Zapier・Makeの限界はどこか|止まった業務を自動化し直す判断基準と開発費用

この記事のポイント
Zapier・Makeの限界は「判断が要る」「形の揃わないデータ」「件数で課金が跳ねる」「属人化」の4つ。公式仕様の上限値、設定を直して残す・別の方法で作り直す・読んで決める部分を開発する3択の費用、仮定に基づく回収期間の試算を示します。
Zapier・Makeで今きちんと回っている業務は、そのまま残すのが最も安上がりです。限界が来るのは「入力ごとに判断が要る」「PDFやメール本文など形の揃わないデータを扱う」「件数が増えて課金が跳ねる」「作った人しか触れない」の4つのどれかに当てはまる業務です。こうした業務は、Zapier・Makeの受け渡しを残したまま、「読んで決める」部分だけを自社用の仕組みとして開発すると自動化し直せます。開発会社に頼む場合の費用は、当社なら既存システムの改修で100万円〜、AIの読み取り精度を先に確かめるPoCで300万円〜(いずれも税別)です。
この記事では、Zapier・Makeの公式仕様から「どこで限界が来るか」を数字で示し、限界を迎えた業務を「残す・作り直す・読んで決める部分を開発する」のどれにするかを、費用と回収期間つきで整理します。Zapier・Makeを全部やめるべきだという話ではありません。月3,000円前後で回っている業務に100万円以上の開発費をかけるのは損だ、ということも正直に書きます。
Zapier・Makeで「限界」が来る業務の共通点

出典: Zapier 公式サイト
Zapier・Makeは、「フォームに回答が入ったらスプレッドシートに書き、チャットに通知する」のように、起きたことをそのまま次のシステムへ渡す業務には極めて強い道具です。月数千円で、エンジニアがいなくても組めます。
限界を感じ始めるのは、自動化の対象が「渡す」から「読んで決める」に広がったときです。現場で起きていることを、止まり方の順に並べます。
止まり方 | 現場で起きていること | 原因の種類 |
|---|---|---|
ある日突然、全部止まった | 月の途中でタスク(Zapier)やクレジット(Make)の上限に達し、月末まで全フローが動かなくなった。担当者の退職やパスワード変更でGoogleなどの接続認証が切れ、誰も気づかないまま数日分の処理が抜けた | 仕組み上の上限・認証 |
1件の例外で止まる | 取引先が送ってきた注文書の書式が少し違っただけで、エラーになり後続がすべて止まる。エラー処理を組んでいないので、直せる人が出社するまで復旧しない | 例外処理の不在 |
組めない業務が残った | 「この請求書はどの案件のものか」「この問い合わせは返金対象か」のように、内容を読んで判断する部分は自動化できず、結局人が全件確認している | 判断が要る |
月額が跳ねた | 件数が増えると、Zapierはタスク数、Makeはデータ件数×モジュール数で消費が乗算され、上位プランに上げ続けることになった | 件数に比例する課金 |
触れる人がいない | 管理画面が英語で、作った担当者以外は中身を読めない。担当者が異動したあと、動いているZapが何をしているのか誰も説明できない | 属人化 |
この「結局人が確認している」という状態は、日本の一次調査でも数字に出ています。弥生株式会社が2026年3月30日に公表した調査(2026年3月13〜14日実施、従業員100名未満の中小企業の経理担当者515名)では、AIツールを導入した企業の課題として「最終確認は人が必要で信用しきれない」が33.4%、「結局、人が全件チェックしており手間が減らない」が25.4%でした(出典: 弥生 プレスリリース)。株式会社TOKIUMが2026年5月21日に公表した調査(2026年4月17〜24日実施、経理・財務担当946名)では、仕訳入力に月平均20.1時間かかり、66.1%が「特定の担当者の経験や記憶に依存した判断基準やルールがある」と答えています(出典: TOKIUM プレスリリース)。株式会社アイルが2026年8月に公表した調査(2026年6月実施、売上・在庫・受発注などのバックオフィス業務の担当587名)では、87.2%が「特定の担当者しか分からない業務がある」と答え、75.0%が「バックオフィス業務が停止すると企業活動に影響がある」と回答しています(出典: アイル 調査レポート)。
Zapier・Makeで「渡す」部分を自動化しても、「読んで決める」部分と「止まったら直す」部分は人に残ります。ここが限界の正体です。
限界のサイン|1つでも当てはまれば読み進めてください
- タスクやクレジットの上限に達して、月末まで止まったことがある
- エラー率が高くなり、Zapが自動でオフにされた通知メールを受け取ったことがある
- Zapierの分岐(Paths)が10分岐・3段で足りず、Zapを分割して管理している
- PDF・メール本文・添付Excelを人が読んで、内容を転記している
- 担当者が退職・異動したときに、接続認証が切れて止まった
- 英語の管理画面を触れるのが社内に1人しかいない
- 個人情報を含むデータが、海外のサーバーを経由していることを社内で確認していない
公式仕様で見るZapier・Makeの制限一覧(2026年9月時点)

出典: Make 公式サイト
「限界」の多くは、公式ヘルプに数字で書かれています。営業トークではなく、仕組みとして決まっている上限です。料金は米ドル建てのため、円換算は1ドル≒157円(2026年9月3日時点の参考レート)で計算しています。為替で変動します。
Zapierの制限(公式ヘルプ・料金ページより)
項目 | 制限値 | 業務への影響 |
|---|---|---|
1つのZapのステップ数 | 最大100ステップ(分岐内を含む) | 大きな業務フローは1本に収まらず、Zapを分割して管理することになる |
分岐(Paths) | 1つのPathsに最大10分岐、入れ子は3段まで。PathsはZapの最後のステップにしか置けない。無料プランでは使えない | 「取引先ごとに処理を変える」が10社を超えると組めない |
実行の遅延(ポーリング間隔=新着データを確認しに行く間隔) | 無料15分/Professional 2分/Team・Enterprise 1分 | 即時反応に対応していないアプリでは、必ずこの遅延が乗る |
大量データの保護(Flood protection) | 一度に100件以上発生すると保留。再実行は1秒1件 | 月初の一括データ、キャンペーン時の申込集中で止まる |
エラーによる自動停止 | 直近7日で20回超実行し、95%以上がエラーだとZapが自動オフ。猶予はTeam 24時間/Enterprise 72時間。無料・Professionalは猶予なし | 接続先の仕様変更で連続エラーになると、気づかないうちに止まる |
タスク上限到達 | 上限に達すると全Zapの処理が保留(次の請求サイクルまで動かない)。超過課金をオンにしても上限はプラン上限の3倍まで(例:750タスクのプランなら最大2,250)で、そこで停止 | 月の途中で全業務が止まる |
AI機能の消費(2026年6月15日〜) | AIステップはモデル階層で消費倍率が変わる。Standard 1倍/Advanced 3倍(既存ステップの移行先)/Premium 5倍(有料プランで新規作成時の既定)。1ステップが1回の実行で75タスクに達すると一時停止し、承認を求められる | AIで判断を組み込むほど、タスク消費が最大5倍に増える |
実行履歴の保持 | 29〜69日(プランによる) | 監査や「いつから間違っていたか」の遡り調査に使えない |
データの保管場所 | 米国(AWSの米国東部データセンター、US-East-1)。別段の合意がない限り保管地域は選べない | 個人情報を国外で処理する扱いになる |
料金は、無料プラン(月100タスク・2ステップのみ)、Professional(年払いで月19.99ドル≒約3,100円・750タスクから)、Team(年払いで月69ドル≒約10,800円・2,000タスクから)です。月払いはそれぞれ29.99ドル・103.50ドルと割高になります。
Makeの制限(公式ヘルプ・料金ページより)
項目 | 制限値 | 業務への影響 |
|---|---|---|
1回の実行時間 | 無料5分/有料プラン40分(+猶予5分)。超えると強制中断 | 大量データの照合や重い処理は途中で切れる |
実行間隔 | 無料15分/有料1分 | 即時性が必要な業務には向かない |
同時に動かせるシナリオ | 無料は2本まで | 無料での本格運用はできない |
クレジット消費の乗算 | モジュール1実行=1クレジット。データが10件返ると、後続モジュールはそれぞれ10回実行される(公式の例:10件で合計31クレジット) | 件数が増えるほど消費が急に増え、月の途中で上限に達する |
データ転送量 | 無料512MB/有料は10,000クレジットあたり5GB | ファイルを多く扱う業務は転送量で先に上限に当たる |
ファイルサイズ | 5MB/100MB/250MB/500MB/1,000MB(プラン順) | 大きなPDFや画像は扱えない |
不完全実行の保存領域 | 領域が満杯になると、Makeがシナリオを無効化しスケジュールを停止 | 「エラーを溜めたまま放置」すると、ある日勝手に止まる |
ログの保持 | 既定30日(Enterpriseは延長可) | 1ヶ月より前の処理内容を遡れない |
データの保管場所 | AWS上のEU/米国ゾーン(組織単位で選択)。日本の保管地域はない | 同上 |
料金は、無料(月1,000クレジット)、Core(年払いで月9ドル≒約1,400円)、Pro(月16ドル≒約2,500円)、Teams(月29ドル≒約4,550円)で、いずれも月10,000クレジットからです。月払いは年払いより15%以上高くなります。なお、課金単位の呼び名は2025年に「オペレーション」から「クレジット」に変わっています。
数字にならない構造的な限界
上の表に出てこない、もっと根本的な限界が2つあります。
1つ目は、「if-then」で書けない判断は組めないことです。Zapier・Makeは「Aが起きたらBをする」の道具です。「この注文書の品番は、うちの商品マスタのどれに当たるか」「この問い合わせは営業に回すべきか、サポートに回すべきか」といった、入力ごとに文脈を読む判断は、条件分岐をいくら重ねても書ききれません。
2つ目は、各実行が独立していて、前回のことを覚えていないことです。「先月も同じ取引先から同じ間違いがあった」「この案件は前回、特別対応した」といった経緯は、標準機能では扱えません。補助機能(Zapier Tables、Makeのデータストア)で擬似的に持てますが、設計と保守の負担が増えます。
限界を迎えた業務を自動化し直すと何がどう変わるか
Zapier・Makeに残す部分と、AIに読ませて判断させる部分を分けると、業務の流れは次のように変わります。表の3業務は説明用の例で、作業時間は架空の値です。
業務 | 今の状態(Zapier・Make+人) | 自動化し直したあと |
|---|---|---|
注文書(PDF添付メール)の基幹システム登録 | メール受信→保存までは自動。中身を読んで品番・数量を基幹システムに入力するのは人(月20時間) | AIが注文書を読み取り、商品マスタと照合して登録。品番が特定できないものだけ担当者に確認を求める |
請求書PDFと発注データの照合 | 請求書を1つのフォルダに集めるまでは自動。金額・案件との突き合わせは人が目視(月25時間) | AIが金額・日付・案件を突き合わせ、差異があるものだけ一覧にして通知。一致したものは承認待ちに回す |
問い合わせフォームの一次振り分け | 全件をチャットに通知するところまで自動。誰が対応するかは人が読んで判断(月15時間) | AIが内容を読んで担当部署へ振り分け、回答案を下書き。返金など影響の大きい判断は人の承認を残す |
ポイントは、Zapier・Makeを捨てないことです。「メールを受け取る」「フォルダに保存する」「チャットに通知する」は今のまま残し、「読んで決める」部分だけをAIエージェントに差し替えます。Zapier・Makeからの受け渡しはWebhook(システム間の連絡窓口)で行えるため、既存のZapやシナリオを作り直す必要はありません。
もう1つ変わるのは、「止まったときにどう気づき、誰が直すか」です。Zapier・Makeでは、止まったことに気づくのも直すのも社内の担当者です。自社用に作る仕組みなら、判断できない案件や処理が完了しなかった案件があった時点で止めて担当者に通知する動きを、最初から設計に入れられます。担当者の仕事は「自分で実行して直す」から「上がってきた結果を確認して承認する」に変わります。ただし、接続先の仕様変更への追従やルールの調整を誰が行うか(社内か、開発会社との保守契約か)は、発注前に決めておく必要があります。
削減できる時間と金額の試算|月何時間×人件費で回収期間を出す
ここが最も大事な判断材料です。Zapier・Makeで限界を迎えた業務が1つだけで、作業時間が月20時間程度なら、開発を頼んでも元は取れません。 以下はすべて仮定に基づく試算です。
前提は次のとおりです。
- 人件費:時給3,000円換算(社会保険料など会社負担分を含めた目安)
- 開発費:既存システムの改修として作れる場合は100万円、AIの読み取り精度を先にPoCで確かめる場合は300万円(いずれも当社の公開価格の下限・税別)
- 稼働後の費用:AIの利用料(外部API)・クラウド・保守を合わせて仮に月3万円(実際の額は業務量と保守の範囲によって変わり、見積時に決まります)
- 減る時間:AIが読み取っても確認が必要な分は人が見るため、作業時間の8割が減ると仮定
単一業務の場合(元が取れない例)
TOKIUMの調査にある「仕訳入力 月20.1時間」を1つだけ自動化する場合、減る時間は約20時間×8割=月16時間、削減額は16時間×3,000円=月4.8万円です。稼働後の月3万円を引くと、純削減は月1.8万円。開発費100万円の回収に約56ヶ月(4年半以上)かかります。この規模なら、Zapier・Makeのままで人の確認を残すか、手作業を続けるほうが安く済みます。
複数業務を束ねる場合(元が取れる例)
前の章の3業務をまとめて開発の対象にする場合です。
業務 | 月の作業時間 | 減る時間(8割) | 時給3,000円換算 |
|---|---|---|---|
注文書の読み取りと基幹システム登録 | 20時間 | 16時間 | 4.8万円 |
請求書の照合 | 25時間 | 20時間 | 6万円 |
問い合わせの一次振り分け | 15時間 | 12時間 | 3.6万円 |
合計 | 60時間 | 48時間 | 月14.4万円 |
- 月の純削減額:14.4万円 − 稼働後の費用3万円 = 11.4万円
- 開発費100万円の場合:100万円 ÷ 11.4万円 = 約9ヶ月で回収
- 開発費300万円(PoCから始める場合):300万円 ÷ 11.4万円 = 約26ヶ月で回収
さらに、Zapier・Makeの運用にかかっている「見えない時間」も足せます。接続認証の更新、エラー時の復旧、接続先の仕様変更への追従に月5時間かかっていて、そのうち半分が減ると仮定すると月0.75万円です。純削減は約12.2万円になり、開発費100万円なら約8ヶ月、300万円なら約25ヶ月で回収する計算です。この5時間と「半分」は当社の仮定なので、御社の実績に置き換えてください。
どのくらいの作業時間があれば回収できるか
同じ前提で逆算すると、開発費100万円を12ヶ月で回収するには月約8.3万円の純削減が要ります。稼働後の3万円と合わせて月約11.3万円、減る時間で月約38時間、元の作業時間で月約47時間が目安です。300万円を24ヶ月で回収するなら、元の作業時間で月約65時間です。
計算式は次の1本です。御社の数字を入れて、回収期間を出してみてください。
回収月数 = 開発費 ÷(月の削減額 − 稼働後の月額費用)
月の削減額が稼働後の費用をわずかに上回る程度なら、現時点では開発しないほうが正解です。後述する「境界線」で、束ねられる業務がほかにないかを先に確認してください。開発費そのものは、どの業務を対象にし、どのシステムとつなぐかで変わります。見積の前に、対象業務の作業時間と、つなぐシステムの名前を揃えておくと話が早く進みます。
自動化できる業務・できない業務の境界線
「Zapier・Makeで十分」「読んで決める部分を開発する価値がある」「どちらも向かない」の3列で整理します。御社の業務を当てはめてください。
観点 | Zapier・Makeで十分(残す) | 読んで決める部分を開発する価値がある | どちらも向かない |
|---|---|---|---|
入力の形 | 毎回同じ形式(フォーム、CSV、システムの通知) | PDF・メール本文・書式のばらつくExcelなど、形が揃わない | 紙・FAX・対面が前提で、デジタル化されていない |
処理の中身 | 「Aが起きたらBに書く」の転記・通知 | 内容を読んで分類・照合・下書きする | 最終的な決裁そのもの(承認・契約判断) |
判断の性質 | 正解が1つに決まる(ルールで書ける) | 判断ルールは言葉で説明できるが、条件分岐では書ききれない | 毎回例外で、担当者本人も基準を説明できない |
件数 | 月数百件以下で安定 | 件数が増え続け、課金が跳ねている | — |
経緯の扱い | 前回のことを覚えている必要がない | 「前回どう処理したか」を踏まえる必要がある | — |
間違いの影響 | 小さい(通知が1件飛ばない程度) | 中程度。確認が必要な分だけ人が見ればよい | 大きい(人の承認を外せない) |
費用感 | 月1,400〜16,250円 | 開発費100万円〜(改修・税別)+稼働後の実費・保守 | — |
3列目の「どちらも向かない」は重要です。株式会社アイルの同じ調査では、業務で使うツールとして48.0%が紙、35.4%がFAXを挙げています。紙で届く注文書をスキャンする運用に変えれば2列目に移りますが、その運用変更なしにAIだけ入れても動きません。また、最終決裁そのものをAIに任せる設計はおすすめしません。AIに任せるのは「読んで、整えて、決裁できる状態にする」までにし、承認は人に残すのが安全です。
実現する方法は3つある
限界を迎えた業務への打ち手は3つあり、それぞれ合う条件が違います。当社は開発を請け負う会社ですが、1つ目で足りる業務なら、開発を頼む必要はありません。
方法1:Zapier・Makeに残したまま改善する
「止まった」の中には、設定の見直しで減らせるものがあります。
- エラー処理を組む:Makeならエラーハンドラー(エラー時の動きを決めておく機能)、Zapierならエラー時の通知ステップを追加し、1件の例外で全体を止めない
- 前処理で形を揃える:ZapierのFormatter(データ整形機能)、MakeのIterator/Aggregator(複数件を1件ずつに分ける・1つにまとめる機能)で、件数の乗算と表記ゆれを吸収する
- 先頭で件数を絞る:フィルターを最初に置き、不要なデータに課金しない
- 接続認証の管理を個人から切り離す:共有アカウントで接続し、退職・パスワード変更で止まらないようにする
- プランを上げる:Team(Zapier)なら実行間隔1分・エラー猶予24時間・共有ワークフローが使える
費用は月1,400円〜16,250円程度(プランによる)。合うのは、判断が要らず、件数が安定している業務です。合わないのは、「読んで決める」部分が残っている業務で、こちらはどれだけ設定を工夫しても人の確認がなくなりません。
なお、タスク課金そのものが問題なら、n8n(ワークフロー1回=1実行で数え、ステップ数は問わない。クラウド版は年払いで月20ユーロから。自社サーバーに置く版は無料)やMicrosoft Power Automate(Premiumが1ユーザー月2,248円)といった選択肢もあります。ただし、n8nの自社運用はサーバーの保守とセキュリティ責任が自社に移り、Power Automateの無人型(ボット1体あたり月22,488円)はRPAに近い設計の手間がかかります。いずれも「判断が要る」問題は解決しません。
方法2:API連携を自社開発する(受託開発・社内エンジニア)
Zapier・Makeを介さず、システム同士を直接つなぐプログラムを作る方法です。作り手は社内のエンジニアか開発会社です。費用は、つなぐシステムの数、データの量、エラー時の動きをどこまで作り込むかで大きく変わります。見積を取る前に、「どのシステムを、どの方法(公開API・Webhook・CSV)でつなぐか」「止まったときに誰が直すか」を揃えておくと、各社の見積を比べやすくなります。Google Apps Script(スプレッドシートを動かす簡易プログラム)で済む規模なら、ChatGPTやClaudeなどの生成AIにコードを書かせて、社内で作れることもあります。
作り直すかどうかは、Zapier・Makeに払っている年額と、作り直す費用・稼働後の保守費を比べて決めます。同じ業務をあと何年続けるか、連携先の仕様がどのくらいの頻度で変わるかも、回収期間に影響します。
合うのは、仕様が固定で件数が多く、長期間変わらない連携です。合わないのは、判断が要る業務を条件分岐だけで書こうとする場合(プログラムでもif-thenであることは変わらない)、社内にエンジニアがおらず保守を頼む先もない場合、連携先のシステムが頻繁に変わる場合です。
方法3:「読んで決める」部分をAIに任せる仕組みを作る
「読んで決める」部分をAIに任せ、通知・保存・転記はZapier・Makeや既存システムに残す方法です。進め方は大きく2つあります。1つは、既製のAIエージェント型SaaSや、月額で運用まで引き受ける運用型サービスを使う方法で、自社の業務に合う既製品があれば早く始められます。もう1つは、自社の商品マスタ・基幹システム・判断ルールに合わせて、開発会社に仕組みを作ってもらう方法です。Zapier・MakeからWebhookで受け取り、AIが読み取った結果を自社のマスタと照合し、確信が持てないものだけ人に回す、という形にします。
開発を頼む場合は、AIへの指示文の書き方よりも、次の4点を見積の段階で確かめてください。AIの読み取り結果を何件の実データで試し、どの程度の正しさなら本番にするか。照合に使う商品マスタや取引先マスタを誰が更新するか。止まった・間違えたときに誰が気づいて直すか(保守の範囲)。作ったプログラムのソースコードを誰が持つか。
合うのは、境界線の表の2列目に当たる業務で、かつ複数の業務を束ねて、稼働後の費用を上回る削減が見込める場合です。合わないのは、単一の小さな業務、紙が前提の業務、最終決裁を委ねたい場合です。
AIで自分で進められる部分と、開発会社に頼む部分
ChatGPTやClaudeなどの生成AIは、この種の仕事の多くを手伝えます。開発会社に頼む前に、自社で進められる部分と、頼んだほうがよい部分を分けておくと、頼む範囲が小さくなり、見積も比べやすくなります。
作業 | 自社でAIを使って進められること | 開発会社に頼んだほうがよいこと |
|---|---|---|
Zap・シナリオの棚卸し | 一覧を書き出し、「何を、いつ、どこからどこへ」をAIに日本語で要約させる | 棚卸しの結果をもとにした、残す・作り直す・開発するの切り分け |
判断ルールの言語化 | 担当者の判断をAIに聞き取らせ、ルールの下書きを作る | 例外の洗い出しと、ルールで決められないものを人に回す条件の設計 |
読み取りの試し | 数件の注文書・請求書をAIに読ませ、どの程度読めるかを見る | 個人情報を外部に出さない構成での、実データを使った検証と、正しさの基準づくり |
連携の試作 | Zapier・Makeの設定変更、Apps Scriptなどの小さなプログラム | 基幹システムへの書き込み、権限の設計、止まったときの通知と復旧の仕組み |
稼働後 | 結果の確認と承認 | 接続先の仕様変更への追従、ルール変更の反映(保守契約の範囲で決める) |
会社に頼む理由は「AIでは作れないから」ではありません。自社の商品マスタや過去データの品質、基幹システムの仕様と権限、例外の扱い、どの程度の間違いなら許すかという検収の基準、稼働後に変更が起きたときの責任は会社ごとに違い、そこを決めて作り込む作業に時間がかかるからです。
費用の目安

3つの方法と、当社の価格を同じ表に並べます。すべて税別、米ドル建てのものは1ドル≒157円で換算しています。
方法 | 初期費用 | 月額 | 導入期間 | 判断が要る業務 |
|---|---|---|---|---|
Zapier Professional(年払い) | 0円 | 約3,100円〜(750タスク) | 即日 | 不可 |
Zapier Team(年払い) | 0円 | 約10,800円〜(2,000タスク) | 即日 | 不可 |
Make Core/Pro/Teams(年払い) | 0円 | 約1,400円/2,500円/4,550円〜(10,000クレジット) | 即日 | 不可 |
n8n Cloud Starter/Pro(年払い) | 0円 | 20ユーロ/50ユーロ | 即日 | 不可 |
Power Automate Premium | 0円 | 1ユーザー2,248円 | 数日〜 | 不可 |
受託開発(当社)既存システムの改修 | 100万円〜 | クラウド・外部API等の実費+保守(見積時に確認) | 見積時に確認 | 可 |
受託開発(当社)PoC | 300万円〜 | 同上 | 見積時に確認 | 可(精度を先に確かめる) |
受託開発(当社)本開発 | 個別見積 | 同上 | 見積時に確認 | 可 |
API連携の自社開発や、既製のAIエージェント型サービスは、会社や製品ごとに価格の幅が大きく、含まれる範囲も揃わないため、この表には入れていません。候補が決まったら、各社の公式の料金ページや見積で、初期費用・月額・含まれる範囲・保守の有無を確かめてください。
当社の受託開発の価格は、既存システムの改修が100万円〜、PoC(本番の前に、実データの一部でAIの読み取りや照合がどこまで正しくできるかを確かめる段階)が300万円〜、本開発は個別見積で、いずれも税別です。クラウド・外部API・ライセンスなどの実費は別にかかります。300万円はPoCの開始価格で、本番のシステムが完成する価格ではありません。御社の業務がどれに当たりそうかは、初回相談で目安をお伝えします。
料金表を見て「Zapierの月3,100円と比べて高い」と感じたなら、その感覚は正しいです。前述のとおり、Zapier・Makeで回る業務はZapier・Makeに残してください。開発を頼む意味があるのは、試算の式で回収できる規模の「読んで決める」業務がある場合だけです。
当社の関連する開発実績

Zapier・Makeの置き換えそのものの事例ではありませんが、「量の多いデータを取り込み、人が確認する工程を仕組みに組み込む」という点で近い開発実績を2つ紹介します。守秘のため社名は非公開です。上の画像は薬局のイメージで、実際の案件の画面ではありません。
通信事業:数万件の請求情報の取込・集計・確認画面
数万件規模の請求情報を取り込んで集計し、担当者が確認するための画面を開発しました。
薬局:複数店舗・数千人分の記録管理、権限、確認工程
複数店舗を持つ薬局で、数千人分の記録を管理する仕組みを開発しました。権限の設定と、記録の確認工程を組み込んでいます。
どちらも、処理時間の削減効果などの数字は公開していません。また、この記事で例に挙げた注文書の読み取りや請求書の照合の実績として紹介するものでもありません。同じ種類の業務は、システム間のデータ転記の自動化、Excel集計の自動化、CRM入力の自動化でそれぞれ詳しく解説しています。
開発を頼む場合の進め方

出典: AI革命 公式サイト
Zapier・Makeをすでに使っている会社は、業務の流れがZapやシナリオの形で残っているため、棚卸しが早く進みます。期間は対象業務とつなぐシステムで変わるため、見積の段階で示します。
段階 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
① 初回相談(無料・30分・オンライン) | 対象業務、使っているシステム、止まった履歴、人が手を入れている箇所を伺い、自社でAIを使って進める部分と頼む部分を切り分ける。相談後に、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをメールで送る | 無料 |
② 資料の確認と見積 | Zap・シナリオの一覧、月のタスク・クレジット消費、対象業務の作業時間などを受け取り、開発の範囲と見積を出す。Zapier・Makeに残す業務も明確にし、必要ならプランの引き下げも提案する | 無料 |
③ PoC(必要な場合) | 実データの一部でAIの読み取り・照合がどこまで正しくできるかを確かめ、本番に進むかを決める | 300万円〜(税別) |
④ 開発 | 判断ルールを文章に落とし、仕組みを作る。既存のZap・シナリオは止めずに、Webhookで受け渡す接続を作る | 改修100万円〜/本開発は個別見積(税別) |
⑤ 並走と切り替え | 今の運用(Zapier・Make+人)と新しい仕組みを同時に動かして結果を突き合わせ、差異がなくなってから切り替える。移した部分のZap・シナリオをオフにし、タスク消費が減った分プランを下げる | ④に含めるかを見積時に決める |
①の相談で、試算の式では回収が難しそうだと分かった場合は、開発ではなく今のZapier・Makeの改善を勧める内容を相談メモでお伝えします。有償の作業に進むのは、範囲と金額を示して合意した後です。初回のご相談では、秘密情報・本番の認証情報(Zapier・Makeや基幹システムのパスワードなど)・実際の顧客データは送らないでください。
▶ Zapier・Makeで止まっている業務を、今のツールを残したまま自動化できるか相談する
よくある質問
Q1. Zapierが突然止まりました。まず何を確認すべきですか?
順番は4つです。(1) Zap履歴で、ステータスが「保留(held)」か「エラー」かを見る。保留ならタスク上限、エラーなら接続先の問題です。(2) 管理画面のタスク使用量を見て、上限に達していないか確認する。(3) 接続設定(Connections)で、GoogleやCRMの認証が切れていないか確認する。担当者のパスワード変更や退職が原因になることがあります。(4) Zapierからの「Zapがオフになりました」というメールを探す。7日で95%以上がエラーだと自動でオフになるため、接続先の仕様変更が起きていないかを疑ってください。保留になった処理は消えてはおらず、上限が回復すれば再実行できます。
Q2. Makeのクレジットが月の途中で切れました。どうすればよいですか?
短期の対処は、追加クレジットの購入(1,000または10,000単位)か、自動購入をオンにすることです。根本の対処は消費の見直しです。Makeはデータ件数×モジュール数で消費が乗算されるため、シナリオの先頭にフィルターを置いて不要な件数を落とす、Aggregatorで複数件を1つにまとめてから後続に渡す、実行間隔を1分から15分に広げる、の3つで大きく減らせます。それでも毎月切れるなら、その業務は件数の増え方がツールに合っていません。
Q3. Zapier・Makeを残したまま、AIエージェントを併用できますか?
できますし、この記事で勧めているのはその構成です。「フォームに入ったら通知する」「ファイルをフォルダに保存する」といった単純な受け渡しはZapier・Makeに残し、「保存されたファイルを読んで基幹システムに登録する」といった判断を含む部分だけをAIエージェントが受け持ちます。Zapier・MakeからはWebhookで呼び出せるため、既存のZapを1ステップ足すだけで接続できます。全部を移すより、費用も期間も小さく済みます。
Q4. データが米国やEUのサーバーに保管されるのは、日本の会社として問題ですか?
法的な判断は専門家に確認していただく前提で、確認事項として整理します。Zapierは米国(AWS US-East-1)、MakeはEUまたは米国のゾーンにデータを置き、日本の保管地域はありません。個人情報を含むデータが通る場合、個人情報保護法の「外国にある第三者への提供」に当たらないかを社内で確認しておく必要があります。取引先との契約や社内規程で「国外保管を禁止」している場合は、その業務はZapier・Makeに載せられません。開発を頼む場合は、AIに渡すデータの保管場所と、AIの学習に使われない設定になっているかを、見積の段階で確認してください。詳しくはAIエージェントのセキュリティ対策にまとめています。
Q5. Zapを作った担当者が退職しました。英語の画面を引き継ぐにはどうすればよいですか?
3つやってください。(1) 動いているZap・シナリオの一覧を作り、それぞれ「何を、いつ、どこからどこへ」を日本語で1行ずつ書く。Zapierには説明欄があるので、そこに残す。(2) 接続認証(Connections)の名義を確認する。退職者個人のGoogleアカウントで接続しているZapは、アカウント停止と同時に止まります。共有アカウントに切り替えてください。(3) 「止まっても困らないZap」と「止まると業務が止まるZap」に分ける。後者だけを、残す・作り直す・移すの判断対象にしてください。開発会社に相談する場合も、この一覧があると話が早く進みます。
Q6. AI by ZapierやMakeのAIエージェント機能を使えば、外部のAIエージェントは不要ではありませんか?
「1ステップだけ判断を挟む」なら十分な場合があります。たとえば問い合わせ本文から緊急度を3段階に分類する、程度の処理です。ただし2つ注意があります。Zapierは2026年6月15日からAIステップの消費がモデル階層で1〜5倍になり(有料プランで新しく作るステップは既定が5倍)、1ステップが75タスクに達すると一時停止して承認を求められます。Make AI Agentsは全プランで使えますが、2026年2月に公開された新版はオープンベータで、機能や料金が変わる可能性があります。「業務全体を任せて、例外だけ人に回す」規模になると、タスク消費と設計の手間が急に増えます。線引きは、AIに渡す判断が1ステップで済むか、前後の照合や経緯の参照まで含むかです。
Q7. n8nを自社サーバーに置けば、タスク課金の問題は消えますか?
課金の問題は消えます。n8nの自社運用版は無料で、ワークフロー1回=1実行で数えるためステップ数の乗算もありません。代わりに、サーバーの用意・更新・バックアップ・セキュリティ対応の責任が自社に移ります。社内にエンジニアがいない会社では、これが新しい属人化になります。また、n8nもif-thenの道具である点は同じで、「読んで決める」問題は解決しません。エンジニアがいて、判断の要らない大量連携をやりたい会社には良い選択肢です。
Q8. IT導入補助金などは使えますか?
制度は年度ごとに対象や締切が変わるため、この記事では断定しません。相談時点での公募状況を確認したうえで、使える可能性があればご案内します。補助金ありきで対象業務を広げるより、回収期間の式で「補助金なしでも回収できる業務」を選ぶほうが、結果的に失敗しません。中小企業向けの制度の考え方は中小企業のAI自動化で扱っています。
Zapier・Makeの限界に突き当たっている方へ
Zapier・Makeの限界は、ツールの欠陥ではなく、「渡す」道具に「読んで決める」仕事をさせようとしたときに現れます。渡す部分は今のまま残し、読んで決める部分だけを別の仕組みに移すのが、最も安く、最も早い解決です。
- PDF・メール本文・書式のばらつくファイルを、人が読んで転記している
- 「結局人が全件確認している」業務が2つ以上ある
- それらの作業時間を足すと、月50時間前後を超えている
この3つに当てはまるなら、読んで決める部分を自社用の仕組みとして開発する価値があります。当社の受託開発は既存システムの改修100万円〜・PoC 300万円〜(税別・実費別)で、仮定に基づく試算では、月60時間の作業を束ねられれば、開発費100万円を1年以内に回収できる計算です。当てはまらない場合は、正直に「今のZapier・Makeを改善したほうがよい」とお伝えします。
初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。今動いているZap・シナリオの名前と、人が手を入れている箇所、月の作業時間をお聞かせください。自社でAIを使って進める部分と任せる部分を一緒に切り分け、相談後に、依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。
依頼範囲と費用の目安を30分で整理します
この記事の著者

AI革命
編集部
AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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