ビジネス活用2026年9月更新

IT導入補助金の変更点2026|「デジタル化・AI導入補助金」で実際に変わった5つのこと【2026年9月最新】

公開日: 2026/09/05
IT導入補助金の変更点2026|「デジタル化・AI導入補助金」で実際に変わった5つのこと【2026年9月最新】

この記事のポイント

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に改称。補助額・補助率は据え置きで、AIツールへの加点はありません。加点項目の入れ替え、2回目以降の賃上げ厳格化、次回締切2026年9月29日と入金時期を整理します。

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名前が変わりましたが、補助額も補助率も5つの枠構成も2025年度から据え置きで、AIツールを選んだことによる加点は1点も存在しません。実務で本当に効く変更は「加点項目の入れ替え」と「2回目以降の申請にかかる賃上げの厳格化」の2つで、次回の交付申請締切は2026年9月29日(火)17:00、支払った現金が戻ってくるのは早くても2027年前半です。

この記事は「去年IT導入補助金を使った/使おうとしたが、今年は何が変わったのか」を確認したい方向けに、2025年度と2026年度の差分だけを公式資料から整理したものです。制度そのものの申請方法や対象要件はデジタル化・AI導入補助金2026の活用ガイドにまとめてありますので、初めて申請する方はそちらからお読みください。


2026年度に変わったのはこの5つ|2025年度との対照表

デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)の公式サイトトップバナー

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

まず結論から、公式に確認できた変更点を一覧にします。ここに載っていないものは変わっていません。

#

項目

2025年度(IT導入補助金2025)

2026年度(デジタル化・AI導入補助金2026)

1

補助金の名称

IT導入補助金

デジタル化・AI導入補助金

2

事業の正式名称

サービス等生産性向上IT導入支援事業

中小企業デジタル化・AI導入支援事業

3

枠の名称

複数連携IT導入

複数連携デジタル化・AI導入

4

AIツールの扱い

区分なし

ITツール検索で「AI機能を有するツール」の絞り込みが可能に

5

加点項目

地域未来投資促進法・地域未来牽引企業を含む

地域系2項目が削除/行動ベースの5項目が新設

6

2回目以降の申請

補助額150万円以上で賃上げ必須

2022〜2025年に交付決定を受けた事業者は、金額にかかわらず賃上げ必須

7

補助額・補助率

変更なし(据え置き)

改称は令和7年度補正予算事業からで、事務局は独立行政法人中小企業基盤整備機構、所管は中小企業庁です。ここは2025年度と同じ体制のままです。

見落とされやすい「事業名そのものの変更」

多くの解説記事は補助金の通称が変わったことしか書いていませんが、根拠となる事業の名前も「サービス等生産性向上IT導入支援事業」から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」に変わっています。社内の稟議書や取締役会資料に前年度の事業名を書いたまま出すと、経理・監査側から差し戻される可能性があります。年度をまたいで同じ文面を使い回している会社は、事業名の記載を確認しておいてください。

「複数社」から「複数者」へ

連携枠の名称は「複数連携IT導入枠」から「複数連携デジタル化・AI導入枠」になりました。1文字の違いですが、株式会社以外の事業者(商工団体、組合、個人事業主など)も含むという意味の変更です。商店街や業界団体単位での申請を想定した表記に寄せられています。


補助額・補助率・枠構成は据え置き|お金の条件は何も変わっていない

デジタル化・AI導入補助金2026の枠別の補助額・補助率・補助対象経費をまとめた公式一覧表

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

「AI」が名前に入ったことで補助が手厚くなったのではないか、と期待して調べに来る方が多いのですが、金額面は2025年度と実質同じです

補助額

補助率

通常枠(1〜3プロセス)

5万円以上150万円未満

1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)

通常枠(4プロセス以上)

150万円以上450万円以下

1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)

インボイス枠(インボイス対応類型)

ITツール〜350万円/PC・タブレット等〜10万円/レジ・券売機等〜20万円

50万円以下は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)/50万円超は2/3以内/ハードは1/2以内

インボイス枠(電子取引類型)

〜350万円

2/3以内(大企業は1/2以内)

セキュリティ対策推進枠

5万円〜150万円

1/2以内(小規模事業者は2/3以内)

複数者連携デジタル化・AI導入枠

最大3,000万円

2/3以内(基盤導入で50万円以下は小規模4/5・その他3/4)

補助率が1/2ということは、450万円を満額受け取るには対象経費900万円が必要という意味です。この構造も前年度と変わっていません。450万円という数字の中身は補助金450万円でAI業務自動化はどこまでできるかで詳しく分解しています。

なお2026年度の「最低賃金近傍事業者」は、令和6年10月から令和7年9月までの間に3ヶ月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金を下回る賃金で雇用している従業員が、全従業員の30%以上である事業者と定義されています。該当すると補助率が1/2から2/3に上がりますが、一般的な企業はまず該当しません。自社の資金計画は1/2で組んでください。

補助対象経費の範囲も据え置きです。ソフトウェア購入費(必須)、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張やデータ連携などのオプション、導入コンサルティング・導入設定・導入研修・保守サポートといった役務が対象になります。


「AI」が名前に入っても、AIツールに加点は1点も付かない

ここが今回いちばん誤解されている点です。

公式の「加点項目一覧」(2026年6月3日更新版)を全項目確認しましたが、AI機能を理由とする加点項目は1つも存在しません。 補助率が上がるわけでも、優先的に採択される枠が用意されているわけでもありません。

AI関連で実際に変わったのは1点だけです。

公式サイトのITツール検索で、「AI機能を有するツール」という条件で絞り込めるようになった

つまり、事務局に登録済みのITツールの中からAI機能を持つものを探しやすくなっただけで、選んだからといって審査上の優位はありません。「AI導入補助金という名前なのだからAIを入れれば通りやすい」という前提で申請設計をすると、加点を1つも積めないまま、採択率42.2%の勝負に出ることになります。

「AI機能を有するツール」として何が対象になるのかはAI導入補助金で生成AIは対象になるかに整理しています。

加点を取りたいなら、AIかどうかではなく、次の章の加点項目を見てください。 そちらが実際に点数になる部分です。


加点項目はここが入れ替わった|2025年版との差分

2025年度と2026年度の公式「加点項目一覧」を1行ずつ突き合わせた結果が下の表です。去年加点を取れていた項目が、今年は存在しないケースがあります。

加点項目

2025年度

2026年度

判定

地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画

あり

なし

削除

地域未来牽引企業

あり

なし

削除

省力化ナビの活用

なし

あり

新設

実績報告日までのインボイス登録(インボイス枠)

なし

あり

新設

決済機能を有するクラウド製品の選定

なし

あり

新設

「スマートレジ」の選定

なし

あり

新設

デジタル化セカンドオピニオンの取り組み

なし

あり

新設

クラウドを利用したITツール導入の検討

あり

あり

継続

インボイス対応ITツール導入の検討

あり

あり

継続

賃上げ計画の策定・従業員への表明・達成

あり

あり

継続

最低賃金に関する状況

あり

あり

継続

SECURITY ACTION「★★二つ星」の宣言

あり

あり

継続

国が推進するセキュリティサービスの選定

あり

あり

継続

「デジwith」の「IT戦略ナビwith」

あり

あり

継続

健康経営優良法人

2025

2026

年度更新

くるみん・えるぼし認定

あり

あり

継続

成長加速マッチングサービス

あり

あり(「への登録」と明記)

表現の厳格化

AI機能を有するツールの導入

なし

なし

加点は存在しない

出典:デジタル化・AI導入補助金2026「加点項目一覧」(2026年6月3日更新)/IT導入補助金2025「加点項目一覧」(2025年11月14日更新)。両年度のPDFを1項目ずつ突き合わせて作成しています。

消えた2項目|地域系の加点は今年使えない

「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認」と「地域未来牽引企業の選定」が、2026年度版からまるごと消えています。 地方の中堅企業はこの2つで確実に加点を積んでいたケースが多く、去年と同じ前提で点数を見積もっていると、想定より点数が足りません。

該当していた企業は、SECURITY ACTION二つ星、健康経営優良法人2026、くるみん・えるぼし認定、成長加速マッチングサービスへの登録あたりで穴を埋める設計に切り替える必要があります。

新設5項目の共通点は「申請前に実際に動かないと取れない」

新しく入った加点は、認定やお墨付きを持っているかどうかではなく、申請前に所定の行動を済ませたかどうかを問う設計になっています。

  • 省力化ナビの活用:交付申請の締切時点までに所定の手順で活用し、申請に使うGビズIDプライムを入力しておく必要があります。締切直前に思い出しても間に合いません
  • デジタル化セカンドオピニオン:2026年5月15日の公募要領改訂で追加された項目で、公式の加点項目一覧には「第3次公募より加点措置を実施」と注記されています。代表取締役本人によるオンライン面談が必須で、日程調整を含めて1〜3週間を見込んでください
  • 「スマートレジ」の選定:こちらも「第3次公募より加点措置を実施」と注記されている新しい項目です。導入するツールを決める段階で条件を満たしておく必要があります
  • 決済機能を有するクラウド製品の選定:公式の注記は「第2次公募において加点措置を実施」。支援事業者との相談を始める時点で織り込んでおくべき項目です
  • 実績報告日までのインボイス登録:交付申請の時点でインボイス未登録の事業者が、実績報告日までに登録を済ませる場合に加点されます(インボイス枠)

去年の感覚で「締切2週間前から準備すれば加点は取れる」と考えていると、今年は取りこぼします。

なお、新設項目には公募の途中回から適用が始まったものも含まれ、加点項目は申請する枠によって適用される範囲も異なります。 自社が申請する枠でどれが有効かは、必ず公式の「加点項目一覧」PDFで確認してください。この記事の表は年度間の差分を示すためのもので、枠別の適用可否までは表していません。


実務で最も重い変更は「2回目以降の申請」|3.5%×3年の賃上げ義務

要件違反や不正に対して補助金の返還・交付決定の取り消しを行うことを示した公式の注意喚起バナー

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

名称変更より、経営に効く度合いが圧倒的に大きいのがこの変更です。

2022年から2025年にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は、2026年度の申請額がいくらであっても賃上げが必須要件になります。

補助申請額

賃上げの扱い

150万円未満

加点要件(任意)※ただし過去に交付決定を受けていれば必須

150万円以上450万円以下

必須要件

過去(2022〜2025年)に交付決定あり

金額にかかわらず必須

賃上げ目標の水準も、過去の交付実績によって変わります。

区分

給与支給総額

事業場内最低賃金

過去に交付決定なし

1人当たり年平均成長率 3%以上

地域別最低賃金 +30円以上

過去に交付決定あり

1人当たり年平均成長率 3.5%以上

地域別最低賃金 +30円以上

3.5%という数字は、日本銀行の物価安定目標2%に1.5%を上乗せしたものです。そして事業計画期間は3年間。この3年間、目標を達成し続ける義務を負います。

リスクの大きさを正確に把握してください。

  • 公式サイトは、賃上げ目標に定められた要件が未達成であることを事務局が確認した場合、補助金の全部または一部の返還を求めるとしています。返還額は未達の内容と時期によって決まるため、申請の段階で「いくら返すことになるか」を確定させることはできません。最悪の場合は受け取った全額が返還対象になる前提で計画してください
  • 効果報告の期間内に報告しなかった場合、達成状況の判定前に事業を辞退した場合も、同じく返還の対象になります
  • 賃上げ計画を従業員に表明したと申告したにもかかわらず、実際には表明していなかった場合は交付決定そのものが取り消しになります

去年、150万円未満の申請で「賃上げは加点要件だから任意」として気軽に使った会社ほど、今年は年3.5%×3年という重い縛りが自動的に付いてきます。150万円の補助を取りに行くために、3年間の人件費増を確約する取引になっていないかを、申請前に必ず試算してください。従業員20名・平均年収450万円の会社で、人数が変わらない前提で計算してみます。給与総額9,000万円に対して年3.5%なら、初年度の増加は約315万円。3年目の給与総額は約9,980万円(基準年より約980万円多い水準)まで上がり、3年間で追加的に支払う人件費は累計で約1,930万円になります。補助額150万円と引き換えに負う負担としては、桁が違うということです。


次の締切と、現金が戻ってくる時期|申請から8〜12ヶ月

交付申請の締切から交付決定、事業実施、実績報告を経て補助金が入金されるまでの流れを表したイメージ図

制度が変わっても、後払い(精算払い)である点は変わっていません。 導入費用はいったん全額を自社で立て替えます。

次回の交付申請締切

次回締切

交付決定(予定)

事業実施期限(予定)

通常枠

2026年9月29日(火)17:00

2026年11月9日(月)

2027年4月30日(金)17:00

インボイス枠(両類型)

2026年9月29日(火)17:00

2026年11月9日(月)

2027年4月30日(金)17:00

セキュリティ対策推進枠

2026年9月29日(火)17:00

2026年11月9日(月)

2027年4月30日(金)17:00

複数者連携デジタル化・AI導入枠

2026年10月30日(金)17:00

2026年12月10日(木)

2027年5月31日(月)17:00

公式は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」としており、これ以降の締切は未公表です。「今回落ちても次がある」という前提での計画は避けてください。締切の詳細はデジタル化・AI導入補助金の締切でも追っています。

現金が戻るまでのタイムライン

時期

起きること

2026年9月29日(火)17:00

交付申請の締切

↓ 約1.5ヶ月

この期間は発注・契約・支払いが一切できません

2026年11月9日(月)

交付決定(予定)。ここで初めて発注できます

↓ 事業実施期間

導入と支払い。費用は全額を自社で立て替え

2027年4月30日(金)17:00

事業実績報告の期限(予定)

↓ 約2〜4ヶ月

事務局の審査と補助金額の確定

2027年前半〜半ば

補助金の入金

申請から入金まで、順調に進んでも約8ヶ月、実績報告が期限ぎりぎりになれば約12ヶ月かかります。 早く導入を終えて実績報告を早期に出せば入金は前倒しになりますが、それでも2027年に入ってからです。

採択率は42.2%

2026年9月2日に公表された通常枠の交付決定は、申請1,913者に対して交付決定807者、採択率42.2%でした。約6割が不採択です。

準備には後述のとおり1.5〜2ヶ月かかりますから、その工数の6割は回収できない前提で判断する必要があります。450万円満額を狙う場合、採択率を掛けた期待値は約190万円。この190万円を得るために、対象経費900万円を最長12ヶ月立て替え、3年間の賃上げ義務を負う——これが2026年度の取引条件です。


自動化できる業務・できない業務の境界線

補助金の話とは別に、そもそもその業務が自動化に向いているかどうかを先に見極めないと、ツールを買っても現場が使わないまま終わります。判断の境界線は3つです。

自動化できる

自動化できない

毎日・毎週・毎月、繰り返し発生する

案件ごとに毎回例外判断が発生する

入力も出力もデジタルで完結している

紙の書類や対面のやり取りが前提になっている

「こういうときはこうする」という判断ルールが定義できる

最終決裁そのものをAIに委ねたい

具体的には、月次集計とレポート配信、商談記録のCRM入力とフォローメール送信、商品マスタや商品カタログの更新、複数システム間のデータ照合といった業務は、右側に該当しない限りほぼ自動化できます。

逆に、採用の合否判定、与信判断、クレーム対応の最終回答のように、判断そのものを任せたい業務は対象外です。この場合でも「材料を集めて選択肢を整理するところまで自動化し、判断は人がする」という設計に切り替えれば成立します。

補助金の対象範囲は、自動化の可否とは別の線引き

ここが混同されがちなので分けて書きます。自動化できる業務であっても、その実現方法によっては補助対象になりません。

補助金の対象になる

補助金の対象にならない

事務局に事前登録済みのITツール(パッケージ製品)

オーダーメイド開発・スクラッチ開発(原則対象外)

クラウド利用料(最大2年分)

提供元と直接契約する個人向けサブスク(ChatGPT Plus、Claude Proなど)

導入コンサルティング・導入設定・導入研修・保守サポート

一般的なECサイト構築、市販のウイルス対策ソフト

IT導入支援事業者を通じた共同申請

自社単独での申請(そもそも受け付けられない)

さらにITツール側にも要件があり、定義された業務プロセス(顧客対応、決済管理、供給、会計、業種特化プロセス等)を最低1つ含む必要があります。汎用ツール単体では対象になりません。

つまり、自社の業務に合わせて個別に構築するAI自動化は、制度名に「AI」が入った2026年度も原則として対象外のままです。 ここは名称変更で変わっていません。「AI導入補助金になったから、うちのAI活用も補助される」という理解で計画を立てると、支援事業者との相談段階で行き止まりになります。


削減できる時間はいくらになるか|月80時間なら年288万円

補助金を追うかどうかを判断するには、そもそもその業務が年間いくらの人件費を食っているかを先に出す必要があります。ここが数字になっていないと、450万円が高いのか安いのかも判断できません。

試算の前提

  • 対象業務:月次集計とレポート配信、商談記録のCRM入力、商品マスタの更新、システム間のデータ照合など
  • かかっている時間:担当者1名で月80時間(1日あたり約4時間)
  • 人件費:時給3,000円換算(年収450万円に社会保険料等の会社負担を含めた概算)

月80時間 × 3,000円 = 月24万円。年間では288万円が、この業務に投じられている人件費です。

削減時間ごとの回収期間

自社で自動化する場合(初期100万円・月額10万円/税別、10名規模の構成)の回収期間は次のようになります。

現在かかっている時間

人件費(時給3,000円)

月額10万円との差

初期100万円の回収期間

月40時間

12万円

+2万円

50ヶ月(現実的でない)

月60時間

18万円

+8万円

約12.5ヶ月

月80時間

24万円

+14万円

約7.1ヶ月

月100時間

30万円

+20万円

5ヶ月

損益分岐点は月47時間前後です。初期100万円を24ヶ月で均等に割ると月4.2万円、月額10万円と合わせて月14.2万円。時給3,000円で割ると月47.2時間になります。月50時間以上の削減が見込める業務でなければ、この価格帯は選ぶべきではありません。

月80時間のケースなら、2年間の総費用340万円(初期100万円+月10万円×24ヶ月)に対して、削減される人件費は576万円。差額は236万円のプラスです。

処理量が増える30名規模では月額20万円が目安になり、その場合の損益分岐点は月81時間前後に上がります。規模が大きいほど得、という単純な話ではありません。 まず対象業務の時間を測ってください。


補助金を待つ場合と、自前で始める場合の費用比較

同じ「業務を自動化する」でも、2つのルートで起きることはまったく違います。

補助金ルート

自前で始めるルート

着手できる時期

交付決定(2026年11月9日)以降。それ以前の発注・支払いは対象外

今すぐ

稼働までの期間

申請準備1.5〜2ヶ月+交付決定待ち+構築

1〜2ヶ月

支払い

対象経費を全額立て替え、入金は2027年前半〜半ば

初期100万円+月額10〜50万円(税別)

成功確率

42.2%(約6割が不採択)

100%

対象になるもの

事務局に登録済みのパッケージITツールのみ

自社の業務に合わせて設計

個社別のカスタムAI自動化

原則対象外

それ自体が対象

付いてくる義務

3年間の賃上げ(未達なら補助金の全部または一部を返還)、効果報告

なし

補助金を狙うべき会社は、業務を既製の登録ITツールに載せられて、900万円規模のIT投資予定があり、3年間の賃上げをいずれにせよ実施するつもりの会社です。この条件が揃っているなら、9月29日17:00の締切に向けて動く価値は十分にあります。

一方で、業務が既製品に載らない、あるいは月80時間規模の定型業務を今すぐ減らしたいのであれば、補助金を待つ理由はありません。月80時間のケースで見た差額は月14万円。交付決定を待つ2ヶ月で28万円、入金までの8ヶ月で112万円の削減機会を失う計算になります。補助金で戻ってくる期待値190万円と、待っている間に失う削減効果を並べて比較すべきです。

当社のシゴハヤエージェントは、御社専用のAI社員が毎月繰り返す定型業務を自動実行するサービスです。初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)、月額は処理量に連動し、10名規模で月10万円、30名規模で月20万円が目安になります(AIが読み書きできる文字量の枠として、月1,000万〜1.2億トークン分を含みます)。個社別に構築するため補助金の対象にはなりませんが、登録ITツールでは載らない業務がそのまま対象になるという違いがあります。


実際にやった事例|調剤薬局のケース

当社は医療機関・調剤薬局・インフラ企業など、複数のシステムを併用しながら定型業務が多い企業の自動化を手がけています(守秘のため社名は非公開です)。登録ITツールでは解決できず、補助金の対象外になった典型例として、調剤薬局のケースを紹介します。

課題:複数店舗を運営する調剤薬局で、本部の担当者が毎日、各店舗の実績データを店舗システムから取り出し、在庫管理表と突き合わせ、差分を確認したうえで本部の報告フォーマットに入れ直していました。同じ数字を3箇所に手入力している状態で、月末は月次集計が重なり、残業が常態化していました。

既製の業務パッケージも検討しましたが、レセプトコンピュータ(保険請求用のシステム)・在庫管理システム・本部のExcelがそれぞれ別系統で動いており、どの製品にも業務がそのまま載りませんでした。業務を製品に合わせようとすると、店舗側の入力手順まで作り替える必要があり、現場が止まります。この時点で、補助対象になる「登録済みITツールの導入」というルートは選べなくなりました。

作ったもの:毎日決まった時刻に各システムからデータを取り出して突き合わせ、差分が出た項目だけを担当者に一覧で上げる仕組みを構築しました。数字が一致している分は自動で本部フォーマットに転記され、月次レポートは月初に自動作成されて関係者に配信されます。数字が合わない理由の特定や店舗への確認といった判断が必要な部分は、これまでどおり人が行う設計にしています。

変わったこと:担当者の作業は「全件を突き合わせて入力する」から「差分だけを確認する」に変わりました。月80時間前後かかっていた作業が、確認中心の十数時間に収まるようになり、月末の残業がなくなりました。人を増やさずに店舗数を増やせる状態になった、というのが経営側の評価です。

このケースは補助金の対象外でしたが、業務手順は毎日同じで、入力も出力もシステム内で完結していたため、前述の境界線でいう「自動化できる」側にはっきり入っていました。補助対象かどうかと、自動化できるかどうかは別の問題だというのが、この事例の要点です。薬局・医療機関での補助金の考え方は大手薬局のDX補助金活用にも整理しています。


導入までの流れと期間

業務の棚卸しからツール選定、設定、運用、効果測定まで導入ステップを5段階で表したイメージ図

補助金を使わずに進める場合、標準的な導入期間は1〜2ヶ月です。

  1. 業務の棚卸し(1〜2週間):どの業務に月何時間かかっているかを洗い出し、自動化できる業務とできない業務を仕分けます。削減見込み時間と費用を数字で出すので、社内の稟議はこの資料で通せます
  2. 設計と構築(3〜6週間):対象システムへの接続、処理ルールの定義、例外が出たときに誰へ上げるかの設計
  3. 並行稼働(1〜2週間):これまでの手作業と並行して動かし、出力が一致するかを確認します
  4. 本稼働と運用:月額費用の範囲で、業務変更に応じた調整を継続します

補助金を使う場合は、この工程の前に申請準備1.5〜2ヶ月と、交付決定を待つ約1.5ヶ月が加わります。申請準備の内訳は次のとおりです。

工程

所要時間

詰まりやすい点

GビズIDプライムの取得

2週間〜1ヶ月

郵送審査。未取得だと締切に間に合わない最大の落とし穴

IT導入支援事業者・ITツールの選定

1〜3週間

登録済みツールからしか選べず、やりたいことと合わないケースが多い

省力化ナビの活用(新加点)

数時間〜1日

締切時点までに完了が必須。直前では取れない

デジタル化セカンドオピニオン(新加点)

1〜3週間

代表取締役本人のオンライン面談が必須。日程が取れない

SECURITY ACTION 二つ星の宣言

1日〜1週間

自己宣言だが準備が要る

事業計画・賃上げ計画の策定

1〜2週間

3年分の数値目標。従業員への表明も書面で必要

交付申請の入力・添付書類

3日〜1週間

支援事業者との共同作業

9月29日の締切に今から間に合うのは、GビズIDプライムをすでに持っている企業だけです。

補助金を狙う場合でも、いま進めておけること

業務の棚卸しだけは先に進められます。 交付決定前に「発注・契約・支払い」さえしなければ、補助対象から外れることはありません。対象業務と削減時間を先に整理しておき、交付決定と同時に着手するのが最も無駄のない進め方です。

そして棚卸しの結果、対象業務が4プロセスに満たない、あるいは既製品に業務が載らないと分かった時点で、補助金を追いかける意味はほぼなくなります。その場合の進め方はシゴハヤエージェントのページからご相談ください。


2027年度はさらに大きな再編が控えている(概算要求段階)

ここから先は確定情報ではありません。 令和9年度(2027年度)の概算要求段階で示されている方向性として、次の情報があります。

  • 「中小企業省力化投資補助金」と「デジタル化・AI導入補助金」を一本化し、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」として実施する方向が示されている
  • 経済産業省は令和9年度概算要求で、中小企業のデジタル化設備導入・事業承継を支援する補助金事業に4,435億円を要求している(複数事業を含む要求額であり、本補助金単独の額ではありません)

統合後の補助率・補助上限・対象設備・申請要件はすべて未定です。現在の「カタログ注文型」「一般型」といった区分が維持されるかも分かりません。

実務上の意味は1つです。「デジタル化・AI導入補助金」という名前でこの制度に申請できるのは、2026年度が最後になる可能性があるということ。制度が統合されれば要件も様式も作り直しになるため、「今年は見送って来年の様子を見る」という判断は、今年の要件で通せる計画を捨てて、要件が読めない制度に賭けることを意味します。年度をまたぐ判断をする際は、この不確実性を織り込んでください。

最新の動きは公式サイトの新着情報で毎月確認することをおすすめします。


よくある質問

Q1. 去年作った事業計画を、そのまま出し直すことはできますか?

書類としてはそのまま使えません。事業名・補助金名・枠名がすべて変わっているため、記載を2026年度の表記に直す必要があります。加えて、加点として計上していた「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」「地域未来牽引企業」が2026年度版から削除されているため、加点の積み方そのものを組み直す必要があります。また、2022〜2025年に交付決定を受けている場合は賃上げの水準が年3.5%に上がるので、計画の数値目標も作り直しになります。実質的には新規で書き直すつもりで見てください。

Q2. 「地域未来牽引企業」の加点がなくなりました。代わりに何を狙えばよいですか?

短期で取りやすい順に、SECURITY ACTION「★★二つ星」の宣言(1日〜1週間)、クラウドを利用したITツールの選定成長加速マッチングサービスへの登録が現実的です。時間に余裕があるなら健康経営優良法人2026くるみん・えるぼし認定が候補になります。新設された「省力化ナビの活用」も工数は数時間〜1日と軽いのですが、交付申請の締切時点までに完了し、申請に使うGビズIDプライムを入力しておく必要があるため、締切から逆算して早めに済ませてください。ただし加点項目は申請する枠によって適用範囲が異なるので、必ず公式の加点項目一覧PDFで自社の枠を確認してください。

Q3. GビズIDプライムをまだ持っていません。2026年9月29日の締切に間に合いますか?

厳しいと考えてください。GビズIDプライムは郵送での審査を含めて2週間〜1ヶ月かかります。仮に取得できたとしても、その後にIT導入支援事業者の選定・依頼、事業計画と賃上げ計画の策定、申請入力と差し戻し対応が残ります。支援事業者側にも入力作業と採択後の報告責任が発生するため、締切直前の依頼は受けてもらえないことが多いのが実情です。次の締切は現時点で未公表なので、「次回に回す」という前提も置けません。GビズIDプライムの申請だけは今日始めておき、締切に間に合わなかった場合の代替策を並行して検討するのが現実的です。

Q4. 賃上げ目標が未達だった場合、いくら返還することになりますか?

公式サイトの記載は「賃上げ目標に定められた要件が未達成であることを事務局が確認した場合、補助金の全部または一部の返還を求めます」です。返還額は未達の内容と未達になった時期に応じて事務局が判断するため、申請の段階で金額を確定させることはできません。「一部で済むかもしれない」ではなく、最悪の場合は全額が返還対象という前提で資金計画を立ててください。事業計画期間は3年間あり、その間ずっと目標を達成し続ける必要があります。効果報告を期間内に出さなかった場合や、判定前に事業を辞退した場合も返還対象です。さらに、賃上げ計画を従業員に表明したと申告したのに実際には表明していなかった場合は、交付決定そのものが取り消しになります。仮に補助額150万円を返還することになれば、それまでに実施した賃上げ分の人件費は戻ってきません。実質的な損失は補助額を上回ります。申請前に、達成できる水準かどうかを財務担当と必ず確認してください。

Q5. 「デジタル化セカンドオピニオン」の加点は、誰が面談を受けるのですか?

代表取締役本人によるオンライン面談が必須です。担当役員や情報システム部門の責任者では代替できません。この項目は2026年5月15日の公募要領改訂で追加されたもので、2026年度から新しく取れるようになった加点です。面談枠の確保と日程調整を含めて1〜3週間は見ておく必要があるため、社長のスケジュールを押さえられるかが実務上の分かれ目になります。逆に言えば、社長の時間が取れる会社にとっては、競合が取りこぼしやすい加点でもあります。

Q6. 「複数者連携デジタル化・AI導入枠」は自社でも使えますか?

この枠は複数の事業者が連携して申請することが前提で、単独では使えません。補助額は最大3,000万円、補助率は2/3以内(基盤導入で50万円以下は小規模事業者4/5・その他3/4)と条件は手厚いのですが、商店街、業界団体、サプライチェーンでつながる企業群といった連携体を組む必要があります。2026年度から名称が「複数連携IT導入枠」から「複数連携デジタル化・AI導入枠」に変わり、株式会社以外の事業者も含む表記になりました。次回締切は他の枠より1ヶ月遅い2026年10月30日(金)17:00、交付決定の予定日は2026年12月10日です。

Q7. 社内でChatGPTやClaudeを使って自動化を内製しています。その費用は補助対象になりますか?

なりません。理由は2つあります。1つは、提供元と直接契約する個人向けサブスクリプション(ChatGPT Plus、Claude Proなど)が対象外であること。もう1つは、オーダーメイド開発・スクラッチ開発が原則として補助対象外であることです。補助対象になるのは、事務局に事前登録され、IT導入支援事業者が販売・提供するITツールに限られます。制度名に「AI」が入ったことで、この線引きが緩和された事実はありません。内製や個社別構築で進めるなら、補助金とは切り離して投資判断をしてください。判断材料になるのは、この記事で示した「月何時間 × 時給 = 年いくら」の試算です。

Q8. 社員向けのAI研修の費用は対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金では、導入するITツールに紐づく「導入研修」は補助対象の役務に含まれますが、ツール導入と切り離した一般的な社員向けAI研修は対象になりません。研修単体で支援を受けたい場合は別の制度を検討することになります。選択肢はAI研修に使える補助金(法人向け)にまとめています。


まとめ|名称変更に振り回されず、実務で効く2つの変更を見る

2026年度の変更点を一言でまとめると、「名前にAIが付いたが、お金の条件は何も変わっていない。実際に効く変更は、加点項目の入れ替えと2回目以降の賃上げ厳格化の2つ」です。

  • AIツールを選んでも加点は1点も付きません。 変わったのはITツール検索で絞り込めるようになったことだけです
  • 地域未来投資促進法・地域未来牽引企業の加点は消えました。 去年この2つで点を取っていた会社は、別の加点に組み替えてください
  • 2022〜2025年に交付決定を受けた企業は、申請額にかかわらず年3.5%×3年の賃上げが必須です。未達なら補助金の全部または一部が返還対象になります
  • 次回締切は2026年9月29日(火)17:00。現金が戻るのは申請から8〜12ヶ月後、早くて2027年前半です
  • 個社別に構築するAI自動化は、2026年度も原則対象外のままです

補助金を取りに行くべきなのは、業務を既製の登録ITツールに載せられて、投資規模が大きく、3年間の賃上げをいずれにせよ行う会社です。その場合はGビズIDプライムの取得(2週間〜1ヶ月)から今日動いてください。

一方、既製品に業務が載らない、あるいは月50時間以上の定型業務を今すぐ減らしたいのであれば、補助金を待つ意味はありません。 月80時間・時給3,000円のケースなら削減効果は月24万円。初期100万円+月額10万円の構成なら約7.1ヶ月で初期費用を回収でき、2年間では236万円のプラスになります。補助金の入金を待つ8〜12ヶ月のうちに、自前ルートなら回収を終えている計算です。

シゴハヤエージェントは、御社専用のAI社員が毎月繰り返す定型業務を自動実行するサービスです。初期100万円(税別)+月額10〜50万円(税別)、導入期間は標準1〜2ヶ月。医療機関・調剤薬局・インフラ企業での構築実績があります。

まずは「どの業務が自動化の対象になるか」「月何時間減らせるか」の棚卸しからご相談ください。この棚卸しの結果は、補助金を申請する場合の事業計画づくりにもそのまま使えます。 どちらのルートを選んでも無駄になりません。

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※補助金の制度内容・締切・加点項目・要件は変更される場合があります。申請前に必ずデジタル化・AI導入補助金2026の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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AI革命

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