Thinking Machines Inklingとは?Mira Murati初のオープンウェイトモデルの性能・料金・使い方を完全解説【2026年7月速報】

この記事のポイント
元OpenAI CTOのMira Murati率いるThinking Machines Labが公開した初のAIモデル「Inkling」を解説。975Bパラメータ(MoE)・1Mコンテキスト・Apache 2.0の技術仕様から、Tinkerでのカスタマイズ料金、競合オープンモデルとの違いまで最新情報を整理します。
Inkling(インクリング)は、元OpenAI CTOのMira Murati(ミラ・ムラティ)氏が創業したThinking Machines Labが2026年7月15日(現地時間)に発表した、同社初の自社開発AI基盤モデルです。総パラメータ975B(約1兆)のMoEアーキテクチャ・最大1Mトークンのコンテキスト・テキスト/画像/音声のマルチモーダル入力を備えながら、Apache 2.0ライセンスの完全オープンウェイトとして誰でも無料でダウンロードできます。
この記事では、Inklingの技術仕様・ベンチマーク性能・できること/できないこと・Tinker経由のカスタマイズ料金(7月17日以降の値上げ予告含む)・入手方法・競合オープンウェイトモデルとの違いを、公式発表とHugging Faceの一次情報に基づいて整理します。
「Inklingとは何か知りたい」「ChatGPTなど既存モデルと何が違うのか」「自社でカスタマイズできるのか、費用はいくらか」を知りたい開発者・企業のAI導入担当者・AIニュースを追っている方向けの内容です。

出典: Thinking Machines Lab 公式サイト
Inklingとは?「カスタマイズ前提」のオープンウェイト基盤モデル
Inklingは、「最強のモデル」ではなく「組織が自分で適応させられる基盤モデル」を目指して設計された、Thinking Machines Lab初のオープンウェイトAIモデルです。公式自身が「現在利用可能な最強のモデルではない(not the strongest overall model available today)」と明言しており、リーダーボードでの首位争いではなく「カスタマイズのための幅広い基盤(broad foundation model for customization)」というポジションを取っています。
基本情報を表にまとめます。
項目 | 内容 |
|---|---|
モデル名 | Inkling(インクリング) |
開発元 | Thinking Machines Lab(米国) |
発表日 | 2026年7月15日(現地時間) |
ライセンス | Apache 2.0(商用利用・改変・再配布可) |
総パラメータ | 975B(約1兆) |
アクティブパラメータ | 41B(トークンあたり) |
コンテキスト長 | 最大1Mトークン |
入力 | テキスト・画像・音声 |
出力 | テキストのみ |
入手先 | Hugging Face( |
カスタマイズ | 公式プラットフォーム「Tinker」でLoRAファインチューニング対応 |
同社のミッションは「AI that extends human will and judgment(人間の意志と判断を拡張するAI)」で、「ワンサイズフィットオール」の汎用AIに対して、各組織が自分の業務に合わせて調整したAIのほうが最終的に勝つという賭けを明確に打ち出しています。ビジネスモデルもこの思想に沿っており、モデル本体は無料公開し、カスタマイズ・トレーニング・ホスティングを担うTinkerで収益化する構造です。
開発元のThinking Machines Labとは
Thinking Machines Labは、2024年末にOpenAIを退社したMira Murati氏が2025年2月に設立を発表したAI企業です。OpenAI共同創業者のJohn Schulman氏らが在籍し、2025年7月にはa16zリードで約20億ドル(評価額120億ドル)という史上最大級のシード調達を実施しました。これまでにLoRAファインチューニングAPI「Tinker」(2025年10月)、フルデュプレックス対話AI「Interaction Models」(2026年5月・研究プレビュー)を公開しており、Inklingは同社初の自社開発基盤モデルにあたります。
会社の成り立ち・資金調達・主要メンバーの詳細は、別記事「Thinking Machines Labとは」で解説しています。
Inklingの技術仕様:975B MoE・1Mコンテキスト・Thinking Effort制御
Inklingの技術面の要点は、①DeepSeek-V3系の設計を踏襲した975B/41BのMoE構成、②最大1Mトークンの長文コンテキスト、③「思考量」を利用者が調節できるThinking Effort機能の3つです。

アーキテクチャの詳細
項目 | 内容 |
|---|---|
方式 | MoE(Mixture of Experts)型Transformer。DeepSeek-V3系の設計を踏襲 |
MoE構成 | ルーティングエキスパート256 + 共有エキスパート2。トークンあたり6エキスパート活性 |
ルーティング | sigmoidルーター + 補助損失フリーのロードバランシング |
アテンション | スライディングウィンドウ注意とグローバル注意を5:1で交互配置(最終層はグローバル)。RoPEではなく相対位置埋め込みを学習 |
高速化 | K/V投影後の短い1D畳み込み(SConv)、マルチトークン予測(MTP)による投機的デコーディング |
学習データ | 45兆トークン(テキスト・画像・音声・動画) |
提供形式 | BF16版 / NVFP4版(Blackwell GPU向け・省メモリで同等性能)、Safetensors |
MoEアーキテクチャの参照元となった設計思想については「DeepSeek V4.1とは」も参考になります。
Thinking Effort:思考量とコストのトレードオフを自分で選べる
Inklingの差別化機能がThinking Effort(思考努力)の制御です。推論に費やす「思考量」をnone〜maxの範囲で調整でき、effort値0.2〜0.99の間で性能と効率のパレート境界を形成します。つまり「多少精度を落としてでも速く・安く」「コストをかけてでも高精度に」を、タスクごとに利用者側が選べます。
実績として、Terminal Bench 2.1においてNVIDIA Nemotron 3 Ultraと同等の性能を約1/3のトークン数で達成したと公式が報告しています。APIコストがトークン数に比例する以上、同じ結果を1/3のトークンで得られることは実務では直接的なコスト削減を意味します。
軽量版「Inkling-Small」もプレビュー発表
総276B / アクティブ12Bの軽量版Inkling-Smallも同時に発表されました。改善されたプリトレーニングレシピにより、多くのベンチマークで親モデルと同等以上の性能を示すとされています。ただし2026年7月16日時点ではテスト中でウェイトは未公開(公開は「予定」段階)です。ローカル実行を狙う個人開発者にとっては、こちらの公開を待つのが現実的な選択肢になります。
Inklingにできること
Inklingが実務で担える領域は主に次の5つです。
- テキスト生成・推論: コーディング、数学、科学的推論、長文読解。SWE-bench Verified 77.6%とコーディング性能はオープンモデル上位水準
- 画像理解: 40〜4096px推奨の画像入力に対応。図表読解(CharXiv RQ 82.0%、Pythonツール併用時)も可能
- 音声理解: WAV形式の音声入力に対応(VoiceBench 91.4%)
- 1Mトークンの長文処理: 大規模コードベースや長大なドキュメントの一括投入
- 自社向けカスタマイズ: Tinker経由のLoRAファインチューニング、またはウェイトを直接改変
公式デモでは、Inklingが自分自身を「リポグラム(文字eを使わない)モデル」にファインチューニングする事例が公開されており、データセット作成→訓練→評価までを自動化しています。「モデルを配って終わり」ではなく「調整の仕方までセットで提供する」姿勢が特徴です。
エージェント的なツール利用・自動化の文脈は「AIエージェントとは」で全体像を解説しています。
Inklingにできないこと・制約
一方で、導入前に知っておくべき制約も明確です。出力はテキストのみで、画像や音声の生成はできません。また「最強モデルではない」ことを公式自身が認めており、絶対性能ではフロンティアのクローズドモデルに劣る場面があります。
- 画像生成・音声生成は不可(入力はマルチモーダルだが、出力はテキスト・コード・構造化データのみ)
- マルチモーダル能力は改善途上(公式が「基盤としての初リリース」と位置づけ)
- 一般的な基盤モデルの限界: ハルシネーション、指示の不正確な実行、長い多ターン会話での性能低下(Hugging Faceモデルカード記載)
- 医療・法律・安全上重要な領域では、追加ファインチューニングと人間の監督が必須(モデルカード明記)
- カスタマイズには機械学習の専門人材が必要: 「誰でも簡単にカスタムできる」わけではない点はTechCrunchも指摘
- フル実行のハードウェア要件が非常に重い: BF16版で約2TB、NVFP4版でも約600GBのVRAMが目安
ベンチマーク性能:数学97.1%・コーディング77.6%
公式発表のベンチマークスコアを一覧にまとめます。全体傾向としては、数学・科学・コーディングで高水準、マルチモーダルは「実用的だが発展途上」という評価が妥当です。
カテゴリ | ベンチマーク | スコア |
|---|---|---|
推論 | HLE(テキストのみ) | 29.7% |
数学 | AIME 2026 | 97.1% |
科学 | GPQA Diamond | 87.2% |
コーディング | SWE-bench Verified | 77.6% |
コーディング | Terminal Bench 2.1 | 63.8% |
視覚 | MMMU Pro | 約73.5% |
図表 | CharXiv RQ(Pythonツール併用) | 82.0% |
音声 | VoiceBench | 91.4% |
予測 | ForecastBench(Brier Index) | 61.1 |
安全性 | FORTRESS(敵対的) | 78.0% |
安全性 | StrongREJECT | 98.6% |
注意点として、Terminal Bench 2.1についてはWeb検索経由の「solution contamination(解答混入)」の可能性を公式自身が透明性をもって開示しています。また、日本語性能の公式評価は現時点で未公表です。日本語での実務精度は各自の検証が必要になります。
SWE-bench 77.6%というコーディング性能を実務でどう活かすかは「AIコーディングツールおすすめ」も参考にしてください。
Inklingの料金:モデル本体は無料、Tinker利用は従量課金【7月17日値上げ予定】
Inkling本体のダウンロードは無料です(Apache 2.0ライセンス、Hugging Faceから取得可能)。費用が発生するのは、公式プラットフォーム「Tinker」での推論・ファインチューニング、またはサードパーティAPIの利用時です。

出典: Thinking Machines Lab - Announcing Tinker
Tinker上のInkling料金(2026年7月16日時点・期間限定50%オフ適用中)
単位はUSD / 100万トークンです。
モデル | プリフィル | プリフィル(キャッシュ時) | サンプリング | トレーニング |
|---|---|---|---|---|
Inkling(64Kコンテキスト) | $1.87 | $0.374 | $4.68 | $5.61 |
Inkling(256Kコンテキスト) | $3.74 | $0.748 | $9.36 | $11.23 |
重要: 上記は期間限定50%オフ適用中の価格です。公式ドキュメントには、2026年7月17日以降にプリフィル・サンプリング価格が約50%上昇、トレーニング価格が約10%上昇する予定と明記されています。現在の価格を恒久的なものと誤認しないよう注意してください。なお、キャッシュ済みプリフィルトークンには80%割引が実装されています。
参考として、Tinker上で使える他のオープンモデルの料金(同単位)は次のとおりです。
モデル | プリフィル | サンプリング | トレーニング |
|---|---|---|---|
Nemotron-Ultra-550B | $1.66 | $4.15 | $4.98 |
Nemotron-Super-120B | $0.38 | $0.96 | $1.16 |
Qwen3.5-397B-A17B | $2.00 | $5.00 | $6.00 |
Qwen3.5-9B | $0.44 | $1.33 | $1.33 |
無料で試すならPlayground
チャットとWeb検索を統合したPlaygroundが期間限定で無料公開されています(無料期間の終了日は公式未発表)。「まず触ってみたい」だけなら、これが最も手軽な入口です。
料金は流動的なため、利用前に必ずTinker公式ドキュメントで最新価格を確認してください。
Inklingの使い方・入手方法:個人・開発者・企業の3パターン

出典: Thinking Machines Lab - Inkling 公式ページ
Inklingの利用経路は立場によって最適解が異なり、個人はPlaygroundかサードパーティAPI、開発者はHugging Face + 推論フレームワーク、企業はTinkerでのカスタマイズが現実的です。
入手・利用経路の一覧
- Hugging Face:
thinkingmachines/inklingからBF16 / NVFP4チェックポイントをダウンロード(Apache 2.0) - Tinker: 公式トレーニングプラットフォーム。LoRAベースのファインチューニングが発表初日から利用可能
- サードパーティAPI: Together AI、Fireworks、Modal、Databricks、Basetenが発表同日に対応(各社の従量課金額は各社ページを参照)
- 推論フレームワーク: SGLang、vLLM、llama.cpp(GGUF量子化)、Transformers、Unsloth、HF Inference Providers(OpenAI互換API)など
ローカル実行に必要なハードウェア
自前のGPUで動かす場合の必要VRAM目安は次のとおりです。
形式 | 必要VRAM目安 |
|---|---|
BF16版 | 約2TB |
NVFP4版(Blackwell GPU向け) | 約600GB |
llama.cpp / Unsloth量子化版(1bit等) | 最大95%削減可能 |
個人PCでのフル実行は事実上不可能です。ローカル実行にこだわるなら、量子化版を試すか、ウェイト公開が予定されているInkling-Small(総276B / アクティブ12B)を待つのが現実的です。ローカルLLM実行の基礎は「Ollamaとは」で解説しています。
立場別の導入判断まとめ
立場 | 現実的な選択肢 | 費用感 |
|---|---|---|
まず試したい個人 | Playground(期間限定無料) | 無料 |
アプリに組み込みたい開発者 | サードパーティAPI or HF Inference Providers | 各社の従量課金 |
自社データで調整したい企業 | Tinkerでファインチューニング | トレーニング$5.61〜/100万トークン(値上げ予定あり) |
データを外に出せない企業 | 自社インフラでセルフホスト(NVFP4版) | GPU約600GB分の設備投資 |
ローカル派の個人開発者 | 量子化版 or Inkling-Small待ち | ハードウェア次第 |
競合オープンウェイトモデルとの違い
Inklingは、「米国企業製 × Apache 2.0 × ネイティブマルチモーダル入力 × 1Mコンテキスト」の組み合わせを持つ唯一級のオープンウェイトモデルです。オープンウェイト競争はこれまでDeepSeek・Kimi・Qwenといった中国勢がリードしており、米メディアは「米国からの本格的な挑戦」というフレーミングで報じています。
モデル | 総/アクティブパラメータ | ライセンス | 特徴 |
|---|---|---|---|
Inkling(Thinking Machines) | 975B / 41B | Apache 2.0 | マルチモーダル入力、1Mコンテキスト、Thinking Effort制御、Tinker連携。米国製 |
Kimi K2.5 / K2.6(Moonshot AI) | 1T級MoE | 修正MIT系 | 中国製。エージェント特化 |
DeepSeek V4.1 | MoE | MIT系 | 中国製。低コスト |
Nemotron 3 Ultra(NVIDIA) | 550B級 | NVIDIA Open Model License | Inklingの公式比較対象(同等性能を約1/3トークンで達成と公式報告) |
Qwen 3.5 / 3.7(Alibaba) | 397B/17B ほか多サイズ | Apache 2.0 | 中国製。多サイズ展開 |
Llama系(Meta) | ― | Llama Community License | 商用条件に制限あり |
興味深い点として、TechCrunchによればInklingの初期学習データ生成にはKimi K2.5等の他のオープンモデルが使われており、次世代では完全自己完結を予定しているとのことです。競合モデルの詳細は「Kimi K2.6とは」、1Mコンテキスト競合の「Qwen 3.7 Maxとは」も参考にしてください。
ChatGPTなどクローズドモデルとの根本的な違い
ChatGPT(GPT系)やGemini、Claudeはウェイト非公開のクローズドモデルで、提供元のAPI/アプリ経由でしか使えません。Inklingはウェイトそのものが公開されているため、自社サーバーで完結させてデータを一切外部に送らない構成が可能で、モデル自体を自社業務向けに作り替えられます。絶対性能ではフロンティアのクローズドモデルに譲る場面がある一方、「所有できる・改変できる」ことが本質的な価値です。
セキュリティ・安全性:外部テスト済みだがオープンウェイト特有のリスクも
Inklingの安全性対策は、オープンウェイトモデルとしては手厚い部類です。ただし、オープンウェイトである以上、第三者がガードレールを除去するファインチューニングを行う悪用リスクは構造的に残ります。
公式が開示している安全性の取り組みは次のとおりです。
- 全モダリティ横断の「安全なモデル挙動の内部仕様(internal spec)」に準拠して訓練
- 外部の安全性テスターによる検証を実施
- CBRN(化学・生物・放射性物質・核)・サイバー攻撃・制御喪失リスクを内部評価 + 外部テストで検証
- 過度な同調(sycophancy)の排除、脆弱な利用者の保護、有害な操作への対抗
- 有害要求拒否のStrongREJECTで98.6%、敵対的攻撃耐性のFORTRESSで78.0%
一方で、Cognitionの評価では「検閲への非追従(censorship non-compliance)」の強いパターンが確認されており、VentureBeatはこれを「検閲耐性」として特徴的に報じています。表現の自由度が高い反面、企業利用では出力管理のポリシー設計が必要になる要素です。
企業の調達観点では、米国企業製である点(中国系オープンモデルの利用に慎重な組織にとっての選択肢)と、セルフホストによりデータを外部APIに送らない構成が取れる点が判断材料になります。
Inklingはこんな人におすすめ/おすすめしない人
こんな人・企業におすすめ
- 自社データでモデルをカスタマイズしたい企業: Tinkerで発表初日からLoRAファインチューニングが可能。Inklingの設計思想そのものがこの用途向け
- データを外部に出せない業種(金融・製造の機密領域など): Apache 2.0でセルフホスト・改変・商用利用が自由
- 中国系オープンモデルの採用に社内制約がある組織: 米国企業製オープンウェイトの有力な選択肢
- 推論コストを細かく最適化したい開発チーム: Thinking Effort制御で「精度とコストのバランス」をタスク単位で調整できる
- 1Mトークン級の長文・大規模コードベースを扱う開発者: 長文コンテキストとSWE-bench 77.6%のコーディング性能
おすすめしない人
- とにかく最高性能のAIを使いたい人: 公式自ら「最強ではない」と明言。絶対性能重視ならフロンティアのクローズドモデルが候補
- 画像や音声を生成したい人: 出力はテキストのみ
- 手元のPCでフルモデルを動かしたい個人: BF16で約2TB、NVFP4でも約600GBのVRAMが必要。量子化版かInkling-Small待ちが現実的
- 機械学習人材がいないままカスタマイズだけ期待する企業: ファインチューニングの設計・評価には専門知識が必要
- 医療・法律など高リスク領域でそのまま使いたい人: 追加調整と人間の監督が必須(モデルカード明記)
生成AIモデル全般の基礎から整理したい方は「生成AIとは」から読むのがおすすめです。
InklingのFAQ
Q. Inklingは無料で使えますか?
モデルウェイトのダウンロードは無料です(Apache 2.0、Hugging Face thinkingmachines/inkling)。ただしフル実行には約600GB〜2TBのVRAMが必要なため、実質的には「Playground(期間限定無料)で試す」「サードパーティAPIやTinkerで従量課金で使う」のいずれかになります。
Q. 日本語には対応していますか?
多言語データを含む45兆トークンで学習されていますが、日本語性能の公式ベンチマーク評価は現時点で未公表です。日本語の実務利用では、Playgroundなどで自分のユースケースを検証してから判断することをおすすめします。
Q. 「975Bパラメータ」は日本語でいうとどれくらいですか?
975B = 9,750億(約1兆)パラメータです。一部で「975億」と誤記されている例がありますが、桁が1つ違うので注意してください。なお実際に推論時に動くのはトークンあたり41B(410億)で、これがMoEアーキテクチャの効率性の源泉です。
Q. Inkling-Smallはいつ使えますか?
総276B / アクティブ12Bの軽量版Inkling-Smallはプレビューとして発表済みですが、2026年7月16日時点でウェイトは未公開です。公式は「テスト中・公開予定」としており、具体的な公開日は発表されていません。
Q. 動画の入力はできますか?
学習データには動画が含まれますが、公式製品ページの入力モダリティ表記は「テキスト・画像・音声」です。現時点で動画入力に対応しているとは断定できません。
Q. 商用利用に制限はありますか?
Apache 2.0ライセンスのため、商用利用・改変・再配布に原則制限はありません。Llama系のような独自の商用条件(利用規模による制限など)がない点は、企業採用における明確な利点です。
まとめ:Inklingは「所有して育てるAI」の米国製本命
Inklingは、元OpenAI CTOのMira Murati氏率いるThinking Machines Labが「性能競争ではなくカスタマイズ」に賭けた初の基盤モデルです。要点を振り返ります。
- 975B(約1兆)パラメータのMoE・1Mコンテキスト・マルチモーダル入力を備えたApache 2.0の完全オープンウェイト
- 公式自ら「最強ではない」と明言し、Tinkerでのカスタマイズを前提とした設計が最大の特徴
- モデル本体は無料。Tinker利用は従量課金で、2026年7月17日以降に値上げ予定(現在は期間限定50%オフ)
- フル実行には約600GB〜2TBのVRAMが必要で、個人はPlayground(期間限定無料)かAPIが現実解
- 中国勢がリードしてきたオープンウェイト競争への、米国企業からの本格参入という位置づけ
「借りるAI」から「所有して育てるAI」へ——Inklingが投げかけたこの問いに市場がどう応えるかは、Inkling-Smallのウェイト公開や値上げ後の料金競争力次第です。開発元の戦略や今後のロードマップは「Thinking Machines Labとは」もあわせてチェックしてください。
この記事の著者

AI革命
編集部
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