AIツール2026年5月更新

Claude Security とは?脆弱性スキャンのしくみ・Enterprise公開ベータ・CrowdStrike/Palo Alto Networks連携を徹底解説

公開日: 2026/05/01
Claude Security とは?脆弱性スキャンのしくみ・Enterprise公開ベータ・CrowdStrike/Palo Alto Networks連携を徹底解説

この記事のポイント

AnthropicがClaude Enterpriseユーザー向けに公開ベータを開始したAI脆弱性スキャンツール「Claude Security」を徹底解説。コア機能・できないこと・CrowdStrikeやPalo Alto Networksとの連携詳細・Snyk/Semgrepとの違い・導入判断の基準まで、公式情報をもとに整理します。

Claude Security は、Anthropicが2026年4月30日に全Claude Enterpriseユーザー向けに公開ベータを開始した、AIを活用したコードベースの脆弱性スキャン・パッチ生成ツールです。従来のSASTツールが前提とするパターンマッチングではなく、Claude Opus 4.7による「推論」でコードを読み解くことで、ビジネスロジック欠陥や複数ファイルにまたがる複雑な脆弱性を検出できる点が最大の特徴です。

この記事では、Claude Securityの機能・制約・プラン対応状況・CrowdStrikeやPalo Alto Networksとの具体的な統合内容・Project GlasswingとClaude Mythos Previewの位置付け・Snyk/Semgrepとの違い・データプライバシーの注意点・導入に向いている企業と向いていない企業まで、公式情報をもとに整理します。

この記事でわかること:

  • Claude Security の定義・コア機能・現時点の制約
  • CrowdStrike Falcon プラットフォーム / Palo Alto Networks Cortex XSIAM への統合の実態
  • 「Claude Security」「Project Glasswing」「Claude Mythos Preview」の3層構造の整理
  • Snyk・Semgrep との違いと、成熟したセキュリティスタックでの位置付け
  • 導入判断に必要なプラン・料金・データプライバシー情報

こんな方向けの記事です:
Claude Enterprise を契約中で Claude Security の試用を検討しているエンジニア・セキュリティ担当者、CrowdStrikeやPalo Alto Networks経由でClaude Opus 4.7を活用する可能性を探っている企業のIT担当者・CISO、AIによる脆弱性スキャンという新領域の全体像を把握したいエンジニアリングマネージャー。


Claude Security とは — 推論でコードを読む、Anthropicのセキュリティツール

Claude Security は、Anthropicが開発した「推論ベース」のコード脆弱性スキャンツールです。 2026年4月30日より、すべてのClaude Enterprise契約者が claude.ai/security から即日アクセスできるようになりました。前身は2026年2月にリサーチプレビューとして公開された「Claude Code Security」です。

従来のSASTツールはルールやシグネチャへのパターンマッチングで脆弱性を検出しますが、Claude SecurityはClaude Opus 4.7をベースにセキュリティ研究者の思考プロセスを模倣します。データフローを追跡し、コンポーネント間の相互作用を解析することで、「ルールに書けない」ビジネスロジック欠陥や複雑なマルチファイル脆弱性の発見が得意とされています。

Anthropic Claude Opus 4.7 アナウンスビジュアル

出典: Anthropic 公式

基本情報

項目

詳細

開発元

Anthropic

公開ベータ開始

2026年4月30日

前身

Claude Code Security(2026年2月 リサーチプレビュー)

利用URL

claude.ai/security(claude.aiサイドバーからもアクセス可)

対応プラン(現時点)

Claude Enterprise のみ

ベースモデル

Claude Opus 4.7

対応VCS

GitHub のみ(GitLab・Bitbucket は未対応)

主な用途

コードベースの脆弱性スキャン・レポート生成・パッチ推奨

前史の補足: 2026年2月、リサーチプレビュー段階のClaude Code Security(Opus 4.6ベース)が本番OSSコードベースから500件以上の高深刻度脆弱性を発見しました。Mozilla Firefox(C++ファイル約6,000件)のスキャンでは20分の探索でUse After Free脆弱性を含む22件を特定し、うち14件をMozillaが「高深刻度」に分類。修正の大半はFirefox 148.0に含まれています。この実績を経て、2026年4月30日に製品名が「Claude Security」に変更・拡張されました。


Claude Security でできること — 公開ベータ時点のコア5機能

1. コードベースの脆弱性スキャン

GitHubリポジトリ全体、または特定のディレクトリ・ブランチを指定してスキャンを実行できます。パターンマッチングではなく推論によって、データフローの追跡・ソースコードの読解・コンポーネント間の相互作用の解析を行います。「セキュリティ研究者がコードを読む」思考プロセスを模倣する設計です。

2. 信頼度スコア付き脆弱性レポートの生成

発見された脆弱性は信頼度スコア(confidence rating)付きでレポートに整理されます。各脆弱性の報告内容には以下が含まれます。

  • 深刻度評価
  • 悪用可能性(exploit likelihood)
  • 再現手順
  • 修正有効性評価
  • 偽陽性削減のための多段階自己検証プロセスの結果

3. パッチ推奨・修正支援

検出された脆弱性に対して、ターゲット化されたパッチ推奨案が提示されます。Claude Code on the Webとの連携により、脆弱性の確認から修正作業まで1セッション内で完結させることも可能です。ただし、すべての修正は人間のレビュー・承認が必須です。自動適用はできません。

4. スケジュール・継続監視

定期スキャンの設定が可能で、継続的なカバレッジを維持できます。特定ディレクトリへのスキャン対象絞り込みにも対応しており、大規模なモノリポでの精度向上に活用できます。

5. エクスポート・外部ツール連携

  • エクスポート形式: CSV・Markdown(既存の監査システムへのインポートに対応)
  • Webhook通知: Slack・Jira・その他ツールへのリアルタイムアラート
  • 管理者コンソール連携: Enterprise管理者コンソールからClaude Securityの有効化が可能
  • 却下理由の記録: 指摘を却下した場合の理由を文書化して永続保存できる

検出できる脆弱性の種類

Claude Security が公開ベータ時点で検出対象としている主な脆弱性カテゴリをまとめます。

カテゴリ

概要

ビジネスロジック欠陥

仕様レベルの論理的な穴。ルールベース検出では発見困難

認証・認可の不備

権限チェックの漏れ・誤った条件分岐(Broken Access Control)

SQLインジェクション(マルチファイル)

複数ファイルにまたがるインジェクションリスク

安全でないデータフロー

モジュール間での安全でないデータ受け渡し

条件付き認証バイパス

認証モジュール→外部API連携時に安全性が失われるケース

シークレット漏洩

自明でない場所に存在するAPIキー・トークン

メモリ破損・Use After Free

C/C++等のメモリ安全でない言語における欠陥(Firefox実績あり)

サンドボックスエスケープ

複数の脆弱性チェーンによる検出(※後述の注意事項を参照)

注意: サンドボックスエスケープの検出実績はProject GlasswingのClaude Mythos Preview(限定プレビュー)によるもので、公開ベータのClaude Security(Opus 4.7)とは能力の層が異なります。「3層構造の整理」のセクションで詳しく説明します。


できないこと・現時点の制約

Claude Security は推論型SASTの「補完レイヤー」です。以下のユースケースには現時点で対応していないため、既存ツールとの並列運用が前提になります。

制約

詳細

VCS対応はGitHubのみ

GitLab・Bitbucket は未対応(2026年4月時点)

SCA(依存関係CVE)は非対応

既知CVE・ライブラリの脆弱性スキャンはSnyk等が必要

DAST(動的解析)は非対応

実行環境でのテストは外部ツールが必要

コンテナスキャンは非対応

ソースコードのみが対象

完全自動修正は不可

パッチはあくまで提案。人間のレビュー・承認が前提

Team・Maxプランは現時点で未対応

「近日予定」とのみ公表。時期は未確認(2026年4月30日時点)

Snykとの補完関係: Snykは依存関係の既知CVE・コンテナ脆弱性・IaC設定ミスに強く、Claude SecurityはビジネスロジックやカスタムコードのSASTに強みを持ちます。業界コンセンサスとして「Snyk + Claude Security」の並列運用が成熟したセキュリティスタックでは推奨されています。


従来のSASTとの違い — パターンマッチング vs 推論

Claude Security の技術的な差別化ポイントは検出アプローチにあります。

パターンマッチング型(従来型SAST / Semgrep等):

  • 事前定義されたルール・シグネチャに合致するコードを機械的に検出
  • 高速・スケーラブル・CI/CDへの軽量組み込みが得意
  • ルールに書けないパターンは原理的に検出不可
  • ビジネスロジックの文脈依存脆弱性は見逃しがち

推論型(Claude Security):

  • セキュリティ研究者の思考プロセスを模倣してコードを読む
  • データフローを追跡し、コードの意図と実際の動作のギャップを探す
  • 「数十年間、専門家レビューをすり抜けてきた脆弱性」の検出実績(500件超)
  • 多段階自己検証プロセスで偽陽性を削減

Mozilla Firefox での実証事例(2026年2月): Opus 4.6を使いFirefoxのC++コードベース(約6,000ファイル)をスキャン。20分の探索でUse After Free脆弱性を含む22件を発見し、うち14件をMozillaが「高深刻度」に分類。修正の大半がFirefox 148.0に反映されました。


Enterprise公開ベータの使い方とプラン対応状況

現在の対応プラン(2026年4月30日時点)

プラン

Claude Security対応

備考

Claude Enterprise

✅ 公開ベータ対応

claude.ai/security から即アクセス可

Claude Team

🔜 近日予定

対応時期は未公表

Claude Max

🔜 近日予定

対応時期は未公表

Claude Pro

❌ 記載なし

現時点で未確認

利用開始の手順

  1. Claude Enterprise 管理者が管理者コンソールから Claude Security を有効化
  2. claude.ai/security にアクセス(claude.aiサイドバーからもアクセス可)
  3. GitHubリポジトリを連携し、スキャン対象(ディレクトリ・ブランチ)を指定
  4. スキャン実行 → 信頼度スコア付きレポートを確認
  5. パッチ推奨案を参照 → 開発チームがレビュー・承認して修正を適用

料金について

現時点(2026年4月30日時点)でClaude Security 自体の追加料金の有無は公式に明示されていません。Enterprise プラン契約内に含まれる形での提供とみられますが、確定情報ではないため、導入前に営業担当へ確認することをお勧めします。Enterprise プラン本体は問い合わせベースの料金設定です(API使用量はシートフィーとは別に標準API料金で課金)。


CrowdStrikeとの連携 — Falconプラットフォームへの3つの統合ポイント

2026年4月30日(Claude Security公開ベータ開始と同日)、CrowdStrikeは Claude Opus 4.7 をFalconプラットフォーム全体に統合すると発表しました。

エンタープライズセキュリティダッシュボード(CrowdStrikeとのAI統合イメージ)

CrowdStrikeのCTO・Elia Zaitsev氏は「脆弱性発見から悪用までの時間が、数ヶ月から数分に短縮された」と述べており、攻撃者の動きが加速する中でのAI活用の必要性を強調しています。

統合ポイント1: Falcon Exposure Management

Opus 4.7による脆弱性発見レイヤーが追加されます。CrowdStrikeが持つ「敵対者主導の優先順位付け(Adversary-Led Prioritization)」と組み合わせ、発見から修復までの完全なリスク評価ループを構築することが目的です。攻撃者視点での優先付けとAI推論を組み合わせた形です。

統合ポイント2: Charlotte Agentic SOAR

セキュリティオペレーションワークフローに、Opus 4.7のフロンティアAI推論が直接組み込まれます。Charlotte AIはCrowdStrikeのAIアシスタントで、SOC(セキュリティオペレーションセンター)の分析・対応業務を自動化・支援するコンポーネントです。

統合ポイント3: AgentWorks

Falconプラットフォーム内で、エンタープライズグレードのガバナンスを備えたOpus 4.7ベースのセキュリティエージェントを構築できます。カスタムのセキュリティワークフローをエージェントとして実装する基盤として位置付けられています。

Project QuiltWorks について

CrowdStrikeが独自に進める「Project QuiltWorks」には、OpenAIおよびAnthropicのモデルが含まれています。評価・ボードレベルリスクレポート・脅威情報に基づく優先順位付け・修復ガイダンスを提供するイニシアティブです。CrowdStrikeはAnthropicの「Cyber Verification Program」の認定参加企業でもあります。

現時点の留意点: CrowdStrikeのOpus 4.7統合の一般提供開始時期は未確認です(2026年4月30日時点では発表段階)。各機能の実際の利用可否は、CrowdStrikeの営業窓口に確認することをお勧めします。


Palo Alto Networksとの連携 — Cortex XSIAMとMCP Server

Palo Alto NetworksはProject Glasswingの創設パートナー12社の1社であり、Claude Opus 4.7のCortex XSIAMプラットフォームへの統合を発表しています。

ネットワークセキュリティとAI統合の概念図(Palo Alto Networks連携)

Cortex XSIAMへのOpus 4.7統合

Opus 4.7の機能がCortex XSIAM(Extended Security Intelligence and Automation Management)プラットフォームに統合されます。Palo Alto NetworksのCPTO・Lee Klarich氏は「以前のモデルでは見落とされていた複雑な脆弱性をMythos Previewが特定した」と発言していますが、このコメントはClaude Mythos Preview(限定プレビュー)に関するものであり、公開ベータのClaude Securityとは能力の層が異なる点に注意が必要です。

Cortex MCP Server(2026年1月発表済み)

Palo Alto Networksは2026年1月に「Cortex MCP Server」を発表しています。CortexのリアルタイムセキュリティインテリジェンスをClaudeをはじめとするLLMアプリに提供するサーバーで、SOCアナリストがClaude Desktopなどを使い、自然言語でCortexのデータを操作できるようにします。

具体的には以下のような操作が自然言語で行えます。

  • 高深刻度ケースのクエリ
  • 関連Issues・影響アセット・IOC(侵害指標)の確認
  • ケースタイムラインの参照
  • 自動アクションの確認・実行

Cortex MCP Serverはすでに発表済みの機能で、Claude Desktopなどのモデルコンテキストプロトコル(MCP)対応クライアントから利用できます。

現時点の留意点: Cortex XSIAMへのOpus 4.7統合の具体的な一般提供時期は未確認です(2026年4月30日時点)。最新の提供状況はPalo Alto Networks公式サイトで確認することをお勧めします。


Project Glasswing と Claude Mythos Preview — 3層構造で理解する

CrowdStrike・Palo Alto Networks関連の情報を読む際に混同が起きやすいのが、「Claude Security(公開ベータ)」「Project Glasswing」「Claude Mythos Preview」の関係です。現時点ではこの3つを以下のように整理すると正確です。

3層構造の整理表

名称

利用対象

ベースモデル

現在の状態

Layer 1

Claude Security

すべてのEnterprise契約者

Claude Opus 4.7

公開ベータ(2026年4月30日〜)

Layer 2

Project Glasswing

創設パートナー12社+40組織以上(限定)

Claude Mythos Preview

限定プレビュー(2026年4月7日〜)

Layer 3

CrowdStrike/Palo Alto等の統合

各プラットフォームの顧客

Claude Opus 4.7

統合予定・一部進行中

Project Glasswingとは

2026年4月7日に発表されたイニシアティブで、次世代フロンティアモデルClaude Mythos Previewを活用して世界の重要インフラのソフトウェアを保護することを目的としています。

創設パートナー(12社): AWS、Anthropic、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networks

Anthropicのコミットメント(Project Glasswingへ):

  • 最大1億ドル相当のモデル使用クレジット
  • Alpha-OmegaおよびOpenSSF(Linux Foundation)への250万ドル寄付
  • Apache Software Foundationへ150万ドル支援

Claude Mythos Preview の性能(参考数値)

一般公開されていないMythos Previewの能力は以下のとおりです。公開ベータのClaude Security(Opus 4.7)とは異なる層です。

ベンチマーク

Mythos Preview

Opus 4.6

CyberGym(セキュリティ)

83.1%

66.6%

SWE-bench Pro

77.8%

53.4%

ゼロデイ発見実績(Glasswing限定): FreeBSD 17年物のRCE(CVE-2026-4747)、OpenBSD 27年物バグ、FFmpeg 16年物脆弱性など。Anthropicは「これらの能力を明示的に訓練したわけではなく、コード・推論・自律性の一般的な改善の副産物として出現した能力」と説明しています。

要点: 一般のEnterprise顧客が今すぐ使えるのはLayer 1のClaude Security(Opus 4.7)のみです。Mythos Previewはまだ限定プレビュー段階であり、一般公開の時期は2026年4月30日時点で未発表です。


競合ツールとの比較 — Snyk・Semgrepとの違いと使い分け

Claude Security はSnykやSemgrepの「置き換え」ではなく「補完レイヤー」として機能するというのが業界コンセンサスです。それぞれのポジションを整理します。

比較項目

Claude Security

Snyk

Semgrep

検出アプローチ

推論型(LLM)

SCA+SAST(ルールベース)

SAST(ルールベース)

得意な検出対象

ビジネスロジック欠陥・複雑なマルチファイル脆弱性

依存関係の既知CVE・コンテナ・IaC設定ミス

カスタムルール対応・高速スキャン

SCA(依存関係CVE)

❌ 非対応

✅ 対応

△ 一部対応

DAST(動的解析)

❌ 非対応

△ 一部連携

❌ 非対応

コンテナスキャン

❌ 非対応

✅ 対応

❌ 非対応

対応VCS

GitHub のみ

GitHub・GitLab・Bitbucket等

GitHub・GitLab・Bitbucket等

利用要件

Claude Enterprise 必須

有償プランあり(無料枠あり)

有償プランあり(無料枠あり)

偽陽性削減

多段階自己検証

ルール依存

ルール依存

推奨する組み合わせ

Snykと並列運用

Claude Securityと並列運用

Claude Securityと並列運用可

使い分けの判断基準

Claude Securityが特に有効なケース:

  • 独自開発のビジネスロジックが複雑なアプリケーション
  • OSSライブラリへの依存が少なく、自社コードが中心のプロダクト
  • 既存のSnyk・Semgrepでは検出できなかった「見逃し」が気になる場合

Snykが必要なケース:

  • 依存ライブラリの既知CVEスキャンがメインニーズ
  • コンテナセキュリティ・IaC(Terraform等)のミスコンフィグ検出が必要
  • GitLab・BitbucketメインでGitHub以外のVCSを使っている

Semgrepが有効なケース:

  • 大規模コードベースへの高速・軽量なCI/CD組み込み
  • 自社ルールのカスタム定義が必要な特殊な言語・フレームワーク環境

セキュリティ・データプライバシー面の注意点

Claude Securityを企業で導入する際、エンジニアリングチームだけでなく情報セキュリティ・法務担当が確認すべき点を整理します。

コードをAnthropicのサーバーに送信することへの懸念

Claude Securityでスキャンを実行する際、コードベースのデータはAnthropicのサーバーに送信されます。以下のような状況では、事前に自社の情報セキュリティポリシー・契約上の制約との整合性確認が必要です。

  • 高度な機密性を持つ知的財産を含むプロプライエタリコード
  • 医療・金融・防衛関連の規制対象データを処理するシステム
  • NDA等の守秘義務がある受託開発案件のコード
  • 政府・公共機関向けの特定セキュリティ要件が課されるシステム

ZDRの適用状況(未確認)

ZDR(Zero Data Retention:会話データの非保持)のClaude Securityへの適用状況は、2026年4月時点では公式に明示されていません。Claude Enterpriseプラン全体として「入力データをモデル学習に使用しない」とAnthropicは説明していますが、Claude Securityのスキャンセッションに対してどこまで適用されるかは、契約前に直接確認することをお勧めします

Anthropicのセキュリティ認証(本体)

Claude Securityを提供するAnthropicが取得済みの認証は以下のとおりです。Claude Security製品固有の認証取得状況は未確認です。

認証

対象

SOC 2 Type II

Anthropic本体

ISO 27001

Anthropic本体

HIPAA

Enterprise向け

Anthropicの脆弱性開示ポリシー

Claude Securityが発見した脆弱性の開示について、Anthropicは以下のポリシーを公式に定めています。

ルール

内容

90日ルール

最初の通知から90日以内にパッチ公開または開示

延長

積極的に修正中の場合、最大14日の延長を許可

緊急ケース

実際に悪用されている重大脆弱性は7日以内を目標

パッチ後の待機

技術詳細の完全公開はパッチ公開の45日後(ダウンストリームへの適用時間確保)

AI発見の明示

AI発見の脆弱性はそう明記し、候補パッチを添付して開示

大量報告時

メンテナとの合意の上でバッチ処理

このポリシーにより、Claude Securityが発見した脆弱性は段階的・責任ある形で通知・修正・公開が行われます。特にオープンソースプロジェクトのメンテナは、この開示フローをあらかじめ把握しておくと良いでしょう。


こんな企業におすすめ / おすすめしない企業

Claude Security が向いている企業

以下の条件が揃っている場合、導入効果が高い可能性があります。

  • Claude Enterprise をすでに契約している — 追加コストが発生するかどうかは未確認ですが、即日アクセス可能
  • GitHubをメインのVCSとして使っている — 現時点の唯一対応VCS
  • 自社開発コードが中心のプロダクトを持っている — ビジネスロジック欠陥の検出に推論型の強みが発揮される
  • 複雑なマルチファイルアーキテクチャのコードベース — 推論によるデータフロー追跡が有効
  • Snyk・Semgrep等を既に運用していて、見逃しをカバーしたい — 推論レイヤーの追加で検出カバレッジが向上
  • パッチ提案をレビュー・承認できるセキュリティエンジニアの体制がある — 完全自動適用ではないため、人間のレビュー体制が前提

Claude Security が現時点では向いていない企業

以下のケースでは、現時点では導入の優先度が低いか、別の選択肢が適切です。

  • GitLabまたはBitbucketをメインで使っている — 現時点で非対応。対応を待つか、GitHub移行とセットで検討する必要がある
  • Claude Team・Maxプランのみ利用中 — Enterprise契約が必要(近日対応予定だが時期未確認)
  • OSSライブラリの既知CVEスキャンがメインニーズ — SCA対応のSnyk等の方が適切
  • コードをサードパーティに送信することに規制上の制約がある — データプライバシー面での事前確認が必要なケース
  • 完全自動での脆弱性修正を期待している — Claude Securityはあくまで提案型。承認・適用は人間が行う
  • CrowdStrike・Palo Alto Networks連携を今すぐ使いたい — 両社の統合は進行中であり、一般提供時期は未確認

よくある質問(FAQ)

Q. Claude Security と Claude Code は何が違いますか?

Claude Codeは開発支援(コーディング・デバッグ・コード生成)を目的としたAIコーディングアシスタントです。ターミナルやWebからインタラクティブに使います。Claude Securityはコードベース全体の脆弱性スキャンと修正提案に特化したツールで、セキュリティ監査・脆弱性管理が主な用途です。前身が「Claude Code Security」だったため名称の混同が起きやすいですが、現在は独立した製品として位置付けられています。

Q. スキャン対象のプログラミング言語は何ですか?

公開ベータ時点では、対応言語の公式リストは明示されていません。Mozilla Firefox(C++)のスキャン実績があることから主要言語には対応しているとみられますが、自社の主要言語での対応状況は公式ドキュメントまたはAnthropicのサポートに確認することをお勧めします。

Q. CrowdStrikeやPalo Alto Networksのユーザーは Claude Enterprise がなくても使えますか?

現時点では、claude.ai/security で提供されるClaude SecurityはClaude Enterprise 契約が必要です。CrowdStrikeやPalo Alto Networksへの統合は、各プラットフォームの機能としてOpus 4.7の推論能力を組み込むものです。プラットフォーム経由の利用要件は各社の営業窓口に個別確認が必要です。

Q. Claude Mythos Preview を今すぐ使えますか?

2026年4月30日時点では、Claude Mythos PreviewはProject Glasswingの創設パートナー12社と40組織以上の限定プレビュー対象のみに提供されており、一般のEnterprise顧客は利用できません。一般公開の時期も未発表です。

Q. スキャン結果は自動でGitHubにプルリクエストを作成しますか?

現時点の公式情報では、自動プルリクエスト作成機能は明示されていません。Claude Securityは脆弱性レポートとパッチ推奨案を提示する形で、実際の修正・コミット・マージは開発者が承認する前提です。Claude Code on the Webとの連携で1セッション内での修正作業は可能ですが、最終的な適用は人間が行います。

Q. 日本語UIに対応していますか?

claude.ai/security の日本語UIサポート状況は2026年4月時点で公式情報から確認できていません。claude.ai自体は日本語インターフェースを提供していますが、Claude Security の日本語対応状況は利用開始時に確認することをお勧めします。


まとめ — Claude Security 導入前に確認すべきこと

Claude Security は、AIの推論能力を活用して従来のSASTツールが見逃してきたビジネスロジック欠陥や複雑な脆弱性を検出できる新しいアプローチです。2026年4月30日から全Claude Enterpriseユーザーが利用可能となり、CrowdStrikeやPalo Alto Networksとの統合によってエンタープライズセキュリティ市場での存在感も高まっています。

ただし、現時点では「GitHubのみ対応」「Enterprise限定」「SCA/DAST非対応」といった制約も多く、既存のSnykやSemgrepを置き換えるものではなく、補完レイヤーとして位置付けるのが現実的です。

導入前の確認チェックリスト:

  • Claude Enterprise を契約しているか
  • コードリポジトリがGitHubか(GitLab・Bitbucketは現時点で非対応)
  • コードをAnthropicのサーバーに送信することに、情報セキュリティポリシー上の問題がないか
  • 既存のSnyk・Semgrepと並列運用するか(推奨は並列)
  • パッチ提案をレビュー・承認できる体制があるか
  • ZDRやデータ保持ポリシーについて契約条件を確認したか

Claude Securityの最新情報・利用申し込みは claude.ai/security、公式発表は Anthropicのニュースページ で確認できます。


関連記事:

Claudeの全体像・プラン・料金については「Claudeとは?機能・料金・使い方・ChatGPTとの違いを整理」もあわせてご覧ください。

生成AIのセキュリティリスク全般については「生成AIとは?仕組み・種類・活用例・リスクをわかりやすく解説」が参考になります。

AIコーディングアシスタントとしてのClaude Codeの詳細については「Claude Codeとは?できること・使い方・料金を解説」をご覧ください。

AIツールの導入でお困りですか?

お客様のビジネスに最適なAIツールをご提案します。まずは無料相談から。

この記事の著者

AI革命

AI革命

編集部

AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。

AI活用ならAI革命にお任せ。サービスを見てみる
AI Revolution Growth Arrow

AIでビジネスを革新しませんか?

あなたのビジネスにAIがどのような価値をもたらすかをご提案いたします。