Microsoft 365 CopilotのClaudeはいまデフォルトか|Opus 5追加・GPT-5.6優先モデル化・2つの統合の違い【2026年8月最新】

この記事のポイント
Microsoft 365 CopilotのAnthropicモデルは2026年8月時点も商用クラウドで既定オン。5月のClaude Opus 4.7デフォルト化以降、GPT-5.6の優先モデル化とOpus 5追加で構成は3回変化しました。いま何がデフォルトか、管理者の確認手順、Claude for Microsoft 365との違いを公式情報ベースで整理します。
2026年8月時点で、Microsoft 365 Copilot(日本を含む商用クラウド)では、テナント設定としてAnthropicモデルが既定で有効のままです。ただし2026年5月に「Excel/PowerPointの既定モデルがClaude Opus 4.7になった」という状態からは大きく動いており、7月にGPT-5.6が「preferred model(優先モデル)」となり、7月25日にはClaude Opus 5がモデルピッカーへ追加されました。
「Claudeがデフォルト」という言い回しには、実は3つの異なるレイヤーが混ざっています。この記事では、いま自社テナントで実際に何がオンなのか、管理者が確認すべき設定、そして混同されやすい「Claude for Microsoft 365」アドインとの違いを、Microsoft LearnとAnthropic公式の記載をもとに整理します。
この記事でわかること
- 「Claudeがデフォルト」という表現が指す3つの意味と、その現在の状態
- 2026年5月〜7月に3回入れ替わったM365 Copilotのモデル構成(タイムライン)
- 現在Copilotで選べるAnthropicモデルの一覧と、Excel/Word/PowerPointの差
- 日本/EU・EFTA・UK/政府クラウドで異なる既定値のマトリクス
- Copilot内蔵のAnthropicモデルと「Claude for Microsoft 365」アドインの違い・料金
- IT管理者が確認すべき設定パスと、社内で先に押さえておく論点
Microsoft 365 Copilotを導入済み(または導入検討中)の情シス・IT管理者、社内AI利用ポリシーを預かる法務・情報セキュリティ担当、ExcelやPowerPointでCopilotを日常的に使う実務者に向けた内容です。
2026年8月時点のM365 Copilot × Claudeの状態

日本テナント(商用クラウド)を前提にすると、現在の状態は次のとおりです。
論点 | 2026年8月時点の状態 |
|---|---|
Anthropicをサブプロセッサとして使う設定 | 既定でオン(EU/EFTA/UKは既定オフ) |
Copilotで選べるAnthropicモデル | Claude Sonnet 5 / Claude Opus 4.8 / Claude Opus 5 /プレビューでClaude Fable 5 |
モデルピッカーの初期値 | Auto(Copilotがタスクに応じて自動選択) |
OpenAI側の位置づけ | 2026年7月9日にGPT-5.6がM365 Copilotの「preferred model」に |
Microsoft自社モデル(MAI) | 2026年7月からExcel等の一部プロンプト処理に投入開始 |
Anthropicモデル利用の追加費用 | なし(Microsoft 365 Copilotライセンスに包含) |
Wordの扱い | 編集時のモデル選択は2026年5月下旬に展開済み。EU/EFTA/UK向けの「Anthropicモデルを既定にする」設定は公式ドキュメント上「2026年夏に追加予定」表記のまま |
重要なのは、「既定でClaudeが動く」状態は永続的な仕様ではなく、四半期単位で入れ替わっているという点です。2026年5月の記事や資料を根拠に社内ポリシーを固めていると、実態とずれます。
「Claudeがデフォルト」には3つの意味がある
この話が混乱しやすい最大の理由は、「デフォルト」という言葉が3つの異なるレイヤーで使われているためです。ここを分けて理解すると、自社の状態を正しく把握できます。
レイヤー | 何が既定なのか | 誰が決めるか | 2026年8月時点 |
|---|---|---|---|
①テナント設定 | AnthropicをMicrosoftのサブプロセッサとして利用することが有効か | テナント管理者(既定値はMicrosoftが地域別に設定) | 商用クラウド(日本含む)は既定オン、EU/EFTA/UKは既定オフ |
②アプリの生成モデル | Excel/PowerPoint等でCopilotが裏側で使う既定モデル | Microsoft(メッセージセンターで通知) | 2026年5月4日にAnthropicモデルが既定に。その後7月9日にGPT-5.6が「preferred model」となり、両者の関係についてMicrosoftの明示的な説明は現時点で確認できていない |
③モデルピッカーの初期値 | ユーザーがCopilotペインで見る選択肢の初期値 | ユーザー(管理者が選択肢の範囲を制御) | Auto |
つまり「うちのExcelはClaudeで動いているのか?」という問いへの正確な答えは、現時点では 「Anthropicモデルは有効(①がオン)だが、実際に個々のプロンプトを処理しているモデルはAutoの判断次第で、ユーザー側から特定はできない」 になります。ExcelやOutlookでは一部のプロンプトがMicrosoft自社のMAIモデルへルーティングされていることも公表されており、モデルの特定はさらに難しくなっています。
規制対応や監査で「どのモデルが出力を生成したか」を記録する必要がある業務では、この不確定性そのものがリスクになります。この論点はMicrosoftのMAI内製化の解説で詳しく整理しています。
2026年に3回動いたM365 Copilotのモデル構成
2026年前半だけで、Copilotの裏側は大きく3回動きました。時系列で押さえておくと、どの情報がいつ時点のものかを見分けられます。
日付 | 出来事 |
|---|---|
2026年1月7日 | Anthropicモデルが商用クラウドで既定利用可能に(Enterprise Data Protection対象) |
2026年4月3日 | EU/EFTA/UK向け設定「Copilot in M365 apps with Anthropic models」が追加 |
2026年4月16日 | Claude Opus 4.7がCopilot Cowork / Copilot Studio / Excelのモデルピッカーに登場 |
2026年5月1日 | Anthropic独立プロセッサ(IP)設定が廃止 |
2026年5月4日 | MC1269241発効。Excel/PowerPointでAnthropicモデルが既定に(Wordは夏予定と記載) |
2026年5月7日 | Anthropic製アドイン「Claude for Microsoft 365」がGA(Outlookはベータ) |
2026年5月下旬 | Wordの編集でモデル選択が世界展開完了(MC1296489) |
2026年6月16日 | Copilot ChatでClaudeが選択可能に(Windows/Mac/iOS/Android/Web) |
2026年7月2日ごろ | Claude Sonnet 5がCopilot Cowork / PowerPointへ展開開始 |
2026年7月7日 | MicrosoftがExcel/Outlookのプロンプト処理の一部を自社MAIモデルへルーティング開始 |
2026年7月9日 | GPT-5.6がMicrosoft 365 Copilotの「preferred model」に(Word/Excel/PowerPoint/Chat/Cowork) |
2026年7月22日 | GCC非連邦顧客向けにAnthropicモデル利用設定を追加(既定オフ) |
2026年7月25日 | Claude Opus 5がM365 Copilotで提供開始(Word/Excel/PowerPoint/Copilot Chat/Cowork/Copilot Studio) |
2026年5月4日:Excel/PowerPointでAnthropicモデルが既定に
出発点となったのがメッセージセンター通知「MC1269241」です。Microsoft 365 Copilotライセンス保有ユーザーを対象に、ExcelとPowerPointのCopilotでAnthropicモデルが既定で使われる状態になりました。追加費用は発生せず、Copilotライセンスに含まれます。当時の主役モデルがClaude Opus 4.7でした。
Wordについては同通知の時点で「2026年夏予定」と記載されていました。
2026年7月7日:Microsoftが自社MAIモデルの投入を開始

2026年7月、MicrosoftはExcelやOutlookで週あたり数万件規模のプロンプト(メールスレッド要約、返信下書き、表の整形といった定型かつ高頻度のタスク)を自社のMAIモデルで処理し始めたと報じられ、その後公式ブログでもGitHub CopilotとExcelでの本番投入が明言されました。Microsoft AI CEOのムスタファ・スレイマン氏は、Anthropicへの支払いについて「コストを減らし、最終的にゼロにすることが目標」と述べています。
ただし現時点で完全な置き換えではありません。複雑なタスクはOpenAIのフロンティアモデル、特定用途ではAnthropicモデルが引き続き使われる構図です。MAIモデル群そのものの内容はMicrosoft Build 2026のまとめでも扱っています。
2026年7月9日:GPT-5.6が「preferred model」に
OpenAIは2026年7月9日、GPT-5.6がMicrosoft 365 Copilotの優先モデルになったと発表しました。対象はWord/Excel/PowerPoint/Copilot Chat/Coworkです。GPT-5.6はSol / Terra / Lunaの3モデル構成で、詳細はGPT-5.6の解説記事にまとめています。両社の関係の変化はOpenAIとMicrosoftの新パートナーシップの文脈で理解すると整理しやすくなります。
注意点として、5月のMC1269241による「Anthropicモデルを既定にする」設定と、7月のGPT-5.6のpreferred model化が、実際の生成でどちらを優先するのかについて、Microsoftからの明示的な説明は現時点で確認できていません。 テナント設定としてAnthropicモデルは有効なままである一方、実処理のモデル選択ロジックは非公開です。
2026年7月25日:Claude Opus 5が追加
2026年7月25日、Claude Opus 5がMicrosoft 365 Copilotで提供開始されました。対象はWord/Excel/PowerPoint/Copilot Chat/Cowork/Copilot Studioです。複数ステップにまたがる業務や長時間タスクでの推論強化が位置づけとされています。モデル自体の性能はClaude Opus 5の解説で整理しています。
いまCopilotで選べるAnthropicモデル一覧

Microsoft Learnの「Choose a model for Copilot Cowork」(2026年7月17日更新)などで確認できる、現行のモデルラインアップは次のとおりです。
モデル | 公式が示す用途 | 備考 |
|---|---|---|
Auto | タスクに最適なモデルをCopilotが自動選択 | モデルピッカーの初期値 |
Claude Sonnet 5 | 日常業務・素早い応答(下書き、簡易調査) | 2026年7月上旬からCowork/PowerPointへ展開 |
Claude Opus 4.8 | 複雑・重要度の高い作業(深い推論、多段分析、執筆) | |
Claude Opus 5 | 複数ステップの複雑業務・長時間タスク | 2026年7月25日追加 |
Claude Fable 5(プレビュー) | 最難関タスク向け | 既定オフ。管理者の明示的な有効化とデータ保持の受け入れが必要 |
Sonnet + Opus Advisor | Sonnetが処理し、Opusが正確性・網羅性をレビューするペアモード | Cowork |
GPT 5.5 (Frontier) / GPT-5.6 | 汎用・出典付き長文など | GPT-5.6は2026年7月9日から優先モデル |
Claude Opus 4.7については、公式のリタイア告知は確認できていませんが、現行ピッカーで確認できるのはSonnet 5 / Opus 4.8 / Opus 5 / Fable 5(プレビュー)というラインアップです。
Fable 5とOpus 5の使い分けはClaude Opus 5とFable 5の違い、Coworkそのものの仕様はCopilot Coworkの解説で扱っています。
現場でつまずきやすい3つの仕様
実際に使い始めると、モデル選択まわりの仕様で戸惑うケースが多く報告されています。
- モデル選択はセッション限定 — Excel/PowerPointのCopilotペイン右上のドロップダウンで選んだモデルは、そのセッションのみ有効です。アプリを閉じるとM365の既定モデルに戻ります。「常にOpus 5を使う」というユーザー側の恒久設定は現時点で用意されていません。
- アプリごとに表示モデルが違う時期がある — 新モデルはアプリ単位で順次展開されるため、Excelには出ているモデルがWordやPowerPointにはまだ出ない、という状態が発生します。見えない場合はアプリの更新・再起動が推奨されています。
- 無料のCopilot Chatではモデルを選べない — 対象のMicrosoft 365法人プランで使えるCopilot Chat(無料枠)では、ユーザーによるモデル選択は不可です。選択には有料のMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要で、加えて管理者がAnthropicモデルを許可している必要があります。
Wordはいまどうなっているのか

出典: Anthropic - Claude for Microsoft 365
Wordについては、性質の異なる2つの話が混同されやすいので分けて整理します。
項目 | 状態 |
|---|---|
Wordの編集でモデルを選択できるか | 可能。MC1296489として2026年5月中旬〜下旬に世界展開済み |
EU/EFTA/UK向けの「WordでAnthropicモデルを既定にする」設定 | Microsoft Learnは2026年6月23日更新時点で「2026年夏に追加予定」表記のまま。2026年8月時点でも展開完了は確認できていない |
Claude Opus 5のWord対応 | 2026年7月25日から利用可能 |
つまり、日本を含む商用クラウドのユーザーにとっては、Wordでも既にAnthropicモデルを選んで使える状態です。「夏予定」と書かれているのはEU/EFTA/UK向けの既定化オプションであり、この2つを混同すると社内説明を誤ります。
なお、Anthropic製アドイン側のWord機能(変更履歴付き編集など)はClaude for Wordの使い方で別途整理しています。
Claude × Microsoft 365には2つの統合がある

出典: Anthropic 公式サイト
Copilotの内側でAnthropicモデルを使う形とは別に、Anthropic自身が提供するOfficeアドイン「Claude for Microsoft 365」があります。この2つはまったく別の製品で、必要なライセンスもデータ処理の主体も異なります。
比較ポイント | 統合①:Copilot内のAnthropicモデル | 統合②:Claude for Microsoft 365(アドイン) |
|---|---|---|
提供元 | Microsoft | Anthropic |
実体 | Copilotが裏で使うLLMの選択肢としてClaudeが入る | Officeアプリ内にClaudeのサイドバーが出る別アプリ |
必要ライセンス | Microsoft 365 Copilot | Claudeの有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)+ Microsoft 365 |
追加費用 | なし(Copilotライセンスに包含) | Claude側のサブスク費用が別途発生 |
インストール | 不要(管理者設定のみ) | Microsoft Marketplaceからアドインを配布・有効化 |
データ処理主体 | AnthropicがMicrosoftのサブプロセッサとして処理(Microsoft Product Terms / DPA適用) | Anthropicが自社の商用規約・DPAで処理 |
社内データ参照 | Microsoft Graph経由でSharePoint / Teams等を参照可能 | 開いているファイルが中心 |
管理の窓口 | Microsoft 365 管理センター | Marketplaceのアドイン配布制御+Claude組織設定 |
対応状況 | Word / Excel / PowerPoint / Copilot Chat / Cowork / Copilot Studio | Excel / Word / PowerPoint はGA、Outlookはベータ |
統合②のアドインでできること
Anthropic公式およびヘルプセンターの記載では、アプリごとに次の機能が提供されています。
- Excel:ワークブックの分析、セル単位の問い合わせ、前提条件の変更、モデル構築、数式の説明(数式構造を壊さない設計)
- Word:変更履歴(トラックチェンジ)付きの編集、コメントへの返信、社内スタイルの適用
- PowerPoint:テンプレート/スライドマスターを保ったスライド生成、選択範囲の編集、ネイティブグラフ生成
- Outlook(ベータ):受信トレイのトリアージ、返信下書き、カレンダー調整
- クロスアプリ連携:Excelの分析結果をそのままPowerPointへ渡すなど、アプリ間でコンテキストを引き継げる
一方で制約もはっきりしています。Claudeは開いているファイルに対して動作し、ファイルの新規作成・オープン・クローズ・切り替えを自律的には行いません。チャット履歴もセッション間では保持されません。また無料プランでは利用できず、Pro / Max / Team / Enterpriseのいずれかが必要です。
企業では、Claudeアカウント認証のほかMicrosoft Foundry / Amazon Bedrock / Google Vertex AI経由での接続も選べます。
料金とライセンスの整理
統合①(Copilot内のAnthropicモデル)
Anthropicモデルの利用にモデル別の追加課金はなく、Microsoft 365 Copilotのライセンス費用に含まれます。日本での主な価格は次のとおりです(税抜。2026年7月1日の価格改定後の水準)。
プラン | 価格(年間契約・1ユーザー/月) | 備考 |
|---|---|---|
Microsoft 365 Copilot(エンタープライズ) | 約4,500円 | 二次ソースに基づく目安。月間契約は約4,700円 |
Microsoft 365 Copilot Business(アドオン) | 2,698円 | 2026年9月30日までのプロモ価格。通常3,148円。Microsoft 365 Businessプランが前提 |
Microsoft 365 Business Standard + Copilot Business | 3,523円 | |
Microsoft 365 Business Premium + Copilot Business | 4,797円 | |
Copilot Chat(Web) | 追加費用なし | 対象のMicrosoft 365法人プラン。ただしモデル選択は不可 |
価格は改定が続いているため、最新値はMicrosoft 365 Copilotの公式価格ページで必ず確認してください。
統合②(Claude for Microsoft 365アドイン)
すべての有料Claudeプランで一般提供されており、無料プランは対象外です。目安は Pro 約$20/月(年払いで約$17/月)、Max 5x 約$100/月、Max 20x 約$200/月、Team 約$25/席/月、Enterpriseは個別見積です。日本円換算は為替で変動するため、USD表記を基準に見てください。プラン間の違いはClaudeの料金解説、他社との横並びは生成AI料金比較で整理しています。
地域・クラウド別の既定値マトリクス
Anthropicモデルの既定値は、テナントの地域とクラウド種別で大きく異なります。ここを取り違えると、グローバル企業では「日本本社はオン、EU子会社はオフ」という差に気づかないまま運用することになります。
環境 | Anthropicモデルの既定 | 管理者が必要な対応 |
|---|---|---|
日本を含む商用クラウドの大半 | 既定オン | 現状確認。必要なら無効化 |
EU / EFTA / 英国 | 既定オフ | 明示的なオプトインが必要。旧IP方式でオプトイン済みの組織も再オプトインが必要 |
2026年3月25日以降に作成されたEU/EFTA/UKテナント | 既定オン | メッセージセンターで自テナントの既定値を確認 |
GCC(非連邦顧客) | 既定オフ(2026年7月22日から任意設定で利用可) | 有効化するとFedRAMP境界外での処理になる旨の警告あり |
GCC(連邦顧客)/ GCC High / DoD / その他ソブリンクラウド | 利用不可 | 設定変更の必要なし |
加えて、Anthropicモデルはマイクロソフトのデータ境界(EU Data Boundary)の対象外で、国内処理のコミットメントも適用されません。EU/EFTA/UK向け設定は、上位の「AI providers operating as Microsoft subprocessors」がAll usersまたはSpecific users and groupsにスコープされている場合、グレーアウトして変更できなくなる点にも注意が必要です。
セキュリティとデータ処理で押さえる4点
1. AnthropicはMicrosoftのサブプロセッサとして動作する
「Preview models with Data Retention」ラベルが付くモデルを除き、Microsoft Product TermsとMicrosoft DPAが適用され、Enterprise Data Protectionの対象になります。Microsoft Customer Copyright Commitment(CCC)も、M365 CopilotおよびCopilot Studio内でのAnthropicモデル利用に適用されます。
2. プレビューモデルは契約の枠組みが違う
Claude Fable 5などデータ保持ラベル付きのプレビューモデルでは、Anthropicが独立したデータ処理者として振る舞い、Microsoft DPAの外側になります。Anthropicは入出力を最大30日保持し、利用ポリシー違反の疑いがある場合は入出力を最大2年、分類スコアを最大7年保持するとされています(明示的な許可なく学習には使用しないとされています)。既定オフで、管理者の明示的なオプトインが必須です。Coworkでは選択中にバナーが表示されます。本番業務での利用は推奨されていません。
3. 旧IP設定は2026年5月1日に廃止済み
Anthropic独立プロセッサ(IP)設定は廃止されました。サブプロセッサとしてAnthropicを有効化していない場合、Anthropicモデルと関連機能は利用できません。
4. データの所在
Anthropicモデルの処理はEUデータバウンダリの対象外です。顧客データ・患者データ・機微情報をCopilotに入力している組織では、情報セキュリティポリシーとの整合を法務・情報セキュリティ部門と確認しておく必要があります。Copilot周辺のエージェント機能まで含めたリスク整理はCopilot Coworkのファイル流出脆弱性の解説、統制基盤の設計はMicrosoft Agent 365の解説も参考になります。
IT管理者の確認チェックリスト

出典: Microsoft Learn
自社テナントの状態を把握するために確認すべきポイントを、操作パス付きで整理します。必要なロールはAI管理者(AI Administrator)またはグローバル管理者です。
# | 確認対象 | 場所 | 見るポイント |
|---|---|---|---|
1 | Anthropicのサブプロセッサ設定 | Microsoft 365 管理センター → Copilot → 設定 → すべて表示 → 「AI providers operating as Microsoft subprocessors」 | Anthropicが有効か。ユーザーまたはEntra IDセキュリティグループ単位でスコープされていないか |
2 | EU/EFTA/UK向け設定 | 同管理センター → 「Copilot in M365 apps with Anthropic models」 | 該当地域のテナントで既定オフのままになっていないか。サブプロセッサ設定のスコープによりグレーアウトしていないか |
3 | プレビューモデルの扱い | 同管理センターのモデル設定 | Fable 5などデータ保持ラベル付きモデルを有効化していないか |
4 | Copilot Studio / Power Platform | Power Platform管理センター(PPAC) | M365管理センターでの有効化に加え、PPAC側で「外部LLMの許可」設定が別途必要 |
5 | メッセージセンター | Microsoft 365 管理センター → 正常性 → メッセージセンター | MC1269241 / MC1296489など、自テナント宛の展開通知の内容と適用日 |
設定はプロバイダー単位で適用され、Microsoft 365 CopilotとCopilot Studioの両方に反映されます。Copilot上に構築したエージェントへの影響も含めて確認したい場合は、Microsoft 365 Copilotエージェントの解説も併せて確認してください。
なお、Copilot(Web/デスクトップ/モバイル)では、Claudeモデル使用中であることがUIインジケーターで表示されます。ExcelなどOfficeアプリ内の生成では表示されないため、ユーザー側から常にモデルを特定できるわけではありません。
統合①と統合②のどちらを選ぶか
投資判断としては、既に持っているライセンスから逆算するのが最短です。
現在の状況 | 現実的な選択 |
|---|---|
Microsoft 365 Copilotを既に全社展開している | 統合①で完結。追加費用なしでAnthropicモデルを使える |
Claudeの有料プランを既に契約していて、Copilotは未導入 | 統合②(アドイン)。Copilotライセンスは不要 |
どちらも未導入で、社内データ(SharePoint / Teams)との連携が主目的 | 統合①。Microsoft Graph経由の参照が効く |
どちらも未導入で、Officeファイル単体の作業品質を上げたい | 統合②。1人あたりのコストを抑えやすい |
両方を保有 | 用途で使い分け。社内データを跨ぐ作業は統合①、ファイル内での深い編集や提案の確認フローは統合② |
こんな企業・担当者におすすめ
- Microsoft 365 Copilotを既に展開しており、モデルの入れ替わりを把握したうえで社内ポリシーを更新したい情シス
- Excel分析やPowerPoint作成をSharePoint / Teamsのデータと組み合わせて効率化したい部門
- 提案→確認→承認のフローを重視し、Officeファイル内で完結する編集支援を求めるチーム(この場合は統合②)
- Copilotライセンスを持たず、Claude有料プランのライセンス費だけでOffice連携を始めたい中小規模の組織
おすすめしない・慎重に判断すべきケース
- GCC High / DoD / ソブリンクラウドを利用している組織(統合①は利用不可)
- 監査上「どのモデルが出力を生成したか」の記録が必須の業務(Officeアプリ内では特定できない)
- データの処理地を国内または特定リージョンに限定する必要がある組織(AnthropicモデルはEUデータバウンダリ対象外)
- 特定モデルの挙動に依存した業務プロセスを組んでいるチーム(既定モデルは四半期単位で入れ替わる前提で設計する必要がある)
- Claudeの無料プランのみを利用しているユーザー(統合②のアドインは利用不可)
Claude単体の全体像はClaudeとは、ChatGPTとの選び分けはClaude vs ChatGPT比較で整理しています。
よくある質問
Q. 2026年8月時点で、ExcelのCopilotはClaudeで動いていますか?
テナント設定としてAnthropicモデルは有効(商用クラウドでは既定オン)ですが、個々のプロンプトがどのモデルで処理されたかは表示されません。既定のAutoによる自動選択に加え、一部プロンプトはMicrosoft自社のMAIモデルへルーティングされていることが公表されています。「Claudeも使われうる状態」というのが正確な理解です。
Q. Anthropicモデルを使うと追加費用はかかりますか?
かかりません。Microsoft 365 Copilotのライセンスに包含されており、モデル別の課金はありません。Claude for Microsoft 365アドインを使う場合のみ、Claude側の有料プラン費用が別途必要です。
Q. Claude Opus 4.7はもう使えないのですか?
公式のリタイア告知は確認できていません。現行のモデルピッカーで確認できるのはSonnet 5 / Opus 4.8 / Opus 5、およびプレビューのFable 5です。組織のテナントで表示されるモデルは展開状況により異なるため、実際の画面で確認してください。
Q. 毎回Opus 5を使う設定にできますか?
現時点ではできません。モデル選択はそのセッションのみ有効で、アプリを閉じるとM365の既定モデルに戻ります。
Q. GPT-5.6が優先モデルになったら、Anthropicモデルの設定は無効化すべきですか?
無効化の必要はありません。優先モデルの指定とテナント側のAnthropic有効化は別のレイヤーの話で、Anthropicモデルを有効にしたままでもユーザーはモデルピッカーからClaudeを選べます。ただし、実処理でどちらが優先されるかについてのMicrosoftの明示的な説明は現時点で確認できていません。
Q. EU子会社のテナントでもClaudeが使えますか?
EU / EFTA / 英国のテナントは既定オフです。2026年3月25日以降に作成されたテナントは既定オンのケースがあるため、メッセージセンターで自テナントの既定値を確認してください。旧IP方式でオプトインしていた組織も、再オプトインが必要です。
Q. Claude Fable 5を有効にしても大丈夫ですか?
プレビューモデルであり、本番業務での利用は推奨されていません。Microsoft DPAの外でAnthropicが独立処理者として扱う形になり、入出力が最大30日(違反疑い時は最大2年、分類スコアは最大7年)保持されます。有効化は法務・情報セキュリティ部門の判断を経てから行うのが安全です。
Q. Copilot StudioでもAnthropicモデルを使えますか?
使えます。ただしMicrosoft 365 管理センターでの有効化に加え、Power Platform管理センター側で「外部LLMの許可」設定が別途必要です。
まとめ
- テナント設定としてのAnthropicモデルは、日本を含む商用クラウドで既定オンのまま。 ただし2026年5月時点の「Excel/PowerPointの既定モデルはClaude Opus 4.7」という状態からは、GPT-5.6の優先モデル化・MAI内製化・Opus 5追加という3つの変化を経ています。
- 「デフォルト」はテナント設定・アプリの生成モデル・ピッカー初期値の3層に分かれる。 現行のピッカー初期値はAutoで、実際に処理したモデルをOfficeアプリ内から特定することはできません。監査要件がある業務では、この点が制約になります。
- 2つの統合を混同しない。 Copilot内蔵のAnthropicモデルは追加費用なし・Microsoft側の管理、Claude for Microsoft 365アドインはClaude有料プラン前提・Anthropic側の管理です。必要なライセンスもデータ処理の主体も異なります。
管理者としてまずやるべきことは、Microsoft 365 管理センターで①サブプロセッサ設定②地域別設定③プレビューモデルの3点を確認し、四半期単位でモデル構成が変わる前提で社内のAI利用ルールを見直しておくことです。
情報ソース・参考リンク
- Microsoft Learn - Anthropic models in Microsoft Online Services(2026年7月22日更新)
- Microsoft Learn - Copilot in Microsoft 365 apps with Anthropic models(2026年6月23日更新)
- Microsoft Learn - Choose a model for Copilot Cowork(2026年7月17日更新)
- Microsoft Support - Choose your model when editing with Copilot in Excel
- Microsoft Learn - Release Notes for Microsoft 365 Copilot
- Microsoft 365 Copilot プランと価格(日本)
- Microsoft Community Hub - Available today: Anthropic Claude Opus 5 in Microsoft 365 Copilot
- Anthropic - Claude for Microsoft 365
- Claude Help Center - Work across Microsoft 365 apps
- TechCrunch - OpenAI says GPT-5.6 is the 'preferred model' for Microsoft Copilot
- Microsoft AI - Hill-climbing: MAI models for GitHub Copilot and Excel
この記事の著者

AI革命
編集部
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