AI導入補助金とものづくり補助金を比較|どちらを使うべきか・併用可否と次回締切【2026年9月最新】

この記事のポイント
AI導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)とものづくり補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)の違いと併用可否を比較。次回締切・採択率・入金までの期間、どちらにも乗らない場合の選択肢まで公式情報で整理します。
既製のAIツールを買って入れるなら「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧・IT導入補助金/次回締切 2026年9月29日)、技術的に新しい製品やサービスを開発するなら「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(旧・ものづくり補助金/第1回締切 2026年10月30日)です。ただし社内業務の自動化は、後者では革新性の要件で落ちやすく、前者では登録済みITツール以外が対象外になるため、実際にはどちらにも乗らないケースが少なくありません。
この記事では、2つの制度の違いと併用の可否を整理したうえで、「自分の案件がそもそもどちらの土俵に乗るのか」を判定できるようにします。あわせて、補助金を待つ場合と待たずに始める場合で金額がどう変わるかも、時給換算で計算できる形にしました。
まず名前を合わせる|どちらの制度も2026年に変わっている

比較の前に確認が必要な点があります。検索されている2つの名前は、どちらも2026年度の正式名称ではありません。
検索されている名前 | 2026年度の正式な制度名 | 実施主体 | 公式サイト |
|---|---|---|---|
AI導入補助金/IT導入補助金 | デジタル化・AI導入補助金2026(事業名:中小企業デジタル化・AI導入支援事業) | 中小企業庁/中小機構 | https://it-shien.smrj.go.jp/ |
ものづくり補助金 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 中小企業庁/中小機構 | https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/ |
「AI導入補助金」という名前の制度は単独では存在せず、通常はデジタル化・AI導入補助金を指します。
そしてものづくり補助金のほうは、旧制度としては第23次公募(2026年5月8日締切)が最後で、その後「中小企業新事業進出補助金」と統合されました。統合後の第1回公募要領は2026年6月29日に公開され、2026年7月17日と8月14日に更新されています。
ここでよく起きているのが、「ものづくり補助金 第24次公募」を待ち続けているケースです。旧制度としての第24次は実施されません。昨年の資料や社内メモを前提に準備していると、締切そのものを取り違えます。制度名の変更点はIT導入補助金から変わった点の整理にもまとめています。
2つの制度はどこが違うのか

出典: 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト
制度の性格がまったく違います。補助上限額だけを見て「ものづくりのほうが大きいから有利」と判断すると、ほぼ確実に外します。
比較ポイント | デジタル化・AI導入補助金2026 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠) |
|---|---|---|
旧名称 | IT導入補助金 | ものづくり補助金 |
何のための制度か | 既製のITツール・AIツールを導入して業務をデジタル化する | 技術的に新しい製品・サービスを開発するための設備投資 |
補助額 | 5万円〜450万円(通常枠。1プロセス以上で5万〜150万円未満、4プロセス以上で150万〜450万円) | 100万円〜2,500万円(賃上げ特例で3,500万円) |
補助率 | 通常枠・セキュリティ対策推進枠は1/2〜2/3、インボイス枠は最大4/5(小規模事業者) | 1/2(一定条件で2/3)、小規模事業者・再生事業者は2/3 |
補助下限 | 5万円 | 100万円 |
業務に合わせた作り込み | 原則対象外(登録済みの汎用ITツールのみ) | 対象(機械装置・システム構築費/外注費) |
社内業務の効率化だけが目的 | これが本来の対象 | 革新性の要件を満たさず通りにくい |
クラウド利用料 | 対象(最大2年分) | クラウドサービス利用費は対象。ただし保守・運用費は対象外 |
申請の形 | IT導入支援事業者との共同申請が必須(複数者連携枠を除く) | 自社申請(GビズIDプライムで電子申請) |
事前着手 | 不可(交付決定前の発注は対象外) | 不可(同左) |
直近の採択率 | 43.99%(2026年9月2日公表の3次締切分・全体) | 35.1%(旧制度 第23次) |
上位の解説記事が書いていない、決定的な2点
1つ目は補助下限です。 ものづくり側の革新的新製品・サービス枠は補助額100万円からで、補助率1/2なら補助対象経費が200万円以上ないと申請要件を満たしません。新事業進出枠とグローバル枠にいたっては補助下限が750万円、つまり1,500万円前後以上の投資が前提です。300万円程度のAI導入では、そもそも土俵に乗りません。
一方、デジタル化・AI導入補助金は補助下限が5万円です。小さく始めたい案件はこちらしか選択肢がありません。
2つ目は革新性の要件です。 革新的新製品・サービス枠は公式サイトで「革新的な新製品・新サービス開発の取組が補助対象であり、既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外」と明記されています。単に機械装置・システムを導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外です。
つまり、経理・請求・レポート作成といった社内定型業務の自動化を、ものづくり補助金で通そうとするのは筋が悪いというのが実務上の答えです。ここを正直に把握していないまま数十万円の申請支援料を払い、不採択になって半年を失う例が繰り返し起きています。
併用はできるのか
結論は「同一の事業・同一の経費でなければ併用できる」です。同じ経費を2つの補助金に乗せることはできません。
国の補助金には重複受給の禁止という大原則があります。ただし、別の設備・別の経費・別の事業であれば、両方に申請して両方採択されることは制度上あり得ます。
デジタル化・AI導入補助金側には、さらに細かいルールがあります。
- IT導入補助金2024/2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する場合は減点。完全に一致する場合は不採択
- デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠で申請中または交付決定済みの事業者が、同一機能のITツールを導入する場合はさらに減点
過去の採択情報は他制度の審査でも参照されるため、申告せずに隠すことはできません。
実務上は「併用」より「今回はどちらに絞るか」
制度上できることと、実際にやれることは別です。次回の締切はデジタル化側が9月29日、ものづくり側が10月30日で、約1ヶ月しか離れていません。しかもデジタル化側の交付決定(11月9日)を待っている最中に、ものづくり側の締切が来るという順番になります。
事業計画書の作りも申請の導線もまったく別物で、片方はIT導入支援事業者との共同作業、もう片方は自社での電子申請です。この1ヶ月に両方を仕上げるのは、専任の担当を置けない体制では現実的ではありません。
したがって、本当に決めるべきなのは「併用できるか」ではなく、「今回はどちらに絞るか、あるいはどちらも使わずに始めるか」です。
次回締切と、入金までにかかる期間

出典: 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト
補助金の記事でいちばん抜けやすいのが、申請してから現金が戻るまでの期間です。どちらの制度も後払い(精算払い)、つまり導入費用をいったん全額自社で立て替えてから、後で一部が振り込まれる方式です。
次回締切(2026年9月時点・公式サイト掲載分)
制度・枠 | 次回締切 | 交付決定・採択発表 | 事業の期限 |
|---|---|---|---|
デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠/インボイス枠 両類型/セキュリティ対策推進枠)5次締切分 | 2026年9月29日(火)17:00 | 交付決定 2026年11月9日(月)予定 | 実績報告期限 2027年4月30日(金)17:00予定 |
デジタル化・AI導入補助金2026(複数者連携枠)3次締切分 | 2026年10月30日(金)17:00 | 交付決定 2026年12月10日(木)予定 | 実績報告期限 2027年5月31日(月)17:00予定 |
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠) | 2026年10月30日(金)18:00 厳守(申請受付開始は9月30日) | 採択結果発表 2027年1月(予定) | 革新枠は交付決定日から10か月以内、新事業進出枠・グローバル枠は14か月以内 |
ものづくり側は締切が1ヶ月後ろ倒しになっている
ここは特に注意してください。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回は、当初「8月31日受付開始・9月30日締切・12月採択発表」で公表されていましたが、2026年7月17日に1ヶ月後ろ倒しへ変更されました。
現在の公式スケジュールページでは旧日程に取消線が引かれ、「申請受付 2026年9月30日(水)/応募締切 2026年10月30日(金)18:00厳守/採択結果発表 2027年1月(予定)」に置き換わっています。公式トップページにも「応募期間は令和8年9月30日(水)〜10月30日(金)18:00(厳守)」と記載されています。
一方で、変更前に書かれた解説記事や士業サイトには「9月30日締切」のまま残っているものが多数あります。枠ごとに締切が違うと説明しているものもありますが、公式サイト上では枠別に締切を分ける記載はありません。古い日付を前提に逆算すると、丸1ヶ月スケジュールがずれます。申請前に必ず公式の公募スケジュールで最新版を確認してください。
なおデジタル化・AI導入補助金の公式スケジュールは、確定した募集回のみを公表して随時更新される方式です。6次・7次締切分は「確定次第公表」とされており、次回以降の回次は現時点で未定です。「これが最後」とも「まだ次があるから先送りでよい」とも断定できません。回次ごとの詳細はデジタル化・AI導入補助金の締切一覧にまとめています。
入金までの期間
デジタル化・AI導入補助金(通常枠 5次) | ものづくり側(革新的新製品・サービス枠 第1回) | |
|---|---|---|
申請締切 | 2026年9月29日 | 2026年10月30日 |
発注できるようになる時点 | 交付決定 2026年11月9日(申請から約41日後) | 採択発表 2027年1月予定 → 交付申請(採択発表から原則2か月以内)→ 交付決定 2027年2〜3月頃 |
事業実施の期限 | 2027年4月30日 17:00 | 交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内) |
実績報告 | 2027年4月30日まで | 事業完了日から30日以内 |
申請から入金まで | 約4〜8ヶ月 | 約1年〜1年半 |
どちらの制度も、交付決定より前に発注・契約・支払いをしたものは対象外です。「先に始めて後から申請」は認められていません。つまり9月29日に申請しても、実際にベンダーへ発注できるのは11月9日以降。ものづくり側にいたっては、着手できるのは2027年春です。
現金の観点でまとめると、「補助金が出るから安く導入できる」のではなく「先に全額を払って、半年から1年半後に一部が返ってくる」が正確な理解になります。この立て替え期間の資金繰りについては補助金の入金はいつになるかで詳しく整理しています。
採択率を織り込む
デジタル化・AI導入補助金の3次締切分(2026年9月2日公表)は、申請5,913者に対して交付決定2,601者で全体43.99%。枠別では通常枠42.19%、インボイス枠(インボイス対応類型)44.73%、セキュリティ対策推進枠72.22%でした。全体の推移は1次46.3%→2次51.5%→3次44.0%で、通常枠は3回連続で40%台前半にとどまっています。
旧ものづくり補助金の第23次は、1,275者の申請に対し448者の採択で35.1%。統合後の新制度の採択率は、第1回の採択発表が2027年1月予定のためまだ発表されていません。
2社に1社から3社に1社しか通りません。制度を選ぶ以前に、落ちた場合に事業をどう進めるかを先に決めておく必要があります。落ちてから考え始めると、次の回まで1〜2ヶ月、ものづくり側なら数ヶ月止まります。
自動化できる業務・できない業務の境界線

補助金の話から少し離れて、そもそもどの業務なら自動化が成立するのかを整理します。制度がどうであれ、ここが合っていない案件は、補助金が通っても現場で使われずに終わります。
自動化が成立する業務 | 自動化が成立しない業務 |
|---|---|
毎日・毎週・毎月、繰り返し発生する | 発生が不定期で、毎回中身が違う |
入力も出力も、システムやファイルの中で完結している | 紙の書類や対面のやり取りが前提になっている |
「こうなったらこうする」というルールを言葉で書ける | 毎回その場の状況を見て例外判断している |
判断が必要な部分だけ人に上げれば運用できる | 最終決裁そのものをAIに任せたい |
同じ数字を複数の場所に転記している | 一件ごとに関係者との交渉や調整が入る |
具体的に成立しやすいのは、商品カタログの更新、商談記録の顧客管理システムへの入力とフォローメール送信、月次の集計とレポート配信、商品マスタの管理、複数システム間のデータ照合といった業務です。
逆に、最終判断をAIに委ねたい業務は対象外と考えてください。取引先ごとに条件が違い、毎回交渉が入る与信判断や、クレーム対応の一次回答などがこれにあたります。この線引きはAIエージェントに任せられる業務の範囲でさらに細かく整理しています。
補助金の土俵に乗るかどうかの判定
上の条件を満たしたうえで、次の3つのどれかに当てはまると、今回の2制度からは外れます。
- 補助対象経費が200万円未満 → 革新枠は補助下限100万円(補助率1/2)に届かない
- 目的が社内業務の効率化だけ → 革新枠は「既存プロセスの改善・向上を図る事業は対象外」と明記されている
- 導入したいものが登録済みITツールにない → デジタル化・AI導入補助金は原則対象外
3つ目は見落とされがちです。デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録された汎用ITツールの導入を支援する制度で、業務に合わせて作り込むオーダーメイド開発や自社開発は原則対象外とされています。どのツールが対象になるかはAI導入補助金で対象になる生成AIツールを参照してください。
削減時間の試算|月何時間 × 人件費 = いくら
補助金を使うかどうかを決める前に、その業務が今いくらかかっているかを数字にしてください。これが出ていないと、補助金の有無にかかわらず判断ができません。
計算はシンプルです。月の作業時間 × 時給換算 = 月の人件費。ここでは時給3,000円(年収相当で概ね500〜600万円クラス)で計算します。自社の人件費に合わせて数字を入れ替えてください。
対象業務にかかっている時間 | 月あたりの人件費 | 年間の人件費 |
|---|---|---|
月20時間(月次レポート作成のみ) | 6万円 | 72万円 |
月40時間(月次+週次の集計) | 12万円 | 144万円 |
月60時間 | 18万円 | 216万円 |
月80時間(複数システムの照合を含む) | 24万円 | 288万円 |
月120時間(担当者ほぼ1名分) | 36万円 | 432万円 |
自動化した場合の回収月数
シゴハヤエージェントは初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)です。月額は処理量に連動し、10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安になります(月1,000万〜1.2億トークンの処理枠込み)。
10名規模=初期100万円+月額10万円の構成で、初期費用を何ヶ月で回収できるかを並べます。
削減できる時間 | 月の削減額 | 月額10万円を引いた純額 | 初期100万円の回収 |
|---|---|---|---|
月20時間 | 6万円 | −4万円 | 回収できない(この規模では合わない) |
月40時間 | 12万円 | +2万円 | 約50ヶ月 |
月60時間 | 18万円 | +8万円 | 約12.5ヶ月 |
月80時間 | 24万円 | +14万円 | 約7ヶ月 |
月120時間 | 36万円 | +26万円 | 約4ヶ月 |
正直に書くと、削減見込みが月40時間を切る案件は、この価格帯の自動化とは釣り合いません。その規模なら、既製のツールを1つ入れるか、手順を見直すほうが早く安く済みます。逆に月60時間を超えるなら、1年以内に回収できる計算になります。効果の測り方は自動化の効果測定にまとめています。
自社の業務が上の表のどこに当たるか分からない場合は、シゴハヤエージェントの導入相談で、対象業務の洗い出しと削減時間の試算から一緒に整理できます。
補助金を待った場合との比較
ここが本題です。仮に初期100万円のうち1/2の50万円が補助されたとします。しかしその現金が戻るのは、デジタル化・AI導入補助金でも早くて2027年前半、遅ければ2027年半ば、ものづくり側なら2028年前後です。
月60時間かかっている業務であれば、月18万円が流れ続けています。ものづくり側で交付決定(=発注できるようになる時点)を待つだけでも申請から約4〜5ヶ月、その間に90万円の人件費が出ていきます。入金まで含めて1年待つなら216万円です。50万円を受け取るために、それ以上の金額を先に失う計算になります。
さらに、採択率は35〜44%です。落ちた場合は補助金が0円のまま、待った期間だけが残ります。
この比較を自社の数字で出してみて、それでも補助金を優先すべきなら申請する価値があります。投資規模が大きいほど補助金の効果も大きくなるためです。逆に、削減額が月15万円を超えるような案件では、補助金の入金を待つ機会損失のほうが大きくなることが多くなります。
費用の目安|補助金を使う場合と使わない場合
AI導入の市場価格と、自社サービスの位置づけを並べます。
進め方 | 初期費用 | 月額 | 期間 |
|---|---|---|---|
既製のAIツールを導入(登録ITツール) | 数万円〜数十万円 | 数千円〜数万円/人 | 即日〜1ヶ月 |
ノーコード・RPA(人がパソコン上で行う操作をソフトに覚えさせ、自動で再生させる仕組み)で内製 | 0〜50万円 | ツール利用料+保守工数 | 1〜3ヶ月 |
業務に合わせた自動化(ライト) | 50〜300万円 | 5〜20万円 | 1〜3ヶ月 |
業務自動化システムの受託開発 | 300〜800万円 | 個別 | 3〜8ヶ月 |
シゴハヤエージェント | 100万円(税別) | 10万〜50万円(税別) | 標準1〜2ヶ月 |
補助金の申請支援を外部に頼む場合の費用も入れておきます。相場は着手金10〜30万円+成功報酬10〜20%(ものづくり系は着手金5〜15万円+成功報酬10〜20%、完全成功報酬型なら15〜30%)です。1,000万円が採択された場合、支援報酬だけで115〜165万円が出ていきます。「補助金で浮く額」から申請コストを引いた実質額で判断してください。
ここまで見たうえで、補助金の土俵に乗る案件なら申請を進めるべきです。乗らない案件、あるいは削減額が月15万円を超えていて待つコストのほうが高い案件については、補助金を使わずに始めるほうが合理的になります。
弊社のシゴハヤエージェントは、御社専用のAI社員が毎月繰り返す定型業務を自動で実行するサービスです。初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)、標準の導入期間は1〜2ヶ月で、社内にAIエンジニアがいなくても運用できる形で構築します。どの業務が対象になり、月何時間・いくら削減できるかを整理するところからご相談いただけます。
なお、当社のサービスが補助金の対象になるかどうかは、制度側の要件(登録済みITツールであること、IT導入支援事業者との共同申請であること、補助下限を満たすこと)で決まります。対象になると断定はしません。上に挙げた3つの判定条件で、ご自身の案件が乗るかどうかを先に確認してください。他社と比較する際の費用の見方はAIエージェント導入の費用相場にまとめています。
実際にやった事例:調剤薬局のケース
当社は医療機関・調剤薬局・インフラ企業など、複数のシステムを使いながら定型業務が多い企業の自動化を手がけています(守秘のため社名は非公開です)。2つの補助金のどちらにも乗らなかった典型例として、調剤薬局のケースを紹介します。
課題:複数店舗を運営する調剤薬局で、本部の担当者が毎日、各店舗の実績データを店舗システムから取り出し、在庫管理の表と突き合わせ、差分を確認して本部の報告フォーマットに入れ直していました。同じ数字を3箇所に入力し直している状態で、月末は月次集計が重なり、担当者の残業が常態化していました。かかっていた時間は月80時間前後です。
この会社は当初、ものづくり補助金での申請を検討していました。しかし社内業務の効率化が目的であり、新しい製品・サービスの開発ではないため、革新性の要件を説明できません。一方でデジタル化・AI導入補助金を見ると、レセプトコンピュータ(保険請求用のシステム)・在庫管理システム・本部のExcelがそれぞれ別系統で動いており、どの登録済みITツールにも業務がそのまま載りませんでした。業務のほうを製品に合わせるには店舗側の入力手順まで作り替える必要があり、現場が止まります。どちらの制度にも乗らない、というのが出発点でした。
作ったもの:毎日決まった時刻に各システムからデータを取り出し、突き合わせて、差分が出た項目だけを担当者に一覧で上げる仕組みを構築しました。数字が一致している分は自動で本部フォーマットへ転記され、月次レポートは月初に自動作成されて関係者に配信されます。数字が合わない理由の特定や店舗への確認といった判断が必要な部分は、これまでどおり人が行う設計です。
変わったこと:担当者の作業は「全件を突き合わせて入力する」から「差分だけを確認する」に変わりました。月80時間前後かかっていた作業が、確認中心の十数時間に収まり、月末の残業がなくなりました。時給3,000円換算で月約20万円分、年間240万円分の作業が消えた計算になります。人を増やさずに店舗数を増やせる状態になった、というのが経営側の評価でした。
補助金の対象にはなりませんでしたが、業務手順は毎日同じで、入力も出力もシステム内で完結していたため、自動化の条件は満たしていました。制度に乗るかどうかと、自動化が成立するかどうかは別の話です。
どちらにも乗らない場合の第3の選択肢

「デジタル化・AI導入補助金では登録済みITツールしか使えない、ものづくり側では革新性の要件を満たさない」というすき間に落ちる案件には、受け皿があります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
項目 | 内容 |
|---|---|
第8回公募 | 公募要領公開 2026年8月18日(中小企業庁)/申請受付 2026年9月中旬/締切 2026年10月中旬(予定)/採択発表 2027年2月上旬(予定) |
補助上限 | 従業員5人以下 750万円 〜 101人以上 8,000万円(大幅な賃上げ要件を満たす場合は1,000万円〜1億円) |
特徴 | オーダーメイドの省力化設備・専用システムが対象。機械装置・システム構築費が必須経費で、クラウドサービス利用費・外注費も対象 |
第8回の主な変更点 | 労働生産性と一人当たり給与支給総額の基準年度が「応募申請時の直近決算期」から「補助事業完了日を含む事業年度の決算期」に変更 |
業務に合わせて作り込むタイプの自動化を補助金でまかないたいなら、この制度が構造的にいちばん合っています。ただし第8回の申請受付日・締切日・採択発表日はいずれも予定値です。正式な日程は必ず事務局の公式サイトで確認してください。
補助金を使わずに始める
補助対象経費が200万円に届かない、あるいは削減額が月15万円を超えていて待つコストのほうが高い場合は、この選択が現実的です。申請書の作成も、交付決定までの41日間の待機も、数年間の効果報告義務も発生しません。
社内にAIエンジニアがいない前提での進め方はエンジニアなしで業務自動化を進める方法、ノーコードとの使い分けはノーコードとAIエージェントの違いにまとめています。
導入までの流れと期間
補助金を使わずに進める場合、標準的な導入期間は1〜2ヶ月です。
- 業務の棚卸し(1〜2週間):どの業務に月何時間かかっているかを洗い出し、自動化できる業務とできない業務を仕分けます。この段階で削減見込み時間と金額を数字で出すので、社内の稟議はこの資料で通せます
- 設計と構築(3〜6週間):対象システムへの接続、処理ルールの定義、例外が出たときに誰へ上げるかの設計
- 並行稼働(1〜2週間):これまでの手作業と並行して動かし、出力が一致するかを確認します
- 本稼働:手作業を止め、例外分だけを人が見る運用に切り替えます
この流れで実際にどこまで自動化できるかは、シゴハヤエージェントの導入の進め方にまとめています。
補助金を使う場合は、この前に申請準備が入り、交付決定まで着手できません。デジタル化・AI導入補助金なら、次の3つが先に必要です。
- GビズIDプライムの取得(行政の電子申請で共通して使う、法人代表者用のアカウント):マイナンバーカードを使ったオンライン申請なら最短即日〜1週間、書類の郵送申請だと2〜3週間、申請が集中する時期は最大1ヶ月
- SECURITY ACTIONの自己宣言(情報セキュリティ対策に取り組むことを企業が自ら宣言する制度。申請の必須要件)
- IT導入支援事業者の選定と共同申請の準備:実務上2週間〜1ヶ月
支援事業者側にも作業があるため、締切の1週間前に依頼しても断られることがあります。共同申請の相手をどう選ぶかはIT導入支援事業者とは何かを参照してください。
つまり補助金を使う場合、業務が実際に変わるのは申請の3〜4ヶ月後(ものづくり側なら半年以上先)になります。ここを最初にスケジュールへ入れておいてください。
よくある質問
Q1. 2つの補助金に同時に申請して、両方採択されることはありますか。
制度上はあり得ます。同一の事業・同一の経費でなければ重複受給には当たらないためです。ただし採択された場合、両方の補助事業を並行して実施し、それぞれの実績報告と効果報告を行う義務が発生します。デジタル化・AI導入補助金は実績報告期限が2027年4月30日、ものづくり側の革新枠は交付決定日から10か月以内で、報告先も様式も別です。採択後の管理工数まで見積もったうえで両方に出すかを判断してください。
Q2. 過去にIT導入補助金を使っています。今回のデジタル化・AI導入補助金に再申請すると不利になりますか。
導入するソフトウェアのプロセスが過去の交付決定分と重複する場合は減点、完全に一致する場合は不採択とされています。過去の採択情報は審査で参照されるため、申告しない選択はできません。前回と異なる業務プロセスを対象にすれば申請は可能です。あわせて、再申請の事業者には賃上げに関する要件が追加されるため、最新の公募要領(通常枠は2026年8月28日更新版)で条件を確認してください。
Q3. 補助金の申請支援を頼む場合、報酬はいつ払いますか。不採択なら返ってきますか。
主流は着手金10〜30万円+成功報酬10〜20%という体系で、着手金は採択・不採択にかかわらず戻りません。成功報酬は採択時のみ発生します。完全成功報酬型(着手金0円・成功報酬15〜30%)を選べば不採択時の持ち出しは避けられますが、料率が高くなります。採択率が35〜44%であることを踏まえると、着手金の額が期待値に直接効きます。契約前に、不採択時の取り扱いを書面で確認してください。
Q4. ものづくり側の事業計画書は、どのくらいの準備が必要ですか。
決まった様式はなく、Wordなどで作成してPDFに変換し、電子申請システムから提出します。記載が求められるのは、差別化と競争優位性を納期・価格・生産量・品質といった指標で示すこと、実施体制、達成目標、期待効果などです。分量の目安や必須項目は公募回ごとに変わるため、公募要領と「応募申請ガイド」(2026年8月24日公開)で必ず最新版を確認してください。なお作成に何時間かかるかについては公式の情報がなく、確認できていません。士業やコンサルの案内では初回申請で数週間を要するとされますが、出典のある数値ではないため参考程度に扱ってください。
Q5. 賃上げの要件を達成できなかった場合、補助金は返還になりますか。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、補助事業終了後3〜5年の事業計画において、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上という基本要件があり、公式サイトにも「目標未達の場合は補助金の一部または全額の返還義務が生じる場合があります」と明記されています。賃上げ特例(補助上限が引き上がる制度)を使う場合は、さらに高い水準が求められます。具体的な返還割合の算定方法は公募要領での確認が必要なため、申請前に必ず最新版でご確認ください。
Q6. 補助金を待たずに導入した後で、次の年度に別の業務で補助金を申請することはできますか。
できます。補助対象になるのは交付決定日以降に発注・契約・支払いをした経費なので、すでに導入済みの分は対象外ですが、別の業務・別の経費で新たに申請すること自体に制限はありません。実務上は、先に1業務を自動化して削減時間の実績を作ってから、その数字を根拠に次の申請の事業計画を書くほうが、計画の説得力が上がります。
Q7. 補助金が採択されたのに、途中で事業をやめることはできますか。
交付決定後の取り下げや事業の中止は、事務局への申請と承認が必要です。承認なく実施しなかった場合や、実績報告を提出しなかった場合は、交付決定の取消しや補助金の返還の対象になります。また、どちらの制度も複数年の事業計画と効果報告が求められるため、採択された時点で数年単位の報告義務を負う点は事前に理解しておいてください。
Q8. 締切に間に合いそうにありません。次の回まで待つべきですか。
デジタル化・AI導入補助金は6次・7次締切分が「確定次第公表」とされており、次の回がいつになるかは現時点で分かりません。予算上限に達した枠から早期に募集を終了する可能性もあります。ものづくり側の第2回も未発表です。「次の回がある前提」で先送りするのは避けてください。待つ月数 × 月の人件費が、受け取れる補助金額を上回っていないかを先に計算し、上回るなら補助金を使わずに着手する判断が合理的です。
まとめ:制度を選ぶ前に、自社の案件が土俵に乗るかを判定する
- 既製のAIツールを導入するならデジタル化・AI導入補助金2026(補助下限5万円・通常枠上限450万円・5次締切 2026年9月29日17:00)
- 技術的に新しい製品・サービスを開発するなら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠(補助下限100万円・上限2,500万円・第1回締切 2026年10月30日18:00)
- ものづくり側の第1回は2026年7月17日に1ヶ月後ろ倒しされている。「9月30日締切」と書かれた古い記事を前提にしない
- 併用は同一経費でなければ可能。ただし締切が約1ヶ月差で、実際には「今回はどちらに絞るか」の判断になる
- 社内業務の自動化は、ものづくり側では革新性の要件で通りにくく、デジタル化側では登録済みITツール以外が対象外。どちらにも乗らないケースが多い
- 乗らない場合の受け皿は中小企業省力化投資補助金(一般型)第8回・締切2026年10月中旬予定か、補助金を使わずに始めるか
- 直近の採択率は43.99%と35.1%。どちらも落ちる前提で次の手を用意しておく
- どちらも後払い。入金まで4〜8ヶ月/1年〜1年半、その間は全額を自社で立て替える
判断の起点になるのは制度ではなく、その業務に今いくらかかっているかです。月80時間・年288万円かかっている業務なら、補助金の有無にかかわらず改善する価値があります。逆に月20時間・年72万円なら、申請の手間と数年間の報告義務のほうが重くなるかもしれません。
弊社では、どの業務が自動化に向くか、月何時間・いくら削減できるかを整理するところから相談を受け付けています。シゴハヤエージェントは初期100万円(税別)+月額10万〜50万円(税別)、標準の導入期間は1〜2ヶ月です。補助金を使う場合の進め方(交付決定前にどこまで準備を進められるか)や、そもそも申請すべき案件かどうかの判断も、そのままご相談いただけます。
※ 締切日・補助額・補助率・要件は制度の運用によって変更されることがあります。申請前に必ず公式サイト(デジタル化・AI導入補助金2026: https://it-shien.smrj.go.jp/ /新事業進出・ものづくり商業サービス補助金: https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/ )と最新の公募要領をご確認ください。
補助金の枠内で導入できる範囲を試算します
補助金前提で相談するこの記事の著者

AI革命
編集部
AI革命株式会社の編集部です。最新のAI技術動向から実践的な導入事例まで、企業のデジタル変革に役立つ情報をお届けしています。豊富な経験と専門知識を活かし、読者の皆様にとって価値のあるコンテンツを制作しています。
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