ビジネス活用2026年10月更新

IT導入補助金の変更点2026|「デジタル化・AI導入補助金」で実際に変わった5つのこと【2026年10月最新】

公開日: 2026/09/05
更新日: 2026/10/11
IT導入補助金の変更点2026|「デジタル化・AI導入補助金」で実際に変わった5つのこと【2026年10月最新】

この記事のポイント

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に改称。補助額・補助率は据え置きで、AIツールへの加点はありません。加点項目の入れ替え、2回目以降の賃上げ厳格化、第7次の賃上げ要件追加、10月30日の締切と入金時期を整理。

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名前が変わりましたが、補助額も補助率も5つの枠構成も2025年度から据え置きで、AIツールを選んだことによる加点は1点も存在しません。実務への影響が大きい変更は「加点項目の入れ替え」と「2回目以降の申請にかかる賃上げの厳格化」の2つです。次回の交付申請締切は全枠とも2026年10月30日(金)17:00で、立て替えた費用の補助金が入金されるのは2027年に入ってからです。さらに第7次公募以降は、賃上げの申請要件が1つ追加されます。

この記事は「去年IT導入補助金を使った/使おうとしたが、今年は何が変わったのか」を確認したい方向けに、2025年度と2026年度の差分だけを公式資料から整理したものです。制度そのものの申請方法や対象要件はデジタル化・AI導入補助金2026の活用ガイドにまとめてありますので、初めて申請する方はそちらからお読みください。


2026年度に変わったのはこの5つ|2025年度との対照表

デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)の公式サイトトップバナー

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

公式に確認できた変更点を一覧にします。ここに載っていないものは変わっていません。

#

項目

2025年度(IT導入補助金2025)

2026年度(デジタル化・AI導入補助金2026)

1

補助金の名称

IT導入補助金

デジタル化・AI導入補助金

2

事業の正式名称

サービス等生産性向上IT導入支援事業

中小企業デジタル化・AI導入支援事業

3

枠の名称

複数社連携IT導入枠

複数者連携デジタル化・AI導入枠

4

AIツールの扱い

区分なし

ITツール検索で「AI機能を有するツール」の絞り込みが可能に

5

加点項目

地域未来投資促進法・地域未来牽引企業を含む

地域系2項目が削除/行動ベースの5項目が新設

6

2回目以降の申請

補助額150万円以上で賃上げ必須

2022〜2025年に交付決定を受けた事業者は、金額にかかわらず賃上げ必須

7

補助額・補助率

—

変更なし(据え置き)

改称は令和7年度補正予算事業からで、事務局は独立行政法人中小企業基盤整備機構、所管は中小企業庁です。ここは2025年度と同じ体制のままです。

見落とされやすい「事業名そのものの変更」

補助金の通称だけでなく、根拠となる事業の名前も「サービス等生産性向上IT導入支援事業」から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」に変わっています。社内の稟議書や取締役会資料に前年度の事業名を書いたまま出すと、経理・監査側から差し戻される可能性があります。年度をまたいで同じ文面を使い回している会社は、事業名の記載を確認しておいてください。

「複数社」から「複数者」へ

連携枠の名称は「複数社連携IT導入枠」から「複数者連携デジタル化・AI導入枠」になりました。1文字の違いですが、株式会社以外の事業者(商工団体、組合、個人事業主など)も含むという意味の変更です。商店街や業界団体単位での申請を想定した表記に寄せられています。


補助額・補助率・枠構成は据え置き|お金の条件は何も変わっていない

デジタル化・AI導入補助金2026の枠別の補助額・補助率・補助対象経費をまとめた公式一覧表

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

「AI」が名前に入ったことで補助が手厚くなったのではないか、と期待される方もいますが、金額面は2025年度と実質同じです。

枠

補助額

補助率

通常枠(1〜3プロセス)

5万円以上150万円未満

1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)

通常枠(4プロセス以上)

150万円以上450万円以下

1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)

インボイス枠(インボイス対応類型)

ITツール〜350万円/PC・タブレット等〜10万円/レジ・券売機等〜20万円

50万円以下は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)/50万円超は2/3以内/ハードは1/2以内

インボイス枠(電子取引類型)

〜350万円

2/3以内(大企業は1/2以内)

セキュリティ対策推進枠

5万円〜150万円

1/2以内(小規模事業者は2/3以内)

複数者連携デジタル化・AI導入枠

最大3,000万円

2/3以内(基盤導入で50万円以下は小規模4/5・その他3/4)

補助率が1/2ということは、450万円を満額受け取るには対象経費900万円が必要という意味です。この構造も前年度と変わっていません。450万円という数字の中身は補助金450万円でAI業務自動化はどこまでできるかで詳しく分解しています。

なお2026年度の「最低賃金近傍事業者」は、令和6年10月から令和7年9月までの間に3ヶ月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金を下回る賃金で雇用している従業員が、全従業員の30%以上である事業者と定義されています。該当すると補助率が1/2から2/3に上がりますが、一般的な企業はまず該当しません。自社の資金計画は1/2で組んでください。

なお、第7次公募以降は、この判定に使う期間と最低賃金が「令和7年10月から令和8年9月までの間」「令和8年度改定の地域別最低賃金」に更新されます(2026年10月9日公開の公募要領_第7回公募以降 通常枠)。

補助対象経費の範囲も据え置きです。ソフトウェア購入費(必須)、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張やデータ連携などのオプション、導入コンサルティング・導入設定・導入研修・保守サポートといった役務が対象になります。


「AI」が名前に入っても、AIツールに加点は1点も付かない

ここが今回いちばん誤解されている点です。

公式の「加点項目一覧」(2026年6月3日更新版)を全項目確認しましたが、AI機能を理由とする加点項目は1つも存在しません。 補助率が上がるわけでも、優先的に採択される枠が用意されているわけでもありません。

AI関連で実際に変わったのは1点だけです。

公式サイトのITツール検索で、「AI機能を有するツール」という条件で絞り込めるようになった

つまり、事務局に登録済みのITツールの中からAI機能を持つものを探しやすくなっただけで、選んだからといって審査上の優位はありません。「AI導入補助金という名前なのだからAIを入れれば通りやすい」という前提で申請設計をすると、加点を1つも積めないまま、採択率4割強の審査に臨むことになります。

「AI機能を有するツール」として何が対象になるのかはAI導入補助金で生成AIは対象になるかに整理しています。

加点を取りたいなら、AIかどうかではなく、次の章の加点項目を見てください。 そちらが実際に点数になる部分です。


加点項目はここが入れ替わった|2025年版との差分

2025年度と2026年度の公式「加点項目一覧」を1行ずつ見比べた結果が下の表です。去年加点を取れていた項目が、今年は存在しないケースがあります。

加点項目

2025年度

2026年度

判定

地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画

あり

なし

削除

地域未来牽引企業

あり

なし

削除

省力化ナビの活用

なし

あり

新設

実績報告日までのインボイス登録(インボイス枠)

なし

あり

新設

決済機能を有するクラウド製品の選定

なし

あり

新設

「スマートレジ」の選定

なし

あり

新設

デジタル化セカンドオピニオンの取り組み

なし

あり

新設

クラウドを利用したITツール導入の検討

あり

あり

継続

インボイス対応ITツール導入の検討

あり

あり

継続

賃上げ計画の策定・従業員への表明・達成

あり

あり

継続

最低賃金に関する状況

あり

あり

継続

SECURITY ACTION「★★二つ星」の宣言

あり

あり

継続

国が推進するセキュリティサービスの選定

あり

あり

継続

「デジwith」の「IT戦略ナビwith」

あり

あり

継続

健康経営優良法人

2025

2026

年度更新

くるみん・えるぼし認定

あり

あり

継続

成長加速マッチングサービス

あり

あり(「への登録」と明記)

表現の厳格化

AI機能を有するツールの導入

なし

なし

加点は存在しない

出典:デジタル化・AI導入補助金2026「加点項目一覧」(2026年6月3日更新)/IT導入補助金2025「加点項目一覧」(2025年11月14日更新)。両年度のPDFを1項目ずつ照らし合わせて作成しています。

消えた2項目|地域系の加点は今年使えない

「地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認」と「地域未来牽引企業の選定」が、2026年度版からまるごと消えています。 この2つで加点を積んでいた企業は、去年と同じ前提で点数を見積もっていると、想定より点数が足りません。

該当していた企業は、SECURITY ACTION二つ星、健康経営優良法人2026、くるみん・えるぼし認定、成長加速マッチングサービスへの登録あたりで穴を埋める設計に切り替える必要があります。

新設5項目の共通点は「申請前に実際に動かないと取れない」

新しく入った加点は、認定やお墨付きを持っているかどうかではなく、申請前に所定の行動を済ませたかどうかを問う設計になっています。

  • 省力化ナビの活用:交付申請の締切時点までに所定の手順で活用し、申請に使うGビズIDプライムを入力しておく必要があります。締切直前に思い出しても間に合いません
  • デジタル化セカンドオピニオン:2026年5月15日の公募要領改訂で追加された項目で、公式の加点項目一覧には「第3次公募より加点措置を実施」と注記されています。代表取締役本人によるオンライン面談が必須で、日程調整を含めて1〜3週間を見込んでください
  • 「スマートレジ」の選定:こちらも「第3次公募より加点措置を実施」と注記されている新しい項目です。導入するツールを決める段階で条件を満たしておく必要があります
  • 決済機能を有するクラウド製品の選定:公式の注記は「第2次公募において加点措置を実施」。支援事業者との相談を始める時点で織り込んでおくべき項目です
  • 実績報告日までのインボイス登録:交付申請の時点でインボイス未登録の事業者が、実績報告日までに登録を済ませる場合に加点されます(インボイス枠)

去年の感覚で「締切2週間前から準備すれば加点は取れる」と考えていると、今年は取りこぼします。

なお、新設項目には公募の途中回から適用が始まったものも含まれ、加点項目は申請する枠によって適用される範囲も異なります。 自社が申請する枠でどれが有効かは、必ず公式の「加点項目一覧」PDFで確認してください。この記事の表は年度間の差分を示すためのもので、枠別の適用可否までは表していません。

このほか、2026年8月28日の公募要領改訂で、第6回公募から中小機構の「IT経営サポートセンター」の利用も加点の対象になりました。既存の「IT戦略ナビwith」とは選択制で、両方を利用しても加点はどちらか一方です。2026年8月1日以降に利用を申し込み、交付申請日以前かつ締切日の前月末日までに利用していることが条件のため、10月30日締切の回なら9月30日までの利用が必要でした(出典: 公募要領 通常枠 改訂履歴)。


実務で最も重い変更は「2回目以降の申請」|3.5%×3年の賃上げ義務

要件違反や不正に対して補助金の返還・交付決定の取り消しを行うことを示した公式の注意喚起バナー

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

経営への影響は、名称変更よりこの変更のほうが圧倒的に大きいです。

2022年から2025年にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は、2026年度の申請額がいくらであっても賃上げが必須要件になります。

補助申請額

賃上げの扱い

150万円未満

加点要件(任意)※ただし過去に交付決定を受けていれば必須

150万円以上450万円以下

必須要件

過去(2022〜2025年)に交付決定あり

金額にかかわらず必須

賃上げ目標の水準も、過去の交付実績によって変わります。

区分

給与支給総額

事業場内最低賃金

過去に交付決定なし

1人当たり年平均成長率 3%以上

地域別最低賃金 +30円以上

過去に交付決定あり

1人当たり年平均成長率 3.5%以上

地域別最低賃金 +30円以上

事業場内最低賃金(地域別最低賃金+30円以上)の要件が付くのは、補助申請額が150万円以上の場合です。150万円未満で過去に交付決定がある場合は、1人当たり給与支給総額の伸びと、賃上げ計画の従業員への表明が要件になります(公募要領 通常枠)。

3.5%という数字は、日本銀行の物価安定目標2%に1.5%を上乗せしたものです。事業計画期間は3年間で、この3年間は目標を達成し続ける義務を負います。

リスクの大きさを正確に把握してください。

  • 公式サイトは、賃上げ目標に定められた要件が未達成であることを事務局が確認した場合、補助金の全部または一部の返還を求めるとしています。返還額は未達の内容と時期によって決まるため、申請の段階で「いくら返すことになるか」を確定させることはできません。最悪の場合は受け取った全額が返還対象になる前提で計画してください
  • 効果報告の期間内に報告しなかった場合、達成状況の判定前に事業を辞退した場合も、同じく返還の対象になります
  • 賃上げ計画を従業員に表明したと申告したにもかかわらず、実際には表明していなかった場合は交付決定そのものが取り消しになります

去年、150万円未満の申請で「賃上げは加点要件だから任意」として気軽に使った会社ほど、今年は年3.5%×3年という重い縛りが自動的に付いてきます。150万円の補助を取りに行くために、3年間の人件費増を確約する取引になっていないかを、申請前に必ず試算してください。従業員20名・平均年収450万円の会社で、人数が変わらない前提で計算してみます。給与総額9,000万円に対して年3.5%なら、初年度の増加は約315万円。3年目の給与総額は約9,980万円(基準年より約980万円多い水準)まで上がり、3年間で追加的に支払う人件費は累計で約1,930万円になります。引き換えに受け取る補助額150万円とは、桁が違う負担です。

第7次公募からは「1年後の賃上げ」も申請要件に

2026年10月9日、事務局は第7次公募回以降の制度変更を公表し、新しい公募要領を公開しました。通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠に共通する変更として、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の向上に関する申請要件が追加されています。

要件(賃上げが申請要件になる事業者)

第6次公募まで

第7次公募以降

3年間の1人当たり給与支給総額の年平均成長率

3%以上(2022〜2025年に交付決定ありは3.5%以上)

同じ

1年後の1人当たり給与支給総額の伸び

要件なし

3%以上(2022〜2025年に交付決定ありは3.5%以上)

最低賃金近傍事業者(補助率2/3)の判定

令和6年10月〜令和7年9月、令和7年度改定の最低賃金

令和7年10月〜令和8年9月、令和8年度改定の最低賃金

3年間の平均だけで帳尻を合わせる計画では要件を満たせなくなり、初年度から目標どおりの伸びを出す必要があります。先ほどの従業員20名・給与総額9,000万円の例なら、1年目だけで約315万円の増加が要件です。最低賃金に関する加点の要件も、令和8年度改定の最低賃金に合わせて変わります。第7次の締切日はまだ公表されていないため、10月30日の締切に間に合わない場合は、第7次以降の公募要領で計画を作り直す前提で準備してください。

なお、保険医療機関・保険薬局、介護保険の対象となる介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、一定の要件を満たす学校などは、これらの賃上げ要件の適用外です(第6次までと第7次以降の公募要領で共通)。上の表で「金額にかかわらず必須」としているのは、これらに当たらない事業者の場合です。

出典: 第7次公募回以降における制度変更のお知らせ/公募要領_第7回公募以降 通常枠(いずれも2026年10月12日確認)


次の締切と、現金が戻ってくる時期|入金は2027年に入ってから

交付申請の締切から交付決定、事業実施、実績報告を経て補助金が入金されるまでの流れを表したイメージ図

制度が変わっても、後払い(精算払い)である点は変わっていません。 導入費用はいったん全額を自社で立て替えます。

次回の交付申請締切

項目

日程(全枠共通)

交付申請の締切

2026年10月30日(金)17:00

交付決定日

2026年12月10日(木)(予定)

事業実施期間

交付決定〜2027年5月31日(月)17:00(予定)

事業実績報告の期限

2027年5月31日(月)17:00(予定)

通常枠・インボイス枠(両類型)・セキュリティ対策推進枠は6次締切、複数者連携デジタル化・AI導入枠は3次締切にあたり、日程はすべての枠で同じです。9月29日(火)17:00の5次締切はすでに終わっています。

公式は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」としており、第7次の締切日は未公表です(出典: デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール、2026年10月12日確認)。しかも第7次からは前述のとおり賃上げの申請要件が増えます。「今回落ちても次がある」という前提での計画は避けてください。締切の詳細はデジタル化・AI導入補助金の締切でも追っています。

現金が戻るまでのタイムライン

時期

起きること

2026年10月30日(金)17:00

交付申請の締切

↓ 約1.5ヶ月

この期間は発注・契約・支払いが一切できません

2026年12月10日(木)

交付決定(予定)。ここで初めて発注できます

↓ 事業実施期間

導入と支払い。費用は全額を自社で立て替え

2027年5月31日(月)17:00

事業実績報告の期限(予定)

↓ 事務局の審査

補助金額の確定(期間は公式に示されていません)

実績報告と審査の後

補助金の入金

交付決定から実績報告の期限までは約6ヶ月で、入金はその後の審査を経てからです。早く導入を終えて実績報告を前倒しすれば入金も早まりますが、それでも2027年に入ってからです。実績報告が期限近くになれば、交付決定後の支払いから入金まで半年以上立て替える前提で資金繰りを組んでください。

採択率は4割強(直近は44.4%)

2026年10月7日に公表された4次締切分の通常枠は、申請1,836者に対して交付決定816者、採択率は約44.4%でした。1次から4次までの通常枠は次のとおりで、どの回も申請者の半数以上が交付決定を受けていません。

回(通常枠)

交付決定日

申請数

交付決定数

採択率

1次

2026年6月18日

2,028

891

約43.9%

2次

2026年7月23日

1,879

819

約43.6%

3次

2026年9月2日

1,913

807

約42.2%

4次

2026年10月7日

1,836

816

約44.4%

出典: デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧(申請数および交付決定数)(2026年10月12日確認)。採択率は申請数と交付決定数から計算しています。

準備には後述のとおり1.5〜2ヶ月かかりますが、採択率が5割を下回っている以上、その工数が報われない可能性のほうが高い前提で判断する必要があります。450万円満額を狙う場合、直近の採択率を掛けた期待値は約200万円(450万円×44.4%)。この約200万円を得るために対象経費900万円を立て替え、3年間の賃上げ義務を負うというのが、2026年度の取引条件です。


自動化できる業務・できない業務の境界線

補助金の話とは別に、そもそもその業務が自動化に向いているかどうかを先に見極めないと、ツールを買っても現場が使わないまま終わります。判断の境界線は3つです。

自動化できる

自動化できない

毎日・毎週・毎月、繰り返し発生する

案件ごとに毎回例外判断が発生する

入力も出力もデジタルで完結している

紙の書類や対面のやり取りが前提になっている

「こういうときはこうする」という判断ルールが定義できる

最終決裁そのものをAIに委ねたい

具体的には、月次集計とレポート配信、商談記録のCRM入力とフォローメール送信、商品マスタや商品カタログの更新、複数システム間のデータ照合といった業務は、右側に該当しない限りほぼ自動化できます。

逆に、採用の合否判定、与信判断、クレーム対応の最終回答のように、判断そのものを任せたい業務は対象外です。この場合でも「材料を集めて選択肢を整理するところまで自動化し、判断は人がする」という設計に切り替えれば成立します。

補助金の対象範囲は、自動化できるかどうかとは別に決まる

ここが混同されがちなので分けて書きます。自動化できる業務であっても、その実現方法によっては補助対象になりません。

補助金の対象になる

補助金の対象にならない

事務局に事前登録済みのITツール(パッケージ製品)

オーダーメイド開発・スクラッチ開発(原則対象外)

クラウド利用料(最大2年分)

提供元と直接契約する個人向けサブスク(ChatGPT Plus、Claude Proなど)

導入コンサルティング・導入設定・導入研修・保守サポート

一般的なECサイト構築、市販のウイルス対策ソフト

IT導入支援事業者を通じた共同申請

自社単独での申請(そもそも受け付けられない)

さらにITツール側にも要件があり、定義された業務プロセス(顧客対応、決済管理、供給、会計、業種特化プロセス等)を最低1つ含む必要があります。汎用ツール単体では対象になりません。

つまり、自社の業務に合わせて個別に構築するAI自動化は、制度名に「AI」が入った2026年度も原則として対象外のままです。 ここは名称変更で変わっていません。「AI導入補助金になったから、うちのAI活用も補助される」という理解で計画を立てると、支援事業者との相談段階で先に進めなくなります。


削減できる時間はいくらになるか|月80時間なら年288万円

補助金を追うかどうかを判断するには、そもそもその業務が年間いくらの人件費がかかっているかを先に出す必要があります。ここが数字になっていないと、450万円が高いのか安いのかも判断できません。

試算の前提

ここからの数字は、次の条件を置いた仮定に基づく試算です。実際の案件の金額や効果ではありません。

  • 対象業務:月次集計とレポート配信、商談記録のCRM入力、商品マスタの更新、システム間のデータ照合など
  • かかっている時間:担当者1名で月80時間(1日あたり約4時間)
  • 人件費:時給3,000円換算(年収450万円に社会保険料等の会社負担を含めた概算)

月80時間 × 3,000円 = 月24万円。年間では288万円が、この業務に投じられている人件費です。

削減時間と開発費ごとの回収期間

業務に合わせた仕組みを開発する場合の費用は、対象業務、つなぐシステムの数、権限や確認の工程によって大きく変わります。ここでは開発費を200万円・500万円・1,000万円の3水準に置き、次の式で回収期間を出します(仮定に基づく試算)。

  • 回収期間(月)= 開発費 ÷(削減できる時間 × 時給3,000円 − 月の運用費)
  • 月の運用費:クラウド・外部APIの利用料と保守をまとめて月3万円と仮定
  • 税、社内の担当者が要件の整理や確認に使う時間、開発期間中も続く手作業の費用は含めていません

開発費(仮定)

月40時間削減(効果 月9万円)

月60時間削減(効果 月15万円)

月80時間削減(効果 月21万円)

200万円

約22ヶ月

約13ヶ月

約10ヶ月

500万円

約56ヶ月

約33ヶ月

約24ヶ月

1,000万円

約111ヶ月

約67ヶ月

約48ヶ月

「効果」は、削減できる時間×3,000円から月の運用費3万円を引いた金額です。回収の目安を3年(36ヶ月)に置くと、開発費200万円なら月40時間の削減でも収まりますが、500万円なら月60時間以上が必要で、1,000万円では月80時間を減らしても収まりません。先に対象業務の時間を測り、「この時間を減らすためにいくらまでなら出せるか」を決めてから見積を取ると、開発範囲の判断がぶれません。

なお、月80時間かかっている業務が自動化でゼロになるとは限りません。自動化した後も、差分の確認や例外の対応に人の時間は残ります。表の「削減できる時間」は、今かかっている時間ではなく、自動化した後に減る時間として読んでください。


補助金を待つ場合と、補助金を使わずに開発する場合の比較

同じ「業務を自動化する」でも、2つのルートで起きることはまったく違います。

補助金ルート

補助金を使わずに開発するルート

着手できる時期

交付決定(2026年12月10日予定)以降。それ以前の発注・契約・支払いは対象外

範囲と金額に合意すれば、すぐ

対象になるもの

事務局に登録済みのITツール(パッケージ製品・クラウド)

自社の業務に合わせて作る仕組み

個社別に開発する仕組み

原則対象外

それ自体を開発する

支払い

対象経費を全額立て替え、補助金の入金は2027年に入ってから

開発費(範囲に応じた見積)と、クラウド・外部APIの利用料などの実費

通るかどうか

審査あり(通常枠の採択率は1〜4次で約42〜44%)

審査はない。ただし、作る範囲と完成の条件を先に決める必要がある

付いてくる義務

3年間の賃上げ(未達なら補助金の全部または一部を返還)、効果報告

補助金に伴う義務はない

補助金を狙うべき会社は、業務を既製の登録ITツールに載せられて、900万円規模のIT投資予定があり、3年間の賃上げをいずれにせよ実施するつもりの会社です。この条件が揃っているなら、10月30日17:00の締切か、第7次の公募に向けて動く価値は十分にあります。登録ITツールで足りる業務なら、開発を考える前に、補助金を使って既製品を入れられないかを確認してください。対象になるツールの見分け方はAI導入補助金で生成AIは対象になるかにまとめています。

一方で、業務が既製品に載らないのであれば、この補助金を待っても対象にはなりません。この場合に比べるのは補助金の期待値ではなく、「開発費」と「待っている間も手作業を続ける費用」です。前の試算で月60時間を減らせる業務なら、着手が1ヶ月遅れるごとに月15万円分の効果を先送りすることになります。

当社(AI革命)の受託開発は、表の右側「補助金を使わずに開発する」にあたります。公開している価格は、既存システムの改修が100万円〜、PoC(小さく作って効果を確かめる検証)が300万円〜、本開発は個別見積です(いずれも税別。クラウド・外部API・ライセンスなどの実費は別)。PoCの300万円は検証の開始価格で、本番のシステムが完成する金額ではありません。各社向けの開発なので、この補助金の対象にはなりません。

開発のほかにも、既製のSaaS、決まった作業を月額で運用するサービス、AIエージェントを組み込んだツールで足りる業務もあります。どれが合うかは、業務の手順が既製品にどこまで合うか、つなぐシステムがいくつあるか、例外がどのくらい出るかで決まります。

補助金で開発費をまかなう場合の考え方

「開発会社の見積を、補助上限450万円の枠に収めれば半額になる」という考え方は、この補助金では成り立ちません。対象は登録済みの既製ITツールで、各社向けの開発費はいくらであっても原則対象外です。開発費を補助金でまかなうなら、次の順で考えます。

  1. システム構築費を対象にする別の制度を探す。たとえば中小企業省力化投資補助金(一般型)は、公式サイトで「個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築」を対象に挙げています(中小企業省力化投資補助金 一般型、2026年10月12日確認)。申請要件・補助率・締切は公募回ごとに公募要領で確かめます
  2. 見積を制度の経費区分に合わせて分けてもらう。開発費、クラウド・外部APIの利用料、保守費は、制度によって対象になるものとならないものが分かれます
  3. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない。この補助金と同じく、交付決定前の発注を対象外とする制度があります。公募要領で確かめるまでは発注しないでください。相談や要件の整理は、発注しない限り先に進められます
  4. 不採択のときに進めるかを先に決める。採択されるかは審査次第です。外れたら自費で進めるのか、やめるのかを決めておくと、待つ期間が無駄になりません

補助金の上限額から逆算して開発範囲を決めると、必要な機能が削られたり、補助金のために作らなくてよい機能が増えたりします。先に「どの業務の、どこまでを自動化するか」を決めて見積を取り、その金額が制度に合うかを後から確かめる順番のほうが、判断を誤りません。2つの補助金の違いはデジタル化・AI導入補助金とものづくり補助金の比較で整理しています。

既製品に載らない業務かどうか、開発するならどこまで作るかを決めたい場合は、既製ツールに載らない業務を、開発で自動化できるか相談するからご相談ください。初回相談は無料・30分(オンライン)で、要件が決まっていなくても大丈夫です。今の業務の流れと使っているシステムを伺い、依頼範囲の候補と費用の目安を相談メモでお返しします。登録済みの既製ツールで足りると判断できる場合は、その旨をお伝えします。


当社が公開している開発実績

当社が受託開発で公開できる実績は、次の2件です(守秘のため社名は非公開です)。どちらも補助金を使った案件として紹介するものではありません。

業種

作ったもの

通信事業

数万件の請求情報を取り込み、集計し、確認する画面

薬局

複数店舗・数千人分の記録の管理、権限の設定、確認の工程

どちらも、既存のデータの取り込みや、権限・確認の工程を含めて作ったものです。この記事で「既製品に載らない業務」と呼んでいるのは、こうした取り込みや権限・確認の工程を、今の業務の流れに合わせて作る必要がある業務です。補助対象かどうかと、自動化できるかどうかは別の問題で、登録ITツールに載らないことは、自動化できないことを意味しません。

薬局・医療機関での補助金の考え方は大手薬局のDX補助金活用にも整理しています。


開発で進める場合の流れと、補助金申請の準備期間

業務の棚卸しからツール選定、設定、運用、効果測定まで導入ステップを5段階で表したイメージ図

補助金を使わずに開発で進める場合、当社では次の順で進めます。期間は対象の範囲によって変わります。

  1. 初回相談(無料・30分・オンライン):何を解決したいか、使う人、今のシステムを伺います。要件が決まっていなくても大丈夫です。業務の流れ、使っているシステム名、困っている操作、手元にある資料(Excel・既存コード・AIで作った試作など)の有無が分かると話が早く進みます。秘密情報・本番の認証情報・実顧客データは送らないでください
  2. 相談メモ(メール):確認した現状と課題、自社で進める・頼む・やらないの切り分け、依頼の形の候補(既存システムの改修/PoC/本開発/調査のみ)、費用の目安、次に必要な資料をまとめてお送りします
  3. 提案・見積(無料):資料を受け取った後に、範囲と金額を示します
  4. 調査・PoC(有償):既存システムの調査や、効果を小さく確かめる検証が必要な場合に行います。始める前に範囲と金額を示して合意を取ります
  5. 開発と確認:範囲と金額に合意してから開発します。本稼働の前に、これまでの手作業と並行して動かし、結果が一致するかを確かめておくと、切り替え後の誤りを見つけやすくなります

自社でAIを使って進められる部分と、会社に頼んだほうがよい部分の分け方の目安です。ChatGPTやClaudeなどを使えば、手順の書き出しや試作は社内でもかなり進められます。

自社でAIを使って進めやすい部分

会社に頼んだほうがよい部分

業務の手順の書き出し、表計算の関数やマクロの作成

複数のシステムからデータを取り出してつなぐ部分(公開API・CSV・画面操作のどれでつなぐかの判断を含む)

画面の試作、文章の下書き・要約

誰がどのデータを見られるかの権限の設計と、その試験

少量のデータでの動作確認

例外が出たときに誰へ上げるかの設計と、結果が正しいかの確認(検収)

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業務やシステムが変わったときの修正と、その責任の持ち方

社内にAIエンジニアがいない状態からの進め方はエンジニアがいなくても業務自動化はできるかにまとめています。

補助金を使って登録ITツールを入れる場合は、導入の前に申請準備1.5〜2ヶ月と、交付決定を待つ約1.5ヶ月が加わります。申請準備の内訳は次のとおりです。

工程

所要時間

詰まりやすい点

GビズIDプライムの取得

2週間〜1ヶ月

郵送審査。未取得だと締切に間に合わない最大の落とし穴

IT導入支援事業者・ITツールの選定

1〜3週間

登録済みツールからしか選べず、やりたいことと合わない場合がある

省力化ナビの活用(新加点)

数時間〜1日

締切時点までに完了が必須。直前では取れない

デジタル化セカンドオピニオン(新加点)

1〜3週間

代表取締役本人のオンライン面談が必須。日程が取れない

SECURITY ACTION 二つ星の宣言

1日〜1週間

自己宣言だが準備が要る

事業計画・賃上げ計画の策定

1〜2週間

3年分の数値目標。従業員への表明も書面で必要

交付申請の入力・添付書類

3日〜1週間

支援事業者との共同作業

10月30日の締切に今から間に合うのは、GビズIDプライムをすでに持っている企業だけです。

補助金を狙う場合でも、いま進めておけること

業務の棚卸しだけは先に進められます。 交付決定前に「発注・契約・支払い」さえしなければ、補助対象から外れることはありません。対象業務と削減時間を先に整理しておけば、10月30日の締切に間に合わなくても、第7次の公募要領が出た時点ですぐに計画へ落とし込めます。

そして棚卸しの結果、対象業務が4プロセスに満たない、あるいは既製品に業務が載らないと分かった時点で、この補助金を追いかける意味はほぼなくなります。その場合は既製ツールに載らない業務を、開発で自動化できるか相談するからご相談ください。棚卸しの段階から一緒に整理できます。


2027年度はさらに大きな再編が控えている(概算要求段階)

ここから先は確定情報ではありません。 令和9年度(2027年度)の概算要求段階で示されている方向性として、次の情報があります。

  • 「中小企業省力化投資補助金」と「デジタル化・AI導入補助金」を一本化し、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」として実施する方向が示されている
  • 経済産業省は令和9年度概算要求で、中小企業のデジタル化設備導入・事業承継を支援する補助金事業に4,435億円を要求している(複数事業を含む要求額であり、本補助金単独の額ではありません)

統合後の補助率・補助上限・対象設備・申請要件はすべて未定です。現在の「カタログ注文型」「一般型」といった区分が維持されるかも分かりません。

実務上の意味は、「デジタル化・AI導入補助金」という名前でこの制度に申請できるのは、2026年度が最後になる可能性があるという1点です。制度が統合されれば要件も様式も作り直しになるため、「今年は見送って来年の様子を見る」という判断は、今年の要件で通せる計画を捨てて、要件が読めない制度に賭けることを意味します。年度をまたぐ判断をする際は、この不確実性を織り込んでください。

最新の動きは公式サイトの新着情報で毎月確認することをおすすめします。


よくある質問

Q1. 去年作った事業計画を、そのまま出し直すことはできますか?

書類としてはそのまま使えません。事業名・補助金名・枠名がすべて変わっているため、記載を2026年度の表記に直す必要があります。加えて、加点として計上していた「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」「地域未来牽引企業」が2026年度版から削除されているため、加点の積み方そのものを組み直す必要があります。また、2022〜2025年に交付決定を受けている場合は賃上げの水準が年3.5%に上がるので、計画の数値目標も作り直しになります。実質的には新規で書き直すつもりで見てください。

Q2. 「地域未来牽引企業」の加点がなくなりました。代わりに何を狙えばよいですか?

短期で取りやすい順に、SECURITY ACTION「★★二つ星」の宣言(1日〜1週間)、クラウドを利用したITツールの選定、成長加速マッチングサービスへの登録が現実的です。時間に余裕があるなら健康経営優良法人2026、くるみん・えるぼし認定が候補になります。新設された「省力化ナビの活用」も工数は数時間〜1日と軽いのですが、交付申請の締切時点までに完了し、申請に使うGビズIDプライムを入力しておく必要があるため、締切から逆算して早めに済ませてください。ただし加点項目は申請する枠によって適用範囲が異なるので、必ず公式の加点項目一覧PDFで自社の枠を確認してください。

Q3. GビズIDプライムをまだ持っていません。2026年10月30日の締切に間に合いますか?

厳しいと考えてください。GビズIDプライムは郵送での審査を含めて2週間〜1ヶ月かかります。仮に取得できたとしても、その後にIT導入支援事業者の選定・依頼、事業計画と賃上げ計画の策定、申請入力と差し戻し対応が残ります。支援事業者側にも入力作業と採択後の報告責任が発生するため、締切直前の依頼は断られる場合があります。第7次の締切は現時点で未公表で、第7次からは「1年後の賃上げ」が申請要件に加わります。GビズIDプライムの申請だけは今日始めておき、第7次の要件で計画を作り直す準備と、補助金を使わない場合の進め方の検討を並行させるのが現実的です。

Q4. 賃上げ目標が未達だった場合、いくら返還することになりますか?

公式サイトの記載は「賃上げ目標に定められた要件が未達成であることを事務局が確認した場合、補助金の全部または一部の返還を求めます」です。返還額は未達の内容と未達になった時期に応じて事務局が判断するため、申請の段階で金額を確定させることはできません。ただし公募要領には算定の例があり、事業場内最低賃金の要件が1年度目で未達なら全額、2年度目なら2/3、3年度目なら1/3の返還、1人当たり給与支給総額の要件が事業計画終了時点で未達なら全部の返還を求める場合がある、とされています(公募要領 通常枠【補足1】)。「一部で済むかもしれない」ではなく、最悪の場合は全額が返還対象という前提で資金計画を立ててください。事業計画期間は3年間あり、その間ずっと目標を達成し続ける必要があります。効果報告を期間内に出さなかった場合や、判定前に事業を辞退した場合も返還対象です。さらに、賃上げ計画を従業員に表明したと申告したのに実際には表明していなかった場合は、交付決定そのものが取り消しになります。仮に補助額150万円を返還することになれば、それまでに実施した賃上げ分の人件費は戻ってきません。実質的な損失は補助額を上回ります。申請前に、達成できる水準かどうかを財務担当と必ず確認してください。

Q5. 「デジタル化セカンドオピニオン」の加点は、誰が面談を受けるのですか?

代表取締役本人によるオンライン面談が必須です。担当役員や情報システム部門の責任者では代替できません。この項目は2026年5月15日の公募要領改訂で追加されたもので、2026年度から新しく取れるようになった加点です。面談枠の確保と日程調整を含めて1〜3週間は見ておく必要があるため、社長のスケジュールを押さえられるかが実務上の分かれ目になります。逆に言えば、社長の時間が取れる会社にとっては、競合が取りこぼしやすい加点でもあります。

Q6. 「複数者連携デジタル化・AI導入枠」は自社でも使えますか?

この枠は複数の事業者が連携して申請することが前提で、単独では使えません。補助額は最大3,000万円、補助率は2/3以内(基盤導入で50万円以下は小規模事業者4/5・その他3/4)と条件は手厚いのですが、商店街、業界団体、サプライチェーンでつながる企業群といった連携体を組む必要があります。2026年度から名称が「複数社連携IT導入枠」から「複数者連携デジタル化・AI導入枠」に変わり、株式会社以外の事業者も含む表記になりました。次回の締切(3次)は他の枠と同じ2026年10月30日(金)17:00、交付決定の予定日は2026年12月10日です。

Q7. 社内でChatGPTやClaudeを使って自動化を内製しています。その費用は補助対象になりますか?

なりません。理由は2つあります。1つは、提供元と直接契約する個人向けサブスクリプション(ChatGPT Plus、Claude Proなど)が対象外であること。もう1つは、オーダーメイド開発・スクラッチ開発が原則として補助対象外であることです。補助対象になるのは、事務局に事前登録され、IT導入支援事業者が販売・提供するITツールに限られます。制度名に「AI」が入ったことで、この線引きが緩和された事実はありません。内製や個社別構築で進めるなら、補助金とは切り離して投資判断をしてください。判断材料になるのは、この記事で示した「月何時間 × 時給 = 年いくら」の試算です。

Q8. 社員向けのAI研修の費用は対象になりますか?

デジタル化・AI導入補助金では、導入するITツールに紐づく「導入研修」は補助対象の役務に含まれますが、ツール導入と切り離した一般的な社員向けAI研修は対象になりません。研修単体で支援を受けたい場合は別の制度を検討することになります。選択肢はAI研修に使える補助金(法人向け)にまとめています。

Q9. 開発会社に頼む費用を、この補助金でまかなえますか?

原則まかなえません。この補助金の対象は事務局に登録されたITツールとその導入に伴う役務で、各社向けのオーダーメイド開発・スクラッチ開発は対象外です。開発費を補助金でまかなうなら、システム構築費を対象にする別の制度(たとえば中小企業省力化投資補助金の一般型)を公募要領で確かめます。その場合も、補助上限から逆算して開発範囲を決めるのではなく、先に作る範囲を決めて見積を取り、制度に合うかを後から確かめてください。手順は本文の「補助金で開発費をまかなう場合の考え方」にまとめています。


まとめ|名称変更に振り回されず、実務に影響する2つの変更を見る

2026年度の変更点を一言でまとめると、「名前にAIが付いたが、お金の条件は何も変わっていない。実際に影響する変更は、加点項目の入れ替えと2回目以降の賃上げ厳格化の2つ」です。

  • AIツールを選んでも加点は1点も付きません。 変わったのはITツール検索で絞り込めるようになったことだけです
  • 地域未来投資促進法・地域未来牽引企業の加点は消えました。 去年この2つで点を取っていた会社は、別の加点に組み替えてください
  • 2022〜2025年に交付決定を受けた企業は、申請額にかかわらず年3.5%×3年の賃上げが必須です(保険医療機関・保険薬局などの適用外を除く)。未達なら補助金の全部または一部が返還対象になります
  • 第7次公募からは「1年後の1人当たり給与支給総額の伸び」も申請要件に加わります
  • 次回締切は全枠とも2026年10月30日(金)17:00。交付決定は12月10日予定で、補助金の入金は2027年に入ってからです
  • 個社別に構築するAI自動化は、2026年度も原則対象外のままです

補助金を取りに行くべきなのは、業務を既製の登録ITツールに載せられて、投資規模が大きく、3年間の賃上げをいずれにせよ行う会社です。その場合はGビズIDプライムの取得(2週間〜1ヶ月)から今日動いてください。

一方、既製品に業務が載らないのであれば、この補助金を待っても対象にはなりません。 比べるべきは、開発費と、待っている間も手作業を続ける費用です。仮定に基づく試算では、開発費500万円で月60時間を減らせる業務なら、回収は約33ヶ月でした。まず対象業務に月何時間かかっているかを測ってください。

開発で進めるかを決める前に、「どの業務が既製品に載らないのか」「どこまでを開発し、どこを自社でAIを使って進めるか」を整理するところからご相談ください。この整理の結果は、補助金を申請する場合の事業計画づくりにも使えます。 初回相談は無料・30分(オンライン)で、相談後に依頼範囲の候補・進め方・費用の目安をまとめた相談メモをお送りします。

▶ 既製ツールに載らない業務を、開発で自動化できるか相談する

※補助金の制度内容・締切・加点項目・要件は変更される場合があります。申請前に必ずデジタル化・AI導入補助金2026の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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