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DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expとは?DeepSeek初の画像入力対応モデルの料金・V4-Flashとの違い・使い方【2026年8月最新】

公開日: 2026/08/21
DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expとは?DeepSeek初の画像入力対応モデルの料金・V4-Flashとの違い・使い方【2026年8月最新】

この記事のポイント

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expは2026年8月21日にAPI限定公開されたDeepSeek初の画像入力対応モデル。画像1枚最大384トークンの課金ルール、V4-Flashと同額の料金、実効約800×800の解像度制約、3つの画像入力方式と使い方を公式一次情報ベースで整理します。

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expは、中国・杭州のDeepSeekが2026年8月21日にAPI限定で公開した、実験的(Experimental)な画像入力対応モデルです。テキスト性能はV4-Flashと同等のまま画像を読めるようになったモデルで、料金はV4-Flashと完全に同額、画像は1枚あたり最大384トークンとして入力トークンに合算されます。

つまり、追加の「画像単価」は存在しません。オフピーク・キャッシュミス時の入力単価$0.22/100万トークンで計算すると、画像1枚あたり約$0.0000845、1ドルで約11,800枚という水準です。DeepSeekがこれまでテキスト専用だったことを考えると、コスト構造を変えずに視覚入力が足された、というのがこのリリースの本質になります。

DeepSeek API ドキュメントのイメージ

出典: DeepSeek API Docs 公式

この記事でわかること

  • DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expの正確な位置づけと、モデル名のExpが意味すること
  • 公式が掲載したベンチマーク9項目の全数値と、V4-Flash/V4-Proと比較できる範囲・できない範囲
  • 画像トークンの計算ルール(1枚384トークン上限・実効約800×800へのリサイズ)
  • 2026年8月16日に始まったピーク/オフピーク料金を織り込んだ現行料金と、日本時間での注意点
  • 画像1枚・1万枚あたりの具体的なコスト試算
  • 3つの画像入力方式(Base64・外部URL・Files API)とコード例、detailパラメータの使い分け
  • 公式に明記された制限(userメッセージ限定、対応モデル限定、FIM非対応など)
  • V4-Flash/V4-Pro/Vision-Expの使い分け(V4-Proは画像入力に非対応という盲点を含む)
  • オープンウェイト公開の現状と、Hugging Face上のサードパーティ配布との区別
  • 画像を中国のサーバーへ送るという、テキストAPI以上に重い実務論点

APIでマルチモーダル処理のコストを設計しているエンジニア、OCR・図表解析・スクリーンショット処理の実行モデルを選定している開発チーム、中国系AIモデルの業務利用可否を審査する情報システム部門に向けた記事です。DeepSeekというサービス自体の基礎からたどりたい場合はDeepSeekとは?特徴・料金・使い方・ChatGPTとの違い、ベースとなったテキストモデルはDeepSeek V4 Flash 0731とは?が入口になります。

3行で押さえるDeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp

  1. DeepSeek初の、API経由で画像を渡せるモデル。 これまでV4-Flash・V4-Proはテキスト専用で、画像を投げると400エラーでした。Vision-Expだけが画像入力を受け付けます。
  2. 料金はV4-Flashと1セントも変わらない。 入力・出力・キャッシュヒット単価・同時実行上限(2,500)まで同一で、画像はテキストと同じ入力トークンとして合算課金されます。画像は1枚最大384トークンなので、コストへのインパクトは想像より小さくなります。
  3. ただしExp=実験的モデル。 仕様変更や提供終了の可能性を前提に扱う必要があり、実効解像度が約800×800相当に固定される点も用途を選びます。高精細なOCRを期待して採用すると外します。

用途としては、大量のスクリーンショットや図表を安価に処理したいエージェント・バッチ処理向けのモデルです。逆に、A4書類1ページを丸ごと高精度にOCRしたい、SLAが要る本番基幹に組み込みたい、という要件には現時点では向きません。

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expの基本スペック

総パラメータやアーキテクチャの詳細は公式が公表しておらず、公開されているのはAPI仕様と一部ベンチマークだけです。 現時点(2026年8月22日)で公式ドキュメントから確認できる仕様を整理します。

項目

内容

正式モデル名

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp

APIモデルID

deepseek-v4-flash-vision-exp

開発元

DeepSeek(深度求索/中国・杭州)

公開日

2026年8月21日

位置づけ

実験的(Experimental)なマルチモーダル視覚理解モデル

提供形態

DeepSeek API Platformのみ(第三者経由ではOpenRouterでも提供)

コンテキスト長

1,048,576トークン(1M)

最大出力

384,000トークン

推論モード

思考モード(デフォルト)/非思考モードの両対応

入力

テキスト+画像(JPEG/PNG/GIF/WebP)

出力

テキストのみ(画像生成は非対応)

API同時実行上限

2,500(V4-Flashと同じ。V4-Proは500)

対応エンドポイント

Chat Completions(OpenAI互換)/Messages(Anthropic互換)/Responses API

対応機能

JSON Output/Tool Calls/Chat Prefix Completion(Beta)

非対応機能

FIM Completion(Beta)、画像生成、動画・音声入力

オープンウェイト

未公開(公式Hugging Faceに該当リポジトリなし)

パラメータ数について、OpenRouterのモデルページには「総284B/アクティブ13B」という記載があります。これはV4-Flash-0731と同じ数字であり、同系統のベースであることを示唆しますが、DeepSeek公式はVision-Expのパラメータ数を公表していません。仕様書に書く用途であれば「公式未公表」として扱うのが安全です。

モデル名の「Exp」が意味すること

ExpはExperimental(実験的)の略で、DeepSeekは過去にも同じ命名を使っています。DeepSeek-V3.2-Exp(2025年9月29日)→ DeepSeek-V3.2 正式版(2025年12月1日)という流れがその前例です。

このパターンを当てはめると、「実験的に公開してフィードバックを集め、その後に正式版へ移行する」という展開が考えられます。ただしVision-Expについて公式のロードマップ言及は一切ありません。あくまで過去の命名慣行からの推測であり、正式版化やオープンウェイト公開が約束されているわけではない、という理解が必要です。

実務的には、Expが付いている間は次の前提で設計するのが妥当です。

  • SLA・可用性保証は期待しない
  • 後方互換性のない仕様変更が入り得る
  • 提供終了の可能性を残し、フォールバック先(テキストのみでの処理経路や他社ビジョンモデル)を用意しておく

何が新しいのか|公式の主張とベンチマーク

DeepSeek公式サイトのイメージ

出典: DeepSeek 公式サイト

公式の主張は2点に集約されます。「テキスト能力はV4-Flashと同等」「視覚を要するエージェントタスクでは大きく前進し、Opus-4.8に近い水準」です。

公式Change Log(2026年8月21日)に掲載された数値を、V4-Flash-0731・V4-Pro-0813と並べて整理します。

ベンチマーク

Vision-Exp

V4-Flash-0731

V4-Pro-0813

Terminal Bench 2.1

83.9

82.7

87.9

NL2Repo

57.7

54.2

61.5

DeepSWE

59.3

54.4

62.7

DSBench-Hard

63.6

59.6

67.2

AutomationBench(Public)

25.7

25.1

31.8

Agents' Last Exam

27.3

25.2

25.7

ApexBench(Pass@1)

36.5

Chartography(図表理解)

64.3

ZeroBench(Pass@5・視覚推論)

35.0

数値の並びだけでは見落としやすい点を補足します。

1. テキスト系6項目すべてでV4-Flashをわずかに上回っている。 ただし差は0.6〜4.9ポイントで、「同等」という公式表現と矛盾しない範囲です。Vision対応のために推論能力が落ちる、いわゆるマルチモーダル化のトレードオフは、少なくとも公式数値上は見られません。

2. V4-Proには依然として届かない。 Agents' Last Exam(27.3対25.7)を除く5項目でV4-Proが上回ります。「画像も読めて最強」ではなく、あくまでFlash系の性能帯にVisionが足されたという位置づけです。

3. 視覚系3項目(ApexBench・Chartography・ZeroBench)には比較対象がない。 これらはVision-Expにしか数値が存在せず、公式にV4-Flash/V4-Proとの直接比較はありません。他社モデルとの並列比較も公式表には掲載されていないため、「Chartography 64.3が高いのか低いのか」は公式情報だけでは判断できないというのが正直なところです。

4. 測定条件に注意。 公式注記によれば、Code Agent系のテキストタスクはDeepSeek Harnessのminimalモード、effort=max、top_p=0.95、temperature=1.0で測定されています。さらにApexBenchとAgents' Last Examでは、比較対象のV4-Flashがマルチモーダル要素を無視して回答しているため、Vision-Exp側が構造的に有利になる条件での比較です。この2項目の差を額面どおり受け取るべきではありません。

なお公式が比較対象に挙げているClaude Opus 4.8は2026年5月のモデルであり、Anthropicの現行フラッグシップではありません。「Opus-4.8に近い」という表現は、最新フロンティアモデルに並んだという意味ではない点に注意が必要です。

画像はどう課金されるのか|1枚384トークンの計算ルール

画像は独立した単価ではなく、テキストと同じ入力トークンとして合算課金され、1枚あたりの上限は384トークンです。 これがこのモデルのコスト構造を理解する上で最も重要なルールになります。

公式のVisionガイドに記載されているリサイズ規則は次のとおりです。

  • 推論の前に、すべての画像が自動的にリサイズされる
  • 総ピクセル数が概ね 384×384未満の画像 → アスペクト比を保ったまま拡大
  • それより大きい画像 → アスペクト比を保ったまま縮小し、総ピクセル数が概ね800×800相当になるよう調整
  • 結果として、1枚あたりの消費は最大384トークン

つまり、2000×2000pxの画像も5000×5000pxの画像も、消費トークンは同じです。事前に高解像度で送っても課金は増えませんが、同時に精度も上がりません。ここが実務上の分かれ目になります。

複数画像を送った場合は、それぞれ独立に同じルールで計算されます。まとめ割引のような仕組みはありません。

公式は「Token & Token Usage」ページに幅・高さを入力する画像トークン計算機を用意していますが、算出値はあくまで概算で、実際の課金トークン数はAPIレスポンスのusageが正と明記しています。見積もりを固める際は、代表的な画像を数枚投げてusageを実測するのが確実です。

実効解像度は約0.64メガピクセル

800×800相当ということは、実効解像度は約64万画素です。スマートフォンの写真が1200万画素前後であることを踏まえると、元画像の情報の大半は推論前に落ちていると考えるべきです。

この制約が効いてくる具体例を挙げます。

用途

相性

理由

UIスクリーンショットの状態判定

良い

ボタン・ダイアログ・エラー表示は縮小しても判別できる

グラフ・チャートの傾向読み取り

良い

公式もChartographyで64.3を掲示している領域

写真の内容説明・分類

良い

細部を必要としない

見出し・大きめの文字のOCR

条件付き

文字サイズ次第。実測が必要

A4書類1ページ全体のOCR

厳しい

800×800相当では本文の小さな文字が潰れやすい

図面・回路図・細かい表の読み取り

厳しい

同じく解像度が足りない

Hacker Newsの議論(2026年8月21日・322ポイント)でも、この800×800制約が「多くのユースケースを潰す」という指摘が複数出ています。ただしこれは個人の所感であり、公式・第三者ともに日本語OCRの精度を計測したデータは現時点で確認できていません。日本語書類を扱う予定なら、自前で評価セットを作って測るしかない、というのが実情です。

実効解像度の制約を回避する実務的な工夫

高解像度が必要な処理をどうしてもVision-Expで回したい場合、次の3つが現実的な回避策になります。

  1. 画像を分割して複数枚として渡す — A4書類を4分割すれば、1領域あたりの実効解像度は単純計算で4倍になります。1リクエストで最大600枚まで渡せるため、分割数の制約は緩やかです。ただし枚数×384トークンぶんコストは増え、15枚以上を含むリクエストでは最大寸法が1辺4,096pxに下がる点に注意が必要です。
  2. detail: lowとの使い分け — 精度が不要な判定(画像が何のカテゴリか、エラー画面かどうか等)はlowで512×512に落とし、必要な画像だけoriginalで処理します。
  3. 他モデルへのルーティング — 高精細OCRが必要な処理だけ他社ビジョンモデルへ振り分け、それ以外をVision-Expで処理する二段構成にします。コスト差が10倍以上あるため、全体の9割を安価に処理できれば効果は大きくなります。

料金|V4-Flashと完全同額、ただしピーク帯は2倍

OpenRouterのDeepSeekモデル一覧ページのイメージ

出典: OpenRouter 公式サイト

Vision-Expの単価は、V4-Flashとすべての項目で同一です。 2026年8月16日16:00 UTCから導入されたピーク/オフピーク制がそのまま適用されます。

単価(100万トークンあたり・USD)

deepseek-v4-flash

deepseek-v4-flash-vision-exp

deepseek-v4-pro

入力(キャッシュヒット)/オフピーク

$0.007

$0.007

$0.022

入力(キャッシュヒット)/ピーク

$0.014

$0.014

$0.044

入力(キャッシュミス)/オフピーク

$0.22

$0.22

$0.66

入力(キャッシュミス)/ピーク

$0.44

$0.44

$1.32

出力/オフピーク

$0.66

$0.66

$1.98

出力/ピーク

$1.32

$1.32

$3.96

同時実行上限

2,500

2,500

500

画像入力

非対応

対応

非対応

日本の業務時間はほぼピーク帯に重なる

ピーク時間帯は01:00–04:00 UTCおよび06:00–10:00 UTCで、それ以外がオフピーク(ピークの半額)です。日本時間(UTC+9)に直すと次のようになります。

区分

UTC

日本時間(JST)

ピーク(通常単価)

01:00–04:00

10:00–13:00

ピーク(通常単価)

06:00–10:00

15:00–19:00

オフピーク(半額)

ピーク帯以外

13:00–15:00、19:00–翌10:00

つまり日本の一般的な業務時間帯(10時〜19時)のうち、7時間がピーク帯に該当します。 対話的に使う分には気になりませんが、バッチ処理・定期ジョブを日中に組んでいると、そのまま単価が2倍になります。夜間や早朝にスケジュールを寄せるだけで入力・出力とも半額になるため、大量処理では真っ先に検討すべき調整点です。料金改定の背景はDeepSeek API値上げが確定|8月17日適用の新料金で詳しく整理しています。

画像1枚・1万枚あたりのコスト試算

画像入力ぶんだけを取り出して計算します(オフピーク・キャッシュミスの$0.22基準)。

条件

計算

金額

画像1枚(オフピーク)

384トークン × $0.22 ÷ 1,000,000

約$0.0000845

画像1枚(ピーク)

384トークン × $0.44 ÷ 1,000,000

約$0.000169

1ドルで処理できる枚数(オフピーク)

$1 ÷ $0.0000845

約11,800枚

1ドルで処理できる枚数(ピーク)

$1 ÷ $0.000169

約5,900枚

画像10,000枚(オフピーク)

3,840,000トークン相当

約$0.84(約130円)

画像10,000枚(ピーク)

3,840,000トークン相当

約$1.69(約260円)

※1ドル=約155円で換算した参考値です。

この試算はあくまで画像トークンぶんのみで、プロンプト本文と出力トークンは別途かかります。実際には出力側が支配的になるケースが大半で、画像を10枚渡しても3,840トークン(オフピークで約$0.00084)にしかならない一方、思考モードで長文出力を返せばそちらのほうが桁違いに高くつきます。「画像を送るとコストが跳ね上がる」という直感は、このモデルには当てはまりません

他社ビジョン対応モデルとの単価感

参考として、テキスト入出力単価ベースで並べます。他社の単価は2026年8月時点で公開されている値をもとにした参考情報であり、採用判断の前には各社公式の料金ページで再確認してください(特に画像入力に別レートを設けているベンダーがあります)。

モデル

入力/100万トークン

出力/100万トークン

画像入力の扱い

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp

$0.22(オフピーク)〜$0.44(ピーク)

$0.66〜$1.32

最大384トークン/枚で入力に合算

DeepSeek-V4-Pro

$0.66〜$1.32

$1.98〜$3.96

非対応

Claude Opus 4.8

$5.00

$25.00

入力トークンに合算

Gemini 3.6 Flash

$1.50

$7.50

画像に別レートを設定(要公式確認)

GPT-5.6 Luna

$0.20

$1.20

入力トークンに合算(要公式確認)

入力単価で見るとClaude Opus 4.8の約11〜23分の1、出力でも約19〜38分の1です。公式が「マルチモーダルエージェント性能はOpus-4.8に近い」と主張している以上、このモデルの評価軸は絶対性能ではなく性能/価格比にあります。Gemini 3.6 Flashのような他社の低価格帯モデルと比べても、テキスト入力単価では優位です。

使い方|3つの画像入力方式

DeepSeek公式GitHubリポジトリのイメージ

出典: deepseek-ai/DeepSeek-V3 公式GitHubリポジトリ

画像の渡し方はBase64インライン・外部URL・Files APIの3通りで、エンドポイントはOpenAI互換/Anthropic互換/Responses APIのいずれも使えます。

方式

指定方法

サイズ上限

向いているケース

Base64インライン

data: URLとして埋め込む

リクエストボディ48 MiBに算入、単一画像32 MiB

単発処理・ローカル画像

外部URL

http(s)のURLを渡す

URL 8,192文字以内、画像32 MiB、ダウンロード60秒以内

既にCDN等に画像がある場合

Files API

file_idで参照

1ファイル64 MiB

同じ画像を複数リクエストで再利用する場合

OpenAI互換エンドポイントでの基本形

エンドポイントはhttps://api.deepseek.comで、既存のOpenAI SDKのベースURLとモデル名を差し替えるだけで動きます。

from openai import OpenAI

client = OpenAI(api_key="YOUR_API_KEY", base_url="https://api.deepseek.com")

resp = client.chat.completions.create(
    model="deepseek-v4-flash-vision-exp",
    messages=[{
        "role": "user",
        "content": [
            {"type": "text", "text": "このグラフから読み取れる傾向を3点で説明してください。"},
            {"type": "image_url", "image_url": {
                "url": "https://example.com/chart.png",
                "detail": "original"
            }},
        ],
    }],
)
print(resp.usage)  # 実際に消費したトークンはここで確認する

Anthropic互換エンドポイント(https://api.deepseek.com/anthropic)を使う場合はimageブロックを使い、source.typebase64 / url / fileのいずれかを指定します。Responses APIではinput_imageコンテンツパートを使います。既存のOpenAI/Anthropic向けコードをほぼそのまま流用できるのは、導入検証の速さという点で実務的なメリットです。

detailパラメータで解像度とコストを調整する

image_url形式で画像を渡すときのみ、detailを指定できます。

挙動

使いどころ

low

512×512に縮小してから推論

高速・低コスト。分類や粗い判定

high

元画像を維持(originalと等価。互換目的の別名)

細部が必要な処理

original

元画像を維持

細部が必要な処理

auto

自動選択(現状はoriginalと同等の挙動)

指定を省略する場合

なおoriginalを指定しても、推論前の自動リサイズが働くため実効解像度は約800×800相当までしか上がりません。detailは「800×800まで使うか、512×512に落とすか」の切り替えだと理解しておくと誤解がありません。

Files APIは無料、ただしデフォルトは無期限保存

Vision-Expと同日にリリースされたFiles API(POST /filespurpose=user_data)は、利用自体が無料です。一度アップロードすればfile_idで何度でも参照でき、同じ画像を繰り返し使うワークフローではリクエストサイズを大幅に減らせます。ただしリクエストで参照した画像のトークンは通常どおり課金されます。

項目

1ファイル最大サイズ

64 MiB(アップロードは10分以内)

ファイル名長

512文字

ユーザーあたり保存容量

25 GiB

ユーザーあたり保存ファイル数

10,000件

有効期限

1時間〜30日、または無期限

運用上の注意は2点です。expires_afterを省略すると無期限で保存され続けます。 業務利用では明示的に有効期限(3600秒〜2,592,000秒)を設定するか、DELETE /files/{file_id}で削除する運用を組み込むべきです。もう1点は容量・件数の上限で、10,000件・25 GiBに達するとアップロードが通らなくなるため、長期運用ではクリーンアップのジョブが必須になります。Anthropic互換版のFiles APIを使う場合はanthropic-beta: files-api-2025-04-14ヘッダが必要です。

DeepSeek Harness・OpenRouterからの利用

HuggingFaceのDeepSeek-AI公式組織ページのイメージ

出典: HuggingFace deepseek-ai 公式組織ページ

公式エージェント基盤のDeepSeek Harnessdsh)は、リリース当日に対応しています。

  • dsh v0.1.1-rc.1(2026年8月21日)— DeepSeekアダプタにDeepSeek-V4-Flash-Vision-Expを追加
  • dsh v0.1.1-rc.2(同日)— Files API優先アップロードと、画像の自動リサイズ/形式変換を追加

つまりHarness側で画像のサイズ調整とアップロード先の最適化まで面倒を見てくれるため、エージェント用途で試すなら最短ルートです。その1つ前のv0.1.0-rc.8(8月19日)では/goal/planが画像入力に対応しており、画面キャプチャを渡して作業計画を立てさせるという使い方が想定されていることがわかります。

第三者経由ではOpenRouterでも提供されています。複数モデルを1つのAPIキーで切り替えて比較したい場合は選択肢になりますが、ルーティング先によってレイテンシやデータの取り扱いが変わる点は公式API利用時と分けて考える必要があります。

できないこと・制限事項

公式ドキュメントに明記されている制限は次のとおりです。エラーになる条件が具体的に書かれているため、実装前に押さえておくと無駄なデバッグを避けられます。

  • 画像はuserメッセージにのみ添付できる。 systemまたはassistantメッセージに画像を入れると400エラーになります。システムプロンプトに参照画像を固定で持たせる設計はできません。
  • 画像を扱えるのはdeepseek-v4-flash-vision-expだけ。 deepseek-v4-flashdeepseek-v4-proに画像を渡すと400エラー("This model does not support image")が返ります。V4-Proでも画像が使えると誤解しやすい点なので注意が必要です。
  • 予約済みの画像プレースホルダトークンを含むユーザーテキストは400エラーで拒否される。
  • FIM Completion(Beta)に非対応。 V4-Flash/V4-Proは非思考モードで利用できますが、Vision-Expは"Not supported"です。コード補完系の用途でFIMを使っている場合、そのままの置き換えはできません。
  • 画像生成・動画理解・音声入力に非対応。 あくまで「視覚理解」であり、出力はテキストのみです。
  • 実効解像度が約800×800相当に固定される。

サイズ・枚数まわりの上限も整理しておきます。

項目

対応形式

JPEG/PNG/GIF/WebP(ファイル名やMIMEタイプではなく実体から判定)

外部URL長

8,192文字

リクエストボディ

48 MiB

単一画像の最大サイズ(Base64/外部URL)

32 MiB

単一画像の最大サイズ(file_id

64 MiB

1リクエストの最大画像枚数

600枚

1リクエストの画像合計サイズ

64 MiB(file_id不使用時)/最大200 MiB(file_id含む)

最大画像寸法

1辺8,192px。15枚以上を含むリクエストでは1辺4,096px

公式には書かれていないが議論されている制約

以下はHacker Newsのスレッド(2026年8月21日)で報告されている内容で、公式ドキュメントに記述はなく、一次情報ではありません。参考として扱ってください。

  • ツール呼び出しの戻り値(tool call result)として画像を返せないという指摘があります。事実であれば、「エージェントにスクリーンショットを撮らせて自分の作業を検証させる」という現在主流のエージェントパターンには使いにくいことになります。公式ドキュメントに明示的な記述は見当たらず、現時点では未確認です。
  • アナログ時計の読み取りテストで誤答した(8:09を「5:10」と回答)という報告があります。ただし同じテストで他社上位モデルも誤答したという報告も併記されており、Vision-Exp固有の弱点とは言い切れません。
  • ランドマーク識別で誤認が多かった、という個人検証もあります。

一方で、肯定的な評価として多く挙がっていたのが「テキスト専用のV4-Flashが“画像が見えているつもり”で振る舞い、存在しない画像解析ツールの結果を捏造する」という問題が解消されたという点です。エージェントに画像を渡す経路が正式に用意されたこと自体が、実務上の意味は大きいと言えます。

V4-Flash/V4-Pro/Vision-Expの選び分け

判断は「画像入力が必要か」→「最高精度が必要か」の2段階でほぼ決まります。

比較ポイント

V4-Flash-0731

Vision-Exp

V4-Pro-0813

画像入力

非対応

対応

非対応

ステータス

正式版

実験的(Exp)

GA(正式版)

入力(キャッシュミス)

$0.22〜$0.44

$0.22〜$0.44

$0.66〜$1.32

出力

$0.66〜$1.32

$0.66〜$1.32

$1.98〜$3.96

同時実行上限

2,500

2,500

500

Terminal Bench 2.1

82.7

83.9

87.9

DeepSWE

54.4

59.3

62.7

FIM Completion

対応(非思考モード)

非対応

対応(非思考モード)

オープンウェイト

MITで公開

未公開

MITで公開

得意な用途

テキスト中心のエージェント・大量バッチ

画像を含むエージェント・図表/画面解析

難易度の高い推論・設計タスク

選び方の目安は次のとおりです。

  • 画像を扱う必要がある → Vision-Exp一択。 現時点でDeepSeekのラインナップでは他に選択肢がありません。
  • テキストのみ・コスト最優先 → V4-Flash。 料金が同じなのでVision-Expでも構いませんが、正式版であること、FIMが使えること、オープンウェイトでセルフホストできることを踏まえると、テキスト専用ならV4-Flashのほうが安心です。
  • 難易度の高い推論が中心 → V4-Pro ただし画像は渡せません。画像を含む難タスクは、DeepSeek内では現状カバーできない領域になります。
  • オンプレ・閉域で動かしたい → V4-FlashまたはV4-Pro。 Vision-Expはオープンウェイトが公開されていないため、セルフホストできません。

「V4.1」といった非公式な呼称との対応関係を整理したい場合はDeepSeek V4.1とは?V4との違いと噂の切り分け、V4シリーズ全体の設計思想はDeepSeek V4とは?性能・料金・V3との違いで扱っています。

オープンウェイトは公開されているのか

2026年8月22日時点で、Vision-Expのオープンウェイトは公開されていません。 Hugging Faceの公式アカウントdeepseek-aiに該当リポジトリは存在せず、最新はDeepSeek-V4-Pro-0813(2026年8月13日更新)のままです。

ここで注意すべき罠があります。Hugging Face上にはDeepSeek-V4-Flash-0731-Visionのような名前のリポジトリがサードパーティによって複数存在します。これらはDeepSeek公式の配布物ではありません。名前が似ているため、「オープンウェイトが公開された」と誤って紹介している情報も見かけますが、公式配布と第三者アップロードは明確に区別する必要があります。商用利用やライセンス表記の判断を、非公式リポジトリの記載に基づいて行うのは危険です。

V4-Flash-0731とV4-Pro-0813がいずれもMITライセンスで公開されている実績があるため、「Vision版も公開されるのでは」という期待はコミュニティに強くあります。ただし公式のアナウンスは現時点で一切ありません。オンプレ要件がある企業は、公開を前提に計画を立てるべきではありません。

セキュリティ|画像を中国のサーバーへ送るという判断

データセンターのネットワーク機器のイメージ

DeepSeekを業務で使う際の最大の論点はデータの保管先であり、画像はテキスト以上にこの問題が重くなります。 DeepSeekはプライバシーポリシー上、ユーザーデータを中国国内のサーバーに保管すると明記しており、準拠法・裁判管轄が中国になり得ます。この論点はDeepSeekとは?特徴・料金・使い方・ChatGPTとの違い・セキュリティリスクで詳しく整理していますが、Vision-Exp特有の追加論点が3つあります。

1. 画像は機微情報の密度が高い。 請求書、社員証、名刺、契約書のスキャン、設計図、医療画像、業務画面のスクリーンショット——いずれも氏名・住所・取引先・システム構成といった情報を、送信者が意識しないまま含みがちです。テキストであれば送信前にマスキングできますが、画像は「何が写っているか」を人間が事前に精査しないと判断できません。

2. Files APIに上げた画像はサーバー側に残る。 テキストAPIは基本的にリクエスト単位の処理ですが、Files APIは明示的なファイル保存です。しかもexpires_afterを省略すると無期限保存になります。業務利用では、有効期限の明示指定と削除ジョブをセットで設計してください。

3. オープンウェイトによる回避ができない。 テキストモデルであれば、MITライセンスのウェイトをセルフホストすることでデータの外部送信そのものを避けられます。Vision-Expはウェイトが公開されていないため、この逃げ道が存在しません。使うなら必ずDeepSeekのAPIを経由することになります。

日本国内では、2025年2月に個人情報保護委員会がDeepSeekに関する注意喚起を公表し、同月にデジタル社会推進会議幹事会事務局が各省庁向けに業務利用に関する注意喚起を発出しています(いずれも全面禁止ではなく注意喚起レベル)。API経由でも同じ論点が適用されます。

業務利用の可否を判断する目安

扱う画像

判断

公開情報のスクリーンショット、自社の公開資料の図表

利用しやすい

社内の非公開資料(個人情報を含まない)

社内規程・情報区分に照らして判断

個人情報・顧客情報を含む画像(名刺、申込書、身分証等)

避けるべき

医療画像、金融取引情報、未公開の設計情報

避けるべき

官公庁・自治体の業務データ

所管の方針を確認。原則として避ける

中国系モデル全体の勢いと採用状況の整理は中国製AIモデルがOpenRouter利用の60%超え、他社フロンティアモデルとの総合比較はDeepSeek V4とGPT-5.5の比較が参考になります。

こんな人におすすめ/おすすめしない人

おすすめできるケース

  • 大量の画像を安価に処理したい — 1万枚で約$0.84(オフピーク・画像トークンぶんのみ)という水準は、他社ビジョンモデルと桁が違います。分類・タグ付け・粗い内容判定のようなバルク処理と相性が良いモデルです。
  • エージェントに画面を見せたい — Harnessの/goal/planが画像入力に対応しており、スクリーンショットを渡して作業計画を立てさせる用途が想定されています。
  • グラフ・チャートの傾向を読ませたい — 公式がChartographyで64.3を掲示している領域で、細部の精読を求めない用途なら実用範囲です。
  • 既にDeepSeek APIを使っている — モデルIDを差し替えるだけで画像入力が足せ、単価も変わりません。テキスト性能もV4-Flash同等以上のため、移行のリスクが小さくなります。
  • OpenAI/Anthropic互換のコード資産がある — ベースURLとモデル名の変更だけで検証を始められます。

おすすめしない・慎重に判断すべきケース

  • 高精細なOCRが目的 — 実効約800×800という制約は構造的なもので、プロンプトの工夫では解決しません。A4書類の全文OCRのような用途は、分割処理を前提にしても厳しい場面が出ます。
  • 個人情報・機密情報を含む画像を扱う — データ保管先の問題が解消せず、オープンウェイトによる回避策も現時点では存在しません。
  • SLAが必要な本番基幹システムExpが付いている以上、可用性保証も後方互換性も期待できません。
  • ツール実行結果として画像を返す設計のエージェント — 対応可否が公式に明示されておらず、実装前に自前の検証が必要です。
  • FIM補完を使っている — Vision-Expは非対応のため、そのままの置き換えができません。
  • 日本語OCRの精度を数値で担保したい — 公式・第三者ともに計測データが確認できず、自前の評価セットを作る前提になります。
  • オンプレ・閉域で動かしたい — ウェイトが未公開のため、セルフホストという選択肢がありません。

よくある質問

Q. deepseek-v4-flashに画像を渡せば動きますか?
動きません。400エラー("This model does not support image")が返ります。画像を扱えるのはdeepseek-v4-flash-vision-expのみで、上位モデルのdeepseek-v4-proも画像には非対応です。

Q. 画像を送ると料金はどれくらい増えますか?
1枚あたり最大384トークンぶんの入力トークンです。オフピーク・キャッシュミスの$0.22/100万トークンで計算すると約$0.0000845、10枚渡しても約$0.00084にしかなりません。実際のコストは、思考モードで返る出力トークンのほうが支配的になります。

Q. 高解像度の画像を送れば精度は上がりますか?
上がりません。推論前に総ピクセル数が概ね800×800相当になるようリサイズされるため、それを超える情報は使われません。ただし課金も増えないため、送信側でリサイズしていなくても損はしません。細部が必要な場合は画像を分割して複数枚として渡すのが現実的です。

Q. 実際に消費したトークン数はどこで確認できますか?
APIレスポンスのusageフィールドが正です。公式は画像トークンの計算機を提供していますが、あくまで概算であり、実際の課金はusageに基づくと明記しています。

Q. Hugging Faceにある「DeepSeek-V4-Flash-Vision」というリポジトリはウェイトですか?
公式のものではありません。2026年8月22日時点で、公式アカウントdeepseek-aiにVision-Expのリポジトリは存在しません。似た名前のサードパーティ製リポジトリと混同しないでください。

Q. DeepSeekのアプリやWeb版でもVision-Expは使えますか?
公式が提供形態として明言しているのはAPI Platformのみです。2026年4月末にWeb版・アプリ版で「画像認識モード」のグレーテストが行われたという報道はありますが、それがVision-Expと同一のモデルかどうかについて公式の言明はなく、現時点では未確認です。

Q. コストを半分にする一番簡単な方法は?
バッチ処理を日本時間13:00–15:00および19:00–翌10:00に寄せることです。ピーク帯(10:00–13:00/15:00–19:00 JST)を外すだけで入力・出力とも単価が半額になります。

Q. 本番システムに組み込んでも大丈夫ですか?
Exp(実験的)モデルであるため、仕様変更や提供終了の可能性を織り込む必要があります。検証・社内ツール・非クリティカルなバッチ処理から始め、フォールバック経路を用意しておくのが妥当です。

まとめ

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Expは、テキスト性能をV4-Flash水準に保ったまま、料金を一切上げずに画像入力を足したモデルです。画像1枚あたり最大384トークンという課金ルールにより、画像処理のコストは他社ビジョンモデルと比べて桁違いに低く抑えられます。

導入判断の軸を整理すると次のようになります。

  • 画像を扱うならDeepSeek内では唯一の選択肢。 V4-Flash・V4-Proはいずれも画像非対応で、渡すと400エラーになります。
  • コストは「画像枚数」ではなく「出力トークン」で決まる。 画像1万枚で約$0.84。心配すべきは思考モードの出力量のほうです。
  • 実効解像度は約800×800相当。 高精細OCRには構造的に不利で、必要なら画像分割か他モデルへのルーティングを前提に設計します。
  • 日本時間10:00–13:00/15:00–19:00がピーク帯。 バッチをずらすだけで単価が半額になります。
  • オープンウェイトは未公開。 セルフホストでデータ主権の問題を回避する手段が、このモデルには現時点で存在しません。
  • Exp=実験的モデル。 SLAも後方互換性も期待せず、フォールバックを用意した上で使うのが前提です。

料金体系もモデルラインナップも短期間で動く領域です。採用前には公式のPricingページとChange Logを直前に確認してください。ベースモデルの詳細はDeepSeek V4 Flash 0731とは?、上位モデルとの比較はDeepSeek V4 Proとは?、エージェント基盤としての実行環境はDeepSeek Harnessとは?から辿るのが効率的です。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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