AI活用事例2026年7月更新

林業のAI活用事例7選|森林資源解析・ドローン測量・病害虫検知の導入効果と主要サービス比較【2026年最新】

公開日: 2026/07/01
林業のAI活用事例7選|森林資源解析・ドローン測量・病害虫検知の導入効果と主要サービス比較【2026年最新】

この記事のポイント

林業のAI活用を「森林資源解析・ドローン×AI測量・病害虫検知・伐採計画最適化」の領域別に、女川町8割削減など実数値付き事例と主要サービス比較表で整理。補助金・法規制・導入判断まで解説します。

林業のAI活用は、航空・ドローンレーザーで森林を3D点群化し、AIが単木ごとに樹種・樹高・材積・CO2固定量を自動推定する「森林資源解析」を軸に、ドローン×AI測量・病害虫検知・伐採計画最適化まで実用段階に入っています。 宮城県女川町では森林調査の工数が約8割削減(19人日→約4人日)されるなど、すでに定量的な効果が実証されています。

この記事でわかること:

  • 林業でAIが使われている7つの活用領域と、女川町・芦別市・所沢市などの実数値付き事例
  • DeepForest/日立システムズ森林調査DX/ScanX/ichimill など主要サービスの横断比較表
  • 導入コスト感・補助金(林野庁スマート林業実践対策など)の入口
  • 航空法・電波法・森林情報の個人情報など制度・コンプライアンス上の注意点
  • 自治体/中規模森林組合/小規模・自営で異なる導入判断のフロー

想定読者は、森林組合・自治体林務担当・木材生産事業者・林業ベンチャーなど、「自分の現場でAIをどう使えるか」「どのサービスを選べばよいか」を具体的に検討している方です。技術の解説だけでなく、精度の限界や規制まで正直に整理します。

そもそも「スマート林業」とは?林業のAI活用の全体像

スマート林業とは、AI・ドローン・LiDAR(レーザー計測)・GIS・ICTクラウド・ロボティクスなどのデジタル技術を使い、森林資源の把握から伐採計画、造林・保育、木材の生産〜流通までを一体で高度化する取り組みです。 林野庁は「森林・林業DX」「デジタル林業」として推進しています。

林業がAI活用を急ぐ背景には、根深い構造課題があります。

  • 担い手不足と高齢化:従事者数が長期的に減少し、技術継承が難しくなっている
  • 「きつい・危険・高コスト」な労働環境:チェーンソー作業・急傾斜地での作業は労働災害率が高い
  • 森林情報の未整備:境界不明・所有者不明の森林が多く、資源量(どこに何がどれだけあるか)の把握が不十分
  • 毎木調査の負担:従来は人が山に入って一本ずつ計測しており、膨大な工数がかかっていた

AIとリモートセンシングは、この「森林資源をまず正確に知る」という林業の入口を大きく変えつつあります。上空からの計測データをAIが解析することで、人が立ち入りにくい急峻地でも資源量を推定でき、そのデータを伐採計画・クレジット申請・流通へと横串で活かせるようになってきました。

AIそのものの基礎や、業務を自律的に進める仕組みについては、生成AIとは何かを解説した総合ガイドAIエージェントとは何かを整理した記事もあわせて参考にしてください。

林業のAI活用領域7分類【業務別一覧表】

林業のAI活用は「どの業務を効率化するか」で整理すると理解しやすくなります。主要な7領域を、AIの役割・効果・代表的なサービスでまとめました。

活用領域

AI/技術の役割

主な効果

代表サービス・主体

①森林資源解析・在庫把握

航空/ドローンレーザーの点群をAIが解析し、単木ごとに樹種・樹高・胸高直径・材積・CO2固定量を推定

毎木調査の大幅省力化(女川町で工数約8割削減)

DeepForest「DF Scanner」、日立システムズ森林調査DX、ScanX

②ドローン×AI測量

写真測量・LiDAR測量・マルチスペクトル撮影。オルソ画像やNDVI(活力度指標)を算出

広域を短時間で計測、活力度・倒木リスク可視化

各社ドローンサービス、大学研究機関

③病害虫・被害検知

空撮画像+AI画像解析でナラ枯れ・松枯れ・枯損木を早期特定

目視踏査を大幅短縮(所沢市:8人×2週間規模→20分飛行)

DeepForest、マルチスペクトル/NDVI解析

④伐採計画・路網設計最適化

3D森林図・点群から間伐/皆伐/植栽エリアを色分けし作業道を最適設計

計画立案の高速化、無駄な路網の削減

GIS・点群解析ソフト各種

⑤造林・保育の自動化/ナビ

高精度測位(RTK)で植栽位置ナビ、成長モニタリング

下刈り・造林の省力化、植栽精度向上

ソフトバンク「ichimill」ほか

⑥木材生産・流通の最適化

AI木材検収、需給・流通予測

検収時間短縮、需給マッチング効率化

自治体実証(高知・徳島など)

⑦森林クレジット(J-クレジット)

CO2固定量のAI推定で申請・モニタリングデータ取得

クレジット創出のデータ整備を効率化

DeepForest、ScanX、点群活用(石川県等)

このほか、⑧として架線グラップルの遠隔操作・無人伐採といった林業機械の自動化も実証が進んでいます(島根県・伸和産業の事例では作業員3人→2人へ省人化)。特に事例が豊富な①〜④について、実際の導入例と効果を具体的に掘り下げます。

①森林資源解析:AIが単木単位で樹種・材積・CO2を自動推定

森林資源解析AIソフト「DF Scanner」を提供するDeepForest Technologiesのロゴ

出典: DeepForest Technologies 公式サイト

最もインパクトが大きいのが、航空・ドローンレーザーで取得した3D点群データをAIが解析し、森林を「一本ずつ」把握する森林資源解析です。 従来は人が山に入って毎木調査していた作業を、上空からの計測とAI推定で置き換えます。

京都大学発ベンチャーDeepForest Technologies(2022年設立)のAI解析ソフト「DF Scanner」「DF LAT」は、市販ドローンや航空センサ・衛星画像から、単木単位で樹種識別・樹高・胸高直径・材積・CO2固定量を推定し、J-クレジット申請データの取得までワンストップで行える点が特徴です。

日立システムズは2025年3月にDeepForestと最上位特約店契約を結び、「森林調査DXサービス」を提供開始しました。写真測量/LiDARドローン測量/AI解析をまとめて受託し、単木単位で樹種・樹高・胸高直径・立木幹材積・CO2固定量に加え、「地位(材積生産力)」まで可視化します。

導入効果は具体的な数字で示されています。

  • 宮城県女川町:森林調査が従来19人日 → 約4人日へ。業務工数を約8割削減(日立システムズ実証)
  • 北海道芦別市:スギ・ヒノキ以外の樹種でも9割以上の精度で樹種識別(日立システムズ実証)

点群処理をクラウドで完結させたい場合は、ローカスブルーのScanXのような、航空・ドローンレーザーの点群をクラウドで処理し森林資源解析・森林クレジット創出を支援するサービスもあります。

ただし注意点として、AIの推定はあくまで推定値です。精度は林分条件・樹種・季節・葉の状態に依存し、全数の現地検証を完全に置き換えるものではありません。重要な取引や制度申請に使う数値は、サンプル現地調査との突合を前提に運用するのが現実的です。

②ドローン×AI測量:写真測量・LiDAR・マルチスペクトルの使い分け

ドローン空撮画像とAI解析による活力度ヒートマップを並べたDF Scannerの森林解析イメージ

出典: DeepForest Technologies 公式サイト

ドローン測量は、目的に応じて「写真測量」「LiDAR測量」「マルチスペクトル撮影」を使い分けます。 それぞれ取れるデータとコスト感が異なります。

計測方式

取得できるもの

得意なこと

留意点

写真測量(SfM)

オルソ画像・地表面の3Dモデル

低コスト、広域の現況把握

樹冠に遮られ林床・地形は取りにくい

LiDAR(レーザー)

高密度3D点群、樹冠下の地形

樹高・地形・単木解析に強い

機材が高価、データ量が大きい

マルチスペクトル

NDVI等の植生指標

活力度・枯損・倒木リスクの把握

電波法・センサ運用の知識が必要

NDVI(正規化植生指標) は樹木の活力度を数値化する指標で、枯れ始めた木や倒木リスクの高い箇所を色分けで可視化できます。大阪公立大学の吉田大介研究室ではマルチスペクトルドローンによる森林調査・NDVIによる倒木リスク可視化が研究され、国土交通省の香川河川国道事務所でもマルチスペクトルカメラ/NDVIによるナラ枯れ把握の有効性が検証されています。

植栽・造林の現場では、ソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」 を使った植栽位置ナビも実用化が進み、北海道下川町との共同研究などで造林作業の効率化が図られています。

なお、ドローンを森林上空で飛ばす際は航空法(飛行許可・承認、目視外のレベル4飛行など)と、マルチスペクトルや通信機器を使う場合の電波法の遵守が前提です。山林上空でも道路・電線・第三者への配慮は欠かせません。

③病害虫・被害検知:ナラ枯れ・松枯れをAIで広域早期発見

ナラ枯れ・松枯れといった森林病害の被害木を、ドローン空撮+AI画像解析で広域かつ早期に特定できるようになっています。 従来の目視踏査に比べ、圧倒的なスピードで被害範囲を把握できます。

象徴的なのが埼玉県所沢市の事例です。京大発DeepForestの技術を使い、従来「職員8人×2週間で100haを目視」していたナラ枯れ調査に対し、ドローンの20分飛行で10ha規模をカバーできるレベルへと効率化されました(東京新聞報道)。マルチスペクトル/NDVIを使えば、枯れ始めの木をピンポイントで検出でき、被害が広がる前の早期対応につなげられます。

病害虫検知でAIが力を発揮するのは、次のような場面です。

  • 広域スクリーニング:まず上空から怪しいエリアを絞り込み、人の現地確認を必要最小限にする
  • 経年比較:同じ場所を定期的に撮影し、被害の進行・拡大を追跡する
  • 優先度付け:活力度の低い木・枯損木を色分けし、伐倒・防除の優先順位を決める

ここでも「AIが枯損の疑いを挙げ、人が最終判断する」という役割分担が基本です。季節や樹種によって葉の色・状態が変わるため、誤検知を織り込んだ運用設計が精度を左右します。

④伐採計画・路網設計の最適化とその先の自動化

3D森林図と点群データがあれば、間伐・皆伐・植栽エリアを色分けし、作業道(路網)の設計を最適化できます。 徳島県・愛知県・鳥取県などで、資源量データに基づく計画立案の実証が進んでいます。

森林資源解析で得た「どこに、どの樹種が、どれだけあるか」というデータは、そのまま伐採計画の土台になります。傾斜・地形・材積分布を踏まえて、収益性の高い区画から手をつけ、無駄な作業道を減らす——といった判断をデータで支えられるのが強みです。

その先には、林業機械の自動化・遠隔操作があります。架線式グラップルの遠隔操作や無人伐採の実証が各地で進み、島根県・伸和産業の事例では作業員を3人→2人に減らしつつ、安全性と生産性を両立させたと報告されています。林野庁の「林業イノベーションハブセンター(森ハブ)」は、GNSS(衛星測位)が届かない林内での無人伐採・自動化機械ネットワークのロードマップ整備を進めています。

木材生産・流通の下流でも、AI木材検収システム(高知県で検収時間を短縮)やAI需給・流通予測(徳島県)といった取り組みがあり、川上(森林)から川下(流通)までデータでつなぐ動きが加速しています。

主要サービス横断比較表【提供形態・解析項目・向く規模】

航空・ドローンレーザーの点群をクラウドで処理するScanXの操作画面イメージ

出典: ScanX(ローカスブルー) 公式サイト

林業AIサービスは「解析ソフト」「受託サービス」「クラウド点群処理」「測位」など提供形態がさまざまです。代表的なものを横断比較します。

サービス/主体

提供形態

主に解析・提供できること

得意用途

料金形態

向く規模

DeepForest「DF Scanner/DF LAT」

AI解析ソフト(市販ドローン+自社AI)

単木の樹種・樹高・胸高直径・材積・CO2固定量、J-クレジット申請データ

資源解析・病害虫検知・クレジット

個別見積(非公開)

自社で解析まで行いたい事業者・大学・自治体

日立システムズ 森林調査DXサービス

受託サービス(測量+AI解析ワンストップ)

単木の樹種・材積・CO2・「地位(材積生産力)」まで可視化

資源解析を丸ごと外注

個別見積(非公開)

内製リソースが乏しい自治体・森林組合

ScanX(ローカスブルー)

クラウド点群処理ソフト

航空・ドローンレーザー点群のクラウド処理、森林資源解析、クレジット創出支援

点群を自前で持ち解析したい主体

個別見積(非公開)

点群データを保有する事業者・測量会社

ソフトバンク「ichimill」

高精度測位(RTK)サービス

植栽位置ナビ、造林・植林作業の効率化

造林・保育の位置精度向上

測位サービス料金(要問合せ)

造林・再造林に注力する主体

NTT西日本G/王子HD/住友林業ほか

リモートセンシング・森林DX

衛星・航空レーザーで資源情報データ化、単木管理

大面積の資源情報整備

個別(非公開)

大規模社有林・広域自治体

料金はいずれも案件ベースの個別見積が基本で、公開価格表はほとんど存在しません(現時点では未確認)。 面積・計測方式(写真かLiDARか)・解析項目・現地調査の有無で大きく変わるため、複数社に同条件で相見積もりを取るのが現実的です。

導入コストと補助金:どのくらいかかり、どこに申請するか

林業AI・スマート林業の導入コストは「計測・解析の外注費」と「機械・システムの設備投資」に分かれ、いずれも規模依存で幅が大きいのが実情です。

参考として、高性能林業機械+遠隔操作システムなどの機械導入コストはおおむね300万〜1,200万円前後、維持費が年50万〜200万円、投資回収は3〜5年(補助金利用で短縮) という試算がメディアで示されています。ただしこれは一次ソースでの裏取りが十分でない参考値であり、実際の見積もりで確認してください。解析だけを外注する場合は、対象面積と計測方式次第でこれより小さく始められます。

補助金の主な入口は次のとおりです。

  • 林野庁「林業イノベーション推進総合対策/革新的林業実践対策(スマート林業実践対策)」 などの公募事業
  • 自治体独自の補助(都道府県・市町村が国の事業と併用できる場合がある)
  • 林野庁「デジタル林業戦略拠点」の相談窓口:「林業DX・デジタル林業実践よろず相談窓口」が原則無料で相談を受け付け(予算上限あり)

補助金の要件・補助率・上限は年度ごとに変わるため、必ず最新の公募要領を確認してください。 金額の断定は避け、まずは林野庁の補助事業ページと、地域の森林組合連合会・都道府県林務部に問い合わせるのが確実です。

補助金の探し方や申請の考え方全般は、中小企業向けAI補助金の解説記事中小企業のAI自動化ガイドも参考になります。

林野庁「デジタル林業戦略拠点」と政策の現在地

国の旗振り役は林野庁です。「森林・林業DX」の中核として「デジタル林業戦略拠点構築推進事業」を進めています。 木材生産から流通までデジタル技術を統合し、林業の「きつい・危険・高コスト」を解決することを狙いとしています。

押さえておきたい事実関係を、混同しやすい点も含めて整理します。

  • 令和5〜7年度の「デジタル林業戦略拠点構築推進事業」の採択地域は、北海道・静岡県・鳥取県の3地域です。ネット上では「全国10地域」といった表記も見られますが、戦略拠点(3地域)と各地の実証地域は別概念なので区別して理解してください。
  • 拠点では、航空レーザー測量による森林資源情報のデジタル化、ICT生産管理、AI・ドローンなど先進技術の実装を進めています。
  • 令和8年(2026年)3月に、段階的な実装手法をまとめたガイドブックが公開されました。段階を踏んだ導入を検討する際の指針になります。
  • 相談窓口(森林整備部研究指導課技術開発推進室)が設置されており、導入前の情報収集に活用できます。

政策・補助・実証は年度で更新されるため、検討時点の最新情報は林野庁の公式ページで確認するのが前提です。

導入時の注意点:精度の限界・地形・法規制

AIは万能ではありません。導入で失敗しないために、精度・環境・法規制の3つの制約を最初に理解しておくことが重要です。

1. 精度の限界(AIは推定値)
AI推定の精度は林分条件・樹種・季節・葉の状態に依存します。急峻地形・濃密な林冠下・GNSS非対応(電波不感)地帯では測位・自動化が難しく、地上作業や補正が必要です。制度申請や取引に使う数値は、必ずサンプル現地調査で検証する前提にしてください。

2. データ管理と個人情報
森林情報には所有者・境界などの権利情報/個人情報が含まれます。森林クラウドや自治体連携でデータを扱う際は、取扱いルールとアクセス管理に配慮が必要です。各社でフォーマット・クラウドが分立しており、データ連携の標準化が未成熟な点も、複数サービスをまたぐ場合のハードルになります。

3. 法規制(航空法・電波法・クレジット制度)

  • 航空法:ドローンの飛行許可・承認、目視外飛行(レベル4等)のルール遵守
  • 電波法:マルチスペクトルセンサや通信機器の適法な運用
  • J-クレジット/森林クレジット:測定・モニタリング方法など制度要件への適合が必要で、AI推定値の扱いは制度側ルールに従う

セキュリティやデータ取扱いの一般的な考え方は、生成AIのセキュリティ解説記事もあわせて確認しておくと安心です。

専用ソフトと汎用AI(ChatGPT等)の役割分担

「森林資源解析や病害虫検知には専用ソフトが必須で、汎用の生成AIでは代替できない」——ここを取り違えないことが、投資判断のポイントです。

やりたいこと

専用ソフト(DeepForest等)

汎用生成AI(ChatGPT等)

点群/画像から単木の材積・樹種を推定

◎ 中核機能

✕ 不可

ドローン計測・オルソ/NDVI生成

補助金公募要領の要点整理・下書き

◎ 得意

調査報告書・稟議資料のドラフト作成

◎ 得意

住民説明・研修用資料の文章作成

◎ 得意

つまり、現場計測・画像解析は専用ソフト、事務・文書・情報整理は汎用生成AIという役割分担が現実的です。汎用AIは補助金の要件整理や報告書ドラフト、社内説明資料の作成といった「林業の周辺事務」を大きく軽くしてくれます。生成AIツールの選び方は生成AIツールおすすめ比較を参考にしてください。

規模別・導入判断のフロー

「うちの規模で何から始めればよいか」は、自治体・中規模森林組合・小規模/自営で大きく異なります。 目安を整理します。

■ 都道府県・広域自治体・大手林業会社(大規模)

  • まず航空レーザーによる広域の森林資源情報整備から着手。単木データを基盤にGIS・伐採計画・クレジットへ展開
  • 日立システムズ森林調査DXやリモートセンシング大手への受託、または内製チームの構築を検討
  • 相談窓口・戦略拠点の知見を活用し、段階的実装ガイドブックに沿って進める

■ 中規模の森林組合(中規模)

  • 全域を一度にやらず、優先林分(皆伐/間伐予定地・被害多発地)からドローン+AI解析を外注して費用対効果を検証
  • 補助金の公募要領を確認し、都道府県林務部・森連に相談
  • 検収・帳票などの事務は汎用生成AIで先行して省力化

■ 小規模・自営林業者(小規模)

  • 初期投資・専門人材(点群/GISオペレーター)確保のハードルが高い。まずは外注ベースのスポット計測や、共同利用・組合単位での導入から
  • 生成AIによる事務効率化(補助金調べ・書類作成)は今日から着手できる低コストな一歩

いずれの規模でも、「まず小さく計測・解析を外注して精度と効果を確かめ、補助金を使いながら段階的に広げる」という進め方がリスクを抑えられます。

林業のAI活用が向いている組織/向いていない組織

AI・スマート林業は誰にでも今すぐ最適とは限りません。 向き・不向きを整理します。

こんな組織におすすめ

  • 広い施業地を持ち、毎木調査や被害調査の工数がボトルネックになっている
  • 森林クレジット(J-クレジット)でCO2固定量を活用・収益化したい
  • 労働災害リスクの高い急傾斜地作業を、遠隔・自動化で減らしたい
  • 補助金を活用でき、段階的にデータ基盤を整備する体力がある
  • 事務作業だけでも生成AIで軽くしたい(低コストの入口)

現時点ではおすすめしにくい組織

  • 施業面積が小さく、外注計測の費用対効果が出にくい
  • GNSS非対応・濃密林冠・急峻地形が大半で、計測・自動化の制約が大きい
  • 点群/GISを扱う人材も外注予算も確保できず、当面は現行手法で回る
  • クレジット制度や法規制への対応体制がまだ整っていない

ただし小規模でも、生成AIによる事務効率化は投資が小さく、ここから始めて徐々にリモートセンシングへ広げる道筋は十分現実的です。

他業界のAI活用も参考になる

林業のAI活用は、農業・環境・建設といった隣接分野と技術(ドローン、リモートセンシング、点群解析、AI画像解析)を共有しています。自組織の検討にあたっては、他業界の事例も横断的に見ておくと発想が広がります。

よくある質問(FAQ)

Q. 林業のAIは、山に入らなくても資源量がわかるのですか?
A. 上空からの航空・ドローンレーザー計測とAI解析で、単木ごとの樹種・樹高・材積・CO2固定量を推定できます。ただし推定値なので、重要な数値はサンプル現地調査との突合が前提です。現地調査を完全にゼロにできるわけではありません。

Q. どのくらい工数を減らせますか?
A. 宮城県女川町では森林調査が19人日→約4人日と約8割削減、北海道芦別市ではスギ・ヒノキ以外でも9割以上の精度で樹種識別、といった実証値が公表されています。効果は林分条件で変わります。

Q. 料金はいくらですか?
A. 主要サービスは案件ベースの個別見積が基本で、公開価格表はほとんどありません(現時点では未確認)。面積・計測方式・解析項目で変わるため、同条件での相見積もりを推奨します。

Q. 補助金は使えますか?
A. 林野庁のスマート林業実践対策など公募事業や自治体補助が使える場合があります。要件は年度で変わるため、最新の公募要領を確認し、都道府県林務部・森林組合連合会に相談してください。

Q. ドローンを森で飛ばすのに許可は要りますか?
A. 航空法上の飛行許可・承認や、目視外のレベル4飛行のルール遵守が必要です。マルチスペクトルや通信機器を使う場合は電波法にも配慮します。第三者・道路・電線への安全対策も必須です。

Q. ChatGPTなどの生成AIで森林解析はできますか?
A. 単木の材積推定や画像解析は専用ソフトの領域で、汎用の生成AIでは代替できません。一方、補助金要件の整理・報告書ドラフト・説明資料づくりなどの事務は生成AIが得意です。役割を分けて使うのが効果的です。

まとめ

林業のAI活用は、森林資源解析を軸に「計測→解析→計画→流通・クレジット」まで一気通貫でデータを活かす段階に入りました。女川町の工数約8割削減、芦別市の9割精度、所沢市のナラ枯れ検知効率化など、定量的な成果も出ています。

一方で、AI推定はあくまで推定値であり、急峻地形・GNSS非対応・法規制(航空法・電波法・クレジット制度)・データ管理といった現実的な制約も残ります。まずは優先林分で小さく外注計測し、補助金を活用しながら段階的に広げる——そして事務は生成AIで先行して軽くする、というのが多くの現場にとって無理のない進め方です。

自組織の規模と課題に合わせて、比較表と導入判断フローを起点に、林野庁の相談窓口や複数ベンダーの相見積もりから検討を始めてみてください。

この記事の著者

AI革命

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編集部

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