AI研修の補助金・助成金まとめ【2026年10月最新】法人の従業員研修は最大75%助成|8月改正対応

この記事のポイント
法人が従業員にAI研修を受けさせるときに使える助成金・補助金を、2026年10月時点の公式情報で整理しました。人材開発支援助成金のリスキリング支援コース(中小企業は経費75%)、8月改正で対象外になった生成AI研修の例、東京都DXリスキリング助成金、デジタル化・AI導入補助金2026の締切、2027年度に予定されている再編案までまとめています。
法人が従業員にAI研修を受けさせるときにまず検討したいのは、厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」です。中小企業なら研修経費の75%と、受講時間1時間あたり1,000円の賃金助成を受けられます。 ただし2026年8月3日の改正で、汎用的なプロンプト研修やAIリテラシー研修は対象外になりました。さらに、このコースは制度上「令和8年度(2026年度)まで」の期間限定です。今年度に使うなら、早めに計画を立てる必要があります。
この記事では、2026年10月時点で公式に確認できた情報をもとに、次のことを整理します。
- AI研修に使える助成金・補助金の種類と、助成率・上限額の比較
- 2026年8月改正で「対象になる生成AI研修」と「対象外の生成AI研修」の違い
- 研修の時間数・形式(対面・ライブ・eラーニング)ごとに使える制度
- 社員10名で研修した場合の助成額の試算と、今年度中に間に合わせるためのスケジュール
- 「助成金で実質無料」といった営業トークへの注意点
- 2027年度(令和9年度)に予定されている制度再編の案
読んでほしい人: 社員の生成AI活用を進めたい中小企業の経営者、人事・総務担当者、DX推進担当者。大企業の人材育成担当者にも、助成率の違いを含めて役立つ内容です。
※助成率・上限額は、企業規模・賃上げの有無・研修の形式によって変わります。この記事は一般的な整理です。申請する前に、管轄の都道府県労働局や各制度の窓口で必ず確認してください。
AI研修に使える制度は大きく3系統。「AI研修専用」の補助金はない

「AI研修専用」の補助金はありません。法人の従業員研修に使えるのは、国の助成金、自治体の助成金、ITツール導入の補助金の3系統です。 研修そのものの費用を補いたいなら、本命は国の人材開発支援助成金です。
系統 | 代表的な制度 | 所管 | AI研修との相性 |
|---|---|---|---|
① 国の助成金 | 人材開発支援助成金(リスキリング支援/人材育成支援/人への投資促進の各コース) | 厚生労働省(都道府県労働局) | ◎ 研修の経費と受講中の賃金を助成。全国・通年 |
② 自治体の助成金 | 東京都「DXリスキリング助成金」(東京しごと財団)など | 都道府県・市区町村・産業振興公社 | ◎ 地域限定。短時間の研修に向く制度もある |
③ ITツール導入の補助金 | デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) | 中小企業庁・中小機構 | △ ツール導入が主目的。研修は「導入研修」として付随的に対象 |
「助成金」と「補助金」の違い
制度を選ぶ前に、名前の違いが意味する性格の違いを確認しておきます。資金計画の立て方が変わるためです。
項目 | 助成金(人材開発支援助成金など) | 補助金(デジタル化・AI導入補助金など) |
|---|---|---|
財源 | 雇用保険料 | 国の予算(税金) |
もらえるか | 要件を満たして正しく申請すれば、原則支給される | 審査(採択)があり、申請しても通らないことがある |
受付期間 | 通年が多い | 締切日が決まっている |
支払いのタイミング | 後払い(経費を全額払ったあとに申請) | 後払い(事業の実施・報告のあと) |
東京都の「DXリスキリング助成金」のように、自治体の制度は名前が「助成金」でも予算枠があり、予算に達すると受付が早く締め切られることがあります。名前ではなく、予算枠と審査の有無を公式ページで確かめておくと安心です。
人材開発支援助成金:AI研修での本命は「事業展開等リスキリング支援コース」

社員の業務に生成AIを取り入れるための研修なら、まず「事業展開等リスキリング支援コース」を検討します。助成率が最も高く、中小企業なら経費の75%と、受講1時間あたり1,000円の賃金助成を受けられます。 人材開発支援助成金には7つのコースがあり、AI研修に関係するのは主に次の3つです。
コース | こんな研修に | 経費助成率(中小/大企業) | 賃金助成(1人1時間) | 期間 |
|---|---|---|---|---|
事業展開等リスキリング支援コース | 業務のDX化・新しい事業に必要なAI研修 | 75%/60% | 1,000円/500円 | 令和4〜8年度の期間限定 |
人材育成支援コース(人材育成訓練) | 今の職務に関係する知識・技能の研修 | 45%/30%(賃上げ等で+15%) | 800円/400円(+200円/+100円) | 恒久的なコース |
人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練) | AIエンジニア・データサイエンティストの育成 | 75%/60% | 1,000円/500円 | 令和4〜8年度の期間限定 |
出典: 厚生労働省 人材開発支援助成金
事業展開等リスキリング支援コースの要件と上限額(2026年10月時点)
対象になるのは、10時間以上のOFF-JT(通常の業務から離れて行う研修)で、次のいずれかにあたる訓練です。
- 新しい事業を始める(訓練開始から3年以内に始める予定、または6か月以内に始めた)ときに、新しい分野で必要になる知識・技能の訓練
- 社内のデジタル化・DX化、GX化に関わる業務で必要になる知識・技能の訓練
- 人事・人材育成計画にもとづき、3年以内に就く予定の職務で必要になる訓練(2026年4月8日に追加。事前に認定経営革新等支援機関の確認が必要。定額制サービスは対象外)
生成AIの業務活用研修は、多くの場合2番目の「DX化に関わる訓練」として申請します。
項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
経費助成率 | 75% | 60% |
賃金助成(1人1時間) | 1,000円 | 500円 |
経費助成の上限(1人1訓練、通学・対面・ライブ配信) | 10〜100時間未満: 30万円/100〜200時間未満: 40万円/200時間以上: 50万円 | 20万円/25万円/30万円 |
経費助成の上限(eラーニング・通信制) | 時間数に関係なく15万円 | 時間数に関係なく10万円 |
定額制(サブスク型)サービス | 1人1か月2万円 | 1人1か月2万円 |
1事業所あたりの上限 | 年度1億円 | 年度1億円 |
受講回数 | 同じ社員は年度3回まで。うちeラーニングは年度1回まで(2026年8月3日以降に出した計画届から) | 同左 |
eラーニングと通信制は、賃金助成の対象になりません。eラーニングの経費上限は2026年4月8日に下がっています(中小企業30万円→15万円)。研修会社の資料が改正前の金額のままになっていないか確認してください。
出典: リスキリング支援コース 概要リーフレット(令和8年4月8日版)、コース共通 令和8年4月8日改正
設備投資加算(2026年4月新設・中小企業のみ)
リスキリング支援コースには、2026年4月8日に「設備投資加算」が新しくできました。研修で学んだ内容を実際の業務で使うために設備を導入すると、その費用の一部が加算されます。
- 対象: 中小企業のみ
- 加算額: 設備導入費用の50%。上限は対象労働者1人あたり15万円で、10人以上なら150万円
- 条件: 5%以上の賃上げ(賃金要件)か、3%以上の資格等手当の増額(資格等手当要件)を満たすこと
注意: 厚生労働省は、AIツールの導入費やライセンス料を研修費として申請することを認めていません。「AI研修とツール導入をセットにすれば、ツール代も研修費で申請できる」という営業は、厚労省のパンフレットで不適切な営業の例として挙げられています。
出典: 設備投資加算リーフレット
人材育成支援コース:期間の定めがないコース
人材育成支援コースは期間の定めがない恒久的なコースで、今の職務に関係するスキルを高める研修が対象です。助成率は中小企業45%とリスキリング支援コースより低いものの、2027年度以降も残る見込みのコースです。
- 人材育成訓練(10時間以上のOFF-JT): 正社員は経費45%(大企業30%)。賃上げ等の要件を満たすと+15%。有期契約の社員などは70%
- 経費助成の上限(1人1訓練): 10〜100時間未満は中小企業15万円(大企業10万円)、100〜200時間未満は30万円(20万円)、200時間以上は50万円(30万円)
- 1事業所あたりの上限: 年度1,000万円
- 中高年齢者実習型訓練(2026年4月8日新設): 45歳以上の社員が対象。OJTとOFF-JTを組み合わせ、2か月以上かつ6か月換算で425時間以上の訓練。経費60%(大企業45%)。厚労省の活用例には、OFF-JTの「AIツール活用講座」が入っています
出典: 人材育成支援コース リーフレット、中高年齢者実習型訓練
人への投資促進コース:AIエンジニアの育成向け
社員全員の生成AI活用研修ではなく、AIエンジニアやデータサイエンティストを社内で育てたい場合は、人への投資促進コースの「高度デジタル人材訓練」が合います。ITスキル標準(ITSS)やDX推進スキル標準のレベル3〜4にあたる、専門性の高い訓練が対象です。中小企業は経費75%、賃金助成1,000円です。
サブスク型の研修サービスを使う「定額制訓練」もこのコースにあり、経費60%(大企業45%)、1人1か月2万円が上限です。
2026年8月改正:生成AI研修でも「対象外」になるケース

出典: 厚生労働省「人材開発支援助成金」
2026年8月3日の改正で、DX化の訓練のうち「汎用的・間接的な内容」はリスキリング支援コースの対象外になりました。 厚生労働省のリーフレットでは、生成AI研修を例にして、対象になるものとならないものを示しています。
研修の例 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
営業職向けに「生成AIで商品提案書を作る」方法を学ぶ | 対象 | 受講者の業務に直接使う内容 |
汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ | 対象外 | どの業務にも共通する汎用的な内容 |
DXの概念やITリテラシーを学ぶ | 対象外 | 間接的な内容で、業務への直接の使い方がない |
研修の内容と関係のない職種の社員が受講する(例: CO2排出量の算定研修を人事・営業職が受ける) | 対象外 | 受講者の業務と訓練内容が対応していない |
出典: 事業展開等リスキリング支援コース 令和8年8月3日改正リーフレット、詳細版パンフレット(8月3日版)
8月3日より前に契約・申し込みをしていたことを証明できる場合は、改正前のルールが適用される経過措置があります。適用されるかどうかは管轄の労働局に確認してください。
研修カリキュラムを決める前のチェックリスト
研修会社のパッケージ研修をそのまま申請すると、8月改正の基準にひっかかることがあります。計画届を出す前に、次の点を確認しておきましょう。
- 研修の題材が、受講する社員の実際の業務(営業資料、問い合わせ対応、経理処理、議事録など)になっているか
- 「プロンプトの基本」「生成AIとは」だけで時間の大半を使っていないか
- 受講者の職種と研修内容が合っているか(全社員一律ではなく、部署ごとにカリキュラムを分けるなど)
- 研修時間が10時間以上あるか(10時間未満なら自治体の制度を検討する)
- eラーニングを使う場合、その社員は今年度すでにeラーニングで申請していないか
- 研修で使うAIツールが社内の利用ルールに沿っているか(入力してよい情報の範囲など)
AIの基礎的な知識は、助成金を使わずに社内で学ぶ方法もあります。たとえば生成AIとは何かや生成AIの業務活用事例を事前学習の資料にして、助成金の対象になる研修は業務での実践に集中させると、カリキュラムを組みやすくなります。
東京都DXリスキリング助成金:3〜10時間の短い研修向け

出典: 東京都公式ホームページ
東京都内の中小企業なら、10時間未満の短いAI研修には東京しごと財団の「DXリスキリング助成金」が使えます。 人材開発支援助成金は10時間以上が条件なので、時間数で2つの制度を使い分けられます。
項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
対象 | 都内に本社または主たる事業所がある中小企業等(業種ごとに資本金・従業員数の基準あり) |
助成率 | 経費の3/4 |
上限額 | 受講者1人1研修あたり7万5,000円/1社あたり年間100万円 |
対象研修 | 1研修の総時間が3時間以上10時間未満のDX関連研修。総時間の8割以上の受講が必要 |
研修の形 | 公開講座(レディメイド)、自社向け研修(オーダーメイド)のどちらも可 |
実施条件 | 業務命令として労働時間内に行い、賃金を支払うこと |
申請受付 | 令和8年3月1日〜令和9年2月28日。研修開始予定日の1か月前までに申請 |
申請方法 | Jグランツ(電子申請・推奨)または郵送 |
公式ページでは、令和9年8月31日までに終わる研修が対象と案内されています。申請する前に、最新の募集要項でも確認してください。2026年10月時点では受付中ですが、予算に達すると受付が早く終わることがあります(令和7年度は早期に終了したと報じられています)。
注意: 国や自治体の助成をすでに受けている研修は対象外です。同じ研修に、人材開発支援助成金と東京都の助成金を二重に使うことはできません。
東京都以外でも、DXやAI研修の受講料を補助する自治体があります。ただし内容や受付状況は年度・地域ごとに大きく変わるため、所在地の都道府県・市区町村や産業振興公社のサイトで「DX 研修 助成」「リスキリング 補助」などと調べ、最新の募集要項で確認してください。
デジタル化・AI導入補助金2026:AIツール導入とセットの研修向け

デジタル化・AI導入補助金2026は、AIツールを導入する費用のための補助金です。研修だけでは申請できませんが、ツールを導入するときのベンダーによる「導入研修」や「活用コンサルティング」は補助の対象に含まれます。
項目 | 通常枠の内容 |
|---|---|
補助率 | 1/2以内(地域別最低賃金未満で雇っている従業員が30%以上などの条件を満たすと2/3) |
補助額 | 1プロセス以上: 5万円〜150万円未満/4プロセス以上: 150万円〜450万円以下 |
対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション、役務(導入コンサルティング、活用コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート) |
申請方法 | 事前に登録されたIT導入支援事業者と一緒に申請。登録済みのITツールのみ対象 |
審査 | あり(採択されないことがある) |
スケジュール(公式発表): 6次締切は2026年10月30日(金)17:00です。交付決定は12月10日の予定で、事業の実施・実績報告の期限は2027年5月31日の予定です。7次締切は12月1日と案内している情報サイトもありますが、公式スケジュールページでは現時点で日付が確定していないため、申請する前に公式で確認してください。
インボイス枠などほかの枠は補助率や上限が異なります。旧IT導入補助金時代の「補助額50万円以下は3/4」はインボイス枠の補助率なので、通常枠の数字と混同しないように注意してください。
出典: デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠、スケジュール
導入するツールをまだ決めていない段階なら、生成AIツールのおすすめ比較で候補を絞ってから、IT導入支援事業者に相談するとスムーズです。小規模な会社でClaudeを業務に組み込む方法は、Claude for Small Businessの解説も参考になります。
制度の比較表:助成率・上限額・使える研修
研修だけの費用を補いたいならリスキリング支援コース、10時間未満で都内の会社なら東京都の助成金、ツール導入とセットならデジタル化・AI導入補助金が基本です。
比較ポイント | リスキリング支援コース | 人材育成支援コース | 東京都DXリスキリング助成金 | デジタル化・AI導入補助金(通常枠) |
|---|---|---|---|---|
種類 | 助成金(要件型) | 助成金(要件型) | 助成金(予算枠あり) | 補助金(審査あり) |
対象地域 | 全国 | 全国 | 東京都内の中小企業 | 全国(中小企業等) |
経費の助成率(中小) | 75% | 45%(+15%) | 3/4 | 1/2(条件付き2/3) |
賃金助成 | 1,000円/時(eラーニングはなし) | 800円/時(+200円) | なし | なし |
1人あたりの上限 | 30〜50万円(eラーニング15万円) | 15〜50万円 | 7.5万円 | ― |
会社ごとの上限 | 年度1億円 | 年度1,000万円 | 年間100万円 | 1申請450万円 |
研修の時間 | 10時間以上 | 10時間以上 | 3時間以上10時間未満 | 規定なし(ツール導入に付随) |
研修だけで申請できるか | ◎ | ◎ | ◎ | ×(ツール導入が必須) |
申請期限 | 研修開始の1か月前までに計画届 | 研修開始の1か月前までに計画届 | 研修開始の1か月前まで(受付は令和9年2月28日まで) | 6次締切: 2026年10月30日 |
2027年度以降 | 再編される見込み | 継続見込み(再編案あり) | 年度ごとに募集 | 年度ごとに公募 |
研修の形式・時間数で選ぶ場合
研修の内容 | 向いている制度 | ポイント |
|---|---|---|
3〜10時間未満の短い研修(都内の中小企業) | 東京都DXリスキリング助成金 | 1人7.5万円まで。賃金助成はない |
10時間以上の対面・ライブ配信研修 | リスキリング支援コース | 経費75%+賃金1,000円/時。最も手厚い |
10時間以上のeラーニング | リスキリング支援コース | 上限15万円、賃金助成なし、1人年度1回まで |
今の業務スキルを高める研修(期間限定コースが合わない場合) | 人材育成支援コース | 助成率は下がるが、恒久的なコース |
AIツールの導入とベンダー研修をまとめて | デジタル化・AI導入補助金 | ツール導入が前提。審査あり |
AIエンジニアの本格育成 | 人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練) | ITSSレベル3〜4相当の訓練が対象 |
補助金を使う前提で、開発の範囲と費用の目安を整理します
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助成額のシミュレーション:社員10名の場合
中小企業が10名にライブ配信型のAI研修(20時間・1人10万円)を受けさせると、リスキリング支援コースでは経費助成75万円と賃金助成20万円で、合計95万円が見込めます。 次の試算は、要件をすべて満たした場合の計算例です。
ケース | 計算 | 助成額の目安 |
|---|---|---|
A. リスキリング支援コース/ライブ配信20時間・1人10万円×10名 | 経費: 10万円×75%×10名=75万円/賃金: 20時間×1,000円×10名=20万円 | 95万円 |
B. 人材育成支援コース/Aと同じ研修(賃上げ加算なし) | 経費: 10万円×45%×10名=45万円/賃金: 20時間×800円×10名=16万円 | 61万円 |
C. リスキリング支援コース/eラーニング・1人30万円×10名 | 経費: 30万円×75%=22.5万円→上限15万円×10名=150万円/賃金助成なし | 150万円 |
D. 東京都DXリスキリング助成金/8時間・1人8万円×10名 | 8万円×3/4=6万円(上限7.5万円以内)×10名=60万円 | 60万円 |
ケースAでは研修費100万円のうち25万円が自社負担として残ります。受講中の賃金は会社が払い、その一部(20万円)が戻る形です。研修費とその間の賃金は、いったん会社が全額を支払う必要があります。
ケースCのように受講料が高いeラーニングは、上限15万円で頭打ちになります。eラーニングで助成率75%をそのまま当てはめて計算した見積もりは、実際の支給額と大きく違うことがあります。
申請の流れと、今年度中に間に合わせるスケジュール

人材開発支援助成金は、研修が始まる1か月前までに計画届を出すことが絶対条件です。研修を始めてから申請しても助成は受けられません。 基本的な流れは次の6ステップです。
- 事前準備: 雇用保険の適用事業所であることを確認し、職業能力開発推進者を選び、事業内職業能力開発計画を作って社員に知らせる。電子申請に使うGビズIDも取っておく
- 研修内容の確定: 8月改正の基準に合うよう、受講者の業務に合わせたカリキュラムにする。見積書・カリキュラム表をそろえる
- 計画届の提出: 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届を管轄の労働局へ出す(リスキリング支援コースは事業展開等実施計画もあわせて出す)。雇用関係助成金ポータルから電子申請できる
- 研修の実施: 計画どおりに行い、出勤簿や受講記録を残す
- 経費の支払い: 支給申請までに、研修費を全額支払う
- 支給申請: 訓練が終わった日の翌日から2か月以内に申請する。受講料の価格設定に関する疎明書(様式第28号)も必要(2026年5月14日から必須)
2026年度(令和8年度)中に使うための逆算
リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、制度上「令和4〜8年度」の期間限定です。今年度の枠で使いたい場合の目安は次のとおりです。
研修の開始時期 | 計画届の提出期限(開始の1か月前) | 今からの準備 |
|---|---|---|
2026年12月 | 2026年11月中 | 今月中に研修会社とカリキュラムを決める |
2027年1月 | 2026年12月中 | 11月中に見積もり・カリキュラムを固める |
2027年2〜3月 | 2027年1〜2月 | 年度末に近く、制度の切り替わりの扱いを労働局に事前確認する |
年度末をまたぐ研修や、年度末に近い計画届がどう扱われるかは、今の時点で公式に詳しく示されていません。2027年1月以降に始める研修は、計画届を出す前に管轄の労働局へ確認しておくと確実です。
2027年度(令和9年度)は制度が再編される見込み
厚生労働省の令和9年度概算要求(2026年8月)では、人材開発支援助成金のコースを「訓練実施コース」と「休暇制度導入コース」にまとめ直す案が示されています。 案のとおりになれば、助成率75%のリスキリング支援コースは2026年度で終わり、2027年度からは助成率の低いコースに一本化される可能性が高いと考えられます。
再編案のコース(訓練実施コース) | 経費助成率(中小/大企業) | 賃金助成 | 年度上限 |
|---|---|---|---|
一般訓練 | 45%/30%(賃上げ等で60%/45%) | 800円/400円(達成で1,000円/500円) | 1,000万円 |
特定訓練(中核人材: 高度デジタル人材・大学院など) | 60%/45% | ― | 1,500万円 |
特定訓練(非正規雇用の社員) | 75%/60% | ― | 1,500万円 |
団体訓練(業界団体の研修プログラム開発など) | ― | ― | 全体で1億円 |
一般訓練には、事業展開に役立つ訓練に対する設備投資加算(50%、中小企業のみ)が残る案になっています。人材開発支援助成金の予算要求額は602億円(前年度539億円)で、制度そのものは拡充の方向です。
ただし、これは概算要求の段階で、予算案や支給要領はまだ決まっていません。今年度の要件で研修を計画できる企業は、2026年度中に動くほうが有利と考えられます。
出典: 厚生労働省 令和9年度概算要求の概要(人材開発統括官)
「助成金で実質無料」の営業に注意:不支給・不正受給のリスク
厚生労働省は「研修経費は無料にならない」とはっきり注意を呼びかけています。 AI研修の需要が増えるなかで、助成金を使った強引な営業も増えているためです。パンフレットでは、次のような営業が問題のある例として挙げられています。
- 「助成金を使えば実質無料、さらに利益が出る」→ 制度上ありえない
- アンケート協力金や営業協力金を払って実質無料にする → その分は経費助成の対象外になる
- 「AI研修とAIツール導入をセットにすれば、ツール代も研修費として申請できる」→ ツールの導入費は対象外
ほかにも、次の点で不支給になることがあります。
- 計画届を出す前に研修を始めた: 最も多い失敗で、取り返しがききません
- 受講者の業務と研修内容が合っていない: 8月改正で判定が厳しくなっています
- 親会社・子会社や代表者の親族など、会社と密接な関係にある相手が講師・教育機関: その経費は対象外です(2026年4月8日改正)
- 支給申請までに経費を全額払っていない、または申請期限(訓練終了の翌日から2か月)を過ぎた
- 受講率・出席記録の不備: 出勤簿や受講記録と研修の記録が合わない
事実と違う内容で申請すると、助成金の返還に加えて事業主名の公表や、一定期間の不支給の対象になります。研修会社や代行業者に任せきりにせず、申請するのは自社であることを前提に内容を確認してください。
研修で生成AIを使う場合は、機密情報や個人情報の入力ルールも先に決めておく必要があります。社内ルール作りは生成AIのセキュリティ対策、人事部門での使い方は人事×AI活用で詳しく解説しています。
こんな法人におすすめ/おすすめしない法人
助成金・補助金を使ったAI研修をおすすめできる法人
- 社員が業務で生成AIを使う場面がはっきりしている中小企業: 営業資料、問い合わせ対応、経理などの具体的な業務を題材にすれば、リスキリング支援コースの75%助成を狙えます
- 10時間以上の対面・ライブ配信研修を計画できる会社: 賃金助成も受けられ、助成額が大きくなります
- 2026年11〜12月までに計画届を出せる会社: 今年度の期間限定コースを使えます
- 都内の中小企業で、まず数時間の研修から始めたい会社: 東京都の助成金で短い研修から試せます
- AIツールの導入も同時に検討している会社: デジタル化・AI導入補助金で導入研修も含めて申請できます
- 研修費と賃金を立て替える資金がある会社: 支給は研修後になるため、資金繰りに余裕が必要です
おすすめしない・使いにくい法人
- 雇用保険の適用事業所でない会社: 人材開発支援助成金は使えません
- 研修開始まで1か月を切っている会社: 計画届が間に合わないため、研修の日程をずらすか、今回は自己負担で行うことになります
- プロンプトの基本やAIリテラシーだけを学ぶ研修を考えている会社: 8月改正でリスキリング支援コースの対象外です。研修の目的と内容を見直すか、自社で学ぶ方法を検討しましょう
- eラーニングだけで社員全員に何度も受講させたい会社: リスキリング支援コースはeラーニングの上限が15万円、受講は年度1回までで、賃金助成もありません
- 出勤簿や受講記録を管理する体制がない会社: 書類に不備があると支給されません
- 助成金で「無料」になることを前提に研修を選ぶ会社: 自己負担は必ず残ります。研修そのものの価値で選ぶことをおすすめします
よくある質問
パート・契約社員や役員も対象になりますか?
人材開発支援助成金の対象は、原則として雇用保険の被保険者です。パート・契約社員も被保険者なら対象になり、人材育成支援コースでは有期契約の社員などの経費助成率は70%と、正社員より高く設定されています。役員は一般的に雇用保険の被保険者ではないため、対象外になるのが通常です。兼務役員などの扱いは労働局に確認してください。
社労士に申請を頼んだ費用も助成されますか?
社会保険労務士への申請代行の報酬は、研修の経費ではないため、一般的には助成の対象になりません。依頼する場合は、成功報酬の割合と、不支給だった場合の扱いを契約前に確認しておきましょう。
研修会社が「助成金対応」と書いていれば安心ですか?
対応をうたっていても、支給されるかどうかを決めるのは労働局で、申請の責任は自社にあります。2026年8月改正への対応、eラーニングの上限額(15万円)、疎明書の準備ができているかを研修会社に確認し、計画届を出す前に労働局に相談するのが確実です。
社内の社員が講師になる研修でも申請できますか?
人材開発支援助成金では、会社が自ら行う「事業内訓練」も対象になりえます。ただし講師の要件や対象経費の範囲は、外部の研修会社に頼む場合と異なります。自社の講師で行う場合は、どの経費が対象になるかを事前に労働局で確認してください。
1つの研修に、国と東京都の助成金を両方使えますか?
使えません。東京都DXリスキリング助成金は、国や自治体の助成をすでに受けている研修を対象外にしています。10時間未満の研修は東京都、10時間以上は国の助成金、と研修ごとに分けて申請するのが一般的です。
2027年度以降もAI研修に助成金は使えますか?
令和9年度の概算要求では、人材開発支援助成金は再編されたうえで継続する案が示されています。ただし助成率は、今のリスキリング支援コース(中小企業75%)より低い一般訓練(45〜60%)が中心になる見込みです。正式な内容は、予算の成立と支給要領の公表を待つ必要があります。
まとめ
- AI研修専用の補助金はなく、国の人材開発支援助成金・自治体の助成金・デジタル化・AI導入補助金の3系統から選ぶ
- 研修費を補うなら、本命は事業展開等リスキリング支援コース(中小企業は経費75%+賃金1,000円/時)
- 2026年8月改正で、汎用的なプロンプト研修やAIリテラシー研修は対象外。受講者の業務に直結するカリキュラムにする
- eラーニングは上限15万円・賃金助成なし・年度1回まで
- 都内の中小企業で3〜10時間未満の研修なら東京都DXリスキリング助成金(1人7.5万円、1社100万円まで)
- AIツール導入とセットならデジタル化・AI導入補助金(通常枠1/2、最大450万円。6次締切は10月30日)
- 計画届は研修開始の1か月前まで。期間限定のコースを今年度中に使うなら、11〜12月に計画届を出すスケジュールで動く
- 2027年度は制度が再編され、助成率が下がる可能性が高い(概算要求の段階)
- 「実質無料」「ツール代も研修費で申請できる」という営業には乗らない
制度の内容は改正が多いため、最終的には厚生労働省 人材開発支援助成金、東京しごと財団、デジタル化・AI導入補助金2026の公式情報を確認してください。研修で扱うツールを選ぶ段階なら、ChatGPTとは・Claudeとは・Geminiとは、業務の自動化まで考えるならAIエージェントとはも参考にしてください。
補助金を使う前提で、開発の範囲と費用の目安を整理します
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AI革命
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