野は保険・損保のAI活用事例で扱っています。

運輸・BPO・公共

企業・団体

AIの種類

導入内容と公表されている成果

出典

ヤマト運輸

ボイスボット(LINE WORKS AiCall)

集荷依頼の電話の約8割をAIで対応

LINE WORKS(ベンダー公表)

JR西日本カスタマーリレーションズ

生成AIによる通話要約

2023年5〜8月の検証で後処理時間を18〜54%削減し、本番運用へ。GPT-3.5とGPT-4を使い分け。2024年12月にはVOC分析も実運用を開始

ITmedia

パーソルビジネスプロセスデザイン

自社開発のAIボイスボット(BPO)

2026年6月、自社開発のAIボイスボットを組み合わせたコンタクトセンターサービスを開始

クラウドWatch

茨城県取手市

窓口音声の文字化+カスハラ検知(AmiVoice)

約3か月の試行を経て2026年10月1日に正式運用。記録はスタンドアロンで管理

DXマガジン

業種を広げた生成AIの事例は生成AIの企業活用事例50選、宿泊業の多言語対応はホテル・宿泊業界のAI活用事例で紹介しています。

事例の数字の読み方:削減率の分母(どの業務を対象にしたか)は企業ごとに違います。JR西日本カスタマーリレーションズの「18〜54%」は後処理時間の話で、通話を含む業務全体が減ったわけではありません。東京海上日動の数字は「最大」「見込み」の試算です。SBIいきいき少短の70%超は1か月のPoCの値で、本格運用後の値は公表されていません。自社の稟議に使うときは、対象業務と期間をそろえて比べてください。

なお、Web上のまとめ記事では横浜銀行「月67時間削減」、佐川急便「再配達依頼の65%」、JAいるま野「38名から4名」といった数字がよく引用されていますが、元になった企業・ベンダーの発表を確認できなかったため、この記事では載せていません。

今あるPBX・CTIを入れ替えずにAIを足せるか

Salesforce Agentforce Voiceの音声設定画面

出典: Salesforce Agentforce Voice 公式サイト

多くの場合、PBX・CTIは入れ替えずにAIを足せます。電話の基盤はそのままにして、その上に音声認識やボイスボットを重ねる構成が一般的です。「従来型のコンタクトセンターをAIでアップグレードしたい」という場合、選べる道は大きく3つあります。

方法

代表例

既存環境との関係

向いているケース

注意点

① 音声認識・応対支援のパッケージを既存PBX/CTIに接続

AmiVoice Communication Suite

公式LPで稼働実績のあるPBX/CTIを公開(Avaya、OKI CTstage、NEC SV/Aspire、Genesys Cloudほか、富士通 CL/LEGEND V、BIZTEL、Amazon Connect、Bright Pattern、@nyplace、CT-e1、Asterisk系)

電話基盤は変えずに、全通話の文字化・応対支援・品質管理を入れたい

価格は個別見積り。自社のPBXの機種・バージョンで動くかは事前確認が必要

② CRMを軸に音声AIエージェントを載せる

Agentforce Voice(Salesforce)

テレフォニーはGenesys、コムデザイン「CT-e1/SaaS」と連携

すでにSalesforceのCRMで顧客情報を管理している

CRMとテレフォニーの組み合わせが前提。料金はプレスリリースに記載なし

③ 音声認識APIを自社システムに組み込む

AmiVoice API、PKSHA Voice AI(2026年8月にAPI提供開始)

既存の業務システムや画面に、文字化・要約の機能だけを足す

独自の業務画面や確認ルールがあり、パッケージの画面では合わない

応対支援や品質管理の画面は自前でつくる必要がある。開発と保守の体制が要る

①がもっとも現実的な始め方です。AmiVoice Communication Suiteの公式LPには、一覧にない機種でも対応実績があると書かれており、少数の席でのPoCや、録音データを使ったトライアルにも対応しています。録音ファイルの文字起こしだけなら「AmiVoice MediaScriber Cloud」が最短5営業日で導入できるとされています。

③は自由度が高い反面、通話品質、遅延、障害時の切り替えまで自社で面倒を見る必要があります。内製で組む場合の音声基盤としては、Gemini 3.5 Transcribe(音声認識)、GPT-Realtime-2(OpenAIの音声API)、NVIDIA Nemotron VoiceChatのような選択肢もあります。

応対記録の項目チェックや契約条件の確認など、自社独自の確認ルールがある業務を、今のPBXや基幹システムを残したままシステム化したい場合の進め方は、既存システムにAIを組み込む方法で整理しています。

主要ツール比較|AmiVoice・PKSHA・Agentforce Voice

PKSHA Technology公式ロゴ(PKSHA VoiceAgent提供元)

出典: 株式会社PKSHA Technology 公式サイト

コンタクトセンター向けAIは、「音声認識・応対支援」「ボイスボット」「音声AIエージェント」「API」で製品の種類が分かれます。1社ですべてそろえる必要はなく、組み合わせて使うのが一般的です。

AmiVoiceとボイスボットの違い

区分

代表製品

誰の仕事を助けるか

電話に出るのは

料金の公開

音声認識・応対支援

AmiVoice Communication Suite

オペレーターとSV

人

非公開(個別見積り)

ボイスボット・AI-IVR

PKSHA VoiceAgent、MOBI VOICE、LINE WORKS AiCall

一次受けを肩代わり

AI(必要に応じて人へ転送)

非公開(個別見積り)

音声AIエージェント

Agentforce Voice、SMBC AIオペレーター型

照会対応から手続き・CRM更新まで

AI(必要に応じて人へ転送)

非公開

音声認識API

AmiVoice API、PKSHA Voice AI

自社システムの開発者

使い方しだい

AmiVoice APIは公開

AmiVoice Communication Suiteは「人が電話に出ることを前提に、その仕事を軽くする」製品で、ボイスボットは「そもそも人が出る件数を減らす」製品です。よくある構成は、ボイスボットで定型の用件を受け、有人に回った通話をAmiVoiceで文字化して生成AIが支援する、という組み合わせです。

製品ごとの比較

製品

提供元

主な役割

強み

注意点・向かないケース

料金

AmiVoice Communication Suite

アドバンスト・メディア

音声認識・応対支援・品質管理

導入600社・90,000ライセンス以上。クラウド/オンプレミス両対応。生成AIはローカルLLMとクラウドLLM(Azure OpenAI、Claude、Geminiなど)から選べる

無人応対には別製品との組み合わせが必要。価格非公開で相見積りしにくい

非公開(個別見積り)

PKSHA VoiceAgent

PKSHA Technology

ボイスボット・AI-IVR

ノーコードで対話フローを作成。毎月30万件超の入電に自動音声で対応(公式)。2026年8月19日にマルチターンヒアリングを一般提供

完結率を上げるにはチューニング期間が必要。応対支援は別製品

非公開(個別見積り)

MOBI VOICE

モビルス

ボイスボット

AIエージェント型の応答。SBIいきいき少短のPoCで完結率70%超

基幹システムとの複雑な連携は要件確認が必須

非公開

LINE WORKS AiCall

ワークスモバイルジャパン

ボイスボット

予約・受付・集荷依頼など定型業務との相性がよい

大規模センターの全呼種対応より、特定業務の切り出しに向く

非公開(個別見積り)

Agentforce Voice(日本語版)

セールスフォース・ジャパン

音声AIエージェント

2026年8月7日に日本語版を一般提供。CRM更新・ケース作成・ワークフロー実行まで音声で完結

Salesforceを使っていない企業には大がかり。テレフォニー連携先の確認が必要

プレスリリースに記載なし

AmiVoice API

アドバンスト・メディア

音声認識API(従量課金)

秒単価を公式に公開。毎月60分の無料枠

応対支援や品質管理の画面は自前でつくる

公開(1秒単位の従量課金)

PKSHA VoiceAgentのマルチターンヒアリング

2026年8月19日に一般提供が始まった機能で、1回の発話で用件が決まらないとき、AIが質問を重ねて絞り込みます(PKSHA AI SaaS公式)。確度が高ければ短い確認で済ませ、低ければ選択肢を一つずつ示す質問に切り替えます。用件が決まった後は、窓口案内、Web・SMSでの自己解決の案内、オペレーターへの引き継ぎまでを自動で行います。大手金融機関のコンタクトセンターでの実装をもとにした技術で、PKSHAは特許出願中としています。

PKSHAは2026年9月に、低コストのオンプレミスサーバーで動き機密情報を外に出さない「PKSHA Private AI Agents」も発表しています。コンタクトセンター専用の製品ではありませんが、データを社外に出せない組織にとっては選択肢の一つです。

Agentforce Voice日本語版の特徴

2026年8月7日、セールスフォース・ジャパンはAgentforce Voiceの日本語版を一般提供しました(公式プレスリリース)。既存のIVRを置き換える音声レイヤーという位置づけで、Data 360とCRMの情報をリアルタイムに使い、CRMの更新、ケース作成、ワークフローの実行、API連携まで音声チャネルの中で行えます。

テレフォニーはGenesysに加えてコムデザインの「CT-e1/SaaS」が新たに対応し、音声基盤にはKotoba Technologiesの「Koto」(日本語・韓国語・中国語に特化した低遅延の音声認識・音声合成)が使われています。初期の導入パートナーはアグレックス、ギブリー、グローバルウェイ、テラスカイ、フレクトの5社です。すでにSalesforceで顧客対応を管理している企業なら、CRMを軸に電話チャネルをまとめる有力な選択肢になります。

導入コストの実像|公開されている料金はどこにあるか

AmiVoice Cloud Platform(AmiVoice API)のロゴ

出典: AmiVoice Cloud Platform 公式サイト

コンタクトセンター向けのパッケージ製品は、主要なものがほぼすべて「個別見積り」です。 席数、通話時間、問い合わせの種類の数、連携範囲で金額が大きく変わるためです。公開価格で相場をつかめるのは、従量課金のAPIに限られます。

公開されている料金:AmiVoice API

出典:AmiVoice API 料金(公式)(2026年10月13日確認)。1秒単位の課金で、無音の区間は課金されません。公式の料金表は税込表記です。

カテゴリー

インターフェース

ログ保存なし

ログ保存あり

汎用

WebSocket・同期HTTP

0.04125円/秒(148.5円/時間)

0.0275円/秒(99円/時間)

汎用

非同期HTTP

0.0275円/秒(99円/時間)

0.022円/秒(79.2円/時間)

医療

WebSocket・同期HTTP・非同期HTTP

0.061875円/秒(222.75円/時間)

0.04125円/秒(148.5円/時間)

金融

WebSocket・同期HTTP・非同期HTTP

0.04125円/秒(148.5円/時間)

0.033円/秒(118.8円/時間)

保険

WebSocket・同期HTTP・非同期HTTP

0.04125円/秒(148.5円/時間)

0.033円/秒(118.8円/時間)

多言語

WebSocket・同期HTTP・非同期HTTP

0.04125円/秒(148.5円/時間)

0.033円/秒(118.8円/時間)

※時間あたりの金額は秒単価に3,600を掛けた計算値です。

  • 無料枠:全エンジンで毎月60分
  • 感情分析(非同期HTTPのみ):0.0440円/秒(158.4円/時間)、毎月60分無料
  • プライベート接続(AWS PrivateLink):初期132,000円、月額基本料55,000円、音声認識の利用料の5%。同期APIと非同期APIは別々に費用がかかるため、両方を使うとそれぞれに初期費用と月額がかかります
  • BGMやテレビの音は発話として検出されることがあります

月の通話時間から試算する

秒単価のままでは規模がつかみにくいので、席数から月の通話時間を出して当てはめます。例として、20席 × 1席あたり1日5時間の通話 × 月20日=月2,000時間とすると次のようになります。

条件

1時間あたり

月2,000時間の場合

汎用・WebSocket・ログあり

99円

約19.8万円

汎用・WebSocket・ログなし

148.5円

約29.7万円

汎用・非同期HTTP(録音後にまとめて処理)・ログあり

79.2円

約15.8万円

金融または保険・ログあり

118.8円

約23.8万円

金融または保険・ログなし

148.5円

約29.7万円

感情分析を追加(非同期のみ)

+158.4円

+約31.7万円

これはAPIの利用料だけで、応対支援の画面、CRM連携、運用の人件費は含みません。

実務で影響が大きいのは、ログを残さない設定のほうが単価が高い点です。ログを残す場合はベンダー側の精度向上に使われる前提のため安くなっており、セキュリティの要件とコストが正面から対立します。汎用エンジンのリアルタイム処理では、ログなしにすると単価が1.5倍になります。データの扱いを決めないまま見積りを取ると、この一点で総額が大きく変わります。

AmiVoice Communication Suiteの価格

コンタクトセンター向けの本体であるAmiVoice Communication Suiteは、公式サイトに価格の記載がなく「予算や規模に応じて提案」とされています。比較サイトには「初期費用50万円〜」「0.06円/秒」などの数字が載っていますが、公式では確認できません。稟議の根拠には使わず、見積りで確かめてください。秒単価が公開されているAmiVoice APIは別の製品なので、混同しないよう注意が必要です。

見積りで必ず確認する7項目

主要製品の価格が非公開である以上、比較の質は「何を聞くか」で決まります。少なくとも次の7点は、各社に同じ条件で質問してください。

  1. 課金の単位:席数課金か、通話時間の従量課金か、その併用か
  2. 初期費用の内訳:構築費、シナリオ作成費、辞書チューニング費が含まれるか
  3. 最低契約期間と中途解約の条件:PoCの後にやめられるか
  4. バージョンアップの費用:大きな更新のときに追加費用がかかるか
  5. セキュリティ構成の追加費用:閉域接続、オンプレミス構成、ログを残さない設定の差額
  6. チューニングと運用支援の費用:初期だけか、月額に含まれるか、都度払いか
  7. 連携の費用:PBX・CTI、CRM、SMS送信との接続開発を誰が負担するか

バージョンアップの費用とチューニング・運用支援の費用は、2年目以降のコストを左右します。初年度の見積りだけで比べると判断を誤ります。

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補助金は使えるか|デジタル化・AI導入補助金2026

中小規模のセンターでは、補助金を使えるかどうかが導入の判断を左右します。旧IT導入補助金は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)に名前が変わりました(公式ポータル)。

公式ポータルに載っている申請枠は次のとおりです。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数者連携デジタル化・AI導入枠

直近の締切:通常枠・セキュリティ対策推進枠の6次締切と、複数者連携枠の3次締切は2026年10月30日(金)17:00で、交付決定は12月10日の予定です(公式スケジュール)。7次以降の締切は、決まった回から順に公表されます。

第7次以降は要件が変わります。2026年10月9日の公式のお知らせでは、通常枠で地域別最低賃金の改定に合わせた補助率引き上げ要件の変更、通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠で1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の向上にかかる申請要件の追加、加点項目の変更が告知されています(公式のお知らせ)。

通常枠の補助率は原則1/2以内、補助額は5万〜450万円と解説されることが多いものの、数字は公募回ごとに変わることがあるため公募要領の原文で確認してください。補助の対象は登録されたIT導入支援事業者を通じて導入するツールに限られます。製品を決める前に「そのツールが登録されているか」を確かめるのが実務上の順番です。

AmiVoice Communication Suiteの現行仕様

AmiVoice提供元 株式会社アドバンスト・メディア公式ロゴ

出典: 株式会社アドバンスト・メディア 公式サイト

音声認識・応対支援の検討でもっとも名前が挙がる製品で、2026年に入って機能が大きく変わりました。公式LPと2026年のリリースから、現行の仕様をまとめます。なお「国内シェアNo.1」という表記の出典は、ITR「ITR Market View:画像・音声認識市場2024」(2024年度予測)です。

コンタクトセンターの応対状況を分析するダッシュボード

基本機能

  • 通話のリアルタイム文字表示と、座席表での複数通話の見える化
  • 全通話の応対品質の自動採点
  • キーワード検知による資料の自動表示、感情解析の一覧表示、SVへのヘルプ通知
  • 条件を指定した通話検索、単語登録
  • CTI連携で、同じコールIDに顧客情報と通話をひもづけてCRM画面に表示
  • 提供形態はクラウド型・オンプレミス型。リアルタイム処理とバッチ処理の両方に対応

生成AI連携とLLMの選び方

要約、FAQ作成、コンプライアンスチェック、カスハラ検知に生成AIを使えます。使う言語モデルは次の3通りから選べます(公式LP)。

  • ローカルLLM:社内環境で処理し、通話データを外部に送らない
  • クラウドLLM:Azure OpenAI、Claude、Geminiなどと連携
  • 併用:「要約」「FAQ作成」「住所」「電話番号」など、項目ごとに使うモデルを分けられる

たとえば住所や電話番号の抽出は社内のローカルLLMで処理し、個人情報を含まない要約だけをクラウドLLMに回す、といった設計ができます。

4.6の「AIアシスタント機能」(2026年5月27日発表)

アドバンスト・メディアの発表によると、4.6では複数のAIエージェントが通話内容に合わせて推論し、要約・FAQ検索・情報抽出などを提案・実行する機能が加わりました。同社はこれを「コンタクトセンター業界初」と説明しています。

  • 必要に応じてアプリケーションの起動などの操作まで実行する
  • 支援のきっかけは「通話開始」「通話終了」「通話相手終了」「保留開始」「キーワード」の5つから設定できる
  • 2025年11月に提供した「AI多段階推論機能」と組み合わせられる
  • 通話中に取り出した情報をCRMなどの外部システムへ連携する

「オペレーターに情報を出す」段階から、「オペレーターに代わって操作する」段階へ進んだ点が、従来の応対支援との違いです。

End-to-End型エンジンの追加(2026年6月30日発表)

コンタクトセンターの音声認識には、オペレーター側はヘッドセットでクリアに録れる一方、顧客側は電話回線の帯域、周囲の雑音、方言、高齢者の話し方などで精度が落ちやすいという弱点があります。

2026年6月30日の発表で、顧客側の音声認識エンジンにEnd-to-End型を選べるようになりました。従来のハイブリッド型と比べて認識エラー率が平均30.4%、最大37.8%改善したとしています。ただしこれは12種類のコンタクトセンター向け評価データを使った同社の社内評価で、条件によって結果は変わると注記されています。顧客側にEnd-to-End型、オペレーター側にハイブリッド型を使うといった組み合わせも可能で、単語登録にも対応しています。

VOC分析や品質評価の精度は、「顧客が何を言ったか」を正しく取れるかで決まります。自社の通話でどこまで改善するかは、録音データを使ったPoCで確かめるのが確実です。

導入課題と、失敗しやすい条件

成功事例だけでは判断材料になりません。解決していない課題を先に知っておくほうが、PoCを正しく設計できます。

コンタクトセンターのAI導入プロジェクトの打ち合わせ

技術面の壁

  • 完全無人化は現実的ではない:公表事例はどれも「定型の一次受けはAI、複雑な案件や例外は人」という組み合わせです。SMBC AIオペレーターでも有人への転送は営業時間内に限られ、24時間AIが応答することと、24時間すべて解決できることは別の話です。
  • 完結率は一気には上がらない:公表されている完結率は、PoCや特定のホットラインに絞った値が中心です。導入直後から高い完結率が出る前提で投資回収を組むと計画が崩れます。
  • 顧客側音声の認識精度がボトルネックになる:方言や雑音の多い問い合わせでは、期待値を下げて設計します。
  • ナレッジが整っていないとRAGは機能しない:FAQやマニュアルが古い、あちこちに散らばっている状態で生成AIを載せても、誤回答が増えるだけです。業務の整理とナレッジの棚卸しを先に行います。
  • 誤回答のリスク管理:矢野経済研究所も、生成AIの普及の条件として「ハルシネーションのリスクを管理する手法の確立」を挙げています。海外では、AIチャットボットの誤案内について航空会社の責任が認められた例(エア・カナダの件)が知られており、「AIが答えたから免責」とはならない前提で設計すべきです。

組織面の壁

  • KPIを決めずに始めると止まる:完結率、応答率、後処理時間、顧客満足度など、測る指標をPoCの前に決めます。
  • 現場の合意がない:オペレーターやSVが「仕事を奪われる」と受け取ると、チューニングに欠かせない現場のフィードバックが集まりません。
  • 見積りの比較に時間がかかる:主要製品の価格が非公開なため、稟議までに2〜3か月はかかると見ておきます。

撤退・見直しの判断基準

PoCを「なんとなく延長する」のが最も損の大きいパターンです。始める時点で撤退ラインを決めておくと判断が早くなります。

指標

見直しを考える水準

考え方

対象の問い合わせの完結率

3か月チューニングしても20%未満

対象に選んだ問い合わせの種類が合っていない可能性が高い

誤応対による二次入電

自動化で減った件数を上回る

全体の工数が増えている=逆効果

ナレッジ更新の担当者

専任・兼任とも決まっていない

運用が回らず、精度が落ちていく

SVの工数

監視や修正でPoC前より増えた

支援ではなく負担になっている

投資回収期間

3年を超える試算にしかならない

呼量が足りていない

セキュリティ・法規制上の注意点

コンタクトセンターには氏名、住所、カード情報、契約内容、健康状態まで集まります。AIを入れられるかどうかは、機能よりも「データがどこを流れるか」で決まることが少なくありません。

通話録音と利用目的

通話録音とその利用目的は、冒頭のアナウンスで知らせるのが一般的です。AIによる要約・分析・学習にまで使う場合は、その範囲が告知や公表している利用目的に含まれているかを法務と確認してください。

生成AIに何を渡さないか

多くのベンダーが共通して示しているのは、個人情報や機密情報をそのままプロンプトに入れないという原則です。実装の選択肢は次のとおりです。

  1. オンプレミス構成やローカルLLMで、音声もテキストも外に出さない(AmiVoice Communication Suiteはオンプレミス版とローカルLLMに対応)
  2. 項目ごとにモデルを分ける:個人情報を含む項目は社内のモデル、含まない項目はクラウドのモデルで処理する
  3. プライベート接続を使う(AmiVoice APIのAWS PrivateLink。同期と非同期は別料金)
  4. 外部に送る前に社内でマスキングし、学習に使わないことを契約で明記する

取手市のように、記録をネットワークから切り離したスタンドアロン環境で管理する方法もあります。セキュリティ設計の一般論はサイバーセキュリティ領域のAI活用事例も参考になります。

改正個人情報保護法の施行時期

改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)は2026年7月10日に成立、7月17日に公布されました。原則として公布から2年以内に政令で定める日に施行され、一部は公布から6か月後の2027年1月17日に先に施行されると解説されています。どの条文が先に施行されるかは、個人情報保護委員会の発表で確認してください。

コンタクトセンターに関係が深いのは、声紋を含む「特定生体個人情報」の規律が新しく設けられた点です。ほかにも課徴金制度の新設、16歳未満の個人情報の規律、AI開発・統計作成目的での同意不要の特例などが含まれます。声紋認証の導入や、音声データをAIの学習に使うことを考えているなら、施行を待たずに設計を見直しておく価値があります。合成音声を使うボイスボットでは、法務省の「声の権利」指針も確認しておくと安心です。

業種別の追加要件

  • 金融・保険:FISC安全対策基準への準拠。本人確認が必要な取引はAIだけで完結させない設計が基本です(SMBC AIオペレーターもこの設計)
  • 医療:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(3省2ガイドライン)
  • 自治体・公共:各団体の情報セキュリティポリシー、ガバメントクラウドの要件

導入ステップ|業務棚卸しから本番運用まで

  1. 問い合わせの棚卸し:通話ログを種類ごとに分け、件数×平均処理時間で工数の大きい順に並べる
  2. 自動化する対象を選ぶ:定型で、本人確認が要らず、件数の多い問い合わせから2〜3種類に絞る
  3. KPIと撤退基準を決める:完結率、応答率、後処理時間、二次入電率と、判断する期限を先に決める
  4. データの扱いを決める:ログ保存の可否、外部送信の可否、マスキングの範囲を法務と合意する(見積りの前に必須)
  5. 見積りを取る:確認項目をそろえて複数社に依頼し、補助金の対象ツールかどうかも同時に確認する
  6. PoC(2〜3か月):1種類の問い合わせ・1チャネルに絞り、誤応対率とSVの追加工数まで測る。録音データでのトライアルから始める方法もある
  7. 周辺システムとつなぐ:PBX・CTI、CRM、SMS送信、ナレッジベースとの接続を設計・実装する
  8. 段階的に広げ、チューニングを続ける:対象を広げながら、ナレッジ更新の担当者を固定して精度を保つ

データの扱いを見積りより先に決めるのが肝心です。セキュリティ要件が決まらないまま見積りを取ると、あとで構成が変わって金額が跳ね上がり、稟議をやり直すことになります。

こんな企業におすすめ/おすすめしない企業

導入効果が出やすい企業

  • 月の入電が1万件以上あり、その3割以上が定型の問い合わせのBtoC事業者
  • 採用難、離職、応対品質のばらつきが同時に課題になっている自社運営のセンター
  • 施行されたカスハラ対策義務化に合わせて、記録と検知の仕組みを整えたい企業
  • 金融・保険・医療など、業種別の音声認識エンジンが用意されている業種
  • PBX・CTIやCRMが整っていて、APIで外部とつなげる環境がある企業
  • Salesforceで顧客対応を管理していて、CRMを軸に電話チャネルをまとめたい企業

現時点では見送りを検討したほうがよい企業

  • 月の入電が少なく、初期費用と月額を回収できる量に届かない事業者(まずはAPIの従量課金や録音データでのトライアルで小さく試す)
  • FAQ・マニュアル・応対履歴が整っておらず、ナレッジの棚卸しから始める必要がある組織
  • 問い合わせの大半がクレーム、相談、事故受付など定型化できない案件の現場
  • 個人情報を一切外に出せない環境で、オンプレミスや閉域接続の予算も確保できないケース
  • 基幹システムにAPIがなく、連携のための改修が現実的でないケース
  • 少人数の運営で、AIより先に業務の標準化やシフトの見直しで改善できる余地が大きい組織

よくある質問

Q. AIを導入すれば、カスハラ対策の義務を果たしたことになりますか

なりません。2026年10月1日に施行された義務は、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事案発生時の対応、抑止の措置、プライバシー保護などの雇用管理上の措置です。AIが直接支えられるのは主に記録(全通話の文字化)、検知(感情解析・キーワード検知)、一次受け(ボイスボット)の部分で、方針の策定や相談窓口の設置は組織として行う必要があります。

Q. AmiVoiceの料金はいくらですか

コンタクトセンター向けのAmiVoice Communication Suiteは価格非公開で、個別見積りです。AmiVoice APIは秒単価が公開されていて、汎用エンジン・WebSocket・ログありで0.0275円/秒(1時間99円)、毎月60分の無料枠があります。両者は別の製品です。

Q. ボイスボットで何割くらいの電話を自動で終えられますか

問い合わせの種類とチューニングの程度で大きく変わります。公表値の例では、SBIいきいき少短の1か月のPoCで通話完結率70%超、ヤマト運輸で集荷依頼の約8割をAIで対応、といった数字があります。いずれも対象を絞った値なので、導入直後は低めの完結率を前提に、有人への転送を組み込んで設計するのが現実的です。

Q. 応対支援型とAIオペレーター型、どちらから始めるべきですか

多くの企業は応対支援型(回答案の提示や要約)から始めています。人が最終判断をするので誤応対のリスクが低く、後処理時間という測りやすい指標で効果を確かめられるためです。運用と効果測定のやり方が固まってから、ボイスボットやAIオペレーター型に広げるのが標準的な進め方です。

Q. AmiVoiceの生成AI機能では、ClaudeやGeminiを使えますか

公式LPでは、クラウドLLMとしてAzure OpenAI、Claude、Geminiなどと連携できると案内されています。社内環境で動くローカルLLMも選べ、項目ごとに使うモデルを分けることもできます。どのモデルが使えるかは契約形態や版によって変わる可能性があるため、見積りの際に確認してください。

Q. 小規模なセンターでも導入する意味はありますか

矢野経済研究所の調査では、99席以下のセンターの半数以上が生成AIサービスを「導入予定なし」と答えており、無理に急ぐ必要はありません。ただ、録音データの文字起こしや要約から小さく試すなら費用は抑えられます。録音ファイルを使った要約の試し方はChatGPTで音声ファイルを文字起こし・要約する方法も参考になります。社外のサービスに通話データを送る前に、社内のルールを確認してください。

Q. 導入までどのくらいかかりますか

公式に決まった期間はなく、規模と連携範囲で大きく変わります。一般的な目安としては、ボイスボットを特定の問い合わせに絞って入れる場合で要件定義からPoC開始まで1〜2か月、音声認識を全席に広げて生成AIやCRMとの連携まで含める場合は、見積りとセキュリティ審査を合わせて3〜6か月程度を見込んでおくと計画が立てやすくなります。正確な期間は、見積りの際に各社のスケジュール例で確認してください。

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まとめ

コンタクトセンターのAI活用は、2026年に大手では本番運用の段階に入りました。三井住友銀行のSMBC AIオペレーター、みずほ銀行のAI-IVR、東京海上日動の応対支援AIが稼働し、製品側でもAmiVoice Communication Suite 4.6のAIアシスタント機能、PKSHA VoiceAgentのマルチターンヒアリング、Agentforce Voice日本語版と、新しい機能が相次いでいます。

導入を判断するときは、次の点を押さえておくと迷いにくくなります。

  • 今のPBX・CTIは入れ替えずにAIを足せることが多い:音声認識パッケージを接続する、CRMを軸に載せる、APIで組み込む、の3つから選べます
  • 公開価格があるのはAmiVoice APIのような従量課金だけ:パッケージ製品は見積りで、課金単位・最低契約期間・バージョンアップ費用・セキュリティ構成をそろえて比べます
  • カスハラ対策義務化は2026年10月1日に施行済み:記録・検知・一次受けはAIで支えられますが、方針の策定や相談窓口は組織の仕事です
  • 完全無人化を前提にしない:公表されている完結率は対象を絞った値です。撤退基準を先に決めておくとPoCが空回りしません

自社の呼量、問い合わせの種類、データの扱い方を先に決め、定型の問い合わせから小さく始めることが、2026年時点では最も再現性の高い進め方です。補助金を使う場合は、10月30日の締切と第7次以降の要件変更もあわせて確認してください。

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