ビジネス活用2026年10月更新

Noam Shazeer(ノーム・シャジール)がOpenAIに転籍|Transformer共同発明者がGoogleを去った理由とAI人材争奪戦の今【2026年10月最新】

公開日: 2026/06/19
更新日: 2026/10/26
Noam Shazeer(ノーム・シャジール)がOpenAIに転籍|Transformer共同発明者がGoogleを去った理由とAI人材争奪戦の今【2026年10月最新】

この記事のポイント

Transformer共同発明者でGemini共同リードだったノーム・シャジール氏が2026年6月にGoogleからOpenAIへ移籍。公表された役職、報じられている移籍の背景、その後のDeepMind体制刷新・Gemini 4 Argon・Character.AI破産申請まで、2026年10月時点の事実を整理します。

Transformerの共同発明者で、GoogleのGemini共同リードだったノーム・シャジール(Noam Shazeer)氏は、2026年6月18日(日本時間。米国では6月17日夕方に報道)、XでOpenAIへの移籍を表明しました。 OpenAIでの役職は「AIアーキテクチャ研究のリード」で、移籍の理由について本人は「難しい決断だった」と述べただけです。

移籍から4か月がたち、状況は大きく動きました。2026年8月にはGoogle DeepMindの体制が刷新され、シャジール氏とともにGeminiを率いたジェフ・ディーン氏、オリオル・ヴィニャルス氏もGoogleを去っています。Geminiの当初の共同リード3人が、全員Googleを離れたことになります。

この記事でわかること

  • ノーム・シャジール氏の経歴と、Transformer・MoE・MQAなどの技術上の貢献
  • Character.AI創業→Google復帰→OpenAI移籍という流れと、2024年の約27億ドルの取引
  • OpenAIでの役職として公表されていること、まだ公表されていないこと
  • 移籍の背景として報じられている要因(公式説明・報道・推測を分けて整理)
  • 移籍後に起きたこと(Alphabet株の下落、DeepMind体制刷新、Gemini 4 Argon、Character.AIの破産申請、OpenAI上場の見通し)
  • Gemini・ChatGPT・Character.AIの利用者や企業にとって、何が変わり何が変わらないか

こんな人に向けた記事です: 生成AI業界の人材動向を追っている人、GeminiやOpenAI APIを業務で使っていて今後のモデル開発への影響が気になる人、Character.AIの利用者。


ノーム・シャジールとは何者か|現代AIの基本設計を生んだ研究者

ノーム・シャジール氏は、いまの大規模言語モデル(LLM)の土台になっている技術を何本も生み出した研究者です。ChatGPT・Gemini・Claude・Llamaなど主要なLLMは、どれも同氏が共著したTransformerを基にしています。

1975年か1976年にフィラデルフィアで生まれ、1994年の国際数学オリンピックでは米国代表として満点の金メダルを取りました。デューク大学で数学とコンピューターサイエンスを学び、2000年にGoogleへ入社。最初の仕事は検索のスペル修正の改善でした。2026年2月には全米工学アカデミー(NAE)の会員に選ばれています。

キャリア年表

年

出来事

1994年

国際数学オリンピックで満点の金メダル(米国代表)

2000年

Google入社。検索のスペル修正の改善が初期の仕事

2017年

「Attention Is All You Need」を共著(Transformer)。同年、Sparsely-Gated MoEの論文を筆頭著者として発表

2019年

Multi-Query Attention(MQA)の論文を発表

2020年

「GLU Variants Improve Transformer」(SwiGLUなど)を発表

2021年より前

ダニエル・デ・フレイタス氏と対話AI「Meena」を開発(Googleは一般公開せず)。LaMDAにも関わった

2021年

Googleを退社し、デ・フレイタス氏とCharacter.AIを共同創業(CEO)

2024年8月

GoogleとCharacter.AIの技術ライセンス取引に伴いGoogleへ復帰。VP of Engineering、Gemini共同リード

2026年2月

全米工学アカデミー(NAE)会員に選出

2026年6月18日

OpenAIへの移籍を表明(日本時間)。役職はAIアーキテクチャ研究のリード

※論文の年はarXivの初版の年です。


シャジールが現代AIに与えた技術的貢献|主要モデルのすべてに使われている発明

シャジール氏の発明は、LLMを「大きくする」「速く動かす」「精度を上げる」の3方向すべてに役立っています。OpenAIが同氏にモデル構造の研究を任せたのは、この実績があるからです。

Transformerアーキテクチャの構造図(2017年の論文Attention Is All You Needより)

出典: Vaswani et al. (2017) "Attention Is All You Need" arXiv:1706.03762

技術名

年

内容と、いまのモデルへの影響

Transformer(Attention Is All You Need)

2017年

ChatGPT・Gemini・Claude・Llamaなど主要LLMの基本構造。8人の共著で、著者リストの2番目

Sparsely-Gated MoE(混合専門家)

2017年

計算量を抑えたままパラメータ数を大きくする手法。DeepSeek-V3などが公開情報として採用。GPT-4も採用していると報じられている(OpenAIは非公表)

Multi-Query Attention(MQA)

2019年

推論時のメモリを減らし、文章の生成を速くする手法。後のGrouped-Query Attention(GQA)の出発点

SwiGLUなどのGLU系活性化関数

2020年

Transformerの精度を上げる改良。Llamaなどが採用

Mesh TensorFlow

2018年

超大規模モデルを多数のチップに分けて学習させる仕組み(共同開発)

Meena / LaMDA

2021年まで

Googleの対話AI。のちのBard、Geminiにつながる系譜

Transformer(Attention Is All You Need)を平易に説明すると

Transformerは、文章の中で「どの単語とどの単語が関係しているか」を一度に計算するアテンション機構を中心に据えた設計です。それまでの主流だったRNNは、文章を左から右へ1語ずつ処理するため、長い文脈を覚えておくのが苦手でした。Transformerは文全体を並列で見渡せるので、長い文章を扱え、GPUでの学習も速くなります。

ChatGPTが登場する5年前の論文ですが、2026年のいまも主要なLLMの基本構造であり続けています。生成AIの全体像は生成AIとは?仕組み・種類・活用事例で解説しています。

MoE(混合専門家)を平易に説明すると

MoEは「1つの巨大なモデルを毎回まるごと動かす」代わりに、内部に複数の「専門家」を持たせ、入力ごとに一部だけを動かす仕組みです。全体の知識量(パラメータ数)を増やしても、1回の計算で使う量は少なく済むため、性能とコストを両立しやすくなります。現時点では、最先端モデルの多くがこの考え方を取り入れているとみられています。


Google退社→Character.AI創業→27億ドル売却→Google復帰→OpenAI転籍|転職を重ねた経緯

シャジール氏が2021年に共同創業したCharacter.AIのロゴ

出典: Character.AI 公式ブログ

シャジール氏がGoogleを離れるのは、今回が2回目です。1回目は自分で会社を作るため、2回目はOpenAIへ移るためでした。

なぜ2021年にGoogleを辞めたのか

2021年、シャジール氏はデ・フレイタス氏とGoogleを退社し、Character.AIを共同創業してCEOに就きました。二人がGoogleで作った対話AI「Meena」は、Googleが一般公開を見送っています。当時のGoogleは対話AIの公開に慎重で、自分たちで世に出すために独立した、というのが一般的な見方です(本人が理由を詳しく説明したわけではありません)。

Character.AIは、好きなキャラクターと会話できるAIを作って共有できるサービスで、若い利用者を中心に広まりました。

2024年8月:Googleが27億ドルでCharacter.AI技術を取得

2024年8月、GoogleはCharacter.AIと技術ライセンス契約を結び、その一環としてシャジール氏、デ・フレイタス氏とチームの一部を迎え入れました。取引総額は約27億ドル(WSJ・Reuters。Bloomberg系は約25億ドルと報道)です。買収ではなくライセンス契約なので、Character.AIは独立した会社として残りました。

シャジール氏は30〜40%の株式を持っていたとされ、NYTは個人の取り分を7.5億〜10億ドルと推計しています(公式の数字ではありません)。復帰後はVP of Engineeringとして、ジェフ・ディーン氏、オリオル・ヴィニャルス氏とともにGeminiを共同で率いました。

2026年6月18日:OpenAI転籍の発表

Google復帰から約22か月後、シャジール氏はXで次のように表明しました。

"I'm excited to share that I'll be joining OpenAI and look forward to working with the exceptional team there. It was a difficult decision to move on. I'm incredibly proud of the amazing team at Google and everything we've built together. It has been an honor and a pleasure to work with all of you."

(OpenAIに加わります。素晴らしいチームと働くのが楽しみです。去るのは難しい決断でした。Googleの素晴らしいチームと、ともに作ってきたものすべてを誇りに思います)

OpenAIのサム・アルトマンCEOはXで「OpenAIの創業当初から、最も一緒に働きたかった人の一人」と歓迎し、実現まで10年かかったと述べたと報じられています。GoogleはReutersに対し「Noamの大きな貢献に感謝している(grateful for Noam's meaningful contributions)」と回答しました。


Transformer論文8著者の現在地|全員がGoogleを去っていた

シャジール氏の移籍で、「Attention Is All You Need」の8人の著者は全員Googleを離れたと報じられています(36Krなど、2026年6月)。Googleの研究から生まれたTransformerですが、作った人たちはいまや競合各社やスタートアップに散らばっています。

幾何学的なネットワーク構造のイメージ。Transformer論文の著者が各社に分散した様子を表す

著者

現在の所属(報道・公開情報)

備考

Ashish Vaswani

Essential AI(共同創業者・CEO)

NVIDIAがEssential AIの中核チームを迎えるとの噂があるが、両社は未回答

Noam Shazeer

OpenAI(AIアーキテクチャ研究のリード)

2026年6月に移籍を表明

Niki Parmar

Adept AI、Essential AIを共同創業

その後Anthropicへ移ったとの報道もある(未確認)

Jakob Uszkoreit

Inceptive(共同創業者)

RNAの設計にAIを使うスタートアップ

Llion Jones

Sakana AI(共同創業者)

東京を拠点とするAI研究企業

Aidan Gomez

Cohere(共同創業者・CEO)

企業向けLLMを提供

Łukasz Kaiser

OpenAI

2021年からOpenAIに在籍

Illia Polosukhin

NEAR Protocol(共同創業者)

ブロックチェーンとAIの分野

※個人の所属は変わることがあります。最新の所属は本人のプロフィールで確かめてください。

Googleは2024年に約27億ドルの取引でシャジール氏を呼び戻しましたが、2年足らずで手放した形です。米Axiosは、人材獲得を目的にしたライセンス取引(アクハイヤー)の限界を示す例として、この件を報じました。


OpenAIでの新たな役割|次世代アーキテクチャ研究を主導

OpenAIで公表されている役職は「AIアーキテクチャ研究のリード(lead for AI architecture research)」だけです。 OpenAIのチーフ・リサーチ・オフィサー、マーク・チェン氏がBloombergに明かしたもので、モデルの構造そのものを研究する役割です。

2026年10月26日時点で、公表されていないことは次のとおりです。

  • 担当するプロジェクト名・モデル名
  • 入社日と報酬
  • OpenAI公式ブログでの採用発表(見つかっていません)

一部のメディアは「GPT-6の設計を担う」「次世代モデルの構造を描く」と解説していますが、OpenAIの発表ではなく推測です。OpenAIの次世代モデルをめぐる報道はOpenAI Astraとは?次期メジャーモデルの正体にまとめていますが、シャジール氏がどこまで関わるかは分かっていません。

同じ時期にOpenAIは、元ホワイトハウスのAI政策担当ディーン・ボール氏も採用しています。こちらは新設の「Strategic Futures」チームを率いる役割で、アーキテクチャ研究とは別の部署です。


なぜGoogleを離れたのか|推測できる3つの理由

移籍の理由は、公式には説明されていません。 本人の言葉は「難しい決断だった」だけで、Googleが引き止めにどう動いたかも明らかになっていません。報道や周辺の状況から挙げられている要因は、確度によって次の3段階に分けられます。

区分

内容

出どころ

確認済みの事実

本人が「難しい決断だった」と表明/役職はアーキテクチャ研究のリード/Googleは貢献に感謝すると回答

本人のX、Bloomberg、Reuters

報道ベース

上場前の研究所の株式の魅力、Googleのコーディング分野での出遅れ、アクハイヤーで迎えた人材は引き留め期間が終われば出ていける

Fortune(2026年8月)、Axios、Business Insider Japan

推測

OpenAIで次世代モデルの設計を担う/研究の自由度を求めた

一部メディアの解説。公式の裏付けなし

理由1:研究の自由度とスピード感

2021年の独立は、Googleが対話AIの公開に慎重だった時期と重なります。研究の成果をすぐ製品に出せる環境を重んじる人だという見方は、以前からありました。ただし今回の移籍で同じ理由が働いたかどうかは、本人が語っていないので分かりません。

理由2:OpenAI IPOと株式価値

OpenAIは2026年6月8日、米SECに上場申請書類(S-1)の草案を非公開で提出したと発表しました(二次報道による。OpenAIの公式発表文は確認できていません)。Fortune(2026年8月)は、DeepMindの社員の話として「上場前の研究所に移る人が多い」と伝えました。上場前に入社すれば、株式の値上がりの恩恵を受けやすくなります。シャジール氏に当てはまるかどうかは確認できていません。

理由3:AI人材市場の構造的変化

カリフォルニア州では、競業避止の合意は原則として無効です(Business and Professions Code §16600)。これは移籍の「理由」ではなく、移籍を「止められない」背景です。資金の豊富なラボ同士が研究者を引き抜き合っても、雇用主の側には契約で引き留める手段がほとんどありません。


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GoogleのGeminiプロジェクトへの影響|確認済みの事実と推測を分ける

シャジール氏の移籍だけで、Geminiの開発が止まったわけではありません。 ただ、移籍の後にDeepMindの体制が大きく変わり、Geminiの次期モデルの出し方も予定と違う形になりました。Googleはシャジール氏の移籍と開発への影響の関係を公式には認めていないため、因果関係は断定できません。

Geminiを組み込んだGoogle検索のAIモードの画面

出典: Google AI 公式サイト

移籍後に起きたこと(時系列)

日付

出来事

2026年5月19日

Google I/OでGemini 3.5 Proを予告(「来月」提供としていた)

2026年6月18日

シャジール氏がOpenAIへの移籍を表明

2026年6月19日

AlphaFoldで知られるジョン・ジャンパー氏(ノーベル化学賞受賞者)がDeepMindからAnthropicへの移籍を表明

2026年6月22日

移籍が続いた後の最初の取引日に、Alphabet株が一時約7%下落。終値は5.08%安

2026年7月

Gemini 3.5 Proが予定日を過ぎても提供されず

2026年8月5日

DeepMindの体制刷新。 デミス・ハサビス氏はCEOを離れDeepMindの会長に。コライ・カヴクチュオール氏がSVPとして日々の運営とGeminiの開発を統括。ジェフ・ディーン氏とオリオル・ヴィニャルス氏はGoogleを退社し、新会社Discovery Loopを共同創業

2026年9月30日

Gemini 4 Argonを発表し、サイバー防御の協力企業へ先行提供。Gemini 3.5 Proは出さないと報じられた

2026年10月13日

Gemini 4 Argonを一般提供

体制刷新の詳細はGoogle DeepMind体制刷新を解説|ハサビス氏が会長へ・ジェフ・ディーン氏退社とDiscovery Loop設立、Gemini 3.5 Proの経緯はGemini 3.5 Proはいつ?延期理由と最新状況で解説しています。

確認済みの事実と、報道・推測を分けると

確認済みの事実

  • Googleはシャジール氏の貢献に感謝すると回答した(Reuters)
  • Geminiの当初の共同リード3人(シャジール氏、ディーン氏、ヴィニャルス氏)は、2026年8月までに全員Googleを去った
  • 現在、Geminiのモデル開発はカヴクチュオール氏が統括している
  • Gemini 4 Argonは2026年10月13日に一般提供された

報道・推測ベースの情報

  • Gemini 3.5 Proを出さないというGoogleの回答は、確認できた情報源が限られる
  • FortuneはDeepMind内部の士気の低下や燃え尽きを報じたが、Googleは人材を引きつける力に自信を示している
  • シャジール氏の移籍が開発の遅れにどれほど響いたかは、外からは判断できない

Business Insider Japanは「Googleは劣勢」と報じた一方で、「GoogleのAIは終わり」という見方はこれまで何度も外れてきたとも指摘しています。GoogleはAnthropicにも多額を投資しており、人材の流出がそのまま事業の負けにつながるとは限りません。


AI人材争奪戦の全体像|OpenAI・Google・Anthropicの争い

2026年の人材移動で目立つのは、Googleから人が出ていく流れです。 行き先はOpenAIとAnthropicが中心で、Googleの幹部が独立する例も出ました。

AI人材争奪戦をイメージしたデータ可視化のグラフィック

2026年の主な人材移動

時期

人物

移動元 → 移動先

補足

2026年2月

デイヴィッド・シルバー氏

Googleを退社

AlphaGoの開発を率いた研究者

2026年5月19日

アンドレイ・カルパシー氏

独立(Eureka Labs)→ Anthropic

OpenAI創設メンバー。事前学習の研究を担当

2026年6月18日

ノーム・シャジール氏

Google → OpenAI

AIアーキテクチャ研究のリード

2026年6月19日

ジョン・ジャンパー氏

Google DeepMind → Anthropic

ノーベル化学賞受賞者。役職は未公表

2026年6月

ジョナス・アドラー氏、アレクサンダー・プリッツェル氏

Google DeepMind → Anthropic

AlphaFoldに関わった研究者

2026年6月

ディーン・ボール氏

元ホワイトハウスAI政策担当 → OpenAI

Strategic Futuresチームを率いる

2026年8月5日

ジェフ・ディーン氏、オリオル・ヴィニャルス氏ほか

Google → Discovery Loop(共同創業)

サンジェイ・ゲマワット氏、クオック・レー氏も参加

カルパシー氏の移籍はアンドレイ・カルパシー Anthropic入社とは、6月に続いたDeepMindからの移籍はGoogle DeepMind 人材流出2026とは?で詳しく扱っています。

なぜこれほど激しいのか|カリフォルニア州法の影響

カリフォルニア州では、競業避止の合意は原則として無効です。Googleが研究者のOpenAI入社を契約で禁じることはできず、OpenAIの社員がAnthropicへ移るのも止められません。主要なAIラボがシリコンバレーに集まっていることも、人の動きを速くしています。

そこに、上場前の株式の魅力や、数千万ドル規模と報じられる報酬が加わります。引き留めには、報酬・研究環境・製品に出せるスピードのすべてが要る状況です。

Anthropicの台頭

2026年の移籍で最も多くの人を受け入れたのはAnthropicです。カルパシー氏、ジャンパー氏に加え、AlphaFoldに関わった研究者も移りました。一方のOpenAIは、Transformerの共同発明者であるシャジール氏を迎え、モデル構造の研究を強めています。各社のツールの違いは生成AIツールの特徴・料金・選び方まとめで比べられます。


OpenAI IPOとの関係|IPO前の「人材ブランディング」という側面

OpenAIの上場は、現時点では2026年中にはないとみられています。 2026年6月8日にS-1草案を非公開で提出したと発表した後、9月にはアルトマン氏が「2026年ではないと思う」と述べ、CFOのサラ・フライヤー氏も社内で「2027年には上場企業になる」と話したと報じられました(いずれも二次報道で、原文は確認できていません)。上場日は公式には決まっていません。

上場を控えた会社にとって、著名な研究者の採用は技術力を外に示す材料になります。Transformerの共同発明者を迎えたことは、投資家に向けたメッセージとしても読めます。ただし、OpenAIが採用の狙いをそう説明したわけではありません。上場申請の経緯はOpenAI IPO S-1機密提出とは?で解説しています。


日本企業・AI利用者への影響|Gemini・ChatGPTのどちらを使っているかで変わる

OpenAI公式のPython SDK(OpenAI APIを使うためのライブラリ)のGitHub画像

出典: OpenAI公式 GitHub(openai/openai-python)

一人の研究者の移籍で、いま使っているサービスの料金や機能がすぐに変わることはありません。 影響が出るとすれば、各社の次のモデルがいつ、どんな性能で出てくるかという中長期の話です。

利用しているもの

今すぐ変わること

変わらないこと

注視すること

Gemini・Google AI Studio・Vertex AI

移籍による直接の変更はない

現行モデルの提供・API

Gemini 4 Argonの導入期間の料金は2026年11月30日まで。以降は値上げ予定

ChatGPT・OpenAI API

移籍による直接の変更はない

現行の料金・プラン

シャジール氏が関わる研究が、次世代モデルの性能やコストにどう表れるか

Character.AI

2026年10月12日に破産手続き(Chapter 11)を申請

サービスと有料サブスクは当面継続

資産の売却先と、利用者データの扱い

Claude(Anthropic)

直接の影響はない

現行の料金・プラン

Anthropicに移った研究者の成果

Googleのサービス(Gemini・Google AI Studio・Vertex AI)利用者

Googleの最上位モデルは、2026年10月13日に一般提供されたGemini 4 Argonです。Google公式ブログによると、API料金は導入期間中が100万トークンあたり入力2ドル/出力10ドル(キャッシュした入力は95%引き)で、2026年11月30日の導入期間終了後は入力4ドル/出力20ドルになります。GeminiアプリではGoogle AI ProとUltraの契約者が使えます。

開発体制が変わった直後なので、次のモデルが予告どおりに出るかは引き続き見ておく価値があります。モデルの詳細はGemini 4 Argonとは?いつから使えるか・API料金・性能比較、Gemini全体はGeminiとは?機能・料金プラン・ChatGPTとの違い・使い方にまとめています。

OpenAI(ChatGPT・OpenAI API)利用者

シャジール氏の得意分野は、モデルを大きくしても計算コストを抑える設計です。うまくいけば、OpenAIの次世代モデルの性能や推論コストに表れる可能性があります。ただし担当プロジェクトは公表されておらず、いつ何に反映されるかは分かりません。現行のChatGPTの料金やモデルはChatGPTとは?料金プラン・できること・モデル・使い方、Geminiとの違いはChatGPT vs Gemini 比較で確かめられます。

業務でGeminiやOpenAI APIを使っている企業は、一つのモデルに作り込みすぎず、新しいモデルが出たら差し替えて試せる構成にしておくと、各社の開発ペースの変化に振り回されにくくなります。新しいモデルを自社の業務システムに組み込むときの進め方と費用の目安は、AI開発の費用相場【2026年10月】AI受託開発の改修・PoC・本開発の価格と見積の内訳で整理しています。

Character.AI(キャラAI)利用者

Character.AIは2026年10月12日、米デラウェア州で破産手続き(Chapter 11)を申請しました。 シャジール氏の移籍とは直接の関係はありませんが、同氏が創業した会社の大きな転機です。

公式ブログによると、裁判所の監督のもとで資産を売却する手続きで、サービスと有料サブスクリプションは当面続きます。売却は2026年11月末〜12月初めに終わる見込みで、買い手が見つからなければサービスは終了します。Disneyが一部の知的財産の非独占ライセンスを2,000万ドルで求める最初の入札者になっています。

利用者データについて、Character.AIは個人情報をプライバシーポリシーに沿って保護していると説明しており、アカウントの削除とデータのエクスポートはアプリやWebから行えます。40州の司法長官が、売却される消費者データの保護を求める通知を出しました。残しておきたい会話がある人は、早めにエクスポートしておくと安心です。経緯はCharacter.AIとDisneyの取引とCharacter AI 訴訟まとめ 2026で解説しています。


この出来事を押さえるべき人・そうでない人

このニュースは、AIのモデル開発や業界の力関係に関わる人ほど意味が大きくなります。日々AIツールを使うだけなら、すぐに何かを変える必要はありません。

こんな方にとって注目すべきニュース

  • GeminiやOpenAI APIを業務で使っている技術担当者・経営者:次のモデルが出る時期や性能の見通しに関わるため
  • AIエンジニア・研究者:トップ研究者の動きは、モデル構造の研究がどこへ向かうかを読む手がかりになる
  • AI関連企業への投資に関心がある人:OpenAIの上場やAlphabet株の値動きと結びついた話題のため
  • AI業界の動向を追うメディア・コンサルタント:GoogleとOpenAI、Anthropicの力関係の変化を象徴する出来事のため
  • Character.AIの利用者:創業者の動きと、破産手続き中のサービスの行方を合わせて把握しておきたい人

そこまで影響を受けない方

  • ChatGPTやGeminiを日常的に使うだけの人:現時点で機能・料金・使い勝手に変化はない
  • Claudeを主に使っている人:直接の影響はない(ただしAnthropicは2026年に研究者を多く迎えている)
  • 特定のモデルに依存しない社内ツールを使っている人:モデルの入れ替えで対応できるため、急いで見直す必要は薄い

よくある質問(FAQ)

Q. ノーム・シャジールはいつOpenAIに移籍しましたか?

本人がXで移籍を表明したのは、日本時間で2026年6月18日です(米国では6月17日夕方に報道)。実際の入社日は公表されていません。一部のサイトが「6月20日」「6月22日入社」としていますが、裏付けは見つかっていません。

Q. OpenAIではGPT-6を作るのですか?

分かっていません。公表されているのは「AIアーキテクチャ研究のリード」という役職だけで、担当モデルは明かされていません。「GPT-6の設計を担う」という記述は一部メディアの推測です。

Q. なぜGoogleは27億ドルも払ってシャジールを呼び戻したのに、2年で失ったのですか?

2024年の取引は、Character.AIの技術ライセンスと人材の受け入れを組み合わせたもので、本人を長く縛る契約ではありませんでした。カリフォルニア州では競業避止の合意が原則として無効なため、移籍を契約で止める手段も限られます。Axiosは、こうした取引で迎えた人材は引き留めの期間が終われば出ていけるという限界を指摘しています。

Q. シャジールの移籍とCharacter.AIの破産申請は関係がありますか?

直接の関係は示されていません。シャジール氏は2024年にGoogleへ移った時点でCharacter.AIの経営から離れています。破産申請は2026年10月12日で、移籍から約4か月後のことです。

Q. Geminiは今後も使い続けて大丈夫ですか?

現時点では問題ありません。2026年10月13日にGemini 4 Argonが一般提供され、APIも使えます。ただし導入期間の料金は11月30日までで、その後は値上げされる予定なので、APIで大量に使う企業は費用の見積もりを見直しておくとよいでしょう。

Q. Gemini共同リードの3人は今どこにいますか?

シャジール氏はOpenAI、ジェフ・ディーン氏とオリオル・ヴィニャルス氏は2026年8月にGoogleを退社し、Discovery Loopを共同創業しました。GoogleのGemini開発は、現在はコライ・カヴクチュオール氏が統括しています。

Q. Andrej KarpathyとNoam Shazeerの動きは関連していますか?

直接のつながりは確認されていません。カルパシー氏は2026年5月にAnthropicへ、シャジール氏は6月にOpenAIへ移りました。どちらも、トップ研究者をめぐる各社の争いが激しくなっていることの表れと受け止められています。AIエージェントを含む研究の流れはAIエージェントとは?仕組み・活用事例・主要ツールでも解説しています。


まとめ|シャジールのOpenAI転籍が示すAI業界の構造変化

ノーム・シャジール氏のOpenAI移籍は、1人の転職にとどまらず、2026年のGoogleの人材流出の起点になった出来事です。

  • 2026年6月18日(日本時間)に移籍を表明。OpenAIでの役職は「AIアーキテクチャ研究のリード」で、担当モデル・入社日・報酬は未公表
  • 移籍の理由は公式には説明されていない。上場前の株式の魅力やGoogleの出遅れは報道ベースの見方
  • 移籍後、ジャンパー氏らのAnthropic移籍、Alphabet株の下落、8月のDeepMind体制刷新が続き、Geminiの当初の共同リード3人は全員Googleを去った
  • GoogleはGemini 4 Argonを10月13日に一般提供。API料金は11月30日の導入期間終了後に上がる予定
  • OpenAIの上場は2027年になるとの報道がある(上場日は公式には未定)
  • 創業したCharacter.AIは10月12日に破産手続きを申請。サービスは当面続くが、データのエクスポートを済ませておくと安心

いま使っているAIサービスがすぐに変わるわけではありません。気にすべきは、シャジール氏が関わるOpenAIの次世代モデルと、新体制のGoogleがどんな次のモデルを出すかです。


出典・参考情報

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AI革命

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