Claw Codeとは?Claude Code再実装のOSSフレームワークの機能・使い方・リスクを解説

Claw Codeは、Anthropic社のAIコーディングエージェント「Claude Code」のアーキテクチャを、クリーンルーム方式でPython + Rustに書き直したオープンソースのAIコーディングエージェントフレームワークです。2026年3月31日に公開され、GitHub史上最速で10万スターを突破したことでも注目されています。
この記事では、Claw Codeの機能や特徴、Claude Codeとの違い、導入方法、法的リスクまでを網羅的に整理します。
この記事でわかること:
- Claw Codeとは何か、誕生の経緯
- できること・主な機能
- Claude Code・OpenClawとの違い
- 導入方法と使い方
- 法的リスク・セキュリティ上の注意点
- 使うべき人・使わない方がよい人
対象読者: Claude Codeのオープンソース版に関心がある開発者、AIコーディングツールの最新動向を追っている方、エージェント設計の仕組みを学びたいエンジニア
Claw Codeの概要 — 何が生まれたのか

Claw Codeは、韓国の開発者Sigrid Jin氏が公開したMITライセンスのオープンソースプロジェクトです。Claude Codeの内部設計思想をPython + Rustで再実装しており、特定のLLMに依存せず複数のAIプロバイダーを利用できる点がClaude Codeとの最大の違いです。
項目 | 内容 |
|---|---|
正式名称 | Claw Code |
開発者 | Sigrid Jin(@sigridjineth) |
公開日 | 2026年3月31日 |
言語構成 | Rust 72.9% + Python 27.1% |
ライセンス | MIT License(完全無料) |
GitHub Stars | 143,000以上(2026年4月初旬時点) |
公式サイト | |
GitHub |
誕生の背景 — Claude Codeソースコード流出事件
Claw Codeの誕生を理解するには、その直接のきっかけとなった「Claude Codeソースコード流出事件」を知る必要があります。
2026年3月31日、Claude Code v2.1.88のnpmパッケージに、本来含まれるべきでないソースマップファイル(.mapファイル、約59.8MB)が誤って同梱された状態で公開されました。これにより、約512,000行・1,900ファイルのTypeScriptコードが露出しました。
Anthropicはこれを「セキュリティ侵害ではなく人的ミス」と認定しています。流出したのはエージェントハーネス(制御層)であり、AIモデルの重み・訓練データ・顧客データ・APIキーは含まれていませんでした。
Sigrid Jin氏はこのアーキテクチャの設計思想を参考に、クリーンルーム方式(流出コードを直接コピーせず、設計概念のみを基に独立して書き直す手法)でClaw Codeを開発し、同日中に公開。公開からわずか2時間で50,000スターを獲得し、その後GitHub史上最速で100,000スターを達成しました。
Claw Codeでできること — 主な機能

Claw Codeは実験段階のプロジェクトですが、AIコーディングエージェントとしての基本機能を一通り備えています。
プラグインベースのツールシステム
19個の組み込みツールが用意されています。
- ファイルI/O: コードの読み書き・編集
- Bash実行: シェルコマンドの実行
- Git操作: バージョン管理
- Webスクレイピング: Web上の情報取得
- LSP統合: 言語サーバープロトコルによるコード補完・診断
- ノートブック編集: Jupyter Notebook対応
- エージェント生成: サブエージェントのスポーン・協調動作
マルチプロバイダー対応
Claude Codeとの最大の違いがこの点です。Claude CodeはAnthropicのモデルでしか動作しませんが、Claw Codeは以下のプロバイダーに対応しています。
- Anthropic Claude(Claude Opus、Sonnetなど)
- OpenAI(GPT-4oなど)
- Google Gemini
- ローカルモデル(Ollama等のOpenAI互換APIサーバー)
利用するLLMを自由に選択・切り替えできるため、コストや用途に応じた柔軟な運用が可能です。
MCP(Model Context Protocol)統合
6つのトランスポートタイプに対応したMCP統合を備えており、外部ツールやサービスとの連携が可能です。
セキュリティ機能
- 3つの権限モード(権限レベルの制御)
- ツール単位のポリシーエンジン
- 拒否リスト機能
- 対話的プロンプト(操作前の権限確認)
その他の機能
- 15個のスラッシュコマンド
- 27個のサブコマンド
- セッション・メモリ管理(コンテキスト圧縮メカニズム)
- マルチエージェントオーケストレーション
Claw Codeの強み
Claw Codeが注目される理由は、主に以下の3点に集約されます。
1. 完全オープンソース・無料
MITライセンスで公開されており、コードの閲覧・改変・再配布が自由です。Claude Codeはプロプライエタリ(非公開)なツールですが、Claw Codeはその設計思想を学び、カスタマイズできる点が大きなメリットです。
ただし、LLM APIの利用料金は別途かかります(各プロバイダーの従量課金)。
2. LLMプロバイダーを選べる
特定のAIベンダーにロックインされないため、コスト最適化やプライバシー要件に応じてモデルを使い分けられます。たとえば、機密性の高いプロジェクトではローカルモデル(Ollama等)を使い、精度が求められるタスクではClaude OpusやGPT-4oを使うといった運用が考えられます。
3. エージェント設計の「教材」としての価値
公式の推奨スタンスは「Read it, don't deploy it(読んでください、デプロイしないでください)」です。つまり、Claw Code自体が実務ツールというより、AIコーディングエージェントの設計思想を学ぶための「生きた教材」としての位置づけが強いプロジェクトです。
Claude Codeのエージェントハーネスがどのように設計されているかを理解したいエンジニアにとって、非常に貴重なリソースといえます。
Claw Codeの弱み・できないこと
一方で、現時点では以下の制約があります。
本番環境での使用は非推奨
開発段階(0.xバージョン)であり、エンタープライズレベルの安定性は確保されていません。公式も「デプロイしないでください」と明言しています。一晩で構築されたプロジェクトであり、長期メンテナンスの継続性も不透明です。
Claude Codeの全機能を再現していない
以下の機能はClaw Codeには未実装です。
未実装機能 | 概要 |
|---|---|
KAIROS Mode | 自律的観察モード |
ULTRAPLAN Mode | リモートアーキテクチャ計画 |
autoDream Service | バックグラウンドメモリ統合 |
IDE統合 | VS Code、JetBrainsなどの拡張機能 |
parity_audit.pyで元実装との差分を追跡していますが、完全な機能同等性には未到達です。
大規模環境での実績がない
数十億トークン規模の実戦テストが行われておらず、大規模プロジェクトでの信頼性は検証されていません。
法的リスクが完全には解消されていない
クリーンルーム実装であり、独立コード監査でAnthropicのソースコードを含まないことは確認されています。しかし、クリーンルーム再実装の法的地位は判例がなく、完全には確定していません(後述の「法的リスク」セクションで詳しく解説)。
Claw Codeの料金
Claw Code自体は完全無料です。
MITライセンスのオープンソースソフトウェアであり、ダウンロード・インストール・利用にコストはかかりません。
ただし、AIモデルのAPI利用料は別途必要です。利用するプロバイダーと消費トークン量に応じた従量課金となります。
プロバイダー | 料金体系 | 目安 |
|---|---|---|
Anthropic Claude | API従量課金 | モデル・トークン量による |
OpenAI | API従量課金 | モデル・トークン量による |
Google Gemini | API従量課金 | モデル・トークン量による |
ローカルモデル(Ollama等) | 無料(自前のGPU/CPU) | 電気代・ハードウェア費用のみ |
Claude CodeのMaxプラン(月額200ドル〜)と比べると、APIの利用量次第ではコストを抑えられる可能性があります。一方、大量に使う場合はAPI従量課金の方が高くなるケースもあるため、利用パターンに応じた判断が必要です。
Claw Codeの導入方法・使い方
前提条件
- Python 3.11以上
- Rust 1.75以上
- Git
インストール手順
# リポジトリのクローン
git clone https://github.com/instructkr/claw-code.git
cd claw-code
# Python依存パッケージのインストール
pip install -r requirements.txt基本的な使い方
# ポーティング概要の表示
python3 -m src.main summary
# ワークスペースマニフェストの出力
python3 -m src.main manifest
# モジュール一覧の表示
python3 -m src.main subsystemsRustビルド(開発中)
cargo build --release -p rusty-claude-cli環境変数の設定
環境変数 | 説明 |
|---|---|
| APIの認証キー |
| 使用するモデルの指定 |
| 設定ディレクトリ(デフォルト: ~/.claude) |
OpenAIやGeminiを使う場合は、各プロバイダーのAPIキーを環境変数に設定します。
Claude Code・OpenClawとの違い — 3ツールの関係を整理

「Claw Code」「Claude Code」「OpenClaw」は名前が似ていますが、それぞれ別のプロジェクトです。混同しやすいため、ここで関係性を整理します。
比較項目 | Claude Code | Claw Code | OpenClaw |
|---|---|---|---|
種類 | AIコーディングエージェント | AIコーディングエージェントフレームワーク | 汎用AIエージェント |
開発元 | Anthropic(公式) | Sigrid Jin(コミュニティ) | Peter Steinburger(OSS) |
言語 | TypeScript | Python + Rust | Python |
ライセンス | プロプライエタリ | MIT(無料) | MIT(無料) |
対応LLM | Claudeモデル専用 | マルチプロバイダー | マルチプロバイダー |
主な用途 | コーディング支援(実務) | エージェント設計研究・学習 | メッセージング統合・汎用タスク |
本番対応 | ○(安定版) | ×(実験段階) | △(用途による) |
IDE統合 | VS Code・JetBrains対応 | なし | なし |
関係性 | オリジナル | Claude Codeの再実装 | 別プロジェクト(名前が類似) |
ポイント整理
- Claude Code: Anthropic公式のコーディングエージェント。実務利用に適した安定版で、IDE連携も充実。ただしClaude専用でプロプライエタリ
- Claw Code: Claude Codeの設計を参考にしたOSS再実装。学習・研究目的が中心で、本番利用は非推奨
- OpenClaw: Claw Codeとは無関係の汎用AIエージェント。メッセージングアプリ統合が主な用途
名前が似ているだけで、OpenClawとClaw Codeは直接の関係がない点に注意してください。
法的リスク・DMCA問題について

Claw Codeの利用を検討する際、法的リスクについても理解しておく必要があります。
AnthropicのDMCA対応
2026年3月31日、AnthropicはGitHub上の約8,100リポジトリに対してDMCA削除通知を発行しました。流出したソースコードを含むリポジトリの削除を求めたものです。
ただし、この対応には問題がありました。正規のフォークや関連性の薄いリポジトリまで巻き込む過剰削除が発生したのです。Anthropicのエンジニアは「意図的ではなかった」と認め、最終的に大半の削除は撤回。1リポジトリ+96フォークに限定されました。
Claw Codeの法的位置づけ
Claw Codeはクリーンルーム方式で開発されており、独立したコード監査で「Anthropicの独自ソースコード、モデルの重み、APIキー、ユーザーデータを含まない」と確認されています。
しかし、以下の点は留意が必要です。
- クリーンルーム再実装の法的有効性は、この種のケースでは判例が少なく、法的地位が完全に確定していない
- Anthropic社の今後の対応次第で状況が変化する可能性がある
- 業務利用する場合は、自社の法務部門への確認を推奨
セキュリティ上の注意点
- コミュニティ実装であり、Anthropicの公式セキュリティ監査は受けていない
- 大規模環境でのバトルテスト(実戦検証)が行われていない
- 2026年3月31日のClaude Codeソースコード流出に便乗したサプライチェーン攻撃のリスクについて、公式サイトで注意喚起がされている
こんな方におすすめ / おすすめしない方
Claw Codeが向いている方
- AIエージェントの設計思想を学びたいエンジニア: Claude Codeの内部アーキテクチャ(ツールシステム、権限管理、エージェントオーケストレーション)を理解する教材として最適
- 特定のLLMにロックインされたくない開発者: Claude以外のモデル(GPT-4o、Gemini、ローカルモデル)でエージェントを動かしたい場合
- OSSに貢献したい開発者: 143,000スターを超える活発なプロジェクトに貢献するチャンス
- AIコーディングツールの仕組みを研究している方: プラグインシステム、MCP統合、セキュリティモデルの実装を読み解きたい場合
Claw Codeをおすすめしない方
- 本番環境で安定したコーディング支援が必要な方: 公式が「デプロイしないでください」と明言している実験段階のプロジェクト。実務にはClaude CodeやCursorを推奨
- 法的リスクを取りたくない企業・チーム: クリーンルーム実装の法的地位は確定していないため、企業の業務環境での利用は慎重な判断が必要
- IDE統合が欠かせない方: VS CodeやJetBrainsとの連携機能はなく、CLI操作が前提
- プログラミング初心者: Python 3.11 + Rust 1.75の環境構築が必要であり、導入ハードルが高い。初心者にはClaude CodeやGitHub Copilotの方が適している
用途別の選び方ガイド
目的に応じて、どのツールを選ぶべきかを整理します。
やりたいこと | おすすめツール | 理由 |
|---|---|---|
実務のコーディング支援 | Anthropic公式で安定性・IDE統合が充実 | |
エージェント設計の学習・研究 | Claw Code | OSS公開されており設計思想を読み解ける |
コスト重視でLLMを選びたい | Claw Code | マルチプロバイダー対応・ローカルモデルも可 |
メッセージングアプリとAI連携 | Slack・Discord等との統合が主な用途 | |
IDE内でAI補完を使いたい | エディタ統合に特化 | |
自律型AIに開発を任せたい | 自律型AIソフトウェアエンジニア |
今後の展望・ロードマップ
現時点で公開されているClaw Codeのロードマップは以下の通りです。
- 安定版Python API: 現在のPython層の安定化
- 拡張ツールドキュメント: 19ツールの詳細ドキュメント整備
- Rustランタイムの完全移行:
dev/rustブランチで進行中の完全ネイティブランタイム化 - プラグインシステムの拡張: フックパイプラインの強化
ただし、主に1名の開発者(+少数のコントリビューター)によるプロジェクトであり、長期的なメンテナンス体制については不確定な部分が残ります。
よくある質問(FAQ)
Q1. Claw CodeはClaude Codeの「海賊版」ですか?
いいえ。Claw Codeはクリーンルーム方式で独立して開発されたプロジェクトです。流出したソースコードを直接コピーしたものではなく、設計概念を参考に新規に書き起こされています。独立したコード監査でも、Anthropicの独自コードを含まないことが確認されています。ただし、クリーンルーム再実装の法的地位については判例が少なく、完全に確定していない点は認識しておく必要があります。
Q2. Claw Codeを使うとAnthropicから訴えられますか?
現時点では、Claw Code自体はDMCA削除の対象から除外されています。AnthropicのDMCA通知は最終的に1リポジトリ+96フォークに限定されました。ただし、今後の法的対応については不確定要素があるため、特に業務利用する場合は法務確認を推奨します。
Q3. Claude Codeの代わりに実務で使えますか?
現時点では推奨しません。公式が「Read it, don't deploy it」と明言しており、本番環境での使用は想定されていません。実務でAIコーディング支援が必要なら、Claude Code、Cursor、GitHub Copilotなどの安定したツールを選ぶ方が適切です。
Q4. なぜGitHub Starsがここまで急増したのですか?
Claude Codeの内部設計が公になったこと自体がAI開発者コミュニティにとって大きなニュースであり、その設計思想をOSSとして学べる唯一のプロジェクトだったためです。公開2時間で50,000スター、その後GitHub史上最速で100,000スターを達成し、2026年4月初旬時点で143,000スターを超えています。
Q5. ローカルモデル(Ollama)だけで動かせますか?
対応しています。Ollama等のOpenAI互換APIサーバーを利用することで、クラウドAPIを使わずにローカル環境のみでClaw Codeを動作させることが可能です。ただし、モデルの性能はGPUスペックとモデルサイズに依存します。
まとめ
Claw Codeは、Claude Codeのソースコード流出事件をきっかけに誕生した、クリーンルーム方式のオープンソースAIコーディングエージェントフレームワークです。
押さえておくべきポイント:
- MITライセンスで完全無料(LLM APIの料金は別途)
- マルチプロバイダー対応でLLMの選択が自由
- 本番利用は非推奨 — 学習・研究用途が中心
- 法的リスクは完全には解消されていない
- Claude CodeやOpenClawとは別のプロジェクト
実務でAIコーディング支援を使いたい場合はClaude CodeやCursor、エージェント設計を深く学びたい場合はClaw Codeのソースコードを読む、という使い分けが現時点では適切です。
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この記事の著者

AI革命
編集部
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