AIツール2026年6月更新

Adobe CX Enterpriseとは?Experience Cloud刷新・CX Coworker・MCP連携を徹底解説

公開日: 2026/04/26
更新日: 2026/06/28
Adobe CX Enterpriseとは?Experience Cloud刷新・CX Coworker・MCP連携を徹底解説

この記事のポイント

Adobe CX Enterpriseは、Experience Cloudを刷新したエージェント型AIのCXプラットフォーム。CX Enterprise CoworkerのGA、MCP/Agent2Agent連携、成果連動型の料金モデル、Salesforceとの違い、導入準備までを最新情報で整理します。

Adobe CX Enterprise(アドビ CXエンタープライズ)は、2026年4月のAdobe Summit 2026で発表された、Adobe Experience Cloudを進化・刷新した次世代のエンタープライズ向けエージェント型AIのCXプラットフォームです。 目標を伝えればAIエージェントがシステム横断で自律的に動き、潜在顧客の発見・獲得からコンバージョン、ロイヤルティ形成まで顧客ライフサイクル全体を一気通貫で扱う点が中核で、Microsoft 365 Copilot・Claude Enterprise・ChatGPT・GeminiなどともMCP / Agent2Agentで連携できます。

この記事では以下を整理します。

  • Adobe CX Enterpriseの定義と、Experience Cloudから何が変わったか
  • 中核機能「CX Enterprise Coworker」でできること(2026年6月にGA)
  • MCP / Agent2Agentによるオープン連携の仕組みと最新の対応状況
  • 新インテリジェンス層(Brand Intelligence/Engagement Intelligence/Agent Orchestrator)
  • Salesforce Agentforceとの違い
  • 成果連動(アウトカムベース)/クレジット型へ移行する料金モデルと現時点の制約
  • 日本企業が今から準備すべきこと

対象読者は、マーケティング・CX・データ基盤を担当する事業会社の責任者、Adobe Experience Cloudの既存ユーザー、SIer・コンサル・代理店で大手企業のCX領域を支援する立場の方です。

Adobe CX Enterpriseとは何か

Adobe Summit 2026で発表されたAdobe CX Enterprise

出典: Adobe 公式ニュースルーム

Adobe CX Enterpriseは、「ツール群を個別に使い分けるCX」から「目標を伝えればAIエージェントが横断で動くCX」へシフトさせるための、エージェント型AIファーストのエンタープライズプラットフォームです。

アドビ公式は、これを「潜在顧客の発見や獲得から、コンバージョンや持続的なロイヤリティの促進に至るまでの顧客ライフサイクル全体をよりシンプルに管理するための、新しいエンドツーエンドの企業向けエージェント型AIシステム」と定義しています。公式と主要メディアの整理を踏まえた要点は次のとおりです。

  • 発表日: 2026年4月20日(米国時間、ラスベガスのAdobe Summit 2026)
  • 位置づけ: Adobe Experience Cloudの進化版。Real-Time CDP/Customer Journey Analytics/Journey Optimizer/Marketo Engage/Target/Adobe Experience Manager(AEM)等の既存アプリは継続し、その上にAIエージェント層・インテリジェンス層・ガバナンス層を追加した構造
  • 基盤: Adobe Experience Platform(AEP)。全ユーザーデータソースを統合し、リアルタイムインサイトを提供するコンテキスト層として機能
  • 3つの柱: ① ブランド可視性(Brand Visibility)、② 顧客エンゲージメント(Customer Engagement)、③ コンテンツサプライチェーン(Content Supply Chain)
  • 構成要素(公式): AIエージェント/エージェントスキル/MCPエンドポイント/インテリジェンス層+ガバナンス層/開発者向けツール

海外メディアのMarTechは「AdobeはExperience Cloudを実質的にCX Enterpriseへリブランド・再編した」と評しています。一方でアドビ公式は「Experience Cloudの進化形」「次世代」という表現を用いており、既存アプリケーションが廃止されるわけではない点には注意が必要です。

発表から提供開始までの最新タイムライン

CX Enterpriseは2026年4月の発表後、わずか数か月で「発表」から「一般提供(GA)」へと急速に進んでいます。多くの解説記事が4月の発表時点で止まっているため、まずは最新の流れを押さえておくと判断を誤りません。

日付

内容

2026/04/20

Adobe Summit 2026でAdobe CX Enterpriseを発表(CX Enterprise Coworkerは「数か月以内にGA予定」)

2026/06/10

CX Enterprise Coworkerの一般提供(GA)を発表

2026/06/22

Cannes Lionsで、Adobe CX skills・MCPサーバーがClaude Enterprise/Microsoft 365 Copilot(Cowork)でGA。WPP・Code and Theory(Stagwell)・Omnicom・Accenture Songとの協業も発表

つまり、2026年6月時点では中核のCX Enterprise CoworkerはすでにGA済みであり、主要AIプラットフォームからの呼び出しも一部GAに到達しています。

Experience Cloudとの関係を1枚で整理

観点

旧: Adobe Experience Cloud

新: Adobe CX Enterprise

中心思想

ツール群(CDP・分析・配信・CMS等)を組み合わせて使う

目標を入力すると複数エージェントが横断で計画・実行する

AIの位置づけ

各アプリ内のAIが補助的に支援

エージェント層が主役(Agent Orchestrator+Coworker)

他社AIとの連携

限定的

MCP / Agent2Agentでオープン連携

既存アプリ

そのまま提供

そのまま継続(CX Enterpriseの一部として統合)

ガバナンス

アプリごと

ガバナンス層が横断で監査・制御

価格モデル

サブスクリプション(席数)中心

成果連動(アウトカムベース)/クレジット型へ移行中

つまり、既存のExperience Cloudユーザーが急に使えなくなるわけではなく、その上に「AIエージェント/インテリジェンス/ガバナンス」の3層が乗るイメージです。

CX Enterprise Coworkerとは(中核機能・2026年6月にGA)

CX Enterprise Coworkerは、定義されたビジネス目標を受け取り、明確なゴールを複数ステップのアクションへ翻訳して、複数エージェント・複数チャネルで横断的に実行・調整する、チームの中央インテリジェンス層となるAIです。 2026年6月10日に一般提供(GA)が発表されました。

公式が示す動作イメージは次のとおりです。

  1. ユーザーが「クロスセル成果を改善する」など、ビジネス目標を入力する
  2. Coworkerが必要な作業を複数ステップのアクションへ自動分解する
  3. オーディエンスセグメント、クリエイティブアセット、パフォーマンスインサイトを自動収集する
  4. 人間の承認後、複数のエージェントが複数チャネルでキャンペーンを実行する
  5. エンゲージメントシグナルを継続監視し、目標に向けてワークフローを自動調整する

主なユースケースは公式で3つ示されています。

  • マーケティングキャンペーン: オーディエンス選定、クリエイティブ生成、ジャーニー構築を着想から実行まで自動化
  • 顧客エンゲージメント: リアルタイムでのシグナル監視と、パーソナライズされたオファー配信
  • マーケティングオペレーション: ブランドコンプライアンスチェック、同意(consent)管理、チーム横断ワークフロー

ポイントは、「一度きりのタスク実行」ではなく「目標起点で永続的に動作し、ブランドガバナンスやデータポリシーを自動適用しながら調整し続ける」設計である点です。Adobe・サードパーティ双方のアプリからインサイトを統合する形で動作します。

提供形態は、単体(standalone)または既存Adobe顧客向けのアドオンです。小規模なマーケティングチーム向けにはセルフサービスでの利用も想定されています。

Coworkerと従来のAIエージェントの違い

観点

従来のワンショット型エージェント

CX Enterprise Coworker

動作期間

タスク単位で完結

目標起点で永続的に動作

学習・記憶

セッション内のみ

エンタープライズメモリを持ち継続調整

入力

プロンプト・指示

ビジネス目標(自然言語)

実行範囲

単機能

マルチチャネル・マルチエージェント

人間の関与

都度プロンプト

承認後は自律実行+監視

ガバナンス

個別対応

ブランド・データポリシーを自動適用

CX Enterprise Coworkerは、MCP(Model Context Protocol)とA2A(Agent2Agent)のオープン標準上に構築され、ヘッドレス(headless)ソリューションとして提供されます。これにより、Adobe・サードパーティ双方のアプリやエージェントを横断して目標に向けてオーケストレーションできる設計になっています。

Experience Cloudから何が変わったか(5つの変化)

CX Enterpriseで変わったのは「アプリの数」ではなく「使い方の前提」です。主な変化は次の5つです。

1. ツール選択ではなく「目標入力」が起点になる

従来は「CDPでセグメント作成 → Journey Optimizerでジャーニー設計 → Targetで配信最適化」と人間が手順を組み立てていました。CX Enterpriseでは、Coworkerにビジネス目標を渡すだけで、必要なアプリ・データ・クリエイティブを自動的に呼び出して計画する形に変わります。

2. AIエージェントを「司令塔」と「専門家」で分けて運用する

新たに追加された Adobe Experience Platform Agent Orchestrator が司令塔となり、アドビ製・サードパーティ製を問わずAIエージェントを実装・管理・調整します。専門エージェントは用途別の「エージェントスキル」として提供され、発表時点で1,770社以上が、本番投入可能な10種以上のエージェントを利用可能とされています。

3. ブランド統制とエンゲージメント最適化が「層」になる

  • Adobe Brand Intelligence: AIチャネル横断でブランド一貫性を統制する推論エンジン(reasoning engine)
  • Adobe Engagement Intelligence: オーディエンス・チャネル・ジャーニーの最適化を担う意思決定エンジン(decision engine)

これにより、「AIが量産するコンテンツがブランドを毀損するのではないか」「過剰接触で顧客体験を悪化させるのではないか」という導入時の典型的な不安に、製品レベルで回答する設計になっています。

4. オープン標準(MCP / Agent2Agent)でロックインを下げる

Salesforce Agentforceが自社エコシステム内での完結性を高める設計を採るのに対し、CX EnterpriseはMCPとA2Aを採用し、他社AIプラットフォームから直接Adobeのデータ・機能を呼び出せる「コンポーザブル(組み合わせ可能)」な設計を取りました。

5. ガバナンスが「明示的な選択」になる

「Human-in-the-Loop」(承認前に人間がレビュー)と「Human-on-the-Loop」(ガードレール内で自律動作・人間は監視のみ)の2モードを業務に応じて選べます。コンプライアンス上、自律実行を許せる業務/許せない業務を切り分けやすくなっています。

MCP / Agent2Agentによるオープン連携

MCPとAgent2Agentで他社AIエージェントと連携するオープン標準のイメージ

CX Enterpriseの最大の差別化要因は、他社AIプラットフォームから直接Adobeの機能を呼び出せる「オープン標準」の採用です。 ここはSalesforce Agentforceにはない設計です。

MCPとA2Aの役割の違い

プロトコル

主な役割

立場

MCP(Model Context Protocol)

LLM・AIエージェントが外部ツール/データに安全にアクセスするための共通インターフェース

Anthropic発・業界標準化が進行中

Agent2Agent(A2A)

エージェント同士が役割を分担し合うためのプロトコル

Google主導・マルチエージェント時代の標準候補

CX Enterpriseでは両方を採用しており、MCPで「Adobeのデータ・機能を他社AIから引ける」、A2Aで「他社エージェントとAdobeエージェントが連携できる」という二段構えになっています。

MCPやA2Aの仕組みを基礎から押さえたい場合は、MCPとは(Model Context Protocol)A2Aプロトコルとは も参照してください。

Adobe CX skills・MCPサーバーの対応プラットフォーム

CX Enterprise Coworkerは、AWS・Anthropic・Google Cloud・Microsoft・OpenAIなど主要AIプラットフォームに対応します。特に2026年6月22日(Cannes Lions)には、Adobe CX skillsとMCPサーバーが、Anthropicの「Claude Enterprise」とMicrosoftの「Microsoft 365 Copilot(Cowork)」で一般提供(GA)を開始しました。

プラットフォーム

提供状況(2026年6月時点)

Microsoft 365 Copilot(Cowork)

一般提供(GA)

Anthropic Claude Enterprise

一般提供(GA)

AWS

対応

Google Cloud

対応

OpenAI

対応

これにより、ユーザーは普段使っているAI環境(Claude EnterpriseやMicrosoft 365 Copilot)から、AdobeのCX機能に直接アクセスできるようになりました。

ただし注意点として、「MCP対応=ChatGPTやClaudeから何でも操作できる」わけではありません。連携はAdobeが提供するスキル/MCPサーバーの範囲に限定され、対応プラットフォームごとに利用可能な機能は異なります。

各AIプラットフォーム自体の詳細は、ClaudeとはGeminiとはAIエージェントとは も参考になります。

新インテリジェンス層・基盤エンジンの整理

Adobe CX Enterpriseは、既存のExperience Cloud製品の上に、新しいインテリジェンスエンジンとオーケストレーション基盤を載せた構造です。

要素

役割

Adobe Brand Intelligence

AIチャネル横断でブランド一貫性を統制する推論エンジン

Adobe Engagement Intelligence

オーディエンス・チャネル・ジャーニーを最適化する意思決定エンジン

Adobe Experience Platform Agent Orchestrator

Adobe/サードパーティのエコシステム横断でAIエージェントを実装・管理

Adobe Experience Platform(AEP)

全データソースを統合しリアルタイムインサイトを提供するコンテキスト層

既存アプリ群

Real-Time CDP/Customer Journey Analytics/Journey Optimizer/Marketo Engage/Target/AEM などは継続

公式の整理では、これらをまとめて「CX Enterpriseという1つのエンドツーエンドのシステム」として位置づけ、「ブランド可視性」「顧客エンゲージメント」「コンテンツサプライチェーン」の3領域をカバーする構造になっています。個別アプリを切り売りするのではなく、目標に対してエージェントが横断で動く点が従来との違いです。

料金:成果連動(アウトカムベース)/クレジット型への移行

CX Enterprise本体および各機能の「具体的な金額・クレジット単価・成果指標の換算式」は、現時点で公式から未開示です。 ただし、価格の「考え方」は明確に打ち出されています。

公式から確認できているのは次の方向性です。

  • アドビは席数課金・トークン課金から離れ、成果連動(アウトカムベース)の価格モデルへ移行する方針を打ち出している
  • アドビのPresident、Anil Chakravarthy氏は「Tokens don't equate to value(トークンは価値とイコールではない)」と述べ、完了したキャンペーンやコンバージョン改善など、測定可能なビジネス成果に課金する方向を示している
  • AIエージェント向けに、クレジットベースの中央集約型課金を導入。発表時点で1,770社以上が本番投入可能なエージェントを利用可能とされる
  • CX Enterprise Coworkerは、導入時はイントロダクトリー価格で開始し、組織が得る価値(利用量)に応じてスケールする方式
  • 日本円価格・国内提供条件・最低契約規模は未確認

観点

現時点で言えること

課金の考え方

席数・トークンから成果連動/クレジット型へ移行

具体的な金額・クレジット単価

公式未開示(推測値は記載しない)

導入時の価格

イントロダクトリー価格で開始し利用量に応じてスケール

既存契約者のアップグレード費用

公式未開示

日本リージョンの価格・提供条件

公式未確認

導入検討時は、Adobe営業に対して「自社の利用規模・既存契約・優先度の高いユースケース」を提示し、成果が測りやすいユースケースに絞って見積もりを取るのが現実的です。

ガバナンス:Human-in-the-Loop と Human-on-the-Loop

エンタープライズで最も問われるのが「AIにどこまで自律させるか」です。CX Enterpriseはガバナンス層を備え、エージェントが「ガバナンスされたデータに基づいて推論し、定義されたビジネス目標の範囲内で動作」する設計を取っています。自律レベルは2モードから選びます。

モード

動作

想定される用途

Human-in-the-Loop

エージェントの作業を人間が承認前にレビューする

価格変更を伴う配信、ブランド表現に直結するクリエイティブ、規制業種の通信

Human-on-the-Loop

プリセットのガードレール内で自律動作し、人間は監視のみ

既存テンプレートでの定常配信、A/Bテスト、運用最適化

加えて、ブランドガバナンス・データポリシー・同意(consent)管理を自動適用し、ブランドの一貫性とガバナンスを保ったままスピード実行できることを強調しています。オープン標準(MCP/A2A)採用により、特定ベンダー独自の統合層に閉じない設計を訴求している点も、他社AIと連携させる際の安全装置として重要です。

競合比較:Adobe CX Enterprise vs Salesforce Agentforce

エンタープライズCXプラットフォーム比較のイメージ

選定段階で最も比較対象になりやすいのがSalesforce Agentforceです。各社公式情報をもとに、考え方の違いを整理します(細部の仕様は導入検討時に各社公式で最新確認することを推奨します)。

比較項目

Adobe CX Enterprise

Salesforce Agentforce

中心領域

マーケ・分析・配信・CMS横断のCXオーケストレーション

営業・カスタマーサクセス・サービスのエージェント化

既存基盤

Adobe Experience Platform(AEP)

Salesforce Data Cloud

他社AIとの相互運用

MCP / A2Aでオープン(Copilot・Claude等)

自社エコシステム内での完結性が高い傾向

永続学習エージェント

CX Enterprise Coworker(目標起点・永続)

Agentforceエージェント(タスク中心)

ブランド統制

Brand Intelligenceを推論層として独立

ブランドツール内蔵

価格モデル

成果連動/クレジット型へ移行中(金額未公開)

利用ベース(会話単位など)

Futurum Groupは「Salesforceが自社エコシステム内に閉じる戦略を採るのに対し、Adobeはオープン標準採用でサードパーティを置き換えるのではなく横断オーケストレーションする設計」と分析しており、ここがエンタープライズ市場での選定軸になりそうです。

複数のプラットフォームを横並びで検討する場合は、AIエージェント おすすめ比較生成AIツールおすすめ比較 もあわせて確認してください。

Adobe CX Enterpriseが特に有利になる条件

  • すでに Adobe Experience Cloud(CDP・Journey Optimizer・AEM等)を主基盤として運用している
  • マーケ・コンテンツ制作・コマース・配信を Adobe以外の社内ツールやエージェントとも横断させたい
  • Microsoft 365 CopilotやClaude Enterpriseを業務AIの中心に据え、そこから直接マーケ機能を呼び出したい
  • 大量のクリエイティブを ブランドガバナンス付き で量産したい

Salesforceに優位性が出やすい条件

  • 営業・カスタマーサクセス・サービスのエージェント化が最優先で、マーケ施策が二次的
  • データ・CRMの一次基盤がすでにSalesforce Data Cloud
  • 自社エコシステム内での標準化を重視し、外部AIとの相互運用は重視しない

導入課題・現時点の制約

「発表=即フル稼働」ではありません。導入前に確認すべき現実的な論点は次のとおりです。

  • データ品質が前提条件: アドビの調査では75%の組織が「データ統合・品質」をAI導入の最大の課題と回答しています。CDP/AEPでのデータ整備が整っていないと、エージェントが目標から自律的に動いても効果が出にくくなります。
  • 自律レベルの設計が必要: Human-in-the-LoopとHuman-on-the-Loopを業務に応じて使い分ける前提で、完全放任ではありません。
  • 提供範囲が流動的な領域がある: CX Enterprise Coworkerは2026年6月にGA、CX skills・MCPサーバーはClaude Enterprise/Microsoft 365 CopilotでGAと確認できていますが、その他の新インテリジェンス製品や各エージェントは「発表済み/順次提供」の段階を含みます。
  • 日本市場の条件は未確認: 日本リージョンでの提供条件・日本語UI対応・国内価格・正式な提供時期は、公式に明示されていません。グローバルでのGAと、日本での提供を混同しないことが重要です。

こんな企業に向いている/向いていない

向いている企業

  • Adobe Experience Cloudをすでに主要なCX基盤として導入している大手企業(B2C・B2B問わず)
  • マーケ・コンテンツ・分析・コマースの横断オーケストレーションで投資対効果を出したい
  • Microsoft 365 CopilotやClaude Enterpriseを業務AIの中心に据え、そこから直接Adobe機能を呼び出したい
  • ブランド統制を担保しながらAIで大量のクリエイティブを生成したい
  • オープン標準(MCP / A2A)でロックインを避け、複数AIを併用したい
  • AIエージェントの自律実行に対し、明示的なガバナンス(Human-in/on-the-Loop)を求めたい

向いていない企業

  • Adobe Experience Cloudを使っていない/別プラットフォームが中心で、移行コストが大きい
  • マーケ施策よりも営業・サポート領域のAIエージェント化が最優先(Salesforce Agentforceの方が候補になりやすい)
  • 具体的な金額で固定された稟議を今すぐ通したい(成果連動/クレジット型で具体額が未公開のため、概算しか取れない)
  • 国内リージョンのデータ所在地・規制要件が厳しく、提供条件未確認の段階では本番投入できない
  • データ統合・プロファイル品質の整備に着手できていない(効果が出にくい)

自社により合いそうなツールを比較したい場合は、AIエージェント おすすめ比較生成AIツールおすすめ比較 もあわせて確認してください。

日本企業が今から準備すべき3つのこと

CX Enterpriseは中核機能がGAに到達した一方で、日本での提供条件は未確認です。導入は1〜2年単位での移行・組織変更を要する基盤刷新になりやすいため、準備すべき論点を3つに整理します。

1. データ統合とプロファイル品質の棚卸し

エージェントが目標から自律的に動くためには、Real-Time CDP上のプロファイル品質が成果を直接左右します(75%の組織がデータ統合・品質を課題と回答)。同意管理、IDリゾリューション、オフライン購買データ統合の整備は前倒しで進めておく価値があります。

2. ガバナンス設計(業務単位のHuman-in / Human-on)

「どの業務はAIに自律実行させてよく、どこは人間レビューが必須か」を業務単位で明文化しておきます。広告費に直結する施策、医療・金融など規制業種の通信、ブランドメッセージの新規打ち出しは、最初はHuman-in-the-Loopから始めるのが安全です。

3. 業務AI(Copilot・Claude等)との接続点の決定

CX skills・MCPサーバーがMicrosoft 365 CopilotとClaude EnterpriseでGAに到達したため、「マーケ部門の人が普段のAI環境からAdobeのCX機能を呼び出す」運用設計が現実的になっています。どのAI環境を起点にするか、どのスキルから使い始めるかを先に決めておくと、検証がスムーズです。

よくある質問(FAQ)

Q1. Adobe Experience Cloudは廃止されますか?

A. 廃止はされません。アドビ公式は「進化版」「次世代」と位置づけており、Real-Time CDP・Customer Journey Analytics・Journey Optimizer・Marketo Engage・Target・Adobe Experience Manager等の既存アプリケーションは継続提供されます。MarTechは「実質的なリブランド」と表現していますが、これは戦略上の位置づけの話で、製品が消えるわけではありません。

Q2. CX Enterprise Coworkerは今すぐ使えますか?

A. 2026年6月10日に一般提供(GA)が発表されました。提供形態は単体(standalone)または既存Adobe顧客向けのアドオンで、導入時はイントロダクトリー価格で開始し利用量に応じてスケールする方式です。日本リージョンでの提供条件は別途確認が必要です。

Q3. 既存のExperience Cloud契約者は追加料金が必要ですか?

A. 既存契約者へのアップグレードパス・追加費用の有無は公式未開示です。アドビは成果連動/クレジット型のAI価格モデルへ移行中ですが、具体的な金額・換算式は公開されていません。導入検討時はAdobe営業に直接確認する必要があります。

Q4. ChatGPTやClaudeから直接Adobeを操作できますか?

A. Claude EnterpriseとMicrosoft 365 Copilot(Cowork)では、Adobe CX skills・MCPサーバーが2026年6月22日にGAしており、普段のAI環境からAdobeのCX機能にアクセスできます。AWS・Google Cloud・OpenAIなどにも対応します。ただし利用できる機能は、Adobeが提供するスキル/MCPサーバーの範囲に限定され、プラットフォームごとに異なります。

Q5. Salesforce Agentforceとは何が違いますか?

A. 大きな違いはオープン標準採用と中心領域です。AdobeはMCP / Agent2Agentで他社AIから呼び出される設計を採り、マーケ・分析・コマース・CMS横断のオーケストレーションを中心に据えます。Salesforceは自社エコシステム内での完結性が高く、営業・カスタマーサクセス・サービス領域のエージェント化を中心に据えています。

Q6. 料金はいくらですか?

A. 具体的な金額・クレジット単価・成果指標の換算式は公式未開示です。確実に言えるのは、席数・トークン課金から成果連動(アウトカムベース)/クレジット型へ移行する方向性のみです。アドビは「トークンは価値とイコールではない」とし、測定可能なビジネス成果に課金する考え方を示しています。

Q7. 日本リージョンでのGA時期はいつですか?

A. 日本語プレスリリースは公開されていますが、日本リージョンでの正式な提供時期・国内価格・日本語UI対応の詳細は明示されていません。グローバルでのGAと日本での提供を混同せず、今後のアナウンスを確認する必要があります。

まとめ

Adobe CX Enterpriseは、Adobe Experience Cloudを「ツール群を組み合わせて使うCX」から「目標を伝えればAIエージェントが横断で動くCX」へ進化させる、エージェント型AIファーストのエンタープライズプラットフォームです。要点は次の5つです。

  • Experience Cloudは廃止ではなく進化。既存アプリは継続し、AIエージェント・インテリジェンス・ガバナンスの3層が乗る
  • CX Enterprise Coworkerは目標起点で永続的に動作する中央インテリジェンス層。2026年6月10日にGA
  • MCP / Agent2Agentでオープン連携。CX skills・MCPサーバーはClaude EnterpriseとMicrosoft 365 Copilotで6月22日にGA
  • ガバナンスは Human-in-the-Loop と Human-on-the-Loop の明示選択。ブランド・データポリシーを自動適用
  • 料金は成果連動/クレジット型へ移行中で具体額は未公開。日本での提供条件も未確認

既存Experience Cloudユーザーや、Microsoft 365 Copilot・Claude Enterprise中心で業務AIを設計している企業にとっては、最優先で動向を追うべき発表です。一方で、具体額未公開・データ品質が前提という現状を踏まえると、「即フル導入」より「データ整備とガバナンス設計を整えつつ、成果が測れるユースケースから検証する」運用が現実的です。

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AI革命

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