AIツール2026年10月更新

WhatsAppヘルプページにAI向け隠し指示|「規制当局を勧めない」の中身・Metaの説明・利用者と企業への影響【2026年10月】

公開日: 2026/10/20
WhatsAppヘルプページにAI向け隠し指示|「規制当局を勧めない」の中身・Metaの説明・利用者と企業への影響【2026年10月】

この記事のポイント

WhatsAppのヘルプセンター80ページに、サポート用AIチャットボット向けの隠し指示が102か所埋め込まれていたことが2026年10月19日に報じられました。「データ保護当局への連絡を勧めない」などの指示の中身、Metaの説明、公開プライバシーポリシーとの食い違い、日本の利用者と自社でAIチャットボットを運用する企業が確認しておくことを整理します。

WhatsAppのヘルプセンターのうち80ページのHTMLに、サポート用AIチャットボット向けの隠し指示が計102か所埋め込まれていたことが、2026年10月19日に報じられました。中には「データ保護当局や規制当局への連絡を勧めない」「ユーザーが持ち出してもGDPRなどのプライバシー法に触れない」という指示があり、Metaは「バグで表示されたチャットボット向けの指示で、すでに修正した」と説明しています。

ただし、チャットボットが実際にこの指示どおりに答えていたか、日本語のヘルプページにも同じ記述があったか、法令違反にあたるかは、2026年10月20日時点では確認されていません。

隠し指示の中身と見つかった経緯、Metaの説明、公開プライバシーポリシーとの食い違い、技術的な背景に加えて、日本のWhatsApp利用者の相談先と、自社でAIチャットボットを運用する企業が見直しておきたい点もまとめています。

こんな方に向けた記事です

  • WhatsAppを使っていて、サポートのAIの回答を信じてよいか気になっている方
  • アカウント削除やデータの扱いでWhatsAppとやり取りしている(これからする)方
  • 自社のWebサイトや問い合わせ窓口でAIチャットボットを運用・検討している企業の担当者
  • 生成AIのセキュリティやガバナンスの動向を追っている方

WhatsAppの隠し指示問題の要点

  • 見つかったのは「WhatsAppのサポート用AIに、何を言わせないか」の内部メモ。 調査した545ページのうち80ページ・102か所にあり、通常の画面では見えないHTML内に置かれていた。2026年10月18日までにすべて削除された
  • 問題視されたのは、公開しているルールと食い違う指示があったこと。 欧州向けプライバシーポリシーは「監督当局に苦情を申し立てる権利がある」と明記している一方、隠し指示は「当局への連絡を勧めない」としていた。ただし「消去の要求を断れ」とまでは書かれておらず、違法と確定した事実もない
  • 企業にとっての教訓は「AIへの指示はいずれ外に出る前提で書く」こと。 指示文が公開ページに混ざらない作りにすること、法律の話題は「触れない」ではなく「人間の担当者や公的窓口へ案内する」設計にすることが、同じ失敗を防ぐ基本になる

生成AIのリスク全般を先に押さえたい方は、生成AIのセキュリティリスクとはもあわせてご覧ください。

WhatsAppのヘルプページで何が見つかったか

WhatsAppヘルプページのAI向け隠し指示を報告したRedactの調査記事のイメージ画像

出典: Redact 公式

見つかったのは、WhatsAppのサポート用AIチャットボットが回答するときに使う「AI向けの注意書き」です。ヘルプ記事本文と同じHTMLに入っていましたが、ブラウザで普通に表示しても見えない位置に置かれていました。

最初に報告したのは、SNS投稿の一括削除ツールを提供するRedactです。同社はWhatsAppのヘルプセンターからリンクされている545ページをすべて読み込み、各ページのコピーを保存して調べました。その結果、80ページに計102か所の隠しテキストがあり、いずれもページのソースコード内の HelpContentGalaxyLLMInclude という名前の近くに置かれていたと報告しています(出典: Redact)。

調査の範囲と条件は次のとおりです。

項目

内容

調べたページ

WhatsAppヘルプセンターからリンクされている545ページ(英語)

隠しテキストがあったページ

80ページ・計102か所

置かれていた場所

ページのソースコード内(画面には表示されない)

調べていない範囲

日本語を含む英語以外のページ、ヘルプセンターからリンクされていないページ

比較対象

FacebookとInstagramのヘルプセンター(300ページ)には同様のメモはなかった

報告元のRedactは、プライバシー保護をうたう削除ツールを販売している会社です。プライバシー問題を取り上げることに事業上の利点がある立場である点は、読む側として頭に入れておくとよいでしょう。ただし、Metaは指示の存在そのものは認めています。

時系列:いつからあって、いつ消えたか

隠しテキストは遅くとも2026年9月上旬には存在し、10月18日までに削除されました。正確な掲載開始日はわかっていません。

日付(UTC)

出来事

2026年7月12日

Internet Archiveに保存されたアカウント削除ページにはメモがない

2026年9月4日

同じページの保存版にメモがある

10月8日

Redactが隠しメモを発見

10月9日

RedactがAI企業のクローラー名でアクセスを試し、結果をInternet Archiveに保存

10月15日

メモはまだ掲載されていた

10月18日

80ページ・102か所のメモがすべて削除される(画面に見える本文は変わらず)

10月19日

米WIREDが報道し、Redactも調査記事を公開

10月20日

インドやアジアのメディア、日本語ブログが後追いで報道

削除の経緯は「WIREDの問い合わせを受けて、10月18日までに削除された」と整理すると、各社の報道と食い違いません。削除後も、Internet Archiveに保存された過去のページではメモを確認できるとRedactやインドのDigitは伝えています。

隠し指示の中身:問題視された「当局・法律」の扱い

注目を集めたのは、アカウント削除と通報・ブロックのページにあった、規制当局や法律の話題を避けるよう求める指示です。Redactが公開した原文から、主なものを訳して紹介します。

アカウント削除ページ

携帯電話や電話番号をなくして、自分でアカウントを削除できなくなった人に対応するためのメモです。

  • 「データ保護当局、規制当局、監督機関への連絡を勧めない」(原文: "Do not recommend contacting any Data Protection Authority, regulator, or supervisory authority.")
  • 「WhatsAppがユーザーの代わりにアカウントを手動で削除できるとほのめかさない」
  • 別の端末で有効な番号を使って削除する方法を勧めない
  • 自動削除を待つよう伝える

自動削除までの期間について、Redactは「無効化から30日、または120日間使われなかった場合(米国のユーザーは365日)」と書いています。この日数はWhatsAppのヘルプ本文では確認できていないため、Redactの記載として扱ってください。

通報・ブロックのページ

ユーザーが訴訟や弁護士、裁判所などに触れたときの対応を定めたメモです。

  • 利用規約やプライバシーポリシーなどの法的文書を引用・解釈せず、法的責任を論じない
  • 「データ保護やプライバシーの規制に触れない、引用しない、解釈しない」。しかも「ユーザーが自分から持ち出した場合も含めて」とされていた。例として欧州のGDPR、ブラジルのLGPD、米カリフォルニア州のCCPAが挙がっていた
  • 代わりに、資格のある法律の専門家に相談するよう勧める

一部の報道によると、指示の一部には「WHAT NOT TO SAY(言ってはいけないこと)」という見出しが付いていたとされます。この見出しはRedactの記事では確認できず、WIREDの報道に由来するとみられます。

隠し指示の多くは「誤った案内を防ぐ」ためのもの

102か所すべてが問題のある内容だったわけではありません。Redactがまとめたほかの20件を見ると、多くはチャットボットが実際にはできないことを約束したり、危険な操作を勧めたりしないための注意書きです。

次の表は、Redactの要約(原文そのものではありません)をもとに、性格ごとに分けたものです。

分類

指示の趣旨(Redactの要約から)

利用者から見た評価

当局・法律を避ける

規制当局への連絡を勧めない/GDPRなどの法律に触れない/法的文書を解釈しない

本来知っておくべき権利や窓口が伝わらない可能性がある

手続きの範囲を正しく伝える

BANはメール・チャットのサポートでは解除できない/WhatsApp Plusの支払い・返金や解約はチャットボットでは扱えない/チャンネルのおすすめ掲載依頼は受け付けない

誤った期待を持たせないための注意書き

「待つしかない」と伝える

アカウント無効化では再登録・新しい番号・携帯会社への連絡を勧めず、待つのが唯一の方法と伝える/通報後は「社内で対応する」とだけ伝える

理由が説明されないため、利用者は不満を持ちやすい

安全を守る

ログインの不具合で2段階認証をオフにする案を出さない/年齢制限の抜け道を示さない/詐欺に遭ったグループでは削除より通報を、チャット履歴は証拠になる

利用者の保護につながる

機能を正しく伝える

エンドツーエンド暗号化のため他人のチャットや通話を見る機能はない/個人チャットは広告に使われない/友人や家族の番号では確認コードを受け取れない

誤解を防ぐ説明

意図の読み違いを防ぐ

「I am deaf」は本人の状態で、音声の不具合の報告ではない/アラビア語の「アカウントを認証したい」はたいてい有料の青バッジのこと/非公式アプリ「WhatsApp Plus」が別に存在する

回答の精度を上げる工夫

企業がAIチャットボットを運用するとき、この種の注意書きを入れること自体はめずらしくありません。今回問われているのは、一部の指示が、公開しているルールで利用者に認めている権利と逆の方向を向いていた点です。

公開プライバシーポリシーとの食い違い

WhatsAppのロゴ

出典: WhatsApp 公式サイト

WhatsAppの欧州向けプライバシーポリシーは、利用者が監督当局に苦情を申し立てられることや、情報の消去を求められることを明記しています。隠し指示はこれらの窓口を案内しないよう求めていたため、「表向きのルールと裏の運用が違うのではないか」と批判されています。

項目

公開プライバシーポリシー(欧州版)

隠し指示

情報の消去

どの法的根拠でも、アクセス・訂正・消去を求める権利が「常にある」

WhatsAppが代わりに手動で削除できるとほのめかさない。自動削除を待つよう伝える

苦情の申し立て

GDPR上の主たる監督当局であるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)など、監督当局に苦情を申し立てる権利がある

データ保護当局・規制当局・監督機関への連絡を勧めない

プライバシー法への言及

GDPRに基づく権利を説明している

ユーザーが持ち出しても、GDPR・LGPD・CCPAなどに触れない

出典: WhatsApp プライバシーポリシー(欧州経済領域向け、2026年7月2日発効)

Redactは、これらの権利がGDPR第17条(消去の権利)と第77条(監督当局への苦情申し立て)に基づくものだと指摘しています。一方で、隠し指示は「消去の要求を断れ」とまでは書いておらず、Redact自身もこの点を公平に補足しています。

Metaの説明と、まだわかっていないこと

WhatsAppを運営するMetaのロゴ

出典: Meta 公式サイト

MetaはWIREDの取材に対し、隠しテキストが見えていたのはバグによるもので、すでに修正したと説明しました。WIREDの記事は今回取得できなかったため、内容はDigitやThe Hans Indiaなどの報道から確認しています。

報道によると、WhatsAppの広報担当Joshua Breckman氏の説明は次のとおりです。

  • 表示されたのはバグが原因で、すでに修正した
  • 「これはチャットボットへの指示であり、ユーザーへ直接向けたものではない」
  • サポートのチャットボットには、WhatsAppについての最善のアドバイスを出すことに集中させたい。法的な助言はしないようにしている

2026年10月20日時点で、まだわかっていないことは次のとおりです。

未確認の点

現状

チャットボットが実際に指示どおり答えていたか

Redactはチャットボットの回答を試していない

日本語のヘルプページにも同じ指示があったか

調査は英語ページのみ

隠しテキストがいつから存在したか

2026年7月12日の保存版にはなく、9月4日の保存版にはあった。それ以上は不明

ChatGPTなど外部のAIアシスタントがこのテキストを読んで従ったか

検証されていない

規制当局の対応

アイルランドDPCなどからの発表はない

法令違反にあたるか

隠しテキストがあったことだけで違反が確定するわけではない

「法的な助言はしない」というMetaの説明自体は、サポート窓口として理解できる方針です。ただ、法的な助言をしないことと、利用者が自分の権利や公的な窓口を知る機会をふさぐことは別の問題です。この2つをどう区別するかが、今後の議論の焦点になるとみられます。

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検索エンジンとAIクローラーで中身を出し分けていた

Redactによると、WhatsAppのサーバーは隠しメモ入りのページをGoogleとBingのクローラーに返していました。一方、2026年10月9日にOpenAI・Anthropic・Perplexityのクローラー名でアクセスすると、記事本文もメモもないページが返ってきたといいます(どのクローラー名を使ったかは公表されていません)。

Google検索のスパムポリシーは、利用者と検索エンジンに違う内容を見せる「クローキング」や、検索順位を操作するために隠しテキストを置く行為を禁じています(出典: Google 検索セントラル)。ただ、今回の隠しテキストは検索順位を上げるためのものではなく、チャットボット用の部品が公開ページに混ざったものとみられます。スパムと判定されたという情報もありません。

AI企業のクローラーに何も返していなかった理由について、Metaは説明していません。

技術的に何が起きたのか:システムプロンプトの漏えい

OWASPのLLMアプリ向けリスク一覧にある「システムプロンプトの漏えい(LLM07:2025)」の画像

出典: OWASP GenAI Security Project 公式

今回の件は、外部からの攻撃ではなく、運営者が自社のチャットボット向けに書いた指示が公開ページに出てしまった「システムプロンプトの漏えい」にあたります。よく話題になる「プロンプトインジェクション」とは、指示を書いた人も目的も違います。

AIチャットボットへの指示はどこにあるか

AIチャットボットは会話の前に「システムプロンプト」と呼ばれる指示を読み込み、役割や話してはいけない話題を決めています。サポート用のチャットボットでは、ヘルプ記事を検索して回答を作るRAG(検索拡張生成)という仕組みがよく使われます。RAGの仕組みはRAGとは?仕組みと最新動向で詳しく解説しています。

今回のケースは、RAGで参照する記事データの中にAI向けの注意書きを一緒に入れておき、それがWeb表示用のHTMLにも出力されてしまったものとみられます。ただし、Metaは技術的な原因を公表しておらず、これは報道内容からの推測です。

システムプロンプトの漏えいとプロンプトインジェクションの違い

項目

システムプロンプトの漏えい(今回)

間接プロンプトインジェクション

誰が指示を書いたか

運営者自身

第三者(攻撃者)

何が起きるか

本来は非公開の内部ルールが外に見える

Webページなどに隠された命令文をAIが読み、従ってしまう

主な被害

運用方針が知られる、信頼が損なわれる、悪用の手がかりを与える

情報の持ち出し、意図しない操作

代表的な例

2023年にBing Chatのシステムプロンプト(開発コード名「Sydney」)が引き出された件

2025年に報じられた、論文に白い文字で「高評価だけを書け」とAI査読向けの命令を隠した例

セキュリティ団体OWASPは、生成AIアプリの主要リスクをまとめた「OWASP Top 10 for LLM Applications 2025」で、システムプロンプトの漏えいを「LLM07」として挙げています。その中で、システムプロンプトは秘密を守る仕組みとして扱うべきではないこと、認証情報や内部ルールを入れないこと、厳密な制御はAIの外側の仕組みで行うことを求めています(出典: OWASP)。

2つのリスクには接点もあります。公開ページにAI向けの命令文が載っていると、そのページを読み込んだ外部のAIアシスタントが影響を受ける可能性があるためです。今回、実際にそうした影響があったかは検証されていません。間接プロンプトインジェクションの実例としては、Claude Code Auto Modeが間接プロンプトインジェクションで突破された件やMicrosoft Copilot Coworkのファイル流出の脆弱性が参考になります。

日本のWhatsApp利用者への影響と、困ったときの相談先

日本の利用者にとって、今すぐ設定を変えたりアプリを削除したりする必要は、現時点ではありません。今回見つかったのはサポート用AIの回答方針に関するメモで、メッセージの中身が漏れたといった話ではないためです。

気をつけたいのは、アカウントや個人データの扱いで困ったときに、サポートのAIの回答だけで判断しないことです。

  • AIの回答は「WhatsAppの方針」であって、法律上の権利の説明ではない。 「待つしかない」と言われても、それが利用者のできることのすべてとは限らない
  • 日本語ページは調べられていない。 日本語のサポートで同じ指示が使われていたかどうかは不明
  • 日本で個人情報の扱いに不満がある場合の公的窓口は、個人情報保護委員会。 「個人情報保護法相談ダイヤル」(03-6457-9849、平日9:30〜17:30。土日祝日・年末年始は休み)で相談できる(出典: 個人情報保護委員会)
  • 具体的なトラブルで法的な対応を考えるなら、弁護士などの専門家に相談する

なお、日本を含む欧州以外の地域向けプライバシーポリシーで、監督当局への苦情についてどう書かれているかは、今回の調査では確認できていません。

Metaのサポート系AIをめぐっては、以前にもMetaのAIチャットボットが悪用されてInstagramアカウントが大量に乗っ取られた件が報じられました。同じ10月には、Metaの商用規約に入ったAI学習のスクレイピング条項も批判を受け、英語版から「トレーニング」に関する一文が削除されています。

企業が自社のAIチャットボットで確認しておくこと

自社サイトや問い合わせ窓口でAIチャットボットを運用している企業は、今回の件を「指示文が外に出たらどう見えるか」という点検の機会にできます。今回の件から見えてきた点検の観点を、具体的なやり方とあわせて表にしました。

確認すること

具体的なやり方

指示文を公開データと分けて保管しているか

AI向けの指示やメモを、Web表示用の記事データと同じ場所に入れない。公開ページのHTMLを定期的に検索し、指示文が混ざっていないか確かめる

指示文が公開されても困らない内容か

「外に出たら説明できない指示」は書かない。OWASPの勧めどおり、認証情報や内部の判定基準を入れない

法律・苦情の話題をどう扱うか

「触れない」ではなく「人間の担当者や公的な窓口、専門家へ案内する」設計にする。プライバシーポリシーで約束した権利と矛盾しないかを確認する

公開ルールと回答方針が一致しているか

利用規約・プライバシーポリシーの記載と、チャットボットの指示を並べて読み比べる

回答を実際に試しているか

削除・解約・苦情・個人情報開示など、トラブルになりやすい質問で回答をテストし、ログを定期的に見直す

止めるかどうかをAIに任せるべきでない操作を、AIの外で制御しているか

権限や手続きの可否は、プロンプトではなくシステム側の仕組みで判断する

AIエージェントを含む全体の対策はAIエージェントのセキュリティ対策で整理しています。

社内の問い合わせ窓口や既存の業務システムにAIを組み込む場合は、指示文やデータの置き場所、ログ監査の仕組みまで最初に設計の範囲に入れ、その分の作業を見積に含めておくと後から手戻りしにくくなります。依頼範囲ごとの費用の目安はAI開発の費用相場【2026年10月】AI受託開発の改修・PoC・本開発の価格と見積の内訳で確認できます。

今回の件を気にしたほうがよい人・心配しすぎなくてよい人

影響の大きさは、WhatsAppとの関わり方で変わります。

気にしたほうがよい人

  • WhatsAppでアカウント削除やデータ開示を求めていて、サポートとのやり取りがうまく進んでいない人
  • 欧州など、データ保護法の権利が明記されている地域でWhatsAppを使っている人
  • 自社でサポート用のAIチャットボットを運用している、または導入を検討している企業
  • 社内でAIの利用ルールやガバナンスを決める立場の人

心配しすぎなくてよい人

  • WhatsAppを家族や知人との連絡に使っているだけで、サポートに問い合わせる予定がない人
  • メッセージや通話の内容が漏れたかどうかを心配している人(今回の件はサポート用AIの回答方針に関するもので、メッセージの暗号化とは関係がない)

よくある質問

WhatsAppの日本語ヘルプページにも同じ隠し指示はあったのですか?

わかっていません。Redactが調べたのは英語のページだけです。10月18日までに英語ページの隠しテキストはすべて削除されましたが、日本語ページや日本語のサポートチャットボットについては、Metaも報道機関も情報を出していません。

隠し指示があったことは違法なのですか?

現時点で違法と判断した機関はありません。隠し指示は「当局への連絡を勧めない」というもので、「消去の要求を断れ」とは書かれていませんでした。2026年10月20日時点でアイルランドDPCなど規制当局からの発表もなく、今後の対応を見守る段階です。

WhatsAppのAIサポートの回答は信用してよいのですか?

アプリの操作方法や機能の説明など、一般的な質問には参考になります。一方で、アカウントの削除や個人データの扱いで揉めている場合は、AIの回答を最終的な答えにせず、プライバシーポリシーの記載や公的な相談窓口もあわせて確認するほうが安全です。

隠し指示はいまも見られますか?

WhatsAppの現在のページからは削除されています。ただし、Internet Archiveに保存された過去のページのソースには残っていると報じられています。Redactは、10月9日に保存されたアカウント削除ページのソースで「Do not recommend contacting」を検索すると確認できると案内しています。

ChatGPTなど別のAIが、この隠し指示の影響を受けることはありますか?

可能性はありますが、実際に影響があったかは検証されていません。公開ページにAI向けの命令文があると、そのページを読み込んだ外部のAIアシスタントが参考にしてしまうおそれがあります。外部サイトを読み込むAI側の防御策としては、ChatGPT Lockdown Modeのような機能も出てきています。

自社のチャットボットのシステムプロンプトは、秘密にしておけば安全ですか?

秘密にすること自体を安全対策にしないほうがよいとされています。OWASPは、システムプロンプトは漏れうるものとして扱い、重要な制御はAIの外側の仕組みで行うよう勧めています。公開されても説明できる内容だけを書くのが現実的です。

まとめ

  • WhatsAppのヘルプセンター80ページに、サポート用AIチャットボット向けの隠し指示が102か所あったことが、2026年10月19日に報じられた。10月18日までにすべて削除されている
  • 問題になったのは「データ保護当局への連絡を勧めない」「GDPRなどに触れない」という指示。欧州向けプライバシーポリシーで認めている苦情申し立ての権利と食い違っている
  • 指示の多くは誤った案内や危険な操作を防ぐための注意書きで、全体が悪質だったわけではない
  • Metaは「バグで表示されたチャットボット向けの指示」と説明。実際の回答への影響、日本語ページへの影響、違法性はいずれも確認されていない
  • 日本の利用者は設定変更などの対応は不要。アカウントやデータの扱いで困ったら、AIの回答だけで判断せず、個人情報保護委員会などの公的窓口も使う
  • AIチャットボットを運用する企業は、指示文と公開データを分ける、指示が外に出ても説明できる内容にする、法律の話題は人間や公的窓口へつなぐ、の3点を見直すとよい

規制当局の対応やMetaの追加説明が出た場合は、この記事の内容も更新します。生成AIの全体像から押さえたい方は、生成AIとはもご覧ください。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

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