AIツール2026年10月更新

Anthropic 金融サービス向けAIエージェント10本とは?Claude for Finance・Microsoft 365連携・Blackstone JV 15億ドルを完全ガイド【2026年10月最新】

公開日: 2026/05/06
更新日: 2026/10/19
Anthropic 金融サービス向けAIエージェント10本とは?Claude for Finance・Microsoft 365連携・Blackstone JV 15億ドルを完全ガイド【2026年10月最新】

この記事のポイント

Anthropicが2026年5月に公開した金融向けAIエージェント10本の中身、Microsoft 365連携、費用の内訳、Blackstoneらとの合弁「Ode with Anthropic」と報道された15億ドルの扱いを、2026年10月時点の公式情報で整理します。モデルの世代交代やClaude for Financial Advisorsの追加など、発表後に変わった点もまとめました。

Anthropicの「金融サービス向けAIエージェント10本」は、ピッチブック作成・決算レビュー・財務モデル構築・月次決算・KYCスクリーニングといった金融機関の定型業務を、Claude上ですぐ動かせるようにしたテンプレート集です。 2026年5月5日にニューヨークで発表され、同時にMicrosoft 365アドイン(Excel/PowerPoint/Word)の一般提供と新しいデータコネクタが公開されました。前日の5月4日には、Blackstone・Hellman & Friedman・Goldman Sachsと組む企業向けAIサービス会社の設立も発表されています。

テンプレート自体はGitHubでApache-2.0ライセンスとして無償公開されており、費用は「Claudeの利用料」と「データベンダーとの契約」で決まります。発表から5か月がたち、ベースモデルだったClaude Opus 4.7はレガシーモデルになりました。合弁会社は7月に「Ode with Anthropic」として始動し、9月にはウェルスマネジメント向けの「Claude for Financial Advisors」が加わっています。

この記事でわかること

  • 2026年10月時点で、発表から何が変わったか
  • 10本のエージェントの名前・役割・使う部署
  • 費用の内訳(Claudeのプラン料金、API・Managed Agentsの料金、データ契約)
  • Microsoft 365連携の現状(Excel・PowerPoint・WordはGA、Outlookはベータ)
  • Blackstoneらとの合弁「Ode with Anthropic」の実態と、「15億ドル」が報道ベースの数字である理由
  • ベンチマーク64.37%の読み方と、現行モデルでの数値
  • 規制業種が導入前に確認すべきセキュリティ・コンプライアンスの論点

こんな方に向けて書いています

  • 金融機関のIT・DX・コンプライアンス・リスク管理部門で、Claudeの金融向けエージェントを検討している方
  • 投資銀行・資産運用・PE・保険で、資料作成や照合業務の効率化を担当している方
  • AnthropicのWall Street向けの動き(10本のエージェント+M365+合弁会社)を1本で把握したい方

10本それぞれの使い方を詳しく知りたい場合は、Claudeの金融エージェント10種の解説もあわせて読むと理解が早くなります。

Anthropic 金融サービス向けAIエージェント10本の発表バナー

出典: Anthropic 公式ニュース「Agents for financial services」

2026年10月時点の最新状況:発表後に変わった6つのこと

2026年7月に始動した合弁会社「Ode with Anthropic」のロゴ

出典: Ode with Anthropic 公式プレスリリース

5月の発表内容をそのまま信じて導入計画を立てると、モデル名・合弁会社の名前・M365の提供状況でずれが出ます。2026年10月19日時点で公式に確認できた変化は次の6点です。

項目

2026年5月の発表時点

2026年10月時点

ベースモデル

Claude Opus 4.7 を前面に紹介

現行モデルは Claude Fable 5.1/Opus 5.5/Sonnet 5.5/Haiku 5.5。Opus 4.7 はレガシーモデル(利用は可能)

合弁会社

社名・経営陣は未公表

2026年7月15日に「Ode with Anthropic(Ode)」として始動。CEO・CTOも公表

ウェルス向け

なし

2026年9月14日に「Claude for Financial Advisors」を公開(コネクタ11・スキル8)

Claude Cowork

独立した製品として提供

「Claude Cowork is now just Claude」として Claude 本体に統合中(Pro/Max から順次)

Outlook

「近日提供」

アドインは提供開始済みだが、10月時点でもベータ

「15億ドル」

多くの記事が確定額として紹介

WSJの報道による数字。Anthropic・Blackstone・Odeの公式発表に出資額の記載はない

GitHubリポジトリ(anthropics/financial-services)のスター数は、10月19日時点で約4万に達しています。テンプレートは今も更新が続いているので、導入時は最新版を取り込むのが前提です。

3つの発表は「モデル → 製品 → 流通」の3階層で連動している

Anthropicの金融AI戦略を示すClaude Opus 4.7の発表イメージ

出典: Anthropic 公式「Introducing Claude Opus 4.7」

2026年4〜5月のAnthropicの動きは、別々の3つの発表ではなく「金融に強いモデル → 金融業務向けの製品 → 導入を支える会社」という一続きの戦略として読むと整理しやすくなります。

階層

発表時の内容

発表日

10月時点の状況

モデル層

Claude Opus 4.7(Vals AI Finance Agent で64.37%)

2026年4月16日

現行は Opus 5.5 などの5.x世代。Opus 4.7 はレガシー

製品層

金融エージェント10本/M365アドインGA/Moody's などのデータ連携

2026年5月5日

9月にウェルス向けの Financial Advisors が追加

流通層

Blackstone・H&F・Goldman Sachs との企業向けAIサービス会社

2026年5月4日

7月に「Ode with Anthropic」として始動

モデルを作り、業務テンプレートとOffice連携で製品にし、導入支援の会社で中堅企業の現場まで届ける、という流れです。合弁会社の詳しい構造はAnthropic・Blackstone・Goldman Sachs・H&FのAI合弁企業とは?で解説しています。

金融サービス向けAIエージェント10本の全体像

金融サービス向けAIエージェント10本の活用イメージ

10本は「リサーチ・顧客対応」の5本と「財務・オペレーション」の5本に分かれます。どれも完成品のソフトウェアではなく、各社の業務手順やリスク方針に合わせて書き換える前提のテンプレートです。

公式の説明では、各テンプレートは次の3つの部品でできています。

  • Skills:作業手順と業界知識(例:DCFの組み方、月次決算のチェック項目)
  • Connectors:権限を管理したうえでのデータ接続(FactSet、社内DWH、CRMなど)
  • Subagents:類似企業の選定や手法のチェックなど、一部の作業を受け持つ別のClaude

「Claude for Finance」は通称です。Anthropicが使っている名称は 「Claude for Financial Services」 で、2026年5月の発表記事のタイトルは「Agents for financial services」です。「Claude for Finance」という独立したプランや製品は、公式には確認できません。

A. リサーチ&クライアントカバレッジ系(5本)

M&Aアドバイザリー、株式調査、セールス、PEの投資チームなど、社外に出す資料や分析をつくる業務向けです。

#

エージェント名(GitHub上の名称)

主な機能

主な利用部署

1

Pitch Builder(Pitch Agent)

ターゲットリスト作成、類似企業比較(comps)・類似取引、LBO、ピッチブックの草案

IB(M&Aアドバイザリー)、PE投資チーム

2

Meeting Preparer(Meeting Prep Agent)

顧客・取引相手との面談前ブリーフの作成

RM、セールス

3

Earnings Reviewer

決算説明会の書き起こしや開示書類を読み、モデル更新が必要な箇所と論点の変化を指摘、ノートを下書き

株式調査アナリスト、バイサイドアナリスト

4

Model Builder

開示書類・データフィード・アナリストの入力から、DCF/LBO/3表モデル/compsをExcelで構築・保守

IBアソシエイト、PE投資チーム

5

Market Researcher

セクターや発行体の動向を追跡し、信用・リスクレビュー向けに注意点を挙げる

資産運用のリサーチ、ストラテジスト

B. ファイナンス&オペレーション系(5本)

経理・ファンドアドミン・コンプライアンス・KYCなど、社内のミドル/バックオフィス業務向けです。

#

エージェント名(GitHub上の名称)

主な機能

主な利用部署

6

Valuation Reviewer

バリュエーションを類似企業・手法・社内基準と照合。GPから届く資料の取り込みからLP報告の準備まで

バリュエーションチーム、PEのポートフォリオ管理

7

General Ledger Reconciler(GL Reconciler)

総勘定元帳の照合、NAV計算の突合、差異の原因を追って承認者へ回付

ファンドアドミン、経理

8

Month-End Closer

月次決算チェックリストの実行、未払計上などの仕訳案、ロールフォワード、差異コメント

経理、ファンドアドミン

9

Statement Auditor

LP向けステートメントなど財務諸表の整合性・網羅性・監査対応度をチェック

内部監査、CFO組織

10

KYC Screener

口座開設書類の解析、ルールエンジンの実行、不足書類の指摘、コンプライアンスへのエスカレーション資料作成

コンプライアンス、AML、オンボーディング

GitHubでは「Coverage & advisory」「Research & modeling」「Fund admin & ops」「Operations & onboarding」の4区分で整理されています。どの成果物も「人がレビュー・修正・承認してから顧客への提出や届出に使う」というのが公式の前提です。

出典: Anthropic公式「Agents for financial services」(2026年5月5日)、GitHub anthropics/financial-services

2026年9月追加:ウェルス向け「Claude for Financial Advisors」

ファイナンシャルアドバイザー向け「Claude for Financial Advisors」の公式発表イメージ

出典: Claude 公式ブログ「Claude for Financial Advisors」

2026年9月14日、独立系投資顧問(RIA)などのファイナンシャルアドバイザー向けに「Claude for Financial Advisors」が公開されました。 10本のエージェントが投資銀行・資産運用・ファンド管理向けだったのに対し、こちらは個人顧客を担当するアドバイザーの業務が対象です。

項目

内容(公式ブログより)

新しいコネクタ(11)

Addepar、BlackRock(Advisor Center)、Charles Schwab(Schwab Advisor Services)、Envestnet(Tamarac・MoneyGuide)、iCapital、Orion(+Redtail CRM)、SS&C Black Diamond、Wealthbox、Wealth.com、Vanguard、Zocks

スキル(8)

アドバイザーのオンボーディング、オルタナ投資のブリーフ、コンプライアンス・AIポリシー、相続・税務のブリーフ、リバランス確認、面談後メモとフォロー、面談前準備、見込み客の受付

コンプライアンス

顧客向けの文言を米SECの「Marketing Rule」に照らしてチェックするスキルを含む

推奨プラン

監査ログが記録保持に必要なため、RIAには Enterprise を推奨

人の承認

投資推奨・顧客連絡・コンプライアンス判断は人のレビューが前提。CRMの更新などは承認待ちとして保留される

価格は公式に記載がありません。また、米国のSEC規制を前提にした製品で、日本の金融商品取引業者向けの説明はありません。米国の業界メディアでは、アドバイザーのAI利用に関するデータガバナンスを論点に挙げる記事も出ています(Advisor Perspectives、2026年10月14日)。

出典: Claude for Financial Advisors(claude.com)

提供形態:プラグイン/Managed Agents/クックブック(Apache 2.0 OSS)

GitHubのanthropics/financial-servicesリポジトリ画面

出典: GitHub: anthropics/financial-services

テンプレートの動かし方は、担当者のPCで一緒に作業する「プラグイン」と、Anthropicの基盤上で自律的に動かす「Managed Agents」の2通りです。 コードはどちらもGitHubで公開されています。

提供形態

動く場所

向いている使い方

利用条件

プラグイン

Claude(旧Cowork)/Claude Code のデスクトップ環境

アナリストが内容を確認しながら一緒に作業する

Claudeの有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise)

Claude Managed Agents

Claude Platform(API)

複数案件の並行処理、夜間バッチ、定期実行

APIアカウント。ベータ提供

GitHubのソース

自社環境に取り込んで改変

社内手順・リスク方針に合わせた作り込み

Apache-2.0(無償)

Coworkは2026年9月ごろから、「Claude Cowork is now just Claude」として Claude 本体への統合が進んでいます(Pro/Max から順次)。製品名の変化はClaude Coworkとは、Managed Agentsの仕組みはClaude Managed Agentsとは?で解説しています。

GitHubリポジトリ「anthropics/financial-services」の実態

2026年10月19日時点のリポジトリの概要です。

項目

内容

ライセンス

Apache License 2.0

スター数/フォーク数

約4.0万/約5,700

エージェント

公式発表の10本(4区分で整理)

業種別プラグイン

financial-analysis(コア。comps・DCF・LBO・3表モデル・資料QC・Excel監査と11のデータコネクタ)、investment-banking、equity-research、private-equity、fund-admin、operations

パートナー製プラグイン

lseg、sp-global

その他

claude-for-financial-advisors(9月追加)、claude-for-msft-365-install(M365アドインの管理者向け導入ツール)

最初に入れるのはコアの financial-analysis で、そのうえに業種別プラグインやエージェントを重ねる構成です。

導入手順(Claude Code の場合)

GitHubのREADMEに記載されている手順は次のとおりです。

claude plugin marketplace add anthropics/financial-services
claude plugin install financial-analysis@claude-for-financial-services
claude plugin install pitch-agent@claude-for-financial-services
  • Claude(デスクトップ):設定 → プラグイン → プラグインを追加 から、リポジトリのURLを貼るか、plugins/ 配下をzipでアップロード
  • Managed Agents:ANTHROPIC_API_KEY を設定し、scripts/deploy-managed-agent.sh gl-reconciler のようにエージェント名を指定してデプロイ
  • FactSet・S&P Global・PitchBook などのコネクタは、各データベンダーとの契約とAPIキーが別途必要

Claude Code自体の使い方はClaude Codeとはを参照してください。

料金:テンプレートは無料、費用はClaudeの利用料とデータ契約

Claudeの料金プランページのロゴ画像

出典: Claude 公式「Plans & pricing」

10本のエージェントに追加料金はありません。 公式発表に価格の記載はなく、ソースはOSSとして公開されています。実際にかかるのは、Claudeのプラン料金かAPI料金、それにFactSetなどのデータベンダーとの契約費用です。

Claudeのプラン(2026年10月19日確認)

プラン

料金(USD)

金融エージェントで押さえる点

Free

$0

プラグインは使えない

Pro

月払い $20/年払いなら月 $17相当(年 $200)

プラグイン・Claude Code・M365アドインが使える。監査ログなし

Max

$100/月〜(Proの5倍・20倍の利用枠)

Proと同じく監査ログなし

Team

Standard:$20/席・月(年払い)、$25(月払い)
Premium:$100/席・月(年払い)、$125(月払い)
2〜150名

SSOあり。監査ログなし

Enterprise

$20/席・月(年払い・20席以上)+API料金での従量課金

監査ログ・SSO・管理機能あり。規制業種では実質これが前提

公式発表では「プラグインは全有料プランで動作する」「新しいコネクタと Moody's のMCPアプリは、両社の共通顧客が有料プランで使える」と説明されています。プラン全体の比較はClaudeの料金プランにまとめています。

API・Managed Agentsの料金

Managed Agentsで自動実行する場合は、トークン料金に加えてセッションの実行時間に課金されます。

課金項目

料金

セッション実行時間

$0.08/セッション時間(実行中の状態だけをミリ秒単位で計測。待機中は無料)

セッション内のWeb検索

$10/1,000回

米国内での推論に固定(inference_geo: "us")

トークン料金が1.1倍

現行モデルのトークン単価(100万トークンあたり)は次のとおりです。

モデル

入力

出力

位置づけ

Claude Fable 5.1

$10

$50

難度の高い推論、長時間のエージェント処理

Claude Opus 5.5

$4

$20

公式が最初の選択肢として推奨

Claude Sonnet 5.5

$2

$10

速度と性能のバランス

Claude Haiku 5.5

$0.10〜

$0.50〜

大量処理(10万トークン超は $0.50/$2.50)

Claude Opus 4.7(レガシー)

$5

$25

発表時に紹介されたモデル

Batch APIを使うと50%引きになります。料金は変わりやすいので、契約前に公式の料金ページで確認してください。

費用の見積もりで抜けやすい項目

  • データベンダー契約:FactSet、S&P Capital IQ、PitchBook などは、Claude側とは別に契約が必要
  • 監査ログの要件:記録保持が必要な業務では Enterprise が前提になり、席数の下限(20席)も費用に影響してくる
  • 社内向けの作り込み:テンプレートは英語・米国実務が前提なので、日本の開示書類や社内帳票に合わせる改修は自社で行う

ベースモデルとベンチマーク:Opus 4.7の64.37%と現行モデル

Vals AIのFinance AgentベンチマークにおけるClaude Opus 4.7のスコア画面

出典: Vals AI Claude Opus 4.7ページ

発表時に強調されたのは、Claude Opus 4.7 が Vals AI の「Finance Agent」ベンチマークで64.37%を記録し、当時トップだったという点です。 ただし、2026年10月時点で Opus 4.7 はレガシーモデルになっており、現行モデルでの評価は別のバージョンで行われています。

時点

モデル

ベンチマーク

スコア

2026年5月(発表時)

Claude Opus 4.7

Finance Agent(v1系)

64.37%(当時トップ)

2026年10月

Claude Opus 5.5

Finance Agent v2

58.59%(63モデル中8位)

2026年10月

Gemini 4 Argon

Finance Agent v2

65.40%(首位)

v1とv2は別の評価セットなので、64.37%から58.59%に「性能が下がった」と読むのは誤りです。 順位はモデルが追加されるたびに変わるため、「業界1位」のような表現は時点を切って読む必要があります。現行モデルの特徴はClaude Opus 5.5とは、発表時のモデルはClaude Opus 4.7とはで解説しています。

64.37%を「高い」と見るか「低い」と見るか

Finance Agentベンチマークは、開示書類の読解や財務分析といった金融アナリストの実務タスクを集めた評価セットです。64.37%は発表時点で最高の水準でしたが、裏返せば3割以上のタスクで誤りか不完全な回答が出ていたことになります。

実務への示唆は2つです。

  1. スコアだけで「人手が要らなくなる」と判断しない:公式も、顧客への提出や届出の前にユーザーがレビュー・修正・承認する設計にしています
  2. 誤りが致命的な業務(顧客への送付、規制当局への報告、取引)では、最後に人のチェックを必ず置く:社内の下書きや調査の時短には効果が大きい一方、対外的な成果物の自動承認はまだ早い段階です

AIG 88%との違いに注意:測定対象が根本的に異なる

発表イベントでは、AIGのCEOが「保険金請求の業務で、人間の専門家と比べて88%の精度」と述べたことが報じられました(Fortune)。この88%は保険金請求という特定業務での社内評価で、Vals AIのベンチマークとはまったく別の指標です。

指標

Vals AI Finance Agent

AIG 88%

測定対象

金融アナリスト業務のタスク群(汎用)

保険金請求の業務(特定業務)

評価方法

第三者機関による標準化ベンチマーク

AIGの社内評価(イベントでの発言)

読み方

モデル同士の比較に使う

業務を絞り込んで作り込んだ場合の一例

AIGの数字は測定方法や条件が公開されていません。自社の業務で使えるかどうかは、自社データでの検証が欠かせません。

Microsoft 365連携:「アドイン」と「Connector」を混同しない

Claude for Microsoft 365のExcel・PowerPoint・Word連携イメージ

出典: Claude for Microsoft 365

金融の現場への影響が大きいのはMicrosoft 365連携です。Excel・PowerPoint・Wordのアドインは一般提供(GA)、Outlookのアドインは2026年10月時点でもベータです。 なお、Officeアプリの中でClaudeを動かす「アドイン」と、Claudeの画面から社内のMicrosoft 365データを参照する「コネクタ」は別の機能です。権限設計も導入の手順も違うので、分けて検討してください。

比較ポイント

アドイン

コネクタ

動く場所

Excel/PowerPoint/Word/Outlook の中

Claude のチャット・デスクトップ画面

主な役割

ブック・スライド・文書の作成と編集、メール対応の補助

社内のメールやドキュメントを探して回答に使う

導入

管理者による展開(claude-for-msft-365-install などの導入ツールあり)

組織管理者による接続の承認

コネクタの対応プランや書き込みの可否は更新が続いているため、導入前に公式ヘルプで最新の仕様を確認してください。

Microsoft 365アドイン(Excel・PowerPoint・WordはGA)

アプリ

状態(2026年10月19日)

できること

Excel

GA

財務モデルの構築、リンクされたブックをまたいだ数式の監査、感応度分析

PowerPoint

GA

元の数値が変わると更新される資料の草案

Word

GA

社内テンプレートに沿った与信メモ(クレジットメモ)の編集

Outlook

ベータ(Pro/Max/Team/Enterprise)

受信トレイの仕分け、返信の下書き、引用付きのスレッド要約、.docx/.xlsx 添付の読み込み、日程調整、会議ブリーフ

4つのアプリの間で文脈が共有されるため、Excelで作ったモデルの前提をPowerPointの作業で説明し直す必要がありません。発表イベントでは、JPMorganChaseのJamie Dimon CEOが「Claude Codeを使って約20分でダッシュボードを作った」と話したことも報じられています(Fortune)。

Wordでの使い方はClaude for Wordとはで詳しく解説しています。

Outlookアドインの設計と注意点

公式ドキュメント(Use Claude for Outlook)によると、Outlookアドインは次のように設計されています。

  • メールを自動送信しない:返信案は下書きフォルダに置くだけで、送信権限(Mail.Send)を要求しない
  • Microsoft Graphのトークンはブラウザ内に留まり、Anthropicには送られない
  • 会話履歴はブラウザ内(IndexedDB)に保存。Anthropic側のOutlookデータは原則30日以内に削除
  • PDF添付はそのままでは読み込めない。iOS/Android版、オンプレミスのExchange、Outlook 2016/2019の買い切り版には非対応
  • Enterpriseの監査ログの対象外(Compliance APIではベータで対象)

公式は、外部から届くメールの本文・署名・添付に隠れた指示(プロンプトインジェクション)に注意を促しています。ベータの間は「規制対象のデータを含むメールボックスでは、適切な組織的統制なしに使わないこと」「顧客や取引相手宛ての文面は必ず読んでから送ること」とも明記されています。

Bedrock、Vertex AI、Azure AI Foundry、社内のLLMゲートウェイ経由でも使えるため、Claudeのアカウントを社員に配らない構成も取れます。

Dispatch(タスクの受け渡し)

公式発表では、テキストや音声でClaudeにタスクを渡し、後から成果物を確認できる「Dispatch」にも触れています。移動中に作業を依頼しておき、席に戻ってからレビューする使い方を想定した機能です。

Microsoft側のエージェント(M365 Copilot)と比べる場合は、M365 Copilotのエージェントとはも参考になります。

データパートナー:新規8社とMoody'sのMCPアプリ

Moody'sを含む金融データパートナーとの連携イメージ

エージェントの精度は、つながるデータの質で決まります。 5月の発表では、既存の連携先に8社が加わり、Moody'sがMCPアプリとして参加しました。

新規追加(2026年5月5日)の8社

  • Dun & Bradstreet:企業ID・取引関係のデータ
  • Fiscal AI:上場企業の財務データ
  • Financial Modeling Prep:相場・ファンダメンタルデータ
  • Guidepoint:専門家インタビュー
  • IBISWorld:業界別の財務指標・リスクデータ
  • SS&C Intralinks(DealCenter AI):M&Aのデータルーム
  • Third Bridge:専門家インタビュー
  • Verisk:保険の引受・保険金請求・リスク分析データ

特別パートナー:Moody's(MCPアプリとして統合)

Moody'sはMCPアプリとして提供され、上場・非上場あわせて6億社超の信用格付けや企業データをClaudeから呼び出せます。KYC ScreenerやMarket Researcherで、取引先の信用状況を確認する場面での活用が想定されています。

既存パートナー(継続利用可能)

FactSet、S&P Capital IQ、MSCI、PitchBook、Morningstar、Chronograph、LSEG、Daloopa に加え、社内のDWH・リサーチ保管庫・CRMにも接続できます。10月時点の公式ソリューションページには、Box、Databricks、Snowflakeも並んでいます。

日本のデータソースは自社でつなぐ必要がある

公式のコネクタ一覧には、EDINETなど日本の開示データや国内のデータベンダーは含まれていません。日本株や国内企業の分析に使うなら、MCPコネクタを自社で用意する作業が必要になります。

FISのAML活用

発表に寄せた顧客コメントの中で、FISはAML(マネーロンダリング対策)の調査業務へのClaude活用に触れています。KYC Screenerと並び、金融犯罪対策も想定される用途の1つです。

Blackstone × H&F × Goldman Sachsの合弁「Ode with Anthropic」と15億ドルの中身

Anthropic・Blackstone・Hellman & Friedman・Goldman Sachsの合弁企業の構造図

出典: Anthropic 公式ニュース「Building a new enterprise AI services company」

2026年5月4日に発表された企業向けAIサービス会社は、7月15日に「Ode with Anthropic(Ode)」として正式に始動しました。 地域銀行や中堅の製造業・医療機関といった中堅企業が、Claudeを中核業務に組み込むのを支援する会社です。

公式に確認できる事実

項目

内容

発表

2026年5月4日(Anthropic、Blackstone、Hellman & Friedman、Goldman Sachs)

正式な始動

2026年7月15日、社名「Ode with Anthropic」

創業パートナー

Anthropic、Blackstone、Hellman & Friedman

出資コンソーシアム

Goldman Sachs、General Atlantic、Leonard Green & Partners、Apollo、GIC、Sequoia Capital

経営陣

CEO Chris Taylor、CTO Eddie Siegel(ともに、Odeの母体として買収された Fractional AI の共同創業者)

対象業種

金融、ヘルスケア、小売、製造、ソフトウェア

支援体制

AnthropicのApplied AIエンジニアがOdeのチームと協働。Claude Partner Network に参加

AnthropicのCFO、Krishna Rao氏は「Claudeへの企業の需要は、単一の提供モデルで応えられる規模を大きく上回っている」とコメントしています。

「15億ドル」は報道ベースの数字

出資者

報道された出資額

Anthropic

約3億ドル

Blackstone

約3億ドル

Hellman & Friedman

約3億ドル

Goldman Sachs

約1.5億ドル

合計(コンソーシアム含む)

約15億ドル

この金額はWSJの報道によるもので、Anthropic・Blackstone・Odeの公式発表には出資額の記載がありません。 Fortune や CNBC も「WSJの報道で、Anthropicは確認していない」と書いています。従業員数(約100名で始動)も一部メディアの報道に限られます。

なお、2026年10月にはFTが「AnthropicがBlackstoneに劣後債での資金調達を打診した」と報じましたが、これはOdeとは別の取引です。

Odeのビジネスモデル

TechCrunchは、Odeの狙いを「次の巨大なAIビジネスはモデルではなく導入(実装)だ」という賭けとして紹介しています。ソフトウェアを売るだけでなく、エンジニアが顧客企業に入り込んで業務への組み込みまで担う、サービス型の事業です。報道では、出資するPEファームの投資先企業が最初の顧客になる見込みとされています。

合弁の詳しい構造と日本企業への影響は、Anthropic・Blackstone・Goldman Sachs・H&FのAI合弁企業とは?で解説しています。

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既にClaude / 金融エージェントを採用している金融機関

大手金融機関によるClaude採用のイメージ

5月の発表イベントでは、AnthropicのDario Amodei CEOとJPMorganChaseのJamie Dimon CEOが初めて同じ場に登壇しました(Fortune)。 公式発表と公式ソリューションページ、主要メディアの報道で名前が確認できる金融機関は次のとおりです。

区分

機関名

情報源と内容

公式発表にコメントを寄せた企業

Citadel、FIS、BNY、Carlyle、みずほ(Mizuho)、Travelers、Walleye、Hg、Dun & Bradstreet、Morningstar、FactSet

2026年5月5日の公式発表

公式ソリューションページ(10月)に掲載

Coinbase、LSEG、Balyasny、IMC、Rogo、Citi、RBC Capital Markets、Moody's、Brex、Block、Barclays

claude.com の金融ソリューションページ

本番利用が報じられた企業

JPMorganChase、Goldman Sachs、Citi、AIG、Visa

Fortune(2026年5月5日)

保険の事例

AIG

保険金請求で人間の専門家比88%の精度(CEOの発言)

共同登壇やコメントは事実ですが、JPMorganChaseなどが組織全体でどこまで使っているかは公表されていません。名前が出ていることと、全社で導入していることは分けて読む必要があります。

日本国内の関連動向

国内の銀行の動きは銀行のAI活用事例、金融業界全体は金融業界のAI活用事例ガイドで整理しています。

セキュリティ・コンプライアンス要件

金融機関向けAIのセキュリティ・コンプライアンス体制のイメージ

規制業種では、「どのプランなら監査ログが残るか」「データがどこに保存されるか」「誰が最後に承認するか」の3点から確認を始めるのが近道です。

認証とデータの扱い

項目

内容

第三者認証

SOC 2 Type I/II、ISO 27001:2022、ISO/IEC 42001:2023(詳細は Anthropic Trust Center)

学習への利用

Team/Enterprise は、既定で顧客データを学習に使わない

監査ログ

Enterprise のみ。Pro/Max/Team には監査ログのエクスポートがない

データの所在

APIでは inference_geo: "us" で推論を米国内に固定できる(料金1.1倍)

規制業種向けのチェック表

確認項目

現時点の状況

対応の目安

監査ログ

Enterprise のみ。Outlookアドインは監査ログの対象外

記録保持が必要な部署は Enterprise で運用する

ゼロデータ保持(ZDR)・HIPAA BAA

Managed Agents は対象外(セッション履歴をサーバー側で保持するため)

機微データを扱う処理はプラグインやAPIの通常構成で行う

ベータ機能

Managed Agents と Outlookアドインはベータ

本番業務への組み込みは、GA後かリスク評価を済ませてから

プロンプトインジェクション

外部メールや添付の隠れた指示に公式が注意を促している

外部文書を読む処理では、送信・更新の前に人の確認を挟む

人の承認

公式は「提出・届出・実行の前にユーザーが承認する」設計

承認者と承認のタイミングを業務フローに書き込む

日本の規制

日本の金融規制への対応は公式に説明がない

金融庁のガイドラインや社内規程との照合は自社で行う

Claude Managed Agentsのセキュリティ設計

公式発表では、Managed Agentsに次の機能があると説明されています。

  • ツール単位の権限設定:エージェントごとに使えるツールを絞る
  • 認証情報の保管庫:外部APIへの接続に使う資格情報を管理する
  • 監査ログ:Claude Consoleで、すべてのツール呼び出しと判断の記録を確認できる

米国では、SECが投資顧問会社の従業員によるAIツール利用の監督状況を調べていると報じられています(Kitces)。Claude全体のセキュリティ機能はClaude Securityとはも参考になります。

OpenAIの法人向け合弁との違い

2026年5月上旬は、OpenAIも法人向けの導入支援に関する発表が相次ぎ、Anthropicと同じ時期にWall Streetへの進出が話題になりました。両社の合弁の違いはAnthropic vs OpenAIの法人向け合弁比較、ChatGPT側の金融向けの取り組みはChatGPTの金融サービス向け機能で詳しく扱っています。

金融向けの取り組みで見たAnthropic側の特徴は3つです。

  • 業務テンプレートをOSSで公開している:10本のエージェントと業種別プラグインをApache-2.0で公開し、各社が手順を書き換えられる
  • Officeアプリの中で動く:Excel・PowerPoint・Wordのアドインが一般提供済み
  • 導入支援の会社を別に立てた:Odeが中堅企業への組み込みを担当する

金融プレイヤー別活用マップ:どのエージェントから使うべきか

10本をまとめて入れる必要はありません。業態ごとに、効果が見えやすい1〜2本から始めるのが現実的です。

業態

優先して試すエージェント

想定効果

投資銀行(IB/M&Aアドバイザリー)

Pitch Builder/Earnings Reviewer/Model Builder

ピッチブック作成・決算の読み込み・財務モデル構築の時間短縮

資産運用

Market Researcher/Valuation Reviewer/Earnings Reviewer

セクターリサーチの集約、評価額の照合

PE(プライベートエクイティ)

Pitch Builder/Model Builder/Valuation Reviewer/GL Reconciler

投資検討から保有後のNAV計算まで一続きで支援

保険

KYC Screener/Statement Auditor/Valuation Reviewer

引受・コンプライアンス・財務レビュー

リテール/コーポレート銀行

KYC Screener/Month-End Closer/GL Reconciler

口座開設審査と決算業務の効率化

ヘッジファンド

Market Researcher/Earnings Reviewer/Model Builder

リサーチからモデル更新までの高速化

ファンドアドミン/カストディ

GL Reconciler/Month-End Closer/Statement Auditor

NAV計算・月次決算の自動化

ウェルスマネジメント(RIAなど)

Claude for Financial Advisors

面談準備、面談後メモ、リバランス確認

導入順序の考え方

  1. 試行(PoC):自部門の業務に合う1〜2本を選び、限られた部署・業務で試す。プラグインなら有料プランの範囲で始められる
  2. 運用の標準化:M365アドインを使い、Excel・Wordの社内テンプレートとつなぐ。Skills を社内の手順書に合わせて書き換える
  3. 全社展開:Enterprise で監査ログとSSOを整え、定型処理は Managed Agents で自動実行する

エージェントを試すだけなら有料プランとプラグインで足りますが、自社の業務で動かすなら、誰が承認するか、異常時にどう止めるか、失敗した処理をどう再実行するかまで作り込む必要があります。その範囲はAIエージェントの本番導入で追加する開発範囲で整理しています。

AIエージェントの基本についてはAIエージェントとは?、業種別に用意されているClaudeの例についてはClaude for Legalとはも参考になります。

制約・注意点:規制業界での運用ガイダンス

最大の制約は、成果物があくまで下書きで、最終判断と実行は人が担う設計になっていることです。 規制業種で特に押さえておきたい点をまとめます。

1. 人のレビューが前提

公式は「顧客への提出、届出、実行の前に、ユーザーがレビュー・修正・承認する」と説明しています。売買の執行や総勘定元帳への書き込みのように、結果がそのまま確定する操作は、人の承認を挟む前提で業務フローを組むのが安全です。

2. ベンチマークの高さは「完全」を意味しない

発表時のスコアでも3割以上のタスクで誤りや不完全な回答がありました。金額の確定、規制当局への提出、対外的な公表など誤りの影響が大きい業務では、最終承認を人が握る運用が前提です。

3. ベータの機能が残っている

Managed Agents と Outlookアドインは2026年10月時点でもベータで、正式版の時期は発表されていません。Managed Agents はZDRとHIPAA BAAの対象外です。

4. 英語・米国実務が前提

テンプレートは米国の会計慣行やSEC規制、米国のデータベンダーを前提に作られています。Claude自体は日本語で使えますが、日本の開示書類・会計基準・帳票に合わせた手順の書き換えと、国内データとの連携は自社の作業になります。

5. データ契約は別に必要

FactSet、S&P Global、PitchBook などのコネクタは、各社との契約とAPIキーがないと動きません。Moody's のMCPアプリなどを日本の拠点で契約できるかは、各ベンダーへの確認が必要です。

6. 合弁会社(Ode)の日本展開は未発表

Odeの対象は主に米国の中堅企業で、日本での展開は公式に発表されていません。

Anthropic Claude for Financial Servicesの進化タイムライン

日付

内容

2025年7月15日

Claude for Financial Services を初めて発表

2025年10月

Excelアドイン、Agent Skills、データコネクタを追加(Advancing Claude for Financial Services)

2026年4月

Claude Managed Agents をベータで提供開始

2026年4月16日

Claude Opus 4.7 を公開

2026年5月4日

Blackstone・H&F・Goldman Sachs と企業向けAIサービス会社の設立を発表

2026年5月5日

ニューヨークのイベントで金融エージェント10本、M365アドインのGA(Excel/PowerPoint/Word)、新しいコネクタ8社と Moody's のMCPアプリを発表

2026年5月

合弁会社の母体となる Fractional AI を買収

2026年7月15日

合弁会社が「Ode with Anthropic」として始動

2026年9月14日

Claude for Financial Advisors を公開

2026年9月

「Claude Cowork is now just Claude」として Cowork を Claude 本体に統合開始(Pro/Max から順次)

2026年9〜10月

現行モデルが Fable 5.1/Opus 5.5/Sonnet 5.5/Haiku 5.5 になり、Opus 4.7 はレガシーモデルに

2026年10月

Outlookアドインはベータのまま

こんな金融機関・部門におすすめ

次の条件に当てはまるほど、導入の効果が出やすくなります。

  • すでにClaudeの有料プランを契約している:プラグインを追加するだけで、費用を増やさずに試せる
  • Microsoft 365が全社の標準で、Excel・PowerPoint・Wordが業務の中心:GAになったアドインをそのまま使える
  • FactSet、S&P Capital IQ、PitchBook、Moody's などと契約済み:コネクタでそのまま接続できる
  • 米国拠点や米国市場向けの業務がある:テンプレートの前提(米国の会計・規制・データ)と業務が一致している
  • KYC・月次決算・照合などの業務量が多い:KYC Screener、Month-End Closer、GL Reconciler の効果が大きい
  • 社内にエンジニアがいて、手順を自社向けに書き換えられる:Apache-2.0のソースを改変してPoCを進められる

こんな場合はおすすめしない

次のケースでは、導入前に慎重な検討が必要です。

  • 規制当局への提出や顧客への送付を全自動にしたい:公式の設計が人の承認を前提にしている
  • 監査ログが必要なのに、Enterprise を契約できない:Pro/Max/Team には監査ログのエクスポートがない
  • 日本国内のデータと日本の開示書類が業務の中心:国内データのコネクタがなく、手順の書き換えも必要になる
  • ZDRやHIPAA BAAが契約上の必須条件:Managed Agents は対象外
  • Microsoft 365を使っていない(Google Workspace中心など):アドインの効果が限られる
  • 社内に作り込める人がいない中小の金融機関:Odeの日本展開は未発表のため、国内のパートナー企業経由で進めるのが現実的

よくある質問(FAQ)

Q1. 「Claude for Finance」という独立したプランや製品はありますか?

ありません。Anthropicが使っている名称は「Claude for Financial Services」です。10本のエージェントは、Claudeの有料プランで使うプラグインや、API上で動かす Managed Agents として提供されています。金融向けの専用プランを別に契約する仕組みではありません。

Q2. 10本のエージェントを使うのに追加料金はかかりますか?

エージェント自体は無料です。かかるのは、Claudeのプラン料金(Pro は月払いで $20〜)またはAPI料金、それにデータベンダーとの契約です。Managed Agentsで動かす場合は、トークン料金に加えてセッション時間あたり $0.08 がかかります。

Q3. Microsoft 365アドインとMicrosoft 365のコネクタは何が違いますか?

アドインはExcelなどのOfficeアプリの中でClaudeを動かし、ブックや資料を作成・編集する機能です。コネクタはClaudeの画面から社内のメールやドキュメントを探して回答に使う機能です。導入の手順と権限の設計が違うため、別々に検討する必要があります。

Q4. 発表時のOpus 4.7は今も使えますか?

レガシーモデルとして引き続き使えます(API料金は入力 $5、出力 $25/100万トークン)。新しく導入する場合は、公式が最初の選択肢として推奨している Opus 5.5 などの現行モデルで評価するのが一般的です。

Q5. 合弁会社(Ode)には誰が依頼できますか?

対象は金融・ヘルスケア・小売・製造・ソフトウェアなどの中堅企業です。報道では、出資するPEファームの投資先企業が最初の顧客になる見込みとされています。日本での展開は2026年10月時点で発表されていません。

Q6. 日本の金融機関でも使えますか?

プラグインとM365アドインは日本からも使え、みずほは発表時の顧客コメントに名前が挙がっています。ただし、テンプレートは英語・米国実務が前提で、日本の開示データのコネクタもありません。Claude for Financial Advisors は米国のSEC規制を前提にした製品です。

Q7. 既存のFactSetやS&P Capital IQの契約はそのまま使えますか?

使えます。FactSet、S&P Capital IQ、MSCI、PitchBook、Morningstar、Chronograph、LSEG、Daloopa は既存の連携先です。ただし、コネクタを動かすには各社との契約とAPIキーが必要です。

Q8. GitHubのコードを使えば無料で実装できますか?

コードはApache-2.0で無償公開されていますが、動かすにはClaudeの有料プランかAPIの利用料がかかります。社内データとの連携や、日本の業務に合わせた手順の書き換え、コンプライアンス対応にも工数が必要です。

Q9. Claude for Financial Advisorsの料金はいくらですか?

公式には価格が記載されていません。RIAには監査ログのある Enterprise が推奨されており、Enterprise 以外のプランではフォームからライセンスを申請する形になっています。

まとめ

Anthropicの金融サービス向けエージェント10本は、投資銀行・資産運用・ファンド管理・保険の定型業務を、Claude上ですぐ試せるテンプレート集です。2026年10月時点のポイントは次のとおりです。

  • 10本のエージェント:リサーチ・顧客対応の5本(Pitch Builder など)と、財務・オペレーションの5本(GL Reconciler、KYC Screener など)。GitHubでApache-2.0として公開されている
  • 費用:テンプレートは無料。Claudeのプラン料金かAPI料金と、データベンダーの契約で決まる。Managed Agents はセッション時間あたり $0.08
  • モデル:発表時の Opus 4.7 はレガシーになり、現行は Opus 5.5 など。ベンチマークは v1 と v2 で数値を直接比べられない
  • Microsoft 365:Excel・PowerPoint・WordはGA、Outlookはベータ。Outlookは自動送信しない設計
  • 合弁会社:2026年7月に「Ode with Anthropic」として始動。「15億ドル」はWSJの報道で、公式には出資額が公表されていない
  • 9月の追加:ウェルス向けの Claude for Financial Advisors(米国の規制が前提)
  • 注意点:成果物は下書きで、人の承認が前提。Managed Agents はベータでZDR・BAAの対象外。日本の業務に使うには手順の書き換えと国内データの連携が必要

最初は、自部門に合う1〜2本をプラグインで試して効果を測り、効果が確認できたら Enterprise で監査ログを整えたうえで定型処理の自動化に進む、という順番が無理のない進め方です。

関連記事として、Claude全体の機能はClaudeとは?、料金はClaudeの料金プラン、10本の使い方はClaudeの金融エージェント10種の解説、合弁会社の全体像はAnthropic・Blackstone・Goldman Sachs・H&FのAI合弁企業とは?もあわせてご覧ください。


参考情報(公式・主要メディア)

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この記事の著者

AI革命

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編集部

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