AIツール2026年8月更新

GoogleがAI画像の透かし除去を容認|Gemini可視ウォーターマークを消す条件とSynthIDが残る理由【2026年8月】

公開日: 2026/08/17
GoogleがAI画像の透かし除去を容認|Gemini可視ウォーターマークを消す条件とSynthIDが残る理由【2026年8月】

この記事のポイント

Googleは2026年8月14日、GeminiとFlowで生成した画像・動画・楽曲の可視ウォーターマークをオフにできる設定を追加しました。消せる透かしと消せない透かしの違い、設定手順、利用できない国・アカウント条件、悪用リスク、AI生成物の見分け方を整理します。

Googleは2026年8月14日、GeminiアプリとAI映像制作ツールFlowに「メディアの透かし」設定を追加し、生成した画像・動画・楽曲に付く"目に見える"ウォーターマークをユーザー側でオフにできるようにしました。ただし消せるのは可視ウォーターマークだけで、不可視の電子透かし「SynthID」とC2PAのContent Credentialsは設定に関係なく埋め込まれ続けます。

つまり「AI生成であることが完全に消える」わけではありません。見た目からGeminiのマークが消えるだけで、機械的な来歴情報は残る——ここを取り違えると、企業の発信ルールも、SNSで流れてくる画像の真偽判断も、両方とも誤ります。

この記事でわかること:

  • 2026年8月14日のアップデートで具体的に何が変わったのか
  • 消せる透かし(可視)と消せない透かし(SynthID・C2PA)の違い
  • 「メディアの透かし」をオフにする手順(PC・モバイル)
  • 設定が使えない国・アカウント・プランの条件
  • なぜGoogleがこのタイミングで可視透かしを任意にできたのか(EU AI Act 第50条との関係)
  • 各国のAI表示ルールと、日本での法的な位置づけ
  • AI生成かどうかを見分ける実務的な5つの方法
  • 透かしをオフにしてよいケース/絶対にオフにすべきでないケース

Geminiで画像や動画を作るクリエイター・マーケター、AI生成物の扱いについて社内ルールを決める必要がある企業担当者、そして「SNSで見た画像がAI製かどうか確かめたい」一般の読者を想定しています。

2026年8月14日のアップデートで何が変わったのか

Geminiの画像・動画生成機能のアップデートを示すGoogle公式ビジュアル

出典: Google 公式ブログ

変わったのは「可視ウォーターマークが強制ではなくなった」という1点です。それ以外の透明性の仕組みは、これまでどおり動いています。

Gemini担当VPのJosh Woodward氏がX(旧Twitter)で告知し、TechCrunchなど複数メディアが同日報じました。Googleの公式ヘルプにも「メディアの透かし(Media watermark)」という設定項目が追加されています。

項目

内容

発表日

2026年8月14日

対象プロダクト

Geminiアプリ(Web・モバイル)、Flow(AI映像制作ツール)。Google検索にも今後追加予定

対象の生成物

画像・動画・楽曲

対象モデル

画像=Nano Banana、動画=Gemini Omni、楽曲=Lyria

設定名

日本語UI「メディアの透かし」/英語UI「Media watermark」

既定値

オン(従来どおり透かしが表示される)。オフにするにはユーザーが明示的に切り替える

適用範囲

設定変更以降に生成するコンテンツ

追加費用

原則なし(インド・韓国・ベトナムではGoogle AI Ultra契約が必要)

可視ウォーターマークとは、生成物の隅(多くは右下)に入るGeminiの「スパーク」アイコンのことです。動画では再生中ずっとオーバーレイ表示され、楽曲では音声を使った動画やプレーヤー上に表示されていました。この表示が、アカウント単位でオン/オフできるようになりました。

Googleは今回の変更について、次のように説明しています。

創作の自由度と安全性のバランスを取っている。可視ウォーターマークは任意になるが、透明性のために不可視のSynthIDとC2PAメタデータは引き続き使用する。
— Josh Woodward氏(TechCrunch, 2026-08-14)

なお技術メディアgihyo.jpによれば、この変更はGoogleが集めたユーザーフィードバックの上位10項目のうち6位に入っていた要望への対応とされています。「作った画像をそのまま素材として使いたいのに、ロゴが入ると使えない」という不満が、それだけ多かったということです。

生成モデルそのものについては、画像側のNano Banana 2 Lite、動画側のGemini Omni Flashの解説記事でも整理しています。

消せる透かし・消せない透かしの違い

不可視の電子透かしSynthIDを紹介するGoogle DeepMind公式ビジュアル

出典: Google DeepMind SynthID 公式サイト

Geminiの生成物には、性質の異なる3層の「印」が入っています。今回オフにできるようになったのは、このうち一番上の1層だけです。

名称

見え方

今回の設定でオフにできるか

主な役割

1

可視ウォーターマーク

画面上に見えるGeminiアイコン

できる

一般の閲覧者が一目でAI生成と気づくための表示

2

SynthID

見えない(画素・音声波形に埋め込み)

できない

機械による検出。トリミングや圧縮を経ても残るよう設計

3

Content Credentials(C2PA)

見えない(ファイルのメタデータ)

できない

誰が・いつ・どのツールで作成/編集したかの来歴を署名付きで記録

Google公式ヘルプは「この設定はSynthIDの透かしやContent Credentialsには影響しません」と明記しています。したがって、設定をオフにして生成した画像でも、Geminiアプリや対応ツールにかければ「Google AIで作られた」と判定される可能性が高い状態は維持されます。

SynthIDとは何か

SynthIDはGoogle DeepMindが開発した不可視の電子透かしで、画像・動画・音声・テキストの4形式に対応しています。

  • 画像・動画では、トリミング・フィルタ適用・圧縮などの一般的な加工を経ても残るように設計されている
  • 音声では、ノイズ付加・MP3圧縮・再生速度の変更に対する耐性を持たせている
  • テキストでは、生成時の単語選択の確率スコアを微調整する形で埋め込む

規模も大きく、Googleの公式ブログ(2026年5月19日)によれば、2026年5月時点で1,000億件を超える画像・動画と、6万年分に相当する音声にSynthIDが付与されています。

Content Credentials(C2PA)とは何か

Content Credentialsは、コンテンツの「デジタル・パスポート」にあたる仕組みです。撮影・生成・編集の履歴を署名付きでファイルに記録し、後から改ざんの有無を検証できます。

Googleは2026年8月13日、C2PA対応のオープンソースC++ライブラリ「Credentio」(C2PA仕様2.2/2.4対応)を公開しました。クラウドに画像を送らずローカルで検証できる点が特徴で、約40のGoogle製品で使われてきたコードがベースになっています。

テキスト生成AI側でも同様の動きがあり、Anthropicが全モデル出力に電子透かしを導入した件はClaudeの出力に電子透かしで詳しく扱っています。

「メディアの透かし」をオフにする手順

Geminiアプリの公式ビジュアル。設定画面からメディアの透かしを切り替える

出典: Google Gemini 公式サイト

設定は数クリックで完了します。特別な申請や有料プランへの加入は、原則として必要ありません。

PC(gemini.google.com)の場合

  1. gemini.google.com にアクセスしてGoogleアカウントでログインする
  2. 画面左下の「設定」を開く
  3. 「メディアの透かし」を選ぶ
  4. 「透かしを表示」のトグルをオフにする

モバイル(Android / iPhone・iPad)の場合

  1. Geminiアプリ、またはブラウザでgemini.google.comを開く
  2. 「設定」→「メディアの透かし」
  3. トグルをオフにする

設定は、変更した「以降に生成するコンテンツ」に適用されます。すでに生成済みの画像・動画の透かしが遡って消えるかどうかについては、現時点の公式ヘルプに明確な記述がなく、未確認です。過去に作った素材を透かしなしで使いたい場合は、設定をオフにしたうえで再生成するのが確実です。

なお、ロールアウトは発表から数日かけて順次進む形で、日本ではまずWeb版から利用可能になったことが確認されています。設定項目が見当たらない場合は、職場・学校アカウントでログインしていないか、国別の提供条件に該当していないかを確認し、いずれにも当てはまらなければしばらく待ってから再度開いてみてください。

透かしをオフにできない条件

全ユーザーが自由にオフにできるわけではありません。国・アカウント種別・契約プランによって、可視ウォーターマークが強制表示のままになります。

条件

可視ウォーターマークの扱い

補足

一般の個人アカウント(日本など)

オフにできる

追加費用なし

インド・韓国・ベトナムのユーザー

有料のGoogle AI Ultra契約がある場合のみオフにできる

契約がなければ透かしは自動で付き続ける

職場・学校アカウント(Google Workspace)

オフにできない

設定自体が提供されず、透かしが表示され続ける

可視表示が法律で義務づけられている国・地域

オフにできない/制限される

各国法令に合わせて提供範囲が調整される

企業利用で見落としやすいのが、3行目のWorkspaceアカウントです。会社ドメインのGoogleアカウントでGeminiを使っている場合、この設定は現れず、生成物には従来どおり可視ウォーターマークが入ります。「社内では消せない」という前提で、素材制作のワークフローを設計しておく必要があります。

インド・韓国・ベトナムの3か国はGoogle公式ヘルプに名指しで挙げられている国です。いずれもAI生成コンテンツの表示に関する規制が近年整備された国で、規制対応と有料プランの区分が組み合わされた形になっています。

なお、Google AI Pro/Ultraの日本国内価格は改定が頻繁なため、契約前にone.google.comまたはgemini.google.comの料金ページで最新の金額を確認してください。本記事では価格の断定は行いません。

なぜGoogleは可視透かしを任意にできたのか

コンテンツ来歴の国際標準を策定するC2PAの公式ビジュアル

出典: C2PA 公式サイト

背景には、2026年8月2日に適用が始まったEU AI Act 第50条(透明性義務)の要件が「機械可読なマーキング」を軸にしている点があります。

EU AI Act 第50条は、合成された音声・画像・動画・テキストについて、機械可読な形式でマーキングし、人工的に生成・改変されたものとして検出可能にすることを提供者に義務づけています。ここで求められているのは、あくまで機械が読める印です。人間の目に見えるロゴを常時焼き付けろ、という条文にはなっていません。

一方、ディープフェイクを公開する側(deployer)には、それがAI生成・改変であることを開示する義務が別途課されています。つまり「生成する事業者は機械可読マーキング」「公開する人は開示」という二段構えです。

SynthIDとC2PAが常時埋め込まれ続けるのであれば、生成事業者としての機械可読マーキング義務は満たせる建て付けになります。可視ウォーターマークを任意化しても、この骨格は崩れません。Googleが「可視は任意、不可視は継続」というバランスの取り方を選べた理由は、ここにあると考えられます。

ただし、EU圏で「メディアの透かし」設定が実際に利用できるかどうかについては、公式ヘルプが名指ししているのがインド・韓国・ベトナムのみで、EUの扱いは明示されていません。EU域内での提供可否は未確認です。

なお、EU AI Actには経過措置もあります。AI Omnibusの暫定合意により、適用日前に市場に出ていた生成AIについては、機械可読マーキング要件の履行が2026年12月2日まで猶予されています。

各国のAI表示ルールを比較する

「透かしを消して投稿していいのか」は、どの国の読者に向けて公開するかで答えが変わります。主要国の状況を整理します。

国・地域

根拠法・規則

施行・適用

AI生成物の表示に関する要求

EU

AI Act 第50条

2026年8月2日適用開始

合成音声・画像・動画・テキストに機械可読なマーキング。ディープフェイク公開者にも開示義務

韓国

AI基本法

2026年1月22日施行

AI生成物への表示義務。写実的なディープフェイクは可視ラベル、明らかに人工的な作品は不可視透かしでも可。約1年間は制裁金を科さない運用

ベトナム

人工知能法

2026年3月1日施行

AI利用の告知義務。画像は透かしとメタデータを含む形で、閲覧前または閲覧中に明確・可視で認識できる開示を要求

インド

IT規則改正

2026年2月20日施行

プラットフォーム側にAI生成コンテンツのラベル付けと、技術的に可能な範囲での追跡可能なメタデータ保持を義務づけ

中国

人工知能生成合成内容識別弁法

2025年9月1日施行

ユーザーが認識できる形でのAI生成表示に加え、ファイルへのデジタル透かし埋め込みを義務化

日本

AI推進法(AI新法)

2025年成立

AI生成物の表示を一般的に義務づける規定はない。罰則もなし

日本には、AI生成画像に表示を義務づける法律が現時点で存在しません。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」が電子透かし等の来歴確認メカニズムを推奨していますが、これは法的強制力を伴うものではありません。

発信先ごとに整理すると、実務上の扱いは次のように分かれます。

  • 日本国内向けの発信であれば、可視ウォーターマークをオフにして使っても、それ自体が違法になるわけではない
  • ただしEU向け・韓国向け・ベトナム向けに公開する場合は、開示義務がかかりうる
  • 法令とは別に、各プラットフォームの規約(YouTubeの改変コンテンツ開示、MetaのAIラベル、広告審査基準など)は独立して適用される
  • 詐欺・名誉毀損・肖像権侵害などは、透かしの有無に関係なく従来どおり違法

「日本では義務がない=何をしてもよい」ではない点に注意してください。義務がないからこそ、発信者側の自主的な判断の質が問われます。

何が問題視されているのか

批判の中心は、「一般の閲覧者が一目でAI生成と気づける手掛かりは、実質的に可視ウォーターマークだけだった」という点にあります。

Gizmodoは今回の変更を「AI生成画像を見分ける社会全体の能力が失われていく道のりの、もう一つの節目」と評しました。同記事が挙げている技術的な指摘は、事実として重いものです。

  • C2PAメタデータは除去が容易であり、しかも多くのSNSはアップロード時にメタデータを剥がす。実質的な抑止力になりにくい
  • SynthIDについても、Google自身が「敵対的攻撃に耐えるようには設計されていない」と説明しており、商用の回避サービスやオープンソースの回避ツールが既に存在する

つまり、不可視の印は「一般利用者には確認しづらく」「悪意ある利用者には回避余地がある」という構造を持っています。可視ウォーターマークは、その手前で機能する最も素朴で、最も広く効く安全装置でした。

実害の規模

日本国内のデータを見ると、この懸念は抽象論ではありません。

  • SNS型投資詐欺の被害額は前年比+46.3%、1,200億円超に達している。有名人になりすましたディープフェイク広告が主要な手口
  • 日本の従業員の89%が「ディープフェイクは本物と区別がつかないレベルに達している」と回答し、71%が「自分も騙される可能性がある」と答えている(世界平均64%を上回る)
  • 2026年5月には、カンボジア・ミャンマー・中国等を拠点とする偽警察官詐欺で、生成AIによりリアルタイムで顔を偽警察官に加工する「AIルーム」が海外4拠点に設置されていたことが判明している

Google自身も、2026年8月にGoogle EarthへNano Banana 2ベースの画像生成機能を搭載したところ、偽の難民キャンプや原発のディープフェイク騒動を受けて1日で撤回しています(GoogleがGoogle EarthのAI画像生成を1日で撤回)。生成の摩擦を下げることが、どれだけ早く問題化しうるかを示した事例です。

AI生成物の氾濫が既存のデータベースを汚染する問題は画像に限りません。セキュリティ領域ではAIが生成した偽の脆弱性がCVEデータベースを汚染する事例も起きています。

SynthIDは万能ではない

「不可視の透かしが残るから大丈夫」と考えるのは、現時点では言い過ぎです。SynthIDには構造的な限界があり、研究レベルでの回避手法も報告されています。

限界その1:SNSでメタデータが剥がれる

C2PAのContent Credentialsはファイルのメタデータ領域に記録されるため、多くのSNSプラットフォームがアップロード時に行うメタデータ削除で失われます。画素そのものに埋め込まれるSynthIDと違い、C2PAは日常的な流通経路で消えやすいのが実情です。

限界その2:敵対的攻撃への耐性は保証されていない

Googleは、SynthIDが通常の加工(トリミング・圧縮・フィルタ)に耐えるとは説明していますが、意図的な除去攻撃に耐えるようには設計していないと述べています。学術的にも、USENIX Security 2025で発表された「UnMarker」は、防御的ウォーターマークに対する初の汎用攻撃とされました。2026年に入ってからも透かしスコアを押し下げる新手法が提案されており、Gemini生成物の透かし無効化を実演するプロジェクトも公表されています。

限界その3:検出できるのはGoogle製だけ

Geminiアプリの検証機能が判定できるのは、Google AIで作成・編集されたコンテンツです。他社モデルの生成物は「検出されない」と表示されます。したがって「検出されない=AI生成ではない」という読み替えは成立しません。

一方で、公開されているツールで画質を大きく劣化させずにSynthIDを完全に除去することは容易ではない、という評価も併存します。「可視透かしよりは残りやすいが、絶対ではない」——これが現時点で正確な理解です。

なお、本記事では不可視透かしの除去手順や、透かし除去を謳う商用ツールの紹介は行いません。規約違反や悪用を助長するためです。

AI生成かどうかを見分ける5つの方法

C2PA署名を検証できるContent Credentialsの公式ビジュアル

出典: Content Credentials 公式サイト

受け手側でできる確認手段は、2026年8月時点で複数あります。用途と限界を整理します。

方法

検出できる対象

手軽さ

主な制約

Geminiアプリで質問する

Google AI製の画像・動画・音声

他社AIは判定不可。1日あたりの回数制限あり

Google検索・Chromeで確認

Google AI製+C2PA付きコンテンツ

機能の展開が順次のため利用可否に差がある

Content Credentials Verify

C2PA署名が残っているファイル

SNS経由でメタデータが剥がれると判定不能

OpenAI Verify

C2PAとSynthIDの両方

無料・ログイン不要。対応範囲は各仕様に依存

目視チェック

すべて(補助的)

最新モデルではほぼ破綻しない。単独では判断材料にならない

1. Geminiアプリで判定する

gemini.google.com にファイルをアップロードし、「この画像はGoogle AIで作成・編集されましたか?」と質問します。

  • 対応ファイル:画像・動画は100MB以下、動画は90秒未満、音声は1時間未満、1回につき1ファイル
  • 判定回数の目安:24時間あたり画像10回・動画10回・音声10回程度
  • Content Credentialsの表示はgemini.google.comとAndroidで対応。iOSは今後

最も手軽な一次確認ですが、判定対象がGoogle製に限られる点は必ず覚えておいてください。

2. Google検索・Chromeから確認する

Google検索の「この画像について(About this image)」、Lens、AIモード、Circle to Searchから「これはAIで作られたか」を尋ねる形の確認が展開されています。Chromeでも右クリックからの確認機能が2026年5月発表分として順次ロールアウト中です。SNSで流れてきた画像をその場で調べる用途に向きます。

3. Content Credentialsを検証する

contentcredentials.org/verify、Adobeのinspectツール、CLIツールの c2patool などで、C2PA署名の有無と来歴を確認できます。Googleが公開したCredentioを使えば、クラウドにファイルを送らずローカルで検証することも可能です(mediaprovenance.googlesource.com)。

C2PAを推進してきた企業の代表格がAdobeで、その生成AIについてはAdobe Firefly Image 5とはで扱っています。

4. OpenAI Verifyを使う

openai.com/verify は無料・ログイン不要で、C2PAとSynthIDの両方をチェックできます。OpenAIは2026年5月19日にC2PAのConforming Generatorとして参加し、ChatGPT・OpenAI API・Codexが生成する全画像にGoogle DeepMindのSynthIDを埋め込み始めました。ChatGPT側の画像生成についてはChatGPT Images 2.0(gpt-image-2)とはを参照してください。

5. 目視とメタデータ、逆画像検索を併用する

指・歯・文字・反射・影の整合性、極端に均質な質感といった従来のチェックポイントは、2026年時点の最新モデルではほとんど破綻しません。目視は補助手段と割り切り、EXIF情報の確認や逆画像検索(同じ構図の元画像が過去に存在するか)と組み合わせるのが現実的です。

C2PAやSynthIDが「検出されない」ことは、AI生成でないことの証明にはなりません。 SNSはメタデータを剥がしますし、他社AIの生成物はGoogleのツールでは判定できません。検出結果は「AI製である」という肯定側の証拠としては強く、「AI製ではない」という否定側の証拠としては弱い——この非対称性を押さえてください。

透かしをオフにしてよいケース/オフにすべきでないケース

法的な義務がない日本でも、「消していい場面」と「消すべきでない場面」ははっきり分かれます。

こんな用途にはおすすめ

  • 社内資料・企画書のイメージカット:外部に出ない前提の資料。ロゴが入ると体裁が崩れるだけで、透明性上の実害がない
  • デザインのモックアップ・ラフ案:クライアントへの提案段階で、後から本番素材に差し替える前提のもの
  • 自分用の壁紙・アイコン・私的な制作物:第三者の判断に影響しない用途
  • 背景素材・テクスチャなど、二次加工前提の中間素材:最終成果物側でAI利用を表記できるなら問題は小さい
  • 明らかに人工的と分かるイラスト・抽象表現:写実的な人物や出来事と誤認される余地がない表現

こんな用途にはおすすめしない

  • 報道・ジャーナリズム関連のビジュアル:出来事の記録と誤認されるリスクが最も高い領域
  • 実在しそうな人物の写実的な画像:なりすまし・名誉毀損・肖像権のトラブルに直結する
  • 広告・LP・商品ビジュアル:景品表示法上の誤認や、プラットフォームの広告審査基準に抵触する可能性がある
  • EU・韓国・ベトナム向けに配信するコンテンツ:開示義務がかかりうる
  • 自治体・公共機関・医療や金融など、正確性への期待が高い発信:信頼の毀損が回復しにくい
  • 災害・事件・選挙に関わる画像:偽情報の影響が社会的に大きく、削除しても拡散は止まらない

判断に迷ったときの基準はシンプルです。「これは現実の出来事や実在の人物として受け取られる可能性があるか」——ここがYesなら、可視表示か、少なくとも「AI生成」の明記を残してください。

企業がいま決めておくべき社内ルール

この設定変更を受けて、企業側で更新すべき運用ポイントを整理します。生成AIの業務利用ルール全般については生成AIのセキュリティリスクも併せて参照してください。

1. 外部公開物にはAI生成表記を必須にする

可視ウォーターマークを外しても、キャプションやクレジット欄に「本画像は生成AIで作成」と自主的に記載する運用にします。法的義務の有無に関わらず、後から炎上した際の説明コストが桁違いに変わります。

2. C2PAメタデータを意図的に剥がす加工を禁止する

編集ソフトの書き出し設定でメタデータを削除するオプションが有効になっていると、来歴情報が失われます。書き出しプリセットを見直し、社内標準を定めておきます。

3. 人物・報道性の高い画像には生成AIを使わない領域を決める

「使ってよい領域」を許可リスト方式で定義するほうが、禁止リスト方式より運用が安定します。メディア・出版領域での考え方はメディア・出版業のAI活用事例にも整理があります。

4. Workspaceアカウントでは設定が使えない前提で設計する

会社ドメインのアカウントで生成した素材には可視ウォーターマークが入ります。「個人アカウントで作って持ち込む」という抜け道が生まれやすいため、素材の入手経路を明確にしておく必要があります。

5. 海外配信の有無で承認フローを分ける

EU・韓国・ベトナム向けの配信が含まれる場合は、法務チェックを通す。国内限定であれば簡易フローで済ませる——この線引きを事前に決めておくと、運用が回ります。

6. 受け取り側の確認手順を社内に配る

取引先から送られてきた画像、SNSで見つけた素材を使う際の確認手順(Geminiでの判定、Content Credentials Verify、OpenAI Verify)を、経理・広報・営業まで含めて共有します。ディープフェイクを使ったビジネスメール詐欺は、確認手順の有無で被害率が大きく変わります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 透かしをオフにすると、AI生成であることは完全に分からなくなりますか?

なりません。可視ウォーターマークは消えますが、不可視のSynthIDとC2PAのContent Credentialsは設定に関係なく埋め込まれ続けます。Geminiアプリ、Google検索、OpenAI Verifyなどのツールにかければ、Google AI製である可能性が高いと判定されます。ただしC2PAはSNS経由でメタデータが剥がれることがあり、SynthIDも敵対的攻撃への耐性は保証されていないため、「必ず追跡できる」とも言い切れません。

Q2. すでに生成済みの画像から透かしを消せますか?

設定は「変更以降に生成するコンテンツ」に適用されます。過去の生成物に遡って適用されるという公式記述は現時点で確認できていません。透かしなしで使いたい場合は、設定をオフにしたうえで再生成するのが確実です。なお、透かし除去を謳うサードパーティ製ツールは規約違反のリスクがあり、本記事では推奨しません。

Q3. 設定画面に「メディアの透かし」が表示されません。なぜですか?

考えられる理由は3つあります。①職場・学校(Google Workspace)アカウントでログインしている、②インド・韓国・ベトナムのユーザーでGoogle AI Ultraを契約していない、③ロールアウトがまだ自分のアカウントに届いていない。①②に該当する場合、設定は提供されません。③であれば時間をおいて再確認してください。

Q4. 透かしを消した画像をSNSに投稿すると違法ですか?

日本には、AI生成物の表示を一般的に義務づける法律が現時点でありません。したがって透かしを消して投稿すること自体が直ちに違法になるわけではありません。ただしEU・韓国・ベトナムなど開示義務がある地域向けの公開、各SNSの利用規約(AIコンテンツのラベル付け義務)、そして詐欺・名誉毀損・肖像権侵害といった一般法は別途適用されます。

Q5. Geminiの検証機能で「検出されませんでした」と出たら、AI生成ではないと判断していいですか?

判断できません。Geminiの検証機能が判定できるのはGoogle AIで作成・編集されたコンテンツのみで、他社AIの生成物は検出対象外です。加えて、SNS経由でメタデータが失われた場合や、加工の度合いによっては検出できないこともあります。検出結果は「AI製である」という肯定の根拠にはなりますが、否定の根拠としては弱いものです。

Q6. 業務でGeminiを使っていますが、可視ウォーターマークが消えません。回避方法はありますか?

Google Workspaceアカウントではこの設定が提供されないため、公式の方法で消すことはできません。透かしなしの素材が必要な業務については、素材制作の工程自体を見直すか、Workspace管理者を通じてGoogleに要望を上げるのが筋です。個人アカウントで生成した素材を業務に持ち込む運用は、著作権・データ管理の観点で別のリスクを生むため推奨しません。

Q7. SynthIDが入っていることを、自分で確認する方法はありますか?

Geminiアプリにファイルをアップロードして「これはGoogle AIで作成されましたか?」と質問するのが最も手軽です。加えてOpenAI Verify(openai.com/verify)はC2PAとSynthIDの両方をチェックできます。より本格的な検証用にSynthID Detectorポータルも存在しますが、現時点では報道関係者向けの限定テストとウェイトリスト制で、一般提供の状況は未確認です。

Q8. 他社のAI画像にも同じような透かしはありますか?

あります。OpenAIは2026年5月19日にC2PAのConforming Generatorとして参加し、ChatGPT・OpenAI API・Codexが生成する全画像にSynthIDを埋め込み始めました。Kakao、ElevenLabsもSynthIDを採用し、NVIDIAはCosmosの動画に透かしを入れています。MetaはInstagramでカメラ撮影メディアにContent Credentialsを付与しています。業界全体として、来歴情報を埋め込む方向で標準化が進んでいます。

まとめ

今回のアップデートで押さえるべき点は3つです。

1つめ。消せるのは可視ウォーターマークだけ。 「Googleが透かし除去を容認」という見出しだけを見ると、AI生成の痕跡が全部消えるように読めますが、実際には表示上のアイコンが任意になっただけです。SynthIDとC2PAは変わらず埋め込まれ続けます。

2つめ。誰でも消せるわけではない。 Workspaceアカウントでは設定が提供されず、インド・韓国・ベトナムではGoogle AI Ultra契約が必要です。企業でGeminiを使っている場合、そもそも対象外である可能性が高い点に注意してください。

3つめ。法的義務がないことと、消していいことは別。 日本にAI生成物の表示義務はありませんが、報道性の高い画像、実在しそうな人物、広告、海外配信では、可視表示か自主的な明記を残すべきです。判断基準は「現実の出来事や実在の人物として受け取られる可能性があるか」の一点に集約されます。

受け手の側では、SynthIDやC2PAという機械可読な印に頼れる場面が増えた一方で、「検出されない=AIではない」ではないという非対称性を理解しておく必要があります。可視ウォーターマークという最も分かりやすい手掛かりが任意になった以上、確認手順を持っているかどうかが、そのまま情報リテラシーの差になります。

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