AI活用事例2026年10月更新

福祉・NPO・非営利組織のAI活用事例|申請支援・多言語対応・業務自動化AI徹底解説【2026年最新】

公開日: 2026/05/08
更新日: 2026/10/31
福祉・NPO・非営利組織のAI活用事例|申請支援・多言語対応・業務自動化AI徹底解説【2026年最新】

この記事のポイント

福祉・NPOのAI活用を「申請支援」「多言語対応」「業務自動化」の3本柱で整理。Claude・OpenAI・Google・Microsoftの非営利割引(2026年10月時点)、山形市・千葉県・茨城県の福祉相談AI、団体の種類ごとに使える補助金、要配慮個人情報の扱い方まで解説します。

福祉・NPO・非営利組織のAI活用は、現時点では「申請支援AI」「多言語対応AI」「業務自動化AI」の3本柱で進んでいます。Claude・OpenAI・Google・Microsoftの4社が非営利団体向けの割引や無償枠を用意しており、山形市・千葉県・茨城県などでは生成AIを使った福祉相談の運用も続いています。

この記事は、社会福祉法人・障害福祉や介護の事業所・NPO/NGO・社会福祉協議会・地域包括支援センター・自治体の福祉部署で、AI導入を任された管理職、事務局長、IT担当者に向けて書いています。業務別の使い方、代表ツール、費用、補助金、個人情報の注意点を2026年10月時点の公式情報で整理しました。

この記事でわかること

  • 福祉・NPOでAIが役立つ業務と、3本柱の全体像
  • 業務別のAI活用事例(助成金申請、個別支援計画、議事録、相談ボット、多言語窓口など)
  • 非営利向けAIプログラム4社の料金と、割引の対象外になる条件(2026年10月時点)
  • 自治体の福祉相談AIの最新状況(山形市・千葉県・八王子市・茨城県ほか)
  • 団体の種類ごとに使える補助金(介護テクノロジー導入支援事業/デジタル化・AI導入補助金)
  • 要配慮個人情報の扱いと、AIに任せてはいけない判断
  • 無料・低コストで始める3ステップ

1. なぜ今、福祉・NPOにAI活用が必要なのか

福祉・NPOでAI活用が進んでいる理由は、人手不足、書類業務の多さ、多言語対応の必要性という3つの負担が同時に重くなっているためです。AIで書類や問い合わせ対応の負担を下げ、人による支援に時間を回すことが目的になります。

1-1. 介護・福祉人材の慢性的不足

厚生労働省の推計では、2040年度に約272万人の介護職員が必要とされ、今のペースでは数十万人規模の不足が見込まれています。社会福祉協議会・NPO法人・地域包括支援センターも、予算の制約から十分な人手を確保できない状況が続いています。国は介護テクノロジー(ICT・介護ロボット)の導入を補助事業で後押ししており、令和8年度(2026年度)も事業が続いています。

1-2. 定型業務の比重が大きい

福祉現場では、次のような書類・事務に多くの時間を取られています。

  • 助成金・補助金の募集要項のリサーチと申請書の作成
  • 支援記録・ケアプラン・個別支援計画・モニタリングシートの記入
  • 行政への報告書・実績報告・指定申請の更新書類
  • シフト表・送迎ルート・連絡帳の作成
  • 利用者・家族・関係機関との会議録や面談記録

どれも書式がある程度決まっているため、生成AIによる下書き・要約・チェックの効果が出やすい業務です。

1-3. 多言語・多様性ニーズの拡大

出入国在留管理庁の発表(2026年10月の報道)によると、2026年6月末の在留外国人は428万1,026人で過去最多を更新しました。2025年末の約412万人から半年で約15.5万人増えています。福祉・生活困窮・子育ての相談窓口でも、多言語対応とやさしい日本語での説明が欠かせなくなっています。

1-4. 24時間・匿名相談ニーズへの対応

孤独・孤立、生活困窮、メンタルヘルスの相談は時間帯を選ばず発生しますが、有人窓口の人員には限りがあります。夜間や休日はAIが一次対応し、必要に応じて専門スタッフにつなぐ相談窓口が、自治体を中心に広がっています。

一般的には、「人がやらなくてもよい仕事」をAIに任せ、「人にしかできない支援」に職員の時間を回すのが、福祉・NPOにおけるAI活用の基本的な考え方です。

介護分野の見守り・ロボット導入は介護のAI活用事例、相談窓口を運営する自治体側の取り組みは官公庁・自治体のAI活用事例で詳しく扱っています。生成AIそのものの仕組みから知りたい方は生成AIとはが入口になります。

2. 福祉・NPOのAI活用領域マップ(3本柱)

福祉・NPOで使われるAIは「申請支援」「多言語対応」「業務自動化」の3つに分けると、自団体の課題とどのツールが対応するかが見えやすくなります。

領域

主な目的

代表的な活用例

主要ツール例

申請支援AI

助成金・行政書類・支援記録の作成負担を下げる

助成金リサーチ、申請書の下書き、支援記録、ケアプラン、個別支援計画

ChatGPT / Claude / Gemini、NotebookLM、障害福祉・介護向けの記録・計画作成ソフト

多言語対応AI

在留外国人への説明、やさしい日本語での発信

窓口の音声翻訳、多言語でのSNS発信、ホームページのやさしい日本語化

VoiceBiz、KOTOBAL、ランゲージワン、伝えるウェブ

業務自動化AI

定型業務の時間を減らし、支援業務に人を回す

議事録、相談ボット、シフト、見守り、送迎、寄付者管理

NotebookLM、自治体の福祉相談AI、シフト作成・送迎・見守りの専用ツール、Claudeの寄付者管理連携

3本柱のどれから始めるかは、団体の業務で「いちばん時間を取られている書類・対応」を基準に選ぶのが現実的です。

3. 申請支援AI:助成金・支援記録・ケアプラン

申請支援AIの役割は、職員が書式に沿って書いていた長い文書の下書きをAIが作ることです。最終的な判断と責任は有資格者や担当職員が負いますが、白紙から書く負担は大きく減らせます。

3-1. 助成金リサーチ・申請書の下書き

ChatGPT・Claude・Geminiに団体のミッション、活動内容、支援対象者を伝えると、申請書の章立て案や事業計画の下書きを作れます。出典を示しながら回答する検索型のAIを使えば、助成元の候補探しにも役立ちます。

精度を上げるコツは、自団体の資料だけを根拠に答えさせることです。GoogleのNotebookLMに定款・事業報告書・過去の申請書・募集要項を読み込ませると、回答の根拠がそれらの資料に限られるため、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を減らしやすくなります。

締切・上限額・対象団体の要件などの数字は、AIの出力ではなく必ず助成元の募集ページで確認してください。また、助成財団によっては申請書への生成AIの利用にルールを設けていることがあります。募集要項に記載があれば、そちらに従ってください。

3-2. 支援記録・個別支援計画・ケアプランの下書き

障害福祉や介護の事業所では、面談や会話の記録から支援記録・計画書の下書きを作るツールが増えています。現時点で確認できた例は次のとおりです。

ツール

提供元

主な機能

AURA

株式会社Jin

障害福祉向け。個別支援計画などの作成を支援

Maa2

株式会社OTis

障害福祉向け。支援記録・計画作成の効率化

かんたん支援記録カンタン支援計画

—

ChatGPTのAPIで支援記録を要約し、個別支援計画の作成を支援

介護ソフトのAIケアプラン機能

各介護ソフト会社

ケアプランの文例作成、サービス担当者会議の議事録の下書きなど

どのツールも、会話や記録をテキストにまとめ、決められた書式に当てはめる仕組みが中心です。機能や料金は改定が多いため、導入前に各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。

現場の事例としては、新潟県で放課後等デイサービス・児童発達支援の9施設を運営する事業者が、生成AIで個別支援計画のたたき台を作るようにしたところ、新人の児童発達支援管理責任者の作成時間が最大4時間から約2時間に短縮したとプレスリリースで公表しています。

介護分野では、厚生労働省の検討会の中間とりまとめ(2025年4月)で、計画書やサービス担当者会議の議事録の原案作成に生成AIを使うことが、業務効率化の手段として挙げられていると報じられています。ただし、介護分野の生成AI利用だけを扱った厚労省の専用ガイドラインは、2026年10月時点では見当たりません。

3-3. 行政への申請書類・障害福祉サービスの指定申請

障害福祉サービスの指定申請・更新申請、運営規程、重要事項説明書なども、定型部分の下書きをAIで作る使い方が広がっています。うまくいっている現場では、一度作ったプロンプト(指示文)を事業所間で共有することで、担当者による品質のばらつきを抑えています。利用者の氏名や障害の内容など、本人がわかる情報は伏字にしてから入力するのが前提です。

4. 多言語対応AI:在留外国人・やさしい日本語

伝えるウェブによるやさしい日本語化サービスのイメージ

出典: 伝えるウェブ 公式サイト

福祉窓口の多言語対応は、在留外国人の増加にともなって需要が伸び続けている領域です。現時点では、AIによる音声・テキスト翻訳と、やさしい日本語への変換を組み合わせる形が一般的です。

4-1. 窓口での音声・テキスト翻訳

窓口向けの代表的なサービスは次のとおりです。特徴は各社の公式サイトの説明をもとにまとめています。

ツール

提供元

特徴

VoiceBiz

TOPPAN

自治体・公的機関での導入例が多い音声翻訳サービス。窓口の専門用語への対応をうたう

KOTOBAL

コニカミノルタ

機械翻訳とオペレーターを組み合わせた窓口向けサービス。やさしい日本語や手話通訳にもタブレット1台で対応

ランゲージワン

ランゲージワン

多言語の電話通訳・映像通訳・AI音声通訳。官公庁・医療・福祉の窓口で利用実績

対応言語数や機能は改定されることがあるため、契約前に各社の公式サイトで確認してください。社会福祉協議会、生活困窮者自立支援の窓口、自治体の福祉相談課など、外国籍の利用者に対面で説明する現場での導入が中心です。

窓口の音声翻訳を汎用AIで試したい場合は、Googleの音声翻訳機能を解説したGemini 3.5 Live Translateとはも参考になります。翻訳業界全体のAI活用は翻訳業界のAI活用事例で扱っています。

医療・法律・在留手続きのように、誤訳がそのまま本人の不利益につながる内容は、AI翻訳だけで済ませず、資格のある通訳者の確認を前提にしてください。

4-2. やさしい日本語への変換

通訳サービスだけで、日本に住む外国人すべての母語をカバーするのは現実的ではありません。出入国在留管理庁・文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」も、通訳を補う手段としてやさしい日本語を勧めています。

  • 伝えるウェブ(アルファサード): 日本語の文章をやさしい日本語に変換し、ホームページ全体の変換にも対応。自治体・医療・教育・NGO/NPO向けに無償提供のキャンペーンを行った実績があります(現在の提供条件は公式サイトで確認してください)。
  • 汎用の生成AI: ChatGPT・Claude・Geminiに「やさしい日本語ガイドラインに沿って、1文を短く、漢字にふりがなを付けて」と指示すれば、初稿を作れます。

NPOの広報担当者が手作業で書き直していた工程を「AIで初稿 → 職員が確認」に切り替えると、情報を届けられる相手の幅が広がります。

4-3. NPOの多言語SNS発信・寄付の呼びかけ

ChatGPT・Claude・Geminiは、投稿文や寄付の呼びかけ文を英語・中国語・韓国語・ベトナム語などに、トーンを保ったまま翻訳できます。「やわらかい言い方で」「小学校高学年でも読めるように」といった指示もそのまま通じるため、翻訳者に依頼する前段階の発信に向いています。

GoogleのNotebookLMには、読み込ませた資料を音声で解説する機能があり、公式ヘルプでは50以上の言語に対応しています。活動報告を多言語の音声で届けたいときに使えます。ツールごとの得意分野は生成AIツールおすすめ比較で比べています。

5. 業務自動化AI:議事録・相談ボット・シフト・見守り

NotebookLMやGeminiを含むGoogle Workspaceの公式イメージ

出典: Google Workspace for Nonprofits 公式サイト

業務自動化AIは、福祉・NPOで導入しやすく、効果も実感しやすい領域です。「会議が多い」「夜間の見守りが重い」「シフト作りが特定の職員に偏っている」といった悩みに直接役立ちます。

5-1. 議事録・ナレッジ化(NotebookLM)

GoogleのNotebookLMは、Google Workspace for Nonprofitsの無償プランでも使えます。会議の文字起こし、運営規程、過去の資料を読み込ませると、要約・FAQ作成・質問への回答を、読み込ませた資料を根拠に行います。

  • 法人内のFAQ作り、契約書・運営規程の読み解き、制度改正のポイント整理
  • 回答に根拠の箇所が示されるため、内容を確認しやすい
  • 無償プランでも、Googleは入力データを人がレビューせず、モデルの改善にも使わないとしている

ただし、無償プランではGmailやGoogleドキュメントの中で使うGemini(文章作成の補助、サイドパネル、Meetの議事メモなど)は使えません。これらはBusiness Standard以上の有償プランが必要です。

5-2. 相談チャットボット(自治体の福祉相談AI)

自治体の福祉相談AIは、2026年時点で次のような形で運用されています。

自治体

サービス名

特徴(確認できた最新状況)

山形市

つながりよりそいチャット

LINE上で生成AIと専門スタッフが対応。2024年7月の開始から2026年2月末までに相談者1,273人、チャット21,151回。生成AIの対応率は81.3%

千葉県

いつでも福祉相談サポット

24時間365日、生活困窮・介護・子育て・障害などの相談先を案内。2026年9月にLINE版で不具合が出たため、Webブラウザで使う方式に変更

八王子市

はちココ

生成AIを使った匿名の「AI傾聴窓口」。孤独・孤立対策として実証事業で運用(開発: ZIAI)

茨城県

福祉相談業務での生成AI活用

県福祉事務所の生活困窮などの相談で、制度・相談先の案内と記録の文字起こし・要約に生成AIを使う(2025年12月導入)

豊田市

AI相談パートナー

福祉総合相談の窓口で、相談内容をテキスト化し、聞き取り項目や関係する福祉サービスを職員に表示

どの事例も、AIが対応する範囲と人に引き継ぐ条件をはっきり決めています。自殺念慮や虐待など緊急性の高い相談は、有人の窓口につなぐ流れを用意するのが前提です。

5-3. シフト自動作成

ツール

提供元

特徴

miramos

コニカミノルタ

介護のシフトを公平性に配慮して自動作成

Shiftmation

—

条件を設定してシフトを自動作成

ほすぴタッチ

—

医療・介護福祉・ヘルスケアに特化したシフト管理

ジョブズマイスター for 介護福祉

—

「この職員同士は同じ日にしない」などの細かい条件に対応

夜勤・早番・遅番・パート・常勤を組み合わせる介護のシフトは、職員の間に不公平感が生まれやすい業務です。AIで案を作り、最後は人が調整する運用が現実的です。

5-4. 見守り・送迎・記録の効率化

用途

ツール

特徴

送迎ルート

DRIVEBOSS(パナソニック)

利用者の送迎ルートと配車をAIで作成

居室の見守り

LASHIC+(TOPPAN)

温度・湿度・人感センサーで見守る。カメラを使わないためプライバシーに配慮しやすい

睡眠のモニタリング

Nemuri SCAN(パラマウントベッド)

マットレスの下のセンサーで睡眠状態を把握

居室の異変検知

HitomeQ(コニカミノルタ)

センサーで居室の異変を検知し、職員のスマホに通知

コミュニケーション

PALRO(富士ソフト)

体操やレクリエーションの進行を担う会話ロボット

機器の仕様や価格は変わることがあるため、導入前に各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。見守り機器・インカム・介護ソフトは、介護テクノロジー導入支援事業の重点分野にもなっています。介護施設での導入事例は介護のAI活用事例で詳しく紹介しています。

5-5. ファンドレイジング・寄付者管理

AnthropicのClaude for Nonprofitsは、寄付者管理やファンドレイジングで使われるBlackbaud(Raiser's Edge NXT)、Benevity、Candidとの連携を用意しています。Salesforce、Microsoft 365、Gmail、Googleドライブ、Slack、HubSpot、Canvaなどともつながるため、寄付者データの傾向分析から呼びかけ文の作成までを一つの画面で進められます。

国内の団体では、寄付キャンペーンの文案、SNSの投稿、法人向けの寄付提案メール、助成金の申請書を、AIに下書きさせる使い方が増えています。事務局が1〜2人の団体ほど、時間の節約を実感しやすい業務です。

6. 業務別AI活用一覧表(早見表)

自団体の課題から逆引きできるように、業務ごとにAIの役割・期待できる効果・主要ツールをまとめました。

業務

AIの役割

期待できる効果

主要ツール

助成金リサーチ

助成元の候補探し、要件との照合

調べる時間の短縮

ChatGPT / Claude / Gemini、検索型のAI

申請書・事業計画書

下書き、章立て、要約

初稿づくりの負担軽減

Claude for Nonprofits、ChatGPT Business、NotebookLM

個別支援計画・ケアプラン・支援記録

記録の要約、計画の下書き

作成時間の短縮(公表例: 最大4時間→約2時間)

AURA、Maa2、介護ソフトのAI機能

行政申請・指定申請

定型部分の下書き、記載漏れのチェック

担当者の負担軽減

ChatGPT / Claude / Gemini

議事録・FAQ化

会議の要約、資料を根拠にした回答

議事録づくりと情報共有の時短

NotebookLM

多言語窓口

音声・テキスト翻訳、手話通訳

外国籍の利用者へその場で説明

VoiceBiz、KOTOBAL、ランゲージワン

やさしい日本語化

文章の変換、ホームページの変換

情報を届けられる相手が広がる

伝えるウェブ、汎用の生成AI

24時間相談

チャットでの一次対応、職員への引き継ぎ

相談のハードルを下げる、職員の負担軽減

自治体の福祉相談AI(山形市・千葉県など)

シフト作成

条件を満たすシフトの自動作成

作成時間の短縮、公平性の見える化

miramos、Shiftmation、ほすぴタッチ

送迎ルート

ルート・配車の作成

担当者の経験に頼らないルートづくり

DRIVEBOSS

見守り

センサーで異変を検知

夜間巡視の負担軽減

LASHIC+、Nemuri SCAN、HitomeQ

寄付者管理

データ分析、呼びかけ文の作成

ファンドレイジングの効率化

Claude(Blackbaud / Benevity / Candid連携)

効果の大きさは、事業所の規模、運用のルール、職員のAIへの慣れによって変わります。導入前後で作業時間を測り、自団体の数字で効果を確かめるのがおすすめです。

7. 主要AIツール・非営利向けプログラム比較表(2026年10月時点)

Claude for Nonprofitsを提供するAnthropicの公式ロゴ

出典: Anthropic 公式サイト

非営利団体向けの割引や無償枠がある主要4社を比べると、まず無償で始めたいならGoogle、文章作成を本格的に任せたいならClaudeかChatGPT、Microsoft 365中心の団体ならMicrosoftが基本の選び方です。料金はいずれも税別・米ドル建てで、為替や改定で変わるため、契約前に各社の公式ページで確認してください。

項目

Claude for Nonprofits

OpenAI for Nonprofits

Google Workspace for Nonprofits

Microsoft 非営利プログラム

提供元

Anthropic

OpenAI

Google

Microsoft

主な料金

Team $8/人・月(2〜150席)。低・中所得国の団体は$3/人・月。Enterpriseは営業対応

ChatGPT Business(Standard席)$8/人・月(年払い)/$10/人・月(月払い)。Enterpriseは最大75%OFF(要問い合わせ)

基本プラン無償(最大2,000ユーザー)。Business Standardは$3.50/人・月(通常$14)

Copilot ChatはMicrosoft 365契約に追加費用なし。Business Premium $5.50/人・月(75%OFF)。Microsoft 365 Copilot $25.50/人・月(15%OFF)。いずれも年払い

割引の対象外・注意点

Proなど個人向けプランは対象外

BusinessのPremium席とAPIは対象外

無償プランではGmail・ドキュメント内のGemini、Meetの議事メモなどは使えない

Copilot Business($21)に非営利価格はない。Business Premiumの無償10ライセンス付与は2025年7月に終了

使えるAI

ClaudeとClaude Code(Team)。モデルは通常のTeam / Enterpriseと同じ

通常のChatGPT Businessと同じ

Geminiアプリ(Deep Research、Gemsなど)、NotebookLM

Copilot Chat、Microsoft 365 Copilot(有償アドオン)

対象団体

非営利団体(米国501(c)(3)と各国の同等団体)、K-12の学校、一部の地域医療機関。政府機関、政治団体・選挙陣営、高等教育機関、病院グループは対象外

正式に登録された非営利団体

国ごとに条件が違う(日本の条件はGoogle for Nonprofitsで確認)

登録非営利団体(Microsoft Nonprofit Portalで確認)

確認の方法

TeamはGoodstackのフォーム(公式では2〜3分)。Enterpriseは営業窓口

Goodstack

Google for Nonprofitsの審査後、管理コンソールで有効化

Microsoft Nonprofit Portal

主な連携

Blackbaud、Benevity、Candid、Salesforce、Microsoft 365、Gmail、Googleドライブ、Slack、HubSpot、Canva など

ChatGPT Businessの標準コネクター

Gmail、ドライブ、カレンダーなど

Word、Excel、Teams、Outlook

データの扱い

組織プランは入力を学習に使わない

Business / Enterpriseは入力を学習に使わない

無償プランでもGeminiアプリとNotebookLMに企業向けのデータ保護

組織アカウントでの利用に企業向けのデータ保護

研修

無料講座「AI Fluency for Nonprofits」(GivingTuesdayと共同開発)

OpenAI Academy

Google for Nonprofitsのトレーニング

Microsoftの非営利向けトレーニング

1ドル150円で換算すると、ClaudeのTeamとChatGPT Business(年払い)は1人あたり月1,200円前後です。通常料金との差はClaudeの料金、ChatGPTの料金で確認できます。

以前は、OpenAIの非営利割引を「Teamプランで20%OFF」と紹介する記事がありました。これは2024年5月の開始当初の条件で、現在は内容が変わっています。また「ChatGPT Team」は現在「ChatGPT Business」という名前です。

選び方の目安

  • まず無償で、会議録や団体内の資料整理から始めたい → Google Workspace for Nonprofits(特にNotebookLM)
  • 助成金の申請書・支援記録・運営規程など長い文書の質を上げたい → Claude for Nonprofits
  • 職員がすでにChatGPTに慣れていて、幅広い業務に使いたい → OpenAI for Nonprofits(ChatGPT Business)
  • Word・Excel・Teamsの中でAIを使いたい → Microsoftの非営利プログラムとCopilot
  • 寄付者管理にBlackbaudやSalesforceを使っている → 連携が用意されているClaude for Nonprofits

各ツールの詳しい機能はClaudeとは、ChatGPTとは、Geminiとはで解説しています。

日本の社会福祉法人・NPO法人・一般社団法人が、Goodstackなどの確認を通るかどうかは団体によって違い、必要な書類も公式には明示されていません。申し込む前に、各社の公式ヘルプで自団体が対象になるかを確認してください。

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8. 国内自治体・福祉現場の最新事例

八王子市の「はちココ」を開発したZIAIの公式ロゴ

出典: ZIAI 公式サイト

国内では、自治体の福祉相談AIが具体的な利用実績を出し始めています。総務省の調査(2024年度末時点)では、生成AIを導入済みの自治体は都道府県で87%、指定都市で90%、その他の市区町村で30%でした。市区町村ではまだ少数派ですが、福祉分野での活用例は着実に増えています。

8-1. 山形市「つながりよりそいチャット」

LINE上で、生成AIと専門スタッフが組んで孤独・孤立の相談に応じる窓口です。生成AIは24時間、専門スタッフは平日9〜18時に対応します。内閣府のデジ田メニューブックによると、2024年7月12日の開始から2026年2月末までの累計で、LINE登録1,139人、相談者1,273人、チャット21,151回、生成AIの対応率81.3%でした。8割以上のやり取りをAIが受け持ち、専門スタッフは人の対応が必要な相談に集中できる設計です。

8-2. 千葉県「いつでも福祉相談サポット」

NTT東日本が開発した生成AIの福祉相談チャットボットで、2025年2月に始まりました。24時間365日、生活困窮・介護・子育て・障害などの相談を受け、県や市町村の担当窓口、相談支援機関を案内します。2026年9月30日に、LINE版で不具合が出たため、Webブラウザで使う方式に切り替えました(LINEアプリからWeb版を開く形)。県は「生成AIのため適切に答えられない場合がある」と明記し、氏名・住所・電話番号を入力しないよう求めています。相談ボットはあくまで入口の案内役で、個別の判断はしないという位置づけです。

8-3. 八王子市「はちココ」(ZIAI開発)

都内の自治体で初めて生成AIを使った「AI傾聴窓口」として、2025年2月に始まりました。匿名のチャットで孤独・孤立の相談を受け、必要に応じて市の福祉相談窓口を案内します。2025年11月の市の審議会資料では、引き続き実証事業として扱われています。開発元のZIAIは、自殺予防のためのAI研究から生まれたスタートアップです。

8-4. 茨城県「福祉相談業務における生成AIの活用」

茨城県は2025年9月から3か月の実証を経て、2025年12月24日から、町村を管轄する県福祉事務所4か所の生活困窮などの相談業務に、生成AIとタブレットを導入しました。目的は、制度や相談機関の案内の質を上げることと、面談内容の文字起こし・要約で記録の手間を減らすことです。紙の資料を持ち出さず、タブレット上で扱う運用にしています。効果の数値は、2026年10月時点で公表されていません。

8-5. 豊田市「AI相談パートナー」

福祉総合相談の窓口で、相談中の会話をテキスト化し、職員に聞き取るべき項目や関係する福祉サービスを表示する仕組みです。経験の浅い職員でも、聞き漏らしを減らしやすくなります。

8-6. 民間・現場の事例

  • 新潟県の障害児支援事業者(9施設): 生成AIで個別支援計画のたたき台を作り、新人の作成時間を最大4時間から約2時間に短縮(プレスリリースより)。
  • 社会福祉協議会: 長崎県社会福祉協議会の機関誌(2026年9月号)の職員アンケートでは、生成AIを「プライベートで使う」が29.9%、「仕事でもプライベートでも使う」が15.6%でした。用途は議事録、支援記録、ケアプランなどです。社協では、文案・要約・確認事項の整理など職員が確かめて直せる業務に限って使い、支援の判断や給付・貸付の可否はAIに任せない方針を取るところが一般的です。
  • 研修の広がり: 神戸市社会福祉協議会の市民福祉大学では、2026年11月13日に、NotebookLMと国のガイドラインに沿った利用ルールを学ぶ福祉職向けの研修が予定されています。

自治体全体のAI導入の流れは官公庁・自治体のAI活用事例、保育・子育て分野は保育・幼児教育のAI活用事例で紹介しています。

9. 導入コスト・補助金・助成金

Google for Nonprofitsの公式プログラムロゴ

出典: Google for Nonprofits 公式サイト

導入費用は、「非営利割引で汎用AIを安く始める」と「補助金で専用ツールを入れる」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。使える補助金は、団体が介護保険・障害福祉サービスの指定事業所かどうかで変わります。

9-1. 無償・低コストの選択肢

選択肢

概要

月額の目安(2026年10月時点)

Google Workspace for Nonprofits

最大2,000ユーザーまで無償。GeminiアプリとNotebookLMが使える

無償

Claude for Nonprofits(Team)

2〜150席。低・中所得国の団体は$3

$8/人(約1,200円)

ChatGPT Business(非営利割引)

Standard席が対象

$8/人(年払い)、$10/人(月払い)

Microsoft 365 Copilot Chat

Microsoft 365の契約に追加費用なし

Microsoft 365の料金に含む

Microsoft 365 Business Premium(非営利)

75%OFF

$5.50/人

伝えるウェブ(やさしい日本語)

無償提供キャンペーンの実績あり

条件は公式サイトで確認

円換算は1ドル150円で計算した目安です。

9-2. 介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度/2026年度)

介護保険サービスの事業所が、介護ソフトや見守り機器、介護ロボットを導入するときに使える補助金です。実施主体は都道府県で、国は2026年4月7日に令和8年度の実施要綱を都道府県に通知しました。

  • 財源: 令和7年度補正予算の「介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業」220億円と、地域医療介護総合確保基金の一部
  • 補助率: 原則4分の3以上(補正予算の拡充分は最大5分の4とする都道府県もある)。率は都道府県が決める
  • 上限額の例: 介護記録ソフトなどは職員数に応じて100万〜250万円(端末・Wi-Fiの整備で15万円、5事業所以上でのケアプランデータ連携で5万円の加算など)。介護ロボットは移乗・入浴支援が1機器100万円、その他が30万円。複数機器を組み合わせるパッケージ型は都道府県が定める額
  • 重点分野: 見守り機器、インカム、介護ソフト
  • 受付状況: 2026年8月下旬の時点で受付中だったのは14道県で、多くの府県は6〜8月上旬に締め切っていました。10月末の時点では、ほとんどの都道府県で締め切られていると見られます。次の機会は令和9年度か、都道府県の追加募集です

令和7年度補正予算では介護職員の賃上げ支援などにも大きな予算が付いていますが、介護テクノロジーの導入支援とは別の事業です。補助金を調べるときは混同しないよう注意してください。

9-3. 障害福祉分野の介護テクノロジー導入支援事業

障害福祉サービスの事業所向けにも、同じ名前の補助事業があります。対象施設、補助率、上限額は都道府県によって違います。たとえば神奈川県は障害者支援施設とグループホームを対象に補助率4分の3、岐阜県はICT枠とロボット等の枠を設け、導入前後の効果の報告を求めています。具体的な条件は、都道府県の障害福祉担当課の要綱で確認してください。

9-4. デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

介護保険・障害福祉の指定事業所ではないNPO法人でも、対象になり得る補助金です。中小企業庁の概要資料では特定非営利活動法人が対象に含まれ、補助金のポータルサイトでは社会福祉法人も対象事業者として掲載されています。従業員数の上限は業種の基準に従います。通常枠の4次締切(2026年8月25日)は終了しているため、次の回の締切は公式サイトで確認してください。制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の活用ガイドにまとめています。

9-5. 団体の種類別:使える割引・補助金の早見表

団体の種類

使える可能性が高い支援

注意点

介護保険サービスの指定事業所(社会福祉法人・NPO法人などを含む)

介護テクノロジー導入支援事業+各社の非営利割引

令和8年度の受付はほぼ終了。次回に向けて準備

障害福祉サービスの指定事業所

障害福祉分野の介護テクノロジー導入支援事業+非営利割引

補助額・対象施設は都道府県ごとに違う

指定事業所でないNPO法人(子ども食堂・国際交流・環境など)

デジタル化・AI導入補助金+非営利割引

介護テクノロジーの補助金は対象外

社会福祉協議会・社会福祉法人の本部

デジタル化・AI導入補助金(対象になる場合)+非営利割引

非営利割引の確認を通るかは団体ごとに違う

自治体の福祉部署

各社の公共機関向けプラン

Claudeの非営利割引は政府機関が対象外

米国の助成金への応募を考えている団体

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OpenAIのPeople-First AI Fundは米国の501(c)(3)のみが対象で、日本の団体は応募できない

9-6. 自治体独自の助成

自治体によっては、DX推進、外国人向け窓口の整備、孤独・孤立対策などの補助金を設けています。生成AI・多言語対応・相談ボットを組み合わせた取り組みは、こうした補助メニューに当てはまることがあります。小規模な団体の業務自動化の進め方は中小企業のAI業務自動化も参考になります。

10. 福祉領域固有のリスクと対策

福祉・NPOでは、一般企業のAI活用よりも「要配慮個人情報」と「判断の責任を誰が負うか」を慎重に扱う必要があります。守るべき基本は、要配慮個人情報は外部のAIに入れない、AIの出力は必ず人が確かめる、支援の可否や計画の確定はAIに決めさせない、の3点です。

10-1. 要配慮個人情報のAI入力チェックリスト

個人情報保護法の「要配慮個人情報」には、次のような情報が含まれます。これらを外部のAIにそのまま入力するのは原則として避けてください。

  • 障害の内容、障害者手帳の等級
  • 病歴、通院歴、服薬歴
  • 生活保護の受給状況など、困窮に関わる情報
  • 犯罪歴、犯罪の被害を受けた事実
  • 人種、信条、社会的身分

個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月2日)で、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答以外の目的で扱われる場合は法令違反になり得ると注意を促しています。この考え方は今も変わっていません。

なお、2026年7月に個人情報保護法の改正法が成立しましたが、施行は公布から2年以内の政令で定める日で、2026年10月時点では施行されていません。改正後も、福祉現場で要配慮個人情報を外部のAIに入れないという原則は変わらないと考えてよいでしょう。

10-2. 安全に使うための実務ルール

  1. 組織向けプランに統一する: Team / Business / Enterpriseなど、入力をAIの学習に使わない組織向けプランで使います。無料版や個人アカウントでの業務利用は原則禁止にします。
  2. 入力前に伏字にする: 氏名・住所・生年月日・具体的な病名などは「Aさん」「70代女性」のように置き換えてから入力します。
  3. 本人・家族の同意を取る: 面談の録音をAIで文字起こしする場合は、事前に同意を取り、記録として残します。
  4. 有資格者が最終確認する: ケアプラン・個別支援計画・支援の判断は、介護支援専門員やサービス管理責任者などが内容を確かめてから確定します。
  5. ログを残す: Enterpriseプランなどでは監査ログやアクセスログを残せます。誰がどの業務で使ったかを後から確認できるようにします。
  6. 緊急時は人につなぐ: 相談ボットでは、自殺念慮や虐待など緊急性の高い内容を検知したら、必ず有人の窓口に引き継ぐ流れを作ります。

AIの情報漏えい対策の全体像は生成AIのセキュリティリスクと対策で詳しく解説しています。

10-3. AIに判断を任せた失敗例:児童虐待判定AIの導入見送り

こども家庭庁は、児童相談所向けに開発していた虐待リスク判定AIの導入を見送りました(2025年3月の報道)。2021年度から約10億円をかけて開発し、約5,000件の記録を学習させ、91項目から虐待のリスクを0〜100点で示す仕組みでしたが、テストでは判定の誤りが約6割にのぼったと報じられています。学習データが足りなかったことや、「体重の減少」など重要な項目が含まれていなかったことが理由とされています。

この例から、福祉の判断は一人ひとりの事情に左右され、データだけでは決めきれないことが分かります。AIは記録の整理や情報の案内には役立ちますが、支援の要否や危険度の判定は、人が責任を持って行う必要があります。

10-4. 参照すべき公式ガイドライン

  • 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会、2023年6月2日)
  • 地方公共団体におけるAI利用・導入ガイドブック 第4版(総務省、2025年12月16日公表): 生成AIの活用事例、利用ルールのひな形、機密情報の扱いを収録
  • AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)
  • テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(デジタル庁)
  • 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(出入国在留管理庁・文化庁)

団体で使うときは、これらのガイドラインを参考に「入力してよい情報・いけない情報」「使ってよい業務」「確認する人」を1枚の利用ルールにまとめ、全職員で共有しておくと運用が安定します。

11. AI導入がおすすめな団体・慎重に検討すべき団体

AIの効果が出やすいのは、書類や問い合わせ対応に時間を取られていて、個人情報の扱いのルールを決められる団体です。逆に、ルールが整っていない段階や、危機介入が中心の業務では、慎重に進める必要があります。

こんな団体におすすめ

  • 助成金・補助金の申請書づくりに毎月10時間以上かけている
  • 障害福祉や介護のサービスで、支援記録や計画書の負担が重い
  • 在留外国人や外国にルーツを持つ家庭を多く支援している
  • 24時間の相談に応えたいが、人員が足りない
  • 議事録・運営規程・マニュアルなど、団体内の情報を整理したい
  • 寄付者や会員のデータを活用しきれていない

おすすめできない(または慎重に検討すべき)団体

  • 個人情報の取り扱いルールが決まっておらず、まずルールづくりが必要な段階
  • 利用者の多くがチャットを使わない高齢者で、対面・電話の窓口が欠かせない
  • 緊急性の高い危機介入が中心で、AIに任せる範囲について団体内の合意ができていない
  • ツールを入れれば解決すると考えていて、業務の流れを見直す準備がない
  • 介護・障害福祉の指定事業所ではないのに、介護テクノロジーの補助金をあてにした計画を立てている

12. 無料・低コストで始める3ステップ

小規模なNPOや社会福祉法人なら、無償のツールで個人情報を含まない業務から試し、効果を確かめてから有償プランや専用ツールに広げる順番が安全です。

Step 1:Google Workspace for Nonprofitsで無償スタート

NotebookLMに議事録、運営規程、過去の助成金申請書などを読み込ませ、要約・FAQ作成・質問への回答を試します。最初は個人情報を含まない文書から使い、職員がAIの得意・不得意を体感することが目的です。GmailやGoogleドキュメントの中でGeminiを使いたい場合は、有償のBusiness Standard(非営利価格$3.50/人・月)が必要です。

Step 2:Claude for Nonprofits または OpenAI for Nonprofits を契約

助成金の申請書や支援記録など長い文書を扱う段階になったら、ClaudeのTeamかChatGPT Businessを2〜5席程度から契約します。契約前に、利用ルール(入力禁止の情報、使う業務、確認する人)を文書にしておきます。すでにMicrosoft 365を使っている団体は、追加費用のかからないCopilot Chatから始める方法もあります。Anthropicの無料講座「AI Fluency for Nonprofits」など、各社の非営利向け研修も活用できます。

Step 3:業務特化ツールへ広げる

支援記録・計画作成、シフト作成、見守り、送迎など、専用のツールを必要に応じて加えます。介護・障害福祉の指定事業所であれば介護テクノロジー導入支援事業、それ以外のNPO法人であればデジタル化・AI導入補助金を、公募の時期に合わせて検討します。

既製のツールで足りず、記録ソフトや寄付者管理の仕組みとAIをつなぐ開発を外部に頼む場合は、福祉の業務や個人情報の扱いをどこまで理解している会社かで、要件の詰め方やデータの準備の手間が大きく変わります。委託先の選び方は業界に詳しいAI開発会社に委託すべきかで整理しています。

団体全体に一度に広げるより、一つの業務で小さく始め、作業時間を測ってから他の業務に広げるほうが、福祉・NPOの現場では定着しやすくなります。

13. よくある質問(FAQ)

Q1. 無料版のChatGPT・Claude・Geminiを業務で使ってもよいですか?

個人情報を含まない一般的な文書(募集要項の要約、広報文の下書きなど)であれば使えますが、利用者の情報を扱う業務では使わないでください。団体として使うなら、入力を学習に使わない組織向けプランにそろえるのが安全です。Google Workspace for Nonprofitsの無償プランなら、費用をかけずに企業向けのデータ保護が付いたGeminiアプリとNotebookLMを使えます。

Q2. 日本のNPO法人でも非営利向け割引を受けられますか?

対象になる可能性はありますが、確認を通るかは団体ごとに違います。ClaudeとOpenAIはGoodstackという外部サービスで非営利団体かどうかを確認しており、日本の法人がどの書類を求められるかは公式に明示されていません。なお、Claudeの非営利割引は政府機関、高等教育機関、病院グループが対象外です。申し込む前に各社の公式ヘルプを確認してください。

Q3. AIにケアプランや個別支援計画を作らせてもよいですか?

下書きをAIに作らせることはできますが、内容を確定するのは介護支援専門員やサービス管理責任者などの有資格者です。本人や家族の意向の確認も、AIに代わりはできません。AIの下書きは、必ず人が本人の状況と照らし合わせて直してから使ってください。

Q4. 相談ボットに自殺をほのめかす相談が来たらどうすればよいですか?

緊急性の高い言葉を検知した時点で、有人の窓口や専門の相談窓口(いのちの電話など)に案内する仕組みを、導入前に必ず組み込んでください。山形市のように、AIと専門スタッフが組んで対応する形が参考になります。夜間など人が対応できない時間帯の案内先も決めておきます。

Q5. 介護テクノロジー導入支援事業はNPO法人でも使えますか?

NPO法人でも、介護保険サービスや障害福祉サービスの指定事業所を運営していれば対象になり得ます。指定事業所ではないNPO法人は対象外のため、デジタル化・AI導入補助金を検討してください。令和8年度の介護テクノロジーの補助金は、10月末の時点でほとんどの都道府県が受付を締め切っています。

Q6. 導入効果はどう測ればよいですか?

導入前に、対象の業務にかかっている時間を1〜2週間記録しておき、導入後に同じ方法で測って比べるのが確実です。ベンダーの公表値は事業所の条件によって大きく変わるため、自団体の数字で判断してください。障害福祉分野の補助金のように、導入前後の効果の報告を求められる場合もあります。

14. まとめ:3本柱で「人にしかできない支援」へ集中する

福祉・NPO・非営利組織のAI活用は、「申請支援AI」「多言語対応AI」「業務自動化AI」の3本柱で考えると進めやすくなります。現時点では、Google Workspace for Nonprofitsの無償枠で始め、Claude・OpenAI・Microsoftの非営利割引で文書作成を効率化し、補助金を使って専用ツールに広げる順番が、費用とリスクのバランスが取りやすい進め方です。

一方で、要配慮個人情報を外部のAIに入れないこと、AIの出力を有資格者が確かめること、支援の可否や危険度の判定をAIに任せないこと、緊急時に人へつなぐことは、どの団体でも外せない原則です。非営利割引の条件や補助金の受付時期は変わりやすいため、契約や申請の前には各社の公式ページと都道府県の公募要項で最新情報を確認してください。

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この記事の著者

AI革命

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